JPH09324047A - 強化ポリアミド樹脂組成物の製造法 - Google Patents

強化ポリアミド樹脂組成物の製造法

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JPH09324047A
JPH09324047A JP14257096A JP14257096A JPH09324047A JP H09324047 A JPH09324047 A JP H09324047A JP 14257096 A JP14257096 A JP 14257096A JP 14257096 A JP14257096 A JP 14257096A JP H09324047 A JPH09324047 A JP H09324047A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラクタム、アミノカルボン酸、ナイロン塩等
のいずれのポリアミドモノマーを出発原料としても、層
状珪酸塩をポリアミド中に均一に分散させることがで
き、かつ、機械的強度、靭性、耐熱性及び寸法安定性に
優れた強化ポリアミド樹脂組成物を製造する方法を提供
する。 【解決手段】 ポリアミドを形成するモノマー量に対し
て、ジアミン(又はジカルボン酸)を0.01〜 100モル%
過剰に存在させた状態でモノマーを反応させて得られた
ポリアミドプレカーサーに、層状珪酸塩及び前記ジアミ
ン(又はジカルボン酸)に対して 0.9〜 1.1モル倍量の
ジカルボン酸(又はジアミン)を添加して重縮合を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、層状珪酸塩がポリ
アミド中に均一に分散され、機械的強度、靭性、耐熱性
及び寸法安定性に優れた強化ポリアミド樹脂組成物の製
造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド樹脂は、機械的強度、耐熱
性、耐薬品性等に優れたエンジニアリングプラスチック
であり、自動車、家電製品、事務機器、コネクター等の
部品として幅広く利用されている。
【0003】従来、ポリアミドをガラス繊維や炭素繊維
等の繊維質や炭酸カルシウム等の無機充填材で強化した
樹脂組成物は広く知られている。しかし、これらの強化
材はポリアミドとの親和性に乏しく、強化ポリアミド樹
脂の機械的強度や耐熱性は改良されるものの、靭性が低
下し、また繊維質で強化した樹脂組成物では成形品のそ
りが大きくなるという問題があった。しかも、これら無
機充填材で強化した樹脂組成物では、充填材を多量に配
合しないと機械的強度や耐熱性が向上しないという問題
もあった。
【0004】このような強化ポリアミド樹脂の欠点を改
良する試みとして、ポリアミドとモンモリロナイトに代
表される粘土鉱物からなる樹脂組成物が提案されている
(特開昭62− 74957号公報、特開昭63−230766号公報、
特開平2−102261号公報、同3−7729号公報)。
【0005】これらの樹脂組成物は、ポリアミド鎖を粘
土鉱物の層間に侵入させることによって、粘土鉱物が微
細に均一に分散された複合体としようするものであり、
このような目的でモンモリロナイトを用いる場合、上記
の各公報に記載されているように、ポリアミドあるいは
ポリアミドを形成するモノマーにモンモリロナイトを配
合する前に、これをアミノカルボン酸等の膨潤化剤と接
触させることによって、モンモリロナイトの層間距離を
拡げるための処理が不可欠であった。したがって、当業
界においては、このような処理が不要で、従来の強化ポ
リアミド樹脂の欠点を解消することのできる無機充填材
が強く求められていた。
【0006】このような問題点を解決する試みとして、
本発明者らは、先にポリアミドを形成するモノマーに特
定の膨潤性フッ素雲母系鉱物を添加して重合して強化ポ
リアミド樹脂組成物を製造する方法を提案した(特開平
6−248176号公報)。この方法によれば、モンモリロナ
イトに代表される従来の粘土鉱物を用いた場合と異な
り、あらかじめ膨潤化処理を行うことなく、機械的強
度、耐熱性及び寸法安定性に優れた樹脂組成物を得るこ
とができた。
【0007】また、本発明者らは、pKaが0〜6又は負
(25℃の水中での値)の酸を存在させた状態で、膨潤性
フッ素雲母系鉱物を添加して、ポリアミド(ナイロン6
又はその共重合体)を形成するモノマーを重合する方法
を提案した(特開平8−3310号公報、特願平6−280363
号) 。この方法では、5kg/cm2程度の圧力を制圧時に用
いるだけで、機械的強度、靭性、耐熱性及び寸法安定性
に優れた樹脂組成物を得ることができた。しかし、この
方法はナイロン6又はその共重合体については有効であ
ったが、ジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩
モノマーを出発原料とした場合には、十分な機械的強度
や耐熱性を有する強化ポリアミド樹脂組成物を得ること
が難しかった。
【0008】さらに、本発明者らは、分子量調節剤とし
てカルボキシル基又は/及びアミノ基と反応できる化合
物を存在させた状態で、膨潤性フッ素雲母系鉱物と少量
の水とを添加して、ポリアミドを形成するモノマーを重
合する方法を提案した(特願平7−266732号)。しか
し、この方法では、膨潤性フッ素雲母系鉱物をポリアミ
ド中に均一に分散させる点で十分とはいえなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリアミド
と層状珪酸塩とからなる強化ポリアミド樹脂組成物を製
造する方法において、ラクタム、アミノカルボン酸、ナ
イロン塩等のいずれのモノマーを出発原料としても、層
状珪酸塩をポリアミド中に均一に分散させることがで
き、かつ、機械的強度、靭性、耐熱性及び寸法安定性に
優れた強化ポリアミド樹脂組成物とすることのできる方
法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するもので、その要旨は次の通りである。ポリアミ
ドを形成するモノマー量に対して、ジアミン(又はジカ
ルボン酸)を0.01〜 100モル%過剰に存在させた状態で
モノマーを反応させて得られたポリアミドプレカーサー
に、層状珪酸塩及び前記ジアミン(又はジカルボン酸)
に対して 0.9〜 1.1モル倍量のジカルボン酸(又はジア
ミン)を添加して重縮合を行うことを特徴とする強化ポ
リアミド樹脂組成物の製造法。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0012】本発明におけるポリアミドプレカーサーと
は、アミノカルボン酸、ラクタムあるいはジアミンとジ
カルボン酸及び/又はそれらのナイロン塩をモノマー原
料とし、過剰のジアミン(又はジカルボン酸)の存在下
に、通常公知の溶融重合法もしくは溶融重縮合法により
製造されるアミド結合を有する低分子量ポリマーを意味
する。
【0013】このようなポリアミドプレカーサーを形成
するモノマーの例を挙げると、次のようなものがある。
【0014】アミノカルボン酸としては、例えば6−ア
ミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノ
ドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸等がある。
【0015】ラクタムとしては、例えばε−カプロラク
タム、ω−ウンデカノラクタム、ω−ラウロラクタム等
がある。
【0016】ジアミンとしては、例えばテトラメチレン
ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレン
ジアミン、ドデカメチレンジアミン、 2,2,4−/ 2,4,4
−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−メチルノナ
メチレンジアミン、 2,4−ジメチルオクタメチレンジア
ミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミ
ン、1,3 −ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1−
アミノ−3−アミノメチル− 3,5,5−トリメチルシクロ
ヘキサン、 3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカ
ン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス
(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、
2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビ
ス(3−アミノプロピル)ピペラジン、ビス(2−アミ
ノエチル)ピペラジン等がある。
【0017】ジカルボン酸としては、例えばアジピン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デ
カンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフ
タレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メ
チルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナト
リウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル
酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ジグリコール酸等があ
る。
【0018】さらに、ナイロン塩としては、上記ジアミ
ンと上記ジカルボン酸とを等モル量で混合して得られる
両者の1:1付加物があり、例えばナイロン66塩、ナイ
ロン46塩、ナイロン 610塩、ナイロン 612塩等がある。
【0019】本発明におけるポリアミドプレカーサーの
好ましい例としては、ポリカプロアミド(ナイロン
6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、
ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘ
キサメチレンセバカミド(ナイロン 610)、ポリヘキサ
メチレンドデカミド(ナイロン 612)、ポリウンデカメ
チレンアジパミド(ナイロン 116)、ポリウンデカンア
ミド(ナイロン11)、ポリドデカンアミド(ナイロン1
2)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド
(ナイロンTMHT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミ
ド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミ
ド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イ
ソフタルアミド(ナイロン6T/6I)、ポリビス(4−ア
ミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM
12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシ
ル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポ
リメタキシリレンアジパミド(ナイロンMDX6)、ポリウ
ンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン 11T)、ポ
リウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナ
イロン11T(H))及びこれらの共重合ポリアミド、混合ポ
リアミド等からなるポリアミドプレカーサーがある。こ
れらの中で特に好ましいものは、ナイロン6、ナイロン
46、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12及びこれらの
共重合ポリアミド、混合ポリアミドからなるポリアミド
プレカーサーである。
【0020】また、ポリアミドプレカーサーを製造する
際に過剰に用いられるジアミン(又はジカルボン酸)と
しては、上記ジアミンもしくは上記ジカルボン酸が挙げ
られる。これらの中で、ジアミンとしてはテトラメチレ
ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレ
ンジアミン、ドデカメチレンジアミンが好ましく、ヘキ
サメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンが特に好
ましい。また、ジカルボン酸としてはアジピン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカ
ルボン酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸、1,10−
デカンジカルボン酸が特に好ましい。
【0021】この際、ジアミン(又はジカルボン酸)の
存在量は、ポリアミドを形成するモノマー量に対して、
0.01〜 100モル%過剰にする必要がある。この存在量が
0.01モル%未満では、ポリアミドプレカーサーの分子量
を低くすることが難しい。逆にこの存在量が 100モル%
を超えると、2〜3量体程度のポリアミドオリゴマーし
か得られないばかりか、ジアミン(又はジカルボン酸)
が残存するため、その後の重縮合を行うことによって、
層状珪酸塩が均一に分散された樹脂組成物とすることが
難しく、機械的強度や耐熱性に優れた樹脂組成物が得ら
れない。
【0022】さらに、ポリアミドプレカーサーの相対粘
度は、溶媒として96%濃硫酸中を用い、温度25℃、濃度
1g/dlの条件で求めた値で 2.0以下であることが好まし
く、1.5以下であることがより好ましい。この相対粘度
が 2.0を超えるものでは、その後の重縮合を行うことに
よって、層状珪酸塩が均一に分散された樹脂組成物とす
ることが難しいので好ましくない。
【0023】次に、本発明においては、上記のポリアミ
ドプレカーサーに、層状珪酸塩及び前記ジアミン(又は
ジカルボン酸)に対して 0.9〜 1.1モル倍量のジカルボ
ン酸(又はジアミン)添加して重縮合を行うことが必要
である。
【0024】本発明における層状珪酸塩は、珪酸塩を主
成分とする負に帯電した層とその層間に介在する陽電荷
(陽イオン)とからなる構造を有し、イオン交換能を有
するものである。
【0025】かかる層状珪酸塩の好ましい例としては、
スメクタイト族(例えば、モンモリロナイト、バイデラ
イト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト)、バ
ーミキュライト族(例えば、バーミキュライト)、雲母
族(例えば、フッ素雲母、白雲母、パラゴナイト金雲
母、黒雲母、レピドライト)、脆雲母族(例えば、マー
ガライト、クリントナイト、アナンダイト)、緑泥石族
(例えば、ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイ
ト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト)等があ
る。
【0026】これらの層状珪酸塩は、天然に産するもの
であっても人工的に合成あるいは変性されたものであっ
てもよく、またオニウム塩等の有機化合物で処理したも
のであってもよい。
【0027】オニウム塩としては、例えばアミン塩、ア
ンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。具体的
にはデシルアミン、ラウリルアミン、ドデシルアミン、
オクタデシルアミン、ジメチルドデシルアミン、ジメチ
ルオクタデシルアミン、アニリン、ベンジルアミン、p
−フェニレンジアミン、α−ナフチルアミン、p−アミ
ノジメチルアニリン、 2,7−ジアミノフルオレン、ベン
ジジン、ピリジン、ピペリジン、6−アミノカプロン
酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等
のアミン塩、テトラブチルアンモニウム、ジメチルオク
タデシルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ジ
メチルジオクタデシルアンモニウム、トリメチルドデシ
ルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム
等のアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウム、トリ
ブチルオクタデシルホスホニウム等のホスホニウム塩の
一種又は二種以上の混合物が用いられる。これらの中
で、特に好ましいのは6−アミノカプロン酸、11−アミ
ノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸の塩酸塩であ
る。
【0028】上記の層状珪酸塩の中で、膨潤性フッ素雲
母系鉱物はポリアミド中における分散性が最も良好であ
り、本発明に用いられる層状珪酸塩としては最適のもの
である。
【0029】そして、特に好ましく用いられる膨潤性フ
ッ素雲母系鉱物は次式で示されるものである。 α(MF)・β(aMgF2 ・bMgO)・γSiO2 (式中、Mはナトリウム又はリチウムを表し、α、β、
γ、a及びbは各々係数を表し、 0.1≦α≦2、2≦β
≦ 3.5、3≦γ≦4、0≦a≦1、0≦b≦1、a+b
=1である。)
【0030】このような膨潤性フッ素雲母系鉱物の製造
法としては、例えば酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化
アルミニウム等の酸化物と各種フッ化物とを混合し、そ
の混合物を電気炉あるいはガス炉中で1400〜1500℃の温
度範囲で完全に溶融し、その冷却過程で反応容器内にフ
ッ素雲母系鉱物を結晶成長させる、いわゆる溶融法があ
る。
【0031】また、タルクを出発物質として用い、これ
にアルカリ金属イオンをインターカレーションして膨潤
性フッ素雲母系鉱物を得る方法がある( 特開平2−1494
15号公報) 。この方法では、タルクに珪フッ化アルカリ
金属又はフッ化アルカリ金属を混合し、磁性ルツボ内で
約 700〜1200℃で短時間加熱処理することによって膨潤
性フッ素雲母系鉱物が得られる。本発明で用いられる膨
潤性フッ素雲母系鉱物は特にこの方法で製造されたもの
が好ましい。
【0032】タルクと混合する珪フッ化アルカリ金属又
はフッ化アルカリ金属の量は、混合物全体の10〜35重量
%の範囲とすることが好ましく、この範囲を外れる場合
には膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成率が低下するので好
ましくない。
【0033】上記の膨潤性フッ素雲母系鉱物を得るため
には、珪フッ化アルカリ又はフッ化アルカリのアルカリ
金属は、ナトリウムあるいはリチウムとすることが必要
である。これらのアルカリ金属は単独で用いてもよいし
併用してもよい。また、アルカリ金属のうち、カリウム
の場合には膨潤性フッ素雲母が得られないが、ナトリウ
ムあるいはリチウムと併用し、かつ限定された量であれ
ば膨潤性を調節する目的で用いることも可能である。
【0034】さらに、膨潤性フッ素雲母系鉱物を製造す
る工程において、アルミナを少量配合し、生成する膨潤
性フッ素雲母系鉱物の膨潤性を調整することも可能であ
る。
【0035】層状珪酸塩の配合量は、得られるポリアミ
ド 100重量部に対して0.01〜 100重量部の範囲とするこ
とが好ましく、 0.1〜20重量部の範囲とすることがより
好ましい。この配合量が0.01重量部未満では、機械的強
度、耐熱性、寸法安定性に優れた樹脂組成物が得られ
ず、逆に 100重量部を超えると、靭性の低下が大きくな
るので好ましくない。
【0036】本発明において、重縮合を行うに先立って
添加するジカルボン酸(又はジアミン)としては、上記
ジカルボン酸もしくは上記ジアミンが挙げられる。これ
らの中で、ジカルボン酸としてはアジピン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボ
ン酸が好ましく、アジピン酸、セバシン酸、1,10−デカ
ンジカルボン酸が特に好ましい。また、ジアミンとして
はテトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、
ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンが
好ましく、ヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジ
アミンが特に好ましい。
【0037】この際、ジカルボン酸(又はジアミン)の
添加量は、ポリアミドプレカーサーを製造する際に過剰
に用いたジアミン(又はジカルボン酸)に対して 0.9〜
1.1モル倍量であることが必要であり、等モル量である
ことが特に好ましい。この添加量が 0.9モル倍量未満で
あっても、 1.1モル倍量を超えても、重縮合により高重
合度のポリマーとすることが難しく、機械的強度、弾性
率、耐熱性、靭性等に優れた強化ポリアミド樹脂組成物
が得られないので好ましくない。
【0038】本発明の方法は、ポリアミドプレカーサー
を得る工程と、層状珪酸塩及びジカルボン酸(又はジア
ミン)を添加して重縮合を行う工程とからなっている
が、一般的には、ポリアミドプレカーサー製造した後、
それを反応器から取り出すことなく、層状珪酸塩及びジ
カルボン酸(又はジアミン)を添加して重縮合を行う1
ポット法を採用するとコスト的に有利である。
【0039】また、ポリアミドプレカーサーを得る工
程、あるいは重縮合を行う工程の際に、pKaが0〜6又
は負の酸(25℃の水中での値)を存在させると、ポリア
ミドマトリックスと層状珪酸塩との密着性が向上し、よ
り性能の優れた強化ポリアミド樹脂組成物を得ることが
できる。
【0040】このような酸としては、無機酸、有機酸の
いずれであってもよく、具体的には、リン酸、亜リン
酸、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、モノ
クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフル
オロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、p−トルエンスル
ホン酸、N−ホルミル−ε−アミノカプロン酸等の有機
酸が挙げられる。
【0041】これらの酸の添加量は、ポリアミドを形成
するモノマー量に対して、 0.001〜〜10.0モル%の範囲
とすることが好ましい。この添加量が 0.001モル%未満
では、ポリアミドマトリックスと層状珪酸塩との密着性
の向上効果が小さく、逆に10.0モル%を超えると、高重
合度のポリマーが得られにくい。
【0042】本発明の方法で得られる強化ポリアミド樹
脂組成物の相対粘度は、溶媒として96%濃硫酸を用い、
温度25℃、濃度1g/dlの条件で求めた値で 2.0〜 5.0の
範囲にあることが望ましい。この相対粘度が 2.0未満の
ものでは、成形体としたときの機械的特性が低下するの
で好ましくない。逆にこれが 5.0を超えるものでは、樹
脂組成物の成形性が急速に低下するので好ましくない。
【0043】本発明における強化ポリアミド樹脂組成物
には、その特性を大きく損なわない限り、顔料、熱安定
剤、酸化防止剤、耐候剤、難燃剤、可塑剤、離型剤、強
化剤等を添加することができる。
【0044】熱安定剤や酸化防止剤としては、例えばヒ
ンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン
類、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン
化物あるいはこれらの混合物を使用することができる。
これらの中で、銅化合物やアルカリ金属のハロゲン化物
が特に効果的である。
【0045】また、強化剤としては、例えばクレー、タ
ルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シ
リカ、アルミナ、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、
アルミン酸ナトリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸
マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸
化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタル
サイト、金属繊維、金属ウィスカー、セラミックウィス
カー、チタン酸カリウムウィスカー、窒化ホウ素、グラ
ファイト、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。
【0046】これらの添加剤は、重合時あるいは得られ
た樹脂組成物を溶融混練又は溶融成形する際に加えられ
る。
【0047】さらに、本発明の方法によって得られる強
化ポリアミド樹脂組成物は、他の熱可塑性樹脂と混合し
て用いてもよい。このような熱可塑性樹脂の具体例とし
ては、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合
体、アクリルゴム、エチレン/プロピレン共重合体、エ
チレン/プロピレン/ブタジエン共重合体、天然ゴム、
塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン等のエラストマ
ー及びこれらの無水マレイン酸等による酸変性物、スチ
レン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/フェニルマ
レイミド共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ブ
タジエン/アクリロニトリル共重合体、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテ
ルスルホン、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンエーテ
ル、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルケトン、
ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン等があ
る。
【0048】本発明の方法で得られる強化ポリアミド樹
脂組成物は、通常の成形加工方法で目的の成形体とする
ことができる。例えば射出成形、押出成形、吹き込み成
形、焼結成形等の熱溶融成形法や、有機溶媒溶液から流
延法により、成形体とする方法が採用できる。
【0049】本発明の方法で得られる強化ポリアミド樹
脂組成物は、機械的強度、耐熱性及び寸法安定性がポリ
アミド単独の場合に比べて顕著に改良され、また吸水に
よる機械的性質や寸法の変化が少ない。この樹脂組成物
は、その優れた性能により、電気・電子機器分野におけ
るスイッチやコネクター等の機構部品やハウジング類、
自動車分野におけるアンダーボンネット部品や外装部
品、外板部品あるいはリフレクター等の光学部品等、あ
るいは機械分野におけるギアやベアリングリテーナー等
として使用される。
【0050】
【実施例】次に、実施例より本発明をさらに具体的に説
明する。なお、実施例及び比較例で用いた原料および測
定法は次の通りである。 1.原料 (1) 膨潤性フッ素雲母系鉱物 〔M−1、M−2〕ボールミルにより平均粒径が 6.0μ
mとなるように粉砕したタルクに対し、平均粒径が同じ
く 6.0μmの表1に示す珪フッ化物を全量の15重量%と
なるように混合し、これを磁性ルツボに入れ、電気炉で
1時間 800℃に保持し、フッ素雲母系鉱物M−1もしく
はM−2を合成した。このM−1及びM−2の粉末につ
いて、広角X線回折測定を行った結果、いずれにおいて
も原料タルクのc軸方向の厚み 9.2Åに対するピークは
消失し、膨潤性フッ素雲母系鉱物の生成を示す12〜16Å
に対応するピークが認められた。
【0051】
【表1】
【0052】〔M−3〕M−1を12−アミノドデカン酸
の塩酸塩で処理し、M−1の層間のナトリウムイオン
を、プロトン化された12−アミノドデカン酸で置換し
た。このM−3の粉末について、広角X線回折測定を行
った結果、M−1のc軸方向の厚さ12〜16Åに対応する
ピークは消失し、かわりにプロトン化された12−アミノ
ドデカン酸が層間に挿入されたことを示す17Åに対応す
るピークが現れた。
【0053】(2) モンモリロナイト 〔M−4〕山形県産の天然モンモリロナイトに、水と水
ガラスを加えて十分に撹拌し、粗粒を除いたものを使用
した。 〔M−5〕M−4を12−アミノドデカン酸の塩酸塩で処
理し、M−4の層間のナトリウムイオンをプロトン化さ
れた12−アミノドデカン酸で置換したものを使用した。
【0054】2.測定法 (a) 引張り強度、引張り弾性率及び破断伸度 ASTM D638 に基づいて測定した。 (b) 曲げ強度及び曲げ弾性率 ASTM D790 に基づいて測定した。 (c) アイゾット衝撃強度 ASTM D256 に基づいて、厚み 3.2mmの試験片に所定の深
みのノッチをつけて測定した。 (d) 熱変形温度 ASTM D648 に基づいて、荷重18.6kg/cm2で測定した。 (e) 層状珪酸塩の分散性 樹脂組成物のペレットを用い、広角X線回折装置(リガ
ク社製、RAD −rB型)により測定した。
【0055】実施例1〜5 ナイロン66塩10kg( 76.3mol)、ヘキサメチレンジアミン
116g(1.0mol)及び水3.0kgを内容量30リットルの反応
缶に入れ、攪拌しながら 280℃に加熱し、18kg/cm2の圧
力まで昇圧した。その後、徐々に水蒸気を放出しながら
18kg/cm2の圧力に2時間保った後、1時間かけて常圧ま
で放圧することにより、ポリアミドプレカーサーを得
た。このポリアミドプレカーサーの相対粘度は 1.3であ
った。次いで、得られたポリアミドプレカーサーに、表
2に示した割合になるように層状珪酸塩M−1〜M−5
のいずれかと、アジピン酸 146g(1.0mol)とを配合し、
温度 280℃、常圧下で1時間重縮合を行った。重縮合の
終了した時点で、反応生成物をストランド状に払い出
し、冷却、固化後、切断して強化ナイロン66樹脂組成物
からなるペレットを得た。これらのペレットについて、
広角X線回折測定を行った結果、いずれにおいても層状
珪酸塩の厚み方向のピークは完全に消失しており、ナイ
ロン66マトリックス中に層状珪酸塩が均一に分散されて
いることがわかった。次に、これらのペレットを二軸押
出機(池貝鉄工社製、PCM-45型)を用いて、シリンダー
温度 290℃、金型温度70℃、射出時間6秒、冷却時間6
秒で射出成形を行い、厚み 3.2mmの試験片を作製し、物
性試験を行った。得られた結果を表2に示す。
【0056】
【表2】
【0057】実施例6〜10 ナイロン66塩10kg( 76.3mol)、アジピン酸 7.3g(0.05m
ol) 及び水 3.0kgを内容量30リットルの反応缶に入れ、
攪拌しながら 280℃に加熱し、18kg/cm2の圧力まで昇圧
した。その後、徐々に水蒸気を放出しながら18kg/cm2
圧力に2時間保った後、1時間かけて常圧まで放圧する
ことにより、ポリアミドプレカーサーを得た。このポリ
アミドプレカーサーの相対粘度は 1.5であった。次い
で、得られたポリアミドプレカーサーに、表3に示した
割合になるように層状珪酸塩M−1〜M−5のいずれか
と、ヘキサメチレンジアミン 6.3g(0.054mol)とを配合
し、温度 280℃、常圧下で1時間重縮合を行った。重縮
合の終了した時点で、反応生成物をストランド状に払い
出し、冷却、固化後、切断して強化ナイロン66樹脂組成
物からなるペレットを得た。これらのペレットについ
て、広角X線回折測定を行った結果、いずれにおいても
層状珪酸塩の厚み方向のピークは完全に消失しており、
ナイロン66マトリックス中に層状珪酸塩が均一に分散さ
れていることがわかった。次に、これらのペレットを用
い、実施例1〜5と同様して厚み 3.2mmの試験片を作製
し、物性試験を行った。得られた結果を表3に示す。
【0058】
【表3】
【0059】実施例11〜15 ナイロン66塩10kg( 76.3mol)、ヘキサメチレンジアミン
116g(1.0mol)、水 3.0kg及びリン酸(濃度85重量%)
20gを内容量30リットルの反応缶に入れ、それ以降は実
施例1〜5と同様にして、強化ナイロン66樹脂組成物か
らなるペレットを得た。なお、この時のポリアミドプレ
カーサーの相対粘度は 1.3であった。また、これらのペ
レットについて、広角X線回折測定を行った結果、いず
れにおいても層状珪酸塩の厚み方向のピークは完全に消
失しており、ナイロン66マトリックス中に層状珪酸塩が
均一に分散されていることがわかった。次に、これらの
ペレットを用い、実施例1〜5と同様して厚み 3.2mmの
試験片を作製し、物性試験を行った。得られた結果を表
4に示す。
【0060】
【表4】
【0061】比較例1〜5 相対粘度 2.8のナイロン66のペレット及び層状珪酸塩M
−1〜M−5のいずれかを表5に示した割合で配合し、
これらの配合物を前記した二軸押出機を用いて、 290℃
で押出してペレットを得た。これらのペレットについ
て、広角X線回折測定を行った結果、いずれにおいても
層状珪酸塩の厚み方向のピークが見られ、ナイロン66マ
トリックス中における層状珪酸塩の分散は十分ではなか
った。次に、これらのペレットを用い、実施例1〜5と
同様して厚み 3.2mmの試験片を作製し、物性試験を行っ
た。得られた結果を表5に示す。
【0062】
【表5】
【0063】比較例6〜10 ナイロン66塩10kg( 76.3mol)、水 3.0kg及び層状珪酸塩
M−1〜M−5のいずれかを表6に示した割合になるよ
うに、内容量30リットルの反応缶に入れ、攪拌しながら
280℃に加熱し、18kg/cm2の圧力まで昇圧した。その
後、徐々に水蒸気を放出しながら18kg/cm2の圧力に2時
間保った後、1時間かけて常圧まで放圧し、さらに、温
度 280℃、常圧下で1時間重縮合を行った。重縮合の終
了した時点で、反応生成物をストランド状に払い出し、
冷却、固化後、切断して強化ナイロン66樹脂組成物から
なるペレットとした。これらのペレットについて、X線
回折測定を行った結果、いずれにおいても層状珪酸塩の
厚み方向のピークが見られ、ナイロン66マトリックス中
における層状珪酸塩の分散は十分ではなかった。次に、
これらのペレットを用い、実施例1〜5と同様して厚み
3.2mmの試験片を作製し、物性試験を行った。得られた
結果を表6に示す。
【0064】
【表6】
【0065】実施例16〜20 ε−カプロラクタム10kg( 88.5mol)、ヘ
キサメチレンジアミン11.6g(0.10mol) 及び水 500gを
内容量30リットルの反応缶に入れ、攪拌しながら 250℃
に加熱し、15kg/cm2の圧力まで昇圧した。その後、徐々
に水蒸気を放出しながら18kg/cm2の圧力に2時間保った
後、1時間かけて常圧まで放圧することにより、ポリア
ミドプレカーサーを得た。このポリアミドプレカーサー
の相対粘度は 1.5であった。次いで、得られたポリアミ
ドプレカーサーに、表7に示した割合になるように層状
珪酸塩M−1〜M−5のいずれかと、アジピン酸13.1g
(0.09mol) とを配合し、温度 250℃、常圧下で1時間重
縮合を行った。重縮合の終了した時点で、反応生成物を
ストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断して強化
ナイロン6樹脂組成物からなるペレットを得た。次い
で、このペレットを95℃の熱水で処理して精練を行った
後、真空乾燥した。これらのペレットについて、広角X
線回折測定を行った結果、いずれにおいても層状珪酸塩
の厚み方向のピークは完全に消失しており、ナイロン6
マトリックス中に層状珪酸塩が均一に分散されているこ
とがわかった。次に、これらのペレットを二軸押出機
(池貝鉄工社製、PCM-45型)を用いて、シリンダー温度
250℃、金型温度70℃、射出時間6秒、冷却時間6秒で
射出成形を行い、厚み 3.2mmの試験片を作製し、物性試
験を行った。得られた結果を表7に示す。
【0066】
【表7】
【0067】実施例21〜25 ε−カプロラクタム10kg( 88.5mol)、ヘキサメチレンジ
アミン11.6(0.10mol)g、水 500g及びリン酸(濃度85
重量%)20gを内容量30リットルの反応缶に入れ、それ
以降は実施例16〜20と同様にして、強化ナイロン6樹脂
組成物からなるペレットを得た。なお、この時のポリア
ミドプレカーサーの相対粘度は 1.4であった。また、こ
れらのペレットについて、広角X線回折測定を行った結
果、いずれにおいても層状珪酸塩の厚み方向のピークは
完全に消失しており、ナイロン6マトリックス中に層状
珪酸塩が均一に分散されていることがわかった。次に、
これらのペレットを用い、実施例16〜20と同様して厚み
3.2mmの試験片を作製し、物性試験を行った。得られた
結果を表8に示す。
【0068】
【表8】
【0069】比較例11〜15 相対粘度 2.6のナイロン6のペレット及び層状珪酸塩M
−1〜M−5のいずれかを表9に示した割合で配合し、
これらの配合物を前記した二軸押出機を用いて、 250℃
で押出してペレットを得た。これらのペレットについ
て、X線回折測定を行った結果、いずれにおいても層状
珪酸塩の厚み方向のピークが見られ、ナイロン6マトリ
ックス中における層状珪酸塩の分散は十分ではなかっ
た。次に、これらのペレットを用い、実施例16〜20と同
様して厚み 3.2mmの試験片を作製し、物性試験を行っ
た。得られた結果を表9に示す。
【0070】
【表9】
【0071】実施例26〜30 ω−ラウロラクタム10kg( 50.8mol)、ドデカメチレンジ
アミン20.0g(0.10mol) 及び水 3.0kgを内容量30リット
ルの反応缶に入れ、撹拌しながら 240℃に加熱し、20kg
/cm2の圧力まで昇圧した。その後、徐々に水蒸気を放出
しながら20kg/cm2の圧力に2時間保った後、1時間かけ
て常圧まで放圧することにより、ポリアミドプレカーサ
ーを得た。このポリアミドプレカーサーの相対粘度は
1.3であった。次いで、得られたポリアミドプレカーサ
ーに、表10に示した割合になるように、層状珪酸塩M−
1〜M−5のいずれかと、1,10−デカンジカルボン酸2
3.0g(0.10mol) とを配合し、温度 240℃、常圧下で1
時間重縮合を行った。重縮合の終了した時点で、反応生
成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、切断し
て強化ナイロン12樹脂組成物からなるペレットを得た。
これらのペレットについて、広角X線回折測定を行った
結果、いずれにおいても層状珪酸塩の厚み方向のピーク
は完全に消失しており、ナイロン12マトリックス中に層
状珪酸塩が均一に分散されていることがわかった。次
に、これらのペレットを二軸押出機(池貝鉄工社製、PC
M-45型)を用いて、シリンダー温度 250℃、金型温度70
℃、射出時間6秒、冷却時間6秒で射出成形を行い、厚
み 3.2mmの試験片を作製し、物性試験を行った。得られ
た結果を表10に示す。
【0072】
【表10】
【0073】実施例31〜35 ω−ラウロラクタム10kg( 50.8mol)、ドデカメチレンジ
アミン20.0g(0.10mol) 、水 3.0kg及びリン酸(濃度85
重量%)20gを内容量30リットルの反応缶に入れ、それ
以降は実施例26〜30と同様にして、強化ナイロン12樹脂
組成物からなるペレットを得た。なお、この時のポリア
ミドプレカーサーの相対粘度は 1.3であった。また、こ
れらのペレットについて、広角X線回折測定を行った結
果、いずれにおいても層状珪酸塩の厚み方向のピークは
完全に消失しており、ナイロン12マトリックス中に層状
珪酸塩が均一に分散されていることがわかった。次に、
これらのペレットを用い、実施例26〜30と同様して厚み
3.2mmの試験片を作製し、物性試験を行った。得られた
結果を表11に示す。
【0074】
【表11】
【0075】比較例16〜20 相対粘度 2.6のナイロン12のペレット及び層状珪酸塩M
−1〜M−5のいずれかを表12に示した割合で配合し、
これらの配合物を前記した二軸押出機を用いて、 250℃
で押出してペレットを得た。これらのペレットについ
て、広角X線回折測定を行った結果、いずれにおいても
層状珪酸塩の厚み方向のピークが見られ、ナイロン12マ
トリックス中における層状珪酸塩の分散は十分ではなか
った。次に、これらのペレットを用い、実施例26〜30と
同様して厚み 3.2mmの試験片を作製し、物性試験を行っ
た。得られた結果を表12に示す。
【0076】
【表12】
【0077】実施例36 ナイロン66塩10kg( 76.3mol)、ヘキサメチレンジアミン
2.49kg(21.5mol) 及び水 3.0kgを内容量30リットルの反
応缶に入れ、攪拌しながら 280℃に加熱し、18kg/cm2
圧力まで昇圧した。その後、徐々に水蒸気を放出しなが
ら18kg/cm2の圧力に2時間保った後、1時間かけて常圧
まで放圧することにより、ポリアミドプレカーサーを得
た。このポリアミドプレカーサーの相対粘度は 1.1であ
った。次いで、得られたポリアミドプレカーサーに、表
13に示した割合になるように層状珪酸塩M−1と、アジ
ピン酸3.14kg(21.5mol) とを配合し、温度 280℃、常圧
下で1時間重縮合を行った。重縮合の終了した時点で、
反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化後、
切断して強化ナイロン66樹脂組成物からなるペレットを
得た。これらのペレットについて、広角X線回折測定を
行った結果、いずれにおいても層状珪酸塩の厚み方向の
ピークは完全に消失しており、ナイロン66マトリックス
中に層状珪酸塩が均一に分散されていることがわかっ
た。次に、これらのペレットを二軸押出機(池貝鉄工社
製、PCM-45型)を用いて、シリンダー温度 290℃、金型
温度70℃、射出時間6秒、冷却時間6秒で射出成形を行
い、厚み 3.2mmの試験片を作製し、物性試験を行った。
【0078】実施例37 ナイロン66塩10kg( 76.3mol)、アジピン酸2.50kg(17.1m
ol) 及び水 3.0kgを内容量30リットルの反応缶に入れ、
攪拌しながら 280℃に加熱し、18kg/cm2の圧力まで昇圧
した。その後、徐々に水蒸気を放出しながら18kg/cm2
圧力に2時間保った後、1時間かけて常圧まで放圧する
ことにより、ポリアミドプレカーサーを得た。このポリ
アミドプレカーサーの相対粘度は 1.1であった。次い
で、得られたポリアミドプレカーサーに、表13に示した
割合になるように層状珪酸塩M−1と、ヘキサメチレン
ジアミン1.99kg(17.1mol) とを配合し、温度 280℃、常
圧下で1時間重縮合を行った。重縮合の終了した時点
で、反応生成物をストランド状に払い出し、冷却、固化
後、切断して強化ナイロン66樹脂組成物からなるペレッ
トを得た。これらのペレットについて、広角X線回折測
定を行った結果、いずれにおいても層状珪酸塩の厚み方
向のピークは完全に消失しており、ナイロン66マトリッ
クス中に層状珪酸塩が均一に分散されていることがわか
った。次に、これらのペレットを用い、実施例36と同様
して厚み 3.2mmの試験片を作製し、物性試験を行った。
【0079】上記実施例36及び実施例37における結果を
表13に示す。
【0080】
【表13】
【0081】
【発明の効果】本発明によれば、ラクタム、アミノカル
ボン酸、ナイロン塩等のいずれのポリアミドモノマーを
出発原料としても、層状珪酸塩をポリアミド中に均一に
分散させることができ、かつ、機械的強度、靭性、耐熱
性及び寸法安定性に優れた強化ポリアミド樹脂組成物を
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 泉 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミドを形成するモノマー量に対し
    て、ジアミン(又はジカルボン酸)を0.01〜 100モル%
    過剰に存在させた状態でモノマーを反応させて得られた
    ポリアミドプレカーサーに、層状珪酸塩及び前記ジアミ
    ン(又はジカルボン酸)に対して 0.9〜 1.1モル倍量の
    ジカルボン酸(又はジアミン)を添加して重縮合を行う
    ことを特徴とする強化ポリアミド樹脂組成物の製造法。
  2. 【請求項2】 ポリアミドプレカーサーを得る工程と重
    縮合を行う工程とを1ポットで行うことを特徴とする強
    化ポリアミド樹脂組成物の製造法。
  3. 【請求項3】 ポリアミドプレカーサーの相対粘度が
    2.0以下(96%濃硫酸中、25℃、濃度1g/dl)である請
    求項1又は2記載の強化ポリアミド樹脂組成物の製造
    法。
  4. 【請求項4】 ポリアミドプレカーサーが、pKaが0〜
    6又は負(25℃の水中での値)の酸をポリアミドを形成
    するモノマー量に対して 0.001〜10.0モル%含有したも
    のである請求項1〜3のいずれかに記載の強化ポリアミ
    ド樹脂組成物の製造法。
  5. 【請求項5】 層状珪酸塩が、膨潤性フッ素雲母系鉱物
    である請求項1〜4のいずれかに記載の強化ポリアミド
    樹脂組成物の製造法。
  6. 【請求項6】 膨潤性フッ素雲母系鉱物が、タルクとナ
    トリウム及び/又はリチウムの珪フッ化物又はフッ化物
    の混合物を加熱して得られたものである請求項5に記載
    の強化ポリアミド樹脂組成物の製造法。
  7. 【請求項7】 層状珪酸塩が、層間イオンがオニウムイ
    オンで置換されたものである請求項1〜6のいずれかに
    記載の強化ポリアミド樹脂組成物の製造法。
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JP2002060617A (ja) * 2000-08-21 2002-02-26 Asahi Kasei Corp ネジ構造を有するポリアミド樹脂製成形体

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JP2001329168A (ja) * 2000-05-19 2001-11-27 Mitsubishi Gas Chem Co Inc ポリアミド複合材料の製造法
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