JPH09104903A - 金属又は合金物品の製造方法 - Google Patents

金属又は合金物品の製造方法

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JPH09104903A
JPH09104903A JP7286605A JP28660595A JPH09104903A JP H09104903 A JPH09104903 A JP H09104903A JP 7286605 A JP7286605 A JP 7286605A JP 28660595 A JP28660595 A JP 28660595A JP H09104903 A JPH09104903 A JP H09104903A
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治 山下
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雅巳 植田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉末冶金法により金属又は合金物品を製造す
る方法において、金属又は合金粉末とバインダー及び水
との反応を抑制し、かつバインダー添加量を減らし、焼
結体中の残留炭素量、残留酸素量を低減させるととも
に、成形時の粉体の流動性を著しく向上させて、成形体
の寸法精度の向上と複雑形状化を図り、厚みが10mm
以上の厚肉形状や極薄肉形状あるいは複雑形状のいずれ
の場合でも、緻密な製品を得る。 【解決手段】 金属又は合金粉末を疎水処理して水との
酸化反応を抑制し、次いで少なくとも1種以上のポリマ
ーと水からなるバインダーを添加、混練して、スラリー
状となし、これをスプレードライヤー装置により、瞬時
に乾燥固化させて給粉時及び圧縮成形時の粉体の流動性
の高い球状の造粒粉となし、該造粒粉を用いて、圧縮成
形、焼結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スプレードライ
ヤー装置にて流動性の高い球形状の造粒粉を得た後、こ
れを粉末冶金法により金属又は合金物品を製造する方法
に係り、予め疎水処理した金属粉末又は合金粉末に少な
くとも1種以上のポリマーと水からなるバインダーを添
加してスラリー状に撹拌した後、スプレードライヤー装
置により瞬時に乾燥固化させて造粒粉となすことによ
り、給粉時及び圧縮成形時の粉体の流動性、潤滑性を向
上させて、成形サイクルの向上、成形体の寸法精度を向
上させ、かつ疎水処理によって水との酸化反応が抑制さ
れて高密度の焼結金属を提供することができる金属又は
合金物品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薄肉形状や複雑形状の金属又は合
金物品は、鋳造法やプレス成形、CIP成形等を用いた
粉末冶金法によって作製されていた。しかし、鋳造法で
は、所望する製品の寸法精度が悪く、精密部品では鋳造
後一部加工する必要があった。
【0003】また、粉末冶金法におけるプレス成形法の
場合には、従来の造粒粉では粉体の流動性が悪いため
に、成形体及び焼結体の寸法精度にばらつきが生じる等
の問題があり、薄肉・複雑形状化は困難であった。さら
に、CIP成形法では3次元複雑形状品を成形できる
が、ゴム型中で成形されるために、寸法精度に自ずと限
界があるとともに量産が難しい等の問題があった。
【0004】また、金属粉末を撹拌造粒法や噴霧乾燥造
粒法により造粒し、その造粒粉をプレス成形して焼結す
る粉末冶金法、あるいは金属射出成形を用いた粉末冶金
法等も広く採用されている。
【0005】しかし、金属射出成形法では、寸法精度の
高い複雑形状の製品の作成は可能であるが、バインダー
添加量が多いために、成形後の脱脂に要する時間が長
く、コスト高になり、また、残留酸素量と残留炭素量に
よって特性が大きく影響される軟磁性材料の場合には、
安定した品質を有する製品の量産化が難しい等の問題点
があった。さらに、寸法形状が大きくなると、焼結時の
収縮率が大きくなるために、ワレを生じたり、脱脂時に
フクレが起こり、特に、厚み10mm以上の厚肉形状で
寸法精度の優れる製品を得るのが困難だった。
【0006】また、軟質磁性材料であるケイ素鋼を作製
する方法として、カップリング剤を添加してバインダー
添加量を減らし、焼結後の残留酸素量と残留炭素量を減
らし、磁気特性の向上を図る方法(特開平1−2127
02〜212706号)が提案されているが、この手法
でも金属射出成形により厚肉形状や複雑形状の焼結体を
作製するのは困難であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一方、造粒粉を用いた
粉末冶金法としては、例えば、フェライトの仮焼粉をボ
ールミルにて平均粒度1μm程度まで湿式粉砕した後、
ポリビニルアルコールなどのバインダーを0.6〜1.
0wt%を加え、スプレードライヤーによって50〜1
00μmの造粒粉を作製し、該造粒粉を成形し焼結する
方法などが行われている。
【0008】しかし、焼結フェライト等の酸化物の場合
は、成形後大気中で脱脂するために、バインダーが燃焼
してしまい、焼結後に焼結体中に炭素はほとんど残留し
ないので上記方法が適用可能であるが、酸化物以外の金
属又は合金物品の場合は、焼結を真空もしくは不活性ガ
ス中で行う必要があるために、最適な脱脂条件で処理し
なければ、当然焼結体中に酸素及び炭素が残留し、焼結
密度が低下し、特に軟質磁性材料の場合には、磁気特性
も劣化するので、容易には前述のフェライトの製法を適
用することはできない。
【0009】このように金属又は合金物品の製造方法に
おいて、いずれの粉末冶金方法においても近年要求され
るような厚さが10mm以上の厚肉形状や極薄肉形状あ
るいは複雑形状で、かつ緻密で残留炭素量と残留酸素量
の少ない焼結体を製造するのは困難であった。
【0010】この発明は、粉末冶金法により金属又は合
金物品を製造する方法において、金属又は合金粉末とバ
インダー及び水との反応を抑制し、かつバインダー添加
量を減らし、焼結体中の残留炭素量、残留酸素量を低減
させるとともに、成形時の粉体の流動性を著しく向上さ
せて、成形体の寸法精度の向上と複雑形状化を図り、厚
みが10mm以上の厚肉形状や極薄肉形状あるいは複雑
形状のいずれの場合でも、緻密な製品を得ることが可能
な、金属又は合金物品の製造方法の提供を目的としてい
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】発明者らは、成形性の良
好な造粒粉を容易に製造できる製造方法について種々検
討した結果、回転ディスク型スプレードライヤー装置に
着目し、金属又は合金粉末と所要のバインダーとを添
加、混練してスラリー状となして、該スラリーを噴霧、
乾燥させることにより、該スラリーを所要の平均粒径の
造粒粉となすことができ、その後、該造粒粉を用いて成
形すると、造粒粉自体が十分な結合力を有するため、粉
体の流動性が格段に向上し、成形体密度のバラツキや成
形機の寿命を低下させることもなく、焼結後の寸法精度
にも優れ、薄肉形状や小型形状でかつ緻密な金属又は合
金物品が効率よく得られることを知見した。
【0012】また、発明者らは、上記の製造方法におい
て、特に金属又は合金粉末との反応を抑制でき、焼結体
の残留酸素量、残留炭素量を低減させるバインダーにつ
いて種々検討した結果、ポリビニルアルコール、セルロ
ースエーテル誘導体、ポリアクリルアミド、ポリエチレ
ンオキサイド、水溶性ポリビニルアセタール、ポリアク
リル酸誘導体等を用いて、造粒化を行う場合、その添加
量を合金粉末100重量部に対して0.5重量部以下と
しても、成形時に金型へ粉末を供給するためのフィーダ
ー内における振動にも十分耐えられる程度の一次粒子の
粒子間結合力と、十分な流動性及び成形体強度を得るこ
とができることを知見した。
【0013】また、発明者らは、金属又は合金粉末との
反応を抑制でき、焼結体の残留炭素量、残留酸素量を低
減させる上記のバインダーを用い、スプレードライヤー
装置にて造粒した所要の平均粒径の造粒粉は粉体の流動
性が格段に向上して、焼結後の寸法精度にも優れ、薄肉
形状や複雑形状の焼結体が得られるが、さらに、優れた
透磁率を有する軟質磁性体あるいは高密度の焼結体を得
る方法を種々検討した結果、金属又は合金粉末に予め疎
水処理を施し、合金粉末表面に疎水性を付与した後、少
なくとも1種以上のポリマーと水からなる前記バインダ
ーを用いることにより焼結前の工程における合金粉末と
バインダー中の水との反応を抑制することができ、焼結
後の焼結体の残留酸素量、残留炭素量を大幅に低減でき
るとともに優れた透磁率を有する焼結軟質性体等の金属
又は合金物品が得られることを知見し、この発明を完成
した。
【0014】すなわち、この発明は、金属粉末又は合金
粉末(但し、希土類系合金粉末を除く)を疎水処理し、
次いで少なくとも1種以上のポリマーと水からなるバイ
ンダーを添加、混練してスラリー状となし、該スラリー
をスプレードライヤー装置により造粒粉となし、該造粒
粉を用いて成形、焼結する粉末冶金法により焼結体を得
ることを特徴とする金属又は合金物品の製造方法であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】
金属又は合金粉末 この発明において、対象とする金属又は合金粉末は、単
一成分の金属粉末、所要組成からなる単一の合金粉末、
異なる組成の合金粉末を混合して所要組成に調整した粉
末、さらに該粉末に透磁率などの特性、機械加工性、製
造性を改善するために添加元素を加えたものなど、例え
ば、Fe、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金、F
e−Al−Si合金、ステンレス合金等の公知の金属又
は合金粉末を用いることができる。なお、金属又は合金
粉末の製造方法やその粒径等については、用途や要求さ
れる組成や、形態等に応じて最適の条件で適宜選定する
とよい。
【0016】この発明は、金属又は合金粉末に予め疎水
処理を施し、該合金粉末表面に疎水性を付与することを
特徴とする。疎水性を付与する方法としては、疎水性基
を有する化合物を合金粉末表面に導入する方法が最も簡
便であるが、合金表面と化学結合をもって疎水性化合物
を結合させる場合、より強固な疎水性が付与される反
面、後の脱バインダー、焼結工程において、この化学結
合が切れ難く、金属炭化物等の形態で焼結体に残存し、
残留炭素量の増加を招く。その結果、得られる焼結体の
磁気特性透磁率などの諸特性が低下することになる。従
ってこの発明では、脱バインダー、焼結工程において容
易に合金表面から離脱できる疎水処理方法として、金属
又は合金粉末表面を疎水性基を有する化合物で被覆吸着
させる方法が簡便であり好ましい。
【0017】この発明で用いる、金属又は合金粉末の表
面を被覆するための疎水性基を有する化合物としては、
充分な疎水性基を有し、金属又は合金粉末に対して不活
性であり、かつ合金粉末に対する被覆性が良好であると
同時に、優れた脱炭性を有することが必要である。この
ような特性を有していれば、その化学構造、分子量等に
制限はないが、一般的に高い疎水性を得るためには、疎
水性基として長鎖飽和(不飽和)脂肪族基を有している
化合物が特に好ましい。例えば、C12〜C30の炭化水
素、C12〜C30の飽和(不飽和)脂肪酸、C12〜C30
飽和(不飽和)脂肪酸アミド、C12〜C30の飽和(不飽
和)脂肪酸エステル、C12〜C30の飽和(不飽和)脂肪
酸の金属石鹸、C12〜C30の飽和(不飽和)脂肪族アル
コール等である。
【0018】これらの化合物を具体的に例示すると、炭
化水素系化合物としては、C12〜C20程度の流動パラフ
ィン、C20〜C30のパラフィンワックスがあり、脂肪酸
系化合物としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステ
アリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等が
あり、脂肪酸アミド系化合物としては、ステアリルアミ
ド、パルミチルアミド、オレイルアミド等のモノアミ
ド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステア
ロアミド等のジアミドがあり、脂肪酸エステル系化合物
としては、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、
パルミチン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、オレイン酸
ブチル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸オクチル等の
1価脂肪族アルコールエステルの他、エチレングリコー
ルモノステアレート、エチレングリコールジステアレー
ト、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステア
レート等の多価アルコールエステル等があり、脂肪酸の
金属石鹸としてはウラリン酸、ステアリン酸、パルミチ
ン酸、リシノール酸、ナフテン酸等のLi、Mg、C
a、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb塩等が
あり、脂肪族アルコール系化合物としては、ラウリルア
ルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、
ミリスチルアルコール等がある。また、これらの成分を
含有する天然ワックスとして、カルナウバロウ、カンデ
リラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタロウ等
を用いることもできる。
【0019】この発明によれば、これら金属又は合金粉
末に疎水性を付与する処理として、少なくとも1種の上
述の疎水化剤を金属粉末や合金粉末に分散混合して、該
粉末表面を該疎水化剤で被覆し、次いでスラリー化し造
粒粉末を製造し、得られた造粒粉末を焼結前のプレス成
形工程に成形材料として使用する。これら疎水化剤の金
属粉末、合金粉末への添加混合時期は、粉砕によって得
られる粉末の場合には、微粉砕前、微粉砕中、及び微粉
砕後のいずれであってもよく、また、粉砕が不可能な金
属又は合金の場合には、粉末に添加後ボールミル等の混
合機で被覆混合してもよい。
【0020】金属又は合金粉末に疎水化剤として混合被
覆する上述の化合物の添加量は、用いる疎水化剤の親油
性、粉末の粒径、スラリー混練条件、造粒条件等に応じ
て適宜選定すればよいが、添加被覆量が少なすぎると、
当該粉末表面に付与される疎水性効果が小さくなり、水
との酸化反応抑制効果が充分でなく、また逆に、添加被
覆量が多すぎると、後続の脱炭、焼結工程において完全
に合金表面から脱離せず、残留炭素量が増加して焼結密
度及び透磁率の低下を招くため、疎水化剤の好ましい添
加量は、金属又は合金粉末100重量部に対して、0.
01〜1重量部の範囲、より好ましくは0.02〜0.
5重量部の範囲である。
【0021】この発明において、上述の疎水化剤の金属
又は合金粉末への混合は、乾式混合と溶剤を用いての湿
式混合のいずれの方式でもよいが、少量の疎水化剤を粉
末中に均一に分散させ、粉末表面に疎水性を付与するた
めには、簡易に混合できる乾式混合の場合が好ましい。
また、疎水化剤の混合被覆時の温度は室温から50℃が
適当である。
【0022】この発明において、疎水化処理した金属又
は合金粉末をスラリー状にするために添加するバインダ
ーは、ポリマーと水からなるもので、水に溶解するポリ
マー成分は、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミ
ド、水溶性セルロースエーテル、ポリエチレンオキサイ
ド、水溶性ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸、ポ
リアクリル酸誘導体から選ばれた少なくとも1種が選定
される。
【0023】上記ポリビニルアルコール、ポリアクリル
アミド、水溶性セルロースエーテル、ポリエチレンオキ
サイド、水溶性ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸
から選ばれたポリマーは、その添加量を金属又は合金粉
末100重量部に対して0.5重量部以下としても、成
形時に金型へ粉末を供給するためのフィーダー内におけ
る振動にも充分耐えられる程度の一次粒子の粒子間結合
力と、充分な流動性及び成形体強度を得ることができ
る。また、少量の添加で均一なスラリーとなし、しかも
該スラリー粘度をスプレー造粒を行うために好適な粘度
に調整することが容易であるとともに、乾燥後において
も高い結合力を保持することができ、さらに、添加量が
少量でよいため、粉末中の残留酸素量、残留炭素量を低
減することができる。
【0024】この発明で用いるポリマーにおいて、ポリ
ビニルアルコールは水に容易に溶解し、かつ強力な接着
力を有し、化学的安定性、熱分解性にも優れ、圧縮成形
時の潤滑性にも優れ、工業的に安価に入手できることか
ら、この発明に用いるポリマーとして好適である。これ
らの特性を充分に活かすためには、重合度の目安とし
て、20℃、4%水溶液濃度が3〜70cpsのポリマ
ーを用いるのが好ましい。3cps未満の重合度ではポ
リマー自体の破断強度が低くなり、得られる造粒粉の粒
子間結合力が低下し、完全に造粒化せず、一次粒子の微
粉のまま残存することになる。また、70cpsを越え
る重合度においてはスラリー粘度が著しく上昇し、スプ
レードライヤーへの定常的な供給が困難となり生産性が
著しく低下する。
【0025】また、用いるポリマーの鹸化度は70〜9
9モル%が好適である。70モル%未満の鹸化度では、
残存するアセチル基が多いためポリビニルアルコールが
本来有する特性が充分得られず、逆に99モル%を越え
る鹸化度を有するポリマーを工業的に入手することは困
難である。
【0026】この発明で用いるポリマーにおいて、ポリ
アクリルアミドは水に容易に溶解し、かつ強力な接着力
を有し、高い破断強度を有し、化学的安定性にも優れ、
熱分解性にも優れ、圧縮成形時の潤滑性にも優れ、工業
的に安価に入手できることから、本発明に用いるポリマ
ーとして好適である。これらの特性を充分に活すために
は、平均分子量数千〜百万程度のポリマーが好ましい。
数千程度以下の重合度では、ポリマー自体の破断強度が
低くなり、得られる造粒粉の粒子間結合力が低下し、完
全に造粒化せず、一次粒子の微粉のまま残存することに
なる。また、百万程度以上の重合度においてはスラリー
粘度が著しく上昇し、スプレードライヤーへの定常的な
供給が困難となり生産性が著しく低下する。
【0027】この発明で用いるセルロースエーテル誘導
体は、セルース骨格中、1グルコースユニットあたり有
する3個の−OH基をエーテル化剤により一部エーテル
化した水溶性ポリマーである。用いるエーテル化剤によ
り種々のセルロースエーテルが得られるが、例えば、メ
チルセルロース、エチルセルロース、ベンジルセルロー
ス、シアンエチルセルロース、トリチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げら
れる。
【0028】これらのセルロースエーテルは、水溶性に
優れ、増粘性を備え、界面活性を有し、化学的安定性に
優れることから好適である。用いるポリマーの重合度
は、エーテル化の種類、置換度によって異なるが、目安
として20℃、2%水溶液粘度が、10〜30000c
ps程度が好ましい。10cps未満の重合度ではポリ
マー自体の破断強度が低くなり、得られる造粒粉の粒子
間結合力が低下し、完全に造粒化せず、一次粒子の微紛
のまま残存することになる。また、30000cpsを
越える重合度においてはスラリー粘度が著しく上昇し、
スプレードライヤーへの定常的な供給が困難となり生産
性が著しく低下する。
【0029】この発明で用いるポリマーにおいて、ポリ
エチレンオキサイドは、水に容易に溶解し、加温しても
ゲル化せず、熱分解性も良好であり、スラリー作製時の
粉末の分散性にも優れ、プレス成形時の潤滑性にも優れ
ていることから、この発明に用いるポリマーとして好適
である。これらの特性を充分に活すためには、その平均
分子量が2万〜数百万のものが好ましい。分子量が2万
以下であると、ポリマー自体がロウ状固体から液体とな
り、ポリマー自体の強度が充分でなく、その結果、造粒
工程において乾燥後の合金粒子に対する結合力が不足
し、完全に造粒せず、微粉のまま残存することがある。
また、その分子量が数百万を超えると、結合力は向上す
るが、水溶液粘度が著しく上昇し、スラリー作製時に少
量の添加でもスラリー粘度が高くなるため、回転ディス
クへの供給安定性が悪くなり、得られる造粒粉の粒度分
布が乱れることがある。またこれ以上の分子量のもの
は、工業的に汎用的には製造されておらず、経済的にも
不利である。
【0030】この発明で用いるポリマーにおいて、水溶
性ポリビニルアセタールはポリビニルアルコールとアル
デヒドの縮合反応で得られるポリマーである。この反応
で得られるポリマーの特性は、出発原料のポリビニルア
ルコールの分子量、鹸化度、及びホルマール化度等によ
り大きく異なる。この発明においては、目的とする結合
力を有するとともに適当なスラリー粘度とスラリー分散
性を得ることができれば、これらの値に制限されるもの
ではないが、一般的には鹸化度70〜99、重合度数百
から数千程度のポリビニルアルコールを用い、数モル%
から数十モル%程度をホルマール化したポリマーが好適
である。
【0031】この発明で用いるポリマーにおいて、ポリ
アクリル酸、およびポリアクリル酸誘導体は、水溶性の
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、およびこれらの金
属塩、アンモニウム塩等である。ポリアクリル酸、ポリ
メタクリル酸は無定形であり、非常に硬いポリマーであ
ることから、合金粒子に対して充分な結合力を与え、そ
の結果、少量の添加で造粒性を付与することが可能であ
る。また、それらの塩は、強度的には上記の2種のポリ
マーに比べて劣るものの、解膠作用を有することから、
スラリーの作製工程においてスラリーの均一性を向上さ
せるのに好適である。
【0032】この発明においては、金属又は合金粉末に
上記ポリマー及び溶媒である水を添加し、撹拌、混練す
ることによりスラリーを作製するが、スラリー濃度はス
ラリー粘度、合金粉末の分散性、スプレー造粒工程にお
ける処理量等の観点から適宜選択することができるが、
一般的にはスラリー中の合金粉末濃度を40〜80重量
%とすることが望ましい。40重量%未満では、撹拌混
練工程において固液分離が生じ、スラリーの分散性が低
下し、不均一なスラリーとなるのみならず、撹拌混練槽
からスプレードライヤー装置への供給中に供給パイプ内
で沈降が起こり、得られる造粒粉に造粒化されていない
微紛が混入したり、球状でない造粒になったりする。ま
た、逆に80重量%を超えるとスラリー粘度が著しく上
昇し、均一な撹拌混練ができないのみならず、撹拌混練
槽からスプレードライヤー装置まで該スラリーを供給で
きない。
【0033】この発明において、スプレードライヤーに
供給するスラリーは、少なくとも金属又は合金粉末、上
記ポリマーを含むポリマー類、溶媒である水からなる
が、この時添加するポリマー類の添加量は、該合金粉末
100重量部に対して、0.05重量部〜0.7重量部
であり、好ましくは0.05〜0.5重量部である。添
加量が0.05重量部未満では造粒粉内の粒子間結合力
が弱く、粉末中に未造粒の微粉が混入したり、成形前の
給粉時に造粒粉が壊れるとともに粉体の流動性が著しく
低下する。また、0.7重量部を越えると脱脂に長時間
必要とし、またひいては焼結密度の低下を起こし、特に
軟質磁性体では焼結体中の残留酸素量と残留炭素量が増
加して透磁率が低下し磁気特性が劣化するため、0.0
5重量部〜0.7重量部の添加とする。
【0034】この発明においては、金属又は合金粉末表
面に疎水性を付与することにより、溶媒である水との酸
化反応を抑制できるが、その効果をさらに高めるために
は、用いる水に、脱溶存酸素処理した純水あるいは窒素
等の不活性ガスでバブリング置換した水を用いることが
望ましい。
【0035】この発明において、金属又は合金粉末への
バインダーの添加並びに該スラリーの撹拌は、0℃〜3
0℃の温度範囲で行うことが好ましく、金属又は合金粉
末と水との酸化反応をより抑制することができる。逆に
30℃を越える温度範囲の撹拌は、合金粉末と水との酸
化反応を促進させ、その結果得られる焼結体中の残存酸
素量が増加し、焼結密度が劣ることになる。従って、撹
拌は0℃〜30℃の温度範囲に保持する必要があり、そ
のためには予め該温度に冷却した水を用いたり、撹拌槽
を冷却水で保冷する等の手段などを採用することができ
る。
【0036】また、上記スラリーに可塑剤を添加するこ
とが好ましい。可塑剤は、造粒化した粉末を用いてプレ
ス成形する際に、少しの力で粉末の形態を永久変形する
ために添加するものである。この発明におけるポリマー
類は、造粒化を容易にするために高い粒子間結合力を有
しており、保形性は著しく向上するものの、プレス成形
時において一定加圧下でも、その保形性を保持するた
め、圧粉体密度が下がる原因になる。
【0037】そこで、ポリマー鎖の分子間相互作用を低
下させ、ガラス転移温度を低くするために可塑剤を添加
する。用いる可塑剤は、その可塑効果、ポリマーとの相
溶性、化学的安定性、物理特性(沸点、蒸気圧等)、金
属又は合金粉末との反応性等を考慮して、一般の公知の
可塑剤を用いることができ、この発明のごとく水溶性ポ
リマーを用いた水系スラリーの場合には、エチレングリ
コール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリ
コール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、プロピレングリコール、グリセリン、ブタン
ジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール等を用いることができる。
【0038】水溶性スラリーへの可塑剤の添加量は、可
塑剤の上記特性により適宜選択できるが、通常スラリー
に添加するポリマー100重量部に対して、2〜100
重量部、好ましくは5〜70重量部である。添加量が2
重量部未満では、可塑効果が充分でなく、成形体の圧粉
体密度が低下する。一方、70重量部を越える添加で
は、粒子間結合力が低下し、造粒性が低下し流動性が低
下するのみならず、これら水溶性可塑剤は一般的に吸湿
性が高いため、造粒工程での乾燥性が低下し粉末中の残
留水分が増加し酸化の原因になったり、粉末の保管中に
吸湿するといった問題を生じる。さらに必要に応じて、
解膠剤(分散剤)、滑剤、消泡剤、表面処理剤等の添加
剤を、焼結体の残留炭素濃度が大きく増加しない範囲で
添加することが可能である。
【0039】スプレードライヤー装置 この発明において、金属又は合金粉末に後述するバイン
ダーを添加、混練したスラリーは、スプレードライヤー
装置によって造粒粉にする。まず、スプレードライヤー
装置を用いた造粒粉の製造方法を説明すると、スラリー
撹拌機からスラリーをスプレードライヤー装置に供給す
る、例えば、回転ディスクの遠心力で噴霧したり、加圧
ノズル先端部で霧状に噴霧され、噴霧された液滴は、加
熱された不活性ガスの熱風によって瞬時に乾燥されて造
粒粉となり、回収部内の下部に自然落下する。
【0040】この発明において、スプレードライヤー装
置として回転ディスク型には、ベーン型、ケスナー型、
ピン型等種々のタイプがあるが、原理的にはどのタイプ
でも、上下2枚のディスクから構成され、そのディスク
が回転する構造となっている。スプレードライヤー装置
全体の構成としては、公知の開放型スプレードライヤー
装置を用いてもよいが、造粒する金属又は合金粉末が酸
化し易い場合には、装置のスラリー収納部内あるいは造
粒粉の回収部内を不活性ガスなどで置換でき、かつその
酸素濃度を常時3%以下に保持できる密閉構造であるこ
とが好ましい。
【0041】また、密閉構造を有するスプレードライヤ
ー装置の回収部内の構成としては、上述した回転ディス
クにより噴霧された液滴を瞬時に乾燥させるために、回
転ディスクの上方に加熱された不活性ガスを噴射する噴
射口を配置し、また回収部内の下部に、噴射されたガス
を回収部外へ排出する排出口を設けるが、その際、予め
装置外部あるいは装置に付属された加熱器で所要温度に
加熱された不活性ガスの温度を低下させないように、上
記噴射口を不活性ガスの温度に応じた温度、例えば60
〜150℃に保持することが好ましい。すなわち、不活
性ガスの温度が低下すると、噴霧された液滴を短時間で
十分乾燥することができなくなるため、スラリーの供給
量を減少させなければならず能率が低下してしまう。
【0042】また、比較的大きな粒径の造粒粉を作る場
合は、回転ディスクの回転数を低下させるが、その際に
不活性ガスの温度が低下していると、噴霧された液滴を
十分乾燥することができないので、結果としてスラリー
の供給量を減少させることにより、大きな粒径の造粒粉
を得る場合には極端に能率が低下することになる。従っ
て、予め加熱された不活性ガスの温度をそのまま維持し
ながら回収部内へ送り込むには、噴射口の温度を60〜
150℃に保持することが好ましく、特に100℃前後
に保持することが最も好ましい。
【0043】また、不活性ガスの噴射口と排出口の温度
差が小さい場合も処理能率が低下する傾向があるので、
排出口の温度は50℃以下、好ましくは40℃以下、特
に好ましくは常温に設定することが望ましい。使用する
ガスとしては、酸化し難い金属又は合金粉末の場合に
は、空気でもよいが、一般に微粉末の金属又は合金粉末
は酸化しやすいので、窒素ガスやアルゴンガス等の不活
性ガスが好ましく、加熱温度は60〜150℃が好まし
い。
【0044】得られる造粒粉の粒度は、スプレードライ
ヤー装置へ供給するスラリーの濃度やその供給量、ある
いは回転ディスクの回転数によって制御することができ
るが、例えば、金属又は合金造粒粉の平均粒径が10μ
m未満では、造粒粉の流動性がほとんど向上せず、ま
た、平均粒径が400μmを超えると、粒径が大きすぎ
て成形時の金型内への充填密度が低下するとともに成形
体密度も低下し、ひいては、焼結後の焼結体密度の低下
を来たすこととなるため好ましくなく、よって、造粒粉
の平均粒径は10〜400μmが好ましい。さらに好ま
しくは40〜200μmである。また、ふるいによりア
ンダーカット、オーバーカットを行うことにより、さら
に極めて流動性に富んだ造粒粉を得ることができる。さ
らに、得られた造粒粉にステアリン酸亜鉛、ステアリン
酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン
酸アルミニウム、ほう酸エステル類等の潤滑剤を少量添
加することにより、さらに流動性を高めることも可能で
ある。
【0045】金属又は合金焼結体の製造方法 この発明による造粒粉を用いて焼結金属又は合金製品を
製造する工程、すなわち、成形、焼結、熱処理などの条
件や方法は、公知のいずれの粉末冶金的手段を採用する
ことができる。以下に好ましい条件の一例を示す。成形
は、公知のいずれの方法も用いることができるが、圧縮
成形で行うことが最も好ましく、その圧力は0.3to
n/cm2〜2.0ton/cm2程度が好ましい。
【0046】つぎに、このようにして得られた成形体を
脱バインダー処理を施すことが好ましい。例えば、焼結
前に真空中で加熱する一般的な方法や、水素気流中で1
00〜200℃/時間で昇温し、300〜600℃で1
〜2時間保持する方法などにより、容易に脱バインダー
処理を行うことが可能である。脱バインダー処理を施す
ことにより、バインダー中がほぼ完全に除去される。な
お、脱バインダー後は、引き続いて昇温加熱して焼結を
行うことが好ましく、500℃を越えてからの昇温速度
は任意に選定すればよく、例えば100〜300℃/時
間など、焼結に際して一般的に採用される公知の昇温方
法が可能である。
【0047】この発明による金属又は合金焼結体の製造
方法例を図面に基づいて詳述する。図1はこの発明で用
いる回転ディスク型スプレードライヤー装置のディスク
部を示す部分説明図である。図1に示す回転ディスク1
は、一対のディスク2,2を、複数の所要長さの非磁性
材ピン3を円周部に所定間隔で立設配置しナット4で固
定して、所定の対向距離を保持させてあり、この回転デ
ィスク1の中心に回転シャフト5を配置して外周部をス
ラリー供給口となした構成のピン型回転ディスクであ
る。密閉構造からなる図示しないチャンバー内に回転デ
ィスク1が回転駆動可能に水平配置され、回転ディスク
1上方の所要位置には不活性ガスのノズルが下方に噴霧
可能に配置され、チャンバーの下方が造粒粉の回収部と
なっている。
【0048】まず、金属又は合金粉末は、脆性破壊が可
能な金属又は合金の場合には、金属又は合金の微粉砕
前、微粉砕中及び微粉砕後のいずれかにおいて、少なく
とも1種の疎水化剤が添加されて、分散混合することに
より、該粉末表面を疎水化剤で被覆してある。しかし、
展延性に富む一般金属又は合金の場合には、粉末に添加
後にボールミル等の混合機で被覆混合するほうが好まし
い。
【0049】これらの金属又は合金粉末に所定のバイン
ダーを添加、撹拌したスラリーは、スラリー撹拌機から
当該スプレードライヤー装置に供給され、スラリーは回
転ディスク1の遠心力により噴霧される。噴霧された液
滴は、加熱された不活性ガスの熱風によって瞬時に乾燥
されて造粒粉となり、回収部内の下部に自然落下する。
【0050】すなわち、粉末表面を所定の疎水化剤で被
覆してある金属又は合金粉末に、水溶性ポリマー、さら
に必要に応じて添加する可塑剤と水からなるバインダー
を、添加、混練してスラリー状となし、該スラリーを上
記構成からなるスプレードライヤー装置により平均粒度
10μm〜400μmの流動性の高い球状の造粒粉とな
すことにより、バインダー自体のすぐれた流動性とも相
まって、粉体の流動性が格段に向上し、成形サイクルが
向上するとともに、成形体密度のバラツキや成形機の寿
命を低下させることもなく、焼結後の寸法精度にも優れ
る、高密度の薄肉形状や複雑形状製品が得られ、かつ金
属又は合金粉末表面への疎水性付与効果により、スラリ
ー混練中の溶媒である水との酸化反応が大幅に抑制され
る結果、特に軟質磁性体の場合には得られる焼結体の残
留酸素量が大幅に低減される結果、保磁力iHcが低下
し、透磁率が大きく向上する。さらに、この発明におけ
る造粒粉は、バインダーによって被覆されているため、
大気中において酸化し難いので、成形工程における作業
性が向上するという利点も有する。
【0051】
【実施例】
実施例1〜実施例6 原料粉末として、平均粒径5μmのカーボニル鉄粉
(O:0.35wt%,C:0.03wt%)及び平均
粒径1.5μmの還元コバルト粉末(O:0.41wt
%,C:0.018wt%)を用いて、Feが50wt
%で残りCoである配合に混合した混合粉に、表1に示
す種々の疎水化処理剤を表1に示す添加量で添加し、混
練して疎水化処理を行った。さらに、表1に示すバイン
ダーを用い、金属粉末100wt%に対して、水、可塑
剤を表1に示す組成で配合し、温室で混練、撹拌を行い
スラリー状となし、該スラリーをディスク回転型スプレ
ードライヤー装置により、不活性ガスとして窒素を用
い、熱風入口温度100℃、出口温度を40℃に設定し
て造粒を行った。
【0052】上記造粒粉を圧縮プレス機を用いて、圧力
2ton/cm2で30mmφ×24mmφ×5mmt
のリング状に成形した後、水素雰囲気中で室温から60
0℃までを昇温速度100℃/時間で加熱する脱バイン
ダー処理を行い、引き続いて真空中で1400℃まで昇
温し、2時間保持する焼結を行って焼結体を得た。成形
時の造粒粉の流動性及び得られた焼結体の相対密度、残
留酸素量、残留炭素量、磁気特性を表2に示す。なお、
流動性は、内径5mmφのロートの管を5gの粉末が自
然落下し、通過するまでに要した時間で測定した。また
磁気特性はB−Hトレーサー(AUTOMATIC
D.C. B−H CURVES TRACER)によ
て測定し、50Oeにおける保磁力 iHc、磁場50
OeにおけるB50の値を表2に示す。なお、得られた焼
結体には、ヒビ、ワレ、変形等は全く見られなかった。
【0053】比較例1 実施例1で用いた混合金属粉末を疎水化処理をせずに、
表1に示すバインダー、水、可塑剤を添加し、混練、撹
拌してスラリーを作製し、実施例1と同一条件でスプレ
ー造粒した造粒粉を用いて、実施例1と同一条件で焼結
した。実施例1と同一条件で測定した成形時の造粒粉の
流動性及び得られた焼結体の相対密度、残留酸素量、残
留炭素量、磁気特性を表2に示す。なお、得られた焼結
体には、ヒビ、ワレ、変形等は全く見られなかった。
【0054】実施例11〜16 Al5.4wt%、Si9.6wt%、残部Feからな
る平均粒径4.3μmのガスアトマイズ粉末(O:0.
050wt%,C:0.052wt%)に、表1に示す
実施例1〜実施例6の種々の疎水化処理剤を表1に示す
添加量で添加し、混練して疎水処理を施した。その後さ
らに、表1に示す実施例1〜実施例6のバインダーを用
い、ガスアトマイズ金属粉末100wt%に対して、
水、可塑剤を表1に示す組成で配合し、室温で混練、撹
拌してスラリー状となし、該スラリーをディスク回転型
スプレードライヤー装置により、不活性ガスとして窒素
を用い、熱風入口温度100℃出口温度を40℃に設定
して造粒を行った。尚、表1の実施例1の疎水処理とバ
インダー配合を行ったものは実施例11に相当し、以下
同様である。
【0055】上記造粒粉を圧縮プレス機を用いて、圧力
2ton/cm2で30mmφ×24mmφ×5mmt
のリング状に成形した後、水素雰囲気中で室温から60
0℃までを昇温速度100℃/時間で加熱する脱バイン
ダー処理を行い、引き続いて真空中で1200℃まで昇
温し2時間保持する焼結を行って焼結体を得た。焼結後
の均一化処理は、水素中で500℃の温度で2時間行っ
た。成形時の造粒粉の流動性及び得られた焼結体の相対
密度、残留酸素量、残留炭素量、磁気特性を表3に示
す。なお、磁気特性はB−Hトレーサー(AUTOMA
TIC D.C. B−HCURVES TRACE
R)によて測定し、表3に記載するごとく、0.01O
eにおける初透磁率μ0.01、保磁力 iHc、磁場10
OeにおけるB10の値を表3に示す。他の測定条件は実
施例1と同一である。また、得られた焼結体には、ヒ
ビ、ワレ、変形等は全く見られなかった。
【0056】比較例2 実施例2で用いた合金粉末を疎水化処理をせずに、表1
に示すバインダー、水、可塑剤を添加して、混練、撹拌
してスラリーを作製して実施例2と同一条件でスプレー
造粒した造粒粉を用いて、実施例2と同一条件で焼結し
た。実施例2と同一条件で測定した成形時の造粒粉の流
動性及び得られた焼結体の相対密度、残留酸素量、残留
炭素量、磁気特性を表3に示す。また、得られた焼結体
には、ヒビ、ワレ、変形等は全く見られなかった。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【発明の効果】この発明による金属又は合金物品の製造
方法は、金属又は合金粉末を疎水処理し、次いで少なく
とも1種以上のポリマーと水からなるバインダーを添
加、混練して、スラリー状となし、該スラリーをスプレ
ードライヤー装置により流動性の高い球状の造粒粉とな
し、該造粒粉を用いて、成形、焼結するため造粒粉の粉
体の流動性が各段に向上し、成形体の密度を向上させる
とともに、そのバラツキを抑え、さらに、予め疎水化処
理した粉末を用いているため、造粒前のスラリー混練中
において、水と金属もしくは合金粉末との酸化反応が抑
制されるため、残留酸素量が少なく、かつ寸法精度の高
く、緻密な複雑形状や薄肉形状の金属又は合金物品が効
率よく得られる。そして軟質磁性材料の場合には、低保
磁力、高透磁率でしかも高い磁束密度をもつ磁性材料が
効率よく得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に用いる回転ディスク型スプレードラ
イヤー装置の回転ディスク部を示す部分説明図である。
【符号の説明】
1 回転ディスク 2 ディスク 3 非磁性材ピン 4 ナット 5 回転シャフト
フロントページの続き (72)発明者 植田 雅巳 大阪府吹田市南吹田2丁目19ー1 住友特 殊金属株式会社吹田製作所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属粉末又は合金粉末(但し希土類系合
    金粉末を除く)を疎水処理し、次いで少なくとも1種以
    上のポリマーと水からなるバインダーを添加、混練して
    スラリー状となし、該スラリーをスプレードライヤー装
    置により造粒粉となし、該造粒粉を用いて成形、焼結す
    る粉末冶金法により焼結体を得ることを特徴とする金属
    又は合金物品の製造方法。
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