JPH09309364A - 座面高さ可変の車両用シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】大人向け使用態様と幼児向け使用態様に変更可
能な座面高さ可変の車両用シートを提供する。 【解決手段】シ−トクッション１０ａを、メイン着座部
１１と、メイン着座部１１の左右両側に位置する一対の
サイド部１２を有する構成として、メイン着座部１１を
両サイド部１２に上下方向に反転可能に支持するととも
に、メイン着座部１１の反転支持部２１ｂを両サイド部
１２の中央部より上下方向に偏位して位置させ、反転前
後でメイン着座部１１の高さを変更できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は車両用シートに関
し、特に、着座部の高さを変化させることができる座面
高さ可変の車両用シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】車両用シートは、幼児専用のチャイルド
シートを除き、図１（ａ）に示すように、一般の大人を
基準にして構成されているとともに、シートベルトもか
かるシートを基準にして構成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このため、幼児や小柄
な児童等の子供が車両用シートに着座してシートベルト
を装着した場合には、図１（ａ）に示すように、シート
ベルトが子供の頭部や首部に位置してシートベルトの本
来の機能を発揮し得ないことになる。また、この着座状
態では、子供の目の位置がフロントガラス、ドアガラス
の下端部の程度の高さとなって、子供には外の景色が見
えず不快感を与えることになる。

【０００４】従って、本発明の目的は、着座部の高さを
変化させることができる座面高さ可変の車両用シートを
提供して、幼児や小柄な児童等の子供に対してもシート
ベルトが的確に装着でき、かつ外の景色を見えるように
して不快感を与えることがないようにすることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、シ−トクッシ
ョンと、同シ−トクッションの後部にて起立状態に位置
するシ−トバックを備えた座面高さ可変の車両用シート
であり、前記シ−トクッションを、メイン着座部と、同
メイン着座部の左右両側に位置する一対のサイド部とを
有する構成として、前記メイン着座部を前記両サイド部
に上下方向に反転可能に支持するとともに、前記メイン
着座部の反転支持部を前記両サイド部の中央部より上下
方向に偏位して位置させたことを特徴とするものであ
る。

【０００６】また、本発明は当該座面高さ可変の車両用
シートにおいて、前記シ−トクッションを、前記メイン
着座部と、前記両サイド部と、前記メイン着座部の前側
に位置するサブ着座部とにより構成し、同サブ着座部を
前記メイン着座部に対して前後方向へ移動可能に組付け
るとともに、同メイン着座部を前記両サイド部に対して
前後方向へ移動可能に組付けたことを特徴とするもので
ある。

【０００７】また、本発明は当該座面高さ可変の車両用
シートにおいて、前記メイン着座部と前記サブ着座部間
に同サブ着座部の前方への移動を解除可能に規制するロ
ック手段を設けるとともに、前記両サイド部と前記メイ
ン着座部間に同メイン着座部の前方への移動を解除可能
に規制するロック手段を設けたことを特徴とするもので
ある。

【０００８】

【発明の作用・効果】このように構成した座面高さ可変
の車両用シートにおいては、メイン着座部を反転させな
い通常の状態では一般の大人を基準とした大人向け使用
態様の構成であって、大人が着座するのに何等の不都合
もなく、またメイン着座部を反転させるとメイン着座部
が高くなって幼児向け使用態様となって、幼児や小柄な
児童等の子供にあったものとなる。

【０００９】従って、当該車両用シートを、メイン着座
部を反転させて着座部の高さを高くして幼児向け使用態
様に変更することにより、幼児や小柄な児童等の子供に
対してもシートベルトが的確に装着でき、かつ外の景色
を見えるようにして不快感を与えないようにすることが
できる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて説
明するに、図１には本発明の係る座面高さ可変の車両用
シートが示されている。当該車両用シートは、同図
（ａ）に示す着座部が低い大人向け使用態様と、同図
（ｂ）に示す着座部が高い幼児向け使用態様とに変更す
ることができるものである。当該車両用シートは、シ−
トクッション１０ａと、シ−トバック１０ｂと、ヘッド
レスト１０ｃとからなるもので、シ−トクッション１０
ａはメイン着座部１１と、左右一対のサイド部１２と、
サブ着座部１３とにより構成されている。

【００１１】当該車両用シートにおいては、シートクッ
ション１０ａを構成するメイン置着座部１１およびサブ
着座部１３を図２の（ａ）（ｂ），（ｃ），（ｄ）に示
す順序で操作することにより、図１（ａ）に示す大人向
け使用態様を同図（ｂ）に示す幼児向け使用態様に変更
することができ、また両着座部１１，１３をこれとは逆
の順序で操作することにより、図１（ｂ）に示す幼児向
け使用態様を同図（ａ）に示す大人向け使用態様に変更
することができる。

【００１２】しかして、当該車両用シートにおいては、
シ−トクッション１０ａを構成するメイン着座部１１、
各サイド部１２、およびサブ着座部１３は互いに別体に
形成されているもので、各サイド部１２はメイン着座部
１１に対して図３および図４に示すスライド機構２１を
介して組付けられている。

【００１３】スライド機構２１はスライドブラケット２
１ａとスライドヒンジピン２１ｂとからなるもので、ス
ライドブラケット２１ａは横長の略Ｌ字状を呈する板状
のもので、メイン部に類似形状のガイド溝を備えてい
る。ガイド溝は、前後に延びる長尺の第１溝部２１ａ1
と、第１溝部２１ａ1の後端から下方へわずかに延びる
短尺の第２溝部２１ａ2にて構成されている。スライド
ブラケット２１ａは、その後部下端にて段付ボルト２１
ｃを介してサイド部１２を構成するサイドフレーム１２
ａに回転可能に支持されている。また、スライドヒンジ
ピン２１ｂは、ガイド溝を通してメイン着座部１１を構
成するメインフレーム１１ａに組付けられていて、スラ
イドブラケット２１ａをメイン着座部１１に対して回転
可能に支持している。

【００１４】当該車両用シートにおいて、各サイド部１
２は車体フロアに対して、シートトラック２２を介して
前後方向へ移動可能に支持されており、各サイド部１２
に対してメイン着座部１１は、スライドヒンジピン２１
ｂがスライドブラケット２１ａの第１溝部２１ａ1を移
動する分だけ前後方向へ移動可能であるとともに、スラ
イドヒンジピン２１ｂを中心に上下方向へ回転可能であ
る。図３は、メイン着座部１１が後部に後退している通
常の状態を示しており、メイン着座部１１が後部に位置
している場合には、スライドヒンジピン２１ｂはガイド
溝における第２溝部２１ａ2の下端部に位置して、メイ
ン着座部１１を各サイド部１２に前後方向への移動を規
制した状態で支持している。また、この支持状態におい
ては、メイン着座部１１の後端部がシ−トバック１０ｂ
の下端部と車体フロア間に位置し、メイン着座部１１の
上下方向への回転を規制している。

【００１５】シ−トクッション１０ａを構成するサブ着
座部１３は、図５および図６に示すように、左右の各シ
ートトラック２２の先端部に設けたサブシートトラック
２３に組付けられていて、シートトラック２２に対して
前後方向へ移動可能に支持されて、メイン着座部１１お
よび両サイド部１２の前側に位置している。サブ着座部
１３は、メイン着座部１１および両サイド部１２に対し
て前後方向へ移動可能であり、メイン着座部１１とサブ
着座部１３の前後各面との間にロック機構２４が配設さ
れている。

【００１６】ロック機構２４は、フック２４ａ、ストラ
イカ２４ｂ1，２４ｂ2、操作ワイヤ２４ｃ、および解除
レバー２４ｄを有するもので、フック２４ａはサブ着座
部１３を構成するフロントフレーム１３ａの後方上端部
に、バネ付勢された状態で上下方向へ回動可能に組付け
られている。解除レバー２４ｄは、フロントフレーム１
３ａの前部に上下方向へ回動可能に組付けられて前方へ
突出しており、操作ワイヤ２４ｃは解除レバー２４ｄと
フック２４ａを連結している。一方、ストライカ２４ｂ
1，２４ｂ2はメイン着座部１１を構成するメインフレー
ムの前後にそれぞれ組付けられていて、サブ着座部１３
に組付けたフック２４ａに対向する位置にある。

【００１７】これにより、ロック機構２４はサブ着座部
１３が後退位置にある場合には、フック２４ａは図５
（ａ）に示すように前側のストライカ２４ｂ1に、また
メイン着座部１１が反転している状態では後側のストラ
イカ２４ｂ2に弾撥的に掛止して、サブ着座部１３をメ
イン着座部１１にロックしており、解除レバー２４ｄを
回動操作すると、フック２４ａがバネ力に抗して上方へ
回動してストライカ２４ｂ1，２４ｂ2から離脱し、メイ
ン着座部１１に対するサブ着座部１３のロックが解除さ
れる。この状態において、サブ着座部１３はシートトラ
ック２２上を前方へ所定量移動可能であり、図５（ｂ）
に示すように前方へ移動させることができる。

【００１８】このように構成した車両用シートにおいて
は、通常の状態では、図１（ａ）に示すようにメイン着
座部１１が低い大人向け使用態様であり、この大人向け
使用態様を同図（ｂ）に示すメイン着座部１１が高い幼
児向け使用態様に変更するには、先づロック機構２４の
解除レバー２４ｄを回動操作してメイン着座部１１に対
するサブ着座部１３のロックを解除し、サブ着座部１３
を図２（ａ）に示すように所定量前方へ移動させる。

【００１９】次いで、メイン着座部１１をわずかに持ち
上げて、スライド機構２１のスライドヒンジピン２１ｂ
をスライドブラケット２１ａのガイド溝における第２溝
部２１ａ2の上端に位置させ、その後メイン着座部１１
を図２（ｂ）に示すように前方へ移動させつつ上方へ回
動させて、同図（ｃ）に示すように反転させる。

【００２０】図７には、メイン着座部１１が反転途中の
状態が示されており、メイン着座部１１を２点鎖線の状
態から前方へ最大限引出すと、メイン着座部１１側に設
けたスライドヒンジピン２１ｂはガイド溝における第１
溝部２１ａ1の先端に移行し、メイン着座部１１を上方
へ回動させれば、メイン着座部１１はスライドヒンジピ
ン２１ｂを中心に上方へ回動して図２（ｃ）に示す状態
に反転する。

【００２１】メイン着座部１１を反転した後に後方へ移
動させれば、反転した状態のメイン着座部１１は、その
後端部がシートバック１０ｂの下端部と車体フロア間に
位置して上下方向への回動を規制され、図７の１点鎖線
および図２（ｄ）に示すように、一段と高い着座可能な
状態となる。その後、サブ着座部１３を後方へ移動させ
れば、ロック機構２４のフック２４ａがメイン着座部１
１の後側に設けたストライカ２４ｂ2に弾撥的に掛止さ
れる。

【００２２】これにより、サブ着座部１３はメイン着座
部１１にロックされ、当該車両用シートは、図１（ｂ）
に示すように、メイン着座部１１が一段と高い幼児向け
使用態様の状態に変更される。車両用シートが幼児向け
使用態様に変更された場合においても、スライド機構２
１を構成するスライドヒンジピン２１ｂは、ガイド溝の
第２溝部２１ａ2に位置していて、メイン着座部１１の
前方への移動を規制している。

【００２３】なお、図１（ｂ）に示す幼児向け使用態様
の車両用シートは、図２（ｄ）〜（ａ）の順序で上記し
た操作とは逆の操作を行うことにより、図１（ａ）に示
すように、メイン着座部１１が一段と低い大人向け使用
態様に変更される。

【００２４】このように、当該車両用シートにおいて
は、メイン着座部１１を反転させない通常の状態では、
図１（ａ）に示す一般の大人を基準とした大人向け使用
態様の構成であって、大人が着座するのに何等の不都合
もなく、またメイン着座部１１を反転させるとメイン着
座部が高くなって、同図（ｂ）に示す幼児や小柄な児童
等の子供にあった幼児向け使用態様に変更することがで
きる。

【００２５】従って、当該車両用シートにあっては、メ
イン着座部１１を反転させて使用することにより、メイ
ン着座部１１の高さを高くして幼児向け使用態様とし
て、幼児や小柄な児童等の子供に対してもシートベルト
が的確に装着でき、かつ外の景色を見えるようにして不
快感を与えないようにすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一例に係る車両用シートにおける大人
向け使用態様の斜視図（ａ）、および幼児向け使用態様
の斜視図（ｂ）である。

【図２】同車両用シートを大人向け使用態様から幼児向
け使用態様へ変更するための操作順序を示す斜視図
（ａ），（ｂ），（ｃ），（ｄ）である。

【図３】同車両用シートを構成するメイン着座部とサブ
着座部の関係を示す側面図である。

【図４】同車両用シートにおける図３の矢印４−４線で
縦断した部分正面図（ａ）、およびその拡大図（ｂ）で
ある。

【図５】同車両用シートにおけるロック機構の配設部位
を示すサブ着座部がロック状態にある縦断側面図
（ａ）、およびサブ着座部が前方へ移動した状態の縦断
面図（ｂ）である。

【図６】同車両用シートを構成するサブ着座部における
図５の矢印６−６線で縦断した正面図である。

【図７】同車両用シートにおけるメイン着座部の反転途
中の状態を示す側面図である。

【符号の説明】

１０ａ…シートクッション、１０ｂ…シートバック、１
０ｃ…ヘッドレスト、１１…メイン着座部、１２…サイ
ド部、１３…サブ着座部、２１…スライド機構、２１ａ
…スライドブラケット、２１ａ1，２１ａ2…溝部、２１
ｂ…スライドヒンジピン、２２，２３…シートトラッ
ク、２４…ロック機構、２４ａ…フック、２４ｂ1，２
４ｂ2…ストライカ、２４ｄ…解除レバー。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】シ−トクッションと、同シ−トクッション
   の後部にて起立状態に位置するシ−トバックを備えた座
   面高さ可変の車両用シートであり、前記シ−トクッショ
   ンを、メイン着座部と、同メイン着座部の左右両側に位
   置する一対のサイド部とを有する構成として、前記メイ
   ン着座部を前記両サイド部に上下方向に反転可能に支持
   するとともに、前記メイン着座部の反転支持部を前記両
   サイド部の中央部より上下方向に偏位して位置させたこ
   とを特徴とする座面高さ可変の車両用シート。
2. 【請求項２】請求項１に記載の座面高さ可変の車両用シ
   ートにおいて、前記シ−トクッションを、前記メイン着
   座部と、前記両サイド部と、前記メイン着座部の前側に
   位置するサブ着座部とにより構成し、同サブ着座部を前
   記メイン着座部に対して前後方向へ移動可能に組付ける
   とともに、同メイン着座部を前記両サイド部に対して前
   後方向へ移動可能に組付けたことを特徴とする座面高さ
   可変の車両用シート。
3. 【請求項３】請求項２に記載の座面高さ可変の車両用シ
   ートにおいて、前記メイン着座部と前記サブ着座部間に
   同サブ着座部の前方への移動を解除可能に規制するロッ
   ク手段を設けるとともに、前記両サイド部と前記メイン
   着座部間に同メイン着座部の前方への移動を解除可能に
   規制するロック手段を設けたことを特徴とする座面高さ
   可変の車両用シート。