JPH09313172A - 小型肝細胞の培養方法 - Google Patents

小型肝細胞の培養方法

Info

Publication number
JPH09313172A
JPH09313172A JP8133985A JP13398596A JPH09313172A JP H09313172 A JPH09313172 A JP H09313172A JP 8133985 A JP8133985 A JP 8133985A JP 13398596 A JP13398596 A JP 13398596A JP H09313172 A JPH09313172 A JP H09313172A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
hepatocytes
medium
small
culturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8133985A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3014322B2 (ja
Inventor
Gen Sato
玄 佐藤
Katsutoshi Yoshizato
勝利 吉里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
Original Assignee
Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan filed Critical Kagaku Gijutsu Shinko Jigyodan
Priority to JP8133985A priority Critical patent/JP3014322B2/ja
Publication of JPH09313172A publication Critical patent/JPH09313172A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3014322B2 publication Critical patent/JP3014322B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 肝前駆細胞を含むと考えられるクローン性増
殖能を有する小型肝細胞を効率よく継代培養するための
方法を提供する。 【解決手段】 成熟哺乳動物の肝臓から肝細胞を分取
し、この肝細胞を低速遠心して重量画分と軽量画分とに
分離し、軽量画分中の小型肝細胞を牛胎児血清およびア
スコルビン酸類を必須として含有する培地で初代培養し
てコロニーを形成させたのち、EDTA/トリプシン溶
液によってコロニーの細胞を培地から剥がして小型肝細
胞を個々に分散させ、これらの分散させた小型肝細胞
を、牛胎児血清およびアスコルビン酸類を必須として含
む培地と3T3細胞のコンディションドメディウムとの
混合培地で培養することによってコロニーを形成させる
ことを特徴とする小型肝細胞の継代培養方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、小型肝細胞の培
養方法に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、肝細胞の発生・分化や分裂増殖過程、あるいはその
癌化メカニズム等に関する細胞生物学的、分子生物学的
研究の材料として、あるいは様々な肝疾患の治療技術開
発のための医療材料として有用な小型肝細胞(小型の肝
実質細胞)を効率よく初代培養および継代培養するため
の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】動物個体は、一つの受精卵が
分裂を繰り返し、異なる機能を分担する各種の組織(細
胞集合体)へと分化した多細胞生物である。そして、身
体を構成する各組織の場合には、それぞれの細胞が常に
分裂増殖し、活発は分化機能発現能を有する細胞を次々
と産生することによって個体が維持されている。従っ
て、ヒトをはじめとする動物個体の生物学的実体を理解
し、あるいは発癌のメカニズム等を解明してその治療法
を開発するためには、各組織を構成する細胞を細胞生物
学的、分子生物学的に詳細に分析し、その発生・分化過
程や分裂増殖の機構を明らかにすることが重要であると
考えられる。
【0003】従来より、生体組織の細胞を詳細に分析す
るための手段として、生体外へ取り出した細胞を培養
し、さらには培養細胞を分裂増殖させて継代的に生存さ
せる方法が確立している。ところが、ラットやヒトの肝
細胞については、これまで成熟個体から単離した初代細
胞を継代的に培養することは不可能であるとされてき
た。すなわち、接着依存性の成熟肝細胞は、その継代操
作のために培養基質から剥離する際に大きく損傷し、ま
た培養基質に再接着させることも困難であるなどの理由
から、継代培養系において肝細胞の発生過程や分裂増殖
状態を研究することは不可能であった。
【0004】この発明の発明者等は、培養培地の成分等
を工夫することによって上記の困難性を克服し、成熟ラ
ットの肝臓から採取した初代細胞を継代培養することに
成功し、その培養方法を既に特許出願している(特願平
6−89056号)。さらにこの発明の発明者等は、従
来その存在が確認されていなかった肝前駆細胞(progen
itor cells)を含むと考えられるクローン性増殖能を有
する肝実質細胞とその取得方法、並びにそれらの細胞を
継代的に培養するための方法を発明し、既に特許出願し
ている(特願平7−213686号)。特に、この先願
発明における継代培養方法は、成熟哺乳動物の肝臓から
肝細胞を分取し、この肝細胞を低速遠心して重量画分と
軽量画分とに分離し、軽量画分中の小型細胞を牛胎児血
清およびアスコルビン酸類を必須として含有する培地で
初代培養して小型細胞に属する肝実質細胞にコロニーを
形成させ、EDTA溶液またはEDTA/トリプシン溶
液によってコロニーの細胞を培地から剥がし、この剥が
した細胞を上記初代培養培地と同様の組成からなる培地
で再培養するか、または、上記初代培養の初期に用いた
培地(コンディションドメディウム)で再培養すること
を特徴とするものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明の発明者等が
既に提案した上記のクローン性増殖能を有する肝実質細
胞の継代培養方法では、継代培養条件下で細胞にコロニ
ーを形成させるためにはある程度以上の細胞播種密度
(例えば、5×104 cells/35mm dish)を必要とした。
【0006】そこで、この発明は、より少ない細胞数で
も確実にコロニーを形成させ、効率良く小型肝細胞を継
代培養することのできる改良された方法を提供すること
を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するための第1の発明として、成熟哺乳動物の肝
臓から肝細胞を分取し、この肝細胞を低速遠心して重量
画分と軽量画分とに分離し、軽量画分中の小型肝細胞
を、牛胎児血清およびアスコルビン酸類を必須として含
む培地と3T3細胞のコンディションドメディウムとの
混合培地で培養してコロニーを形成させることを特徴と
する小型肝細胞の培養方法(請求項1)を提供する。
【0008】また、第2の発明として、成熟哺乳動物の
肝臓から肝細胞を分取し、この肝細胞を低速遠心して重
量画分と軽量画分とに分離し、軽量画分中の小型肝細胞
と3T3細胞とを、牛胎児血清およびアスコルビン酸類
を必須として含む培地で共培養してコロニーを形成させ
ることを特徴とする小型肝細胞の培養方法(請求項4)
を提供する。
【0009】第3の発明として、成熟哺乳動物の肝臓か
ら肝細胞を分取し、この肝細胞を低速遠心して重量画分
と軽量画分とに分離し、軽量画分中の小型肝細胞を牛胎
児血清およびアスコルビン酸類を必須として含有する培
地で初代培養してコロニーを形成させたのち、EDTA
/トリプシン溶液によってコロニーの細胞を培地から剥
がして小型肝細胞を個々に分散させ、これらの分散させ
た小型肝細胞を、牛胎児血清およびアスコルビン酸類を
必須として含む培地と3T3細胞のコンディションドメ
ディウムとの混合培地で培養することによってコロニー
を形成させることを特徴とする小型肝細胞の継代培養方
法(請求項6)を提供する。
【0010】第4の発明として、成熟哺乳動物の肝臓か
ら肝細胞を分取し、この肝細胞を低速遠心して重量画分
と軽量画分とに分離し、軽量画分中の小型細胞を牛胎児
血清およびアスコルビン酸類を必須として含有する培地
で初代培養してコロニーを形成させたのち、EDTA/
トリプシン溶液によってコロニーの細胞を培地から剥が
して小型肝細胞を個々に分散させ、これらの分散させた
小型肝細胞と3T3細胞とを、牛胎児血清およびアスコ
ルビン酸類を必須として含む培地で共培養することによ
ってコロニーを形成させることを特徴とする小型肝細胞
の継代培養方法(請求項9)を提供する。
【0011】第5の発明として、成熟哺乳動物の肝臓か
ら肝細胞を分取し、この肝細胞を低速遠心して重量画分
と軽量画分とに分離し、軽量画分中の小型肝細胞を、牛
胎児血清およびアスコルビン酸類を必須として含む培地
と3T3細胞のコンディションドメディウムとの混合培
地で培養してコロニーを形成させたのち、EDTA/ト
リプシン溶液によってコロニーの細胞を培地から剥がし
て小型肝細胞を個々に分散させ、これらの分散させた小
型肝細胞を上記混合培地で培養することによってコロニ
ーを形成させることを特徴とする小型肝細胞の継代培養
方法(請求項11)を提供する。
【0012】さらに、第6の発明として、成熟哺乳動物
の肝臓から肝細胞を分取し、この肝細胞を低速遠心して
重量画分と軽量画分とに分離し、軽量画分中の小型肝細
胞を、牛胎児血清およびアスコルビン酸類を必須として
含む培地と3T3細胞のコンディションドメディウムと
の混合培地で培養してコロニーを形成させたのち、ED
TA/トリプシン溶液によってコロニーの細胞を培地か
ら剥がして小型肝細胞を個々に分散させ、これらの分散
させた小型肝細胞と3T3細胞とを、牛胎児血清および
アスコルビン酸類を必須として含む培地で共培養するこ
とによってコロニーを形成させることを特徴とする小型
肝細胞の継代培養方法(請求項14)を提供する。
【0013】なお、これらの方法においては、牛胎児血
清およびアスコルビン酸類を必須として含む培地が、牛
胎児血清、アスコルビン酸類、上皮細胞成長因子、ニコ
チンアミド類およびDMSOを含有するDMEM培地で
あることを好ましい態様としている。また、第1、第3
および第5の発明においては、3T3細胞のコンディシ
ョンドメディウムが、牛胎児血清を必須として含むDM
EM培地で3T3細胞を培養した後の培養上清であるこ
とを好ましい態様としてもいる。
【0014】
【発明の実施の形態】上記第1および第2の発明におけ
る初代培養の対照となる小型肝細胞は、上記の先願発明
(特願平7−213686号)の方法によって取得する
ことができる。すなわち、成熟哺乳動物の肝臓から肝細
胞を分取し、低速遠心法(50G)にる軽い画分を分離
し、この画分に含まれる細胞を培養する。この時、第1
の発明では、培養培地として、牛胎児血清(FBS)お
よびアスコルビン酸類(例えばL−アスコルビン酸リン
酸塩)を必須として含む培地と、3T3細胞のコンディ
ションドメディウム(3T3CM)との混合培地を用い
る。この混合培地の使用によって、少数の小型肝細胞か
らでも効率よくコロニーを形成させることができる。
【0015】3T3細胞は、スイス系マウス胎児から得
られた公知の株細胞、あるいはBalb/C系マウス由来の
Balb3T3細胞を用いることができ、そのコンディショ
ンドメディウムは、牛胎児血清を必須として含有するD
MEM培地で3T3細胞(5×105 cells /10cm dis
h 程度)を3日間程度培養した後の培養上清として得る
ことができる。そして、このコンディションドメディウ
ムは、上記FBSおよびアスコルビン酸類を必須として
含む培地と1:9から9:1の割合、より好ましくは、
ほぼ等量の割合で混合して小型肝細胞の培養に用いるこ
とができる。
【0016】また、FBSおよびアスコルビン酸類を必
須として含む培地としては、具体的には、FBS、アス
コルビン酸類、上皮細胞成長因子、ニコチンアミド類お
よびDMSOを含有するDMEM培地を用いることがで
きる。すなわち、FBSおよびアスコルビン酸類によっ
て小型肝細胞のコロニー形成が生じる。また、上皮細胞
成長因子(EGF)およびDMSOは、コロニーの形成
に必須ではないが、コロニーの形成促進作用を有し、ニ
コチンアミド類は肝細胞の分化を抑えると考えられるた
め、培養培地に添加する成分として好ましい。さらに、
低速遠心による軽量画分には、小型肝細胞以外にも、内
皮細胞、クッパー細胞、星細胞、胆管上皮細胞等が含ま
れ、小型肝細胞に特殊な環境を提供していると考えられ
るが、上記のニコチンアミド類、アスコルビン酸類およ
びDMSOはそれらの非実質細胞の増殖を抑制し、小型
の肝実質細胞を選択的に培養増殖させることを可能にす
る。
【0017】これらの成分の培地中への添加量は、例え
ば、FBSは5〜30%、アスコルビン酸類は0.1 〜1.
0 mM、EGFは1〜100ng/ml、ニコチンアミ
ド類は1〜20mM、そしてDMSOは0.1 〜2%程度
とすることが出来る。培養は、5%CO2 条件下で、3
7℃前後の温度で行う。以上の通りの培養によって、ク
ローン性増殖する小型肝細胞を含む肝細胞コロニーが得
られる。さらに、これらのコロニーを形成する細胞に対
しては、例えば、ペルオキシゾームの有無、肝細胞マー
カーへの反応性、癌化肝細胞マーカーへの反応性、未分
化肝細胞マーカーへの反応性、およびオーバルセルの表
面抗原に対する抗体への反応性の少なくとも一つを指標
としてスクリーニングすることによって、肝細胞として
の分化機能発現を確認することができる。このうち、ペ
ルオキシゾームの有無は、透過型電子顕微鏡観察により
確認することができる。肝細胞マーカーとしてはアルブ
ミン、α1 −アンチトリプシン、トランスフェリン等の
抗体を、癌化または未分化な肝細胞のマーカーとしては
GST−P、α−フェトプロテインの抗体、γ−GTP
染色等を、またオーバルセルの表面抗原に対する抗体と
しては前記Hixsonらが作成した抗体(OC2、OC3)
を用いることができる。さらに、胆管上皮細胞のマーカ
ーや星細胞のマーカー等を用いることによって、培養中
の非実質細胞を同定することもできる。
【0018】一方、第2の発明における初代培養は、低
速遠心によって得た軽量画分の小型肝細胞を、上記3T
3細胞と共培養することによって、効率よくコロニーを
形成させる方法である。この場合の培地は、上記と同様
の牛胎児血清およびアスコルビン酸類を必須として含む
培地、具体的には、FBS、アスコルビン酸類、上皮細
胞成長因子、ニコチンアミド類およびDMSOを含有す
るDMEM培地を用いることができる。また、この培地
の各成分は、上記と同様とすることができる。さらに、
小型肝細胞と3T3細胞とは、ほぼ同数程度を培地中に
蒔いて共培養すればよい。
【0019】次に、この発明の小型肝細胞の継代培養方
法(第3〜第6の発明)について説明する。すなわち、
この方法は、初代培養によって得た肝細胞のコロニー
(初代培養細胞)をシャーレから剥がし、別のシャーレ
において再培養し、増殖させる方法である。初代培養方
法は、上記先願発明(特願平7−213686号)と同
様の方法でもよく(第3および第4発明)、あるいは、
上記第1および第2の発明による初代培養方法でもよい
(第5および第6発明)。いずれの方法で得た初代培養
細胞の場合も、コロニーを剥がす際には、シャーレから
培地を取り除いた後、コロニーにEDTA(0.002
〜0.2%)およびトリプシン(0.005〜0.5%)
の溶液を添加して約10分間処理することによって、コ
ロニーを小型肝細胞と非実質細胞とに分離することがで
きる。そしてこれらの細胞分離液をフィルター(孔径約
20μm)で濾過し、小さなアグリゲーションを除くこ
とによって、細胞を個々に分散することができる。
【0020】そして、第3および第5の発明において
は、このようにして分散させた小型細胞を、牛胎児血清
およびアスコルビン酸類を必須として含む培地と3T3
CMとの混合培地で再培養する。これによって、先願発
明の継代培養法においてコロニー形成に必要であった細
胞播種密度 (例えば、5×104 cells/35mm dish)の約
1/5程度の細胞数であってもの良好にコロニーを形成
させることができる。3T3CM、およびこれと混合す
る培地の具体的成分等は、上記第1の発明のものと同様
とすることができる。
【0021】一方、第4および第6発明は、分散させた
小型細胞を3T3細胞と共培養することによって、小さ
な細胞播種密度においても良好に継代コロニーを形成さ
せる方法である。3T3細胞の種類、共培養のための培
地、細胞播種数等は、上記第2発明と同様とすることが
できる。以上の通りのこの発明の方法は、ヒトをはじめ
とする全ての哺乳動物の肝細胞に適用することができ、
様々な動物種から得たクローン性増殖能を有する小型肝
細胞(肝実質細胞)にコロニーを形成させて初代培養
し、さらにこの初代培養細胞を継代的に培養することが
できる。そして、例えばヒトの肝臓から採取したクロー
ン増殖能を有する肝実質細胞の継代培養細胞は、ハイブ
リッド肝臓等の作成に利用することができ、肝疾患の治
療技術の開発にも新たな展開をもたらすものと期待され
る。
【0022】以下、実施例を示して、この発明の継代培
養方法をさらに詳細かつ具体的に説明する。もちろん、
この発明は以下の例に限定されるものではない。
【0023】
【実施例】
実施例1 (1)肝細胞の取得と初代培養 10週令のフィシャーラットからコラゲナーゼ灌流法に
より肝臓の細胞を採取し、低速遠心(50g、1分×3
回)して得た上澄みをさらに低速遠心(150g、5分
×3回)して、その沈殿として非実質細胞画分を得た。
この細胞を、3.5cm径の培養皿に9×105 個ずつ
播き、DMEM培地(10% FBS,44mM NaHCO3, 20mM HEPE
S, 0.5mg/lインシュリン,10-7M デキサメタゾン,30mg
/lL−プロリン,ペニシリンおよびストレプトマイシン
含有)中で、37℃、5%CO2条件下で2〜3時間培
養した。次いで、培養培地を、上記培地に 10mM ニコチ
ンアミド、10ng/ml EGFおよび0.2mM L−アスコルビ
ン酸リン酸塩を加えたDMEM培地に交換し、さらに4
日目からは1%DMSOを培地に加え、培養を続けた。 (2)3T3細胞のコンディションドメディウムの調製 3T3細胞 (5×105 cells/10cm dish)を10%牛胎
児血清、ペニシリンおよびストレプトマイシンを含むD
MEM培地中で、37℃、5%Co2 条件下で培養し
た。そして、この培養に用いた培地の培養上清をコノデ
ィションドメディウムとした。 (3)小型肝細胞の継代培養 小型肝細胞を含む肝細胞コロニーが形成されたシャーレ
から培地を取り除き、コロニーを0.02%EDTAお
よび0.05%トリプシンで処理し、コロニーの小型肝
細胞と非実質細胞とを溶液中に分散させた。こ細胞分散
液をピペッティングし、コロニー周囲の非実質細胞と、
小型肝細胞の各々の分散液を得た。次いで、これらの分
散液を、孔径20μmのフィルターで濾過し、小さな細
胞のアグリゲーションを除去し、個々の細胞をほぼ分散
させた。この分散細胞を様々な細胞播種密度でシャーレ
にうすく蒔き、上記の3T3細胞のコンディションドメ
ディウムとDMAEM培地(10% FBS,44mM NaHCO3, 20m
M HEPES, 0.5mg/lインシュリン,10-7M デキサメタゾ
ン,30mg/lL−プロリン,ペニシリンおよびストレプト
マイシン含有)とを等量づつ混合した培地(50%3T
3CM)で再培養してコロニーの形成およびコロニー当
たりの細胞数を計測した。また、対照として、新鮮な上
記DMEM培地(Fresh Medium)を用いて同様に培養
し、同様にコロニー形成と細胞数を計測した。
【0024】結果は、図1および図2に示したとおりで
ある。すなわち、3T3細胞のコンディションメディウ
ムを含む培地で培養した場合には、従来方法でのコロニ
ー形成に必要な細胞数の1/5の細胞数(1×104
ells)でコロニー形成が観察された(図1)。さらに重
要なことは、3T3細胞のコンディションドメディウム
を含む培地で培養した小型肝細胞コロニーは、対照培地
でのコロニーに比べ、約10倍もの細胞によって構成さ
れていた(図2)。 実施例2 実施例1と同様の方法によって取得した小型肝細胞を、
同じく実施例1と同様にして培地から剥がし、分散させ
たのち、この小型肝細胞(1×104 cells)を同数の
3T3細胞と混合し、実施例1と同様のDMEM培地
(10% FBS,44mM NaHCO3, 20mM HEPES, 0.5mg/lインシュ
リン,10-7M デキサメタゾン,30mg/lL−プロリン,ペ
ニシリンおよびストレプトマイシン含有)中で培養し
た。なお、3T3細胞は、予め、小型肝細胞に用いたの
と同様のEDTA/トリプシン溶液によって培地から剥
がしたものを用いた。
【0025】結果は、図3および図4に示したとおりで
ある。これらの結果から明らかなように、3T3細胞と
共培養することによって、従来方法でのコロニー形成に
必要な細胞数の1/5の細胞数(1×104 cells)で
コロニー形成が観察され(図3)、しかも形成されたコ
ロニーは十分な大きさ(面積)を有するものであること
が確認された(図4)。
【0026】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、肝前駆細胞を含むと考えられるクローン性増殖能
を有する小型肝細胞を、少ない細胞数においても効率良
くクローン形成させて、しかも継代的に培養することが
可能となる。これにより、肝細胞の発生・分化過程や、
その増殖および機能発現機構を詳細に研究することが可
能となり、また肝癌をはじめとする様々なヒト肝疾患の
メカニズム解明と、その治療法の開発に新たな途が拓け
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】2種類の培地において形成された培養9日目の
コロニー数を細胞播種密度ごとに示したグラフ図であ
る。
【図2】2種類の培地において形成された培養9日目の
コロニー当たりの細胞数を細胞播種密度ごとに示したグ
ラフ図である。
【図3】小型肝細胞と3T3細胞の共培養5日目のコロ
ニー数を示したグラフ図である。
【図4】小型肝細胞と3T3細胞の共培養5日目の各コ
ロニー面積の平均を示したグラフ図である。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成熟哺乳動物の肝臓から肝細胞を分取
    し、この肝細胞を低速遠心して重量画分と軽量画分とに
    分離し、軽量画分中の小型肝細胞を、牛胎児血清および
    アスコルビン酸類を必須として含む培地と3T3細胞の
    コンディションドメディウムとの混合培地で培養してコ
    ロニーを形成させることを特徴とする小型肝細胞の培養
    方法。
  2. 【請求項2】 牛胎児血清およびアスコルビン酸類を必
    須として含む培地が、牛胎児血清、アスコルビン酸類、
    上皮細胞成長因子、ニコチンアミド類およびDMSOを
    含有するDMEM培地である請求項1の小型肝細胞の培
    養方法。
  3. 【請求項3】 3T3細胞のコンディションドメディウ
    ムが、牛胎児血清を必須として含むDMEM培地で3T
    3細胞を培養した後の培養上清である請求項1の小型肝
    細胞の培養方法。
  4. 【請求項4】 成熟哺乳動物の肝臓から肝細胞を分取
    し、この肝細胞を低速遠心して重量画分と軽量画分とに
    分離し、軽量画分中の小型肝細胞と3T3細胞とを、牛
    胎児血清およびアスコルビン酸類を必須として含む培地
    で共培養してコロニーを形成させることを特徴とする小
    型肝細胞の培養方法。
  5. 【請求項5】 牛胎児血清およびアスコルビン酸類を必
    須として含む培地が、牛胎児血清、アスコルビン酸類、
    上皮細胞成長因子、ニコチンアミド類およびDMSOを
    含有するDMEM培地である請求項4の小型肝細胞の培
    養方法。
  6. 【請求項6】 成熟哺乳動物の肝臓から肝細胞を分取
    し、この肝細胞を低速遠心して重量画分と軽量画分とに
    分離し、軽量画分中の小型肝細胞を牛胎児血清およびア
    スコルビン酸類を必須として含有する培地で初代培養し
    てコロニーを形成させたのち、EDTA/トリプシン溶
    液によってコロニーの細胞を培地から剥がして小型肝細
    胞を個々に分散させ、これらの分散させた小型肝細胞
    を、牛胎児血清およびアスコルビン酸類を必須として含
    む培地と3T3細胞のコンディションドメディウムとの
    混合培地で培養することによってコロニーを形成させる
    ことを特徴とする小型肝細胞の継代培養方法。
  7. 【請求項7】 牛胎児血清およびアスコルビン酸類を必
    須として含む培地が、牛胎児血清、アスコルビン酸類、
    上皮細胞成長因子、ニコチンアミド類およびDMSOを
    含有するDMEM培地である請求項6の小型肝細胞の継
    代培養方法。
  8. 【請求項8】 3T3細胞のコンディションドメディウ
    ムが、牛胎児血清を必須として含むDMEM培地で3T
    3細胞を培養した後の培養上清である請求項6の小型肝
    細胞の継代培養方法。
  9. 【請求項9】 成熟哺乳動物の肝臓から肝細胞を分取
    し、この肝細胞を低速遠心して重量画分と軽量画分とに
    分離し、軽量画分中の小型細胞を牛胎児血清およびアス
    コルビン酸類を必須として含有する培地で初代培養して
    コロニーを形成させたのち、EDTA/トリプシン溶液
    によってコロニーの細胞を培地から剥がして小型肝細胞
    を個々に分散させ、これらの分散させた小型肝細胞と3
    T3細胞とを、牛胎児血清およびアスコルビン酸類を必
    須として含む培地で共培養することによってコロニーを
    形成させることを特徴とする小型肝細胞の継代培養方
    法。
  10. 【請求項10】 牛胎児血清およびアスコルビン酸類を
    必須として含む培地が、牛胎児血清、アスコルビン酸
    類、上皮細胞成長因子、ニコチンアミド類およびDMS
    Oを含有するDMEM培地である請求項9の小型肝細胞
    の継代培養方法。
  11. 【請求項11】 成熟哺乳動物の肝臓から肝細胞を分取
    し、この肝細胞を低速遠心して重量画分と軽量画分とに
    分離し、軽量画分中の小型肝細胞を、牛胎児血清および
    アスコルビン酸類を必須として含む培地と3T3細胞の
    コンディションドメディウムとの混合培地で培養してコ
    ロニーを形成させたのち、EDTA/トリプシン溶液に
    よってコロニーの細胞を培地から剥がして小型肝細胞を
    個々に分散させ、これらの分散させた小型肝細胞を上記
    混合培地で培養することによってコロニーを形成させる
    ことを特徴とする小型肝細胞の継代培養方法。
  12. 【請求項12】 牛胎児血清およびアスコルビン酸類を
    必須として含む培地が、牛胎児血清、アスコルビン酸
    類、上皮細胞成長因子、ニコチンアミド類およびDMS
    Oを含有するDMEM培地である請求項11の小型肝細
    胞の継代培養方法。
  13. 【請求項13】 3T3細胞のコンディションドメディ
    ウムが、牛胎児血清を必須として含むDMEM培地で3
    T3細胞を培養した後の培養上清である請求項11の小
    型肝細胞の継代培養方法。
  14. 【請求項14】 成熟哺乳動物の肝臓から肝細胞を分取
    し、この肝細胞を低速遠心して重量画分と軽量画分とに
    分離し、軽量画分中の小型肝細胞を、牛胎児血清および
    アスコルビン酸類を必須として含む培地と3T3細胞の
    コンディションドメディウムとの混合培地で培養してコ
    ロニーを形成させたのち、EDTA/トリプシン溶液に
    よってコロニーの細胞を培地から剥がして小型肝細胞を
    個々に分散させ、これらの分散させた小型肝細胞と3T
    3細胞とを、牛胎児血清およびアスコルビン酸類を必須
    として含む培地で共培養することによってコロニーを形
    成させることを特徴とする小型肝細胞の継代培養方法。
  15. 【請求項15】 牛胎児血清およびアスコルビン酸類を
    必須として含む培地が、牛胎児血清、アスコルビン酸
    類、上皮細胞成長因子、ニコチンアミド類およびDMS
    Oを含有するDMEM培地である請求項14の小型肝細
    胞の継代培養方法。
JP8133985A 1996-05-28 1996-05-28 小型肝細胞の培養方法 Expired - Fee Related JP3014322B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8133985A JP3014322B2 (ja) 1996-05-28 1996-05-28 小型肝細胞の培養方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8133985A JP3014322B2 (ja) 1996-05-28 1996-05-28 小型肝細胞の培養方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09313172A true JPH09313172A (ja) 1997-12-09
JP3014322B2 JP3014322B2 (ja) 2000-02-28

Family

ID=15117697

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8133985A Expired - Fee Related JP3014322B2 (ja) 1996-05-28 1996-05-28 小型肝細胞の培養方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3014322B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002534974A (ja) * 1999-01-19 2002-10-22 ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル ヒト肝前駆細胞
EP1783489A1 (en) * 2004-06-29 2007-05-09 Japan Science and Technology Agency Method of separating small hepatocytes by using specific antibody
JP2017131194A (ja) * 2016-01-29 2017-08-03 北海道公立大学法人 札幌医科大学 小型肝細胞の継代培養方法
WO2021038892A1 (ja) 2019-08-26 2021-03-04 株式会社フェニックスバイオ ヒト脂肪肝モデル細胞
WO2022181660A1 (ja) 2021-02-26 2022-09-01 株式会社フェニックスバイオ スクリーニング方法に使用するためのヒト脂肪肝モデル細胞
WO2023132371A1 (ja) * 2022-01-07 2023-07-13 インテグリカルチャー株式会社 肝臓由来の細胞の培養方法および肝臓由来の細胞を含む培養系

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3537791B2 (ja) 1994-08-23 2004-06-14 独立行政法人 科学技術振興機構 クローン性増殖能を有する肝実質細胞

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002534974A (ja) * 1999-01-19 2002-10-22 ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル ヒト肝前駆細胞
EP1783489A1 (en) * 2004-06-29 2007-05-09 Japan Science and Technology Agency Method of separating small hepatocytes by using specific antibody
EP1783489A4 (en) * 2004-06-29 2008-05-28 Japan Science & Tech Agency METHOD FOR SEPARATING SMALL HEPATOCYTES USING SPECIFIC ANTIBODY
JP2017131194A (ja) * 2016-01-29 2017-08-03 北海道公立大学法人 札幌医科大学 小型肝細胞の継代培養方法
WO2021038892A1 (ja) 2019-08-26 2021-03-04 株式会社フェニックスバイオ ヒト脂肪肝モデル細胞
WO2022181660A1 (ja) 2021-02-26 2022-09-01 株式会社フェニックスバイオ スクリーニング方法に使用するためのヒト脂肪肝モデル細胞
WO2023132371A1 (ja) * 2022-01-07 2023-07-13 インテグリカルチャー株式会社 肝臓由来の細胞の培養方法および肝臓由来の細胞を含む培養系

Also Published As

Publication number Publication date
JP3014322B2 (ja) 2000-02-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN107012117B (zh) 可从机体组织分离的多能干细胞
KR100968165B1 (ko) 지방 유래 간세포 및 격자
JP4146802B2 (ja) 単球を起源に持つ、脱分化したプログラム可能な幹細胞およびそれらの製造と使用
EP1954803B1 (en) Multipotent adult stem cells having an ability of oct4 expression derived from umbilical cord blood and method for preparing the same
JPWO2006093276A1 (ja) 心臓組織由来の多能性幹細胞
Nair et al. Identification of p63+ keratinocyte progenitor cells in circulation and their matrix-directed differentiation to epithelial cells
CA2146735C (en) Liver parenchymal cells having clonal growth ability, method for obtaining same, method for subculturing same, and subculturing system of primary hepatocytes
JP2004511266A (ja) 間葉間質細胞に対する治療的利用法
US6136600A (en) Method for cultivation of hepatocytes
KR20120006386A (ko) 1기 태반조직 유래 줄기세포 및 이를 함유하는 세포치료제
CA2568475A1 (en) A method for creating cell clusters
JP3014322B2 (ja) 小型肝細胞の培養方法
KR20050077746A (ko) 제대혈로부터 다분화능 전구/줄기세포를 분리하여배양하는 방법 및 이의 분화 유도방법
JP3266766B2 (ja) ローン性増殖能を有する肝実質細胞とその取得方法、並びにその継代培養方法
JP3211941B2 (ja) ヒト小型肝細胞の取得方法と、この細胞の初代培養および継代培養方法
KR101204894B1 (ko) 줄기세포의 외배엽성 세포로의 분화 방법
Domanska-Janik et al. Neural commitment of cord blood stem cells (HUCB-NSC/NP): therapeutic perspectives
KR20080094431A (ko) 말초 혈액 유래 단핵 세포로부터 신경 전구 세포를 분리,배양 및 분화하는 방법
EP1637590B1 (en) Differentiated cells originating in precursor fat cells and method of acquiring the same
JP3537791B2 (ja) クローン性増殖能を有する肝実質細胞
JP2006115771A (ja) 骨格筋由来の心筋幹細胞
Yamazaki et al. Mari Dezawa, Kenichiro Tsuchiyama
CN106754728B (zh) 后肾间充质细胞系及其制备方法与应用
Baudyšová Isolated Organs and Explanted Tissue
Dezawa et al. Regenerating Melanocytes: Current Stem Cell Approaches with Focus on Muse Cells

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees