JPH09324139A - 高撥水・撥油性ハードコート液及びその製造方法 - Google Patents

高撥水・撥油性ハードコート液及びその製造方法

Info

Publication number
JPH09324139A
JPH09324139A JP26076196A JP26076196A JPH09324139A JP H09324139 A JPH09324139 A JP H09324139A JP 26076196 A JP26076196 A JP 26076196A JP 26076196 A JP26076196 A JP 26076196A JP H09324139 A JPH09324139 A JP H09324139A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hard coat
oil
coat liquid
film
repellent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP26076196A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Hozumi
篤 穂積
Yoshifumi Kato
祥文 加藤
Yuzo Fukuda
勇三 福田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
Nippon Dacro Shamrock Co Ltd
Original Assignee
Nippon Dacro Shamrock Co Ltd
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Dacro Shamrock Co Ltd, Toyoda Automatic Loom Works Ltd filed Critical Nippon Dacro Shamrock Co Ltd
Priority to JP26076196A priority Critical patent/JPH09324139A/ja
Publication of JPH09324139A publication Critical patent/JPH09324139A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】長期間の使用により表面が摩耗された場合にも
高い撥水性及び撥油性を発揮することが可能であり、か
つ外観上均一な皮膜を形成できるようにする。 【解決手段】シリコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物(例
えばトリメトキシシラン)と、フッ素結合基又はアルキ
ル基を有するシランカップリング剤(例えばFAS)と
を部分的に縮合し、ハードコート液とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂製品等の表面
に高い撥水性及び撥油性と耐摩耗性とを有する皮膜を形
成するための高撥水・撥油性ハードコート液及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、樹脂基板のような耐熱性に劣る基
板に耐摩耗性を有する皮膜を形成するハードコート液と
して、ポリシロキサンを主成分とするシリコーン系耐摩
耗熱重合硬化組成物が市販されている。このハードコー
ト液により得られる皮膜では、Si(CH3 2 及びS
i(CH3 )の結合やレベリング剤等の影響で水の接触
角が82°程度となり、ある程度の撥水性を発揮するこ
とができるとともに、SiO2-x (x=0.6〜0.
7)の構造により耐摩耗性でもある程度満足できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シリコーン系
耐摩耗熱重合硬化組成物のみによる皮膜では、撥水性が
未だ不十分である。特に、これでは、使用中の紫外線暴
露等により界面活性剤やレベリング剤等が劣化し、充分
な撥水性が確実に得られない。このため、例えば皮膜が
車両のウインドウに用いられるのであれば、雨天時等の
視界向上、水垢の付着防止等の点で満足し得ない。
【0004】また、シリコーン系耐摩耗熱重合硬化組成
物のみによる皮膜では、例えば流動パラフィンの接触角
が40°程度しかなく、撥油性の点でも充分でない。こ
のため、例えば皮膜が車両のウインドウに用いられるの
であれば、油滴の付着による油膜の形成を充分に防止で
きず、やはり雨天時等の視界向上等の点で満足し得な
い。
【0005】このため、発明者らは、特願平6−285
616号において提案した皮膜の形成方法について検討
をした。しかしながら、この形成方法の一部工程とし
て、シリコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物にフッ素結合
基又はアルキル基を有するシランカップリング剤を直接
添加してハードコート液を調製すると、両者の溶解性が
悪いことから、適量では溶解するものの、添加量が増加
するに従って、時間の経過により、得られたハードコー
ト液内においてシランカップリング剤が凝集し、シリコ
ーン系耐摩耗熱重合硬化組成物から分離する現象を生じ
てしまうことが明らかとなった。特に、フッ素結合基を
有するシランカップリング剤を用いた場合にその傾向が
著しかった。また、こうして得られたハードコート液で
は、成膜の際、シランカップリング剤が表面側に凝集し
た状態で皮膜を形成することとなるため、長期間の使用
により皮膜の表面が摩耗された場合に皮膜表面のフッ素
結合基又はアルキル基が減少し、撥水性及び撥油性が低
下してしまう。
【0006】また、この形成方法の他の一部工程とし
て、シランカップリング剤を予め自己縮合し、これとシ
リコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物とによりハードコー
ト液を調製した場合、両者の溶解性は向上するものの、
両者の表面張力等の液特性値がそのまま発揮されてしま
う。このため、こうして得られたハードコート液では、
成膜時にはじきを生じやすく、外観上皮膜が不均一にな
ってしまう。
【0007】本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされ
たものであって、長期間の使用により表面が摩耗された
場合にも高い撥水性及び撥油性を発揮することが可能で
あり、かつ外観上均一な皮膜を形成できるようにするこ
とを解決課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1)請求項1の高撥水・撥油性ハードコート液は、シ
リコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物と、フッ素結合基又
はアルキル基を有するシランカップリング剤とを部分的
に縮合してなることを特徴とする。 (2)請求項2の高撥水・撥油性ハードコート液の製造
方法は、シリコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物と、フッ
素結合基又はアルキル基を有するシランカップリング剤
とを部分的に縮合することを特徴とする。
【0009】(3)請求項3の高撥水・撥油性ハードコ
ート液の製造方法は、請求項2記載の高撥水・撥油性ハ
ードコート液の製造方法において、フッ素結合基又はア
ルキル基を有するシランカップリング剤はアルコキシ基
を有し、縮合を加水分解により行なうことを特徴とす
る。 (4)請求項4の高撥水・撥油性ハードコート液の製造
方法は、請求項3記載の高撥水・撥油性ハードコート液
の製造方法において、縮合を加水分解促進剤の存在下で
行なうことを特徴とする。
【0010】請求項1の高撥水・撥油性ハードコート液
は請求項2の製造方法により製造される。ここで、請求
項2の製造方法のように、シリコーン系耐摩耗熱重合硬
化組成物とフッ素結合基又はアルキル基を有するシラン
カップリング剤とを部分的に縮合すれば、シリコーン系
耐摩耗熱重合硬化組成物の加水分解物中のシラノール
(Si−OH)基と、フッ素結合基又はアルキル基を有
するシランカップリング剤中の−OCH3 基等のアルコ
キシ基又は−Cl基とが反応するため、シリコーン系耐
摩耗熱重合硬化組成物とシランカップリング剤との間に
Si−O−Siのシロキサン結合を生じる。このため、
成膜した時にフッ素結合基又はアルキル基が皮膜内部に
分散されやすいと考えられる。縮合の程度は、ハードコ
ート液の安定性と、ハードコート液の形成工程とに応じ
て決定することができる。
【0011】また、かかる縮合時、脱アルコール反応又
は水の存在により脱水反応を生じると考えられる。この
ため、シランカップリング剤が−Cl基を有するもので
あれば、空気中の水分によっても加水分解反応又は脱水
反応を生じると考えられ、空気中の水分の調製は困難で
あるため、縮合を制御しにくい。また、HClを生じる
ため、pHが下がり、液のポットライフが低下する。こ
れに対し、請求項3の製造方法のように、シランカップ
リング剤がアルコキシ基を有するものであれば、Cl基
と比較して加水分解が遅いため、縮合を加水分解により
行なうことにより、その縮合を制御しやすくなる。ま
た、請求項4の製造方法のように、縮合を加水分解促進
剤の存在下で行なえば、その縮合をより制御しやすくな
る。
【0012】このハードコート液は基板上に塗布され、
未硬化層となる。基板が樹脂基板であれば、プライマー
層を介して未硬化層を形成することが好ましい。また、
まず有機系耐摩耗ラジカル重合硬化組成物と、シラノー
ル基を有するポリシロキサン組成物とを含有する下地層
とし、この下地層上に未硬化層を形成することもでき
る。そして、未硬化層を加熱処理により重合させれば皮
膜が得られる。加熱処理温度は120℃以下であること
が好ましい。加熱処理温度が120℃を超えれば、樹脂
基板が熱変形を起こしたり、得られた皮膜にクラックが
発生したりする。なお、皮膜を形成するための重合時に
も、シリコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物と下地層中の
シランカップリング剤との間にSi−O−Siのシロキ
サン結合を生じるため、上層と下地層との密着性は向上
する。
【0013】こうして得られる皮膜は、内部のほとんど
がシリコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物が硬化したもの
であり、優れた耐摩耗性を発揮する。また、この皮膜
は、シロキサン結合により結合されたシランカップリン
グ剤のフッ素結合基又はアルキル基が内部に分散して存
在するため、全体として自由エネルギーの低い状態とな
り、長期間の使用により表面が摩耗された場合にも高い
撥水性及び撥油性を発揮する。
【0014】また、ハードコート液は、シリコーン系耐
摩耗熱重合硬化組成物とフッ素結合基又はアルキル基を
有するシランカップリング剤とを部分的に縮合してなる
ものであるため、表面張力等の液特性値が変化して成膜
時にはじきを生じにくくなる。このため、得られた皮膜
の外観も均一なものとなる。したがって、このハードコ
ート液によれば、長期間の使用により表面が摩耗された
場合にも高い撥水性及び撥油性を発揮することが可能で
あり、かつ外観上均一な皮膜を形成できる。よって、こ
のハードコート液による皮膜が例えば車両のウインドウ
に用いられるとしても、様々な使用環境の下で満足が得
られる。
【0015】シリコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物とし
ては、シリコーン系熱重合硬化塗料(例えば、トリメト
キシシラン(関東化学:化学式はCH3 Si(OC
3 3)、日本ダクロシャムロック:ソルガードNP
−730、東芝シリコーン:トスガード510、信越化
学工業:KP−64)等を採用することができる。かか
るシリコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物の主成分は、
R、R’をメチル基、エチル基等の有機基、Xを0及び
自然数とすれば、RX Si(OR’)4-X で表される。
フッ素を有するシランカップリング剤としては、アル
コキシ基を有するパーフルオロアルキルシラン(FAS
(例えば、信越化学工業:KBM−7803(化学式は
CF3 (CF2 7 CH2 CH2 Si(OC
3 3 )))、塩素基を有するパーフルオロアルキル
シラン(FCS(例えば、東芝シリコーン:TSL82
32(化学式はCF3 (CF2 7 CH2 CH2 SiC
3 )))等を採用することができる。
【0016】アルキル基を結合したシランカップリング
剤としては、例えば、日本ユニカー:A−137、A−
187等を採用することができる。アルキル基は8以上
の炭素数で結合される程度に長い方が好ましい。加水分
解促進剤としては、酢酸等の有機酸を採用することがで
きる。また、ハードコート液には、他に表面調整剤(フ
ッ素系表面調整剤、シリコン系表面調製剤等)、縮合硬
化反応触媒(有機酸の金属塩等)、有機溶剤、顔料等を
含有させることができる。この場合、請求項3又は4の
製造方法では、水、水と加水分解促進剤との混合液又は
水と加水分解促進剤と有機溶剤との混合液の存在下にお
いて、シリコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物とフッ素結
合基又はアルキル基を有するシランカップリング剤とを
部分的に縮合せしめ、その後に残りの成分を加えること
でハードコート液が得られる。この間、安定したハード
コート液を得るために以下の点に留意する。加水分解
促進剤を用いるのであれば、水と加水分解促進剤とを充
分に攪拌する。また、シリコーン系耐摩耗熱重合硬化
組成物とフッ素結合基又はアルキル基を有するシランカ
ップリング剤との添加を迅速に行い、同時に充分に攪拌
する。液温度管理に留意する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、各請求項を具体化した実施
形態1、2を比較形態とともに説明する。 (実施形態1)実施形態1では請求項1〜4を具体化し
ている。まず、合成容器に水20重量部と酢酸2重量部
とを入れ、液温度を0〜10℃に保ちつつ充分に攪拌す
る。この中にトリメトキシシラン(関東化学:化学式は
CH3 Si(OCH3 3 )50重量部とフッ素結合基
及びメトキシ基含有FAS(信越化学工業:KBM−7
803)0.5重量部とを迅速に添加し、液温度を10
℃に保ちつつ16時間攪拌する。このとき、図1に示す
ように、トリメトキシシラン加水分解物中のシラノール
(Si−OH)基と、FAS中の−OCH 3 基とが脱メ
タノール反応又は脱水反応してこれらの間にSi−O−
Siのシロキサン結合を生じ、これらが強固に結合す
る。このため、成膜した時、フッ素結合基が皮膜内部に
分散されやすいと考えられる。
【0018】その後、液温度を20℃とし、シリコーン
系表面調整剤(ビックケミージャパン:BYK−300
(有機変性ポリシロキサン))を0.1重量部と、酢酸
ナトリウム0.05重量部と、n−プロパノール15重
量部とを含有させる。こうして、実施形態1のハードコ
ート液を得る。 (実施形態2)実施形態2では請求項1〜3を具体化し
ている。
【0019】まず、合成容器に水20重量部を入れ、液
温度を0〜10℃に保つ。この中に上記トリメトキシシ
ラン50重量部とフッ素及び塩素基含有FCS(東芝シ
リコーン:TSL8232)0.5重量部とを迅速に添
加し、液温度を10℃に保ちつつ8時間攪拌する。この
とき、図2に示すように、トリメトキシシラン加水分解
物中のシラノール(Si−OH)基と、FCS中の−C
l基とが脱塩酸反応してこれらの間にSi−O−Siの
シロキサン結合を生じ、これらが強固に結合する。この
ため、成膜した時、フッ素結合基が皮膜内部に分散され
やすいと考えられる。
【0020】その後、液温度を20℃とし、上記シリコ
ーン系表面調整剤を0.1重量部と、酢酸ナトリウム
0.05重量部と、n−プロパノール15重量部とを含
有させる。こうして、実施形態2のハードコート液を得
る。 (比較形態)まず、合成容器に水20重量部と酢酸2重
量部とを入れ、液温度を0〜10℃に保ちつつ充分に攪
拌する。この中にトリメトキシシラン50重量部を添加
し、液温度を10℃に保ちつつ、16時間攪拌する。
【0021】その後、液温度を20℃とし、フッ素結合
基及びメトキシ基含有FAS0.5重量部と、上記シリ
コーン素系表面調整剤を0.1重量部と、酢酸ナトリウ
ム0.05重量部と、n−プロパノール15重量部とを
含有させる。こうして、比較形態のハードコート液を得
る。ここにおいて、トリメトキシシラン加水分解物中の
シラノール基とFAS中の−OCH3 基とは、反応が行
われないか、反応が進みにくい。
【0022】(皮膜の形成)図3及び図4に示すよう
に、ポリカーボネート製の樹脂基板1に熱硬化型アクリ
ル樹脂製の図示しないプライマー層を介して下地層2を
形成する。ここで、下地層2は、アクリル系紫外線重合
硬化塗料(大日精化:セイカビームDP−10)と、マ
クロモレキュラーカップリング剤(日本ユニカー:MM
CA)とからなるものである。
【0023】次に、上記実施形態1、2及び比較形態の
ハードコート液中に下地層2をもつ樹脂基板1を30秒
間浸漬し、7.2〜28m/秒で引き上げる。この後、
60〜80℃×3〜5分間IR(赤外線)乾燥し、不要
な溶剤を除去する。こうして、下地層2上にシラノール
基を介して未硬化上層3を形成する。このとき、実施形
態1、2のハードコート液は、トリメトキシシランとF
ASとを部分的に縮合してなるものであるため、表面張
力等の液特性値が変化して成膜時にはじきを生じにくか
った。これに対し、比較形態のハードコート液は成膜時
にはじきを生じやすかった。
【0024】そして、下地層2及び未硬化上層3をもつ
樹脂基板1に100〜120℃×60〜90分間の加熱
処理を行う。これにより、未硬化上層3はほとんど重合
し、ほぼ完全に硬化して上層3となる。このとき、上層
3において、トリメトキシシランとFASとの間にシロ
キサン結合を生じる。また、図中に↑で示すように、上
層3と下地層2との界面において、脱メタノール反応し
たマクロモレキュラーカップリング剤中のシラノール基
と、トリメトキシシラン中の−OCH3 基、−OH基と
が反応するため、これらの間にもシロキサン結合を生
じ、下地層2と上層3とが強固に結合する。
【0025】こうして、実施形態1、2のハードコート
液によれば、成膜時にはじきを生じにくかったため、外
観が均一な皮膜を形成することができた。これに対し、
比較形態のハードコート液によれば、成膜時にはじきを
生じやすかったため、外観が不均一な皮膜を形成してし
まった。 (試験1)実施形態1及び比較形態と同様のハードコー
トにより形成した直後の皮膜について、水の接触角を測
定した。FASの添加量(重量部)と接触角(°)との
関係を図5に示す。
【0026】図5より、実施形態1及び比較形態と同様
のハードコート液では、FASの添加量の増加に伴って
接触角が増加し、12重量部以上添加すれば、テフロン
並みの105°の接触角が得られることがわかる。 (試験2)実施形態1及び比較形態と同様のハードコー
トにより形成した直後の皮膜について、流動パラフィン
の接触角を測定した。FASの添加量(重量部)と接触
角(°)との関係を図6に示す。
【0027】図6より、実施形態1及び比較形態と同様
のハードコート液では、FASの添加量の増加に伴って
接触角が増加し、12重量部以上添加すれば、テフロン
並みの80°の接触角が得られることがわかる。 (試験3)実施形態1及び比較形態と同様のハードコー
トにより形成した直後の皮膜について、耐摩耗性を調べ
るため、ASTMD1044の方法により500回転の
テーバー摩耗試験を行い、FASの添加量(重量部)と
ヘイズ値の変化量(ΔH(%))との関係を評価した。
結果を図7に示す。また、FASを12重量部添加した
実施形態1及び比較形態のハードコート液による皮膜に
ついて、摩耗試験後の水及び流動パラフィンの接触角を
比較した。
【0028】図7より、FASを添加した実施形態1及
び比較形態と同様のハードコート液では、FASを添加
しないハードコート液に比し、皮膜の耐摩耗性が若干低
下するものの、未だ優れた耐摩耗性を発揮できることが
わかる。しかし、摩耗試験後の水の接触角については、
実施形態1のハードコート液による皮膜では、105°
から102°に低下したものの、未だ優れた撥水性を発
揮していた。摩耗試験後の流動パラフィンの接触角も、
実施形態1のハードコート液による皮膜では、80°か
ら75°に低下したものの、未だ優れた撥油性を発揮し
ていた。
【0029】これに対し、比較形態のハードコート液に
よる皮膜では、105°から80°に低下し、撥水性が
損なわれることが明らかとなった。摩耗試験後の流動パ
ラフィンの接触角も、比較形態のハードコート液による
皮膜では、80°から40°に低下し、撥油性も損なわ
れることが明らかとなった。なお、実施形態2のハード
コート液についても実施形態1と同様の効果が得られ
た。
【0030】したがって、実施形態1、2のハードコー
ト液により得られる皮膜は、図3に示すように、シロキ
サン結合により結合されたFASのフッ素結合基が上層
3の内部に分散して存在し、全体として自由エネルギー
の低い状態となり、長期間の使用により表面が摩耗され
た場合にも高い撥水性及び撥油性を発揮することがわか
る。
【0031】これに対し、比較形態のハードコート液に
より得られる皮膜は、図4に示すように、シロキサン結
合により結合されたFASが上層3の表面にのみ存在し
やすく、表面のみ自由エネルギーの低い状態となり、長
期間の使用により表面が摩耗された場合には撥水性及び
撥油性が損なわれてしまうことがわかる。したがって、
実施形態1、2のハードコート液によれば、長期間の使
用により表面が摩耗された場合にも高い撥水性及び撥油
性を発揮可能であり、かつ外観上均一な皮膜を形成でき
ることがわかる。よって、実施形態1、2のハードコー
ト液による皮膜は、車両のウインドウに用いられた場合
に、様々な使用環境の下で満足が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1に係り、トリメトキシシランとFA
Sとの反応を示す図である。
【図2】実施形態2に係り、トリメトキシシランとFC
Sとの反応を示す図である。
【図3】実施形態1のハードコート液により得られた皮
膜等の模式断面図である。
【図4】比較形態のハードコート液により得られた皮膜
等の模式断面図である。
【図5】試験1に係り、FASの添加量と水の接触角と
の関係を示すグラフである。
【図6】試験2に係り、FASの添加量と流動パラフィ
ンの接触角との関係を示すグラフである。
【図7】試験3に係り、FASの添加量とヘイズ値の増
加量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…樹脂基板 2…下地層 3…未硬化上層(上層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 祥文 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 福田 勇三 神奈川県横浜市戸塚区下倉田町296番地 株式会社日本ダクロシャムロック内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物と、
    フッ素結合基又はアルキル基を有するシランカップリン
    グ剤とを部分的に縮合してなることを特徴とする高撥水
    ・撥油性ハードコート液。
  2. 【請求項2】シリコーン系耐摩耗熱重合硬化組成物と、
    フッ素結合基又はアルキル基を有するシランカップリン
    グ剤とを部分的に縮合することを特徴とする高撥水・撥
    油性ハードコート液の製造方法。
  3. 【請求項3】フッ素結合基又はアルキル基を有するシラ
    ンカップリング剤はアルコキシ基を有し、縮合を加水分
    解により行なうことを特徴とする請求項2記載の高撥水
    ・撥油性ハードコート液の製造方法。
  4. 【請求項4】縮合を加水分解促進剤の存在下で行なうこ
    とを特徴とする請求項3記載の高撥水・撥油性ハードコ
    ート液の製造方法。
JP26076196A 1996-04-03 1996-10-01 高撥水・撥油性ハードコート液及びその製造方法 Pending JPH09324139A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP26076196A JPH09324139A (ja) 1996-04-03 1996-10-01 高撥水・撥油性ハードコート液及びその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8156396 1996-04-03
JP8-81563 1996-04-03
JP26076196A JPH09324139A (ja) 1996-04-03 1996-10-01 高撥水・撥油性ハードコート液及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09324139A true JPH09324139A (ja) 1997-12-16

Family

ID=26422580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP26076196A Pending JPH09324139A (ja) 1996-04-03 1996-10-01 高撥水・撥油性ハードコート液及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09324139A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003062921A (ja) * 2001-06-11 2003-03-05 Bridgestone Corp 透明複合フィルム
WO2003020798A1 (fr) * 2001-08-30 2003-03-13 Mitsubishi Chemical Corporation Polysiloxane contenant du perfluoroalkyle, compositions contenant ce compose, compositions contenant des composants de silicium et des composants de fluor, et elements de degivrage et de deblaiement de neige
JP2003105263A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Matex Kk 乗り物用コーティング組成物及び乗り物用コーティング組成物の塗布方法、並びに乗り物用コーティング組成物による硬化皮膜を備えた乗り物
JP2009194385A (ja) * 2008-02-14 2009-08-27 Asml Netherlands Bv コーティング
WO2013094577A1 (ja) * 2011-12-22 2013-06-27 コニカミノルタ株式会社 フィルムミラー、フィルムミラーの製造方法及び太陽熱発電用反射装置
JP2019085598A (ja) * 2017-11-02 2019-06-06 学校法人 芝浦工業大学 マグネシウム合金基材に対して高耐食性を簡単に実現できる表面被覆マグネシウム合金基材の製造方法、その製造方法で得られた表面被覆マグネシウム合金基材、その補修方法、およびその使用方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003062921A (ja) * 2001-06-11 2003-03-05 Bridgestone Corp 透明複合フィルム
WO2003020798A1 (fr) * 2001-08-30 2003-03-13 Mitsubishi Chemical Corporation Polysiloxane contenant du perfluoroalkyle, compositions contenant ce compose, compositions contenant des composants de silicium et des composants de fluor, et elements de degivrage et de deblaiement de neige
JP2003105263A (ja) * 2001-09-28 2003-04-09 Matex Kk 乗り物用コーティング組成物及び乗り物用コーティング組成物の塗布方法、並びに乗り物用コーティング組成物による硬化皮膜を備えた乗り物
JP2009194385A (ja) * 2008-02-14 2009-08-27 Asml Netherlands Bv コーティング
JP2012094913A (ja) * 2008-02-14 2012-05-17 Asml Netherlands Bv コーティング
US8889042B2 (en) 2008-02-14 2014-11-18 Asml Netherlands B.V. Coatings
US9323164B2 (en) 2008-02-14 2016-04-26 Asml Netherlands B.V. Coatings
WO2013094577A1 (ja) * 2011-12-22 2013-06-27 コニカミノルタ株式会社 フィルムミラー、フィルムミラーの製造方法及び太陽熱発電用反射装置
JP2019085598A (ja) * 2017-11-02 2019-06-06 学校法人 芝浦工業大学 マグネシウム合金基材に対して高耐食性を簡単に実現できる表面被覆マグネシウム合金基材の製造方法、その製造方法で得られた表面被覆マグネシウム合金基材、その補修方法、およびその使用方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3735136B2 (ja) 非湿潤性コーティング用組成物
US7344783B2 (en) Durable hydrophobic surface coatings using silicone resins
KR100394559B1 (ko) 피복물,피복조성물및피복물을제조하는방법
US6008285A (en) Process for the production of compounds based on silanes containing epoxy groups
EP0452723B1 (en) Chemically treated glass surface
JP2500149B2 (ja) 撥水撥油性被膜及びその製造方法
US6641654B2 (en) Water-repellent glass pane and method for producing same
KR100802519B1 (ko) 물품의 표면에서 물방울을 슬립다운시키는데 우수한 물품 및 그 물품을 제조하기 위한 방법
JP3232004B2 (ja) コーティング材組成物
EP0745567B1 (en) Water repellent surface treatment with integrated primer
JP3384340B2 (ja) 撥水性を有するハ−ドコ−ト組成物およびこれを用いた樹脂製品
JPH10194784A (ja) 撥水性ガラス
JPH09324139A (ja) 高撥水・撥油性ハードコート液及びその製造方法
KR20030043535A (ko) 다기능성 실리콘 폴리머 코팅제 조성물
JP4826226B2 (ja) 滑水性被膜を得るための処理剤及び滑水性被膜の作製法
JPH11228942A (ja) 撥水液および撥水性被膜の製造方法
JP4876424B2 (ja) 滑水性物品の製法
JPH11322368A (ja) 撥水性被膜形成用溶液
JPH0959605A (ja) 撥水処理剤
CN1083859C (zh) 在弹性基底上形成具有降低摩擦的涂层的方法
EP0891953A1 (en) Glass plate with water-repellent film and method for producing same
JP3284946B2 (ja) 表面処理剤
JPH05171111A (ja) 高耐久撥水皮膜の形成溶液
JPH0940910A (ja) 撥水処理剤
CN1337316A (zh) 加热头、其表面处理方法和表面处理剂

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Effective date: 20050204

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050222

A521 Written amendment

Effective date: 20050425

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20061208

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070406

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02