JPH0930987A - 難治性の潰瘍、胃炎及び皮膚炎の治療乃至予防用製剤 - Google Patents

難治性の潰瘍、胃炎及び皮膚炎の治療乃至予防用製剤

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JPH0930987A
JPH0930987A JP7207788A JP20778895A JPH0930987A JP H0930987 A JPH0930987 A JP H0930987A JP 7207788 A JP7207788 A JP 7207788A JP 20778895 A JP20778895 A JP 20778895A JP H0930987 A JPH0930987 A JP H0930987A
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Mikio Ito
藤 幹 雄 伊
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Abstract

(57)【要約】 【課題】難治性慢性潰瘍が病原性微生物を一因とする発
見に伴い、抗微生物抑制物質を選別し、これを組合わせ
た難治性の潰瘍、胃炎及び皮膚炎の治療・予防材料を提
供する。 【解決手段】抗酸化剤(抗酸化性抗菌剤を含む)、塩基
性多糖類から選択される薬剤の単独あるいは組成形態を
有する慢性潰瘍治療用材料であり、好ましくはクエルセ
チン、アントラサイクリン系抗生物質、キトサンからな
る組成薬剤形態を、さらには天然物(加工品)を利用し
た機能性食品形態からなり、長期間使用に耐え、安全性
が高い点において優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗酸化剤(抗酸化性
抗菌物質を含む)、塩基性多糖類から選択される薬剤の
単独あるいはこれら組成物を主成分とする再発性・難治
・慢性潰瘍治療剤にかかわる。
【0002】
【従来の技術】酸素供給性、組織活性化作用が認められ
る血管拡張剤、SOD系薬剤、ビタミン類の一部に組織
修復効果は予見されている{ニフェジピンの抗潰瘍効果
(特開昭60-188319 )、トコフェロールの抗大腸、消化
性潰瘍効果(特開昭61-109715 、特開平2-300123 )、
キトサンオリゴマーの抗感染効果(特開昭61-268626
)、サイクロデキストリンの抗潰瘍効果(特開平2-30
0123 )、タウリンの抗胃粘膜障害効果(特開平3-8121
9)、ニトログリセリンの移植皮膚処置効果(特公平6-
65647)等}。
【0003】また咽頭、食道潰瘍誘発性テトラサイクリ
ン系抗生物質に対して塩基性物質を配合した製剤(特開
昭60-226812 〜炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二カリ
ウム等を配合して、強酸性を中和し潰瘍防止を目的とし
た)や、酸性多糖類(WO特許93-5792 〜キチン等)の抗
潰瘍効果は報告されているが、該抗生物質は潰瘍誘発性
物質として従来考察されており、ヘリコバクター・ピロ
リ誘発性潰瘍の治療・予防的効果については知られてい
ない。さらにキトサン等の塩基性多糖類の潰瘍治療乃至
予防効果についても知られていない。
【0004】消化性潰瘍の原因については、自律神経失
調、ストレス、自己消化原因等が報告され、最近ではヘ
リコバクター・ピロリ(以下Helicobacter(H) pyloriあ
るいはH.pyloriと記載)等の潰瘍原因菌の存在が判明し
ているが、外皮潰瘍(口周囲炎、褥瘡、皮膚潰瘍等)、
内皮潰瘍(血管内皮潰瘍等)については、微生物が関与
していることは発見されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題乃至発明の目的】近年、
フリーラジカルが種々の疾患の病因に密接に関係してい
ることが報告されてきており、消化器系臓器ではxanthi
ne oxidase活性が極めて高く、特に胃ではsuperoxide d
ismutase 活性が低いことから、胃は酸化的ストレスに
よる障害を受けやすい臓器であると考えられている(す
でに、虚血ー再還流、ストレス、エタノール及び酸性抗
炎症剤による実験的急性胃粘膜障害の病因にフリーラジ
カルが重要な役割を演ずることが明らかにされてい
る)。
【0006】また、ヒト慢性潰瘍の活動期において潰瘍
辺縁粘膜中の過酸化脂質量が増加しており、治癒、瘢痕
期になるに従い正常化することが明らかにされており、
実験的慢性潰瘍のラット酢酸胃潰瘍においても潰瘍辺縁
粘膜に好中球の浸潤と過酸化脂質量の著しい増加が見ら
れ、治癒が進むにつれて減少することが認められてい
る。
【0007】さらに、ヒスタミンH2 受容体拮抗剤やプ
ロトンポンプ阻害剤でも治癒しない難治性潰瘍において
は潰瘍辺縁粘膜中の過酸化脂質量は上昇したままであ
り、粘膜内ビタミンE量が低下することが報告されてい
る。
【0008】以上のような知見から、フリーラジカルを
消去する抗酸化作用を有する化合物には抗潰瘍作用が期
待されるが、まだこの種の薬剤の報告例は数少ない。
【0009】最近、慢性胃炎、萎縮姓胃炎および胃癌の
発生や消化性潰瘍の再発とH.pylori感染との関連が注目
されており、このH.pyloriの除菌に成功すると潰瘍再発
をかなりの確率で防御できることが明らかにされてい
る。
【0010】しかし、現在使用されている数多くの抗潰
瘍剤のうち、プロトンポンプ阻害剤と2,3の防御因子
増強型薬剤にin vitroにおいてH.pyloriの抗菌作用が認
められているが、これら薬剤での単独療法のin vivo で
の効果はかなり乏しく、抗生剤との併用療法が主体とな
っている。また、高率に除菌するには抗生剤の多量投与
が必要で、それによる副作用や耐性菌の出現が問題とな
っていた。
【0011】H.pyloriは微好気性菌で表皮粘膜内で繁殖
性を示すため{発育至適pH6〜8(pH4以下では発
育しない)}一般の抗菌剤を使用した除菌効果について
は、潰瘍辺縁部位への薬物濃度を一定時間維持する点で
困難な問題もあり、H.pyloriに感受性が高い消化管作用
型抗菌剤の開発が望まれている。
【0012】
【課題を解決し、目的を達成する手段】本発明者はこの
ような観点に立って、古くから使用されている長期間連
投可能製剤で、副作用として潰瘍発生が殆どみられない
薬剤を中心に、食生活との関連性について独自の疫学的
調査を行い検討を重ねた結果、抗酸化剤、塩基性多糖類
群に慢性潰瘍治療ないし予防的効果を見い出した。この
うち抗酸化性を有する抗菌剤が微生物を原因とする潰
瘍、胃炎、皮膚炎等の疾患群に特に有望ではないかと想
定してアントラサイクリン系薬剤を選択し実証を試み
た。この結果、難治性アトピー性皮膚炎、褥瘡、老人性
熱傷、糖尿病、帯状疱疹、放射線障害、薬物、免疫不全
性疾患を伴う潰瘍の内、再発を繰り返す難治性潰瘍の大
部分が潰瘍発生菌(微生物)を一因としている可能性を
見出し本発明の端緒を得た。
【0013】本発明を具体的に述べれば、抗酸化作用を
有する天然化合物のクエルセチン及び抗生剤テトラサイ
クリン、並びに抗菌作用を有する塩基性多糖体キトサン
の抗潰瘍作用を明らかにするため、ラットのエタノール
急性胃粘膜障害及びラットの酢酸慢性胃潰瘍治療に対す
るこれらの化合物の効果を検討した。さらに、これらの
化合物の抗潰瘍効果が抗酸化作用によるか否かを明らか
にするため、損傷粘膜あるいは潰瘍部辺縁粘膜中の過酸
化脂質量を測定した。
【0014】なお、本発明に利用可能な抗酸化剤として
はクエルセチンが最も好ましいが、この他にはトコフェ
ロール、グルタチオン、タンニン、フェルラ酸、アスコ
ルビン酸が使用される。また抗酸化性を有する抗菌剤と
してはテトラサイクリンが最も好ましいが、この他には
ミノサイクリン、ドキシサイクリン等のアントラサイク
リン系物質が使用される。塩基性多糖類としてはキトサ
ンが使用される。
【0015】本発明使用材料は必ずしも医薬品である必
要はなく、例えば抗酸化性食品、塩基性多糖食品であっ
ても有効である。抗酸化性食品としてはウコン、イチョ
ウ、緑茶、霊芝、ルイボス、ソバ、米糠、DHE(ドコ
サヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、
ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB2 が使用される。
また塩基性多糖類としてはカニ・エビ・昆虫殻粉末加工
品あるいは抽出物加工品、キノコ・糸状菌粉末あるいは
抽出物加工品が使用される。潰瘍発生菌については、疾
患部位のpH領域により、繁殖菌の種類は異なるもの
の、消化性潰瘍では微好気性細菌が、組織内皮(血管、
臓器内)では酵素耐性菌が、外皮ではブトウ球菌等の一
般細菌群が考えられる。
【0016】これら抗酸化性物質の使用は直接あるいは
間接的効果により潰瘍原因菌の除菌可能性が考えられ、
現在、胃・十二指腸潰瘍原因菌 H.pyloriの他、各種難
治性潰瘍発生菌(微生物)についても研究途上にある。
このため、これらの原因菌に対する抗酸化性のある抗菌
性物質を配合する事により潰瘍症状の各段階において更
に効果的に利用できるものと想定される。なお、再発性
アトピー性皮膚炎、褥瘡、熱傷性潰瘍、凍傷性潰瘍、糖
尿病性潰瘍、帯状疱疹性予後不良潰瘍、放射線潰瘍、薬
物アレルギー潰瘍、免疫不全疾患性潰瘍、術後性潰瘍あ
るいは外皮並びに内皮性潰瘍、胃炎(慢性胃炎等)につ
いてもH.pylori以外の原因菌(微生物)の特定について
試験調査中にある。
【0017】本発明による化合物あるいは機能性食品を
投与するに際しては、対象疾患者の疾患状況、部位、年
齢、性別、体重等を考慮して、さらには病巣部位の原因
微生物を特定する事により、投薬種、組成、投薬量は決
定されるが、本発明者により考案された必要使用量を表
1,表2に示す。なお、長期間使用のための組成剤を使
用する場合は、一般的にはキトサン50〜95重量%に対し
てクエレセチン10〜40重量%、抗菌性物質5〜30重量%
が使用される(抗菌性物質については全身作用効果を目
的としているわけではないので、その副作用を考慮した
場合、胃腸管内の局所的使用量が好ましい)。
【0018】
【表1】 抗潰瘍物質 成人1日推定使用量 抗酸化剤 クエルセチン 100 〜500mg タンニン酸 100 〜500mg フェルラ酸 200 〜500mg アスコルビン酸 1000 〜2000mg 塩基性多糖類 キトサン 500 〜2000mg 抗菌性物質 塩酸テトラサイクリン 10 〜300mg ミノサイクリンシン 10 〜300mg ドキシサイクリン 10 〜300mg
【0019】
【表2】抗潰瘍食品 抗酸化性食品 ウコン 1〜5g DHE(ドコサヘキサエン酸) 1〜5g EPA(エイコサペンタエン酸)1〜5g イチョウエキス 1〜10g 緑茶 1〜10g 霊芝末 1〜10g ルイボ末 1〜10g ソバ粉 1〜10g 米糠粉 1〜10g ビタミンE 1〜2g ビタミンC 1〜2g ビタミンB2 1〜2g 塩基性多糖類系加工食品 カニ粉加工品 1〜5g エビ粉加工品 1〜5g ぼう虫加工品 1〜2g ハンミョウ加工品 1〜2g
【0020】
【発明の実施の形態】次に製造例、薬効薬理試験例に関
連して本発明を更に詳細に説明する。 参考製造例(キトサンの精製) カニ、エビ等の甲殻を希塩酸並びにアルカリ溶液で処理
し、炭酸カルシウム、除蛋白操作によりキチンを製造し
た。得たるキチンを40〜45%水酸化ナトリウム溶液中で
80〜120 ゜Cで5時間加熱し、キチンのNー脱アセチル
化を行いキトサンを得る。なお、本発明実施例では市販
の精製率90%キトサン製剤を使用した(商標名::キト
イチ:有限会社ケンネット製造)。
【0021】製剤例1(経口製剤〜配合錠剤) クエルセチン 20 精製キトサン 100 テトラサイクリン 10 ステアリン酸マグネシウム 1.8 ヒドロキシプロピルセルロース 2.5乳 糖 適 量 全 量 300.0mg 錠剤 (成人 1回 3錠 1日 3回 服用処方製剤)
【0022】製剤例2(経口製剤〜単一錠剤) クエルセチン 200 ステアリン酸マグネシウム 1.8 ヒドロキシプロピルセルロース 2.5乳 糖 適 量 全 量 250.0mg
【0023】製剤例3(経口製剤〜単一散剤) 精製キトサン 1000mg
【0024】製剤例4(経口製剤〜単一錠剤) 塩酸テトラサイクリン 100 ステアリン酸マグネシウム 1.8 ヒドロキシプロピルセルロース 2.5乳 糖 適 量 全 量 250.0mg
【0025】製剤例5(外用剤〜軟膏剤) 以下処方で外用剤を調製した。 処 方 精製キトサン(参考製造例) 100mg クエルセチン 20mg テトラサイクリン 20mg 白色ワセリン 80g 流動パラフィン 10g
【0026】製剤例6(外用剤〜軟膏剤) 以下処方で外用剤を調製した。 処 方 精製キトサン(参考製造例) 100mg クエルセチン 20mg テトラサイクリン 20mg 白色ワセリン 80g 流動パラフィン 10g
【0027】以下処方で坐剤を調製した。 処 方 精製キトサン(参考製造例) 50mg クエルセチン 10mg ミノサイクリン 10mg カカオ脂 500mg
【0028】薬効薬理試験 1)エタノール胃粘膜障害と損傷部粘膜中のthiobarbit
uric acid(TBA)反応物質量に対する効果 実験方法 体重約200gのS.D系雄性ラットを実験前24時間絶食
し、クエルセチンは1%アラビアゴムに懸濁し、またテ
トラサイクリン(塩酸テトラサイクリン)は精製水に溶
解し、1ml/100g 体重の容量で経口投与した。被験薬液
投与の1時間後に塩酸・エタノール(60%エタノールに
150mM 塩酸)を1ml/100g 体重の容量で経口投与し、そ
の1時間後にエーテル麻酔下において胃を摘出した。
【0029】次に胃を大湾に沿って切開し、胃内容物を
洗浄後ミクロメーター付き実体顕微鏡での観察下に腺胃
部に発生した損傷の長さ (mm) と幅 (mm) を測定し、そ
の積を損傷面積とした。そして、一匹あたりの損傷面積
の総和を損傷指数とした。また、塩基性多糖類キトサン
を1%アラビアゴムに懸濁し、ラットに経口投与し、そ
の1時間後に塩酸・エタノールの代わりに無水エタノー
ルを投与し、1時間後に上述のように損傷面積を測定
し、損傷指数を算出した。また、損傷面積を計測後、直
ちに胃体部粘膜をミクロスパーテルで採取し、Ohkawaら
の方法に従い、過酸化脂質量の指標として粘膜中のTBA
反応物質量を測定した。
【0030】結 果 クエルセチン:結果は図1〜2に示したように、クエル
セチンは50および100mg/kgの経口投与により、塩酸ーエ
タノール胃粘膜損傷の発生を対照と比較して、それぞれ
42%及び73%抑制した。また、対照ラットの損傷粘膜中
のTBA反応物質量は、正常ラットと比較して、2.8 倍
高値を示した(正常粘膜: 4.2±0.3nmol/mg protein、
損傷粘膜:11.7±1.7nmol/mg protein)。クエルセチン
は50および100mg/kgの経口投与により、TBA反応物質
量を対照と比較して、それぞれ42および50%減少させ
た。
【0031】テトラサイクリン:結果は図3〜4に示し
たように、テトラサイクリンは10および20mg/kg の経口
投与により、塩酸ーエタノール胃粘膜損傷をそれぞれ54
%及び75%抑制し、損傷粘膜中のTBA反応物質をそれ
ぞれ30%および48%減少させた。
【0032】キトサン:キトサンの粘膜防御作用を明ら
かにするため、壊死性物質として無水エタノールを使用
した。第5図に示したように、キトサンは対照と比較し
て、それぞれ87%、95%及び99%損傷を抑制した。
【0033】2)酢酸胃潰瘍の治癒と潰瘍部辺縁粘膜中
のTBA反応物質量に対する効果 実験方法 体重約230gのS.D.系雄性ラットを使用し、飼料摂取
時間を潰瘍惹起の3日前から実験期間を通して毎日午前
9:00〜10:00 および午後5:00〜6:00 の2時間に制限し
た。酢酸胃潰瘍をTakagiらの方法に従って、20%酢酸溶
液を0.05ml胃体部と幽門部との境界壁に漿膜側から注入
することにより惹起させた。
【0034】上記1)の試験例で用いたと同じ被験薬物
を酢酸注入の翌日から毎日、午後10:30 と午後6:30分に
2回、14日目まで経口投与し、15日目に薬物の治癒効果
の指標として潰瘍指数を、また過酸化脂質量の指標とし
て潰瘍辺縁粘膜中のTBA 反応物質量を測定した。潰瘍指
数測定のため、ラットをエーテル麻酔下に胃を摘出し、
ミクロメーター付実体顕微鏡下に潰瘍部の長径(mm)
と短径(mm)を測定し、その積(mm2 ) を潰瘍指数
とした。また、潰瘍指数を測定後、直ちに潰瘍領域を囲
み直径8mm の円領域内の粘膜と対称部位の非潰瘍部の粘
膜をミクロスパーテルで採取し、両粘膜中のTBA 反応物
質量を測定した。
【0035】結 果 クエルセチン:結果は図6〜7に示したように、クエル
セチンは25および50および 100mg/kg の用量で酢酸注入
の翌日から毎日2回、14日間の経口投与により対照と比
較して、潰瘍指数をそれぞれ31%、47%および57%減少
させた。対照ラットの潰瘍辺縁粘膜中のTBA反応物質
量は対称部位の非潰瘍粘膜中の量と比較して4.2 倍高値
を示した(非潰瘍部: 2.2±0.3nmol/mg protein、潰瘍
部:9.2 ±0.6nmol/mg protein)。クエルセチンは25、
50および100mg/kgの毎日2回の経口投与により対照と比
較して潰瘍辺縁粘膜中のTBA反応物質量を47%、48%
および68%減少させた。テトラサイクリン:第8〜9図
に示したように、テトラサイクリンは5、10および20mg
/kg の用量で毎日、2回の経口投与により、潰瘍指数を
それぞれ39%、47%および58%減少させ、また潰瘍辺縁
粘膜中のTBA反応物質量をそれぞれ35%、41%および
54%減少させた。
【0036】使用試験 再発性胃潰瘍経験(H.pylori潰瘍)のあるボランテア1
名、再発性胃炎経験のあるボランテア及び食後そう痒症
状のあるボランテア各1名並びにアトピー症状のあるボ
ランテア1名に協力をあおぎ、H.pylori潰瘍経験ボラン
テアに対しては製剤例1のキトサン組成剤を、他は製剤
例3の市販キトサン製剤を3ケ月間にわたり任意に使用
してもらい、使用感をアンケート調査した。結果は潰瘍
再発、胃炎等の発生もなく、食後あるいは入浴時のそう
痒アレルギー症については使用1週目より症状の発生が
緩和し、使用1ケ月後にはそう痒症状なくなったと回答
した。
【0037】考 察 以上の薬理試験及び使用経験からクエルセチンとテトラ
サイクリンは胃粘膜保護作用と潰瘍治癒促進作用を有す
ることが判明した。また塩基性多糖体キトサンも強力な
粘膜保護作用が確認された。今回抗潰瘍作用を試験した
クエルセチンはフラボノイド類に属する植物成分で抗酸
化作用を有することが実証されている。また、テトラサ
イクリンは広範囲抗菌スペクトルを有する抗生剤でH.py
loriに対しても強い抗菌作用を示し、さらに抗酸化作用
をも合わせ持つことが明らかにされている。抗酸化作用
を有する抗潰瘍剤として、すでにレバミピドやポラプレ
ジンク(亜鉛とカルノシンのキレート化合物)が臨床的
に使用されており、今回クエルセチンとテトラサイクリ
ンはラットの塩酸・エタノール胃粘膜損傷の発生を防御
し、また酢酸胃潰瘍の治癒促進作用を示すと同時に、損
傷粘膜および潰瘍辺縁粘膜中のTBA反応物質量、すな
わち過酸化脂質量の増加を抑制した。それ故、クエルセ
チンとテトラサイクリンの粘膜保護作用と潰瘍治癒促進
作用はこれらの化合物の抗酸化作用によるように思われ
る。
【0038】また、キトサンは上述のようにカニ殻等の
キチン(アセチルグルコサミンが5000以上結合した天然
の高分子化合物)に40〜45%NaOHを加え、80〜120 ゜C
で処理することによりキチンのアミノ基に結合したアセ
チル基がはずれた塩基性多糖体である。キトサンにはす
でに血圧低下作用、血中コレステロール低下作用、免疫
賦活作用、抗菌作用などが報告され、機能性食品等とし
て発売されている。今回使用したキトサンは市販のもの
で精製率90%キトサンを使用した(商品名:キトイ
チ)。ラットのエタノール胃損傷に対するキトサンの防
御作用を明らかにするため、キトサン粉末にアラビアゴ
ム末を加えて懸濁して、無水エタノール投与の2時間前
に経口投与した。これは、キトサンが胃酸で溶解し、高
濃度では胃内でゲル化することが予測され、この実験で
アラビアゴム液を投与した対照ラットでは無水エタノー
ルの胃内投与により、胃体部に線状の出血性びらんを生
じた。しかしキトサンを500mg/kg以上投与したラットで
はほとんど完全に出血性びらんが抑制された。この胃粘
膜防御作用は、胃内でゲル化したキトサンが粘膜に親和
性を持ち、粘膜表面を被覆保護することに起因している
ように思われる。
【0039】H.pyloriの除菌により難治性潰瘍が治癒
し、潰瘍の再発をかなり低下させることは可能である
が、本菌を完全に除菌する方法はまだ確立されていな
い。プロトンポンプ阻害剤や抗生剤はin vitroではかな
り強力な抗菌作用を示すがin vivo での効果はかなり弱
い。これは本菌の生息部位が、粘液下層であり、その部
位への薬剤の移行が悪いことが考えられる。キトサンの
H.pyloriに対する効果はまだ明らかではないが、本発明
者の親近者が服用した経験によれば優れた抗潰瘍効果が
あり、H.pyloriに対する効果が期待される。
【0040】さらに、慢性潰瘍の活動期や難治性潰瘍で
は潰瘍辺縁粘膜での過酸化脂質量が増加していることか
ら、キトサンにクエルセチンやテトラサイクリンを併用
することは抗潰瘍作用やH.pylori除菌作用の相乗効果が
期待される。
【0041】なお、抗酸化性物質としてクエルセチンの
他にグルタチオン、タンニン類(カテキン)、フェルラ
酸を、また抗酸化性抗菌物質としてテトラサイクリンの
他にミノサイクリン、ドキシサイクリンをもちいた試験
についても行ったがクエルセチン、テトラサイクリンと
ほぼ同等の効果が認められた。
【発明の効果】難治性の潰瘍、胃炎及び皮膚炎が病原性
微生物を一因とする発見に伴い、間接あるいは直接的な
原因微生物の抑制物質を検討選択し、これを機能別に分
類、さらにこれらを組合わせる事により、難治性潰瘍、
胃炎及び皮膚炎の治療・予防用材料(薬剤、食品等)を
提供するものである。本発明による治療・予防用材料は
他の目的で古くから使用されているものが多く、安全性
が高い点において優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩酸・エタノール胃粘膜障害に対するクエルセ
チンの効果を示す。
【図2】塩酸・エタノール胃粘膜障害部位の過酸化脂質
量に対するクエルセチンの効果を示す。
【図3】塩酸・エタノール胃粘膜障害に対するテトラサ
イクリンの効果を示す。
【図4】塩酸・エタノール胃粘膜障害部位の過酸化脂質
量に対するテトラサイクリンの効果を示す。
【図5】エタノール胃粘膜障害に対するキトサンの効果
を示す。
【図6】酢酸胃潰瘍治癒に対するクエルセチンの効果を
示す。
【図7】酢酸胃潰瘍の辺縁粘膜過酸化脂質量に対するク
エルセチンの効果を示す。
【図8】酢酸胃潰瘍治癒に対するテトラサイクリンの効
果を示す。
【図9】酢酸胃潰瘍の辺縁粘膜過酸化脂質量に対するテ
トラサイクリンの効果を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年9月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】次に胃を大湾に沿って切開し、胃内容物を
洗浄後ミクロメーター付き実体顕微鏡での観察下に腺胃
部に発生した損傷の長さ (mm) と幅 (mm) を測定し、そ
の積を損傷面積とした。そして、一匹あたりの損傷面積
の総和を損傷指数とした。また、塩基性多糖類キトサン
(キトイチ、90%キトサン粉末、有限会社ケンネット)
を1%アラビアゴムに懸濁し、ラットに経口投与し、そ
の2時間後に塩酸・エタノールの代わりに無水エタノー
ルを投与し、1時間後に上述のように損傷面積を測定
し、損傷指数を算出した。また、クエルセチンとテトラ
サイクリンについては損傷面積を計測後、直ちに胃体部
粘膜をミクロスパーテルで採取し、Ohkawaらの方法に従
い、過酸化脂質量の指標として粘膜中のTBA 反応物質量
を測定した。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】クエルセチンあるいはテトラサイクリンを
酢酸注入の翌日から毎日、午前10:30 と午後6:30に2
回、14日目まで経口投与し、15日目に薬物の治癒効果の
指標として潰瘍指数を、また過酸化脂質量の指標として
潰瘍辺縁粘膜中のTBA反応物質量を測定した。潰瘍指数
測定のため、ラットをエーテル麻酔下に胃を摘出し、ミ
クロメーター付実体顕微鏡下に潰瘍部の長径(mm)と
短径(mm)を測定し、その積(mm2 ) を潰瘍指数と
した。また、潰瘍指数を測定後、直ちに潰瘍領域を囲み
直径8mm の円領域内の粘膜と対称部位の非潰瘍部の粘膜
をミクロスパーテルで採取し、両粘膜中のTBA 反応物質
量を測定した。 一方、キトサンを酢酸注入の翌日から
毎日、午前8:00と午後5:00に2回、14日目まで経口投与
し、15日目に治癒効果をIto らの方法に従い、組織学的
計測法により評価した。すなわち、15日目にラットをエ
ーテル麻酔下に胃を摘出し、10%中性ホルマリン緩衝液
で組織を固定し、上述のように実体顕微鏡下に潰瘍指数
を測定した。さらに組織学的計測法により、潰瘍部欠損
面積、潰瘍底露出減少指数および粘膜再生指数を求め潰
瘍治癒の程度を評価した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】結 果 クエルセチン:第6図に示したように、クエルセチンは
25および50および 100mg/kg の用量で酢酸注入の翌日か
ら毎日2回、14日間の経口投与により対照と比較して、
潰瘍指数をそれぞれ31%、47%および57%減少させた。
一方、第7図に示したように、対照ラットの潰瘍辺縁粘
膜中のTBA反応物質量は対称部位の非潰瘍粘膜中の量
と比較して4.2 倍高値を示した(非潰瘍部: 2.2±0.3n
mol/mg protein、潰瘍部:9.2 ±0.6nmol/mg protei
n)。クエルセチンは25、50および100mg/kgの毎日2回
の経口投与により対照と比較して潰瘍辺縁粘膜中のTB
A反応物質量を47%、48%および68%減少させた。 テトラサイクリン:テトラサイクリンは 5、10および20
mg/kg の用量で毎日、2回の経口投与により、潰瘍指数
をそれぞれ39%、47%および58%減少させ(第8図)、
また潰瘍辺縁粘膜中のTBA反応物質量をそれぞれ35
%、41%および54%減少させた(第9図)。 キトサン:キトサンは100 、200 および400 mg/kg の用
量で毎日、2回の経口投与により、潰瘍指数をそれぞれ
17%、49%および60%(第10図)、潰瘍部欠損面積をそ
れぞれ36%、46%および69%減少させた(第11図)。ま
た、100 、200 および400 mg/kg の毎日2回の経口投与
により潰瘍底露出減少指数を27%、52%および68%(第
12図)、粘膜再生指数をそれぞれ19%、42%および91%
増加させた(第13図)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】考 察 以上の薬理試験及び使用経験から抗酸化作用を有するク
エルセチンとテトラサイクリン、塩基性多糖体、キトサ
ンは強力な胃粘膜保護作用と潰瘍治癒促進作用を有する
ことが判明した。今回抗潰瘍作用を試験したクエルセチ
ンはフラボノイド類に属する植物成分で抗酸化作用を有
することが実証されている。また、テトラサイクリンは
広範囲抗菌スペクトルを有する抗生剤でH.pyloriに対し
ても強い抗菌作用を示し、さらに抗酸化作用をも合わせ
持つことが明らかにされている。抗酸化作用を有する抗
潰瘍剤として、すでにレバミピドやポラプレジンク(亜
鉛とカルノシンのキレート化合物)が臨床的に使用され
ており、今回クエルセチンとテトラサイクリンはラット
の塩酸・エタノール胃粘膜損傷の発生を防御し、また酢
酸胃潰瘍の治癒促進作用を示すと同時に、損傷粘膜およ
び潰瘍辺縁粘膜中のTBA反応物質量、すなわち過酸化
脂質量の増加を抑制した。それ故、クエルセチンとテト
ラサイクリンの粘膜保護作用と潰瘍治癒促進作用はこれ
らの化合物の抗酸化作用によるように思われる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】また、キトサンは上述のようにカニ殻等の
キチン(アセチルグルコサミンが5000以上結合した天然
の高分子化合物)に40〜45%NaOHを加え、80〜120 ゜C
で処理することによりキチンのアミノ基に結合したアセ
チル基がはずれた塩基性多糖体である。キトサンにはす
でに血圧低下作用、血中コレステロール低下作用、免疫
賦活作用、抗菌作用などが報告され、機能性食品等とし
て発売されている。今回使用したキトサンは市販のもの
で精製率90%キトサンを使用した(商品名:キトイ
チ)。ラットのエタノール胃損傷に対するキトサンの防
御作用を明らかにするため、キトサン粉末にアラビアゴ
ム末を加えて懸濁して、無水エタノール投与の2時間前
に経口投与した。これは、キトサンが胃酸で溶解し、高
濃度では胃内でゲル化することが予測され、この実験で
アラビアゴム液を投与した対照ラットでは無水エタノー
ルの胃内投与により、胃体部に線状の出血性びらんを生
じた。しかしキトサンを500mg/kg以上投与したラットで
はほとんど完全に出血性びらんが抑制された。この胃粘
膜防御作用は、胃内でゲル化したキトサンが粘膜に親和
性を持ち、粘膜表面を被覆保護することに起因している
ように思われる。今回さらにキトサン( 100〜400mg/kg
×2/日)の酢酸胃潰瘍の治癒作用を組織学的計測法によ
り、より詳細に検討した。その結果、潰瘍指数(潰瘍の
大きさ)、潰瘍部欠損面積(潰瘍の深さ)を用量依存的
に減少させ、潰瘍底露出減少指数や粘膜再生指数を用量
依存的に増加させた。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】塩酸・エタノール胃粘膜障害に対するクエルセ
チンの効果を示す。
【図2】塩酸・エタノール胃粘膜障害部位の過酸化脂質
量に対するクエルセチンの効果を示す。
【図3】塩酸・エタノール胃粘膜障害に対するテトラサ
イクリンの効果を示す。
【図4】塩酸・エタノール胃粘膜障害部位の過酸化脂質
量に対するテトラサイクリンの効果を示す。
【図5】エタノール胃粘膜障害に対するキトサンの効果
を示す。
【図6】酢酸胃潰瘍治癒(潰瘍指数)に対するクエルセ
チンの効果を示す。
【図7】酢酸胃潰瘍の辺縁粘膜過酸化脂質量に対するク
エルセチンの効果を示す。
【図8】酢酸胃潰瘍治癒(潰瘍指数)に対するテトラサ
イクリンの効果を示す。
【図9】酢酸胃潰瘍の辺縁粘膜過酸化脂質量に対するテ
トラサイクリンの効果を示す。
【図10】酢酸胃潰瘍治癒(潰瘍指数)に対するキトサ
ンの効果を示す。
【図11】酢酸胃潰瘍治癒(潰瘍部欠損面積)に対する
キトサンの効果を示す。
【図12】酢酸胃潰瘍治癒(潰瘍底露出減少指数)に対
するキトサンの効果を示す。
【図13】酢酸胃潰瘍治癒(粘膜再生指数)に対するキ
トサンの効果を示す。
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】追加
【補正内容】
【図10】
【手続補正8】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】追加
【補正内容】
【図11】
【手続補正9】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】追加
【補正内容】
【図12】
【手続補正10】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】追加
【補正内容】
【図13】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年2月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 難治性の潰瘍、胃炎及び皮膚炎の治療
乃至予防用製剤
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗酸化剤(抗酸化性
抗菌物質を含む)、塩基性多糖類から選択される薬剤の
単独あるいはこれら組成物を主成分とする再発性・難治
・慢性潰瘍治療剤にかかわる。
【0002】
【従来の技術】酸素供給性、組織活性化作用が認められ
る血管拡張剤、SOD系薬剤、ビタミン類の一部に組織
修復効果は予見されている{ニフェジピンの抗潰瘍効果
(特開昭60-188319 )、トコフェロールの抗大腸、消化
性潰瘍効果(特開昭61-109715 、特開平2-300123 )、
キトサンオリゴマーの抗感染効果(特開昭61-268626
)、サイクロデキストリンの抗潰瘍効果(特開平2-30
0123 )、タウリンの抗胃粘膜障害効果(特開平3-8121
9)、ニトログリセリンの移植皮膚処置効果(特公平6-
65647)等}。
【0003】また咽頭、食道潰瘍誘発性テトラサイクリ
ン系抗生物質に対して塩基性物質を配合した製剤(特開
昭60-226812 〜炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二カリ
ウム等を配合して、強酸性を中和し潰瘍防止を目的とし
た)や、酸性多糖類(WO特許93-5792 〜キチン等)の抗
潰瘍効果は報告されているが、該抗生物質は潰瘍誘発性
物質として従来考察されており、ヘリコバクター・ピロ
リ誘発性潰瘍の治療・予防的効果については知られてい
ない。さらにキトサン等の塩基性多糖類の潰瘍治療乃至
予防効果についても知られていない。
【0004】消化性潰瘍の原因については、自律神経失
調、ストレス、自己消化原因等が報告され、最近ではヘ
リコバクター・ピロリ(以下Helicobacter(H) pyloriあ
るいはH.pyloriと記載)等の潰瘍原因菌の存在が判明し
ているが、外皮潰瘍(口周囲炎、褥瘡、皮膚潰瘍等)、
内皮潰瘍(血管内皮潰瘍等)については、微生物が関与
していることは発見されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題乃至発明の目的】近年、
フリーラジカルが種々の疾患の病因に密接に関係してい
ることが報告されてきており、消化器系臓器ではxanthi
ne oxidase活性が極めて高く、特に胃ではsuperoxide d
ismutase 活性が低いことから、胃は酸化的ストレスに
よる障害を受けやすい臓器であると考えられている(す
でに、虚血ー再還流、ストレス、エタノール及び酸性抗
炎症剤による実験的急性胃粘膜障害の病因にフリーラジ
カルが重要な役割を演ずることが明らかにされてい
る)。
【0006】また、ヒト慢性潰瘍の活動期において潰瘍
辺縁粘膜中の過酸化脂質量が増加しており、治癒、瘢痕
期になるに従い正常化することが明らかにされており、
実験的慢性潰瘍のラット酢酸胃潰瘍においても潰瘍辺縁
粘膜に好中球の浸潤と過酸化脂質量の著しい増加が見ら
れ、治癒が進むにつれて減少することが認められてい
る。
【0007】さらに、ヒスタミンH2 受容体拮抗剤やプ
ロトンポンプ阻害剤でも治癒しない難治性潰瘍において
は潰瘍辺縁粘膜中の過酸化脂質量は上昇したままであ
り、粘膜内ビタミンE量が低下することが報告されてい
る。
【0008】以上のような知見から、フリーラジカルを
消去する抗酸化作用を有する化合物には抗潰瘍作用が期
待されるが、まだこの種の薬剤の報告例は数少ない。
【0009】最近、慢性胃炎、萎縮姓胃炎および胃癌の
発生や消化性潰瘍の再発とH.pylori感染との関連が注目
されており、このH.pyloriの除菌に成功すると潰瘍再発
をかなりの確率で防御できることが明らかにされてい
る。
【0010】しかし、現在使用されている数多くの抗潰
瘍剤のうち、プロトンポンプ阻害剤と2,3の防御因子
増強型薬剤にin vitroにおいてH.pyloriの抗菌作用が認
められているが、これら薬剤での単独療法のin vivo で
の効果はかなり乏しく、抗生剤との併用療法が主体とな
っている。また、高率に除菌するには抗生剤の多量投与
が必要で、それによる副作用や耐性菌の出現が問題とな
っているかもしれない。
【0011】H.pyloriは微好気性菌で表皮粘膜内で繁殖
性を示すため{発育至適pH6〜8(pH4以下では発
育しない)}一般の抗菌剤を使用した除菌効果について
は、潰瘍辺縁部位への薬物濃度を一定時間維持する点で
困難な問題もあり、H.pyloriに感受性が高い消化管作用
型抗菌剤の開発が望まれている。
【0012】
【課題を解決し、目的を達成する手段】本発明者はこの
ような観点に立って、古くから使用されている長期間連
投可能製剤で、副作用として潰瘍発生が殆どみられない
薬剤を中心に、食生活との関連性について独自の疫学的
調査を行い検討を重ねた結果、抗酸化剤、塩基性多糖類
群に慢性潰瘍治療ないし予防的効果を見い出した。この
うち抗酸化性を有する抗菌剤が微生物を原因とする潰
瘍、胃炎、皮膚炎等の疾患群に特に有望ではないかと想
定してテトラサイクリン系薬剤を選択し実証を試みた。
この結果、難治性アトピー性皮膚炎、褥瘡、老人性熱
傷、糖尿病、帯状疱疹、放射線障害、薬物、免疫不全性
疾患を伴う潰瘍の内、再発を繰り返す難治性潰瘍の大部
分が潰瘍発生菌(微生物)を一因としている可能性を見
出し本発明の端緒を得た。
【0013】本発明を具体的に述べれば、抗酸化作用を
有する天然化合物のクエルセチン及び抗生剤テトラサイ
クリン、並びに抗菌作用を有する塩基性多糖体低分子キ
トサンの抗潰瘍作用を明らかにするため、ラットのエタ
ノール急性胃粘膜障害及びラットの酢酸慢性胃潰瘍治療
に対するこれらの化合物の効果を検討した。さらに、抗
酸化化合物の抗潰瘍効果が抗酸化作用によるか否かを明
らかにするため、損傷粘膜あるいは潰瘍部辺縁粘膜中の
過酸化脂質量を測定した。
【0014】なお、本発明に利用可能な抗酸化剤として
はクエルセチンが最も好ましいが、この他にはトコフェ
ロール、グルタチオン、タンニン(カテキン類)、フェ
ルラ酸、アスコルビン酸、セレニウム化合物が使用され
る。また抗酸化性を有する抗菌剤としてはテトラサイク
リンが最も好ましいが、この他にはミノサイクリン、ド
キシサイクリン等のテトラサイクリン系物質が使用され
る。塩基性多糖類としてはキトサンが使用される。
【0015】本発明使用材料は必ずしも医薬品である必
要はなく、例えば抗酸化性食品、塩基性多糖食品であっ
ても有効である。抗酸化性食品としてはウコン、イチョ
ウ、緑茶、霊芝、ルイボス、ソバ、米糠、DHE(ドコ
サヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、
ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB2 、セニウム化合
物あるいはカテキン系化合物含有食品が使用される。ま
た塩基性多糖類としてはカニ・エビ・昆虫殻粉末加工品
あるいは抽出物加工品、キノコ・糸状菌粉末あるいは抽
出物加工品が使用される。潰瘍発生菌については、疾患
部位のpH領域により、繁殖菌の種類は異なるものの、
消化性潰瘍では微好気性細菌が、組織内皮(血管、臓器
内)では酵素耐性菌が、外皮ではブトウ球菌等の一般細
菌群が考えられる。
【0016】これら抗酸化性物質の使用は直接あるいは
間接的効果により潰瘍原因菌の除菌可能性が考えられ、
現在、胃・十二指腸潰瘍原因菌 H.pyloriの他、各種難
治性潰瘍発生菌(微生物)についても研究途上にある。
このため、これらの原因菌に対する抗酸化性のある抗菌
性物質を配合する事により潰瘍症状の各段階において更
に効果的に利用できるものと想定される。なお、再発性
アトピー性皮膚炎、褥瘡、熱傷性潰瘍、凍傷性潰瘍、糖
尿病性潰瘍、帯状疱疹性予後不良潰瘍、放射線潰瘍、薬
物アレルギー潰瘍、免疫不全疾患性潰瘍、術後性潰瘍あ
るいは外皮並びに内皮性潰瘍、胃炎(慢性胃炎等)につ
いてもH.pylori以外の原因菌(微生物)の特定について
試験調査中にある。
【0017】本発明による化合物あるいは機能性食品を
投与するに際しては、対象疾患者の疾患状況、部位、年
齢、性別、体重等を考慮して、さらには病巣部位の原因
微生物を特定する事により、投薬種、組成、投薬量は決
定されるが、本発明者により考案された必要使用量を表
1,表2に示す。なお、長期間使用のための組成剤を使
用する場合は、一般的には低分子キトサン50〜95重量%
に対してクエレセチン10〜40重量%、抗菌性物質5〜30
重量%が使用される(抗菌性物質については全身作用効
果を目的としているわけではないので、その副作用を考
慮した場合、胃腸管内の局所的使用量が好ましい)。
【0018】
【表1】 抗潰瘍物質 成人1日推定使用量 抗酸化剤 クエルセチン 100 〜500mg タンニン酸 100 〜500mg フェルラ酸 200 〜500mg アスコルビン酸 1000 〜2000mg 塩基性多糖類 低分子キトサン 500 〜2000mg 抗菌性物質 塩酸テトラサイクリン 10 〜300mg ミノサイクリンシン 10 〜300mg ドキシサイクリン 10 〜300mg
【0019】
【表2】抗潰瘍食品 抗酸化性食品 ウコン 1〜5g DHE(ドコサヘキサエン酸) 1〜5g EPA(エイコサペンタエン酸)1〜5g イチョウエキス 1〜10g 緑茶 1〜10g 霊芝末 1〜10g ルイボス末 1〜10g ソバ粉 1〜10g 米糠粉 1〜10g ビタミンE 1〜2g ビタミンC 1〜2g ビタミンB2 1〜2g 塩基性多糖類系加工食品 カニ粉加工品 1〜5g エビ粉加工品 1〜5g ぼう虫加工品 1〜2g ハンミョウ加工品 1〜2g
【0020】
【発明の実施の形態】次に製造例、薬効薬理試験例に関
連して本発明を更に詳細に説明する。 参考製造例(キトサンの精製)カニ、エビ等の甲殻を希
塩酸並びにアルカリ溶液で処理し、炭酸カルシウム、除
蛋白操作によりキチンを製造した。得たるキチンを40〜
45%水酸化ナトリウム溶液中で80〜120 ゜Cで5時間加
熱し、キチンのNー脱アセチル化を行い低分子キトサン
(0.5%溶液の粘度:5.2cp,分子量:20,000〜50,000.脱
アセチル化度:90.2%) を精製する。なお、本発明実施
例では市販の精製率90%キトサン製剤を使用した(商標
名::キトイチ:有限会社ケンネット発売、君津化学工
業株式会社製造)。
【0021】製剤例1(経口製剤〜配合錠剤) クエルセチン 20 低分子キトサン 100 塩酸テトラサイクリン 10 ステアリン酸マグネシウム 1.8 ヒドロキシプロピルセルロース 2.5乳 糖 適 量 全 量 300.0mg 錠剤 (成人 1回 3錠 1日 3回 服用処方製剤)
【0022】製剤例2(経口製剤〜単一錠剤) クエルセチン 200 ステアリン酸マグネシウム 1.8 ヒドロキシプロピルセルロース 2.5乳 糖 適 量 全 量 250.0mg
【0023】製剤例3(経口製剤〜単一散剤) 低分子キトサン 1000mg (成人 1回 500mg〜2000mgを1日量とする)
【0024】製剤例4(経口製剤〜単一錠剤) 塩酸テトラサイクリン 100 ステアリン酸マグネシウム 1.8 ヒドロキシプロピルセルロース 2.5乳 糖 適 量 全 量 250.0mg
【0025】製剤例5(外用剤〜軟膏剤) 以下処方で
外用剤を調製した。 低分子キトサン 200mg クエン酸 200mg クエルセチン 20mg 塩酸テトラサイクリン 20mg 白色ワセリン 80g 流動パラフィン 10g
【0026】製剤例6(外用剤〜軟膏剤) 以下処方で
外用剤を調製した。 低分子キトサン 200mg クエン酸 200mg クエルセチン 20mg 塩酸テトラサイクリン 20mg 白色ワセリン 80g 流動パラフィン 10g
【0027】製剤例7(坐薬) 以下処方で坐剤を調製
した。 低分子キトサン 50mg クエルセチン 10mg ミノサイクリン 10mg カカオ脂 500mg
【0028】薬効薬理試験 1)エタノール胃粘膜障害と損傷部粘膜中のthiobarbit
uric acid(TBA)反応物質量に対する効果 実験方法 体重約200gのS.D系雄性ラットを実験前24時間絶食
し、クエルセチンは1%アラビアゴムに懸濁し、またテ
トラサイクリン(塩酸テトラサイクリン)は精製水に溶
解し、1ml/100g 体重の容量で経口投与した。被験薬液
投与の1時間後に塩酸・エタノール(60%エタノールに
150mM 塩酸)を1ml/100g 体重の容量で経口投与し、そ
の1時間後にエーテル麻酔下において胃を摘出した。
【0029】次に胃を大湾に沿って切開し、胃内容物を
洗浄後ミクロメーター付き実体顕微鏡での観察下に腺胃
部に発生した損傷の長さ (mm) と幅 (mm) を測定し、そ
の積を損傷面積とした。そして、一匹あたりの損傷面積
の総和を損傷指数とした。また、低分子キトサン(0.5%
溶液の粘度:5.2cp,分子量:20,000〜50,000.脱アセチ
ル化度:90.2%) [君津化学工業株式会社]、高分子キ
トサン(0.5%溶液の粘度:315cp,分子量:500,000 〜1,
000,000 .脱アセチル化度:82.0%) [君津化学工業株
式会社]およびキチン(粘度:40メッシュパス)[君津
化学工業株式会社]をそれぞれ1%アラビアゴムに懸濁
し、ラットに経口投与し、その2時間後に塩酸・エタノ
ールの代わりに無水エタノールを投与し、1時間後に上
述のように損傷面積を測定し、損傷指数を算出した。ま
た、クエルセチンとテトラサイクリンについては損傷面
積を計測後、直ちに胃体部粘膜をミクロスパーテルで採
取し、Ohkawaらの方法に従い、過酸化脂質量の指標とし
て粘膜中のTBA 反応物質量を測定した。
【0030】結 果 クエルセチン:結果は図1〜2に示したように、クエル
セチンは50および100mg/kgの経口投与により、塩酸ーエ
タノール胃粘膜損傷の発生を対照と比較して、それぞれ
42%及び73%抑制した(図1)。また、対照ラットの損
傷粘膜中のTBA反応物質量は、正常ラットと比較し
て、2.8 倍高値を示した(正常粘膜: 4.2±0.3nmol/mg
protein、損傷粘膜:11.7±1.7nmol/mg protein)(図
2)。クエルセチンは50および100mg/kgの経口投与によ
り、TBA反応物質量を対照と比較して、それぞれ42お
よび50%減少させた(図2)。
【0031】テトラサイクリン:結果は図3〜4に示し
たように、テトラサイクリンは10および20mg/kg の経口
投与により、塩酸ーエタノール胃粘膜損傷をそれぞれ54
%及び75%抑制し(図3)、損傷粘膜中のTBA反応物
質をそれぞれ30%および48%減少させた(図4)。
【0032】低分子キトサン、高分子キトサンおよびキ
チン:低分子キトサン、高分子キトサンおよびキチンの
粘膜防御作用を明らかにするため、壊死性物質として無
水エタノールを使用した。低分子キトサンは 250、500
および 1,000mg/kg の経口投与により、無水エタノール
による胃粘膜損傷を対照と比較して、それぞれ87%、95
%および99%抑制した(図5)。一方、高分子キトサン
は 250及び500mg/kgの経口投与により、それぞれ64%お
よび83%、またキチンは同じく250 および500mg/kgの経
口投与で、それぞれ51%および70%胃粘膜損傷を抑制し
た(図5)。
【0033】2)酢酸胃潰瘍の治癒と潰瘍部辺縁粘膜中
のTBA反応物質量に対する効果 実験方法 体重約230gのS.D.系雄性ラットを使用し、飼料摂取
時間を潰瘍惹起の3日前から実験期間を通して毎日午前
9:00〜10:00 および午後5:00〜6:00 の2時間に制限し
た。酢酸胃潰瘍をTakagiらの方法に従って、20%酢酸溶
液を0.05ml胃体部と幽門部との境界壁に漿膜側から注入
することにより惹起させた。
【0034】クエルセチンあるいはテトラサイクリンを
酢酸注入の翌日から毎日、午前10:30 と午後6:30分に2
回、14日目まで経口投与し、15日目に薬物の治癒効果の
指標として潰瘍指数を、また過酸化脂質量の指標として
潰瘍辺縁粘膜中のTBA 反応物質量を測定した。潰瘍指数
測定のため、ラットをエーテル麻酔下に胃を摘出し、ミ
クロメーター付実体顕微鏡下に潰瘍部の長径(mm)と
短径(mm)を測定し、その積(mm2 ) を潰瘍指数と
した。また、潰瘍指数を測定後、直ちに潰瘍領域を囲み
直径8mm の円領域内の粘膜と対称部位の非潰瘍部の粘膜
をミクロスパーテルで採取し、両粘膜中のTBA 反応物質
量を測定した。
【0035】一方、低分子キトサン、高分子キトサンお
よびキチンの場合には、それらを酢酸注入の翌日から毎
日、午前8:00と午後5:00分に2回、14日目まで経口投与
し、15日目に治癒効果をIto らの方法に従い、組織学的
計測法により評価した。すなわち、15日目にラットをエ
ーテル麻酔下に胃を摘出し、10%中性ホルマリン緩衝液
で組織を固定し、上述のように実体顕微鏡下に潰瘍指数
を測定した。さらに組織学的計測法により、潰瘍部欠損
面積、潰瘍底露出減少指数および粘膜再生指数を求め潰
瘍治癒の程度を評価した。
【0036】結 果 クエルセチン:クエルセチンは25および50および 100mg
/kg の用量で酢酸注入の翌日から毎日2回、14日間の経
口投与により対照と比較して、潰瘍指数をそれぞれ31
%、47%および57%減少させた(図6)。一方、対照ラ
ットの潰瘍辺縁粘膜中のTBA反応物質量は対称部位の
非潰瘍粘膜中の量と比較して4.2倍高値を示した(非潰
瘍部: 2.2±0.3nmol/mg protein、潰瘍部:9.2 ±0.6n
mol/mg protein)(図7)。クエルセチンは25、50およ
び100mg/kgの毎日2回の経口投与により対照と比較して
潰瘍辺縁粘膜中のTBA反応物質量を47%、48%および
68%減少させた(図7)。
【0037】テトラサイクリン:テトラサイクリンは
5、10および20mg/kg の用量で毎日、2回の経口投与に
より、潰瘍指数をそれぞれ39%、47%および58%減少さ
せ(図8)、また潰瘍辺縁粘膜中のTBA反応物質量を
それぞれ35%、41%および54%減少させた(図9)。
【0038】低分子キトサン、高分子キトサンおよびキ
チン:低分子キトサンは 100,200および400 mg/kg の用
量で毎日、2回の経口投与により、潰瘍指数をそれぞれ
21%、49%および60%(図10)、潰瘍部欠損面積をそれ
ぞれ36%、46%および69%減少させた(図11)。また、
低分子キトサンは100,200 および 400mg/kg× 2/日の
投与により潰瘍底露出減少指数を27%、52%および68%
(図12)、粘膜再生指数をそれぞれ19%、42%および91
%増加させた(図13)。しかし、100mg/kg× 2/日の用
量では潰瘍指数および粘膜再生指数に対して有意な作用
を示さなかった。
【0039】一方、高分子キトサンは400mg/kgの毎日2
回の経口投与により、潰瘍指数および潰瘍部欠損面積を
それぞれ23%および34%減少させた。また、キチンも40
0mg/kg× 2/日の経口投与により、潰瘍部欠損面積を38
%減少させ、粘膜再生指数を47%増加させた(図11およ
び図13)。しかし、高分子キトサンの潰瘍底露出減少指
数と粘膜再生指数に対する作用およびキチンの潰瘍指数
および潰瘍底露出減少指数に対する作用は対照との間に
有意差はみられなかった。
【0040】使用試験:再発性胃潰瘍経験(H.pylori潰
瘍)のあるボランテア1名、再発性胃炎経験のあるボラ
ンテア及び食後そう痒症状のあるボランテア各1名並び
にアトピー症状のあるボランテア1名に協力をあおぎ、
H.pylori潰瘍経験ボランテアに対しては製剤例1のキト
サン組成剤を、他は製剤例3の市販低分子キトサン製剤
を3ケ月間にわたり任意に使用してもらい、使用感をア
ンケート調査した。結果は潰瘍再発、胃炎等の発生もな
く、食後あるいは入浴時のそう痒アレルギー症について
は使用1週目より症状の発生が緩和し、使用1ケ月後に
はそう痒症状なくなったと回答した。
【0041】考 察:以上の薬理試験及び使用経験から
抗酸化作用を有するクエルセチンとテトラサイクリン、
塩基性多糖体の低分子キトサンは強力な胃粘膜保護作用
と潰瘍治癒促進作用を有することが判明した。今回抗潰
瘍作用を試験したクエルセチンはフラボノイド類に属す
る植物成分で抗酸化作用を有することが実証されてい
る。また、テトラサイクリンは広範囲抗菌スペクトルを
有する抗生剤でH.pyloriに対しても強い抗菌作用を示
し、さらに抗酸化作用をも合わせ持つことが明らかにさ
れている。
【0042】抗酸化作用を有する抗潰瘍剤として、すで
にレバミピドやポラプレジンク(亜鉛とカルノシンのキ
レート化合物)が臨床的に使用されており、今回クエル
セチンとテトラサイクリンはラットの塩酸・エタノール
胃粘膜損傷の発生を防御し、また酢酸胃潰瘍の治癒促進
作用を示すと同時に、損傷粘膜および潰瘍辺縁粘膜中の
TBA反応物質量、すなわち過酸化脂質量の増加を抑制
した。それ故、クエルセチンとテトラサイクリンの粘膜
保護作用と潰瘍治癒促進作用はこれらの化合物の抗酸化
作用によるように思われる。
【0043】また、キトサンは上述のようにカニ殻等の
キチン(アセチルグルコサミンが5,000 以上結合した天
然の高分子化合物)に40〜45%NaOHを加え、80〜120 ゜
Cで処理することによりキチンのアミノ基に結合したア
セチル基がはずれた塩基性多糖体である。キトサンには
すでに血圧低下作用、血中コレステロール低下作用、免
疫賦活作用、抗菌作用などが報告され、機能性食品等と
して発売されている。キトサンの抗菌作用、血圧低下作
用および脱コレステロール作用にはアミノ基が関係して
おり、一般的には分子量 500,000〜1,000,000 の高分子
キトサンが使用されている。
【0044】今回、脱アセチル化度90.2%で分子量20,0
00〜50,000の低分子キトサンの胃粘膜保護および胃潰瘍
治癒効果を脱アセチル化度82.0%で、分子量 500,000〜
1,000,000 の高分子キトサンおよびキチンの効果と比較
検討した。その結果、無水エタノールに対するラットの
粘膜保護作用は低分子キトサンが最も強く、次いで高分
子キトサン、キチンの順であった。対照ラットでは無水
エタノールの胃内投与により、胃体部に強い線状の出血
性びらんを生じたが、特に低分子キトサンを500mg/kg以
上投与したラットではほとんど完全に出血性びらんが抑
制された。
【0045】今回さらに低分子キトサン(100-400mg/kg
×2/日)のラット酢酸胃潰瘍の治癒作用を組織学的計測
法により、より詳細に検討した。その結果、潰瘍指数
(潰瘍の大きさ)、潰瘍部欠損面積(潰瘍の深さ)を用
量依存的に減少させ、潰瘍底露出減少指数や粘膜再生指
数を用量依存的に増加させ、著しい胃潰瘍治癒作用を示
した。しかし高分子キトサンおよびキチン(400mg/kg×
2/日)の治癒効果は低分子キトサンに比べてはるかに弱
かった。キトサン、キチンの抗潰瘍作用機序に関しては
今後の研究を待たねばならないが、キトサンはアミノ基
を有しているため、キトサンの胃粘膜保護作用は少なく
とも一部分、胃内で酸に溶解したキトサンが粘膜に親和
性を持ち、粘膜表面を被覆保護する局所作用に起因して
いるように思われる。
【0046】しかし、高分子キトサンおよびキチンと比
較して、低分子キトサンの著しい胃潰瘍治癒促進作用は
主として本化合物の吸収作用が示唆される。キチンやキ
トサンの消化吸収についてはまだ報告がなく、明らかに
されていないが、腸内細菌の産生するキチナーゼやキト
サナーゼという酵素により、低分子化され吸収されると
考えられている。それ故、低分子キトサンは高分子キト
サンやキチンに比較して酵素的消化を受けやすく、吸収
率が高いと考えられる。
【0047】H.pyloriの除菌により難治性潰瘍が治癒
し、潰瘍の再発をかなり低下させることは可能である
が、本菌を完全に除菌する方法はまだ確立されていな
い。プロトンポンプ阻害剤や抗生剤はin vitroではかな
り強力な抗菌作用を示すがin vivo での効果はかなり弱
い。これは本菌の生息部位が、粘液下層であり、その部
位への薬剤の移行が悪いことが考えられる。キトサンの
H.pyloriに対する効果はまだ明らかではないが、本発明
者の親近者が服用した経験によれば優れた抗潰瘍効果が
あり、H.pyloriに対する効果が期待される。
【0048】さらに、慢性潰瘍の活動期や難治性潰瘍で
は潰瘍辺縁粘膜での過酸化脂質量が増加していることか
ら、キトサンにクエルセチンやテトラサイクリンを併用
することは抗潰瘍作用やH.pylori除菌作用の相乗効果が
期待される。
【0049】なお、抗酸化性物質としてクエルセチンの
他にグルタチオン、タンニン類(カテキン)、フェルラ
酸を、また抗酸化性抗菌物質としてテトラサイクリンの
他にミノサイクリン、ドキシサイクリンをもちいた試験
についても行ったがクエルセチン、テトラサイクリンと
ほぼ同等の効果が認められた。
【発明の効果】難治性の潰瘍、胃炎及び皮膚炎が病原性
微生物を一因とする発見に伴い、間接あるいは直接的な
原因微生物の抑制物質を検討選択し、これを機能別に分
類、さらにこれらを組合わせる事により、難治性潰瘍、
胃炎及び皮膚炎の治療・予防用材料(薬剤、食品等)を
提供するものである。本発明による治療・予防用材料は
他の目的で古くから使用されているものが多く、安全性
が高い点において優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩酸・エタノール胃粘膜障害に対するクエルセ
チンの効果を示す。
【図2】塩酸・エタノール胃粘膜障害部位の過酸化脂質
量に対するクエルセチンの効果を示す。
【図3】塩酸・エタノール胃粘膜障害に対するテトラサ
イクリンの効果を示す。
【図4】塩酸・エタノール胃粘膜障害部位の過酸化脂質
量に対するテトラサイクリンの効果を示す。
【図5】エタノール胃粘膜障害に対する低分子キトサ
ン、高分子キトサンおよびキチンの効果を示す。
【図6】酢酸胃潰瘍治癒に対するクエルセチンの効果を
示す。
【図7】酢酸胃潰瘍の辺縁粘膜過酸化脂質量に対するク
エルセチンの効果を示す。
【図8】酢酸胃潰瘍治癒に対するテトラサイクリンの効
果を示す。
【図9】酢酸胃潰瘍の辺縁粘膜過酸化脂質量に対するテ
トラサイクリンの効果を示す。
【図10】酢酸胃潰瘍治癒(潰瘍指数)に対する低分子
キトサン、高分子キトサンおよびキチンの効果を示す。
【図11】酢酸胃潰瘍治癒(潰瘍部欠損面積)に対する
低分子キトサン、高分子キトサンおよびキチンの効果を
示す。
【図12】酢酸胃潰瘍治癒(潰瘍底露出減少指数)に対
する低分子キトサン、高分子キトサンおよびキチンの効
果を示す。
【図13】酢酸胃潰瘍治癒(粘膜再生指数)に対する低
分子キトサン、高分子キトサンおよびキチンの効果を示
す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正内容】
【図5】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/19 ADA A61K 31/19 ADA 31/35 ACJ 31/35 ACJ 31/65 ADZ 31/65 ADZ 31/73 31/73 38/00 ACL 37/02 ACL //(A61K 31/35 31:65 31:725)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗酸化性天然物あるいは合成化合物と、
    抗酸化性抗菌性物質、塩基性多糖類の、単独あるい
    はこれら物質の組成形態からなる、潰瘍、胃炎及び皮膚
    炎の治療乃至予防剤
  2. 【請求項2】抗酸化性物質がクエルセチン、グルタチ
    オン、タンニン類(カテキン)、フェルラ酸から選択さ
    れ、 抗酸化性を有する抗菌性物質がアントラサイクリン系
    物質でありテトラサイクリン、ミノサイクリン、ドキシ
    サイクリンから選択され、 塩基性多糖類がキトサンから選択される事を特徴とし
    た請求項1記載の潰瘍、胃炎及び皮膚炎の治療乃至予防
  3. 【請求項3】抗酸化性物質クエルセチンを主成分とする
    潰瘍、胃炎及び皮膚炎の治療乃至予防剤
  4. 【請求項4】抗酸化性抗菌物質テトラサイクリンを主成
    分とする潰瘍、胃炎及び皮膚炎の治療乃至予防剤
  5. 【請求項5】塩基性多糖体キトサンを主成分とする潰
    瘍、胃炎及び皮膚炎の治療乃至予防剤
  6. 【請求項6】潰瘍原因菌の除菌効果を目的とした請求項
    1〜5記載の治療乃至予防用薬剤
  7. 【請求項7】潰瘍がヘリコバクター・ピロリ原因性胃潰
    瘍、十二指腸潰瘍である事を特徴とした請求項1〜6記
    載の治療乃至予防用薬剤
  8. 【請求項8】潰瘍が褥瘡、熱傷性潰瘍、凍傷性潰瘍、糖
    尿病性潰瘍、帯状疱疹性予後不良潰瘍、放射線潰瘍、薬
    物アレルギー潰瘍、免疫不全疾患性潰瘍、術後性潰瘍あ
    るいは外皮並びに内皮性潰瘍であり、胃炎が慢性胃炎で
    あり、皮膚炎がアトピー性皮膚炎である事を特徴とした
    請求項1〜7記載の治療乃至予防用薬剤
  9. 【請求項9】抗酸化性食品、塩基性多糖食品あるいはこ
    れらの組合わせよりなる潰瘍、胃炎及び皮膚炎の治療乃
    至予防用機能性食品
  10. 【請求項10】抗酸化性食品がウコン、イチョウ、緑
    茶、霊芝、ルイボス、ソバ、米糠、DHE(ドコサヘキ
    サエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、ビタミ
    ンE、ビタミンC、ビタミンB2 から選択され、 塩基性多糖類がカニ・エビ・昆虫殻を原料加工した塩
    基性多糖類から選択される事を特徴とする請求項9記載
    の潰瘍、胃炎及び皮膚炎の治療乃至予防用機能性食品
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