JP4116919B2 - 非磁性支持体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非磁性支持体の製造方法に関し、特に、フロッピー(R)ディスク等の磁気記録媒体に使用される非磁性支持体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープ、ハードディスク等の磁気記録媒体においては、スパッタリング法や蒸着法等の真空成膜法によって形成した強磁性金属薄膜を磁性層とする蒸着テープや薄膜型ハードディスク等の磁気記録媒体が実用化されている。このような磁気記録媒体では、高い磁気エネルギーが容易に得られるという利点がある。
【0003】
ここで、磁気記録媒体に使用される非磁性支持体(以下、単に「支持体」ということがある)の表面は、ある程度平滑にすることが好ましい。平滑にすることによって、良好な表面性が容易に得られるためスペーシング損失が少なく、高い電磁変換特性を得ることができる。
【0004】
一般的に、磁気記録媒体の中には、支持体上に平滑性を付与する樹脂層等を形成した後、磁性層等を形成して製造される(例えば、特許文献1参照)。
従って、フロッピー(R)ディスク等のように両面に磁性層を有する磁気記録媒体を製造する場合でも同様である。すなわち、支持体の両面に上記樹脂層を形成した後で、磁性層を形成して当該磁気記録媒体を製造する方法が考えられる。このような方法では、支持体の両面に下の層から順に各層を形成すると、層を形成するための液ロスや作業時間の観点から、効率のよい方法であると考えられる。
【0005】
しかし、樹脂層を両面に形成した後で、その他の層を形成しようとすると、表面の平滑性に起因して、作業中での巻き取りが困難となり、支持体に折れやシワ等の欠陥が発生し、生産性としては非常に低いものとなってしまう。
かかる問題は、連続して各層を形成する連続工程を採用しても同様に生じる。樹脂層を両面に形成して支持体表面を平滑化した後では、パスロールでの保持力が大きくなり、支持体がパスロールからずれやすくなってシワ等が発生するからである。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−208716号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、本発明は、支持体の両面に平滑化を目的とした樹脂層を有する非磁性支持体を製造するに当たって、製造上問題となるシワや折れ等の欠陥の発生を防ぐことが可能で、実用に供することが可能な非磁性支持体の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み鋭意検討の結果、本発明者らは、支持体の一方の面に樹脂層を形成した後、突起形成層を形成してから、他方の面に樹脂層、突起形成層を形成すると、ある程度粗面となっている突起形成層により支持体の巻き取りがスムーズとなり、シワや折れの発生を防ぐことができることを見出し、本発明に想到した。
【0009】
すなわち、本発明は、支持体の両面に樹脂層、突起形成層を有する非磁性支持体の製造方法であって、前記支持体の一方の面に樹脂層、突起形成層を順次形成した後、前記支持体の他方の面に樹脂層、突起形成層を順次形成することを特徴とする非磁性支持体の製造方法である。
上記突起形成層は、微粒子を含有していることが好ましく、当該微粒子の露出部分が、突起形成層における突起を構成していることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の非磁性支持体の製造方法について説明し、当該製造方法により製造された非磁性支持体が適用可能な磁気記録媒体について、詳細に説明する。
【0011】
〔非磁性支持体の製造方法〕
本発明の非磁性支持体の製造方法は、支持体の両面に樹脂層、突起形成層を有する非磁性支持体の製造方法である。樹脂層および突起形成層の形成順序としては、まず、支持体の一方の面に樹脂層、突起形成層を順次形成する。その後、支持体の他方の面に樹脂層、突起形成層を順次形成する。
ここで、突起形成層は、微粒子を含有していることが好ましく、当該微粒子の露出部分が、突起形成層における突起を構成していることが好ましい。
【0012】
支持体の一方の面に樹脂層を形成し、突起形成層を形成した後で、他方の面に樹脂層等を順次形成することで、両面が同時に樹脂層のみで覆われている状態がなくなる。その結果、支持体を搬送する際に接触するパスロールは、突起形成層の突起と常に接触することになるため、当該支持体がすべることがなくなり、ズレや折れ等の欠陥の発生を防ぐことができる。
【0013】
支持体としては、ポリエチレンナフタレートフィルム、芳香族ポリイミドフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、フッ素樹脂等のような耐熱性樹脂フィルムであることが好ましい。これらの中でも耐熱性の観点から、ポリエチレンナフタレートフィルム、芳香族ポリイミドフィルム、芳香族ポリアミドフィルムが好ましい。
これは後述のように、スパッタリング等で磁性層を形成する際に、加熱やプラズマの熱によって支持体表面が高温に達する場合もあるためであり、耐熱性が不足すると熱変形、熱分解ガス放出、オリゴマー析出といった支障をきたすためである。
【0014】
この耐熱性フィルムの支持体の表面における表面性は可能な限り平滑な表面とすることが好ましい。これは磁気記録媒体がフロッピー(R)ディスク等の場合、その表面性はその電磁変換特性に非常に強い影響を与えるためである。
支持体の厚みは3〜90μmの範囲が好ましく、特に好ましくは10〜80μmである。
【0015】
樹脂層は、支持体表面に平滑性を付与する目的で、支持体の両面に形成される。但し、本発明の製造方法においては、既述のように、まず、一方の面にのみ樹脂層を形成する。
樹脂層の厚みは0.8〜5μmであることが好ましく、1〜3μmとすることがより好ましい。上記範囲より薄いと平滑化効果が不充分となることがあり、厚いとクラックや厚みムラの問題が生じることがある。また、樹脂層は複数の層からなっていてもよい。
【0016】
樹脂層としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の飽和ポリエステル樹脂;ナイロン66等のポリアミド樹脂;ポリスチロール、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチラート、ポリフェニレンオキサイド、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等を使用することが好ましい。
樹脂層は、グラビアコート法、バーコート法、リバースロールコート法、マイクログラビアコート法、エクストルージョンコート法等により形成することができる。なお、樹脂層の表面粗さRa(AFMにて測定)は、0.1〜1.0nmであることが好ましく、0.3〜0.5nmであることがより好ましい。
【0017】
支持体の一方の面に形成された樹脂層上には、突起形成層を形成する。支持体上に突起形成層を設けることで、非常に低い微小突起が形成される。その結果、磁気記録媒体と摺動部材との真実接触面積が低滅し、摺動特性を改善することができる。
【0018】
突起形成層には、樹脂が含有されていることが好ましい。当該樹脂により微粒子を樹脂層上に固定することができる。
突起形成層の樹脂の厚みは、0.001〜0.05μmとすることが好ましく、0.005〜0.03μmとすることがより好ましい。
上記範囲より薄いと微粒子の固定が不充分となることがあり、厚いと微粒子が埋もれてしまい、突起がなくなってしまうことがある。突起形成層を樹脂層上に固定した後の表面粗さRa(AFMにて測定)は、1〜5nm程度であることが好ましい。
【0019】
突起形成層に含有される樹脂は、クロロホルム、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジオキサン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ベンゼン、キシレン、フェノール等の溶媒に溶解する樹脂が好ましい。好ましい重量平均分子量は5000〜200000であり、Tgは40℃〜400℃である。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド樹脂;ポリスチロール、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルブチラート、ポリフェニレンオキサイド、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂等各種樹脂等が挙げられ、これらの単体、共重合体、混合物、変性樹脂、架橋樹脂であってもよい。
【0020】
突起形成層は、以下に説明するようにして形成することができる。すなわち、まず、上記樹脂を溶媒に溶解した溶液中に所定量の上記微粒子を含有させた塗布液を調製する。溶媒としては、微粒子の分散性が良好になることを考慮して、上記溶媒の中でもシクロヘキサノンを主たる溶媒として用いることが好ましい。調製した塗布液を、グラビアコート法、バーコート法、リバースロールコート法、マイクログラビアコート法、エクストルージョンコート法等により樹脂層上に塗布して、乾燥などを施して突起形成層を形成する。
【0021】
実用的な突起の形成とスペーシング損失低減の観点から、微粒子の平均粒径は10〜50nmとすることが好ましい。
ここで、平均粒径は、例えば光の散乱や回折を利用した測定法により、粒度分布の測定を行い、その累積粒度分布が50%となる径を平均粒径とする。
【0022】
微粒子としては、特に限定されず、有機微粒子や無機微粒子等を使用することができる。
有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルエーテル、フッ素樹脂等の架橋高分子からなるミクロゲル粒子等が挙げられる。
無機微粒子としては、コロイド粒子;Al23、SiO2、TiO2、ZnO、Fe23、CdO、NiO、CaWO4、BaTiO3等の金属酸化物;CaCO3、BaCO3、CoCO3等の炭酸塩;Au、Ag、Cu、Ni、Fe等の金属粒子;等が挙げられる。
なお、上記有機微粒子および無機微粒子は、それぞれ混合して使用してもよい。
【0023】
以上のようにして、支持体の一方の面に樹脂層および突起形成層を形成した後は、同じようにして支持体の他方の面に樹脂層および突起形成層を形成して、非磁性支持体が製造される。当該非磁性支持体は、製造工程において、シワや折れ等の欠陥が生じていないため、磁気記録媒体の支持体として充分に供することができる。
【0024】
ここで、一方の面の突起形成層における微粒子の数と、その後に形成する他方の面の突起形成層における微粒子の数とは、略同一とすることが好ましい。
略同一とすることで、磁気記録媒体とした場合に、いずれかの面でスペーシングロス等が生じて、全体として良好な電磁変換特性が得られないという現象を防ぐことができる。
【0025】
「略同一」としては、一方の面の突起形成層における微粒子の数と、他方の面の突起形成層における微粒子の数との差は、それぞれの10μm角の領域において、300個以下とすることが好ましい。300個以下とすることで、特に、両面とも良好な電磁変換特性が得られ、充分な耐久性が確保することができる。
より好ましくは、280個以下とし、さらに好ましくは、250個以下とする。
【0026】
既述のように両面の微粒子の数を略同一とするには、予めほぼ同数の微粒子を既述の突起形成層中に含有させておけばよい。突起形成層には、後述するように微粒子を固定するための樹脂が含有されている。従って、かかる樹脂により固定された微粒子は、その後の工程で重ねられたり、巻き取られたりしても欠落することがなく、最後まで両面の微粒子の数を略同一とすることができる。
【0027】
また、前記突起形成層の10μm角の領域における前記微粒子の数は、100〜2000個であることが好ましい。かかる範囲とすることで良好な電磁変換特性を維持しながら、耐久性をより大きく向上させることができる。
当該微粒子の数は、電子顕微鏡(SEM)により測定することができる。
【0028】
突起形成層の10μm角の領域における微粒子の数は、100〜2000個であることが好ましい。
当該範囲でのより好ましい微粒子の数は、150〜1500個である。
【0029】
〔磁気記録媒体〕
本発明の製造方法により製造された非磁性支持体は、当該非磁性支持体の両面に磁性層を形成した磁気記録媒体(フロッピー(R)ディスク等)に適用することが好ましい。
以下、当該非磁性支持体を具備し、両面に磁性層を有する磁気記録媒体について説明する。
【0030】
磁性層となる強磁性金属薄膜は、スパッタリング法や真空蒸着法等の真空製膜法によって形成されることが好ましい。真空製膜法により形成された磁性層は、高い磁気エネルギーを容易に得られる点で、非常に有意である。
【0031】
磁性層の組成としては、コバルトを主体とした金属または合金、あるいはコバルトを主とした金属/合金と非磁性酸化物からなるものが挙げられる。コバルトを主とした金属/合金としては、Co−Cr、Co−Ni−Cr、Co−Cr−Ta、Co−Cr−Pt、Co−Cr−Ta−Pt、Co−Cr−Pt−Si、Co−Cr−Pt−B、Co−O等が使用できる。
特に電磁変換特性を改善するために、Co−Cr−Pt、Co−Cr−Pt−Taが好ましい。
非磁性酸化物としては、Si、Zr、Ta、B、Ti、Al、Cr、Ga、Zn、Na、La、In、Pb等の酸化物を用いることができるが、電磁変換特性を良好にするためにはSiの酸化物が好ましい。
【0032】
磁性層の厚みは10〜30nmとすることが好ましい。また、この場合、磁性層の静磁気特性を改善するための下地層を設けることが好ましく、この下地層の組成としては金属または合金などが挙げられる。具体的にはCr、V、Ti、Ta、Ni、W、Si等またはこれらの合金が使用でき、なかでもTa、Ta−Si、Ni−P、Ni−Al、Cr−Tiが特に好ましい。
この下地層の厚みとしては、好ましくは、5nm〜50nmであり、より好ましくは10nm〜30nmである。
【0033】
さらに下地層の結晶配向性を制御するために、下地層の下にシード層を用いることが好ましい。具体的にはTa、Mo、W、V、Zr、Cr、Rh、Hf、Nb、Mn、Ni、Al、Ru、Tiまたはこれらの合金、特に好ましくはTa、Cr、Tiまたはこれらの合金であり、厚みとしては15〜60nmであることが好ましい。また、これらは下地層と異なり、アモルファス状態または下地層よりも結晶子が小さい状態で使用される。
【0034】
さらに突起形成層と下地層もしくは磁性層との密着性を高めるために密着層を導入してもよい。密着層としては具体的にはCr、V、Ti、Ta、W、Si等またはこれらの合金が使用できる。
【0035】
当該磁気記録媒体においては、強磁性金属薄膜(磁性層)上に保護膜が設けることが好ましい。この保護膜によって走行耐久性、耐食性を著しく改善することができる。
【0036】
保護膜としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物;窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物;炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素;からなる保護膜が挙げられる。この保護膜としては、ヘッド材質と同等またはそれ以上の硬度を有する硬質膜が好ましく、さらに摺動中に焼き付きを生じ難く、その効果が安定して持続するものが最も好ましく、そのような保護膜としてはダイヤモンド状炭素(DLC)と称される硬質炭素膜が挙げられる。
【0037】
ダイヤモンド状炭素膜は、プラズマCVD法、スパッタリング法等で作製したアモルファス炭素膜であり、微視的にはsp2結合によるクラスターとsp3結合によるクラスターの混合物である。この膜の硬度はビッカース硬度で10×103MPa以上、好ましくは20×103MPa以上である。ダイヤモンド状炭素膜をラマン光分光分析によって測定した場合には、1540-1cm付近にいわゆるGピークと呼ばれるメインピークが、1390cm-1にいわゆるDピークと呼ばれるショルダーが検出されることによって確認することができる。これらのダイヤモンド状炭素膜はスパッタリング法やCVD法によって作製することができるが、生産性、品質の安定性および厚み10nm以下の超薄膜でも良好な耐磨耗性を確保できるという点からCVD法によって作製することが好ましく、とくにプラズマによってメタン、エタン、プロパン、ブタン等のアルカン、あるいはエチレン、プロピレン等のアルケン、またはアセチレン等のアルキンをはじめとした炭素含有化合物を分解して生成した化学種を磁性層またはその手前に設けた電極に負バイアス電圧を印加して加速して堆積する手法が好ましい。
【0038】
さらに原料ガスに窒素ガスを混合し、C、H、Nからなるダイヤモンド状炭素とすることでヘッドに対する摩擦係数を低減できる。硬質炭素保護膜の膜厚が厚いと電磁変換特性の悪化や磁性層に対する密着性の低下が生じ、膜厚が薄いと耐磨耗性が不足するために、膜厚は2〜30nmが好ましく、特に好ましくは5〜20nmである。
【0039】
当該磁気記録媒体において、走行耐久性および耐食性を改善するため、上記磁性層もしくは保護膜上に潤滑剤や防錆剤を付与することが好ましい。
潤滑剤としては、公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤などが使用できる。炭化水素系潤滑剤としてはステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等のエステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ステアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。
【0040】
フッ素系潤滑剤としては上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としてはパーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF20)n、またはこれらの共重合体等である。具体的は分子量末端に水酸基を有するパーフルオロメチレン−パーフルオロエチレン共重合体(FOMBLIN Z−DOL)等が挙げられる。極圧添加剤としてはリン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
【0041】
上記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用される。これらの潤滑剤を磁性層もしくは保護膜上に付与する方法としては潤滑剤を有機溶剤に溶解し、ワイヤーバー法、グラビアコート法、スピンコート法、ディップコート法等で塗布するか、真空蒸着法によって付着させればよい。潤滑剤の塗布量としては1〜30mg/m2が好ましく、2〜20mg/m2が特に好ましい。
【0042】
使用できる防錆剤としてはベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。これらは潤滑剤に混合して保護膜上に塗布しても良いし、潤滑剤を塗布する前に保護膜上に塗布し、その上に潤滑剤を塗布しても良い。防錆剤の塗布量としては0.1〜10mg/m2が好ましく、0.5〜5mg/m2が特に好ましい。
【0043】
このような目的で使用可能なテトラザインデン環化合物には、下記に示すものが挙げられる。
【0044】
【化1】
Figure 0004116919
【0045】
ここで、上記式中のRは、アルキル基、アルコキシ基、アルキルアミド基から選ばれる炭化水素基であり、好ましくは、炭素数3以上20以下の炭化水素基である。
なお、上記Rがアルコキシ基(R4OCOCH2−)の場合、R4は、C37−、C613−、フェニルであることが好ましい。また、上記Rがアルキル基の場合、C613−、C919−、C1735−であることが好ましい。さらに、上記Rがアルキルアミド(R5NHCOCH2−)の場合、R5はフェニル、C37−であることが好ましい。また、チオウラシル環化合物には、下記に示すものが挙げられる。
【0046】
【化2】
Figure 0004116919
【0047】
ここで、上記式中のRは、上記したテトラザインデン環化合物におけるものと同様のものから選ばれる。
【0048】
【実施例】
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
〔実施例〕
以下に説明するようにして、支持体の一方の面に樹脂層、突起形成層を順次形成した後、他方の面に樹脂層、突起形成層を順次形成して非磁性支持体を作製した。
【0050】
まず、フェニルトリエトキシシラン(信越化学工業社製 KBE−103)とγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製 KBM−403)とを、質量比を1:1として、塩酸とともにエタノールに溶解した。その後、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネートを添加して、塗布液を調製した。
【0051】
調製した塗布液を、厚み63μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(支持体)の一方の面上にグラビアコート法で塗布した。その後、100℃で乾燥して厚み2μmの樹脂層を支持体上に形成した。
【0052】
次に、シクロヘキサノンに、平均粒径25nmのオルガノシリカゾル粒子(触媒化成工業社製 OSCAL)を0.00005wt%、ウレタン樹脂(Tg=90℃)を0.01wt%になるよう添加して塗布液を調製した。調製した塗布液をグラビアコート法で塗布した後、100℃で乾燥して樹脂部の厚みが0.01μmの突起形成層を樹脂層上に形成した。
次いで、支持体の他方の面にも同様にして、樹脂層、突起形成層を形成し、支持体の両面に樹脂層および突起形成層を有する非磁性支持体を作製した。
【0053】
〔比較例〕
樹脂層および突起形成層の形成順序を以下に説明するように変更した以外は実施例と同様にして非磁性支持体を作製した。
上記形成順序としては、まず、支持体の一方の面に樹脂層を形成した後、他方の面に樹脂層を形成した。次に、一方の面の樹脂層上に突起形成層を形成した後、他方の面の樹脂層上に突起形成層を形成した。
【0054】
比較例の順序で非磁性支持体を製造した場合、塗布液等の液交換の回数が少ないため、液ロスや作業時間の面では優位性が確認できた。しかし、一方の面に樹脂層を形成した後、次工程に入る前に行う巻き取りが終了するまでに、支持体に折れやシワ等の欠陥が発生し、製品として実用に供することが可能な非磁性支持体を得ることができなかった。
一方、実施例の順序で非磁性支持体を製造した場合、一連の工程で巻き取り等の操作が円滑に行われたため、折れやシワ等の欠陥が発生することがなく、実用に供することが充分可能な非磁性支持体を得ることができた。
【0055】
【発明の効果】
以上、本発明の非磁性支持体の製造方法によれば、製造上問題となるシワや折れ等の欠陥の発生を防ぐことが可能で、実用に供することが可能な非磁性支持体を製造することができる。

Claims (1)

  1. 支持体の両面に樹脂層、突起形成層を有する非磁性支持体の製造方法であって、
    前記支持体の一方の面に樹脂層、突起形成層を順次形成した後、前記支持体の他方の面に樹脂層、突起形成層を順次形成することを特徴とする非磁性支持体の製造方法。
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