JPH09315305A - 列車位置検出装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 スペクトラム拡散（ＳＳ）通信方式を採用し
た交差誘導線式の列車位置検出装置において、ＰＮ符号
の周期と列車速度に影響されないで列車位置検出を行
う。 【解決手段】 所定の信号を所定のＰＮ符号で拡散処理
して送出された車上からの信号を、レールに沿って布設
された交差誘導線を介して受信し、その受信した信号を
処理して交差誘導線の撚架点を検出して列車位置を検出
する列車位置検出装置において、前記受信した受信信号
から前記車上で用いられた所定のＰＮ符号を抽出する抽
出手段と、抽出されたＰＮ符号と、前記車上で用いられ
た所定のＰＮ符号及びその所定のＰＮ符号の位相を所定
位相ずらした所定のＰＮ符号との同期状態を検出する検
出手段と、検出された同期検出値が所定以下のときに交
差誘導線の撚架点を通過したと判定する判定手段とから
なる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、列車位置検出装置
に係り、特に、スペクトラム拡散（ＳＳ）通信方式を採
用した交差誘導線式の列車位置検出装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】交差誘導線式の列車位置検出装置は、列
車の走行するレールに沿って交差誘導線が布設されてい
るとともに、車上（列車）には、所定周波数の信号を発
生させる発振器が搭載されていて、ここからの信号が車
上アンテナを介して交差誘導線に向けて送出されるよう
に構成されている。

【０００３】交差誘導線で受信された信号は、ピックア
ップ回路等から構成される信号処理器に入力されて信号
処理がなされて列車位置が検出されている。すなわち、
受信された信号は、交差誘導線の撚架点で位相が反転す
る波形となるので、これを所定のしきい値でレベル判定
を行って撚架点通過を検出している。そして、この通過
した撚架点から列車の先頭位置を検出している。

【０００４】ところで、上記従来の交差誘導線方式の列
車位置検出装置は、列車の撚架点通過時の受信した信号
波の位相の反転を検出して行うようにしているので、受
信した信号波にノイズを含むときは、列車位置検出精度
が低下するおそれがあった。殊に、レール及びそのその
近傍には、多数の電気信号が存在していてノイズの発生
量が多く、このため、耐ノイズ性の優れた交差誘導線方
式の列車位置検出装置の出現が待たれていた。

【０００５】そこで、本出願人は、先に、特開平５−２
４５３８号公報で、ＳＳ通信方式を採用した交差誘導線
方式の列車位置検出装置を提案している。

【０００６】上記提案装置においては、車上からの送信
信号を所定のＰＮ（擬似雑音）符号を用いて拡散処理し
て送出し、地上では、受信信号をその所定のＰＮ符号を
用いて逆拡散処理するようにしているので、耐ノイズ性
に優れた列車位置検出装置とすることができる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明に係る列車位置
検出装置は、ＳＳ通信方式を採用した交差誘導線方式の
列車検出装置をさらに改良して簡易な構成とするととも
に、ＰＮ符号の周期が長くとも、さらには、列車速度が
速くとも正確に列車位置を検出することのできる列車位
置検出装置を提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明に係る列車位置検
出装置は、上記目的を達成するために、所定の信号を所
定のＰＮ符号で拡散処理して送出された車上からの信号
をレールに沿って布設された交差誘導線を介して受信
し、その受信した信号を処理して交差誘導線の撚架点を
検出して列車位置を検出する列車位置検出装置におい
て、前記受信した信号から前記車上で用いられた所定の
ＰＮ符号を抽出する抽出手段と、抽出されたＰＮ符号
と、前記車上で用いられた所定のＰＮ符号及びその所定
のＰＮ符号の位相を所定位相ずらした所定のＰＮ符号と
の同期状態を検出する検出手段と、検出された同期検出
値が所定以下のときに交差誘導線の撚架点を通過したと
判定する判定手段とを有することを特徴としている。ま
た、前記検出手段で用いられる所定位相ずらした所定の
ＰＮ符号は、互いに位相をずらした複数のＰＮ符号であ
ることを特徴としている。

【０００９】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の一実施の形態に
係る列車位置検出装置の概略構成図である。列車Ｔに
は、所定の周波数を有する所定の送信信号（以下、搬送
波というときもある。）（ｆ1 ）を出力する搬送波発生
回路１と、この搬送波発生回路１から出力された搬送波
（ｆ1 ）を所定のＰＮ符号（ＰＮ1 （θ1 ））（なお、
図示の例では、説明を簡単にするために、４ビットのＰ
Ｎ符号［４ ３ ２ １］で説明する。）を用いて拡散
処理する拡散回路２と、拡散処理された信号を車上アン
テナＡを介して地上側、つまりレールｒに沿って布設さ
れている交差誘導線Ｌに向けて送出する送信回路３とか
らなる車上装置ａが搭載されている。

【００１０】交差誘導線Ｌは、周知の交差誘導線と同様
に、所定長さ毎に撚架点，…（図示の例では図面を
簡略化するために２箇所）が設けられているとともに、
その交差誘導線Ｌの一端側は、接続トランスｔ，ｔを介
して地上受信器ｂに接続されている。

【００１１】地上受信器ｂは、受信信号をフィルタ処理
するバンドパスフィルタ４と、このバンドパスフィルタ
４でフィルタ処理された信号を増幅する増幅回路５と、
この増幅回路５で増幅されたアナロク信号をディジタル
信号に変換するアナログ・ディジタル（Ａ／Ｄ）変換回
路６と、後に詳述する同期回路７と、検出回路８とから
構成されている。

【００１２】同期回路７は、車上側で用いられたＰＮ符
号（ＰＮｉ（θ））（［４ ３ ２１］）と、このＰＮ
符号（ＰＮｉ（θ1 ））から数ビット位相のずれた所定
のＰＮ符号（ＰＮｉ（θ2 ））（図示の例では２ビット
位相のずれたＰＮ符号（［２ １ ４ ３］）との２つ
のＰＮ符号の同期状態を検出する機能を有している。

【００１３】すなわち、この同期回路７は、ディジタル
マッチドフィルタから構成され、２つの係数［４ ３
２ １］，［２ １ ４ ３］の相関値を検出するよう
に構成されている。したがって、本発明で同期状態を検
出するというときは、相関値を検出することと同義であ
る。

【００１４】検出回路８は、同期回路７が同期を検出し
たときに出力された同期検出値（相関値）を所定のしき
い値を用いて撚架点，…通過を検出できるように構
成されている。なお、この検出回路８の出力は、図示し
ないＣＰＵからなる解析器に入力されて、予め記憶され
ている撚架点の位置データに基づいて、通過した撚架点
の数から列車Ｔの先頭位置が求められるように構成され
ている。

【００１５】次に、図２のタイムチャートを用いて列車
位置検出動作を説明する。

【００１６】図２（ａ）は、車上（列車Ｔ）から地上
（交差誘導線Ｌ）に向けて送出される信号、すなわち車
上アンテナＡから送出される拡散信号であって、（ＰＮ
ｉ（θ1 ））［４ ３ ２ １］からなる信号がサイク
リックに送出されている状態が示されている。

【００１７】図２（ｂ）は、交差誘導線Ｌで受信された
信号で、Ａ／Ｄ変換器７の出力側（同期回路７の入力デ
ータ）のデータを示している。そして、鎖線部分は、車
上アンテナＡが交差誘導線Ｌの撚架点，…に差掛っ
てデータの欠落した状態を示している。このデータの欠
落状態は、データの伝送速度及び列車Ｔの速度によって
一様でないが、本発明は、後述するように伝送速度及び
列車速度に影響を受けずに列車検出ができるように工夫
されている。

【００１８】図２（ｃ）は、同期回路７で用いられる係
数ａのＰＮ符号（ＰＮｉ（θ1 ））［４ ３ ２ １］
であり、これは車上側のＰＮ符号（ＰＮｉ（θ1 ））
［４３ ２ １］と同一に設定されている。したがっ
て、この係数ａ［４ ３ ２１］と同期がとれたとき
は、両ＰＮ符号の相関にしたがったピーク値を有する相
関値が図２（ｄ）のように表れる。

【００１９】図２（ｄ）において、撚架点，…に当
たらないときは、相関値は「１」となるが、撚架点，
…近辺では、同図（イ），（ロ），（ハ）に示される
ように、「１」より小さい値（１／２または３／４）の
相関値となる。ここで、撚架点に対応する相関値
（ロ）及び相関値（ハ）は、相関値「１」との差が小さ
く区別が付きにくいことを示している。

【００２０】図２（ｅ）は、同期回路７で用いられる係
数ｂを示している。この係数ｂは、上記係数ａから２ビ
ット位相のずれたもので、この係数ｂ［２ １ ４
３］と同期が取れたたときは、両ＰＮ符号の相関に従っ
たピーク値を有する相関値が図２（ｆ）のように表わさ
れる。

【００２１】図２（ｆ）において、撚架点，…に当
たらないときは、相関値「１」となるが、撚架点，
…近辺では、同図（ニ）、（ホ）、（ヘ）に示されるよ
うに「１」より小さい値（１／２または３／４）の相関
値となる。ここで、撚架点に対応する相関値（ニ）及
び次の相関値（ホ）は、相関値「１」との差が小さく区
別が付きにくいことを示している。

【００２２】図２（ｇ）は、上記図２（ｄ）と図２
（ｆ）とを加算（合成）した関係を示している。このよ
うに加算すると、撚架点は、図２（ｄ）の（イ）に当
たる（イ′）として、周囲の相関値から十分に区別が付
き、また、撚架点は、図２（ｆ）の（ヘ）に当たる
（ヘ′）として、周囲の相関値から十分に区別が付くこ
とを示している。

【００２３】したがって、検出回路８においては、図２
（ｇ）の（イ′）及び（ヘ′）を識別できるしきい値を
用いて撚架点，…の通過検出が行われる。

【００２４】上述の例では、同期回路７で用いられる係
数を係数ａ［４ ３ ２ １］と係数ｂ［２ １ ４
３］の２つとしたが、これを例えば１ビットずつずら
した４つの係数［４ ３ ２ １］、［１ ４ ３
２］、［２ １ ４ ３］、［３ ２ １ ４］を用い
るようにしてもよい。この場合は、図２（ｇ）は、１ビ
ット毎に相関値が表れて、より正確な列車の位置検出を
行うことが可能となる。

【００２５】また、同期回路７で用いられる係数の数が
増えて処理時間が長くなるときは、各係数ごとに同期回
路を設けて並列処理し、処理時間を短縮させることもで
きる。

【００２６】なお、上述の例では、ＰＮ符号長を４ビッ
トの［４ ３ ２ １］ としたが、これは説明を簡単
にするためであって、実際はこれよりも符号長の長いＰ
Ｎ符号が用いられる。

【００２７】また、上述の例では、地上で列車位置を検
出するようにしたが、車上（列車Ｔ）に地上受信器ｂと
同様の車上受信器を搭載し、交差誘導線Ｌからの信号を
受信して車上で列車位置を検出するようにしてもよい。
したがって、本発明の列車位置検知装置には、地上から
の信号を車上で受信して列車位置を検出することも含ん
でいる。さらに、使用する搬送波（ｆ1 ）を列車制御情
報に対応させて選択して、車上，地上間の列車制御通信
を行うことも可能である。

【００２８】

【発明の効果】本発明に係る列車位置検出装置は、受信
した信号から車上で用いられた所定のＰＮ符号を抽出す
る抽出手段と、抽出されたＰＮ符号と、前記車上で用い
られた所定のＰＮ符号及びその所定のＰＮ符号の位相を
所定位相ずらした所定のＰＮ符号との同期状態を検出す
る検出手段と、検出された同期検出値が所定以下のとき
に交差誘導線の撚架点を通過したと判定する判定手段と
からなるので、ＰＮ符号の周期及び列車速度に影響を受
けることなく列車位置を検出することができる。また、
検出手段で用いられる所定位相ずらした所定のＰＮ符号
は、互いに位相をずらした複数のＰＮ符号であるとき
は、より正確に列車位置を検出することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態に係る列車位置検出装置
の概略構成図である。

【図２】検出動作を説明するためのタイムチャートであ
る。

【符号の説明】

１ 搬送波発生回路 ２ 拡散回路 ３ 送信回路 ４ バンドパスフィルタ ５ 増幅回路 ６ Ａ／Ｄ変換回路 ７ 同期回路 ８ 検出回路 ａ 車上送信器 ｂ 地上受信器 Ａ 車上アンテナ Ｌ 交差誘導線 ，… 撚架点

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 所定の信号を所定のＰＮ符号で拡散処理
   して送出された車上からの信号を、レールに沿って布設
   された交差誘導線を介して受信し、その受信した信号を
   処理して交差誘導線の撚架点を検出して列車位置を検出
   する列車位置検出装置において、 前記受信した信号から前記車上で用いられた所定のＰＮ
   符号を抽出する抽出手段と、 抽出されたＰＮ符号と、前記車上で用いられた所定のＰ
   Ｎ符号及びその所定のＰＮ符号の位相を所定位相ずらし
   た所定のＰＮ符号との同期状態を検出する検出手段と、 検出された同期検出値が所定以下のときに交差誘導線の
   撚架点を通過したと判定する判定手段と、 を有することを特徴とする列車位置検出装置。
2. 【請求項２】 検出手段で用いられる所定位相ずらした
   所定のＰＮ符号は、互いに位相をずらした複数のＰＮ符
   号であることを特徴とする請求項１記載の列車位置検出
   装置。