JPH09315998A - スギ花粉症の予防および/または治療剤 - Google Patents

スギ花粉症の予防および/または治療剤

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JPH09315998A
JPH09315998A JP8136986A JP13698696A JPH09315998A JP H09315998 A JPH09315998 A JP H09315998A JP 8136986 A JP8136986 A JP 8136986A JP 13698696 A JP13698696 A JP 13698696A JP H09315998 A JPH09315998 A JP H09315998A
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pectate lyase
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lyase activity
cedar pollen
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スギ花粉症の予防および/または治療剤を提
供する。 【解決手段】 ペクテートリアーゼ、ペクテートリアー
ゼ活性を有する蛋白質(但し、Cry j I を除く)、それ
らとアミノ酸レベルでの相同性の高い蛋白質、またはそ
れらの一部からなるペプチドを有効成分として含む、ス
ギ花粉症の予防および/または治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スギ花粉症の予防
および/または治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スギ花粉症は、眼鏡やマスクなど
の着用による物理的なスギ花粉との接触を防止すること
により予防したり、通常減感作療法といわれている注射
療法により治療されてきた。しかしながら、スギ花粉を
回避するために、外出時に花粉症専用のマスクや眼鏡な
どを着用する方法は、実際問題として、苦痛を伴い、か
なりの労力を要する。更に、花粉の飛散は屋外だけでは
なく、屋内でも充分起こっている。換気や、髪の毛や衣
服あるいは洗濯物などへの付着により、屋内へのスギ花
粉の持ち込みが起こっているからである。従って、スギ
花粉飛散時期には屋内外を通じて花粉に接触する可能性
は充分考えられるので、物理的に花粉との接触を阻止す
るためには、厳密には外出時だけではなく、屋内外を問
わず一日中マスクと眼鏡の着用が必要となる。
【0003】また、原因抗原に対する感受性を低下させ
る減感作療法は、スギ花粉から抽出された抗原エキス
を、週に一回から二回の間隔で定期的に、かつ徐々に増
量しながら、繰り返し皮下に注射するという方法であ
る。その治療は、注射するエキス量を増量していき、維
持量に達したところで、月一回の間隔で最低一年、場合
によっては二年間注射を続けることにより、その効果が
現れると言われている。このように、減感作療法は効果
が現れるのに、かなりの時間と手間と費用がかかる上
に、現在のところ、すべての人に有効であるわけではな
い。
【0004】スギ花粉症は免疫反応であるため、一度感
作されると、高齢になりすべての免疫力が衰えるまで、
その症状が緩和されることはない。一方、スギ花粉症を
発症する年齢は年々下がり、現在は小学校低学年でも発
症する例が数多く報告されている。小学校低学年で感作
した人は、免疫力が落ちるまでの長期間、毎年春先にな
るとスギ花粉症に苦しめられることになる。従って、こ
のスギ花粉症の予防や治療は小学校に上がる前後から行
われるのが望ましいが、成人でも実践が困難であると思
われるこれらの方法が、低年齢時にはより困難であろう
ことは容易に想像がつく。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、簡
便に利用でき、副作用の心配のない、スギ花粉症の予防
および/または治療剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
鋭意努力した結果、発明者は、スギ花粉の主要アレルゲ
ンであるCry j I をラットに経口投与し、一定期間後に
抗原(Cry j I) を感作させ、その後の抗体産生量を測定
したところ、Cry j I を舌下から吸収させる方法が最も
効果的に、抗Cry j I 抗体の産生の抑制を誘導し、さら
には、この効果を発揮する至適摂取量のあることを見い
だし、特許を申請した(特願平7-218432, 7-218433) 。
つまり、経口免疫寛容という現象を利用して、スギ花粉
症を予防できることを見いだしたのである。
【0007】この目的を達成するための薬剤は、スギ花
粉から抽出された抗原性を有する蛋白質を配合するとい
う構成をとるために、原料となるスギ花粉が大量に必要
となる。しかし、天候によるスギ花粉収穫量の変動、あ
るいは内在するCry j I の量的変動、スギの木からのス
ギ花粉の採取の困難さ、スギ花粉からのCry j I の分離
精製が煩雑であることなどの理由から、スギ花粉からCr
y j I を大量に分取し、それを商業ベースにのせること
は非常に困難なことである。
【0008】そこで、発明者は、スギ花粉の主要アレル
ゲンであるCry j I がペクテートリアーゼ活性をもつこ
と(Allergy;50(1), 1995, 90-93, Taniguchi.Y ら) に
着目して検討を行ったところ、E.carotovora Er.由来の
ペクテートリアーゼがCry jI の代替物になることを見
いだした。すなわち、E.carotovora由来のペクテートリ
アーゼ活性を有する二種の蛋白質を舌下から吸収させる
ことにより、抗Cry jI 抗体の産生の抑制を誘導できる
事を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】本発明は、ペクテートリアーゼ、ペクテー
トリアーゼ活性を有する蛋白質、それらとアミノ酸レベ
ルでの相同性の高い蛋白質、またはそれらの一部からな
るペプチドを有効成分として含む、スギ花粉症の予防お
よび/または治療剤を提供する。
【0010】特定の理論に拘泥するわけではないが、本
発明の薬剤を摂取することにより、口腔内の粘膜からペ
クテートリアーゼ活性を有する蛋白質が体内に吸収さ
れ、抗スギ花粉抗体の産生が抑制されるものと考えられ
る。蛋白質、特にその高次構造により活性を発現する酵
素のような蛋白質は、胃の消化酵素であるペプシンによ
り容易に加水分解され、その高次構造を保持できなくな
る。このペクテートリアーゼを用いる経口免疫寛容は、
酵素活性を保持する蛋白質の高次構造に由来すると思わ
れるので、望ましい効果を発揮するためには、消化酵素
による加水分解を避けて、体内に吸収されることが必要
であり、そのためにも、口腔内で、ペクテートリアーゼ
活性を有する蛋白質が、長時間滞留されるような形態を
とることが好ましい。
【0011】ところで、抗体産生には、Tリンパ球とB
リンパ球との相互作用が必要であり、この相互作用によ
り体内に進入した異物に対する抗体が産生される。逆
に、抗体産生を抑制させるためには、このいずれかある
いは両方のリンパ球が寛容状態になることが要求され
る。一般に、Bリンパ球が寛容状態になるのには、Tリ
ンパ球を寛容状態にするより多くの抗原量が必要である
と考えられているので、本発明のスギ花粉症の予防およ
び/または治療剤は、Tリンパ球を寛容状態にすると思
われる。また、今までは、スギ花粉症といえば、スギ花
粉アレルゲンに対するIgE抗体が関与する、I型アレル
ギーが主な症状といわれていたが、近年IV型アレルギー
に分類されるアレルギー性接触皮膚炎も問題になってき
ている。このIV型アレルギーは、Tリンパ球が関与する
アレルギー反応なので、Tリンパ球を寛容状態にするこ
とができればIV型アレルギーも抑制することが可能であ
ると考えられる。
【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
薬剤は、ペクテートリアーゼ、ペクテートリアーゼ活性
を有する蛋白質、それらとアミノ酸レベルで相同性の高
い蛋白質、またはそれらの一部からなるペプチドを有効
成分として含む。前記の蛋白質およびペプチドとして
は、Cryj I との交差反応性が20%以下であるものが
適当であり、10%以下のものが好ましい。
【0013】ペクテートリアーゼは、ペクチン酸のα−
1,4結合をC4 の位置で切断し、C4 とC5 の間に二
重結合を形成させる作用を有する蛋白質であり、野菜軟
腐病菌に存在することが知られている(バイオサイエン
スとインダストリー;50 (4), 1992, 伊藤和夫)。ペク
テートリアーゼは、例えば、野菜腐敗菌、特に、E. car
otovora Er. (IAM No. 1068)の培養上清から、Agric. B
iol. Chem.; 41(6), 975-981, 1977, S. Kamimiya らに
記載の方法に従って、以下のようにして取得することが
できる。
【0014】Meat Exatract 1%, Bacto peptone 1%, Na
Cl 0.5% を含むNutrient broth (pH6.8) 中に、1白金
耳のE. carotovora Er. を接種して、30℃で16時間
前培養する。前培養したE. carotovora Er. をペクチン
酸存在下で、培養し、ペクテートリアーゼを培養液中に
分泌させる。培養は、ワコー製ペクチン酸0.5%、casami
no酸0.2%の入ったM9培地で30℃で8時間、176rp
m でrecipro 振盪培養により行う。培養液を8000rpm ×
20分(4℃)で遠心分離し、上清を集める。この上清を
10倍量の蒸留水で希釈する。希釈した培養上清を、陽
イオン交換樹脂のS-Sepharose F.F.が充填されたカラム
に通し、吸着した酵素を0→500 mM NaCl-10 mM PO4-K
Buffer (pH 7.0)のグラジエント溶出を行い、フラクシ
ョンコレクターにより活性の高い画分を集める。また、
非吸着の酵素活性も調べ、非吸着の酵素活性が低くなる
まで何度も、非吸着画分をS-Sepharose F.F.カラムに通
し、NaClの濃度勾配を繰り返す。更に、その活性画分
を、溶媒としてPBS(-)を用いるゲル濾過(HiLoad Superd
ex 75pg)にて更に精製する。SDS-PAGEにより、純度を確
認した後、蒸留水に対して透析し、凍結乾燥で濃縮した
後、−20℃で貯蔵する。
【0015】ペクテートリアーゼ活性を有する蛋白質
は、多くの植物組織を軟化腐敗させる野菜軟腐病菌 (Er
winia carotovora subsp. carotovora, E. carotovora
subsp.atroseptica, E. chyrysanthemi pv. chrysanthe
mi, P. marginalis pv. marginalis, Ps. cichorii
ど)、被子植物(トマトなど)および裸子植物(スギな
ど) の花粉に多くみられ、特にスギ花粉の主要アレルゲ
ンであるCry j I がペクテートリアーゼ活性を有するこ
とが明らかになっている(Allergy (1955) 50(1),90-93)
。ペクテートリアーゼ活性を有する蛋白質は、前記のA
gric. Biol. Chem.; 41(6), 975-981, 1977, S. Kamimi
ya らに記載の方法に従って、取得することができる。
【0016】また、前記のペクテートリアーゼ又はペク
テートリアーゼ活性を有する蛋白質とアミノ酸レベルで
相同性の高い蛋白質としては、ペクテートリアーゼ又は
ペクテートリアーゼ活性を有する蛋白質とアミノ酸レベ
ルで40%以上、好ましくは、50%以上の相同性を有する
蛋白質を含む。前記のペクテートリアーゼ、ペクテート
リアーゼ活性を有する蛋白質又はそれらとアミノ酸レベ
ルで相同性の高い蛋白質の一部からなるペプチドとして
は、ペクテートリアーゼ活性を有するものであればよ
い。
【0017】本発明の薬剤をラット等の小動物に経口投
与させる場合には、精製して純度を高めたペクテートリ
アーゼ又はペクテートリアーゼ活性を有する蛋白質を用
いることが好ましい。小動物は口腔の容積が非常に小さ
く、そのため投与できる量も限られているので、純度の
高いペクテートリアーゼ又はペクテートリアーゼ活性を
有する蛋白質を少量経口投与する必要があるからであ
る。
【0018】一方、人の口腔は大きく、また少量多数回
の経口投与も可能であるため、ラットほど蛋白質の純度
を高めなくても十分に効果を発揮すると考えられる。例
えば、E. carotovoraの培養中に培養液に分泌されるペ
クテートリアーゼを精製せず、培養液を濃縮したいわゆ
る粗蛋白質でも十分であるし、薬剤へ添加する際に着色
が問題となる場合は、イオン交換樹脂で粗精製されるこ
とが望ましい。
【0019】ペクテートリアーゼ、ペクテートリアーゼ
活性を有する蛋白質、それらとアミノ酸レベルで相同性
の高い蛋白質、またはそれらの一部からなるペプチドの
量に換算して、一日に、好ましくは0.2〜0.6mg/kg、
より好ましくは0.3〜0.5mg/kg、最も好ましくは、0.
4mg/kg程度(体重当たりの量に換算)になるように、
一回あるいは数回に分けて、本発明の薬剤を投与(好適
には、経口投与)するとよい。
【0020】本発明の薬剤はいかなる方法でも投与しう
るが、簡便さを望むのなら特願平7-218432, 7-218433に
記載の経口免疫寛容のように経口投与する方法が優れて
いる。特に、スギ花粉症を予防および/または治療する
ために十分な量のペクテートリアーゼ、ペクテートリア
ーゼ活性を有する蛋白質、それらとアミノ酸レベルで相
同性の高い蛋白質、またはそれらの一部からなるペプチ
ドが、舌下から吸収されるように設計されると効果的で
ある。上記のような蛋白質の十分量を舌下から吸収させ
るためには、口の中での蛋白質の滞留時間が長い形態を
とればよく、この目的に合致した製剤形態としては、ト
ローチ剤、バッカル錠や舌下錠などの口腔用錠剤などの
製剤形態が考えられる。
【0021】経口投与法の他にも、皮下注射、静脈内注
射、筋肉内注射、腹腔内注射などの非経口投与法を用い
てもよい。経口投与される場合は、錠剤、カプセル剤、
粉剤、エリキシル剤等の形態で、非経口投与の場合は、
液体あるいは懸濁液等の殺菌した液状の形態で用いられ
る。上述のような形態で用いられる場合、固体あるいは
液体の毒性のない製剤的担体が組成に含まれ得る。
【0022】固体担体の例としては、口腔内での滞留時
間の延長を考えて、トローチ状にすることが望ましい
が、通常のゼラチンタイプのカプセルを用いてもよい。
これらは、有効成分を補助剤と共にあるいはそれなしに
製剤化、又は粉末包装される。これらのカプセル、錠
剤、粉末は一般的に5〜95%、好ましくは25〜90%重量
の有効成分を含む。
【0023】液体担体としては、ピーナツ油、大豆油、
ミネラル油、ゴマ油などの動植物起源の、または合成の
油などが用いられる。一般に、生理食塩水、デキストロ
ースまたは類似の糖類溶液、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリ
コール類が液体担体として望ましい。非経口的に筋肉内
注射、静脈内注射、皮下注射で投与する場合、溶液を等
張にするために、食塩、またはグルコース等の他の溶質
を添加した無菌溶液として使用される。
【0024】注射用の適当な溶剤としては、滅菌水、塩
酸リドカイン溶液(筋肉内注射用)、生理食塩水、ブド
ウ糖、静脈内注射用液体、電解質溶液(静脈内注射用)
等があげられる。これらの注射液の場合には、通常0.5
〜20重量%、好ましくは、1〜10重量%の有効成分を含
むようにすることがよい。経口投与の液剤の場合は、0.
5〜10重量%の有効成分を含む懸濁液またはシロップが
よい。この場合の担体としては、香料、シロップ、製剤
学的ミセル体等の水溶賦型剤を用いる。
【0025】本発明の薬剤は、副作用がないか、あるい
は副作用が極めて少ないという利点を有する。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明を、以下の実施例によりさ
らに具体的に説明する。これらの実施例は説明のための
ものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0027】〔実施例1〕まず、次のような方法で、ペ
クテートリアーゼを抽出精製した。本発明に用いるペク
テートリアーゼは、野菜腐敗菌特にE.carotovora Er.
( IAM No.1068) の培養上清から、S.Kamimiya(Agric. B
iol. Chem.,41(6), 975-981. 1977) らの方法によって
得られる。すなわち、本発明に用いる蛋白質は、E.caro
tovora Er.をペクチン酸存在下で培養することにより、
ペクテートリアーゼを培養液中に分泌させ、その培養液
上清をイオン交換法とゲル濾過法を用いることにより精
製された。
【0028】ペクテートリアーゼの量は、培養液中の菌
数に依存するために、培養液中には予め多くのE.caroto
vora Er.が培養されていることが必須となる。そこで、
1%のmeat extract、Bactopepton 、0.5%のNaClを含
むNutrient broth(pH 6.8)中に、1白金耳のE.carotovo
ra Er.を接種して、30℃で16時間前培養した。培養後、
0.5%ペクチン酸、0.2% casamino 酸を含むM9培地
で30℃、8時間更に培養した。この培養上清を遠心分離
により集め、蒸留水で希釈した。
【0029】その希釈した培養上清を、陽イオン交換樹
脂である、S-Sepharose F.F.が充填されたカラムに通
し、0→500mM になるようにNaClの濃度勾配をかけ、ペ
クテートリアーゼ活性の高い活性画分をフラクションコ
レクターにより集めた(図1のpool1および4)。更
に、その活性画分(pool1および4)をゲル濾過(HiLo
adSuperdex 75pg) にて精製した(図2)。その後、SDS
-PAGEにより、純度を確認した後、蒸留水に対して透析
し、凍結乾燥で濃縮した後、−20℃で貯蔵した。
【0030】上記のように抽出、精製されたE.carotovo
ra Er.由来の2種のペクテートリアーゼpool1および4
を、既に特願平7-218432, 7-218433のCry j I で効果が
確認されている舌下投与によりラットに経口投与し、抗
Cry j I 特異抗体産生の抑制効果を検討した。つまり、
上記の方法で精製したペクテートリアーゼを、生理食塩
水で可溶化し、 100μg/日・ラットとなるように調整
し、5日間、2日おいて、更に5日間の計10日間、舌下
投与による経口投与を行った。最終経口投与10日後に、
アジュバンド化したCry j I を腹腔内投与することによ
り、抗原を感作させた。この飼育期間中には、いずれの
動物群にも体重の変化は見られなかった(図3)。従っ
て、この方法では、体重に影響を与えるような副作用や
下痢などの諸症状は見られなかった。更に、抗原感作日
を起点として経時的に抗Cry j Iの量を、ELISA法により
測定したところ、二種のペクテートリアーゼ舌下投与群
は、対照群(ペクテートリアーゼの代わりに生理食塩水
のみを与えた群)に比べて、抗Cry j I 特異抗体産生量
が抑制されていることが明らかとなった。また、28日目
のペクテートリアーゼpool4 投与群では、スチューデン
トのt検定で、5%の危険率で有意差があることが示さ
れている(図4)。
【0031】このE. carotovora 由来のペクテートリア
ーゼ活性を有する二種の蛋白質について、ファルマシア
社製のCAP-RASTシステムを用い、スギ花粉アレルゲンと
の交差反応性を検討した。つまり、スギ花粉特異IgE抗
体を保有しているRASTスコアーが2以上である6名(A
〜F)から採血を行い、血漿を分離し、その血漿を用い
て、CAP-RAST inhibition を行った。精製したCry j I
を用いて交差反応性をみたところ、10ngという微量で交
差反応性があることが示されているが、その 100倍量の
E.carotovora Er.の二種のペクテートリアーゼには、ス
ギ花粉アレルゲンの交差反応性がないことが明らかにな
った(図5)。つまり、スギ花粉症になっている人の血
清中のIgE抗体との結合反応をしないので、既にスギ花
粉に感作されているいないに関わらず、すべての人にこ
のペクテートリアーゼを適用できることが明らかとなっ
た。
【0032】以上の結果より、スギ花粉症の予防および
/または治療剤に添加するペクテートリアーゼ活性を有
する蛋白質は、ラットに対しては、 100μg/日・ラッ
トの投与量で効果を発揮することがわかったが、これを
体重当たりの量に換算すると、0.4mg/kgに相当する。
【0033】
【発明の効果】本発明の薬剤により、スギ花粉症を予防
および/または治療することができる。ペクテートリア
ーゼは抗Cry j I 特異IgE 抗体と結合しないので、本発
明の薬剤は、すでに花粉症になっている人でも簡単に利
用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フラクション番号と吸光値を示す図である。吸
光値の高いフラクションは蛋白質の含有量が高いことを
示す。
【図2】フラクション番号と吸光値および酵素活性を示
す図である。吸光値および酵素活性の高いフラクション
は蛋白質の含有量が高いことを示す。
【図3】飼育期間中のラットの体重変化を示す図であ
る。
【図4】抗原感作日を起点とした時の抗Cry j I 抗体量
の相対値の経時変化を示す図である。
【図5】CAP-RAST Inhibition 法による、ペクテートリ
アーゼとCry j Iとの交差反応性を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペクテートリアーゼ、ペクテートリアー
    ゼ活性を有する蛋白質、それらとアミノ酸レベルでの相
    同性の高い蛋白質、またはそれらの一部からなるペプチ
    ドを有効成分として含む、スギ花粉症の予防および/ま
    たは治療剤。
  2. 【請求項2】 ペクテートリアーゼ又はペクテートリア
    ーゼ活性を有する蛋白質が、微生物より抽出されたペク
    テートリアーゼ又はペクテートリアーゼ活性を有する蛋
    白質である請求項1記載の薬剤。
  3. 【請求項3】 微生物が、多くの植物組織を軟化腐敗さ
    せる野菜軟腐病菌である請求項2記載の薬剤。
  4. 【請求項4】 一日に0.2〜0.6mg/kg(体重当たりの
    量に換算)のペクテートリアーゼ、ペクテートリアーゼ
    活性を有する蛋白質、それらとアミノ酸レベルでの相同
    性の高い蛋白質、またはそれらの一部からなるペプチド
    を摂取できるように設計された請求項1記載の薬剤。
  5. 【請求項5】 スギ花粉症を予防および/または治療す
    るために十分な量のペクテートリアーゼ、ペクテートリ
    アーゼ活性を有する蛋白質、それらとアミノ酸レベルで
    の相同性の高い蛋白質、またはそれらの一部からなるペ
    プチドが、舌下から吸収されるように設計された請求項
    1記載の薬剤。
  6. 【請求項6】 すでに花粉症になっている人でも簡単に
    利用でき、かつ副作用のない請求項1記載の薬剤。
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