JPH09313131A - スギ花粉症予防性を有する食品 - Google Patents

スギ花粉症予防性を有する食品

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JPH09313131A
JPH09313131A JP8136985A JP13698596A JPH09313131A JP H09313131 A JPH09313131 A JP H09313131A JP 8136985 A JP8136985 A JP 8136985A JP 13698596 A JP13698596 A JP 13698596A JP H09313131 A JPH09313131 A JP H09313131A
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pectate lyase
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amino acid
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JP8136985A
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Manabu Muramoto
学 村元
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スギ花粉症を予防および/または治療するた
めの食品を提供する。 【解決手段】 ペクテートリアーゼ、ペクテートリアー
ゼ活性を有する蛋白質(但し、Cry j I を除く)、それ
らとアミノ酸レベルでの相同性の高い蛋白質、またはそ
れらの一部からなるペプチドを有効成分として含む、ス
ギ花粉症を予防および/または治療するための食品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スギ花粉症を予防
および/または治療するための食品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スギ花粉症は、眼鏡やマスクなど
の着用による物理的なスギ花粉との接触を防止すること
により予防したり、通常減感作療法といわれている注射
療法により治療されてきた。しかしながら、スギ花粉を
回避するために、外出時に花粉症専用のマスクや眼鏡な
どを着用する方法は、実際問題として、苦痛を伴い、か
なりの労力を要する。更に、花粉の飛散は屋外だけでは
なく、屋内でも充分起こっている。換気や、髪の毛や衣
服あるいは洗濯物などへの付着により、屋内へのスギ花
粉の持ち込みが起こっているからである。従って、スギ
花粉飛散時期には屋内外を通じて花粉に接触する可能性
は充分考えられるので、物理的に花粉との接触を阻止す
るためには、厳密には外出時だけではなく、屋内外を問
わず一日中マスクと眼鏡の着用が必要となる。
【0003】また、原因抗原に対する感受性を低下させ
る減感作療法は、スギ花粉から抽出された抗原エキス
を、週に一回から二回の間隔で定期的に、かつ徐々に増
量しながら、繰り返し皮下に注射するという方法であ
る。その治療は、注射するエキス量を増量していき、維
持量に達したところで、月一回の間隔で最低一年、場合
によっては二年間注射を続けることにより、その効果が
現れると言われている。このように、減感作療法は効果
が現れるのに、かなりの時間と手間と費用がかかる上
に、現在のところ、すべての人に有効であるわけではな
い。
【0004】スギ花粉症は免疫反応であるため、一度感
作されると、高齢になりすべての免疫力が衰えるまで、
その症状が緩和されることはない。一方、スギ花粉症を
発症する年齢は年々下がり、現在は小学校低学年でも発
症する例が数多く報告されている。小学校低学年で感作
した人は、免疫力が落ちるまでの長期間、毎年春先にな
るとスギ花粉症に苦しめられることになる。従って、こ
のスギ花粉症の予防や治療は小学校に上がる前後から行
われるのが望ましいが、成人でも実践が困難であると思
われるこれらの方法が、低年齢時にはより困難であろう
ことは容易に想像がつく。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、容
易に、特に低年齢の子どもでも簡単に、スギ花粉症を予
防および/または治療できる食品を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
鋭意努力した結果、発明者は、スギ花粉の主要アレルゲ
ンであるCry j I をラットに経口投与し、一定期間後に
抗原(Cry j I) を感作させ、その後の抗体産生量を測定
したところ、Cry j I を舌下から吸収させる方法が最も
効果的に、抗Cry j I 抗体の産生の抑制を誘導し、さら
には、この効果を発揮する至適摂取量のあることを見い
だし、特許を申請した(特願平7-218432, 7-218433) 。
つまり、経口免疫寛容という現象を利用して、スギ花粉
症を予防できることを見いだしたのである。
【0007】この目的を達成するための食品は、スギ花
粉から抽出された抗原性を有する蛋白質を配合するとい
う構成をとるために、原料となるスギ花粉が大量に必要
となる。しかし、天候によるスギ花粉収穫量の変動、あ
るいは内在するCry j I の量的変動、スギの木からのス
ギ花粉の採取の困難さ、スギ花粉からのCry j I の分離
精製が煩雑であることなどの理由から、スギ花粉からCr
y j I を大量に分取し、それを商業ベースにのせること
は非常に困難なことである。
【0008】そこで、発明者は、スギ花粉の主要アレル
ゲンであるCry j I がペクテートリアーゼ活性をもつこ
と(Allergy;50(1), 1995, 90-93, Taniguchi.Y ら) に
着目して検討を行ったところ、E.carotovora Er.由来の
ペクテートリアーゼがCry jI の代替物になることを見
いだした。すなわち、E.carotovora由来のペクテートリ
アーゼ活性を有する二種の蛋白質を舌下から吸収させる
ことにより、抗Cry jI 抗体の産生の抑制を誘導できる
事を見いだし、本発明を完成するに至った。本発明は、
ペクテートリアーゼ、ペクテートリアーゼ活性を有する
蛋白質(但し、Cry j I を除く)、それらとアミノ酸レ
ベルでの相同性の高い蛋白質、またはそれらの一部から
なるペプチドを有効成分として含む、スギ花粉症を予防
および/または治療するための食品を提供する。
【0009】特定の理論に拘泥するわけではないが、本
発明の食品を摂取することにより、口腔内の粘膜からペ
クテートリアーゼ活性を有する蛋白質が体内に吸収さ
れ、抗スギ花粉抗体の産生が抑制されるものと考えられ
る。蛋白質、特にその高次構造により活性を発現する酵
素のような蛋白質は、胃の消化酵素であるペプシンによ
り容易に加水分解され、その高次構造を保持できなくな
る。このペクテートリアーゼを用いる経口免疫寛容は、
酵素活性を保持する蛋白質の高次構造に由来すると思わ
れるので、望ましい効果を発揮するためには、消化酵素
による加水分解を避けて、体内に吸収されることが必要
であり、そのためにも、口腔内で、ペクテートリアーゼ
活性を有する蛋白質が、長時間滞留されるような形態を
とることが好ましい。
【0010】ところで、抗体産生には、Tリンパ球とB
リンパ球との相互作用が必要であり、この相互作用によ
り体内に進入した異物に対する抗体が産生される。逆
に、抗体産生を抑制させるためには、このいずれかある
いは両方のリンパ球が寛容状態になることが要求され
る。一般に、Bリンパ球が寛容状態になるのには、Tリ
ンパ球を寛容状態にするより多くの抗原量が必要である
と考えられているので、本発明のスギ花粉症を予防およ
び/または治療するための食品は、Tリンパ球を寛容状
態にすると思われる。また、今までは、スギ花粉症とい
えば、スギ花粉アレルゲンに対するIgE抗体が関与す
る、I型アレルギーが主な症状といわれていたが、近年
IV型アレルギーに分類されるアレルギー性接触皮膚炎も
問題になってきている。このIV型アレルギーは、Tリン
パ球が関与するアレルギー反応なので、Tリンパ球を寛
容状態にすることができればIV型アレルギーも抑制する
ことが可能であると考えられる。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
食品は、ペクテートリアーゼ、ペクテートリアーゼ活性
を有する蛋白質(但し、Cry j I を除く)、それらとア
ミノ酸レベルで相同性の高い蛋白質、またはそれらの一
部からなるペプチドを有効成分として含む。前記の蛋白
質およびペプチドとしては、Cry j I との交差反応性が
20%以下であるものが適当であり、10%以下のもの
が好ましい。
【0012】ペクテートリアーゼは、ペクチン酸のα−
1,4結合をC4 の位置で切断し、C4 とC5 の間に二
重結合を形成させる作用を有する蛋白質であり、野菜軟
腐病菌に存在することが知られている(バイオサイエン
スとインダストリー;50 (4), 1992, 伊藤和夫)。ペク
テートリアーゼは、例えば、野菜腐敗菌、特に、E. car
otovora Er. (IAM No. 1068)の培養上清から、Agric. B
iol. Chem.; 41(6), 975-981, 1977, S. Kamimiya らに
記載の方法に従って、以下のようにして取得することが
できる。
【0013】Meat Exatract 1%, Bacto peptone 1%, Na
Cl 0.5% を含むNutrient broth (pH6.8) 中に、1白金
耳のE. carotovora Er. を接種して、30℃で16時間
前培養する。前培養したE. carotovora Er. をペクチン
酸存在下で、培養し、ペクテートリアーゼを培養液中に
分泌させる。培養は、ワコー製ペクチン酸0.5%、casami
no酸0.2%の入ったM9培地で30℃で8時間、176rp
m でrecipro 振盪培養により行う。培養液を8000rpm ×
20分(4℃)で遠心分離し、上清を集める。この上清を
10倍量の蒸留水で希釈する。希釈した培養上清を、陽
イオン交換樹脂のS-Sepharose F.F.が充填されたカラム
に通し、吸着した酵素を0→500 mM NaCl-10 mM PO4-K
Buffer (pH 7.0)のグラジエント溶出を行い、フラクシ
ョンコレクターにより活性の高い画分を集める。また、
非吸着の酵素活性も調べ、非吸着の酵素活性が低くなる
まで何度も、非吸着画分をS-Sepharose F.F.カラムに通
し、NaClの濃度勾配を繰り返す。更に、その活性画分
を、溶媒としてPBS(-)を用いるゲル濾過(HiLoad Superd
ex 75pg)にて更に精製する。SDS-PAGEにより、純度を確
認した後、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥で濃縮した
後、−20℃で貯蔵する。
【0014】ペクテートリアーゼ活性を有する蛋白質
は、多くの植物組織を軟化腐敗させる野菜軟腐病菌 (Er
winia carotovora subsp. carotovora, E. carotovora
subsp.atroseptica, E. chyrysanthemi pv. chrysanthe
mi, P. marginalis pv. marginalis, Ps. cichorii
ど)、被子植物(トマトなど)および裸子植物(スギな
ど) の花粉に多くみられ、特にスギ花粉の主要アレルゲ
ンであるCry j I がペクテートリアーゼ活性を有するこ
とが明らかになっている(Allergy (1955) 50(1),90-93)
。ペクテートリアーゼ活性を有する蛋白質は、前記のA
gric. Biol. Chem.; 41(6), 975-981, 1977, S. Kamimi
ya らに記載の方法に従って、取得することができる。
【0015】また、前記のペクテートリアーゼ又はペク
テートリアーゼ活性を有する蛋白質とアミノ酸レベルで
相同性の高い蛋白質としては、ペクテートリアーゼ活性
を有する蛋白質とアミノ酸レベルで40%以上、好ましく
は、50%以上の相同性を有する蛋白質を含む。前記のペ
クテートリアーゼ、ペクテートリアーゼ活性を有する蛋
白質又はそれらとアミノ酸レベルで相同性の高い蛋白質
の一部からなるペプチドとしては、ペクテートリアーゼ
活性を有するものであればよい。
【0016】本発明の食品をラット等の小動物に摂取さ
せる場合には、精製して純度を高めたペクテートリアー
ゼ又はペクテートリアーゼ活性を有する蛋白質を用いる
ことが好ましい。小動物は口腔の容積が非常に小さく、
そのため投与できる量も限られているので、純度の高い
ペクテートリアーゼ又はペクテートリアーゼ活性を有す
る蛋白質を少量経口投与する必要があるからである。
【0017】一方、人の口腔は大きく、また少量多数回
の摂食も可能であるため、ラットほど蛋白質の純度を高
めなくても十分に効果を発揮すると考えられる。例え
ば、E.carotovoraの培養中に培養液に分泌されるペクテ
ートリアーゼを精製せず、培養液を濃縮したいわゆる粗
蛋白質でも十分であるし、食品へ添加する際に着色が問
題となる場合は、イオン交換樹脂で粗精製されることが
望ましい。
【0018】本発明の食品は、一日に、好ましくは0.2
〜0.6mg/kg、より好ましくは0.3〜0.5mg/kg、最も
好ましくは、0.4mg/kg程度(体重当たりの量に換算)
のペクテートリアーゼ、ペクテートリアーゼ活性を有す
る蛋白質、それらとアミノ酸レベルで相同性の高い蛋白
質、またはそれらの一部からなるペプチドを摂取できる
よう設計されるとよい。
【0019】また、スギ花粉症を予防および/または治
療するために十分な量のペクテートリアーゼ、ペクテー
トリアーゼ活性を有する蛋白質、それらとアミノ酸レベ
ルで相同性の高い蛋白質、またはそれらの一部からなる
ペプチドが、舌下から吸収されるように設計されると良
い。上記のような蛋白質の十分量を舌下から吸収させる
ためには、口の中での蛋白質の滞留時間が長い食品形態
をとればよく、この目的に合致した食品形態としては、
チューインガム、打錠キャンディー、グミキャンディ
ー、キャラメルなどが挙げられる。これらの形態をとる
食品は、嗜好食品として現在でも低年齢児童に食されて
いるほか、その形態の特徴から、場所を選ばず、いつで
も、誰にでも、簡単に利用できるという利点を有してい
る。
【0020】チューインガムの原料として、チューイン
ガムに用いられる公知のすべての原料が挙げられ、それ
らが適時に選択利用される。さらに、チューインガムに
限らず、糖衣ガムなどの他の形状も考えられる。また、
一般にチューインガムに用いられる、その他の添加物に
よる花粉症予防効果の阻害は考えられないので、種々の
色素や香料、ハーブエキス、甘味料を組み合わせること
により、様々な年齢層に対応する商品の開発が可能であ
る。香料、ハーブエキスは、食品に用いられる物であれ
ば、一種または複数用いてもよい。このような香料、ハ
ーブエキスとしては、ミント、メントール、シオネー
ル、ペパーミント、スペアミント、カンゾウ、ケイヒ、
サンザシ、シソなどが挙げられる。
【0021】一般に、自律神経が不安定な状態にある
と、アレルギー症状がでやすく、症状が重症化しやす
い、つまり、ストレスの付加が、体内でのIgE抗体の産
生を促進し、標的臓器における反応性を亢進させる(鼻
腔粘膜や眼球結膜の花粉アレルゲンに対する過敏性を高
める) ように作用していると考えられている。そこで、
リラックスすることにより自律神経のバランスが回復
し、それによりアレルギー症状になりにくい状態になる
ことも考えられる。チューインガムには、咀嚼による物
理的刺激により気分転換効果やイライラ等を抑制する緊
張緩和効果があることが知られている。従って、チュー
インガムを用いたスギ花粉症を予防および/または治療
するための食品は、スギ花粉に対する免疫反応の抑制だ
けではなく、自律神経を安定化させることにより、相乗
的な予防および治療効果を期待させる食品となる。
【0022】キャンディーとしては、通常の形状のキャ
ンディーはもちろん、打錠キャンディー、グミキャンデ
ィーなどが挙げられる。特に、熱履歴の少ない打錠キャ
ンディーは、発明の目的にもっとも適した食品形態であ
る。キャンディーにおいても、種々の色素や香料、甘味
料を組み合わせることにより、様々な年齢層に対応する
商品の開発が可能となる。
【0023】キャラメルにしても、同様に種々の香料や
甘味料を組み合わせることによる商品の開発が可能であ
るうえ、水飴、加糖練乳の量を変えることにより口中で
の滞留時間を調節することが可能である商品として、形
状的にも適した食品となる。花粉症を予防および/また
は治療する効果を発揮するためには、一日に0.2〜0.6
mg/kg(体重当たりの量に換算)相当のペクテートリア
ーゼ、ペクテートリアーゼ活性を有する蛋白質、それら
とアミノ酸レベルでの相同性の高い蛋白質、またはそれ
らの一部からなるペプチドを継続してとることが望まし
いので、これらの食品には、一日に上記の量の蛋白質を
摂取できるように設計された物のであることが望まし
い。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明を、以下の実施例によりさ
らに具体的に説明する。これらの実施例は説明のための
ものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0025】〔実施例1〕まず、次のような方法で、ペ
クテートリアーゼを抽出精製した。本発明に用いるペク
テートリアーゼは、野菜腐敗菌特にE.carotovora Er.
( IAM No.1068) の培養上清から、S.Kamimiya(Agric. B
iol. Chem.,41(6), 975-981. 1977) らの方法によって
得られる。すなわち、本発明に用いる蛋白質は、E.caro
tovora Er.をペクチン酸存在下で培養することにより、
ペクテートリアーゼを培養液中に分泌させ、その培養液
上清をイオン交換法とゲル濾過法を用いることにより精
製された。
【0026】ペクテートリアーゼの量は、培養液中の菌
数に依存するために、培養液中には予め多くのE.caroto
vora Er.が培養されていることが必須となる。そこで、
1%のmeat extract、Bactopepton 、0.5%のNaClを含
むNutrient broth(pH 6.8)中に、1白金耳のE.carotovo
ra Er.を接種して、30℃で16時間前培養した。培養後、
0.5%ペクチン酸、0.2% casamino 酸を含むM9培地
で30℃、8時間更に培養した。この培養上清を遠心分離
により集め、蒸留水で希釈した。
【0027】その希釈した培養上清を、陽イオン交換樹
脂である、S-Sepharose F.F.が充填されたカラムに通
し、0→500mM になるようにNaClの濃度勾配をかけ、ペ
クテートリアーゼ活性の高い活性画分をフラクションコ
レクターにより集めた(図1のpool1および4)。更
に、その活性画分(pool1および4)をゲル濾過(HiLo
adSuperdex 75pg) にて精製した(図2)。その後、SDS
-PAGEにより、純度を確認した後、蒸留水に対して透析
し、凍結乾燥で濃縮した後、−20℃で貯蔵した。
【0028】上記のように抽出、精製されたE.carotovo
ra Er.由来の2種のペクテートリアーゼpool1および4
を、既にCry j I で効果が確認されている舌下投与によ
りラットに経口投与し、抗Cry j I 特異抗体産生の抑制
効果を検討した。つまり、上記の方法で精製したペクテ
ートリアーゼを、生理食塩水で可溶化し、 100μg/日
・ラットとなるように調整し、5日間、2日おいて、更
に5日間の計10日間、舌下投与による経口投与を行っ
た。最終経口投与10日後に、アジュバンド化したCry j
I を腹腔内投与することにより、抗原を感作させた。こ
の飼育期間中には、いずれの動物群にも体重の変化は見
られなかった(図3)。従って、この方法では、体重に
影響を与えるような副作用や下痢などの諸症状は見られ
なかった。更に、抗原感作日を起点として経時的に抗Cr
y j I 抗体の量を、ELISA法により測定したところ、二
種のペクテートリアーゼの舌下投与群は、対照群(ペク
テートリアーゼの代わりに生理食塩水のみを与えた群)
に比べて、抗Cry j I 特異抗体産生量が抑制されている
ことが明らかとなった。また、28日目のペクテートリア
ーゼpool4 投与群では、スチューデントのt検定で、5
%の危険率で有意差があることが示されている(図
4)。
【0029】このE. carotovora 由来のペクテートリア
ーゼ活性を有する二種の蛋白質について、ファルマシア
社製のCAP-RASTシステムを用い、スギ花粉アレルゲンと
の交差反応性を検討した。つまり、スギ花粉特異IgE抗
体を保有しているRASTスコアーが2以上である6名(A
〜F)から採血を行い、血漿を分離し、その血漿を用い
て、CAP-RAST inhibition を行った。精製したCry j I
を用いて交差反応性をみたところ、10ngという微量で交
差反応性があることが示されているが、その 100倍量の
E.carotovora Er.の二種のペクテートリアーゼには、ス
ギ花粉アレルゲンの交差反応性がないことが明らかにな
った(図5)。つまり、スギ花粉症になっている人の血
清中のIgE抗体との結合反応をしないので、既にスギ花
粉に感作されているいないに関わらず、すべての人にこ
のペクテートリアーゼを適用できることが明らかとなっ
た。
【0030】以上の結果より、スギ花粉症を予防および
/または治療するための食品に添加するペクテートリア
ーゼ活性を有する蛋白質は、ラットに対しては、 100μ
g/日・ラットの投与量で効果を発揮することがわかっ
たが、これを体重当たりの量に換算すると、0.4mg/kg
に相当する。
【0031】〔実施例2〕 チューインガムの製造 ガムベースと糖類の2分の1量を約10分間、ミキサーで
練った。次に残りの糖類と軟化剤を入れ、更に30〜40分
間攪拌し、最後に香料と全量の0.2%のペクテートリア
ーゼ活性を有する蛋白質を加え、1〜2分後に取り出し
た。ガムの仕上がり温度は40℃とした。ミキサーから取
り出したガムはエクストルーダーに投入し更によく練っ
た後、その先端の口金から圧延ロールを通し厚さ1.5〜
2.5mmのシートとし、粉糖を表面と裏面にまぶして押し
出した。その後、1片が2g になるように成型し、乾燥
させた。これらのチューインガムを一日に3枚から9枚
程度を食することが望ましい。
【0032】〔実施例3〕 打錠キャンディーの製造 水7%に乳糖4%を加温溶解し、デキストリン4%を溶
解し、透明な溶液を得た。これに炭酸カルシウム2%を
加え、練りペースト状にして、これに砂糖90%をらい潰
機にて混練りし、完全に混合した後、エステル2%、タ
ルク0.5%、適量の粉末香料と0.2%のペクテートリア
ーゼ活性を有する蛋白質を混合攪拌し、室温で(おおよ
そ35℃前後)軽度乾燥させた。乾燥した顆粒を打錠機
にて直径16mm、1錠2g の錠菓とした。これらの打錠キ
ャンディーを一日に3粒から9粒程度を食することが望
ましい。
【0033】〔実施例4〕 グミキャンディーの製造 ゼラチン7%に水10%を混ぜ、60℃の湯煎中で、膨潤溶
解させた。別に、グラニュー糖39.3%と水飴39.3%と水
9%を鍋に入れ、加熱溶解させた。これを冷却し、膨潤
溶解させたゼラチンを加え、混合した。更に、攪拌混合
が可能な温度まで冷却した後、適量の香料と全量の0.2
%のペクテートリアーゼ活性を有する蛋白質を入れ、更
に攪拌混合した。混合された溶液を一粒2g になるよう
に、型に充填し、室温で数時間〜一晩程度静置した。こ
れを静かに型から取り外し、油等の付着防止剤を塗り、
目的のグミキャンディーを得た。これらのグミキャンデ
ィーを一日に3粒から9粒程度を食することが望まし
い。
【0034】〔実施例5〕 キャラメルの製造 A 水 飴 33.9%、加糖練乳 27.1%、赤双糖 22.6
% B 硬化油 0.9%、バター 0.7% Aを煮詰め鍋に入れ、攪拌しながら、35℃まで加熱し
て、Bを加えて十分混合した。次に 124℃まで煮詰め
た。これを十分冷やしてから、適量の香料とペクテート
リアーゼ活性を有する蛋白質を全量の0.1%を手際よく
混合した。それを一粒4g になるように成型し、目的の
キャラメルを得た。このキャラメルを一日に、3粒から
9粒程度を食することが望ましい。
【0035】
【発明の効果】本発明の食品により、スギ花粉症を予防
および/または治療することができる。ペクテートリア
ーゼは抗Cry j I 特異IgE 抗体と結合しないので、本発
明の食品は、すでに花粉症になっている人でも簡単に利
用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フラクション番号と吸光値を示す図である。吸
光値の高いフラクションは蛋白質の含有量が高いことを
示す。
【図2】フラクション番号と吸光値および酵素活性を示
す図である。吸光値および酵素活性の高いフラクション
は蛋白質の含有量が高いことを示す。
【図3】飼育期間中のラットの体重変化を示す図であ
る。
【図4】抗原感作日を起点とした時の抗Cry j I 抗体量
の相対値の経時変化を示す図である。
【図5】CAP-RAST Inhibition 法による、ペクテートリ
アーゼとCry j Iとの交差反応性を示す図である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペクテートリアーゼ、ペクテートリアー
    ゼ活性を有する蛋白質(但し、Cry j I を除く)、それ
    らとアミノ酸レベルでの相同性の高い蛋白質、またはそ
    れらの一部からなるペプチドを有効成分として含む、ス
    ギ花粉症を予防および/または治療するための食品。
  2. 【請求項2】 ペクテートリアーゼ又はペクテートリア
    ーゼ活性を有する蛋白質が、微生物より抽出されたペク
    テートリアーゼ又はペクテートリアーゼ活性を有する蛋
    白質である請求項1記載の食品。
  3. 【請求項3】 微生物が、多くの植物組織を軟化腐敗さ
    せる野菜軟腐病菌である請求項1記載の食品。
  4. 【請求項4】 一日に0.2〜0.6mg/kg(体重当たりの
    量に換算)のペクテートリアーゼ、ペクテートリアーゼ
    活性を有する蛋白質、それらとアミノ酸レベルでの相同
    性の高い蛋白質、またはそれらの一部からなるペプチド
    を摂取できるように設計された請求項1記載の食品。
  5. 【請求項5】 スギ花粉症を予防および/または治療す
    るために十分な量のペクテートリアーゼ、ペクテートリ
    アーゼ活性を有する蛋白質、それらとアミノ酸レベルで
    の相同性の高い蛋白質、またはそれらの一部からなるペ
    プチドが舌下から吸収されるように設計された請求項1
    記載の食品。
  6. 【請求項6】 食品形態がチューインガム、打錠キャン
    ディー、グミキャンディーおよびキャラメルからなる群
    より選択される請求項5記載の食品。
  7. 【請求項7】 すでに花粉症になっている人でも簡単に
    利用できる請求項1記載の食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007105661A1 (ja) * 2006-03-10 2007-09-20 Ezaki Glico Co., Ltd. 酵素含有キャンディー
JP2020000033A (ja) * 2018-06-26 2020-01-09 国立大学法人広島大学 経口免疫寛容誘導剤、これを含有する食品および医薬品、ならびに加工食品の製造方法

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