JPH09316034A - (メタ)アクリル酸低級アルキルエステルの製造における低級アルキルアルコールの回収方法及びそのエステルの製造方法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルの製造における低級アルキルアルコールの回収方法及びそのエステルの製造方法

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JPH09316034A
JPH09316034A JP8158959A JP15895996A JPH09316034A JP H09316034 A JPH09316034 A JP H09316034A JP 8158959 A JP8158959 A JP 8158959A JP 15895996 A JP15895996 A JP 15895996A JP H09316034 A JPH09316034 A JP H09316034A
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sodium chloride
acrylic acid
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JP8158959A
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Shinji Okada
慎司 岡田
Takao Murakami
孝雄 村上
Hiroya Mishina
博矢 三品
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Toagosei Co Ltd
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Toagosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低級アルコールの抽出量を向上させ且つアク
リル酸エステルの抽出量を減少させた水層を得ることが
できる塩水抽出工程を備える低級アルコールの効率的な
回収方法を提供する。 【解決手段】 本発明の回収方法をアクリル酸エチルの
製造に適用する場合には、例えばアクリル酸とエタノー
ルとを触媒の存在下でエステル化反応させ、その後その
反応液を精留してエタノールを含む粗アクリル酸エチル
を得、次いで、粗アクリル酸エチル中のエタノールを濃
度5〜26%の塩化ナトリウム水溶液で抽出し、この抽
出塩水層からエタノールを蒸留により回収する。塩水抽
出後の塩水層と有機層との比重差は0.10〜0.15
とすることが好ましい。アクリル酸メチルの製造に適用
する場合には濃度8〜20%の塩化ナトリウム水溶液を
用いて抽出し、同比重差を0.07〜0.10とするこ
とが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル酸若しく
はメタクリル酸(以下、「(メタ)アクリル酸」とい
う。)の低級アルキルエステルの製造において、低級ア
ルキルアルコールを塩水で抽出し、この抽出塩水層から
この低級アルキルアルコールを蒸留により回収する方法
及びそのエステルの製造方法に関する。本発明は、例え
ば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エ
チル及び(メタ)アクリル酸プロピルの製造方法に特に
有効に利用される。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリル酸低級アルキルエステ
ルの製造方法において、粗エステル液から低級アルキル
アルコールを回収する方法として、水を抽出剤とする方
法が知られている(特開昭62−99345号公報)。
更に、この中で、水に食塩を添加してもよい旨の記載が
ある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、抽出剤として
水を用いる場合には、抽出後の有機層と水層との比重差
が十分に大きくないため、水層と有機液層とを十分に分
離することができなかった。更に、特開昭62−993
45号公報においては、食塩水を使用してもよい旨の記
載はあるものの、これは1行記載であって、食塩水濃度
と低級アルキルアルコール抽出効率及び油水の分離効率
等との関係についての具体的記載が全くない。
【0004】本発明は、(メタ)アクリル酸エステルの
抽出量を減少させるとともに低級アルキルアルコールの
抽出を効率的に行う塩水抽出工程を備えた、低級アルキ
ルアルコールの効率的な回収方法及びそのエステルの製
造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、水に変わる抽出剤として食塩水に着
目し、具体的にどの濃度で抽出するのが効率的か、更に
この抽出効率と油水層の比重差による分離効率との関係
等を総合的に考慮して、(メタ)アクリル酸低級アルキ
ルエステルの製造における最も適した塩水抽出条件を鋭
意検討した。その結果、所定濃度範囲の塩水を使用する
ことにより本目的を達成できることを見出して、本発明
は完成したものである。
【0006】本第1発明の、(メタ)アクリル酸低級ア
ルキルエステルの製造における低級アルキルアルコール
の回収方法(以下、単に「低級アルキルアルコールの回
収方法」又は「本回収方法」という。)は、(メタ)ア
クリル酸と低級アルキルアルコールとを触媒の存在下で
エステル化反応させ、その後、その反応液を精留して該
低級アルキルアルコールを含む粗(メタ)アクリル酸低
級アルキルエステルを得、次いで、該粗(メタ)アクリ
ル酸低級アルキルエステル中の該低級アルキルアルコー
ルを塩水で抽出し、この抽出塩水層から該低級アルキル
アルコールを蒸留により回収する方法であって、上記塩
水は、濃度5〜26重量%の塩化ナトリウム水溶液(以
下、塩水100重量部当たり塩化ナトリウムa重量部を
含有する塩水の濃度を、塩化ナトリウム濃度a%と表
す。)であることを特徴とする。上記塩水における塩化
ナトリウム濃度は8〜15%であることが好ましく、1
0〜12%であることが更に好ましい。
【0007】塩化ナトリウム濃度が5%未満の場合、例
えば図1に示すように、塩水層における低級アルキルア
ルコール抽出量が多くなる点では好ましい。しかし、こ
の場合には、例えば図2に示すように、(メタ)アクリ
ル酸低級アルキルエステルの抽出率が大きくなり、しか
も塩水の比重が小さくなるので好ましくない。一方、塩
化ナトリウム濃度が26%を超える場合、例えば図2に
示すように、塩水層における(メタ)アクリル酸低級ア
ルキルエステルの抽出量が少なくなる点では好ましい。
しかし、この場合には、塩水層における低級アルキルア
ルコール抽出量が少なくなり、しかも塩化ナトリウムの
溶解が不安定となる場合があり、これらの点において好
ましくない。
【0008】更に、本発明において抽出に塩化ナトリウ
ムの溶液を用いるのは、水のみの場合では、例えば図1
に示すように、低級アルキルアルコール抽出量が多くな
る点では好ましいが、例えば図2に示すように、水に溶
解する(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルの量が
極めて多くなり、両性能のバランスが極めて悪いためで
ある。また、塩の種類として塩化ナトリウムを選択した
のは、安価であり、しかも水に溶解し易く、比重を高め
るためにも優れるという理由からである。
【0009】また、上記塩水における塩化ナトリウム濃
度は、抽出後の塩水層と有機層との比重差が0.10〜
0.15となる濃度とすることが好ましい。この比重差
となる塩化ナトリウム濃度は、例えば図3に示すよう
に、8〜15%程度である。このような比重差とするこ
とにより、塩水層と有機層との分離効率を高めることが
できる。上記のようにして低級アルキルアルコールを塩
水層に抽出した後、通常の蒸留操作により上記塩水層か
ら低級アルキルアルコール成分を容易に回収することが
できる。塩水層から低級アルキルアルコール成分を回収
するための蒸留は、高圧、常圧又は減圧のいずれの圧力
下で行ってもよく、また温度についても特に制限はない
が、簡便で且つ効率の良い好ましい蒸留方法として、例
えばフラッシュ蒸留等がある。
【0010】尚、上記のように塩水層の蒸留により分別
して得られた塩水成分と低級アルキルアルコール成分と
は、前者を抽出用塩水として、後者を反応原料として、
それぞれ再利用することができる。上記塩水成分を抽出
用塩水として再利用する場合には、蒸留により得られる
塩水の濃度が抽出用塩水と同濃度となるように蒸留条件
を調節するか、或いは、蒸留により適当な濃度の塩水成
分を取得し、この塩水成分の濃度を調節して抽出用塩水
と同濃度とした後に使用すればよい。一方、蒸留により
回収された低級アルキルアルコール成分を反応原料とし
て再利用する場合には、これを精留工程により更に精製
すればよい。例えば、水との共沸物を留去する通常の精
留条件により、反応原料として問題なく使用可能な程度
に精製することができる。
【0011】本回収方法により回収された低級アルキル
アルコールが、反応原料として再利用可能であること
は、以下の回収例からも明らかである。即ち、メチルア
ルコールを含有する粗アクリル酸メチルから濃度10%
の塩水を用いて抽出した塩水層には、メチルアルコー
ル、アクリル酸メチル、MMP及び塩化ナトリウムが含
まれており、フラッシュ蒸留によりこの塩水から塩化ナ
トリウムを除去した後、常圧蒸留によりメチルアルコー
ル71%、アクリル酸メチル25%、MMP1%及び水
3%を含有する回収メチルアルコールを得た。また、エ
チルアルコールを含有する粗アクリル酸エチルに対して
も、上記と同様にしてエチルアルコール85%、アクリ
ル酸エチル9%及び水6%を含有する回収エチルアルコ
ールを得た。
【0012】上記回収メチルアルコール及び上記回収エ
チルアルコールは、いずれも反応原料として充分な高濃
度に低級アルキルアルコールを含有している。また、こ
れらの回収アルコール中においてアクリル酸低級アルキ
ルエステル以外に混在する他の不純物成分は、元々(メ
タ)アクリル酸と低級アルコールとのエステル化反応で
生成する化合物であり、しかもその混在量は僅かであ
る。従って、これらの回収アルコールをエステル化反応
液中に戻してもエステル化反応を何ら阻害することはな
く、円滑にエステル化反応を進行させることができる。
一例として、本回収方法を適用した場合の、粗(メタ)
アクリル酸低級アルキルエステルを合成し、この反応液
を精留して得た粗(メタ)アクリル酸低級アルキルエス
テルを塩水抽出して低級アルキルアルコールを回収し、
更にこの低級アルキルアルコールを反応原料として再利
用する工程を図10に示す。
【0013】本第3発明の(メタ)アクリル酸低級アル
キルエステルの製造方法は、アクリル酸若しくはメタク
リル酸と低級アルキルアルコールとを触媒の存在下でエ
ステル化反応させ、その後、その反応液を精留して該低
級アルキルアルコールを含む粗アクリル酸低級アルキル
エステル若しくは粗メタクリル酸低級アルキルエステル
を得、次いで、該粗アクリル酸低級アルキルエステル若
しくは粗メタクリル酸低級アルキルエステル中の該低級
アルキルアルコールを濃度5〜26%の塩化ナトリウム
水溶液により抽出し、この抽出塩水層から蒸留により回
収した該低級アルキルアルコールを上記エステル化反応
の原料として再利用することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を具体
的に説明する。 (1)粗アクリル酸エチル液中のエタノールの回収 まず、エステル化反応をさせて得た反応液を精留して得
た粗アクリル酸エチル液を準備する。この粗アクリル酸
エチル液(原液)の種類及び組成を表1〜6に示す。こ
の粗アクリル酸エチル液中のエタノール濃度は、同表に
示すように、20.17〜47.52%の範囲である。
そして、以下の方法により抽出を行い、その後、塩水層
からフラッシュ蒸留によりエタノールを回収した。抽出
に際しては、各粗アクリル酸エチル液の各表に示す量
と、所定濃度の塩化ナトリウム水溶液の各表に示す量と
を、200mlの大きさの分液ロートに入れ、これを振
盪機により5分間振盪し、更にこれを静置させて上層
(有機液層)と下層(水層)とに分離させた。このエタ
ノール量、アクリル酸エチル(EAともいう。)量及び
3−エトキシプロピオン酸エチル(EEPともいう。)
量はガスクロマトグラフィー法により、水量はカールフ
ィッシャー法により、塩化ナトリウム量は塩素イオンの
定量により求めた。
【0015】尚、塩化ナトリウム濃度は、〔塩化ナトリ
ウム量/水量〕×100(%)で表し、各表に示す濃度
のもの(表1及び表2は25%、表3及び表4は18
%、表5及び表6は11%)を用いた。下層/上層にお
けるエタノールの分配比は、〔下層におけるエタノール
含有量/上層におけるエタノール含有量〕の重量比を示
す。また、下層/上層におけるEAの分配比は、〔下層
におけるEA含有量/上層におけるEA含有量〕の重量
比を示す。上記抽出の結果を表1〜6に示す。また、表
1〜6に示す結果に基づいた、エタノール(EtOH)
の下層/上層分配比と塩化ナトリウム濃度との関係を図
1に、アクリル酸エチルの下層/上層分配比と塩化ナト
リウム濃度との関係を図2に、上下層の比重差と塩化ナ
トリウム濃度との関係を図3に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
【表3】
【0019】
【表4】
【0020】
【表5】
【0021】
【表6】
【0022】更に、比較試験として、塩化ナトリウム水
溶液の代わりに、水(塩化ナトリウムを含有しない。)
を用いて、表7に示す粗アクリル酸エチル液(原液)の
抽出試験を、上記(1)と同様にして行った。この結果
を同表及び図1〜3に示す。尚、図1〜3において、プ
ロットの大きさは粗アクリル酸エチル液中のエタノール
濃度を4段階に分けて表しており、円が大きくなるほど
エタノール濃度が高いことを示す。これらの結果に基づ
いて、エタノール抽出量、EA抽出量、両層の比
重差、及び塩化ナトリウムの溶解安定性の点から、好
ましい塩化ナトリウム濃度を検討した。
【0023】エタノール抽出量 本発明は、エタノールの除去を第1の目的とするので、
下層におけるエタノールの分配比を高くすることが好ま
しい。そして、実験結果より、塩化ナトリウム濃度が低
くなるほど下層におけるエタノールの分配比が高くなる
ことが判る(特に図1参照)。即ち、エタノール抽出量
の点からは塩化ナトリウム濃度が低い方が好ましく、例
えば20〜25%に比べて10〜15%と低い方が好ま
しい。
【0024】EA抽出量 本発明においては下層へのEA抽出量を少なくすること
が好ましい。そして、実験結果より、塩化ナトリウム濃
度が低くなるにつれて下層におけるEAの分配比は高く
なることが判る(特に図2参照)。即ち、下層へのEA
抽出量を少なくするためには、塩化ナトリウム濃度を高
くする方が好ましい。特に、エタノール濃度が高い場合
には、塩化ナトリウム濃度が11%前後にてEA抽出量
が大きく変化し、この程度以上の濃度とすることにより
EA抽出量を著しく低減できることが判る(図2)。従
って、下層におけるエタノールの分配比を高くし、且つ
下層へのEA抽出量を少なくするためには、塩化ナトリ
ウム濃度を10〜15%程度とすることが好ましい。
【0025】一方、塩化ナトリウム水溶液に換えて水を
用いた場合、即ち塩化ナトリウム濃度がゼロの場合に
は、下層におけるエタノールの分配比は高くなるが(図
1)、同時に下層へのEAの抽出量も著しく多くなり
(図2)、両性能のバランスが悪い。しかも、以下に述
べるように、水層とエステル層との比重差が僅かしかな
いため(図3)油水分離効率が低くなり、この点も含め
て各性能のバランスが極めて悪いことが判る。
【0026】両層の比重差 一般に、上層と下層との比重差が大きいほど油水分離効
率は向上する。そして、この比重差は塩化ナトリウム濃
度が高いほど大きくなるため(図3参照)、油水分離効
率の点からは高濃度の方が好ましい。即ち、上層と下層
との比重差は、塩化ナトリウム濃度25%では0.21
1〜0.213(表1及び表2)、濃度18%では0.
163〜0.175(表3及び表4)、濃度11%では
0.118〜0.134(表5及び表6)である。この
ように、塩化ナトリウム濃度が11%の場合でも約0.
12程度と比較的大きな比重差があり、この程度の比重
差があれば十分な油水分離性能が得られる。尚、この比
重差0.12という値は、EAの代わりにアクリル酸メ
チル(MAともいう。)について抽出試験を行った場合
において、塩化ナトリウム濃度が25%の場合(表9)
と近似した比重差に相当する。
【0027】これに対して、塩水に換えて水を用いた場
合には、比重差は0.048と著しく小さくなる(表
7)。この比重差0.048とは、塩化ナトリウム濃度
18%における比重差と比べて約72%も小さく(3.
5分の1)、濃度11%における比重差と比べても約6
2%も小さい(2.6分の1)という、極めて小さな値
である。このため、水を用いた場合には水層と有機層の
分離効率は著しく低下するので好ましくない。
【0028】塩化ナトリウムの溶解安定性 塩化ナトリウム濃度を30%まで高くすると、測定時に
塩化ナトリウムの結晶が析出した。即ち、この濃度以上
では、塩化ナトリウムの水に対する溶解安定性が不足す
る。従って、塩化ナトリウム濃度は少なくとも25%以
下にすることが好ましく、20%以下とすることが更に
好ましい。
【0029】以上の検討結果より、エタノール抽出
量、EA抽出量、両層の比重差、及び塩化ナトリ
ウムの溶解安定性の全ての性能バランスを考慮すると、
塩化ナトリウム濃度としては5〜25%が好ましく、特
に8〜15%、更に10〜15%が好ましい。
【0030】(2)粗アクリル酸メチル液中のメタノー
ルの回収 塩水抽出用粗アクリル酸メチル液(原液)の種類及び組
成を表8〜表13に示す。この粗アクリル酸メチル液中
のメタノール濃度は、同表に示すように、15.28〜
41.65%の範囲である。本例においても、上記
(1)で示す粗アクリル酸エチルの抽出方法と同様にし
て抽出を行い、同様にして各成分の分析を行った。尚、
表8〜13において、「MMP」とは3−メトキシプロ
ピオン酸メチルの略である。この試験の結果を表8〜1
3に示す。また、表8〜13に示す結果に基づいた、メ
タノール(MeOH)の下層/上層分配比と塩化ナトリ
ウム濃度との関係を図4に、アクリル酸メチルの下層/
上層分配比と塩化ナトリウム濃度との関係を図5に、上
下層の比重差と塩化ナトリウム濃度との関係を図6に示
す。尚、図4〜6において、プロットの大きさは粗アク
リル酸メチル液中のメタノール濃度を3段階に分けて表
しており、円が大きくなるほどメタノール濃度が高いこ
とを示す。
【0031】
【表8】
【0032】
【表9】
【0033】
【表10】
【0034】
【表11】
【0035】
【表12】
【0036】
【表13】
【0037】これらの結果に基づいて、上記(1)と同
様に、メタノール抽出量、MA抽出量、両層の比
重差、及び塩化ナトリウムの溶解安定性の点から、好
ましい塩化ナトリウム濃度を検討した。
【0038】メタノール抽出量 メタノールの分配比は、図4に示すように、全体とし
て、塩化ナトリウム濃度が低いほど大きくなる傾向にあ
る。即ち、塩化ナトリウム濃度が18〜20%程度以上
となるとメタノール分配比が大きく低下するので、塩化
ナトリウム濃度は8〜17%程度とすることが好まし
い。
【0039】MA抽出量 図5に示すように、粗アクリル酸メチル液中のメタノー
ル濃度が30%程度と低い場合には、塩化ナトリウム濃
度が11〜25%の範囲において下層へのMA抽出量に
大きな変化はない。しかし、このメタノール濃度が40
%程度と高い場合には、塩化ナトリウム濃度11%に比
べて18%の方がMA抽出量が少なくなる。従って、M
A抽出量を低減するためには、塩化ナトリウム濃度を1
5〜20%の範囲とすることが好ましい。
【0040】両層の比重差 上層と下層の比重差は、同じ塩化ナトリウム濃度で比較
するとEAの場合よりもMAの場合の方が小さく、従っ
てEAの場合に比べてMAでは水層と有機層との分離が
より困難となることが判る。塩化ナトリウム濃度を高く
するほど水層の比重が大きくなるため、この比重差を大
きくすることができる(図6参照)。即ち、上層と下層
との比重差は、塩化ナトリウム濃度25%では0.12
5〜0.149(表8及び9)、濃度18%では0.0
89〜0.103(表10及び11)、濃度11%では
0.048〜0.070(表12及び13)である。塩
化ナトリウム濃度は、抽出後の塩水層と有機層との比重
差が0.07以上となる濃度とすることが好ましい。従
って、油水分離性能の点からは、塩化ナトリウム濃度を
約10%以上とすることが好ましい。
【0041】塩化ナトリウムの溶解安定性 EAの場合と同様に、塩化ナトリウムの水に対する溶解
安定性の点からは、塩化ナトリウム濃度を少なくとも2
5%以下(より好ましくは20%以下)とすることが好
ましい。
【0042】以上の検討結果より、メタノール抽出
量、MA抽出量、両層の比重差、及び塩化ナトリ
ウムの溶解安定性の全ての性能バランスを考慮すると、
塩化ナトリウム濃度としては8〜20%が好ましく、特
に12〜17%が好ましい。塩化ナトリウム濃度が8%
未満では、塩水層におけるメタノール抽出量が多くなる
点では好ましいが、塩水層の比重が小さくなるため油水
分離性が低下するので好ましくない。一方、塩化ナトリ
ウム濃度が20%を超えると、塩水層におけるメタノー
ル抽出量が少なくなり、また塩化ナトリウムの溶解安定
性が不足する場合もあるため好ましくない。
【0043】(3)粗アクリル酸プロピル液中のプロピ
ルアルコールの回収 上記(1)及び(2)と同様にして下記[1] 〜[4] の抽
出試験を行い、同様にして各成分の分析を行った。 [1] 粗アクリル酸イソプロピル液(イソプロピルアルコ
ール濃度35重量%)及び粗アクリル酸n−プロピル液
(n−プロピルアルコール濃度35重量%)を、それぞ
れ塩化ナトリウム濃度25%の塩水により抽出した。 [2] 粗アクリル酸イソプロピル液(イソプロピルアルコ
ール濃度33重量%)及び粗アクリル酸n−プロピル液
(n−プロピルアルコール濃度33重量%)を、それぞ
れ塩化ナトリウム濃度18%の塩水により抽出した。 [3] 粗アクリル酸イソプロピル液(イソプロピルアルコ
ール濃度34重量%)及び粗アクリル酸n−プロピル液
(n−プロピルアルコール濃度34重量%)を、それぞ
れ塩化ナトリウム濃度11%の塩水により抽出した。 [4] 粗アクリル酸イソプロピル液(イソプロピルアルコ
ール濃度35重量%)及び粗アクリル酸n−プロピル液
(n−プロピルアルコール濃度35重量%)を、それぞ
れ水(塩化ナトリウム濃度0%)により抽出した。
【0044】この試験の結果に基づいた、プロピルアル
コールの下層/上層分配比と塩化ナトリウム濃度との関
係を図7に、アクリル酸プロピルの下層/上層分配比と
塩化ナトリウム濃度との関係を図8に、上下層の比重差
と塩化ナトリウム濃度との関係を図9に示す。これらの
結果から、プロピルアルコール抽出量、アクリル酸
プロピル抽出量、両層の比重差、及び塩化ナトリウ
ムの溶解安定性の点から、好ましい塩化ナトリウム濃度
を検討した。
【0045】プロピルアルコール抽出量 図7に示すように、イソプロピルアルコール及びn−プ
ロピルアルコールのいずれの場合にも、塩化ナトリウム
濃度が低いほどプロピルアルコールの分配比は大きくな
る傾向にある。即ち、プロピルアルコール抽出量を大き
くするためには塩化ナトリウム濃度が低い方が好まし
い。 アクリル酸プロピル抽出量 図8に示すように、イソプロピルアルコール及びn−プ
ロピルアルコールのいずれの場合にも、塩化ナトリウム
濃度が高くなるにつれて下層へのアクリル酸プロピル抽
出量は低減する。即ち、下層へのアクリル酸プロピル抽
出量を少なくするためには、塩化ナトリウム濃度を高く
する方が好ましい。従って、下層におけるプロピルアル
コールの分配比を高くし、且つ下層へのアクリル酸プロ
ピルを少なくするためには、塩化ナトリウム濃度を8〜
20%(より好ましくは12〜17%)程度とすること
が好ましい。
【0046】両層の比重差 図9に示すように、アクリル酸プロピルの場合において
は、塩化ナトリウム濃度が11%の場合でも約0.12
以上の比較的大きな比重差があり、この程度の比重差が
あれば十分な油水分離性能が得られる。従って、油水分
離性能の点からは、塩化ナトリウム濃度を約10%以上
とすることが好ましい。 塩化ナトリウムの溶解安定性 EA及びMAの場合と同様に、塩化ナトリウムの水に対
する溶解安定性の点からは、塩化ナトリウム濃度を少な
くとも25%以下(より好ましくは20%以下)とする
ことが好ましい。 以上の検討結果より、〜の性能バランスを考慮する
と、塩化ナトリウム濃度としては8〜20%が好まし
く、特に12〜17%が好ましい。
【0047】尚、本発明においては、前記具体的実施例
に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範
囲内で種々変更した実施例とすることができる。例え
ば、上記実施例では粗アクリル酸低級アルキルエステル
から低級アルキルアルコールを塩水抽出する場合につい
て説明したが、本発明は、粗(メタ)アクリル酸低級ア
ルキルエステルから低級アルキルアルコールを塩水抽出
する場合にも適用することができる。更に、上記実施例
では炭素数が1及び2のアルキルエステルについて説明
したが、炭素数がこれ以上のアルキルエステルにも本発
明を適用することが可能である。
【0048】
【発明の効果】本発明の回収方法によれば、抽出塩水層
への低級アルキルアルコールの抽出量を向上させ且つ
(メタ)アクリル酸エステルの塩水層への抽出量を減少
させることができ、しかも、上下層の分離効率に優れた
比重差を有するので、この塩水層とエステル層との分離
効率においても優れる。従って、本発明の回収方法によ
れば、効率よく、低級アルキルアルコールを分離、回収
できる。本発明の製造方法によれば、(メタ)アクリル
酸低級アルキルエステルを効率良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において粗アクリル酸エチル液中のエタ
ノールを塩水にて抽出した場合、塩化ナトリウム濃度と
下層/上層におけるエタノールの分配比との関係を示す
グラフである。
【図2】実施例において粗アクリル酸エチル液中のエタ
ノールを塩水にて抽出した場合、塩化ナトリウム濃度と
下層/上層におけるEAの分配比との関係を示すグラフ
である。
【図3】実施例において粗アクリル酸エチル液中のエタ
ノールを塩水にて抽出した場合、塩化ナトリウム濃度と
上下層の比重差との関係を示すグラフである。
【図4】実施例において粗アクリル酸メチル液中のメタ
ノールを塩水にて抽出した場合、塩化ナトリウム濃度と
下層/上層におけるメタノールの分配比との関係を示す
グラフである。
【図5】実施例において粗アクリル酸メチル液中のメタ
ノールを塩水にて抽出した場合、塩化ナトリウム濃度と
下層/上層におけるEAの分配比との関係を示すグラフ
である。
【図6】実施例において粗アクリル酸メチル液中のメタ
ノールを塩水にて抽出した場合、塩化ナトリウム濃度と
上下層の比重差との関係を示すグラフである。
【図7】実施例において粗アクリル酸プロピル液中のプ
ロピルアルコールを塩水にて抽出した場合、塩化ナトリ
ウム濃度と下層/上層におけるプロピルアルコールの分
配比との関係を示すグラフである。
【図8】実施例において粗アクリル酸プロピル液中のプ
ロピルアルコールを塩水にて抽出した場合、塩化ナトリ
ウム濃度と下層/上層におけるアクリル酸プロピルの分
配比との関係を示すグラフである。
【図9】実施例において粗アクリル酸プロピル液中のプ
ロピルアルコールを塩水にて抽出した場合、塩化ナトリ
ウム濃度と上下層の比重差との関係を示すグラフであ
る。
【図10】粗(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル
の合成から、これを塩水抽出して低級アルキルアルコー
ルを回収するまでの工程を示す説明図である。
【表7】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 31/10 9155−4H C07C 31/10 67/08 67/08 67/54 67/54 67/58 67/58

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸若しくはメタクリル酸と低級
    アルキルアルコールとを触媒の存在下でエステル化反応
    させ、その後、その反応液を精留して該低級アルキルア
    ルコールを含む粗アクリル酸低級アルキルエステル若し
    くは粗メタクリル酸低級アルキルエステルを得、次い
    で、該粗アクリル酸低級アルキルエステル若しくは粗メ
    タクリル酸低級アルキルエステル中の該低級アルキルア
    ルコールを塩水で抽出し、この抽出塩水層から該低級ア
    ルキルアルコールを蒸留により回収する方法であって、 上記塩水は、濃度5〜26重量%の塩化ナトリウム水溶
    液であることを特徴とする(メタ)アクリル酸低級アル
    キルエステルの製造における低級アルキルアルコールの
    回収方法。
  2. 【請求項2】 塩水抽出後における塩水層と有機層との
    比重差が0.10〜0.15であることを特徴とする請
    求項1記載の(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル
    の製造における低級アルキルアルコールの回収方法。
  3. 【請求項3】 アクリル酸若しくはメタクリル酸と低級
    アルキルアルコールとを触媒の存在下でエステル化反応
    させ、その後、その反応液を精留して該低級アルキルア
    ルコールを含む粗アクリル酸低級アルキルエステル若し
    くは粗メタクリル酸低級アルキルエステルを得、次い
    で、該粗アクリル酸低級アルキルエステル若しくは粗メ
    タクリル酸低級アルキルエステル中の該低級アルキルア
    ルコールを濃度5〜26%の塩化ナトリウム水溶液によ
    り抽出し、この抽出塩水層から蒸留により回収した該低
    級アルキルアルコールを上記エステル化反応の原料とし
    て再利用することを特徴とする(メタ)アクリル酸低級
    アルキルエステルの製造方法。
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CN114735879A (zh) * 2022-06-09 2022-07-12 北京惠宇乐邦环保科技有限公司 一种从烯草酮脱羧废水中回收丙酰三酮和氯化钠的方法

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JPS6299345A (ja) * 1985-10-24 1987-05-08 Nippon Kayaku Co Ltd アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの回収法

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