JP2000212679A - Fe―Si系軟磁性焼結合金用原料粒体およびその製造方法ならびにFe―Si系軟磁性焼結合金部材の製造方法 - Google Patents

Fe―Si系軟磁性焼結合金用原料粒体およびその製造方法ならびにFe―Si系軟磁性焼結合金部材の製造方法

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JP2000212679A
JP2000212679A JP11014503A JP1450399A JP2000212679A JP 2000212679 A JP2000212679 A JP 2000212679A JP 11014503 A JP11014503 A JP 11014503A JP 1450399 A JP1450399 A JP 1450399A JP 2000212679 A JP2000212679 A JP 2000212679A
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JP
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sintered alloy
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magnetic sintered
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Tatsuya Tomioka
岡 達 也 冨
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高密度であって磁気特性に優れたFe−Si
系軟磁性焼結合金部材の製造に適したFe−Si系軟磁
性焼結合金用原料粒体を提供する。 【解決手段】 350メッシュ(約40μm)以下のF
e微細粉末と、350メッシュ(約40μm)以下のF
e−8〜80重量%Si系微細粉末が有機バインダおよ
び/または有機溶剤を介して平均粒径40μm〜1mm
に造粒された造粒体、または、この造粒体がさらに解砕
されて平均粒径100メッシュ(150μm)以下に微
細化された整粒体からなるFe−Si系軟磁性焼結合金
用原料粒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、Fe−Si系の軟
磁性部材(高透磁率部材(部品および素材))を得るの
に好適なFe−Si系軟磁性焼結合金用原料粒体および
その製造方法ならびにFe−Si系軟磁性焼結合金部材
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】Fe−Si系の軟磁性部材(高透磁率部
材)は、飽和磁束密度(磁化の強さ)が大であり、ま
た、電気抵抗率が高く、鉄損(コアロス)が少ないた
め、リレーやトランスなどの鉄芯(コア,ヨーク)等々
として広く使用されている。また、電気エネルギを駆動
エネルギに変換するアクチュエータのプランジャを構成
する軟磁性材料として用いた場合にその変換効率をより
一層向上させるのに有効である。
【0003】一方、FeにSiを添加すると飽和磁束密
度が減少するが、電気抵抗が大きくなることから、特に
交流の場合において磁気特性が向上したものとなる。し
かし、Fe中のSi含有量が多くなるにつれて硬くかつ
脆い合金となるため、冷間圧延などの塑性加工が困難と
なるいわゆる難加工性材料となる。
【0004】とくに、6.5%けい素鉄は鉄損が少ない
うえ、磁歪がほぼ0であって磁性材料として優れている
にもかかわらず、常温での加工が困難であるためほとん
ど実用に供されていない。
【0005】そこで、Si含有量の多いFe−Si系合
金の溶湯を鋳型内に注湯する鋳造法によってSi含有量
の多いFe−Si系軟磁性合金部材を得る方法や、焼結
後に所定の成分組成となるように通常100メッシュ以
下のFe粉末とFe−Si系粉末とを混合し、Fe粉末
の塑性変形能を利用して加圧成形した後焼結することに
よってSi含有量の多いFe−Si系軟磁性焼結合金部
材を得る方法なども開発されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鋳造法
によってSi含有量の多いFe−Si系軟磁性合金部材
を得る場合には、複雑形状部品の製作が可能であるとい
う利点を有しているものの、凝固時にFeとSiの重量
偏析を生じたり、大きな鋳巣ないしは気孔が形成された
りして磁気特性の不均一ないしは低下を生じ、品質が不
安定なものになることがあるという問題点があった。
【0007】また、Fe粉末とFe−Si系粉末とを混
合し、Fe粉末の塑性変形能を利用して加圧成形したの
ち焼結してSi含有量の多いFe−Si系軟磁性合金部
材を得る方法では、空孔が不可避的に残存するため理論
密度比を90%以上に高めることができず、本来の磁気
特性を得ることができがたいという問題点があった。
【0008】
【発明の目的】本発明は、このような従来の問題点にか
んがみてなされたものであって、鋳造法による問題点を
回避し、焼結法とするときでも高密度のものを得ること
が可能であって磁気特性にも優れたFe−Si系軟磁性
焼結合金部材を得ることができるようにすることを目的
としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係わるFe−S
i系軟磁性焼結合金用原料粒体は、請求項1に記載して
いるように、350メッシュ(約40μm)以下のFe
微細粉末と、350メッシュ(約40μm)以下のFe
−Si系微細粉末が有機バインダおよび/または有機溶
剤を介して造粒された造粒体からなるものとしたことを
特徴としている。
【0010】そして、本発明に係わるFe−Si系軟磁
性焼結合金用原料粒体の実施態様においては、請求項2
に記載しているように、Fe−Si系微細粉末のSi含
有量が8〜80重量%であるものとすることができる。
【0011】同じく、本発明に係わるFe−Si系軟磁
性焼結合金用原料粒体の実施態様においては、請求項3
に記載しているように、Fe微細粉末とFe−Si系微
細粉末との配合割合は、Si含有量が4.5〜13重量
%のけい素鉄となるものにしているようになすことがで
きる。
【0012】同じく、本発明に係わるFe−Si系軟磁
性焼結合金用原料粒体の実施態様においては、請求項4
に記載しているように、有機バインダは、ポリビニルア
ルコール(PVA),ポリビニルブチラール(PVB)
のうちから選ばれ、有機溶剤は、メチルアルコール(メ
タノール),エチルアルコール(エタノール)のうちか
ら選ばれるものとすることができる。
【0013】同じく、本発明に係わるFe−Si系軟磁
性焼結合金用原料粒体の実施態様においては、請求項5
に記載しているように、造粒体の平均粒径が40μm〜
1mmであるものとすることができる。
【0014】同じく、本発明によるFe−Si系軟磁性
焼結合金用原料粒体の実施態様においては、請求項6に
記載しているように、請求項1ないし5のいずれかに記
載の造粒体が解砕された整粒体よりなり、平均粒径が1
00メッシュ(約150μm)以下であるものとしたこ
とを特徴としている。
【0015】本発明に係わるFe−Si系軟磁性焼結合
金用原料粒体の製造方法は、請求項7に記載しているよ
うに、350メッシュ(約40μm)以下のFe微細粉
末と、350メッシュ(約40μm)以下のFe−Si
系微細粉末を有機バインダおよび/または有機溶剤を介
して造粒して平均粒径が40μm〜1mmである造粒体
となし、場合によってはさらに前記造粒体を解砕して平
均粒径が100メッシュ(約150μm)以下である整
粒体とするようにしたことを特徴としている。
【0016】そして、本発明に係わるFe−Si系軟磁
性焼結合金用原料粒体の製造方法の実施態様において
は、請求項8に記載しているように、Fe微細粉末とF
e−Si系微細粉末との配合割合は、Si含有量が4.
5〜13重量%のけい素鉄となるものにしているように
なすことができる。
【0017】同じく、本発明に係わるFe−Si系軟磁
性焼結合金用原料粒体の製造方法の実施態様において
は、請求項9に記載しているように、有機バインダは、
ポリビニルアルコール(PVA),ポリビニルブチラー
ル(PVB)のうちから選ばれ、有機溶剤は、メチルア
ルコール(メタノール),エチルアルコール(エタノー
ル)のうちから選ばれるものとすることができる。
【0018】本発明に係わるFe−Si系軟磁性焼結合
金部材の製造方法は、請求項10に記載しているよう
に、請求項1ないし6のいずれかに記載のFe−Si系
軟磁性焼結合金用原料粒体を1150〜1350℃で焼
成して焼結するようにしたことを特徴としている。
【0019】そして、本発明に係わるFe−Si系軟磁
性焼結合金部材の製造方法の実施態様においては、請求
項11に記載しているように、Fe−Si系微細粉末と
してアトマイズ粉末を用い、Fe−Si系微細粉末表面
のSiO2と、Fe微細粉末表面のFeOないしは必要
に応じて適宜微量添加したFeOとで焼成時に低融点化
合物(Fe2SiO4)を生じさせて蒸発させることによ
り脱酸を促進するようになすことができる。
【0020】同じく、本発明に係わるFe−Si系軟磁
性焼結合金部材の製造方法の実施態様においては、請求
項12に記載しているように、焼成温度を1200℃以
上として脱炭を促進するようになすことができる。
【0021】同じく、本発明に係わるFe−Si系軟磁
性焼結合金部材の製造方法の実施態様においては、請求
項13に記載しているように、Fe−Si系軟磁性焼結
合金部材の理論密度比が98%以上、C含有量が0.0
2重量%以下、O含有量が0.2重量%以下のものとす
ることが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明によるFe−Si系軟磁性
焼結合金用原料粒体は、350メッシュ(約40μm)
以下のFe微細粉末と、350メッシュ(約40μm)
以下のFe−Si系微細粉末が有機バインダおよび/ま
たは有機溶剤を介して造粒された造粒体からなるもので
あり、特に有機バインダや有機溶剤に水を添加してスラ
リー状としないものとしたことを特徴とするものである
が、このうち、350メッシュ(約40μm)以下のF
e微細粉末としては、インゴットなどの固体(塊状体)
の機械的粉砕による破砕粉末や、化合物の熱分解による
カルボニル鉄粉や、ガス噴霧,水噴霧,ガス+水(ミス
ト)噴霧,ガス噴霧後の水噴霧,ガス噴霧後の水冷却な
どによるアトマイズ粉末等々において、これらを350
メッシュ(約40μm)以下に分級したものを用いるこ
とができる。
【0023】また、350メッシュ(約40μm)以下
のFe−Si系微細粉末としては、インゴットなどの固
体(塊状体)の機械的粉砕による破砕粉末や、ガス噴
霧,水噴霧,ガス+水(ミスト)噴霧,ガス噴霧後の水
噴霧,ガス噴霧後の水冷却などによるアトマイズ粉末等
々において、これらを350メッシュ(約40μm)以
下に分級したものを用いることができる。
【0024】そして、このFe−Si系微細粉末におい
ては、Si含有量が8〜80重量%であるものとするこ
とが場合によっては望ましく、Si含有量が8重量%よ
りも少ないとFe微細粉末とFe−Si系微細粉末との
混合による高けい素鉄(例えば、6.5%けい素鉄)の
製造に際してFe微細粉末の配合量がFe−Si系微細
粉末の配合量に比べ相対的に少なくなりすぎることとな
るので好ましくなく、また、Si含有量が80重量%よ
りも多いとFe微細粉末とFe−Si系微細粉末との混
合によるけい素鉄(例えば、4.5%けい素鉄)の製造
に際してFe微細粉末の配合量がFe−Si系微細粉末
の配合量に比べ相対的に多くなりすぎることとなるので
好ましくない。
【0025】Fe微細粉末とFe−Si系微細粉末との
造粒に際して用いられる有機バインダおよび/または有
機溶剤のうち、有機バインダとしては、ポリビニルアル
コール(PVA),ポリビニルブチラール(PVB)な
どがあり、0.5〜2重量%程度配合され、また、有機
溶剤としては、メチルアルコール(メタノール),エチ
ルアルコール(エタノール)などがあり、5〜20重量
%程度配合され、あるいはまた、150〜170℃程度
に昇温したホットメルトのものとして使用することも可
能である。また、可塑剤としてフタル酸ジブチル等を用
いることによりさらに効果的である。
【0026】そして、これらFe微細粉末とFe−Si
系微細粉末と有機バインダおよび/または有機溶剤との
攪拌に際しては、適宜の攪拌機、例えば、ニーダや、二
重コーン型ブレンダや、V型ブレンダ,気流攪拌機など
が用いられる。
【0027】このようにして得られた造粒体の大きさと
しては、平均粒径が40μm〜1mm程度となっている
ものとすることが好ましく、40μmよりも小さいと流
動性が悪くなり、複雑形状品のプレス成形に適さない傾
向となり、1mmよりも大きいと複雑形状品の細部の形
状を出すことができなくなるので、大きすぎる場合には
適宜解砕したものとすることも必要に応じて望ましい。
【0028】そして、Fe−Si系軟磁性焼結合金部材
の製造に際しては、上記の造粒体を用いて行うことも可
能ではあるが、場合によっては、この造粒体を解砕して
平均粒径が100メッシュ(約150μm)以下の整粒
体として用いるようになすことも望ましく、このような
整粒体を用いることによって圧粉密度を高めた焼結用圧
粉成形体とすることができるようになる。
【0029】この圧粉成形体の成形に際しては、プレス
型や射出成形型などの適宜の成形装置が用いられる。
【0030】この圧粉成形体は、より望ましくは、11
50〜1350℃の温度で焼成されることによって焼結
してFe−Si系軟磁性焼結合金部材となる。
【0031】そして、焼結後のFe−Si系軟磁性焼結
合金部材は、Si含有量が4.5〜13重量%のけい素
鉄であるものとすることが望ましく、Si含有量が4.
5重量%よりも少ないと電気抵抗が低くかつまた加工性
が良いので通常の加工により部材の成形が可能となるた
め本発明の効果を発揮しがたい傾向となり、また、Si
含有量が13重量%よりも多いと電気抵抗は増加せず成
形性が悪化するので好ましくない。
【0032】前記圧粉成形体の焼成に際して、アトマイ
ズ時に生成したFe−Si系微細粉末表面のSiO
2と、Fe微細粉末表面のFeOないしは必要に応じて
適宜微量添加したFeOとで焼成時に図1に示すような
SiO2,FeOそれぞれの融点よりもかなり融点が低
い低融点化合物(Fe2SiO4)を生じさせて蒸発させ
ることにより、脱酸を促進し、焼結体中のO含有量がで
きるだけ少ないものとなるようにして、高密度のFe−
Si系軟磁性焼結合金部材を得ることができるようにす
ることも望ましい。
【0033】また、焼成温度を高くすることによって脱
炭も促進されるので、焼成温度は例えば1200℃以上
の高い温度とすることも必要に応じて望ましい。
【0034】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明はこのような実施例のみに限定されないことはい
うまでもない。 (実施例1)平均粒径が2μmであるカルボニル鉄粉よ
りなるFe微細粉末:60重量部と、平均粒径が18μ
mである水アトマイズ粉末よりなるFe−18重量%S
i微細粉末:30重量部と、有機バインダとしてポリビ
ニルアルコール(PVA):1重量部と、有機溶剤とし
てメチルアルコール(メタノール):9重量部を配合
し、V型ブレンダを用いて混合することによって、粒径
が40μm〜1mmの造粒体を得た。
【0035】ここで得た造粒体を観察したところ、図2
の(I)(II)(III)に倍率を順次拡大して示す
とおり、Fe微細粉末とFe−18重量%Si微細粉末
とが有機バインダ(PVA)および有機溶剤(メタノー
ル)を介して良好に造粒されたものとなっていた。
【0036】次いで、この造粒体を解砕して約80μm
の整粒体としたのち、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛:
10重量%を添加し、加圧力:7tonf/cm2で加
圧して外径:28mm,内径:20mm,高さ:10m
mのリング形状をなす圧粉成形体を得た。このときの圧
粉成形体の密度は表1に示すように5.85g/cm 3
であった。
【0037】次いで、圧粉成形体に対し、真空中、12
00℃,1250℃,1300℃の各温度で各々2時間
の焼成を行って、本発明実施例1のFe−Si系軟磁性
焼結合金部材(リング状焼結体)を得た。
【0038】次いで、ここで得たFe−Si系軟磁性焼
結合金部材のSi,C,O含有量を測定したところ、同
じく表1に示す結果であった。
【0039】また、理論密度比および磁気特性を調べた
ところ、同じく表1に示す結果であった。
【0040】
【表1】
【0041】表1に示すように、焼結体中のC含有量は
0.01〜0.05重量%と少なく、O含有量は0.0
15〜0.039重量%とかなり少なく、理論密度比は
98.9〜99.5%と高くなっていて高密度化してお
り、磁気特性も良好な値を有するものであった。
【0042】(実施例2)平均粒径が19μmである水
アトマイズ鉄粉よりなるFe微細粉末:75重量部と、
平均粒径が20μmであるガス+水(ミスト)アトマイ
ズ粉末よりなるFe−13重量%Si微細粉末:15重
量部と、有機バインダとしてポリビニルアルコール(P
VA):1重量部と、有機溶剤としてメチルアルコール
(メタノール):9重量部を配合し、V型ブレンダを用
いて混合したのち乾燥して、粒径が40μm〜1mmの
造粒体を得た。
【0043】ここで得た造粒体を観察したところ、図2
の(I)(II)(III)に示したと同様に、Fe微
細粉末とFe−13重量%Si微細粉末とが有機バイン
ダ(PVA)および有機溶剤(メタノール)を介して良
好に造粒されたものとなっていた。
【0044】次いで、この造粒体を解砕して平均粒径が
約80μmの整粒体としたのち、潤滑剤としてステアリ
ン酸亜鉛:1重量%を添加し、加圧力:7tonf/c
2で加圧して外径:28mm,内径:20mm,高
さ:10mmのリング形状をなす圧粉成形体を得た。こ
のときの圧粉成形体の密度は表2に示すように5.91
〜5.95g/cm3であった。
【0045】次いで、圧粉成形体に対し、真空中、11
50℃,1250℃,1350℃の各温度で各々2時間
の焼成を行って、本発明実施例2のFe−Si系軟磁性
焼結合金部材(リング状焼結体)を得た。
【0046】次いで、ここで得たFe−Si系軟磁性焼
結合金部材のSi,C,O含有量を測定したところ、同
じく表2に示す結果であった。
【0047】また、理論密度比および磁気特性を調べた
ところ、同じく表2に示す結果であった。
【0048】
【表2】
【0049】表2に示すように、焼結体中のC含有量は
0.003〜0.008重量%とかなり少なく、焼結温
度が高い場合にC含有量がより少なくなっており、ま
た、O含有量は0.050〜0.190重量%とかなり
少なく、理論密度比は99.1〜99.4%とかなり高
くなっていて高密度化しており、磁気特性も良好な値を
有するものであった。
【0050】(比較例1)平均粒径が20μmである水
アトマイズ粉末よりなるFe−6.5重量%Si粉末
に、有機バインダとしてポリビニルブチラール(PV
B):1.5重量%を添加して造粒した後、潤滑剤とし
てステアリン酸亜鉛:1重量%を添加し、加圧力:7t
onf/cm2で加圧して外径:28mm,内径:20
mm,高さ:10mmのリング形状をなす圧粉成形体を
得た。このときの圧粉成形体の密度は表3に示すように
5.64g/cm3であった。
【0051】次いで、圧粉成形体に対し、真空中、11
50℃,1250℃,1350℃の各温度で各々2時間
の焼成を行って、本発明比較例1のFe−Si系軟磁性
焼結合金部材(リング状焼結体)を得た。
【0052】次いで、ここで得たFe−Si系軟磁性焼
結合金部材のSi,C,O含有量を測定したところ、同
じく表3に示す結果であった。
【0053】また、理論密度比および磁気特性を調べた
ところ、同じく表3に示す結果であった。
【0054】
【表3】
【0055】表3に示すように、焼結体中のC含有量は
0.011〜0.056重量%であり、O含有量は0.
23〜0.40重量%とかなり多く、理論密度比は9
8.5〜99.4%と高い値が得られたが、磁気特性の
うち、磁束密度は本発明実施例1,2のものよりも低
く、透磁率も本発明実施例1,2のものよりも低く、保
磁力は本発明実施例1,2のものよりも大きくなってい
て、磁気特性にや々や劣るものであった。。
【0056】
【発明の効果】本発明によるFe−Si系軟磁性焼結合
金用原料粒体では、請求項1に記載しているように、3
50メッシュ(約40μm)以下のFe微細粉末と、3
50メッシュ(約40μm)以下のFe−Si系微細粉
末が有機バインダおよび/または有機溶剤を介して造粒
された造粒体からなるものとしたから、鋳造法による問
題点をなくし、また、焼結法によるときであっても成分
のばらつきや寸法精度の低下が生じない磁気特性の良好
な高密度Fe−Si系軟磁性焼結合金部材の製造に適し
た粒体原料を提供することが可能であるという著しく優
れた効果がもたらされる。
【0057】そして、請求項2に記載しているように、
Fe−Si系微細粉末のSi含有量が8〜80重量%で
あるものとすることによって、難加工性の4.5〜13
%けい素鉄とする場合のFe微細粉末とFe−Si系微
細粉末との配合比をバランスの良いものとすることが可
能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0058】また、請求項3に記載しているように、F
e微細粉末とFe−Si系微細粉末との配合割合は、S
i含有量が4.5〜13重量%のけい素鉄となるものに
することによって、難加工性材料である4.5%けい素
鉄や6.5%けい素鉄の製造に適したFe−Si系軟磁
性焼結合金部材用の原料粒体とすることが可能であると
いう著しく優れた効果がもたらされる。
【0059】さらにまた、請求項4に記載しているよう
に、有機バインダは、ポリビニルアルコール(PV
A),ポリビニルブチラール(PVB)のうちから選ば
れ、有機溶剤は、メチルアルコール(メタノール),エ
チルアルコール(エタノール)ののうちから選ばれるも
のとすることによって、Fe−Si系軟磁性焼結合金部
材用の原料として適した造粒体ないしは整粒体原料を提
供することが可能であるという著しく優れた効果がもた
らされる。
【0060】さらにまた、請求項5に記載しているよう
に、造粒体の平均粒径が40μm〜1mmであるものと
することによって、Fe−Si系軟磁性焼結合金部材用
に適した原料粒体を提供することが可能であるという著
しく優れた効果がもたらされる。
【0061】さらにまた、請求項6に記載しているよう
に、請求項1ないし5のいずれかに記載の造粒体が解砕
された整粒体よりなり、平均粒径が100メッシュ(約
150μm)以下であるものとすることによっても、F
e−Si系軟磁性焼結合金部材用に適した原料粒体を提
供することが可能であるという著しく優れた効果がもた
らされる。
【0062】本発明によるFe−Si系軟磁性焼結合金
用原料粒体の製造方法によれば、請求項7に記載してい
るように、350メッシュ(約40μm)以下のFe微
細粉末と、350メッシュ(約40μm)以下のFe−
Si系微細粉末を有機バインダおよび/または有機溶剤
を介して造粒して平均粒径が40μm〜1mmである造
粒体となし、場合によってはさらに前記造粒体を解砕し
て平均粒径が100メッシュ(約150μm)以下であ
る整粒体とするようにしたから、Fe−Si系軟磁性焼
結合金部材に適した焼結用原料粒体を製造することが可
能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0063】そして、請求項8に記載しているように、
Fe微細粉末とFe−Si系微細粉末との配合割合は、
Si含有量が4.5〜13重量%のけい素鉄となるもの
にすることによって、難加工性材料である4.5%けい
素鉄や6.5%けい素鉄の原料粉末に適したFe−Si
系軟磁性焼結合金用原料粒体を製造することが可能であ
るという著しく優れた効果がもたらされる。
【0064】また、請求項9に記載しているように、有
機バインダは、ポリビニルアルコール(PVA),ポリ
ビニルブチラール(PVB)のうちから選ばれ、有機溶
剤は、メチルアルコール(メタノール),エチルアルコ
ール(エタノール)のうちから選ばれるものとすること
によって、Fe−Si系軟磁性焼結合金部材用の原料と
して適した造粒体ないしは整粒体原料を製造することが
可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0065】本発明によるFe−Si系軟磁性焼結合金
部材の製造方法によれば、請求項10に記載しているよ
うに、請求項1ないし6のいずれかに記載のFe−Si
系軟磁性焼結合金用原料粒体を1150〜1350℃で
焼成して焼結するようにしたから、成分のばらつきや寸
法精度の低下が生じない磁気特性の良好な高密度Fe−
Si系軟磁性焼結合金部材を製造することが可能である
という著しく優れた効果がもたらされる。
【0066】そして、請求項11に記載しているよう
に、Fe−Si系微細粉末としてアトマイズ粉末を用
い、Fe−Si系微細粉末表面のSiO2と、Fe微細
粉末表面のFeOないしは必要に応じて適宜微量添加し
たFeOとで焼成時に低融点化合物(Fe2SiO4)を
生じさせて蒸発させることにより脱酸を促進するように
なすことによって、焼結体中の酸素含有量が少ない磁気
特性の良好なFe−Si系軟磁性焼結合金部材を製造す
ることが可能であるという著しく優れた効果がもたらさ
れる。
【0067】また、請求項12に記載しているように、
焼成温度を1200℃以上として脱炭を促進するように
なすことによって、焼結体中の炭素含有量が少ない磁気
特性に優れたFe−Si系軟磁性焼結合金部材を製造す
ることが可能であるという著しく優れた効果がもたらさ
れる。
【0068】さらにまた、請求項13に記載しているよ
うに、Fe−Si系軟磁性焼結合金部材の理論密度比が
98%以上、C含有量が0.02重量%以下、O含有量
が0.2重量%以下のものとすることによって、磁気特
性に優れたものとすることができ、電磁石コアとして使
用した場合に飽和磁束密度(磁化の強さ)が大であると
共にコアロスが少ないものとすることが可能であり、ま
た、アクチュエータのプランジャとして使用した場合に
電気−駆動変換効率の高いものにすることが可能である
という著しく優れた効果がもたらされる。
【0069】
【図面の簡単な説明】
【図1】SiO2−FeO二元系状態図である。
【図2】本発明の実施例1によるFe−Si系軟磁性焼
結合金用原料造粒体の倍率を変えて示す模写図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/02 B22F 9/04 E // B22F 9/04 3/00 E

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 350メッシュ(約40μm)以下のF
    e微細粉末と、350メッシュ(約40μm)以下のF
    e−Si系微細粉末が有機バインダおよび/または有機
    溶剤を介して造粒された造粒体からなることを特徴とす
    るFe−Si系軟磁性焼結合金用原料粒体。
  2. 【請求項2】 Fe−Si系微細粉末のSi含有量が8
    〜80重量%である請求項1に記載のFe−Si系軟磁
    性焼結合金用原料粒体。
  3. 【請求項3】 Fe微細粉末とFe−Si系微細粉末と
    の配合割合は、Si含有量が4.5〜13重量%のけい
    素鉄となるものにしている請求項1または2に記載のF
    e−Si系軟磁性焼結合金用原料粒体。
  4. 【請求項4】 有機バインダは、ポリビニルアルコール
    (PVA),ポリビニルブチラール(PVB)のうちか
    ら選ばれ、有機溶剤は、メチルアルコール(メタノー
    ル),エチルアルコール(エタノール)のうちから選ば
    れる請求項1ないし3のいずれかに記載のFe−Si系
    軟磁性焼結合金用原料粒体。
  5. 【請求項5】 造粒体の平均粒径が40μm〜1mmで
    ある請求項1ないし4のいずれかに記載のFe−Si系
    軟磁性焼結合金用原料粒体。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の造
    粒体が解砕された整粒体よりなり、平均粒径が100メ
    ッシュ(約150μm)以下であることを特徴とするF
    e−Si系軟磁性焼結合金用原料粒体。
  7. 【請求項7】 350メッシュ(約40μm)以下のF
    e微細粉末と、350メッシュ(約40μm)以下のF
    e−Si系微細粉末を有機バインダおよび/または有機
    溶剤を介して造粒して平均粒径が40μm〜1mmであ
    る造粒体となし、場合によってはさらに前記造粒体を解
    砕して平均粒径が100メッシュ(約150μm)以下
    である整粒体とすることを特徴とするFe−Si系軟磁
    性焼結合金用原料粒体の製造方法。
  8. 【請求項8】 Fe微細粉末とFe−Si系微細粉末と
    の配合割合は、Si含有量が4.5〜13重量%のけい
    素鉄となるものにしている請求項7に記載のFe−Si
    系軟磁性焼結合金用原料粒体の製造方法。
  9. 【請求項9】 有機バインダは、ポリビニルアルコール
    (PVA),ポリビニルブチラール(PVB)のうちか
    ら選ばれ、有機溶剤は、メチルアルコール(メタノー
    ル),エチルアルコール(エタノール)のうちから選ば
    れる請求項7または8に記載のFe−Si系軟磁性焼結
    合金用原料粒体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし6のいずれかに記載の
    Fe−Si系軟磁性焼結合金用原料粒体を1150〜1
    350℃で焼成して焼結することを特徴とするFe−S
    i系軟磁性焼結合金部材の製造方法。
  11. 【請求項11】 Fe−Si系微細粉末としてアトマイ
    ズ粉末を用い、Fe−Si系微細粉末表面のSiO
    2と、Fe微細粉末表面のFeOないしは必要に応じて
    適宜微量添加したFeOとで焼成時に低融点化合物(F
    2SiO4)を生じさせて蒸発させることにより脱酸を
    促進する請求項10に記載のFe−Si系軟磁性焼結合
    金部材の製造方法。
  12. 【請求項12】 焼成温度を1200℃以上として脱炭
    を促進する請求項10または11に記載のFe−Si系
    軟磁性焼結合金部材の製造方法。
  13. 【請求項13】 Fe−Si系軟磁性焼結合金部材の理
    論密度比が98%以上、C含有量が0.02重量%以
    下、O含有量が0.2重量%以下である請求項10ない
    し12のいずれかに記載のFe−Si系軟磁性焼結合金
    部材の製造方法。
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