JPH09308432A - 複合菓子パン及びその製造方法 - Google Patents
複合菓子パン及びその製造方法Info
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- JPH09308432A JPH09308432A JP8150275A JP15027596A JPH09308432A JP H09308432 A JPH09308432 A JP H09308432A JP 8150275 A JP8150275 A JP 8150275A JP 15027596 A JP15027596 A JP 15027596A JP H09308432 A JPH09308432 A JP H09308432A
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Abstract
ームがアップされ、かつ、食感が今までにない斬新なも
のであり、しかも、外観においても今までにない特異な
形態をし、さらに、製造中の生地の取り扱いが容易な複
合的な菓子パン及びその製造方法を提供する。 【解決手段】薄く伸ばされたパイ生地(2)上に菓子パ
ン生地(1)を載せ、次いで、パイ生地(2)の各隅部
を内側に向かって折り曲げ、合わせ目をつまんで止める
ことにより菓子パン生地(1)を全体的に覆うように包
み込み、その合わせ目が下向きとなるように逆さに展板
(B)上に並べホイロをとり、その後、焼成することに
より表皮(7)に裂け目(8)が生じた複合菓子パン
(A)とする。
Description
びその製造方法に係り、詳しくは、菓子パン生地とパイ
生地とを組み合わせることにより、菓子パン生地自体の
ボリュームをアップさせるとともに、今までにない外観
及び風味、食感を有してなる新規な複合菓子パン及びそ
の製造方法に関するものである。
ム、ジャム、カレー等の詰物を挿入してなるものや、パ
ンの上部や側部に切れ目や窪みを設けてその切れ目や窪
み内にクリームやジャム等を挿入してなるもの、または
パンの表面にチョコレートやナッツ、ドライフルーツ等
の種々のトッピングを施してなるものがあり、さらに、
菓子パンに対する要求が多様化している今日において
は、菓子パン自体を単に菓子パン生地だけから構成して
なるものに限らず、例えば、特開昭62−22539号
公報や特開昭62−87040号公報に記載されたよう
な、菓子パン生地と該菓子パン生地とは異なったベイカ
リイ生地であるデニッシュペストリー生地とを組み合わ
せることにより、複合的な菓子パンとしてなるものがあ
る。
22539号公報に記載されてなるものは、柔らかいパ
ンを得ることを目的とし、そのために菓子パン生地等か
らなる内芯生地を油脂と生地の積層構造を有するデニッ
シュペストリー生地からなる外周部生地により全体的に
包み込んで、焼成後はもちろん経日的にも内芯部のパン
内部の水分蒸発を抑えて水分含有率を高くすることによ
り上記目的を達成してなるものであり、本願発明が意図
するところのように菓子パン生地自体のボリュームをア
ップさせてなるものではなく、また、外観についても従
来のものと何ら変わりないものである。
る内芯生地としての菓子パン生地も外周部生地としての
デニッシュペストリー生地もともに、醗酵により膨張す
ることとなるイーストを含有してなるものであり、これ
ら生地を上述のように包み込むように組み合わせると、
ホイロ及び焼成の際におけるそれぞれの生地の自由な膨
張が互いに阻害し合ってしまうこととなり、ともに充分
な膨張が達成されないこととなってしまう。別言すれ
ば、配合される原材料からもたらされるベイカリイ生地
としての性質の相違から、ホイロ及び焼成における膨張
の具合(膨張する条件、大きさや速度)がそれぞれ異な
るため、両生地が互いに緩衝し合うことなくともに同調
して膨張することは困難であり、互いの生地の膨張力や
伸びの強弱によって一方の生地の膨張が他方の生地の膨
張を抑制してしまうのである。従って、上記発明におい
ては、内芯生地である菓子パン生地の充分な膨張が得ら
れずボリュームをアップすることは出来ない。
載されてなるものも、上記特開昭62−22539号公
報に記載されてなるものと同様に、ソフトな食感を著し
く向上させ、かつ、ボリュームのあるパンを得ることを
目的とし、そのために菓子パン生地をイーストを有する
デニッシュペストリー生地にて被包した後、常法の発酵
及び焼成を行うことにより、デニッシュペストリー生地
が本来の性質により外周で充分に延びてしかも気泡を逃
がさずその膨らみを一層増し、膨らんだ菓子パン生地か
らの水分の逸出を予防し、水分減少による経時的老化を
激減させることにより、上記目的を達成してなるもので
あり、やはり本願発明のように菓子パン生地自体のボリ
ュームをアップさせてなるものではない。
あるパンとは、外周部生地であるデニッシュペストリー
生地を膨張させることにより組み合わされた複合的な菓
子パン全体のボリュームアップを達成してなるものであ
り、本願発明が意図するところのように、菓子パン生地
自体のボリュームをアップさせることにより複合的な菓
子パン全体のボリュームアップを達成させてなるもので
はない。このように上記発明において、内包される菓子
パン生地が充分な膨張を達成しボリュームをアップする
ものではないことは、上記特開昭62−22539号に
おける膨張についての説明からも理解されるものであ
る。
いという互いに似たような食感を有するベイカリイ生地
同志を互いに組み合わせるようにしてなるものであるた
め、異なったベイカリイ生地を用いているにも関わらず
全体的な食感において変化が乏しく面白さに欠け、しか
も、外観的に従来のデニッシュペストリーと何ら変わら
ない視覚的な変化が得られないものである。
部生地がイーストにより膨張してなるデニッシュペスト
リー生地であるため、ホイロ後に展板を移動させたり、
もしくは、膨張した生地の表面に卵黄を塗布したりする
際のちょっとした衝撃等においても、生地が容易に破
け、ガスが抜けてしまう恐れが多分にあるものであり、
取り扱いがデリケートで慎重な作業を要求される非常に
煩わしいものである。
に比して包み込まれた菓子パン生地自体のボリュームが
アップされ、かつ、食感が今までにない斬新なものであ
り、しかも、外観においても今までにない特異な形態を
し、さらに、製造中の生地の取り扱いが容易な複合的な
菓子パン及びその製造方法を提供すること目的とするも
のであり、以下に記載の発明の完成によりその目的を達
成することが出来たものである。
て膨張してなる菓子パン生地の外周を、それ自体イース
トや化学膨張剤を用いることによって大きく膨張させる
ことはせず、外部から力が作用することによって自由な
伸延が可能なパイ生地で全体的に包み込み、その後、ホ
イロをとって焼成することにより複合菓子パンとしてな
るもの、及び該複合菓子パンを製造してなるものであ
り、これによって、内包された菓子パン生地に対して凝
固を進行させる熱の伝わりを遅らせ、その自然な膨張が
妨げられることなく充分な膨張が達成されるようすると
ともに、該菓子パン生地の表面を保護してその取り扱い
を容易にしてなるものである。
ては小麦粉、好ましくは強力粉のみを用いてなるものと
し、また、該菓子パン生地の表面を薄膜状に覆って全体
的に包み込むパイ生地としては、内包される菓子パン生
地の膨張に伴ってその膨張を妨げないように容易に伸延
し、かつ、厚みも必要以上に増加(膨張)することのな
いようにするために、小麦粉として強力粉に柔らかい生
地となる薄力粉を加えたものとし、かつ、イーストもし
くは化学膨張剤は一切添加しないものとしてなるもので
ある。
は、蛋白含有量が約11%以上であり、麩量が多く、麩
質が強靭な小麦粉のことをいい、また、本願発明におい
て言う薄力粉とは、蛋白含有量が約9%以下であり、麩
量が少なく、麩質が粗弱な小麦粉のことをいうものであ
る。
粉のみを用いて丸く整形してなる菓子パン生地と、小麦
粉として強力粉と薄力粉とを併用するとともに、その小
麦粉全量の30乃至40重量部を薄力粉とし、かつ、イ
ーストおよび化学膨張剤は一切添加せず薄く略矩形状に
伸ばしたパイ生地とをそれぞれ製造し、次いで該パイ生
地により該菓子パン生地を全体的に包み込み、その後ホ
イロをとって焼成することにより製造してなるものであ
り、ふんわりして柔らかい菓子パン生地の外側に、対照
的なサクッとした歯触りと、今までにない斬新なひび割
れ模様の外観を呈してなるパイ生地が全体的に設けられ
た複合菓子パンとしてなるものである。
麦粉として強力粉のみを使用する以外は配合、工程とも
に従来通りで良く、また、パイ生地も、小麦粉として薄
力粉を小麦粉全量の30乃至40重量部を使用し、か
つ、イースト、化学膨張剤を一切添加しない以外は配
合、工程ともに従来通りで良い。
を多くし過ぎると、生地が弱くなりすぎて破けて中のパ
ン生地が露出してしまう恐れがあり、一方、薄力粉量を
少なくし過ぎると、生地が強くなりすぎて伸びが不十分
となり中のパン生地の膨張を抑えて阻害するとともに、
サクサクとした食感が失われて表面のひび割れ模様の特
徴が無くなってしまうこととなるので、パン生地の強さ
とパイ生地の伸びのバランスとを考慮して、上述のよう
に小麦粉全量の30乃至40重量部、好ましくは33〜
37重量部、さらに好ましい量として35重量部前後を
薄力粉とし、残りを強力粉とする。
と該菓子パン生地を包み込む該パイ生地との割合は、菓
子パン生地の膨張とパイ生地の伸延とのバランスを考慮
して、好ましくは重量比1:2乃至2:1の割合で、よ
り好ましくは重量比5:6乃至5:4の割合にすると良
い。また、該パイ生地の厚さは、薄すぎると破けて中の
パン生地が露出してしまう恐れがあり、一方、厚すぎる
と中のパン生地の膨張を抑えて阻害することとなってし
まうので、好ましくは1乃至4mm、より好ましくは
2.0乃至3.0mmとすると良い。最も好ましいのは
2.5mm前後である。
中の菓子パン生地と対照的なサクサクとした軽い食感を
引き出すと共に、外観的に外表面が引き裂かれてメロン
皮様の独特なひび割れが生じる得るようにするため、ロ
ールイン油脂量を生地に対し30〜50重量部、好まし
くは35〜45重量部、さらに好ましい量として40重
量部とし、また、油脂の折り込みは100層以上折り込
むことが好ましい。
生地の整形途中に、予め内部に餡等の詰物を包含するよ
うにしてなるものであり、菓子パン全体としての味覚の
変化を増加させてなるものでもある。なお、本願発明に
おいては、菓子パン生地及び/又はパイ生地を予め冷凍
しておくことも可能であり、例えば、菓子パン生地をパ
イ生地で包んで冷凍し、必要に応じて解凍し、焼成して
もよく、あるいは菓子パン生地とパイ生地とを別個に冷
凍し、必要に応じて解凍し、菓子パン生地をパイ生地で
包み、ホイロ・焼成してもよい。
の外周を、それ自体イーストや化学膨張剤によって大き
く膨張させることはしないが、外部から力が作用するこ
とによって伸延可能となるパイ生地で包み込むと、内包
された菓子パン生地の表面を保護するとともに、その自
然な膨張を妨げることなく自由な膨張が成され、かつ、
菓子パン生地に対して凝固を進行させる熱が早く伝わら
ないよう抑制して充分な膨張が達成されるようになる。
的に包み込むことにより、パイ生地の内側で焼成による
菓子パン生地表面の凝固が遅延され、焼成過程における
該菓子パン生地の膨らみが充分に行われボリュームのア
ップがはかれるとともに、焼成された複合菓子パンは、
ふんわりとした柔らかい食感の菓子パン生地の表面にサ
クッとした対照的な食感のパイ生地が薄く設けられてい
ることとなるので、食した時の歯触りの変化の大きい今
までにない面白い食感を有するものとすることが出来る
こととなる。
生地には強力粉のみを使用することが望ましい。また、
パイ生地に薄力粉を加えることにより生地の柔軟性、伸
延性を増し、ホイロ及び焼成において菓子パン生地の膨
張に伴ってパイ生地も共に伸延し、菓子パン生地の自然
な膨張を妨げることはない。しかも、焼成の際において
は、先に凝固を開始した外側のパイ生地は包み込まれた
菓子パン生地が膨張するのに伴って、その外表面の生地
と油脂の層が引き裂かれることとなり、表面にメロン皮
様の独特のひびの入った視覚的に面白味のある外観を有
するようになる。また、パイ生地の表面に卵黄を塗布す
ると焼色が付き、この効果は一層顕著となる。この際、
パイ生地にはイーストも化学膨化剤も一切添加されてい
ないので、必要以上に膨張して菓子パン生地の膨張を妨
げることはなく、また、薄いパイ生地は引き裂かれ油脂
層が破壊されることによっても必要以上の膨張が妨げら
れ、包み込まれた菓子パン生地への火通りを妨げること
もない。
ーム、ジャム等の詰物をしてなるものとすると、菓子パ
ン生地はパイ生地で包み込まれており、また、焼成の際
にパイ生地の内側に位置することとなるパン生地の凝固
が遅延されることに伴って該パン生地が外側だけでなく
内側へも充分に膨張することとなり、該菓子パン生地と
該詰物との間に生じてしまう空洞部を減少させることが
出来ることとなる。
パン生地を、イーストも化学膨化剤も一切添加しないパ
イ生地で全体的に包み込むと、その表面が保護されるこ
ととなってホイロ後の展板への移動や、生地表面に卵黄
を塗布する際におけるちょっとした衝撃等においても、
菓子パン生地が容易に破け、ガスが抜けてしまうことも
なくなる。
ず、小麦粉として強力粉を用いてなる菓子パン生地と、
小麦粉として強力粉と薄力粉とを併用してなるパイ生地
とをそれぞれ製造する。菓子パン生地は加糖中種法によ
り調整する。中種の配合は、強力粉70重量部、砂糖5
重量部、イースト2.5重量部、イーストフード0.1
重量部、水40重量部であり、製造条件は、混捏時間L
3分、H1分、捏上温度26℃。発酵時間2時間とし、
また、生地の配合は、強力粉30重量部、砂糖25重量
部、食塩0.7重量部、油脂5重量部、卵4重量部、イ
ースト1重量部、水適量(約10重量部)であり、製造
条件は、混捏時間L3分、H2分、油脂添加L2分、H
4分、捏上温度28℃、フロアタイム40分、ベンチタ
イム15分とする。一方、パイ生地の配合は、強力粉6
5重量部、薄力粉35重量部、油脂8重量部、食塩1重
量部、水52重量部、及びロールイン油脂40重量部で
あり、製造条件は、混捏時間10分、捏上温度9〜12
℃、冷蔵時間30分、及びロールインは冷えた状態を保
ちながら折層が144層となるように折り込むがイース
トもしくは化学膨張剤は一切添加しない。
生地とパイ生地は、それぞれ所定の大きさ、形状に整形
する。菓子パン生地は48gを丸く整形する。この際、
菓子パン生地の中には詰物として小倉餡を32gを予め
内包しておくようにする。一方、パイ生地は55gを厚
さ約2mmの矩形状となるように引き延ばし整形する。
地(1)とパイ生地(2)は、薄く伸ばされたパイ生地
(2)上に表面全体を水で湿らせた菓子パン生地(1)
を載せ(図2(イ)参照)、この状態でパイ生地(2)
の各隅部(5a,5b,5c,5d)を内側に向かって
折り曲げてその合わせ目(9)を指等でつまんで止める
ことにより、該菓子パン生地(1)を全体的に覆い(図
2(ロ)及び(ハ)参照)、さらに、好ましくは焼成時
に中のパン生地がパイ生地の合わせ目(9)から飛び出
さないように該パイ生地(2)の各隅部を折り曲げるこ
とにより形成された新たな隅部(6a,6b,6c,6
d)を、上記各隅部(5a,5b,5c,5d)と同様
に内側に向かって折り曲げることにより該菓子パン生地
(1)を包み込んで円形に整形された複合生地(10)
とする(図2(ニ)参照)。次いで、該複合生地(1
0)の合わせ目(9)が下向きとなるように逆さに展板
(T)上に並べ(図2(ホ)参照)、温度29〜31
℃、湿度75%、の条件で80〜90分ホイロをとり、
その後、卵黄を表面に塗って温度190〜200℃、の
オーブンで14〜15分焼成することにより複合菓子パ
ン(A)とする。
(A)との比較のために、菓子パン生地をパイ生地に包
まない従来の菓子パン、具体的にはあんパン(P)と、
菓子パン生地をパイ生地ではなくデニッシュペストリー
生地で包み込んだ従来の複合的な菓子パン、具体的には
デニッシュあんパン(B)とを、該複合菓子パン(A)
と同じ工程でホイロ、焼成してそれぞれ製造した。この
際、あんパン(P)に関する菓子パン生地の配合及び製
造条件は、焼成時間に関して9〜10分とする以外は該
複合菓子パン(A)の菓子パン生地の場合とそれぞれ同
じとし、また、デニッシュあんパン(B)に関する菓子
パン生地の配合及び製造条件は、デニッシュペストリー
生地の配合を、強力粉100重量部、砂糖10重量部、
食塩2重量部、油脂10重量部、液卵10重量部、イー
スト8重量部、脱脂粉乳5重量部、水50重量部、及び
ロールイン油脂40重量部とし、製造条件を混捏時間2
0分、捏上温度20〜23℃、冷蔵時間30分、及びロ
ールインは冷えた状態を保ちながら折層が27層となる
ように折り込むこととする以外は、該複合菓子パン
(A)の菓子パン生地の場合とそれぞれ同じとする。
にAという)は、内部の菓子パン生地(1)が充分に膨
張して、その径(R1 )及び高さ(T1 )が、従来の菓
子パンであるあんパン(P)(以下、単にPという)の
径(R2 )及び高さ(T2 )に比してそれぞれ増大する
(図3(イ)、(ロ)及び図4(イ)、(ロ)参照)と
共に、菓子パン生地(1)と内包された詰物(3)との
間に生じる空洞部(4)もPの空洞部(24)に比して
小さくなって(図5(イ)、(ロ)参照)、全体的なボ
リュームがアップし、また、外側のパイ生地(2)が該
菓子パン生地(1)の周囲に適度の厚みを持って設けら
れ、パイ独特のサクッとした歯触りを有してなるととも
に、その表皮(7)が内部の菓子パン生地(1)の膨張
によってひび割れて裂け目(8)が発生し、見た目にと
ても斬新な外観を呈するものとなる(図1参照)。
るデニッシュあんパン(B)(以下、単にBという)と
も明らかに異なるものである。すなわち、全体的なボリ
ュームを単に外側から観察されるその平面及び側面にお
いて比較した場合は、それぞれの径(R1 、R3)(図
3(イ)、(ハ)参照)、及び高さ(T1 、T3 )(図
4(イ)、(ハ)参照)はほとんどその差異がないよう
に見受けられる。しかし、菓子パン生地の実質的なボリ
ュームを内側から観察される断面において比較した場合
には、それぞれの膨張幅(W1、W3)(図5(イ)、
(ハ)参照)が顕著に相違する。すなわち、Aはパイ生
地自体に殆ど厚みがなく、もっぱら内側の菓子パン生地
自体が膨らむことによりボリューム感が出ているのに対
し、Bは外側のデニッシュペストリー生地自体も内側の
菓子パン生地自体と共に膨らむことによりボリューム感
が出ているのであり、むしろ内側の菓子パン生地は、外
側のデニッシュペストリー生地の膨張により膨らみが抑
えられている。従って、両者のボリューム感は、それぞ
れの製法の違いにより、質的に異なるものと考えられ
る。
するために、一八歳以上の男女を対象として両者を試食
してもらい、ボリューム感、ソフト感、サクサク
感、及び外観、形状(見た目の良さ)、の各項目をア
ンケート調査したので、その結果を〔表1〕に示す。該
アンケートは、パネリスト数が34であり、各項目につ
いて、特に良い、良い、良くないの三段階で評価しても
らい、特に良いと評価した人数が、21人以上(約3分
の2)の場合を◎印、18〜20人(過半数)の場合を
○印、15〜17人の場合を△印、15人未満の場合を
×印でそれぞれ表した。
A、Bともに特に良いと評価した人数が22人おり、◎
の結果となった。しかし、これらの評価は食べたときの
ボリューム感を外周部生地をも含めたパン全体について
判断したものであり、内部のパン生地自体のボリューム
感についてのものではない。これについての詳細は、上
記〔0029〕説明及び図5(イ)及び(ハ)を参酌し
ていただきたい。
良いと評価した人数が、Aは18人、Bは19人で、と
もに○の結果となったが、両者のソフト感は、その製法
の違いから同じソフトと言う感覚ではあっても質的に異
なったソフト感であると判断される。すなわち、Aは内
側の菓子パン生地自体が大きく膨らむことにより、気体
をより多く取り込んでふんわりとしたソフト感が得られ
るものであるのに対し、Bは内側の菓子パン生地の水分
の蒸発を抑えて保湿性をアップさせることにより、しっ
とりとしたソフト感が得られるものであり、水分を多く
含むために、より柔らかいと感じると評価した人数がB
の方がAより僅かに多かったと思われる。
に良いと評価した人数が、Aは25人で◎の結果である
のに対し、Bは13人で×の結果となったが、このよう
な両者の評価の違いは、正に、従来にはない本願発明で
あるAの特徴が発揮されていることの証明といえる。な
お、Aにおいては、内側のふんわりとした柔らかい菓子
パン生地と外側のサクサクとしたパイ生地とのコントラ
ストが良い、とする意見が得られた(2人)。
特に良いと評価した人数が、Aは21人で◎の結果であ
るのに対し、Bは8人で×の結果となり、しかも、良く
ないと評価した人数が、Bについては9人もおり、本願
発明とはかなり評価に差異が生じたが、これは、Bにお
いては、外側のデニッシュペストリー生地がイースト発
酵で不均一な膨らみ方をして、いびつな形となってしま
うからである(図3(イ)、(ハ)及び図4(イ)、
(ハ)参照)。このような両者の評価の違いは、項目
のサクサク感と同様に、正に、従来にはない本願発明で
あるAの特徴が発揮されていることの証明といえる。な
お、Aにおいては、「インパクト」がある、「めずらし
い」、「おもしろい」等とする肯定的な意見が得られた
(8人)。
ものに比して包み込まれた中の菓子パン生地自体のボリ
ュームがアップされるとともに、食感が今までにない斬
新なものとなり、かつ、外観においても今までにない特
異な形態をしたものとすることができる。しかも、菓子
パン生地自体のボリュームのアップは、外側方向ばかり
に膨張した見掛け上のボリュームアップではなく、内側
方向にも膨張した実質上のボリュームアップとともに、
菓子パン生地の内部に詰物をした際の該菓子パン生地と
該詰物との間に生じる空洞部を減少させることも出来る
こととなる。
も、イーストも化学膨化剤も一切添加せず膨張しないパ
イ生地でイーストにより膨張した菓子パン生地を全体的
に包み込みその表面を保護することとなるので、ホイロ
後の展板の移動はもちろんのこと、生地表面に塗布する
に卵黄もイースト等によって膨張してなるものではない
パイ生地に塗布することとなるので、ちょっとした衝撃
等においても生地が容易に破け、ガスが抜けてしまうこ
ともなく、その作業は生地の崩れを気にすることなく不
慣れな者でも容易に行えることとなる。
視図、(ロ)二分割状態斜視図。
ぞれ示す説明図。
(ロ)従来の菓子パンを示す平面図、(ハ)従来の複合
的な菓子パンを示す平面図。
(ロ)従来の菓子パンを示す側面図、(ハ)従来の複合
的な菓子パンを示す側面図。
縦断面図、(ロ)従来の菓子パンの内部を示す縦断面
図、(ハ)従来の複合的な菓子パンの内部を示す縦断面
図。
れぞれ示す説明図。
Claims (4)
- 【請求項1】 小麦粉を用いてなる菓子パン生地を、小
麦粉として強力粉と薄力粉とを併用するとともにその小
麦粉全量の30乃至40重量部を薄力粉とし、かつ、イ
ーストおよび化学膨張剤を一切添加していないパイ生地
によって全体的に包み込み、その後ホイロをとって焼成
してなることを特徴とする複合菓子パン。 - 【請求項2】 菓子パン生地は、内部に詰物がされてな
ることを特徴とする請求項1に記載の複合菓子パン。 - 【請求項3】 小麦粉を用いてなる菓子パン生地を、小
麦粉として強力粉と薄力粉とを併用するとともにその小
麦粉全量の30乃至40重量部を薄力粉とし、かつ、イ
ーストおよび化学膨張剤を一切添加していないパイ生地
によって全体的に包み込み、その後ホイロをとって焼成
してなることを特徴とする複合菓子パンの製造方法。 - 【請求項4】 菓子パン生地は、内部に詰物がされてな
ることを特徴とする請求項3に記載の複合菓子パンの製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8150275A JP2873935B2 (ja) | 1996-05-22 | 1996-05-22 | 複合菓子パン及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8150275A JP2873935B2 (ja) | 1996-05-22 | 1996-05-22 | 複合菓子パン及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09308432A true JPH09308432A (ja) | 1997-12-02 |
JP2873935B2 JP2873935B2 (ja) | 1999-03-24 |
Family
ID=15493408
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8150275A Expired - Lifetime JP2873935B2 (ja) | 1996-05-22 | 1996-05-22 | 複合菓子パン及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2873935B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021030652A1 (en) * | 2019-08-15 | 2021-02-18 | Pragel Llc | Baked dough product having numerous layers and methods for forming the same |
-
1996
- 1996-05-22 JP JP8150275A patent/JP2873935B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021030652A1 (en) * | 2019-08-15 | 2021-02-18 | Pragel Llc | Baked dough product having numerous layers and methods for forming the same |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2873935B2 (ja) | 1999-03-24 |
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