JPH09310061A - キレート剤 - Google Patents

キレート剤

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JPH09310061A
JPH09310061A JP12752896A JP12752896A JPH09310061A JP H09310061 A JPH09310061 A JP H09310061A JP 12752896 A JP12752896 A JP 12752896A JP 12752896 A JP12752896 A JP 12752896A JP H09310061 A JPH09310061 A JP H09310061A
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JP
Japan
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carboxylic acid
chelating agent
independently
bond
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JP12752896A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Yamamoto
浩史 山本
Hisakazu Shindo
久和 進藤
Yoshiaki Hirano
喜章 平野
Koichi Ito
広一 伊藤
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属イオン捕捉能に優れるキレート剤を提供
する。 【解決手段】 例えば、一般式(3) 【化22】 (式中、式中、Yは水素原子、アリル基または−(CH
3 c −W2 −(CHR4 d COOH基を表し、R
1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して水素原子また
は炭素数1〜6のアルキル基を表し、W1 、W2 はそれ
ぞれ独立して−NH−基、−S−基または−O−基を表
し、a、b、c、dはそれぞれ独立して0〜6の整数を
表す)で表されるカルボン酸系単量体を含む単量体成分
を重合させることによって得られたカルボン酸系重合体
をそのまま、或いは、分散剤で膨潤させることによって
キレート剤とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、キレート剤に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属キレート化能の高い樹脂
としては、例えば、ローム&ハース社製のイオン交換樹
脂「デュオライトES466」(商品名)や、三菱化学
株式会社製のイオン交換樹脂「ダイヤイオンCR11」
(商品名)等の樹脂が知られている。これらの樹脂は、
イミノジ酢酸基を含有し、官能基主鎖にカルボキシル基
を含むと共に、電子供与性の高い窒素原子を含むことを
特徴としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の樹脂は、低pH条件下でプロトン交換を受け、金属
キレート化能が低下するという問題点を有している。さ
らに、上記従来の樹脂は、単位重量当りの金属イオンの
捕捉量が充分であるとは言い難い。そこで、より一層金
属イオン捕捉能に優れるキレート剤が切望されている。
【0004】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、金属イオン捕捉能に優れる
キレート剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目
的を達成すべく鋭意検討した結果、側鎖にアミノ結合、
エーテル結合、およびチオエーテル結合からなる群より
選ばれる少なくとも一種の結合を有すると共にカルボキ
シル基を有するカルボン酸系重合体を含むキレート剤
が、金属イオン捕捉能に優れることを見いだして本発明
を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明の請求項1記載のキレート剤
は、上記課題を解決するために、側鎖にアミノ結合、エ
ーテル結合、およびチオエーテル結合からなる群より選
ばれる少なくとも一種の結合を有すると共にカルボキシ
ル基を有するカルボン酸系重合体を含むことを特徴とし
ている。
【0007】本発明の請求項2記載のキレート剤は、上
記課題を解決するために、一般式(1)
【0008】
【化4】
【0009】(式中、Xはカルボン酸系重合体本体を表
し、nは0〜6の整数を表し、mは0〜6の整数を表
す)で表される構造を備えた官能基を有するカルボン酸
系重合体を含むことを特徴としている。
【0010】本発明の請求項3記載のキレート剤は、上
記課題を解決するために、一般式(2)
【0011】
【化5】
【0012】(式中、Zは水素原子、−(CHR3 c
−W2 −(CHR4 d COOH基または−(CH2
f −X基を表し、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独
立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表
し、W1 、W2 はそれぞれ独立して−NH−基、−S−
基または−O−基を表し、Xはカルボン酸系重合体本体
を表し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ独立して0
〜6の整数を表す)で表される構造を備えた官能基を有
するカルボン酸系重合体を含むことを特徴としている。
【0013】本発明の請求項4記載のキレート剤は、上
記課題を解決するために、一般式(3)
【0014】
【化6】
【0015】(式中、Zは水素原子、−(CHR3 c
−W2 −(CHR4 d COOH基または−(CH2
f −X基を表し、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独
立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表
し、W1 、W2 はそれぞれ独立して−NH−基、−S−
基または−O−基を表し、Xはカルボン酸系重合体本体
を表し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ独立して0
〜6の整数を表す)で表されるカルボン酸系単量体を含
む単量体成分を重合させてなるカルボン酸系重合体を含
むことを特徴としている。
【0016】上記カルボン酸系重合体は、側鎖にカルボ
キシル基のみならず、電子供与性の高い硫黄原子や窒素
原子、酸素原子を有しているので、金属イオン捕捉能に
優れ、低pH条件下においても金属キレート能が高く、
また、単位容量当りの金属イオンの捕捉量が高い。この
ため、上記カルボン酸系重合体を含むキレート剤もま
た、金属イオン捕捉能に優れ、例えば、金属の回収や金
属を含有する廃液の処理等、金属塩の分離、精製、分析
等の用途に好適に用いることができる。尚、上記カルボ
ン酸系重合体は、そのまま用いることもできるし、分散
媒で膨潤させてゲル体として用いてもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の一形態につ
いて詳しく説明する。本発明にかかるキレート剤は、側
鎖にアミノ結合、エーテル結合、およびチオエーテル結
合からなる群より選ばれる少なくとも一種の結合を有す
ると共にカルボキシル基を有するカルボン酸系重合体を
含んでなる。該カルボン酸系重合体としては、側鎖にア
ミノ結合、エーテル結合、およびチオエーテル結合から
なる群より選ばれる少なくとも一種の結合を有すると共
にカルボキシル基を有する化合物であれば、特に限定さ
れるものではないが、例えば、一般式(1)
【0018】
【化7】
【0019】(式中、Xはカルボン酸系重合体本体を表
し、nは0〜6の整数を表し、mは0〜6の整数を表
す)で表される構造を備えた官能基を有する化合物や、
一般式(2)
【0020】
【化8】
【0021】(式中、Zは水素原子、−(CHR3 c
−W2 −(CHR4 d COOH基または−(CH2
f −X基を表し、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独
立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表
し、W1 、W2 はそれぞれ独立して−NH−基、−S−
基または−O−基を表し、Xはカルボン酸系重合体本体
を表し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ独立して0
〜6の整数を表す)で表される構造を備えた官能基を有
する化合物等が挙げられる。ここで、カルボン酸系重合
体本体とは、該カルボン酸系重合体主鎖を示し、カルボ
キシル基を含有するモノマー(カルボン酸系単量体)が
単独重合したものであってもよく、或いは、カルボキシ
ル基を含有するモノマーと、該カルボキシル基を含有す
るモノマーと共重合可能な他の単量体とが共重合したも
のであってもよい。
【0022】上記カルボン酸系重合体の製造方法は、特
に限定されるものではなく、例えば、第一級、第二級
のアルキルハロゲンやスルホン酸エステルを側鎖に有す
る重合体(A)と各種硫化剤を反応させ、この中間体を
加水分解や処理剤等で還元させることにより末端に−S
H基を生成させ、次いで、この重合体(A)にアクリル
酸、メタクリル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸を付
加させる方法や、アリルアミノ基とカルボキシル基と
を有し、かつ、アミノ結合、エーテル結合、およびチオ
エーテル結合からなる群より選ばれる少なくとも一種の
結合を有するカルボン酸系単量体を含む単量体成分を重
合させる方法等、種々の方法により得ることができる。
上記の方法は、例えば、前記一般式(1)で表される
構造を備えた官能基を有するカルボン酸系重合体の製造
に特に好適であり、また、上記の方法は、例えば、前
記一般式(2)で表される構造を備えた官能基を有する
カルボン酸系重合体の製造に特に好適である。
【0023】上記の方法において原料として用いられ
る硫化剤としては、特に限定されるものではなく、具体
的には、例えば、一般式
【0024】
【化9】
【0025】で表される化合物等が挙げられる。これら
硫化剤は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上
を混合して用いてもよい。
【0026】また、上記処理剤としては、特に限定され
るものではなく、具体的には、例えば、NaOH、HC
l、H+ 、LiAlH4 等が挙げられる。これら処理剤
は一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合し
て用いてもよい。
【0027】上記の方法によりカルボン酸系重合体を
製造する際の製造条件は、特に限定されるものではな
く、例えば、所望するカルボン酸系重合体の物性等に応
じて適宜設定すればよい。
【0028】また、上記の方法において原料として用
いられるカルボン酸系単量体は、アリルアミノ基とカル
ボキシル基とを有し、かつ、アミノ結合、エーテル結
合、およびチオエーテル結合からなる群より選ばれる少
なくとも一種の結合を有する化合物であり、例えば、一
般式(3)
【0029】
【化10】
【0030】(式中、式中、Yは水素原子、アリル基ま
たは−(CHR3 c −W2 −(CHR4 d COOH
基を表し、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して
水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、
1 、W2 はそれぞれ独立して−NH−基、−S−基ま
たは−O−基を表し、a、b、c、dはそれぞれ独立し
て0〜6の整数を表す)で表される構造を有している。
そして、これら化合物のうち、一般式(4)
【0031】
【化11】
【0032】、一般式(5)
【0033】
【化12】
【0034】、および一般式(6)
【0035】
【化13】
【0036】で表される化合物がより好ましく、上記一
般式(4)で表される化合物が特に好ましい。
【0037】上記のカルボン酸系単量体は、汎用の原料
を用いて、簡便な工程からなる製造方法によって容易に
得ることができる。該カルボン酸系単量体の製造方法
は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いて
製造することができる。例えば、一般式(7)
【0038】
【化14】
【0039】(式中、Aは水素原子、アリル基または−
(CHR3 c −R6 基を表し、R1 、R3 はそれぞれ
独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表
し、R5 、R6 はそれぞれ独立して−SH基、−OH基
または−NH2 基を表し、a、cはそれぞれ独立して0
〜6の整数を表す)で表される化合物と(メタ)アクリ
ル酸とを反応させることによって容易に所望するカルボ
ン酸系単量体を得ることができる。
【0040】上記一般式(7)で表される化合物は、特
に限定されるものではないが、式中、Aで示される置換
基が水素原子、アリル基または−(CHR3 c −R6
基で構成され、R1 、R3 で示される置換基がそれぞれ
独立して水素原子または炭素数1〜6のアルキル基で構
成され、R5 、R6 で示される置換基がそれぞれ独立し
て−SH基、−OH基または−NH2 基で構成され、a
で表される繰り返し単位が0〜6の整数であり、cで表
される繰り返し単位が0〜6の整数である化合物であ
る。前記一般式(7)で表される化合物としては、具体
的には、例えば、一般式(8)
【0041】
【化15】
【0042】で表される2-アリルアミノエタンチオー
ル、一般式(9)
【0043】
【化16】
【0044】で表される2-( アリル-(2-メルカプトエチ
ル) アミノエタンチオール、一般式(10)
【0045】
【化17】
【0046】で表される2-ジアリルアミノエタンチオー
ル、および一般式(11)
【0047】
【化18】
【0048】で表されるアジアリルアミノエタノール等
が挙げられる。これら前記一般式(7)で表される化合
物は、一種類のみを用いてもよいし、適宜、二種類以上
を混合して用いてもよい。
【0049】前記一般式(7)で表される化合物の製造
方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の種々
の方法により容易に得ることができる。例えば、J.Org.
Chem26,1961,p.5125 〜には、エチル- 2-ヒドロキシエ
チルチオカーボネートを用いて2-ジアリルアミノエタン
チオール等の化合物を合成している例が開示されてい
る。
【0050】尚、上記の反応において、前記一般式
(7)で表される化合物を単離する方法としては、特に
限定されるものではなく、例えば蒸留等の従来公知の種
々の方法を用いることができる。
【0051】前記一般式(7)で表される化合物と(メ
タ)アクリル酸とを反応させる際には、必要に応じて反
応系に溶媒を添加することができる。上記の溶媒として
は、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の有機
溶剤が挙げられるが、上記反応を阻害するものでなけれ
ば、特に限定されるものではない。また、その使用量も
特に限定されるものではない。
【0052】前記一般式(7)で表される化合物と(メ
タ)アクリル酸とを反応させる際の反応温度は、特に限
定されるものではないが、0℃〜 200℃の範囲内に設定
することが好ましく、単量体の収率を向上させるために
は、10℃〜 100℃の範囲内に設定することがさらに好ま
しく、20℃〜80℃の範囲内に設定することが特に好まし
い。上記反応温度が0℃よりも低い場合には、反応時間
が長くなり過ぎ、反応を効率的に行うことができなくな
るので好ましくない。また、原料である(メタ)アクリ
ル酸やアリルアミン類、並びに、生成物であるカルボン
酸系単量体は、分子中にビニル基等を有しているので重
合し易い性質を有している。このため、上記反応温度が
200℃よりも高い場合には、これらの化合物の重合を抑
制することができなくなるので好ましくない。そして、
反応時間は、上記反応が完結するように、反応温度や、
前記反応生成物、(メタ)アクリル酸および溶媒等の種
類や組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すればよ
い。また、反応圧力は、特に限定されるものではなく、
常圧(大気圧)、減圧、加圧の何れであってもよい。
【0053】該カルボン酸系重合体は、上記のカルボン
酸系単量体を含む単量体成分を重合させることにより、
容易に得ることができる。また、上記単量体成分は、必
要に応じて、上記カルボン酸系単量体と共重合可能なそ
の他の単量体を含んでいてもよい。
【0054】上記その他の単量体としては、具体的に
は、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル
酸等のカルボキシル基を含有するモノマーおよびそのエ
ステル、スチレン、ビニルピリジン、アリルアミン類等
が挙げられるが、特に限定されるものではない。これら
その他の単量体は、一種類のみを用いてもよく、二種類
以上を適宜混合して用いてもよい。これらその他の単量
体のなかでも、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
尚、上記カルボン酸系単量体に対するその他の単量体の
添加量は、特に限定されるものではない。
【0055】該カルボン酸系重合体の製造方法、即ち、
上記カルボン酸系単量体を含む単量体成分の重合方法
は、特に限定されるものではなく、例えば、溶液重合
法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法等、従来公知の種々の
方法を採用することができる。上記単量体成分を重合さ
せる際に用いられる溶媒としては、具体的には、例え
ば、水、トルエン、シクロヘキサン等が挙げられるが、
特に限定されるものではない。また、上記溶媒の使用量
も特に限定されるものではない。さらに上記懸濁重合を
行う際の懸濁剤としては、具体的には、例えば、ゼラチ
ン、デキストリン、ポリビニルアルコール等が挙げられ
るが、特に限定されるものではない。また、上記懸濁剤
の使用量も特に限定されるものではない。
【0056】上記単量体成分を重合させる際には、重合
開始剤を用いることができる。該重合開始剤としては、
具体的には、例えば、過酸化水素、ベンゾイルパーオキ
サイド、クメンヒドロパーオキサイド等の過酸化物;
2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、 2,2'-アゾビス(2
-アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物;過硫酸
アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の
過硫酸塩等のラジカル重合開始剤等が挙げられる。これ
ら重合開始剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以
上を適宜混合して用いてもよい。尚、上記重合開始剤を
用いる代わりに、放射線や電子線、紫外線等を照射して
もよく、また、重合開始剤とこれら放射線や電子線、紫
外線等の照射とを併用してもよい。また、上記重合開始
剤の使用量は、特に限定されるものではない。
【0057】また、上記単量体成分を重合させる際に
は、必要に応じて架橋剤を用いてもよい。該架橋剤とし
ては、具体的には、例えば、トリメチロールプロパント
リアクリレート、ジビニルベンゼン等が挙げられるが、
特に限定されるものではない。これら架橋剤は、一種類
のみを用いてもよく、適宜、二種類以上を混合して用い
てもよい。上記重合反応に架橋剤を用いることにより、
得られるカルボン酸系重合体の架橋密度を制御すること
ができる。尚、架橋剤の使用量は、特に限定されるもの
ではなく、例えば、用いる単量体成分や架橋剤の種類、
所望する架橋密度等によって適宜設定すればよい。
【0058】上記重合反応を行う際の反応温度は、単量
体成分や溶媒の種類等に応じて適宜設定すればよく、特
に限定されるものではないが、50℃〜 120℃の範囲内が
好ましく、60℃〜 100℃の範囲内がさらに好ましい。
尚、反応時間は、上記重合反応が完結するように、反応
温度や、単量体成分、重合開始剤、および溶媒等の種類
や組み合わせ、使用量等に応じて適宜設定すればよく、
特に限定されるものではない。また、反応圧力は特に限
定されるものではなく、常圧(大気圧)、減圧、加圧の
何れであってもよい。
【0059】該カルボン酸系重合体は、重合反応後、濾
過して溶媒で充分に洗浄した後、エバポレーター、減圧
乾燥等、常用の方法を用いて乾燥することによって容易
に得ることができる。
【0060】このようにして得られたカルボン酸系重合
体は、側鎖にカルボキシル基のみならず電子供与性の高
い窒素原子や硫黄原子、酸素原子を有しているので、低
pH条件下(pH=3以下)においても金属キレート能
が高く、また、単位容量当りの金属イオンの捕捉量が、
1cc当たり10mmolと非常に高い。
【0061】上記のカルボン酸系重合体は、そのままキ
レート剤として用いることができるが、該カルボン酸系
重合体を分散媒に膨潤させることによって、ゲル体とし
て用いてもよい。上記ゲル体とは、上記のカルボン酸系
重合体が分散媒によって膨潤し、3次元網目構造をとる
ことによってジェリー状に固化したものである。
【0062】上記分散媒としては、特に限定されるもの
ではないが、好ましくは水、メタノール等が用いられ
る。また、該ゲル体の製造方法は、特に限定されるもの
ではなく、上記カルボン酸系重合体を、上記分散媒に例
えば浸漬することによって容易に得ることができる。
尚、カルボン酸系重合体を分散媒に浸漬する場合の条件
等は、特に限定されるものではない。該ゲル体の膨潤
率、言い換えれば、分散媒の含有量は、特に限定される
ものではないが、例えば、カルボン酸系重合体1gあた
り4g〜6gの水を吸収する。
【0063】また、本発明のキレート剤は、上記カルボ
ン酸系重合体以外に、従来公知のキレート剤やその他の
添加剤等を含んでいてもよい。即ち、本発明のキレート
剤は、上記カルボン酸系重合体を含むことで、金属イオ
ン捕捉能に優れ、低pH条件下においても金属キレート
能が高く、また、単位容量当りの金属イオンの捕捉量が
非常に高い。このため、該キレート剤は、例えば、金属
の回収や金属を含有する廃液の処理等、金属塩の分離、
精製、分析等の用途に好適に用いることができる。
【0064】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるも
のではない。
【0065】〔実施例1〕温度計、攪拌機、滴下装置お
よび還流冷却器を備えた反応容器に、溶媒としてのシク
ロヘキサン8kgおよび所定の懸濁剤60gを仕込んで攪
拌した。次いで、この反応容器に、6-(N,N-ジプロペニ
ルアミノ)-4-チアヘキサン酸とアクリル酸とからなる単
量体成分 597g、架橋剤としてのトリメチロールプロパ
ントリアクリレート56g、および溶媒としての水 751g
を添加し、70℃に昇温した。尚、上記6-(N,N-ジプロペ
ニルアミノ)-4-チアヘキサン酸は、単量体成分中におけ
る6-(N,N-ジプロペニルアミノ)-4-チアヘキサン酸の使
用量が5モル%となるように添加した。一方、重合開始
剤としての2,2'- アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩
酸塩(和光純薬工業株式会社製;商品名 V−50)の
0.5 重量%濃度の水溶液 200ccを滴下装置に仕込んだ。
次いで、上記滴下装置内の重合開始剤を、上記反応溶液
に20分間かけて滴下し、その後、この反応溶液をさらに
3時間攪拌して攪拌を停止した。次いで、上記の反応溶
液を一晩室温で維持することにより反応を熟成させた。
この結果、0.1mm 〜2mm程度のビーズ状の反応生成物が
得られた。
【0066】その後、得られたビーズ状の反応生成物を
ロータリーエバポレータに移し、シクロヘキサンを留去
した後、減圧下、80℃で乾燥させて540 gの重合体を得
た。得られた重合体を所定の方法により分析し、該重合
体が本発明にかかるカルボン酸系重合体であることを確
認した。
【0067】次に、上記のカルボン酸系重合体0.6 g
を、室温に保持した1Mの酢酸銅水溶液中に70時間浸漬
した後、イオン交換水で充分に洗浄した。この結果、青
色に着色したゲル体が得られた。次に、このゲル体を、
0.9 Mの塩酸水溶液50gで洗浄した後、この洗液をIC
P(誘導結合高周波プラズマ)分光分析により分析した
結果、0.41gの銅イオンがキレートされていることが確
認された。これは、重合体1cc当たり6.4mmol の銅イオ
ンがキレートされていることに相当する。
【0068】〔実施例2〕実施例1において、1Mの酢
酸銅水溶液に代えて、1Mの硝酸銅水溶液を用いた以外
は、実施例1と同様の操作を行って、青色に着色したゲ
ル体を得た。次に、このゲル体を用いて、実施例1と同
様の方法により洗浄、分析を行った結果、0.40gの銅イ
オンがキレートされていることが確認された。これは、
実施例1で得られたカルボン酸系重合体1cc当たり6.1m
mol の銅イオンがキレートされていることに相当する。
【0069】〔実施例3〕実施例1において、1Mの酢
酸銅水溶液に代えて、0.2 Mの硝酸銅水溶液を用いた以
外は、実施例1と同様の操作を行って、青色に着色した
ゲル体を得た。そして、得られたゲル体を、pH1の塩
酸水溶液に10日以上浸漬した。この操作を、塩酸水溶液
のpHを1〜7の範囲内で種々変更して同様に行った。
この結果、pH3以上の塩酸水溶液に浸漬したゲル体
は、青色に呈色したままであった。
【0070】上記実施例1〜3の結果から、本実施例で
得られたカルボン酸系重合体、即ち、本発明にかかるキ
レート剤は、単位容量当りの金属イオンの捕捉量が多
く、しかも、低pH条件下でもキレート能に優れている
ことが判った。
【0071】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のキレート剤は、
以上のように、側鎖にアミノ結合、エーテル結合、およ
びチオエーテル結合からなる群より選ばれる少なくとも
一種の結合を有すると共にカルボキシル基を有するカル
ボン酸系重合体を含む構成である。
【0072】本発明の請求項2記載のキレート剤は、以
上のように、一般式(1)
【0073】
【化19】
【0074】(式中、Xはカルボン酸系重合体本体を表
し、nは0〜6の整数を表し、mは0〜6の整数を表
す)で表される構造を備えた官能基を有するカルボン酸
系重合体を含む構成である。
【0075】本発明の請求項3記載のキレート剤は、以
上のように、一般式(2)
【0076】
【化20】
【0077】(式中、Zは水素原子、−(CHR3 c
−W2 −(CHR4 d COOH基または−(CH2
f −X基を表し、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独
立して水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表
し、W1 、W2 はそれぞれ独立して−NH−基、−S−
基または−O−基を表し、Xはカルボン酸系重合体本体
を表し、a、b、c、d、e、fはそれぞれ独立して0
〜6の整数を表す)で表される構造を備えた官能基を有
するカルボン酸系重合体を含む構成である。
【0078】本発明の請求項4記載のキレート剤は、以
上のように、一般式(3)
【0079】
【化21】
【0080】(式中、式中、Yは水素原子、アリル基ま
たは−(CHR3 c −W2 −(CHR4 d COOH
基を表し、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して
水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表し、
1 、W2 はそれぞれ独立して−NH−基、−S−基ま
たは−O−基を表し、a、b、c、dはそれぞれ独立し
て0〜6の整数を表す)で表されるカルボン酸系単量体
を含む単量体成分を含む構成である。
【0081】上記カルボン酸系重合体は、側鎖にカルボ
キシル基のみならず、電子供与性の高い硫黄原子や窒素
原子、酸素原子を有しているので、金属イオン捕捉能に
優れ、低pH条件下においても金属キレート能が高く、
また、単位容量当りの金属イオンの捕捉量が高い。この
ため、上記カルボン酸系重合体を含むキレート剤もま
た、金属イオン捕捉能に優れ、例えば、金属の回収や金
属を含有する廃液の処理等、金属塩の分離、精製、分析
等の用途に好適に用いることができるという効果を奏す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 広一 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】側鎖にアミノ結合、エーテル結合、および
    チオエーテル結合からなる群より選ばれる少なくとも一
    種の結合を有すると共にカルボキシル基を有するカルボ
    ン酸系重合体を含むことを特徴とするキレート剤。
  2. 【請求項2】一般式(1) 【化1】 (式中、Xはカルボン酸系重合体本体を表し、nは0〜
    6の整数を表し、mは0〜6の整数を表す)で表される
    構造を備えた官能基を有するカルボン酸系重合体を含む
    ことを特徴とするキレート剤。
  3. 【請求項3】一般式(2) 【化2】 (式中、Zは水素原子、−(CHR3 c −W2 −(C
    HR4 d COOH基または−(CH2 f −X基を表
    し、R1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して水素原
    子または炭素数1〜3のアルキル基を表し、W1 、W2
    はそれぞれ独立して−NH−基、−S−基または−O−
    基を表し、Xはカルボン酸系重合体本体を表し、a、
    b、c、d、e、fはそれぞれ独立して0〜6の整数を
    表す)で表される構造を備えた官能基を有するカルボン
    酸系重合体を含むことを特徴とするキレート剤。
  4. 【請求項4】一般式(3) 【化3】 (式中、式中、Yは水素原子、アリル基または−(CH
    3 c −W2 −(CHR4 d COOH基を表し、R
    1 、R2 、R3 、R4 はそれぞれ独立して水素原子また
    は炭素数1〜6のアルキル基を表し、W1 、W2 はそれ
    ぞれ独立して−NH−基、−S−基または−O−基を表
    し、a、b、c、dはそれぞれ独立して0〜6の整数を
    表す)で表されるカルボン酸系単量体を含む単量体成分
    を重合させてなるカルボン酸系重合体を含むことを特徴
    とするキレート剤。
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