JPH09316410A - 易引裂性巻回粘着テープの製法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 小売り用の細幅巻回粘着テープにおいて、端
縁線に沿って易引裂用の微細な傷痕群を密集して設ける
加工を、簡易な装置を用いて容易に行い、原反のまま小
巻き用紙管に巻回し、後に輪切りにする工程を用いる。 【解決手段】 プラスチック基材からなるシートの一方
の面に、粘着剤が施されている原反を、粘着剤層を内側
にして小巻ロールの紙管に巻取る際に、外周に微細な加
工突起群を間欠的に設けた加工ロールを、巻取り中の小
巻ロールの最外層のフィルムに直接押圧し、突起群を転
写すると共に、巻回後、転写部を切断する。更に、加工
ロールの加工突起群を設けた各部位において、中央部の
径が、連続的に端部より拡大している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、０.6〜５ｃｍの細
幅粘着テープ、特に小売り商品を小袋詰めし、袋口を結
紮するための細幅の易引裂性巻回粘着テープの製法及び
易引裂加工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】農生産物、菓子類をはじめ、粉末状、顆
粒状、粒状、多数の小型商品、運搬中に形状が崩れるお
それのある商品、２個以上の商品等を小売りする場合に
は、汚染や分散を避けるために袋に充填し、袋口を細幅
の粘着テープで結紮して販売されている。袋口結紮用の
粘着テープは紙管に巻回されて販売され、営業用の結紮
用機器に装着して使用されている。袋口結紮用テープ
は、内容物を取出すまでの間に袋が開封しない程度の強
度が要求されるため、易引裂性のよい紙やセロファンは
野菜のような湿気の多い商品の場合には強度が不足し、
主としてプラスチックフィルムを基材とする比較的高強
度の粘着テープが使用されている。しかしながら、基材
の強度が大きいと開封する際に抵抗が大きく、手で破る
ことは不可能で、多くの場合刃物を使用しなければ開封
することができなかった。

【０００３】粘着テープに強度を損なわない範囲で易引
裂性を付与するために、プラスチックフィルム原反の、
製品にした場合に粘着テープの端縁部となる部位に前も
って微細を傷痕群を密集して散在させる方法を試みた。
しかしながら、この方法によると巻回に伴う巻き軸の横
ブレに起因して、傷痕群を加工した部位の位置が蛇行す
る。そのため最終製品の紙管にまとめて巻回した後、輪
切りにして製品とする方法を採用できず、１本ずつ加工
し１本ずつ小巻きするためその手間が煩雑であって現実
に実施することができなかった。

【０００４】一方、フィルム全体にムラなく微細な気泡
或いは微細な傷痕を設ける方法もあるが、この場合には
フィルム全体の強度を低下させないため、傷痕や気泡を
微細かつ均等に散在させることを要し、機械設備が高価
になった。更に、この特殊フィルムは粘着剤が微細な傷
痕や気泡から浸出するおそれもあり、傷痕や気泡の大き
さの制御が困難で現実に使用されなかった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明者は袋結紮用の
巻回テープの端縁部のみに微細な傷痕群を密集して設
け、テープの強度を損なうことなく、必要時に手で引裂
ける易引裂性を付与した袋口結紮用のテープを種々検討
した。単なるフィルムと異なり、粘着フィルムは粘着剤
塗布後に易引裂加工を行うと易引裂加工の際の加工台に
粘着剤が付着し、作業が困難なばかりでなく粘着剤塗布
面の均一性も阻害される。

【０００６】細幅粘着テープの場合は効率、作業性等を
考慮すると原反の広幅のまま小巻ロールに巻回した後、
輪切りにする方式をとらざるを得ない。輪切りにする場
合は易引裂加工がロールの一直線に重なった巻取出りで
なくてはならない。プラスチックフィルムやプラスチッ
クシートは印刷工程、粘着剤塗布工程、巻取りによる引
張りテンション、加工工程のローラの予熱等によって縦
横共相当量の伸縮が発生し、中間工程での易引裂加工は
不可能に近い。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
することを目的とし、その構成は、プラスチック基材か
らなるシートの一方の面に粘着剤が施されている原反
を、粘着剤層を内側にして小巻ロールの紙管に巻取る際
に、外周に微細な加工突起群を間欠的に設けた加工ロー
ルを、巻取り中の小巻ロールの最外層のフィルムに直接
押圧し、突起群を転写すると共に、巻回後、転写部を切
断することを特徴とし、好ましくは加工ロールの加工突
起群を設けた各部位において、中央部の径が、連続的に
端部より拡大していることを特徴とする。更に、上記加
工を行うための、外周に微細な加工突起群を間欠的に設
けた加工ロールであって、該加工ロールの加工突起群を
設けた部位において、中央部の径が端部の径より連続的
に拡大している巻回粘着テープの易引裂加工具である。

【０００８】本発明は従来の結紮用粘着テープの製造工
程をそのまま利用して、易引裂加工を行い、従来の結紮
用テープとほとんど変わらない作業工程で易引裂加工済
みの粘着テープを提供することを目的とする。本発明
は、粘着テープ用の基材原反の一方の面の全面に粘着剤
を塗布し、従来の工程通り、これを最終製品の小巻用の
紙管に巻回し、しかる後巻回された粘着フィルムを紙管
ごと輪切りにし、一挙に多数の巻回粘着テープを得るも
のである。しかも、易引裂加工を行うにあたり、紙管及
びこれに巻回された粘着フィルム層を作業台として利用
する。粘着フィルムは粘着剤が塗布されているため、巻
回されたフィルム同士が密に粘着し相互に位置ずれし難
く、加工位置の精度が向上する。幅９ｍｍ程度の、特に
幅の狭い粘着テープを得るためには、小巻ロールの横ゆ
れは許されない。

【０００９】更に外周に微細な突起群を有する部位は易
引裂加工部の径が連続的に端部より拡大していると、易
引裂加工部の中央部は強く押圧され深い傷痕群が生じ、
その周囲は連続的に浅い傷痕群となり、最終製品を製造
する際に、非加工部を正確に切断すると端部のみに確実
な易引裂加工が施され、非加工部はそのままの強靱なフ
ィルムであり、その中間部は弱い易引裂加工がなされて
いる理想的な易引裂性巻回粘着テープが得られる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明における巻回粘着テープと
は、幅８〜９ｍｍ、１.5ｍｍ、２ｍｍ或いはそれ以上の
比較的幅の狭い粘着テープである。基材は一般にプラス
チックフィルムであり、プラスチックフィルムと紙、ア
ルミニウム箔等の他の基材との積層品も含まれる。本発
明の巻回テープは一方の面に粘着剤が塗布されている。

【００１１】図１は粘着剤を塗布した原反を小巻ロール
に巻回している斜視図である。１は原反ロールであり、
粘着剤塗布面２を内側にして巻回されている。３は原反
ロール１の紙管である。４は小巻ロールであり、小巻ロ
ール４の紙管３’内を貫通する回転軸（図示を省略す
る）を図１においては矢印に示す方向に回転させること
により、粘着剤塗布面２を内側にして巻回することがで
きる。５は加工ロールであり小巻ロール４と反対方向に
同一周速度で回転させる。図示を省略したが、紙管３及
び紙管３’の中心、加工ロール５の中心にも回転軸が貫
通している。

【００１２】或いは、粘着剤コーターから引き出された
基材原反をそのまま小巻ロールに供給することもでき
る。また、外周を弾性体を被覆した２個の同方向に回転
する回転ロールを並列に並べ、この２個のロールにより
形成された凹部に小巻ロールの紙管を直接載置すると粘
着面が紙管に巻きつき、小巻ロールは回転しながら原反
ロールから供給されるフィルムを巻回する。この際、小
巻ロールの上から加工ロール５で直接押圧することもで
きる。

【００１３】加工ロール５には外周面に微細な加工突起
群６を密集して設けた易引裂加工部７と加工突起を設け
ない非加工部８とが交互に存在する。易引裂加工部７に
は微細な工業用ダイヤモンド、アランダム、その他の砥
粒を先端を突出させて埋設したものがよい。また、焼入
れ前の金属に刃物を用いて突起を突出させた後、焼入れ
して硬質の加工突起を密集して設けることもできる。要
するに小巻ロール４と接触して回転するとき表面の突起
群を小巻ロール４に巻回されつつある粘着フィルムの非
粘着面に転写できるものであればよい。したがって、加
工ロール５にはスプリング、錘、その他の手段で押圧力
を印加している。一般には加工ロール５の回転軸に押圧
力を加えている。加工ロール５及び小巻ロール４は揺動
防止、特に横揺れ防止装置を設ける。

【００１４】図２は巻き終わった小巻ロールの側面図で
ある。本実施例においては加工突起群を転写され、すな
わち易引裂加工された転写部９と非転写部１０が交互に
存在する。更に小巻ロール４は巻き始めから巻き終わり
まで微細な傷痕群を有する転写部９の位置が正確に重な
っているように注意することを要する。図２における転
写部９の矢印で示す部位、すなわち、可及的に中央部を
大型の切断刃で輪切りにすることにより両端に易引裂加
工を施された図３に示す形状の易引裂性巻回粘着テープ
が得られる。このテープは非転写部１０には突起を転写
された傷痕は一切存在しないため、必要な強度が維持さ
れ、テープを破る必要が生じた場合にはテープ端部に指
で応力を集中させれば容易に破ることができる。

【００１５】図２においては各転写部９の中央部を切断
しているが、転写部９の間隔を２倍にし、全部の加工部
９の中央と、全部の非転写部１０の中央とを切断する
と、同一幅の巻回粘着テープであって、一方の端部にの
み易引裂加工が施されたテープが得られる。このテープ
もテープの一端には易引裂加工が施されているのである
から必要に応じ充分な易引裂性を有する。

【００１６】図４は加工ロール５の他の実施態様を示す
断面図、図５（Ａ）は加工ロールに使用する加工円盤の
平面図、図５（Ｂ）は図５（Ａ）の側面図である。巻回
粘着テープのテープ幅は製品によって変動するものであ
るから、テープに従って加工ロール５の易引裂加工部７
の間隔も変動する。図４においては、易引裂加工部７と
して多数の図５に示すような加工円盤１１を用意し、こ
の加工円盤１１と非加工部８と等しい間隔のスペーサー
１２を、回転軸１３に交互に挿入し固定する。１４は加
工円盤１１の中心に回転軸１３を挿入するために設けた
穿孔であり、１５は回転軸１３と加工円盤１１との相互
の回動を防止するための回動止め係合部である。

【００１７】同一加工ロールについては、使用するスペ
ーサーの幅は同一であるが、異なる幅のスペーサーに代
えることにより非転写部の幅を自由に代えることが可能
であり、容易に異なる幅の粘着テープを得ることができ
る。回転軸１３の円周面に軸方向に延長する突起部を設
け、この突起部と回動止め係合部１５を係合させて回転
軸１３に加工円盤１１とスペーサー１２とを交互に挿入
して両端を固定すれば回転軸１３がたとえ激しく回転し
ても回転軸に対して加工円盤１１が回動するおそれはな
い。

【００１８】更に図５に示すように加工円盤１１の円周
面の中央部の径が連続的に端部より突出している盛り上
がり部１６を設けると、加工すべき部位の中央部が特に
深く加工され、製品巻回粘着テープの中央部に近づく程
傷痕が浅くなり、粘着テープ全体としての強度の低下が
少なく、引裂効果が向上する。盛り上がり部１６は図１
に示すような一体に成形され、分割できない加工ロール
であっても、加工突起群６を設けた易引裂加工部７に設
けることができる。

【００１９】

【実施例】幅約１ｍのポリプロピレン基材の一方の面に
粘着剤を塗布し、乾燥後紙管に巻回し、原反ロール１を
得た。この原反ロール１の紙管３を回転軸にセットし、
一端から巻出すようにした。小巻ロール４用の紙管３を
回転軸にセットし、小巻すると共に、小巻ロール４の真
上に加工ロール５をセットした。小巻ロール４の回転軸
にはスプリングにより押圧力を加え、小巻ロールの表面
に転写される傷痕群の深さを検出しながら直ちにその結
果をスプリングの押圧力の調整に反映させた。

【００２０】加工ロール５としては、図４に示すよう
に、回転軸１３を中心に、図５に示すような盛り上がり
部１６を有する厚さ４ｍｍの加工円盤１１と厚さ５ｍｍ
のスペーサー１２を交互に回動止め係合部１５の位置を
合わせて嵌合、挿入し、両端を固定した。小巻ロール４
と加工ロール５の横ブレを正確に調整した結果、加工ロ
ールの微細な突起群６は正確に小巻ロールに転写され、
巻き始めから巻き終わりまで同一位置に転写された転写
部９が設けられた。

【００２１】得られた小巻ロール４を図２に示す矢印の
位置で輪切りにしたところ、図３に示すような幅９ｍｍ
の袋口結紮用易引裂性巻回粘着テープが得られた。この
テープを市販の袋口結紮機に装着し、内容物としてみか
ん７個を充填したプラスチック袋の袋口を結紮したとこ
ろ、確実に結紮でき袋を乱暴に扱っても袋口が破れるこ
とはなかった。使用にあたり、テープの粘着面同士が粘
着している部位と、粘着面が袋用フィルムと粘着してい
る部位との境界部を指でつまんで引張ったところ、容易
にテープが横断方向に破れ、袋を開封することができ
た。

【００２２】

【発明の効果】本発明により、一方の面に粘着剤を塗布
したフィルムを原反のまま小巻ロールに巻回しながら易
引裂加工を施すことができ、小巻き後、輪切りにしても
易引裂加工を施した部位が所期の位置に正確に保たれ、
引裂性の改良された袋口結紮用巻回粘着テープを余分な
作業を加えることなく製造することに成功した。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は粘着剤を塗布した原反を小巻ロールに巻
回している斜視図である。

【図２】図２は巻き終わった小巻ロールの側面図であ
る。

【図３】図３は易引裂性巻回粘着テープの斜視図であ
る。

【図４】図４は加工ロールの他の実施例の断面図であ
る。

【図５】図５（Ａ）は加工ロールに使用する加工円盤の
平面図、（Ｂ）は（Ａ）の側面図である。

【符号の説明】

１ 原反ロール ２ 粘着剤塗布面 ３ 紙管 ４ 小巻ロール ５ 加工ロール ６ 加工突起群 ７ 易引裂加工部 ８ 非加工部 ９ 転写部 １０ 非転写部 １１ 加工円盤 １２ スペーサー １３ 回転軸 １４ 穿孔 １５ 回動止め係合部 １６ 盛り上がり部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラスチック基材からなるシートの一方
   の面に、粘着剤が施されている原反を、粘着剤層を内側
   にして小巻ロールの紙管に巻取る際に、外周に微細な加
   工突起群を間欠的に設けた加工ロールを、巻取り中の小
   巻ロールの最外層のフィルムに直接押圧し、突起群を転
   写すると共に、巻回後、転写部を切断することを特徴と
   する易引裂性巻回粘着テープの製法。
2. 【請求項２】 外周に微細な加工突起群を設けた複数の
   加工円盤を、スペーサーを介して一定間隔に固定した加
   工ロールを使用することを特徴とする請求項１記載の易
   引裂性巻回粘着テープの製法。
3. 【請求項３】 加工ロールの加工突起群を設けた各部位
   において、中央部の径が、連続的に端部より拡大してい
   ることを特徴とする請求項１または２記載の易引裂性巻
   回粘着テープの製法。
4. 【請求項４】 プラスチック基材からなるシートの一方
   の面に、粘着剤が施されている原反を、粘着剤層を内側
   にして小巻ロールの紙管に巻取る際に、外周に微細な加
   工突起群を間欠的に設けた、巻取り中の小巻ロールの最
   外層のフィルムに直接押圧し、突起群を転写する加工ロ
   ールであって、該加工ロールの加工突起群を設けた部位
   において、中央部の径が端部の径より連続的に拡大して
   いることを特徴とする巻回粘着テープの易引裂加工具。