JPH09316501A - 焼結金属又は焼結合金の製造方法 - Google Patents

焼結金属又は焼結合金の製造方法

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JPH09316501A
JPH09316501A JP8158982A JP15898296A JPH09316501A JP H09316501 A JPH09316501 A JP H09316501A JP 8158982 A JP8158982 A JP 8158982A JP 15898296 A JP15898296 A JP 15898296A JP H09316501 A JPH09316501 A JP H09316501A
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JP
Japan
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powder
sintered
binder
slurry
alloy
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Application number
JP8158982A
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English (en)
Inventor
Osamu Yamashita
治 山下
Yoshihisa Kishimoto
芳久 岸本
Masami Ueda
雅巳 植田
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Hitachi Metals Ltd
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉末冶金法により焼結金属又は焼結合金を製
造する方法において、金属又は合金粉末とバインダーと
の反応を抑制し、かつバインダー添加量を減らし、焼結
体中の残留炭素量、残留酸素量を低減させるとともに、
成形時の粉体の流動性を著しく向上させて、成形体の寸
法精度の向上と複雑形状化を図り、厚みが10mm以上
の厚肉形状や極薄肉形状あるいは複雑形状のいずれの場
合でも、緻密な製品を得ることが可能な焼結金属又は焼
結合金の製造方法の提供。 【解決手段】 金属粉末又は合金粉末に、セルロースエ
ーテルをエタノールおよび/またはメタノールに溶解し
たバインダーを添加、混合してスラリー状となし、該ス
ラリーをスプレードライヤー装置により造粒粉となし、
該造粒粉を用いて成形、焼結するため、造粒粉の粉体の
流動性が各段に向上し、成形体密度の向上、成形体密度
のバラツキ低減、成形体の寸法精度の向上と複雑形状化
を図ることができ、また溶媒によって粉末の酸化を抑制
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スプレードライ
ヤー装置にて流動性の高い球形状の造粒粉を得た後、こ
れを粉末冶金法により焼結金属又は焼結合金を製造する
方法に係り、金属粉末又は合金粉末にセルロースエーテ
ルをエタノールおよび/またはメタノールに溶解したバ
インダーを添加してスラリー状に攪拌した後、スプレー
ドライヤー装置により瞬時に乾燥固化させて造粒粉とな
すことにより、給粉時及び圧縮成形時の粉体の流動性、
潤滑性を向上させて、成形サイクルの向上、成形体の寸
法精度を向上させ、かつエタノールおよび/またはメタ
ノールによって粉末の酸化が抑制されて高密度の焼結体
を提供することができる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薄肉形状や複雑形状の金属又は合
金は、鋳造法やプレス成形、CIP成形等を用いた粉末
冶金法によって作製されていた。しかし、鋳造法では、
所望する製品の寸法精度が悪く、精密部品では鋳造後一
部加工する必要があった。
【0003】また、粉末冶金法におけるプレス成形法の
場合には、従来の造粒粉では粉体の流動性が悪いため
に、成形体及び焼結体の寸法精度にばらつきが生じる等
の問題があり、薄肉・複雑形状化は困難であった。さら
に、CIP成形法では3次元複雑形状品を成形できる
が、ゴム型中で成形されるために、寸法精度に自ずと限
界があるとともに量産が難しい等の問題があった。
【0004】また、金属粉末を攪拌造粒法や噴霧乾燥造
粒法により造粒し、その造粒粉をプレス成形して焼結す
る粉末冶金法、あるいは金属射出成形を用いた粉末冶金
法等も広く採用されている。
【0005】しかし、金属射出成形法では、寸法精度の
高い複雑形状の製品の作成は可能であるが、バインダー
添加量が多いために、成形後の脱脂に要する時間が長
く、コスト高になり、また、残留酸素量と残留炭素量に
よって特性が大きく影響される軟磁性材料の場合には、
安定した品質を有する製品の量産化が難しい等の問題点
があった。さらに、寸法形状が大きくなると、焼結時の
収縮率が大きくなるために、ワレを生じたり、脱脂時に
フクレが起こり、特に、厚み10mm以上の厚肉形状で
寸法精度の優れる製品を得るのが困難だった。
【0006】また、軟質磁性材料であるケイ素鋼を作製
する方法として、カップリング剤を添加してバインダー
添加量を減らし、焼結後の残留酸素量と残留炭素量を減
らし、磁気特性の向上を図る方法(特開平1−2127
02〜212706号)が提案されているが、この手法
でも金属射出成形により厚肉形状や複雑形状の焼結体を
作製するのは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一方、造粒粉を用いた
粉末冶金法としては、例えば、フェライトの仮焼粉をボ
ールミルにて平均粒度1μm程度まで湿式粉砕した後、
ポリビニルアルコールなどのバインダーを0.6〜1.
0wt%を加え、スプレードライヤーによって50〜1
00μmの造粒粉を作製し、該造粒粉を成形し焼結する
方法などが行われている。
【0008】しかし、焼結フェライト等の酸化物の場合
は、成形後大気中で脱脂するために、バインダーが燃焼
してしまい、焼結後に焼結体中に炭素はほとんど残留し
ないので上記方法が適用可能であるが、酸化物以外の金
属又は合金物品の場合は、焼結を真空もしくは不活性ガ
ス中で行う必要があるために、最適な脱脂条件で処理し
なければ、当然焼結体中に酸素及び炭素が残留し、焼結
密度が低下し、特に軟質磁性材料の場合には、磁気特性
も劣化するので、容易には前述のフェライトの製法を適
用することはできない。
【0009】このように焼結金属又は焼結合金の製造方
法において、いずれの粉末冶金方法においても近年要求
されるような厚さが10mm以上の厚肉形状や極薄肉形
状あるいは複雑形状で、かつ緻密で残留炭素量と残留酸
素量の少ない焼結体を製造するのは困難であった。
【0010】この発明は、粉末冶金法により焼結金属又
は焼結合金を製造する方法において、金属又は合金粉末
とバインダーとの反応を抑制し、かつバインダー添加量
を減らし、焼結体中の残留炭素量、残留酸素量を低減さ
せるとともに、成形時の粉体の流動性を著しく向上させ
て、成形体の寸法精度の向上と複雑形状化を図り、厚み
が10mm以上の厚肉形状や極薄肉形状あるいは複雑形
状のいずれの場合でも、緻密な製品を得ることが可能な
焼結金属又は焼結合金の製造方法の提供を目的としてい
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者らは、成形性の良
好な造粒粉を容易に製造できる製造方法について種々検
討した結果、回転ディスク型スプレードライヤー装置に
着目し、金属又は合金粉末と所要のバインダーとを添
加、混練してスラリー状となして、該スラリーを噴霧、
乾燥させることにより、該スラリーを所要の平均粒径の
造粒粉となすことができ、その後、該造粒粉を用いて成
形すると、造粒粉自体が十分な結合力を有するため、粉
体の流動性が格段に向上し、成形体密度のバラツキや成
形機の寿命を低下させることもなく、焼結後の寸法精度
にも優れ、薄肉形状や小型形状でかつ緻密な金属又は合
金物品が効率よく得られることを知見した。
【0012】また、発明者らは、上記の製造方法におい
て、特に金属又は合金粉末との反応を抑制でき、焼結体
の残留酸素量、残留炭素量を低減させるバインダーにつ
いて種々検討した結果、メチルセルロースなどのセルロ
ースエーテルをエタノールまたはメタノールあるいはエ
タノールとメタノールを混合したものに溶解したバイン
ダーを用いることにより、その添加量を合金粉末100
重量部に対して0.5重量部以下としても、成形時に金
型へ粉末を供給するためのフィーダー内における振動に
も十分耐えられる程度の一次粒子の粒子間結合力と、十
分な流動性及び成形体強度を得ることができることを知
見した。
【0013】また、発明者らは、上記バインダーを用い
ることにより、バインダー中のエタノールおよび/また
はメタノールによって粉末の酸化を抑制することがで
き、焼結後の焼結体の残留酸素量、残留炭素量の低減化
及び焼結体の高密度化を図ることができ、優れた特性を
有する焼結軟質磁性体等の焼結金属又は焼結合金が得ら
れることを知見し、この発明を完成した。
【0014】すなわち、この発明は、金属粉末又は合金
粉末(但し希土類系合金粉末を除く)に、セルロースエ
ーテルをエタノールおよび/またはメタノールに溶解し
たバインダーを添加、混合してスラリー状となし、該ス
ラリーをスプレードライヤー装置により造粒粉となし、
該造粒粉を用いて成形、焼結する粉末冶金法により焼結
体を得ることを特徴とする焼結金属又は焼結合金の製造
方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
金属粉末又は合金粉末 この発明において、対象とする金属粉末又は合金粉末
は、希土類系合金粉末を除く、単一成分の金属粉末、所
要組成からなる単一の合金粉末、異なる組成の合金粉末
を混合して所要組成に調整した粉末、さらに該粉末に透
磁率などの特性あるいは機械加工性、製造性を改善する
ために添加元素を加えたものなど、例えば、Fe、Fe
−Ni合金、Fe−Ni−Co合金、Fe−Al−Si
合金、ステンレス合金等の公知の粉末を用いることがで
き、特に、熱電変換素子材料であるFeSi2、(Fe
・Mn)Si2、(Fe・Co)Si2等の金属間化合物
を含む粉末などは好適である。なお、上記粉末の製造方
法やその粒径等については、用途や要求される組成や、
形態等に応じて最適の条件で適宜選定するとよい。
【0016】バインダー この発明において、上記の金属又は合金粉末に添加する
バインダーには、セルロースエーテルをエタノールおよ
び/またはメタノールに溶解したものを用いる。セルロ
ースエーテルをエタノールおよび/またはメタノールに
溶解したバインダーを用いることにより、造粒後の粉末
が、成形機のフィーダー内の振動にも十分耐えられる程
度の一次粒子の粒子間結合力と十分な流動性を有し、ま
た、成形後の成形体の強度を向上させることができ、特
に薄肉形状品あるいは小型形状品を作製することが容易
となる。また、少量の添加で均一なスラリーとなし、し
かも該スラリー粘度をスプレー造粒を行うために好適な
粘度に調整することが容易であるとともに、乾燥後にお
いても高い結合力を保持することができ、さらに、添加
量が少量でよく、しかもバインダー中のエタノールおよ
び/またはメタノールによって粉末の酸化を抑制するこ
とができるため、焼結後の焼結体の残留酸素量、残留炭
素量の低減化及び焼結体の高密度化を図ることが可能と
なる。
【0017】上記のバインダーにおけるセルロースエー
テルは、セルロース骨格の3個の水酸基(−OH)を一
部エーテル化剤でエーテル化し、水酸基のかわりにエー
テル基(−OR)を導入した化合物であり、これにはメ
チルセルロース(R:CH3)、エチルセルロース
(R:C25)、ベンジルセルロース(R:CH26
5)、シアンエチルセルロース(R:CH2CH2
N)、トリチルセルロース(R:C(C653)、カ
ルボキシルメチルセルロース(R:CH2COOM、但
しMは、1価の金属あるいはアンモニウム基)、ヒドロ
キシプロピルセルロース(R:CH2CH(OH)C
3)、ヒドロキシエチルセルロース(R:CH2CH2
OH)等が有り、これらの置換基を複数個有する、ヒド
ロキシプロピルメチルセルロース(R:CH2CH2
H,CH3,CH3)、ヒドロキシエチルメチルセルロー
ス(R:CH2CH2OH,CH3)等を使用することがで
き、後述の有機溶媒や水の組合せ等に応じて、置換基と
置換度を選定すると良い。また、上記の種々セルロース
エーテルの複合添加も可能であり、好ましい組合せとし
ては、メチルセルロース+ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、メチルセルロース+ヒドロキシエチルメチル
セルロース等が挙げられる。
【0018】バインダー中のセルロースエーテルの含有
量は、0.05wt%未満では造粒粉内の粒子間の結合
力が弱く、成形前の給粉時に造粒粉が壊れるとともに粉
体の流動性が著しく低下し、また、0.5wt%を越え
ると、焼結体における残留炭素量と酸素量が増加し、軟
質磁性材料の場合は透磁率が、熱電素子材料の場合は熱
電変換効率が低下するため、0.05wt%〜0.5w
t%の含有量がこれらの点で好ましい。
【0019】また、上記のバインダーにおけるエタノー
ルおよび/またはメタノールは、水等に比べ金属粉末ま
たは合金粉末と反応し難く、また表面張力も小さいた
め、攪拌時に気泡がほとんど発生せず、作業性を向上さ
せる。エタノール、メタノールとしては特に限定しない
が、金属粉末又は合金粉末との反応をさらに抑制するた
めに、含有水分を極力低減した無水エタノール、無水メ
タノールを用いることが望ましい。
【0020】上記エタノールおよび/またはメタノール
のスラリー中の含有量は、20wt%未満では合金粉末
とバインダーとを混練したスラリーの濃度が高くなっ
て、粘度が増加し過ぎるため、該スラリーを後述する攪
拌機からスプレードライヤー装置まで供給することがで
きず、また、50wt%を越えるとスラリーの濃度が低
くなり過ぎ、攪拌機内及び攪拌機のスラリー供給パイプ
内で沈殿が起こり、供給量が不安定になるとともにスプ
レードライヤー装置によって得られる造粒粉の平均粒度
が小さくなりすぎ、さらに粒度にバラツキを生じるた
め、20〜50wt%が好ましい範囲である。
【0021】この発明において、金属粉末又は合金粉末
へのバインダーの添加並びに該スラリーの攪拌を、0℃
〜30℃の温度範囲でかつ密閉状態で行うことが好まし
く、これにより、エタノールおよび/またはメタノール
の蒸発を抑えることができ、スラリーの濃度を一定に保
持することが可能となる。なお、温度を0℃〜30℃に
制御するには、予め該温度に冷却した水を用いたり、攪
拌槽を冷却水で保冷する等などの公知の手段を用いるこ
とができる。
【0022】また、上述したバインダーにグリセリン、
ワックスエマルジョン、ステアリン酸、フタール酸エス
テル、ペトリオール、グライコール等の分散剤、潤滑剤
のうち少なくとも1種を添加するか、あるいはさらに、
n−オクチルアルコール、ポリアルキレン誘導体、ポリ
エーテル系誘導体等の消泡剤を添加すると、スラリーの
分散性、均一性の向上及びスプレードライヤー装置中で
の粉化状態が良好になり、気泡が少なく、滑り性、流動
性にすぐれる球形の造粒粉を得ることが可能になる。な
お、添加量は、0.03wt%未満の含有量では成形後
の離型性改善に効果がなく、また0.3wt%を超える
と焼結体における残留炭素量と酸素量が増加して、得ら
れる焼結体の諸特性が劣化するので、0.03wt%〜
0.3wt%の含有量が好ましい。
【0023】スプレードライヤー装置 この発明において、金属粉末又は合金粉末に上記バイン
ダーを添加、混合したスラリーは、スプレードライヤー
装置によって造粒粉にする。まず、スプレードライヤー
装置を用いた造粒粉の製造方法を説明すると、スラリー
攪拌機からスラリーをスプレードライヤー装置に供給す
る、例えば、回転ディスクの遠心力で噴霧したり、加圧
ノズル先端部で霧状に噴霧された液滴は、加熱された不
活性ガスの熱風によって瞬時に乾燥されて造粒粉とな
り、回収部内の下部に自然落下する。
【0024】この発明において、スプレードライヤー装
置として回転ディスク型には、ベーン型、ケスナー型、
ピン型等種々のタイプがあるが、原理的にはどのタイプ
でも、上下2枚のディスクから構成され、そのディスク
が回転する構造となっている。スプレードライヤー装置
全体の構成としては、公知の開放型スプレードライヤー
装置を用いてもよいが、造粒する金属粉末又は合金粉末
が酸化し易い場合には、装置のスラリー収納部内あるい
は造粒粉の回収部内を不活性ガスなどで置換でき、かつ
その酸素濃度を常時3%以下に保持できる密閉構造であ
ることが好ましい。
【0025】また、密閉構造を有するスプレードライヤ
ー装置の回収部内の構成としては、上述した回転ディス
クにより噴霧された液滴を瞬時に乾燥させるために、回
転ディスクの上方に加熱された不活性ガスを噴射する噴
射口を配置し、また回収部内の下部に、噴射されたガス
を回収部外へ排出する排出口を設けるが、その際、予め
装置外部あるいは装置に付属された加熱器で所要温度に
加熱された不活性ガスの温度を低下させないように、上
記噴射口を不活性ガスの温度に応じた温度、例えば60
〜150℃に保持することが好ましい。すなわち、不活
性ガスの温度が低下すると、噴霧された液滴を短時間で
十分乾燥することができなくなるため、スラリーの供給
量を減少させなければならず能率が低下してしまう。
【0026】なお、この発明においては、バインダーの
エタノールおよび/またはメタノールが水に比べ比較的
蒸発し易いため、時間当たりのスラリー供給量を増加す
ることができるという効果もあり、バインダーの溶媒に
水を用いた場合に比べ、その2〜3倍の処理能力を有す
る。
【0027】また、比較的大きな粒径の造粒粉を作る場
合は、回転ディスクの回転数を低下させるが、その際に
不活性ガスの温度が低下していると、噴霧された液滴を
十分乾燥することができないので、結果としてスラリー
の供給量を減少させることにより、大きな粒径の造粒粉
を得る場合には極端に能率が低下することになる。従っ
て、予め加熱された不活性ガスの温度をそのまま維持し
ながら回収部内へ送り込むには、噴射口の温度を60〜
150℃に保持することが好ましく、特に100℃前後
に保持することが最も好ましい。
【0028】また、不活性ガスの噴射口と排出口の温度
差が小さい場合も処理能率が低下する傾向があるので、
排出口の温度は50℃以下、好ましくは40℃以下、特
に好ましくは常温に設定することが望ましい。使用する
ガスとしては、酸化し難い金属粉末又は合金粉末の場合
には、空気でもよいが、一般に微粉末の金属粉末又は合
金粉末は酸化しやすいので、窒素ガスやアルゴンガス等
の不活性ガスが好ましく、加熱温度は60〜150℃が
好ましい。
【0029】得られる造粒粉の粒度は、スプレードライ
ヤー装置へ供給するスラリーの濃度やその供給量、ある
いは回転ディスクの回転数によって制御することができ
るが、例えば、金属又は合金造粒粉の平均粒径が10μ
m未満では、造粒粉の流動性がほとんど向上せず、ま
た、平均粒径が400μmを超えると、粒径が大きすぎ
て成形時の金型内への充填密度が低下するとともに成形
体密度も低下し、ひいては、焼結後の焼結体密度の低下
を来たすこととなるため好ましくなく、よって、造粒粉
の平均粒径は10〜400μmが好ましい。さらに好ま
しくは40〜200μmである。また、ふるいによりア
ンダーカット、オーバーカットを行うことにより、さら
に極めて流動性に富んだ造粒粉を得ることができる。さ
らに、得られた造粒粉にステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン
酸アルミニウム、ほう酸エステル類等の潤滑剤を少量添
加することにより、さらに流動性を高めることも可能で
ある。
【0030】焼結体の製法 この発明による造粒粉を用いて焼結金属又は焼結合金を
製造する工程、すなわち、成形、焼結、熱処理などの条
件や方法は、公知のいずれの粉末冶金的手段を採用する
ことができる。以下に好ましい条件の一例を示す。成形
は、公知のいずれの方法も用いることができるが、圧縮
成形で行うことが最も好ましく、その圧力は0.3to
n/cm2〜〜2.0ton/cm2程度が好ましい。
【0031】つぎに、このようにして得られた成形体を
脱バインダー処理を施すことが好ましい。例えば、焼結
前に真空中で加熱する一般的な方法や、水素気流中で1
00〜200℃/時間で昇温し、300〜600℃で1
〜2時間保持する方法などにより、容易に脱バインダー
処理を行うことが可能である。脱バインダー処理を施す
ことにより、バインダー中がほぼ完全に除去される。な
お、脱バインダー後は、引き続いて昇温加熱して焼結を
行うことが好ましく、500℃を越えてからの昇温速度
は任意に選定すればよく、例えば100〜300℃/時
間など、焼結に際して一般的に採用される公知の昇温方
法が可能である。
【0032】この発明による金属又は合金焼結体の製造
方法例を図面に基づいて詳述する。図1はこの発明で用
いる回転ディスク型スプレードライヤー装置のディスク
部を示す部分説明図である。図1に示す回転ディスク1
は、一対のディスク2,2を、複数の所要長さの非磁性
材ピン3を円周部に所定間隔で立設配置しナット4で固
定して、所定の対向距離を保持させてあり、この回転デ
ィスク1の中心に回転シャフト5を配置して外周部をス
ラリー供給口となした構成のピン型回転ディスクであ
る。密閉構造からなる図示しないチャンバー内に回転デ
ィスク1が回転駆動可能に水平配置され、回転ディスク
1上方の所要位置には不活性ガスのノズルが下方に噴霧
可能に配置され、チャンバーの下方が造粒粉の回収部と
なっている。
【0033】上述の金属粉末又は合金粉末に所定のバイ
ンダーを添加、攪拌したスラリーは、スラリー攪拌機か
ら当該スプレードライヤー装置に供給され、スラリーは
回転ディスク1の遠心力により噴霧される。噴霧された
液滴は、加熱された不活性ガスの熱風によって瞬時に乾
燥されて造粒粉となり、回収部内の下部に自然落下す
る。
【0034】すなわち、金属粉末又は合金粉末に、セル
ロースエーテルをエタノールおよび/またはメタノール
に溶解したバインダーを添加、混合してスラリー状とな
し、該スラリーを上記構成からなるスプレードライヤー
装置により平均粒度10μm〜400μmの流動性の高
い球状の造粒粉となすことにより、バインダー自体のす
ぐれた流動性とも相まって、粉体の流動性が格段に向上
し、成形サイクルが向上するとともに、成形体密度のバ
ラツキや成形機の寿命を低下させることもなく、焼結後
の寸法精度にも優れる、高密度の薄肉形状や複雑形状製
品が得られ、かつバインダー中のエタノールおよび/ま
たはメタノールによって粉末の酸化が大幅に抑制される
結果、得られる焼結体の残留酸素量が大幅に低減され、
軟質磁性材料の場合は透磁率が、熱電素子材料の場合は
熱電変換効率が大きく向上する。さらに、この発明にお
ける造粒粉は、バインダーによって被覆されているた
め、大気中において酸化し難いので、成形工程における
作業性が向上するという利点も有する。
【0035】
【実施例】
実施例1 原料粉末として、平均粒径5μmのカーボニル鉄粉
(O:0.35wt%,C:0.03wt%)及び平均
粒径1.5μmの還元コバルト粉末(O:0.41wt
%,C:0.018wt%)を用いて、Feが50wt
%で残りCoである配合に混合した混合粉に、表1に示
す添加量で種々のバインダーを添加し、温室で混合して
スラリー状となし、該スラリーをディスク回転型スプレ
ードライヤー装置により、不活性ガスとして窒素を用
い、熱風入口温度100℃、出口温度を40℃に設定し
て造粒を行った。
【0036】上記造粒粉を圧縮プレス機を用いて、圧力
2ton/cm2で30mmφ×24mmφ×5mmt
のリング状に成形した後、水素雰囲気中で室温から60
0℃までを昇温速度100℃/時間で加熱する脱バイン
ダー処理を行い、引き続いて真空中で1400℃まで昇
温し、2時間保持する焼結を行って焼結体を得た。成形
時の造粒粉の流動性及び得られた焼結体の相対密度、残
留酸素量、残留炭素量、磁気特性を表2に示す。なお、
流動性は、内径5mmφのロートの管を5gの粉末が自
然落下し、通過するまでに要した時間で測定した。また
磁気特性はB−Hトレーサー(AUTOMATIC
D.C. B−H CURVES TRACER)によ
て測定し、50Oeにおける保磁力 iHc、磁場50
OeにおけるB50の値を表2に示す。なお、得られた焼
結体には、ヒビ、ワレ、変形等は全く見られなかった。
【0037】比較例1 実施例1で用いた混合金属粉末に、表1に示すバインダ
ーを添加し、混合してスラリーを作製し、実施例1と同
一条件でスプレー造粒した造粒粉を用いて、実施例1と
同一条件で焼結した。実施例1と同一条件で測定した成
形時の造粒粉の流動性及び得られた焼結体の相対密度、
残留酸素量、残留炭素量、磁気特性を表2に示す。な
お、得られた焼結体には、ヒビ、ワレ、変形等は全く見
られなかった。
【0038】実施例2 Al5.4wt%、Si9.6wt%、残部Feからな
る平均粒径4.3μmのガスアトマイズ粉末(O:0.
050wt%,C:0.052wt%)に、表1に示す
添加量で種々のバインダー、可塑剤を添加し、室温で混
合してスラリー状となし、該スラリーをディスク回転型
スプレードライヤー装置により、不活性ガスとして窒素
を用い、熱風入口温度100℃出口温度を40℃に設定
して造粒を行った。
【0039】上記造粒粉を圧縮プレス機を用いて、圧力
2ton/cm2で30mmφ×24mmφ×5mmt
のリング状に成形した後、水素雰囲気中で室温から60
0℃までを昇温速度100℃/時間で加熱する脱バイン
ダー処理を行い、引き続いて真空中で1200℃まで昇
温し2時間保持する焼結を行って焼結体を得た。焼結後
の均一化処理は、水素中で500℃の温度で2時間行っ
た。成形時の造粒粉の流動性及び得られた焼結体の相対
密度、残留酸素量、残留炭素量、磁気特性を表3に示
す。なお、磁気特性はB−Hトレーサー(AUTOMA
TIC D.C. B−HCURVES TRACE
R)によて測定し、表3に記載するごとく、0.01O
eにおける初透磁率μ0.01、保磁力 iHc、磁場10
OeにおけるB10の値を表3に示す。他の測定条件は実
施例1と同一である。また、得られた焼結体には、ヒ
ビ、ワレ、変形等は全く見られなかった。
【0040】比較例2 実施例2で用いた合金粉末に、表1に示すバインダー、
可塑剤を添加し、混合してスラリーを作製し、実施例2
と同一条件でスプレー造粒した造粒粉を用いて、同一条
件で焼結した。実施例2と同一条件で測定した成形時の
造粒粉の流動性及び得られた焼結体の相対密度、残留酸
素量、残留炭素量、磁気特性を表3に示す。また、得ら
れた焼結体には、ヒビ、ワレ、変形等は全く見られなか
った。
【0041】実施例3 Fe49.8wt%、残部Siからなる平均粒径2.5
μmのFeSi2粉末(O:0.71wt%、C:0.
28wt%)と平均粒径2.3μmのMnSi2粉末
(原料粉No.1)、前記FeSi2粉末と平均粒径
2.7μmのCoSi2粉末(原料粉No.2)を表4
に示す配合量で配合し、それぞれをVコーンで混合した
後、該混合原料粉末に表1に示す添加量で種々のバイン
ダー、可塑剤を添加し、室温で混合してスラリー状とな
し、該スラリーをディスク回転型スプレードライヤー装
置により、不活性ガスとして窒素を用い、熱風入口温度
100℃出口温度を40℃に設定して造粒を行った。
【0042】上記により得られた同じバインダー同士の
異なる組成の造粒粉を、圧縮プレス機を用いて、長さ1
00mm×厚み8mm×巾30mmのU字状で、かつ図
2に示す如く、PN接合部(図中13)がU字の底部と
なるように、半分(図中11)が原料粉No.1(P型
半導体)、残り半分(図中12)に原料粉No.2(N
型半導体)として圧力2ton/cm2で成形した後、
水素雰囲気中で室温から600℃までを昇温速度100
℃/時間で加熱する脱バインダー処理を行い、引き続い
て真空中で1150℃まで昇温し2時間保持する焼結を
行って焼結体を得た。さらに該焼結体を790℃で5時
間熱処理し、α−Fe2Si5とε−FeSiの共晶合金
を消滅させβ相を晶出させた熱電素子材料を得た。
【0043】成形時の造粒粉(原料粉No.1)の流動
性及び得られた焼結体の相対密度、残留酸素量、残留炭
素量、並びに高温部と低温部との温度差400℃での最
大出力特性を表5に示す。得られた焼結体には、ヒビ、
ワレ、変形等は全く見られなかった。なお、流動性は、
内径8mmφのロートの管を100gの粉末が自然落下
し、通過するまでに要した時間で測定した。また、最大
出力特性は、熱電素子のPN接合部(図中13)をヒー
ターで加熱し、U字状素子の両端部を送風機によって冷
却して、高温部と低温部との温度差ΔTによって生成さ
れる熱起電力をデジタルマルチメーターで測定した。最
大出力電力は、素子の両端部に可変抵抗を接続し、その
両端部の電圧降下から素子の内部抵抗を求め算出した。
【0044】比較例3 実施例3で用いた混合原料粉末に、表1の比較例に示す
バインダー、可塑剤を添加し、室温で混合してスラリー
を作製し、実施例3と同一条件でスプレー造粒した造粒
粉を用いて、実施例3と同様に成形、焼結、熱処理を施
し、熱電素子材料を得た。得られた焼結体には、ヒビ、
ワレ、変形等は全く見られなかった。実施例3と同一条
件で測定した成形時の造粒粉(原料粉No.1)の流動
性及び得られた焼結体の相対密度、残留酸素量、残留炭
素量、並びに高温部と低温部との温度差400℃での最
大出力特性を表5に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【発明の効果】この発明による焼結金属又は焼結合金の
製造方法は、金属粉末又は合金粉末に、セルロースエー
テルをエタノールおよび/またはメタノールに溶解した
バインダーを添加、混合してスラリー状となし、該スラ
リーをスプレードライヤー装置により造粒粉となし、該
造粒粉を用いて成形、焼結するため、造粒粉の粉体の流
動性が各段に向上し、成形体密度の向上、成形体密度の
バラツキ低減、成形体の寸法精度の向上と複雑形状化を
図ることができ、また、溶媒によって粉末の酸化を抑制
することができるため、焼結後の焼結体の残留酸素量、
残留炭素量の低減を図ることができ、寸法精度が高く、
10mm以上の厚肉形状や極薄肉形状あるいは複雑形状
の高密度な焼結金属又は焼結合金が効率よく得られる。
特に、軟質磁性材料の場合には、低保磁力、高透磁率で
しかも高い磁束密度をもつ磁性材料が、また、熱電変換
素子材料の場合には、優れた熱電変換効率を有する材料
が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に用いる回転ディスク型スプレードラ
イヤー装置の回転ディスク部を示す部分説明図である。
【図2】この発明により得られた熱電変換素子を示す概
略図である。
【符号の説明】
1 回転ディスク 2 ディスク 3 非磁性材ピン 4 ナット 5 回転シャフト 11 P型半導体 12 N型半導体 13 接合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 植田 雅巳 大阪府三島郡島本町江川2丁目15−17 住 友特殊金属株式会社山崎製作所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属粉末又は合金粉末(但し希土類系合
    金粉末を除く)に、セルロースエーテルをエタノールお
    よび/またはメタノールに溶解したバインダーを添加、
    混合してスラリー状となし、該スラリーをスプレードラ
    イヤー装置により造粒粉となし、該造粒粉を用いて成
    形、焼結する粉末冶金法により焼結体を得ることを特徴
    とする焼結金属又は焼結合金の製造方法。
JP8158982A 1996-05-29 1996-05-29 焼結金属又は焼結合金の製造方法 Pending JPH09316501A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000016937A1 (fr) * 1998-09-24 2000-03-30 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Alliage en poudre, alliage en pastilles frittees et procede de production
JP2017532441A (ja) * 2014-08-12 2017-11-02 グローバル アドバンスト メタルズ,ユー.エス.エー.,インコーポレイティド コンデンサグレード粉末の製造方法及び前記方法から得られたコンデンサのグレード粉末

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000016937A1 (fr) * 1998-09-24 2000-03-30 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Alliage en poudre, alliage en pastilles frittees et procede de production
JP2017532441A (ja) * 2014-08-12 2017-11-02 グローバル アドバンスト メタルズ,ユー.エス.エー.,インコーポレイティド コンデンサグレード粉末の製造方法及び前記方法から得られたコンデンサのグレード粉末

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