JPH09320030A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JPH09320030A
JPH09320030A JP13494496A JP13494496A JPH09320030A JP H09320030 A JPH09320030 A JP H09320030A JP 13494496 A JP13494496 A JP 13494496A JP 13494496 A JP13494496 A JP 13494496A JP H09320030 A JPH09320030 A JP H09320030A
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film
magnetic
undercoat
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magnetic recording
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JP13494496A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Usuki
一幸 臼杵
Hideki Matsuo
英樹 松尾
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Fujifilm Holdings Corp
Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平滑な表面性を有し、製造工程においてクラ
ック、ブロッキングを発生することなく、スパッタ法で
磁性膜を作製した場合でも表面性の劣化が無い磁気記録
媒体を得る。 【解決手段】 非磁性支持体の少なくとも一方の面に強
磁性金属薄膜からなる磁性膜を設けるについて、この非
磁性支持体と磁性膜の間に、オルガノシラザンの加水分
解により有機鎖を含有した窒化酸化ケイ素を主成分とす
る下塗り膜を形成してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強磁性金属薄膜を
磁性膜とする磁気記録媒体およびその製造方法に関し、
特に、高い耐熱性、平滑な表面性および高い引張強度を
有する下塗り膜を作製することにより、低コスト化と優
れた電磁変換特性とを実現した金属薄膜型磁気記録媒体
およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁気テープ、フロッピーディスクあるい
はハードディスク等の磁気記録媒体は一般に、非磁性支
持体上に磁性膜、保護膜などを成膜する工程によって製
造されている。このような磁気記録媒体においては、ス
パッタ法や蒸着法等の真空成膜法によって作製した強磁
性金属薄膜を磁性膜とする磁気記録媒体が実用化されて
いる。上記のようなスパッタ法や蒸着法によって磁性膜
を形成した磁気記録媒体は、高い磁気エネルギーが容易
に得られ、さらに非磁性支持体の表面を平滑にすること
によって平滑な磁性膜表面性を容易に達成できるためス
ペーシングロスが少なく、高い電磁変換特性を得ること
ができるため高密度記録材料に適している。特にスパッ
タ法は蒸着法よりさらに磁気エネルギーを高めることが
できるため、ハードディスクのような高い記録密度が要
求される媒体に採用されている。
【0003】一方、磁気記録媒体には磁気ヘッドとの摺
動に対する高い信頼性が要求される。例えばハードディ
スクのCSS特性や蒸着テープのスチル耐久性のような
走行耐久性があげられ、このような耐久性を確保するた
めに非磁性支持体表面に微少な突起を形成し、磁気ヘッ
ドに対する真実接触面積の低減をはかっている。しかし
ながら、最近の磁気記録媒体では高記録密度化の要求が
強く、従来よりさらに高い電磁変換特性が必要となって
きている。このため非磁性支持体表面に設けられる突起
の高さは益々低くなる傾向にあり、突起高さは20nm
以下となってきている。
【0004】このためハードディスクでは非磁性支持体
であるアルミニウム基板、ガラス基板、カーボン基板等
の基板表面を機械的または化学的に研磨し、非常に平滑
なテクスチャーとしている。また蒸着により磁性膜を形
成した磁気テープでは、非磁性支持体であるポリエチレ
ンテレフタレートフィルムやポリエチレンナフタレート
フィルム等の高分子フィルム表面を非常に平滑にし、こ
の上に球状微粒子を塗布している。そして、これ以上に
高記録密度化を行うためには、さらに突起高さを低下さ
せるか、実質的に突起を持たない鏡面支持体を使用しな
ければならない。
【0005】ところで、磁気テープやフロッピーディス
クのように、非磁性支持体としてポリエチレンテレフタ
レートフィルムやポリエチレンナフタレートフィルム等
の可撓性高分子フィルムを用いたものにおいても、記録
密度の向上等を図るため、スパッタ法や蒸着法で強磁性
金属薄膜からなる磁性膜を形成することが望ましいが、
そのような高分子フィルムは耐熱性に劣るので、スパッ
タ法で支持体を加熱しながら成膜した場合、あるいは蒸
着法により蒸着速度を高めて成膜した場合、高分子フィ
ルムの表面が加熱されてオリゴマーの析出等による表面
性の劣化が発生し、磁性膜の平滑な表面性による低スペ
ーシングロス化すなわち高記録密度化を得ることが困難
になるという問題が生じる。この問題を解決するため
に、以下の技術が提案されてきた。
【0006】一つは、非磁性支持体である高分子フィル
ムの材料として耐熱性樹脂を用いる方法である。用いる
耐熱性樹脂としては、ポリイミドフィルムなどが考えら
れるが、一般にポリイミドフィルムは高価である。加え
て、非常に平滑で表面性の良いポリイミドフィルムの作
製、使用は技術上困難であり、この方法は現実的ではな
い。
【0007】他には、例えば塗布により磁性膜を形成し
た従来の磁気記録媒体に、一般に用いられている比較的
安価な高分子フィルム上に下塗り膜を形成し、膜の平滑
性および/または耐熱性を高める方法が知られている。
【0008】例えば特開平6−349042号公報に
は、比較的表面の粗い高分子フィルム上に微粒子を含有
した樹脂膜を設けることにより適切な表面性を有するフ
ィルムを作製する方法が開示されている。しかし、ここ
で使用されている一般的な樹脂結合剤を用いた場合、ス
パッタ法により磁性膜を作製すると熱的なダメージによ
る表面性の劣化が激しい。
【0009】また特開平7−225934号公報には、
ポリエチレンテレフタレート上にポリエチレンナフタレ
ートを塗布し、熱によるオリゴマー析出を抑制する方法
が開示されている。しかし、ポリエチレンナフタレート
を用いても、スパッタ法で一般的な温度である200℃
までフィルムを加熱するとオリゴマー析出による表面性
の劣化を生じる。
【0010】また特開平6−208717号公報には、
より耐熱性の高いポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂を高
分子フィルム上に塗布する方法が開示されている。この
ような材料を用いるとスパッタ法に耐えうる耐熱性をフ
ィルムに付与することが可能ではある。しかしポリアミ
ド樹脂やポリイミド樹脂は汎用溶剤に対する溶解性が低
く、扱いにくい溶剤を使用する必要がある。また、樹脂
が汎用溶剤に可溶性であっても、溶液の粘度が高いた
め、表面性を高めることは困難である。さらにこのよう
な方法では、溶剤を十分に乾燥することが難しく、塗膜
中の溶剤残留量が多くなるため、製造工程におけるフィ
ルムの巻き取り時に塗膜とフィルムのバック面が接着し
てしまうブロッキングを引き起こしやすく、また磁性膜
を形成する際に揮発する残留溶剤が成膜用真空槽内を汚
染する可能性もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、高分子
フィルム等を支持体としてその上に強磁性金属薄膜から
なる磁性膜をスパッタ法等で形成しようとする場合、支
持体と磁性膜との間に耐熱性および表面の平滑性を有
し、クラックが生じずかつ容易に形成し得る下塗り膜を
設けることが望ましいが、従来技術においてはそれらを
十分に満足し得る下塗り膜を設けることが困難であっ
た。
【0012】そこで、本発明は上記事情に鑑み、非常に
平滑な表面性を有し、さらに支持体加熱を伴うスパッタ
法で磁性膜を作製した場合でも、表面性の劣化やクラッ
ク、ブロッキングの発生がない下塗り膜を有し、低コス
トで容易に製造することのできる磁気記録媒体およびそ
の製造方法を提供せんとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の少なくとも一方の
面に強磁性金属薄膜からなる磁性膜を有し、前記非磁性
支持体と磁性膜の間に、有機鎖を含有した窒化酸化ケイ
素を主成分とする下塗り膜を形成したことを特徴とする
ものである。
【0014】また、本発明の磁気記録媒体の製造方法
は、非磁性支持体上に下記化学式で表されるオルガノシ
ラザンを塗布して塗膜を形成した後、その塗膜のオルガ
ノシラザンを加水分解して、有機鎖を含有した窒化酸化
ケイ素を主成分とする下塗り膜を形成し、しかる後に該
下塗り膜上に強磁性金属薄膜を成膜することを特徴とす
るものである。
【0015】
【化2】
【0016】上記化学式の構造において、Rは好ましく
は炭素数が1〜7、好ましくは1〜5、さらに好ましく
は1〜2のアルキル基、炭素数2〜7のアルケニル基、
5〜7のシクロアルキル基またはアリール基、前記以外
でSiに直結する元素が炭素である基である。また、n
は4〜1700が好ましい。上記化合物は、特公平4−
9169号公報などの公知の方法によって合成すること
ができる。
【0017】上記オルガノシラザンにさらに加水分解触
媒を添加すると、後述の方法によってオルガノシラザン
を塗布乾燥することによって加水分解し、シロキサン結
合を生成する。この触媒を添加したオルガノシラザンは
100℃前後で短時間加熱するだけで固化できるため、
ポリエチレンテレフタレートなど耐熱性の低い支持体上
でも使用することができる。従って、グラビア連続塗布
法を用いて支持体に塗布し、このフィルムをブロッキン
グを生じることなく巻き取ることができる。
【0018】上記加水分解触媒としては、ニッケル、チ
タン、白金、ロジウム、コバルト、鉄、ルテニウム、オ
スミウム、パラジウム、イリジウム、アルミニウムから
選択される金属カルボン酸塩が好適である。この触媒の
シラザンに対する触媒効果は、特開平6−299118
号公報等に記載されている。
【0019】前記オルガノシラザンは、分子構造的にS
iにアルキル基やアリール基が直結しており、この構造
により、加水分解後に得られる有機鎖を含有した窒化酸
化ケイ素が比較的柔軟で、厚く形成してもクラック、面
割れ、突起が生じにくい構成となる。
【0020】本発明において非磁性支持体上にオルガノ
シラザンを塗布して下塗り膜を作製する方法としては、
オルガノシラザンをキシレン、トルエン等の有機溶剤に
溶解した溶液をワイヤーバー法、グラビヤ法、スプレー
法、ディップコート法、スピンコート法等の手法によっ
て非磁性支持体上に塗布した後、乾燥する方法が使用で
きる。さらにこの後、必要に応じて塗膜を焼成して硬化
を促進させ、耐熱性や耐溶剤性、密着性などを向上させ
る方法を用いることができる。
【0021】このとき使用される塗布溶剤としてはシラ
ザンと反応しないことが必要であり、炭化水素系溶媒、
ハロゲン化炭化水素、エーテル類を用いることができ
る。また溶剤としてこれらの混合溶剤を使用することも
できる。
【0022】また乾燥は上記溶剤を揮発させるために行
うものであるが、この時点で硬化を行うこともできる。
乾燥方法としては、一般的な熱風乾燥、赤外線乾燥等が
使用でき、乾燥温度は80〜150℃程度が好ましい。
【0023】塗膜の乾燥の後、さらに硬化を促進させる
焼成方法としては、熱風加熱、赤外線加熱、熱ローラ加
熱などが使用できる。このときの加熱温度としては、塗
膜の厚みと後の磁性膜の成膜方法および成膜温度にもよ
るが、厚みが1μm前後の場合には100〜250℃、
好ましくは120〜200℃の範囲である。温度がこれ
よりも低い場合には下塗り膜中に溶剤が残留する可能性
が高く、逆に高すぎると非磁性支持体の変形を引き起こ
したり、生産性の低下につながる。また加熱による硬化
以外にも、紫外線照射、電子線照射などによる硬化も可
能である。
【0024】また本発明の下塗り膜には、オルガノシラ
ザンから作製された有機鎖を含有する窒化酸化ケイ素と
硬化触媒以外の成分が含有されていても良い。この添加
剤としては、表面に凹凸を設けるための耐熱性微粒子
(フィラー)、耐熱性ならびに塗膜の硬度を調整するた
めの金属アルコキシド、支持体との密着性を改善するた
めのカップリング剤、磁性膜の酸化を防止する防錆剤等
を含有させることができる。
【0025】表面に凹凸を設けるための耐熱性微粒子と
してはシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの
無機酸化物、炭酸カルシウム、炭素、高分子などがあげ
られる。この形状としては単分散で球状であることが好
ましい。その粒子径は下塗り膜の膜厚に応じて選ばれる
が10〜1000nm、好ましくは20〜100nmで
ある。
【0026】また、耐熱性並びに塗膜の硬度を調整する
ための金属アルコキシドとしては、テトラエトキシシラ
ン、テトラプロポキシジルコニウムなどがあげられ、こ
れらの添加によって耐熱性と硬度を向上させることがで
きる。またメチルトリエトキシシランなどの有機基を導
入した金属アルコキシドを添加すると、引っ張り強度を
大きく低下させることなく、耐熱性を若干向上させるこ
とができるため好ましい。
【0027】本発明は磁気テープやフロッピーディスク
等のフレキシブル磁気記録媒体に限らずハードディスク
等のリジット磁気記録媒体にも適応することができる。
本発明で使用する非磁性支持体としては、フレキシブル
磁気記録媒体の場合には、厚さ3〜100μmのポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポ
リイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のフイルム
等が使用できる。また、フィルムの内部にフィラーを含
有し、フィルム表面に凹凸を形成したものでも良い。一
方、リジット磁気記録媒体の場合にはガラス基板、アル
ミ基板やカーボン基板が使用できる。
【0028】また、本発明の下塗り膜は支持体との密着
性に優れるが、密着性が不足の場合にはシランカップリ
ング剤などの添加剤による支持体の表面処理や、空気プ
ラズマ、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ、紫外線照
射、電子線照射、火炎などによる表面処理を施すことが
好ましい。
【0029】本発明の磁気記録媒体における磁性膜とな
る強磁性金属薄膜は、従来より公知の真空蒸着法や、ス
パッタ法により形成することができる。
【0030】磁性膜をスパッタ法で作製する場合、組成
としてはコバルトを主体とした従来より公知の金属また
は合金が挙げられ、具体的にはCo−Cr、Co−Ni
−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Cr−Pt、Co−
Cr−Ta−Pt、Co−Cr−Pt−Si、Co−C
r−Pt−B、Co−Sm、Co−Cr−Sm等が使用
できる。特に電磁変換特性を改善するためにCo−Cr
−Ta、Co−Cr−Ptが好ましい。磁性膜の厚みは
10〜300nmとするのが望ましい。またこの場合、
磁性膜の静磁気特性を改善するための下地膜を設けるこ
とが好ましく、この下地膜の組成としては従来より公知
の金属または合金などがあげられ、具体的にはCr、
V、Ti、Ta、W、Si等またはこれらの合金が使用
でき、中でもCr、Cr−Ti、Cr−Siが特に好ま
しい。この下地膜の厚みとしては5〜500nmであ
り、好ましくは10〜200nmである。またスパッタ
法で磁性膜を作製する場合には、支持体を加熱した状態
で成膜することが好ましく、そのときの温度は150〜
200℃が好適である。
【0031】磁性膜を真空蒸着法で作製する場合、組成
としてはコバルトを主体とした従来より公知の金属また
は合金が挙げられ、具体的にはCo、Co−Ni、Co
−Feなどを酸素雰囲気中で蒸着し、膜中に酸素を含ん
だものが使用できる。特に電磁変換特性を改善するため
磁性膜を構成する金属原子の90%以上、さらに好まし
くは95%以上はコバルトであるCo−O、またはCo
−Oを含有するCo−Fe等が好ましい。磁性膜の厚み
は、100〜300nmとするのが望ましく、さらに望
ましくは120〜200nmである。
【0032】また、強磁性金属薄膜は電磁変換特性を改
善するため重層構成としたり、非磁性下地層や中間層を
有していても良い。
【0033】本発明の磁気記録媒体においては強磁性金
属薄膜上に保護膜が設けられていてもよく、この保護膜
によってさらに走行耐久性、耐食性を改善することがで
きる。保護膜としては、シリカ、アルミナ、チタニア、
ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物
保護膜、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒
化物保護膜、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の
炭化物保護膜、グラファイト、無定型カーボンなどの炭
素からなる炭素保護膜があげられる。
【0034】前記炭素保護膜は、プラズマCVD法、ス
パッタ法等で作製したアモルファス、グラファイト、ダ
イヤモンド構造、もしくはこれらの混合物からなるカー
ボン膜であり、特に好ましくは一般にダイヤモンドライ
クカーボンと呼ばれる硬質カーボン膜である。この硬質
炭素膜はビッカース硬度で1000kg/mm2 以上、
好ましくは2000kg/mm2 以上の硬質の炭素膜で
ある。また、その結晶構造はアモルファス構造であり、
かつ非導電性である。そして、本発明におけるダイヤモ
ンド状炭素膜の構造をラマン光分光分析によって測定し
た場合には、1520〜1560cm-1にピークが検出
されることによって確認することができる。炭素膜の構
造がダイヤモンド状構造からずれてくるとラマン光分光
分析により検出されるピークが上記範囲からずれるとと
もに、炭素膜の硬度も低下する。
【0035】この硬質炭素保護膜は、メタン、エタン、
プロパン、ブタン等のアルカン、あるいはエチレン、プ
ロピレン等のアルケン、またはアセチレン等のアルキン
をはじめとした炭素含有化合物を原料としたプラズマC
VDや、水素や炭化水素雰囲気下で炭素をターゲットと
したスパッタリング等によって形成することができる。
硬質炭素保護膜の膜厚が厚いと電磁変換特性の悪化や磁
性膜に対する密着性の低下が生じ、膜厚が薄いと耐磨耗
性が不足するために、膜厚2.5〜20nmが好まし
く、特に好ましくは5〜10nmである。また、この硬
質炭素保護膜上に付与する潤滑剤との密着をさらに向上
させる目的で硬質炭素保護膜表面を酸化性もしくは不活
性気体のプラズマによって表面処理しても良い。
【0036】本発明の磁気記録媒体において、走行耐久
性および耐食性を改善するため、上記磁性膜もしくは保
護膜上に潤滑剤や防錆剤を付与することが好ましい。潤
滑剤としては公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑
剤、極圧添加剤などが使用できる。
【0037】炭化水素系潤滑剤としてはステアリン酸、
オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等の
エステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸
類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ス
テアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコー
ル類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ス
テアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
【0038】フッ素系潤滑剤としては上記炭化水素系潤
滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル
基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑
剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては
パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエ
チレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレン
オキシド重合体(CF2 CF2 CF2 O)n 、パーフル
オロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3 )C
2 O)n またはこれらの共重合体等である。
【0039】極圧添加剤としてはリン酸トリラウリル等
のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン
酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ
亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベ
ンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
【0040】上記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して
使用される。これらの潤滑剤を磁性膜もしくは保護膜上
に付与する方法としては潤滑剤を有機溶剤に溶解し、ワ
イヤーバー法、グラビア法、スピンコート法、ディップ
コート法等で塗布するか、真空蒸着法によって付着させ
ればよい。潤滑剤の塗布量としては1〜30mg/m2
が好ましく、2〜20mg/m2 が特に好ましい。
【0041】本発明で使用できる防錆剤としてはベンゾ
トリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジ
ン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル
側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メル
カプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合
物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環
類およびこの誘導体等が挙げられる。
【0042】このような目的で使用可能なテトラザイン
デン環化合物には、下記に示すものが挙げられる。
【0043】
【化3】
【0044】ここで、Rには、アルキル基、アルコキシ
基、アルキルアミド基から選ばれる炭化水素基である。
【0045】特に好ましくは、炭素数3以上20以下で
あり、アルコキシの場合にはROCOCH2 −のRは、
3 7 −、C6 13−、フェニル、またアルキル基の
場合には、C6 13−、C9 19−、C1735−が挙げ
られ、アルキルアミドの場合にはRNHCOCH2 −の
Rはフェニル、C3 7 −が挙げられる。
【0046】また、チオウラシル環化合物には、下記に
示すものが挙げられる。
【0047】
【化4】
【0048】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例を示し、
その特性を評価する。
【0049】(実施例1)最大突起粗さが0.1μmの
厚み90μmのポリエチレンナフタレートフィルム上
に、前記構造のオルガノシラザンと硬化触媒となるカル
ボン酸パラジウムのm−キシレン溶液をグラビアコート
法で塗布した後、100℃で乾燥して厚み1μmの下塗
り膜を作製した。次に塗膜を170℃で1時間加熱し、
硬化と脱溶剤処理を行った。このフィルムを温度150
℃に加熱した後、DCマグネトロンスパッタ法でCr−
Ti下地膜を60nm成膜し、さらに引き続きCo−C
r−Pt磁性膜を30nm成膜し、さらにその上にメタ
ンを原料としたプラズマCVD法で硬質炭素保護膜を2
0nm成膜した。次にこの保護膜上にパーフルオロポリ
エーテル系潤滑剤(アウジモント社製FOMBLIN
Z−DOL)をフッ素系溶剤(住友3M社製FC−7
7)に溶解した溶液をディップコート法で塗布して厚み
2nmの潤滑膜を作製した。この下地膜、磁性膜、保護
膜、潤滑膜はフィルムの両面に対して成膜した。そして
この試料を3.7インチの磁気ディスク形状に打ち抜
き、フロッピーディスクを作製した。
【0050】(実施例2)最大突起粗さが0.3μmの
厚み50μmのポリイミドフィルムに前記構造のオルガ
ノシラザンと硬化触媒となるカルボン酸パラジウムのm
−キシレン溶液をグラビアコート法で塗布した後、10
0℃で乾燥して厚み1μmの下塗り膜を作製した。次に
塗膜を170℃で1時間加熱し、硬化と脱溶剤処理を行
った。このフィルムを温度150℃に加熱した後、DC
マグネトロンスパッタ法でCr−Ti下地膜を60nm
成膜し、さらに引き続きCo−Cr−Pt磁性膜を30
nm成膜し、さらにその上にメタンを原料としたプラズ
マCVD法で硬質炭素保護膜を20nm成膜した。次に
この保護膜上にパーフルオロポリエーテル系潤滑剤(ア
ウジモント社製FOMBLIN Z−DOL)をフッ素
系溶剤(住友3M社製FCー77)に溶解した溶液をデ
ィップコート法で塗布して厚み2nmの潤滑膜を作製し
た。この下地膜、磁性膜、保護膜、潤滑膜はフィルムの
両面に対して成膜した。そしてこの試料を3.7インチ
の磁気ディスク形状に打ち抜き、フロッピーディスクを
作製した。
【0051】(比較例1)実施例1において下塗り膜を
塗布せず、ポリエチレンナフタレートフィルム上に直接
磁性膜を成膜した以外は実施例1と同様に試料を作製し
た。
【0052】(比較例2)実施例2において下塗り膜を
塗布せず、ポリイミドフィルム上に直接磁性膜を成膜し
た以外は実施例2と同様に試料を作製した。
【0053】(比較例3)塗布液の組成を、テトラエト
キシシランと水、塩酸をエタノールに溶解した溶液に変
更して下塗り膜を塗布した以外は、実施例1と同様に試
料を作製した。
【0054】(比較例4)塗布液の組成を、ポリエステ
ル樹脂(東洋紡社製バイロン200)のメチルエチルケ
トン溶液に変更した以外は、実施例1と同様に試料を作
製した。
【0055】作製した試料は以下の観点から評価を行っ
た。
【0056】1)表面性 硬化後の下塗り膜表面、完成した媒体表面について光学
顕微鏡観察(100倍)を行うとともに、原子間力顕微
鏡(AFM)で10×10μmから100×100μm
の範囲を観察し、30×30μmについて基準面からの
突起高さ分布と高さ20nm以上の突起数を求めた。
【0057】2)下塗り膜塗布乾燥後のブロッキングの
有無 巻き取った状態でフィルムの裏面(塗膜あり)への貼り
付きの有無を確認した。
【0058】上記評価結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】上記表1から分かるように、比較例1は耐
熱性の低いポリエチレンナフタレートに下塗り膜を形成
することなく、磁性膜をスパッタ法で形成したことで、
表面に光学顕微鏡観察でクラック、面荒れが発生してい
ることが測定された。また、比較例2は、耐熱性の高い
ポリイミドフィルム上に下塗り膜を形成することなく磁
性膜をスパッタ法で形成したことで、光学顕微鏡観察で
は欠陥は見られないが、原子間力顕微鏡では多数の突起
が測定された。
【0061】比較例3は、ゾルゲル法によってシリカ膜
を下塗り膜として形成したもので、この下塗り膜は脆く
光学顕微鏡観察によってクラックが発生していることが
測定された。比較例4はポリエステル樹脂膜を下塗り膜
としていることで、原子間力顕微鏡によって面荒れ、突
起が測定された。
【0062】これに対し、本発明の実施例1,2では、
クラック、面荒れ、突起は測定されず、ブロッキングも
発生することなく良好な表面性が得られていることが確
認できた。
【0063】
【発明の効果】上記のような本発明によれば、有機鎖を
含有した窒化酸化ケイ素を主成分とする下塗り膜を設
け、この下塗り膜上に磁性膜を設けたことにより、上記
下塗り膜は比較的柔軟で、厚く形成してもクラック、面
荒れ、突起が生じる問題が少ないことから下塗り膜の厚
さを比較的厚くすることができ、これにより、非磁性支
持体上に磁性膜をスパッタ法によって形成する場合、そ
の熱により非磁性支持体中のオリゴマーが表面に析出し
てくる影響を上記厚い下塗り膜によって防止することが
でき、また、非磁性支持体の表面粗さの影響も緩和し
て、磁性層の表面性を良好に得ることができ、磁気特性
に優れ、高記録密度化が実現できる。
【0064】また、本発明方法によれば、オルガノシラ
ザンの加水分解によって窒化酸化ケイ素を主成分とする
下塗り膜が低温処理によって形成することができ、耐熱
性の低い非磁性支持体に対しても良好に下塗り膜の形成
が行える。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の少なくとも一方の面に強
    磁性金属薄膜からなる磁性膜を有する磁気記録媒体にお
    いて、 前記非磁性支持体と磁性膜の間に、有機鎖を含有した窒
    化酸化ケイ素を主成分とする下塗り膜が形成されている
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 非磁性支持体上に下記化学式で表される
    オルガノシラザンを塗布して塗膜を形成した後、その塗
    膜のオルガノシラザンを加水分解して、有機鎖を含有し
    た窒化酸化ケイ素を主成分とする下塗り膜を形成し、し
    かる後に該下塗り膜上に強磁性金属薄膜を成膜すること
    を特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 【化1】 (ただし、Rはアルキル基、アリール基または前記以外
    でSiに直結する元素が炭素である基。)
JP13494496A 1996-05-29 1996-05-29 磁気記録媒体およびその製造方法 Withdrawn JPH09320030A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2014119750A1 (ja) * 2013-01-31 2017-01-26 コニカミノルタ株式会社 ガスバリア性フィルム

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JPWO2014119750A1 (ja) * 2013-01-31 2017-01-26 コニカミノルタ株式会社 ガスバリア性フィルム

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