JPH0931159A - 高エポキシ基価ラクトン重合体およびその製造方法 - Google Patents

高エポキシ基価ラクトン重合体およびその製造方法

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JPH0931159A
JPH0931159A JP20166695A JP20166695A JPH0931159A JP H0931159 A JPH0931159 A JP H0931159A JP 20166695 A JP20166695 A JP 20166695A JP 20166695 A JP20166695 A JP 20166695A JP H0931159 A JPH0931159 A JP H0931159A
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lactone polymer
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hydroxyl
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粘着剤、接着剤、硬化物材料、ポリマー可塑
剤、ポリエステル樹脂改質剤、相溶化剤、塗料など広範
囲に利用できる高エポキシ基価ラクトン重合体を提供す
る。 【構成】 例えば下記一般式(1)で表され、重合体1
g当りのエポキシ基モル数が1×10-4〜1×10-2
ol、分子当りのエポキシ基数が10〜5,000、数
平均分子量が20,000〜2,000,000の範囲
であることを特徴とする高エポキシ基価ラクトン重合
体。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多分岐型で、エポキ
シ基価(本明細書では重合体1g当たりのエポキシ基の
モル数を示す。)の高いラクトン重合体に関する。更に
詳しくは、粘着剤、接着剤、硬化物材料、ポリマー可塑
剤、ポリエステル樹脂改質剤、相溶化剤、塗料など広範
囲に利用できる高エポキシ基価ラクトン重合体に関す
る。
【0002】
【解決しようとする問題点】本発明者は、分子内に10
〜5,000個の水酸基を有するポリマー(A)を開始
剤に用い、これにラクトン単量体を付加重合させ、柔軟
で加工性に富み、かつ分子内に多数の水酸基を有する高
水酸基価ラクトン重合体(B)を開発した。このもの
は、粘着剤、接着剤、塗料、硬化成形体材料、ポリマー
可塑剤などの様々な用途に利用できる。
【0003】しかしながら、これらの用途の中にはラク
トン重合体末端が水酸基であるために、改善すべき点が
ある。例えば、エポキシ樹脂に可撓性や低収縮性を付与
する目的で添加する際に末端が水酸基である場合は、添
加した時点から硬化反応が進行するため、硬化成形体を
得る作業工程において、混合する工程を最終段階にしな
ければならず、作業性が低下する場合がある。また、塗
料に用いる場合では、末端が水酸基である場合、硬化相
手がイソシアネート、メラミン、エポキシなどに制限さ
れ、硬化システムが異なる塗料においては使用できな
い。あるいは、ポリマー可塑剤の用途においては、ポリ
エステルやポリカーボネートなどに溶融混練する際にエ
ステル交換反応が起こり、成形物の機械的強度が低下す
る場合がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、高水酸基価
ラクトン重合体(B)の前記課題を解決するために鋭意
検討した結果、高水酸基価ラクトン重合体(B)を原料
に用い、分子内にエポキシ基を多数有する高エポキシ基
価ラクトン重合体(E1)または(E2)を合成したとこ
ろ、前記の問題点は、すべて解決されたばかりでなく、
末端にエポキシ基があることにより、ポリエステルフィ
ルムの接着用途において接着強度が格段に向上したり、
ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の改質剤とし
ての用途では、熱安定性、成形加工性、および低温での
耐衝撃性などの物性が向上するメリットも見い出され
た。
【0005】すなわち本発明の第1によれば、下記一般
式(1)で表され、重合体1g当りのエポキシ基モル数
が1×10-4〜1×10-2mol、分子当りのエポキシ
基数が10〜5,000、数平均分子量が20,000
〜2,000,000の範囲であることを特徴とする高
エポキシ基価ラクトン重合体(E1)が提供される。
【0006】
【化5】
【0007】また本発明の第2は前記高エポキシ基価ラ
クトン重合体(E1)の製造方法に係り、分子内に10
〜5,000個の水酸基を有する下記一般式(1’)で
表される高水酸基価ラクトン重合体(B)の水酸基とエ
ピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンとを反応さ
せることを特徴とする。
【0008】
【化6】
【0009】また本発明の第3によれば、下記一般式
(2)で表され、重合体1g当りのエポキシ基モル数が
1×10-4〜1×10-2mol、分子当りのエポキシ基
数が10〜5,000、数平均分子量が20,000〜
2,000,000の範囲であることを特徴とする高エ
ポキシ基価ラクトン重合体(E2)が提供される。
【0010】
【化7】
【0011】さらに本発明の第四は前記高エポキシ基価
ラクトン重合体(E2)の製造方法に係り、分子内に1
0〜5,000個の不飽和基を有する下記一般式
(2’)で表される高不飽和基価ラクトン重合体(D)
の不飽和基の全部または一部を過酸化合物で処理するこ
とを特徴とする。
【0012】
【化8】
【0013】本発明の高エポキシ基価ラクトン重合体
(E1)の製造には、分子内に10〜5,000個の水
酸基を有するポリマー(A)を開始剤としてこれにラク
トン単量体を付加重合して得られる一般式(1’)で表
される高水酸基価ラクトン重合体(B)を原料に用い
る。すなわち、この高水酸基価ラクトン重合体(B)中
の末端水酸基をエピクロロヒドリンまたはエピブロモヒ
ドリンを反応させることにより製造される。また、本発
明の高エポキシ基価ラクトン重合体(E2)を製造する
には、一旦高水酸基価ラクトン重合体(B)中の末端水
酸基の全部または一部を、不飽和基を有するカルボン酸
誘導体と反応することにより、一般式(2’)で表され
る高不飽和基価ラクトン重合体(D)を合成し、この不
飽和基の全部または一部を過酸化合物で処理する。
【0014】ここに、これらの製造方法における分子内
に10〜5,000個の水酸基を有するポリマー(A)
としては、完全もしくは部分ケン化されたポリビニルア
ルコール、または、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト等の分子内にラジカル重合性二重結合と水酸基の両方
を有する化合物のオリゴマー、他のラジカル重合性モノ
マーとの共重合体および各種ポリマーへのグラフト変性
体、ポリジエン化合物の水和物、ポリアミドのエチレン
オキシド変生物、ポリフェノールのエチレンオキシド変
生物、多糖、デンプンおよびセルロース等が例示でき
る。一般的には、完全もしくは部分ケン化されたポリビ
ニルアルコール、または、2−ヒドロキシエメチルメタ
クレートとメチルメタクリレートまたはスチレンとの共
重合体が好ましく用いられる。
【0015】本発明の高エポキシ基価ラクトン重合体
(E1)および(E2)の構造は前記一般式(1)または
(2)で表される。
【0016】一般式(1)、(2)中のLは水酸基を有
しない任意の単量体構造単位であり一種類とは限らな
い。具体的には、スチレン等の芳香族単量体、メチルメ
タクリレート、アクリロニトリル、アクリル酸等のアク
リル系単量体、ブタジエン等のジエン単量体、酢酸ビニ
ル、塩化ビニルなどのビニル単量体、エチレン等のオレ
フィン単量体、およびフェニレンオキシドなどが例示で
きる。式中のMは分子中に水酸基を有する単量体残基で
あり、一種類とは限らない。具体的には、酢酸ビニルの
ケン化により生成するビニルアルコール単量体残基、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート単量体残基、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート単量体残
基、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル単量体残基等
が例示できる。一般式(1)中のa、b、cおよびn1
は平均重合度を示し、0≦a≦1,000、10≦b≦
5,000、0≦c≦1,000および2≦n1≦30
の範囲である。この範囲は、重合体1g当りのエポキシ
基モル数が1×10-4〜1×10-2mol、分子当たり
のエポキシ基数が10〜5,000および数平均分子量
が20,000〜2,000,000の範囲に含まれる
ことを前提として設定される。同様に、一般式(2)中
のd、e、fおよびn2は平均重合度を示し、0≦d≦
1,000、10≦e≦5,000、0≦f≦1,00
0および2≦n2≦30の範囲である。この範囲は、重
合体1g当りのエポキシ基モル数が1×10-4〜1×1
-2mol、分子当たりのエポキシ基数が10〜5,0
00および数平均分子量が20,000〜2,000,
000の範囲に含まれることを前提として設定される。
【0017】本発明の高エポキシ基価ラクトン重合体
(E1)および(E2)の製造出発原料である分子内に1
0〜5,000の水酸基を有するポリマー(A)が完全
ケン化もしくは部分ケン化ポリビニルアルコールである
場合、a、b、cおよびn1の範囲としては0≦a≦5
00、100≦b≦5,000、0≦c≦2,000お
よび2≦n1≦30の範囲が上記範囲に含まれ得る。
【0018】一般式(1)のGは水素原子または下記式
から任意に選択される置換基であり、gは0〜3の整数
である。水酸基に対して、エピクロロヒドリンまたはエ
ピブロモヒドリンを添加すると、それらの一部が重合す
る場合があり、全く重合をしなければgの値は0にな
る。またGが水素原子であれば、基本的に室温では分子
内に存在するエポキシ基と反応しないまたは反応性が著
しく低い場合のみである。
【0019】
【化9】
【0020】一般式(1)または(2)中のR1は炭素
数2〜10のアルキレン基であり、具体的には、エチレ
ン基、ブチレン基、ペンチレン基、メチル化ペンチレン
基等が例示できるが、工業的に最も有益なε−カプロラ
クトンの場合はペンチレン基に対応する。
【0021】一般式(2)中のKは水素原子または、不
飽和基またはエポキシ基を分子内に有した下記の基から
任意に選択される置換基である。
【0022】
【化10】
【0023】式中の各R2は独立に炭素数1〜20のア
ルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレ
ン基、ブチレン基、ヘキシレン基およびオクチレン基等
が例示できる。式中の各R3は独立に水素原子または炭
素数1〜10のアルキル基であり、特に水素原子、メチ
ル基、エチル基等が好ましい。式中のR4は脂肪族環構
成炭素原子を有する残基を示し、このような残基には酸
素原子が含まれていてもよくい。エポキシ化される前の
不飽和基を分子内に有した置換基の構造として具体的に
例示すると下記の通りである。
【0024】
【化11】
【0025】本発明の高エポキシ基価ラクトン重合体
(E1)および(E2)1g当りのエポキシ基モル数は1
×10-4〜1×10-2molであり、好ましくは5×1
-4〜5×10-3mol、更に好ましくは8×10-4
3×10-3molの範囲である。上記エポキシ基モル数
が1×10-4mol未満では、エポキシ基量が少なく接
着剤、硬化物材料、塗料等の用途でエポキシ基があるた
めのメリットが失われ、逆に1×10-2molを上回る
ようでは、ラクトン重合体としての性質、特に柔軟性や
加工性がなくなり、上記用途に使用困難となるため好ま
しくない。
【0026】上記エポキシ基モル数は理論値を計算によ
って求めるか、1H−NMR測定等による機器分析や、
臭素酸を用いる滴定法などの公知の分析方法により測定
することができる。
【0027】本発明の高エポキシ基価ラクトン重合体
(E1)および(E2)の分子当りのエポキシ基数は基本
的に10〜5,000の範囲であり、好ましくは50〜
3,000、更に好ましくは100〜2,000の範囲
である。上記エポキシ基数が10未満では、エポキシ基
量が少なく、接着剤、硬化物材料、塗料等の用途で、エ
ポキシ基があるためのメリットが失われ、逆に5,00
0を上回るポリマーは、現状、製造が困難であることか
ら意味がなく好ましくない。
【0028】また本発明の高エポキシ基価ラクトン重合
体(E1)および(E2)の数平均分子量は、20,00
0〜2,000,000であり、好ましくは50,00
0〜1,000,000更に好ましくは100,000
〜500,000の範囲である。上記分子量が20,0
00未満の場合は、エポキシ基量とラクトン単量体の付
加量のバランスが崩れ、エポキシ基量が少なくなるか、
もしくはラクトン重合体としての性質、特に柔軟性や成
形加工性が失われるため、逆に2,000,000を上
回る場合には、粘度が高くなりすぎるため、成形加工性
が低下するなどの問題が生じ好ましくない。また上記数
平均分子量は公知の数平均分子量の測定方法を用いるこ
とにより測定でき、特にGPCを用いる方法が最も簡便
で好ましく用いられる。
【0029】本発明の高エポキシ基価ラクトン重合体
(E1)および(E2)は、ラクトン成分鎖の数や重合度
およびエポキシ基の数等により無色透明の液体から透明
粘土状、ワックス状、白色結晶固体状等の様々の形態を
有し、反応性、成形加工性などの製品の物性が異なる。
それ故、用途に合わせて、エポキシ基の数、組成、構造
を原料や仕込組成および反応条件の制御により調整する
ことが望ましい。
【0030】また本発明の高エポキシ基価ラクトン重合
体(E1)および(E2)は、用途によって有機溶媒、重
合性モノマー、硬化剤、触媒、安定剤などの任意の物質
と混合して使用することも問題なく実施できる。以下、
本発明の高エポキシ基価ラクトン重合体(E1)および
(E2)の製造方法を更に詳細に説明する。
【0031】高エポキシ基価ラクトン重合体(E1)を
製造するには、分子内に10〜5,000個の水酸基を
有するポリマー(A)を開始剤とし、ラクトン単量体を
付加重合することにより得られる高水酸基価ラクトン重
合体(B)の末端水酸基とエピクロロヒドリンまたはエ
ピブロモヒドリンとを反応する製造方法である。
【0032】まず、用いられる10〜5,000個の水
酸基を有するポリマー(A)としては、前述の通りであ
る。またラクトン単量体としては、ε−カプロラクト
ン、4−メチルカプロラクトン等のメチル化カプロラク
トン、δ−バレロラクトン、β−プロピオラクトンおよ
びこれら2種以上の混合物が挙げられるが、中でも工業
的に最も有益なε−カプロラクトンが好ましく用いられ
る。
【0033】更に上記の高水酸基価ラクトン重合体
(B)の製造においては、一般的にラクトン単量体の開
環付加重合触媒が使用される。具体的には、無機塩基、
有機アルカリ金属触媒、スズ化合物、チタン化合物、ア
ルミニウム化合物、亜鉛化合物、モリブデン化合物およ
びジルコニウム化合物等が例示できる。中でも、取扱い
易さ、低毒性、反応性、無着色性、熱安定性等のバラン
スからスズ化合物、チタン化合物が好ましく用いられ
る。スズ化合物としては、具体的には塩化第一スズ、オ
クチル酸第一スズ、モノブチルスズオキシド、モノブチ
ルスズトリス(2−エチルヘキサネート)等のモノブチ
ルスズ化合物、ジブチルスズオキシド等のジブチルスズ
化合物、またチタン化合物としては、テトラブチルチタ
ネート、テトライソプロピルチタネート等が挙げられ
る。これらは各単独であるいは混合して使用することが
できる。これらの製造方法の一段階であるラクトン単量
体の付加重合について更に詳しく説明する。
【0034】水酸基を有するポリマー(A)とラクトン
単量体との混合割合としては、両者の合計100%のう
ち前者(A)の占める割合が0.1〜30重量%であ
り、好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは2〜1
0重量%の範囲である。上記割合が0.1重量部未満で
は、水酸基量が少なく、結局、この水酸基を変換するこ
とで得られるエポキシの量が少なくなり、本発明の高エ
ポキシ基価ラクトン重合体(E)の市場に使用できな
く、逆に30重量%を上回るようでは、ラクトン重合体
としての性質、特に柔軟性がなくなり、粘着剤、接着
剤、塗料ポリマー可塑剤等に使用するメリットが失われ
好ましくない。
【0035】重合触媒の添加量は両原料の合計100重
量部に対して0.001〜0.1重量部であるが、好ま
しくは0.002〜0.05重量部、更に好ましくは
0.05〜0.01重量部である。上記触媒量が0.0
01重量部を下回る場合には、ラクトン単量体の重合速
度が遅く、逆に0.1重量部を上回る場合には、得られ
たラクトン重合体に着色が生じたり、熱安定性が低下す
ることがあるため好ましくない。重合温度としては、5
0〜250℃であるが、好ましくは100〜220℃、
更に好ましくは160〜200℃の範囲である。50℃
を下回る場合には、ラクトン単量体の重合速度が遅く、
逆に250℃を上回る場合には、ラクトン重合体の熱分
解反応が発生し、着色したり、分解物が生成するため好
ましくない。
【0036】上記の過程で製造された高水酸基ラクトン
重合体(B)の末端水酸基とエピクロロヒドリンとの反
応について、更に詳しく説明する。
【0037】高水酸基価ラクトン重合体(B)の末端水
酸基とエピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンと
の反応は、室温〜120℃の温度で両者を混合すること
により容易に実施できる。室温未満では反応速度が十分
でなく、また冷却する必要はなく、逆に120℃を上回
る場合には、エピクロロヒドリンの場合は常圧では気化
するため好ましくなく、好ましくは40〜110℃、更
に好ましくは60〜100℃の範囲である。また高水酸
基価ラクトン重合体(B)の末端水酸基モル数とエピク
ロロヒドリン(エピブロモヒドリン)のモル数の比率と
しては、2:1〜1:3の範囲の任意の比率に仕込み量
を調整することで容易に設定できる。しかし上記の前提
としては、生成する高エポキシ基価ラクトン重合体
(E)において、残存する水酸基は、室温においてエポ
キシ基と反応しないもしくは反応性が著しく低いことが
必要である。これらの理由により、エピクロロヒドリン
(エピブロモヒドリン)は過剰量用いることが望まし
い。
【0038】高水酸基価ラクトン重合体(B)の末端水
酸基とエピクロロヒドリン(またはエピブロモヒドリ
ン)との反応は、両原料を不活性溶媒に溶解して行うこ
とも好ましく採用できる。上記不活性溶媒としては、ト
ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素およびエーテル系
溶媒やエステル系溶媒が挙げられる。
【0039】本発明における高エポキシ基価ラクトン重
合体(E2)を製造する方法は、高水酸基価ラクトン重
合体(B)までの経路は同一であるが、上記ラクトン重
合体(B)末端水酸基を直接不飽和基に変換するか、一
旦、酸無水物と反応させ高酸価ラクトン重合体(C)を
経由し、不飽和基に変換した高不飽和基価ラクトン重合
体(D)を製造し、その不飽和基の全部または一部を過
酸化合物で処理する製造方法である。
【0040】この製造方法においては、高不飽和基価ラ
クトン重合体(D)を原料として用いる。高不飽和基価
ラクトン重合体(D)は、高水酸基価ラクトン重合体
(B)の水酸基を、不飽和基を有するカルボン酸誘導体
と反応することによって製造される。上記の不飽和カル
ボン酸誘導体としては特に限定を受けないが、ビニル酢
酸、3−ヘキセンカルボン酸、6−ヘキセンカルボン
酸、コハク酸のシクロヘキセンメタノールモノエステル
およびテトラヒドロフタル酸のモノエステルおよびこれ
らカルボン酸の酸ハロゲン化物や、一塩基酸のエステル
などが例示できる。
【0041】また高不飽和基価ラクトン重合体(D)
は、高水酸基価ラクトン重合体(B)を無水コハク酸や
テトラヒドロフタル酸無水物と反応させ、高酸価ラクト
ン重合体(C)に一旦変換し、無水コハク酸等の場合
は、アリルアルコールやシクロヘキセンメタノール等の
不飽和アルコール、テトラヒドロフタル酸無水物の場合
は、メタノールやエタノール等の低級脂肪族アルコール
によりエステル化することによっても製造できる。
【0042】上記の高不飽和基価ラクトン重合体(D)
のエポキシ化剤である過酸化合物としては、特に限定を
受けず、公知の過酸化合物を使用できるが、好ましくは
過水、過酢酸、メタクロロ過安息香酸等が一般的であ
る。
【0043】これら過酸化合物を用いる不飽和基のエポ
キシ化反応は、公知の方法により問題なく実施できる。
具体的には、高不飽和基価ラクトン重合体(D)と過酸
化合物を0〜100℃、好ましくは20〜80℃、更に
好ましくは30〜60℃の温度で混合する方法が挙げら
れる。温度が0℃未満では反応速度が遅く、100℃以
上では過酸化物が分解したり、反応が速すぎて、反応熱
が制御できなくなることもあるため好ましくない。
【0044】高不飽和基価ラクトン重合体(D)のエポ
キシ化反応を実施する場合、不活性溶媒に溶解すること
も好ましく採用できる。上記不活性溶媒としては、トル
エン、キシレン等の芳香族炭化水素ヘプタン、シクロヘ
キサンなどの脂肪族炭化水素、酢酸エチルなどのエステ
ル系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒およ
びこれらの混合溶媒などが好ましく使用できる。
【0045】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】(製造例1)2リットルのガラスフラスコ
にポリビニルアルコール(A−1)(クラレ(株)製
「PVA−403」、ケン化度81.5±1.5%、重
合度300)200g、ε−カプロラクトン1800g
および重合触媒のテトラブチルチタネート0.20gを
仕込温度を160℃に昇温し、5時間溶融混練すること
により高水酸基価ラクトン重合体(B−1)を得た。こ
のもののGPC測定による標準ポリスチレン換算数平均
分子量は158,000であった。
【0047】(製造例2)1リットルのガラスフラスコ
に、製造例1で得られた高水酸基価ラクトン重合体(B
−1)300g、テトラヒドロフタル酸無水物60gを
仕込み、120℃で1時間混合することで、脂肪族環状
の不飽和基を有する高酸価ラクトン重合体(C−1)を
合成した。このまま120℃でシクロヘキセニルメタノ
ール45gを滴下し温度を150℃に昇温後、チッ素を
流入し、水を留出しながら10時間溶融混練を行った。
このようにして合成された高不飽和基価ラクトン重合体
(D−1)のGPC測定による標準ポリスチレン換算数
平均分子量は184,000で、1H−NMR測定によ
って求められた重合体1g当りの不飽和基モル数は1.
9×10-3mol/gであった。
【0048】(実施例1)1リットルのガラスフラスコ
に、製造例1で得られた高水酸基価ラクトン重合体(B
−1)300g、溶媒としてトルエン200mlを仕込
み、滴下ロートを用いて、エピクロロヒドリン50g
(1級水酸基モル数の1.5倍モル当量)を室温で2時
間かけて滴下した。そのまま40℃に昇温後3時間攪拌
を続けた後、真空蒸留によりトルエンを留出させ高エポ
キシ基価ラクトン重合体(E−1)を得た。このものの
GPC測定による標準ポリスチレン換算数平均分子量お
よび1H−NMR測定によって求めた重合体1g当りの
エポキシ基モル数および1分子当たりのエポキシ基数を
表−1に記載した。
【0049】(実施例2)1リットルのガラスフラスコ
に、製造例2で得られた高不飽和基価ラクトン重合体
(D−1)100g、溶媒として酢酸エチル500gを
仕込み、滴下ロートを用いて、過酢酸の30重量%酢酸
エチル溶液65gを室温で2時間かけて滴下した。その
まま40℃に昇温後3時間攪拌を続けた。系を室温まで
冷却し、1%水酸化ナトリウム水溶液を用い抽出を行
い、続いて2回水洗抽出した。有機層の真空蒸留により
酢酸エチルを流出させ、高エポキシ基価ラクトン重合体
(E−2)を得た。このものについて、実施例1と同様
な測定を行い結果を表−1に記載した。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、容易に重合体1g当り
のエポキシ基モル数が1×10-4〜1×10-2mol、
分子当りのエポキシ基数が10〜5,000、数平均分
子量が20,000〜2,000,000の範囲である
高エポキシ基価ラクトン重合体(E1)および(E2)を
得ることが出来る。これらは、エポキシ基価が高く、粘
着剤、接着剤、硬化物材料、ポリマー可塑剤、ポリエス
テル樹脂改質剤、相溶化剤、塗料など広範囲に利用でき
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表され、重合体1g
    当りのエポキシ基モル数が1×10-4〜1×10-2mo
    l、分子当りのエポキシ基数が10〜5,000、数平
    均分子量が20,000〜2,000,000の範囲で
    あることを特徴とする高エポキシ基価ラクトン重合体
    (E1)。 【化1】
  2. 【請求項2】 分子内に10〜5,000個の水酸基を
    有する下記一般式(1’)で表される高水酸基価ラクト
    ン重合体(B)の水酸基とエピクロロヒドリンまたはエ
    ピブロモヒドリンとを反応させることを特徴とする請求
    項1記載の高エポキシ基価ラクトン重合体(E1)の製
    造方法。 【化2】
  3. 【請求項3】 下記一般式(2)で表され、重合体1g
    当りのエポキシ基モル数が1×10-4〜1×10-2mo
    l、分子当りのエポキシ基数が10〜5,000、数平
    均分子量が20,000〜2,000,000の範囲で
    あることを特徴とする高エポキシ基価ラクトン重合体
    (E2)。 【化3】
  4. 【請求項4】 分子内に10〜5,000個の不飽和基
    を有する下記一般式(2’)で表される高不飽和基価ラ
    クトン重合体(D)の不飽和基の全部または一部を過酸
    化合物で処理することを特徴とする請求項3記載の高エ
    ポキシ基価ラクトン重合体(E2)の製造方法。 【化4】
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