JPH09305572A - ガロア体の除算方法および除算装置 - Google Patents

ガロア体の除算方法および除算装置

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JPH09305572A
JPH09305572A JP8117841A JP11784196A JPH09305572A JP H09305572 A JPH09305572 A JP H09305572A JP 8117841 A JP8117841 A JP 8117841A JP 11784196 A JP11784196 A JP 11784196A JP H09305572 A JPH09305572 A JP H09305572A
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ルミ 田辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガロア体の除算を小規模な回路により実行す
る。 【解決手段】 除数の係数を各段毎に格納するシフトレ
ジスタ101と、被除数の係数を各段毎に格納するシフ
トレジスタ103と、ガロア体の逆元を発生する逆元発
生ROM109と、シフトレジスタ101または逆元発
生ROM109のいずれかを選択するスイッチ117
と、シフトレジスタ101の出力を単位時間遅延させる
遅延手段105と、シフトレジスタ103の出力を単位
時間遅延させる遅延手段107と、商の係数を保持する
保持手段115と、第2の遅延手段または保持手段11
5のいずれかを選択するスイッチ119と、スイッチ1
17の出力とスイッチ119の出力を乗算する唯一の乗
算器111と、乗算器111の乗算結果とシフトレジス
タ103の出力とを加算する唯一の加算器113と、を
備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガロア体の除算方
法および除算装置に係り、特に、リード・ソロモン符号
(以下、RS符号と省略する。)の復号を小規模な回路
で実現するのに好適なガロア体の除算方法および除算装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】RS符号は、同じ符号長と情報記号数を
持つ巡回符号の中で、最小距離が最大となる優れた符号
であり、多重誤り訂正を行う記録、伝送等の分野で広く
利用されている。
【0003】RS符号の復号過程は、次に示す(a)か
ら(f)の手順により構成されている。
【0004】(a)受信多項式からシンドロームを計算
し、シンドローム多項式S(X) を求める。
【0005】(b)シンドロームがすべて零であれば
(S(X) =0)、誤りなしと判定する。 (c)シンドロームに非零のものがあれば、基本方程式
【数1】Λ(X) S(X) =Ω(X) modX2t …(1) DEG(Λ(X)) ≦ t …(2) DEG(Ω(X)) ≦ t−1 …(3) を満足する誤り位置多項式Λ(X) 及び誤り評価多項式Ω
(X) を求める。ここで、tは誤り訂正数であり、DEG は
多項式の次数である。
【0006】(d)誤り位置多項式Λ(X) に符号生成多
項式の根を代入することにより、誤り位置を求める。
【0007】(e)誤り位置多項式Λ(X) の微分と誤り
評価多項式Ω(X) から誤り数値を求める。
【0008】(f)誤り位置及び誤り数値を用いて受信
語を訂正し、復号語を得る。
【0009】以上のRS符号の復号過程において、
(c)の基本方程式の解法として、ユークリッドの互除
法に基づくユークリッド法が知られている。ユークリッ
ド法は、誤り位置多項式Λ(X) 及び誤り評価多項式Ω
(X) を求めるのに際し、(1)式のうち既知であるシン
ドローム多項式S(X) とX2tとの最大公約多項式を求め
るユークリッドの互除法を用いるものである。
【0010】次に、図2にユークリッド法を用いたRS
復号装置の全体構成図を示す。このRS復号装置は、受
信信号(受信多項式)からシンドローム多項式S(X) を
求めるシンドローム演算器201と、シンドローム多項
式S(X) から誤りの大きさ(誤り数値)の指標となる誤
り評価多項式Ω(X) を導く除算回路202と、この除算
の商から誤り位置の指標となる誤り位置多項式Λ(X) を
導く乗算回路203と、誤り位置多項式Λ(X) 及び誤り
評価多項式Ω(X) から誤り位置及び誤りの数値を求める
チェン探索回路204と、受信信号を復号遅延分だけ遅
延させる遅延回路206と、遅延された受信信号に誤り
訂正を施す訂正実行回路205とを備えて構成されてい
る。
【0011】ここで、除算回路202は、式(1)〜
(3)を満足するΛ(X) 及びΩ(X) を、S(X) とX2t
の最大公約多項式を求めるユークリッド互除法を用いて
求めるものであり、式(4)、(5)で示す漸化式によ
り、誤り評価多項式を導くことができる。
【0012】
【数2】 TA =0: Ri(X)+Qi(X) =Ri-2(X)/Ri-1(X) …(4) TA =1: Ri+1(X)+Qi+1(X)=Ri-1(X)/Ri(X) …(5) ここで、TA =0、1、…は、時刻の経過を示す。な
お、初期状態は、
【数3】R-2(X)=X2t …(6) R-1(X)=S(X) …(7) であり、TA =0では、X2t/S(X)を計算して剰余
と商を求めることになる。上記漸化式は、剰余の次数が
t−1以下(t:誤り訂正数)になるまで続けられ、こ
のときの最終的な剰余が誤り評価多項式となる。
【0013】次に、ガロア体の除算について説明する。
元の数が2であるGF(2)のガロア体の除算、例え
ば、X4÷(X3+X2+1)なる除算を行う場合、除算
回路は図3(a)に示すような回路構成となり、除算終
了時には商はX+1、剰余はX2+X+1となる。
【0014】時刻の経過毎にレジスタ301〜303の
内容を示すと次の表となる。
【0015】
【表1】 この除算回路をガロア体GF(q)(ただし、q>2)
に拡大して一般化し、X4÷(aX3+bX2+cX+
1)なる多項式の除算を行う場合、図3(b)に示すよ
うな回路構成となる。除数の最高次数係数は逆元をと
り、被除数と掛け合わされて商の係数となると同時に、
フィードバックされて、レジスタ313〜315へ蓄え
られた除数の係数と、乗算器317〜319を用いて掛
け合わされる。 次に、RS復号装置に用いられる従来
の除算回路の例を図4(a)に示す。同図において、4
01〜408、411〜418は、それぞれクロックC
K1、CK2が更新タイミングとなるレジスタ群であ
り、演算開始時には、それぞれのレジスタ群の各レジス
タは、それぞれ被除数または除数の多項式の係数を1つ
づつ格納している。431、432、…は、ガロア体の
加算器、441、442、…、448はガロア体の乗算
器、451はガロア体の逆元を出力するROM、42
1、422、…428は3ウェイのスイッチ(セレク
タ)である。なお、図4において、CK1、CK2及び
QENを除いて、信号線は全てバスを示し、ガロア体の
元をベクトル表示するのに要するビット幅を有するもの
とする。
【0016】次に、この従来の除算回路の動作を説明す
る。まずスイッチ421〜428でシンドロームS0、
S1、…S7を選択し、クロックCK1を入力してレジ
スタ401〜408に除数となるシンドローム多項式S
(X)の係数を取り込む。
【0017】次いでクロックCK2を入力してレジスタ
401〜408の内容をレジスタ411〜418に移
す。これと同時にS0、S1、…S7から(0、0、
…、1)を供給し、クロックCK1を入力してレジスタ
401〜408に被除数多項式X2tの係数を取り込む。
これにより、レジスタ401〜408には、被除数多項
式の係数が設定され、レジスタ411〜418には除数
多項式の係数が設定されたことになる。
【0018】次いで、スイッチ421〜428は、それ
ぞれ中央の接点を選択し0または加算器の出力に接続さ
れるとともに、制御信号QENが論理“1”となり、レ
ジスタ418に保持されたS7(除数の最高次数の係
数)の逆元が乗算器448に供給され、レジスタ408
の内容と乗算される。この乗算結果は商Q(X)の係数
となるとともに、乗算器441、442、…、447に
より、それぞれ除数の係数と並列に掛け合わされる。乗
算器441〜447の乗算結果は、加算器431〜43
7によりレジスタ401〜407の値に加えられ、クロ
ックCK1によりそれぞれ次段のレジスタ402〜40
8に取り込まれる。
【0019】ここで、RS復号に用いられる多項式であ
る除数の係数はガロア体であり、このガロア体の体生成
多項式の最高次数と等しいビット数で表現される。体生
成多項式の最高次数をyとすると、上記乗算器は、それ
ぞれ“yビット×yビット”のガロア体の掛け算とな
り、回路規模が大きくなる。
【0020】また除算終了後、式(4)、(5)に示す
ように、剰余は除数となり除数は被除数となり、再び除
算を行うことになるが、この除算モード及び剰余と除数
との入れ替えモードの切り換えは、各係数段に用意され
たスイッチ421〜428を切り換えて行っていた。
【0021】例えばすべてのスイッチ421〜428に
対して、除算時には図4(b)に示すような接続状態と
なり、通常の除算を行うが、入れ替え時には、図4
(c)に示すような接続状態となり、剰余と除数との入
れ替えが行われる。
【0022】また、上記のような専用の除算回路を備え
ることなく、ディジタル・シグナル・プロセッサ(以
下、DSPと略す。)に設けた乗算器により除数の係数
と商の係数の乗算をシリアルに行うことも考えられる。
この場合には、除数、被除数、商、剰余等は、メモリに
格納され、1つの乗算毎にそれぞれ除数、剰余の記憶場
所にアクセスするためのポインタ制御が必要となる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のガロア体である多項式の除算回路は、除数のそれぞ
れの次数の係数と商の係数との乗算を並列に行っていた
ため、除数の次数分(2t(t:誤り訂正数))だけの
乗算回路を必要とし、除算回路の回路規模が大きくなる
という問題点があった。
【0024】例えば、ガロア体の体生成多項式をX8
4+X3+X2+1とし、誤り訂正数t=8の時、除数
の次数は16となり、乗算器は16必要となる。この場
合乗算器当たりのゲート数は約300であるから、乗算
器の総ゲート数は約4800ゲートとなる。
【0025】また、リード・ソロモン復号器に除算器を
用いる場合、ユークリッド法の漸化式を計算するために
除数と剰余との入れ替えが生じ、多数のセレクタを必要
とするという問題点があった。
【0026】またDSPに設けた乗算器により除数の係
数と商の係数の乗算をシリアルに行う場合には、1つの
乗算毎にそれぞれ除数、剰余の記憶場所にアクセスする
ためのポインタ制御のために数クロックを必要とし、高
速な除算を必要とするRS復号には不適当であるという
問題点があった。
【0027】以上の問題点に鑑み、本発明の課題は、小
規模な回路構成により比較的高速なガロア体の除算回路
を実現することである。
【0028】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は次の構成を有する。すなわち請求項1記載
の発明は、それぞれガロア体の元を係数とする第1及び
第2多項式が与えられ、第1の多項式を除数とし、第2
の多項式を被除数として、商及びまたは剰余を求めるガ
ロア体の除算方法において、第1及び第2の多項式の係
数をそれぞれ第1及び第2のシフトレジスタの各段に格
納する第1過程と、第1のシフトレジスタの出力からガ
ロア体の逆元を発生する第2の過程と、第2のシフトレ
ジスタの出力と前記逆元とに乗算を施し、この乗算結果
を商の係数として保持する第3の過程と、第1及び第2
のシフトレジスタをシフトし、第1のシフトレジスタの
出力と前記保持された商の係数とに乗算を施し、この乗
算結果に第2のシフトレジスタの出力を加算し、この加
算結果を剰余として第2のシフトレジスタの入力に帰還
するとともに、第1のシフトレジスタの出力を第1のシ
フトレジスタの入力に帰還する第4の過程と、前記第4
の過程を前記商の係数とすべての除数の係数とが掛け合
わされるまで繰り返す第5の過程と、前記第2の過程か
ら前記第5の過程までを除数と被除数との次数の差を示
す数に1を加えた回数だけ繰り返す第6の過程と、を備
えることを要旨とするガロア体の除算方法である。
【0029】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
のガロア体の除算方法において、前記第6の過程におけ
る前記最後の第5の過程において、第1及び第2のシフ
トレジスタの入力を互いに入れ換えることを要旨とす
る。
【0030】また請求項3記載の発明は、それぞれガロ
ア体の元を係数とする第1及び第2多項式が与えられ、
第1の多項式を除数とし、第2の多項式を被除数とし
て、商及びまたは剰余を求めるガロア体の除算装置にお
いて、第1の多項式の係数を各段毎に格納する第1のシ
フトレジスタと、第2の多項式の係数または剰余を各段
毎に格納する第2のシフトレジスタと、第1のシフトレ
ジスタの出力と被除数の係数または商の係数とを掛け合
わせるただ一つの乗算器と、を備えることを要旨とする
ガロア体の除算装置である。
【0031】また請求項4記載の発明は、それぞれガロ
ア体の元を係数とする第1及び第2多項式が与えられ、
第1の多項式を除数とし、第2の多項式を被除数とし
て、商及びまたは剰余を求めるガロア体の除算装置にお
いて、第1の多項式の係数を各段毎に格納する第1のシ
フトレジスタと、第2の多項式の係数または剰余を各段
毎に格納する第2のシフトレジスタと、第1のシフトレ
ジスタの出力に接続され、ガロア体の逆元を発生する逆
元発生手段と、第1のシフトレジスタの出力または前記
逆元発生手段の出力のいずれか一方を選択して出力する
第1の選択手段と、第1のシフトレジスタの出力を単位
時間遅延させる第1の遅延手段と、第2のシフトレジス
タの出力を単位時間遅延させる第2の遅延手段と、商の
係数を保持する保持手段と、第2の遅延手段の出力また
は前記保持手段の出力のいずれか一方を選択して出力す
る第2の選択手段と、第1の選択手段の出力と前記第2
の選択手段の出力とに乗算を施すただ一つの乗算器と、
前記乗算器の乗算結果を前記保持手段に格納する第1の
経路と、前記乗算器の乗算結果と第2のシフトレジスタ
の出力とに加算を施すただ一つの加算器と、前記加算器
の加算結果を剰余として第2のシフトレジスタに帰還す
る第2の経路と、第1の遅延手段の出力を第1のシフト
レジスタに帰還する第3の経路と、を備えることを要旨
とするガロア体の除算装置である。
【0032】また請求項5記載の発明は、請求項4記載
のガロア体の除算装置において、前記第2及び第3の経
路を交差させて、前記加算器の加算結果を第1のシフト
レジスタに帰還し、前記第1の遅延手段の出力を前記第
2のシフトレジスタに帰還する切り換え手段をさらに備
えたことを要旨とする。
【0033】上記構成による本発明のガロア体の除算方
法及び除算装置によれば、ただ一つの乗算器を用いて、
被除数の係数と商の係数との乗算を、被除数の次数毎に
直列に行うことができるので、除算回路の回路規模を大
きく削減することができる。また本発明によれば、除
数、被除数または剰余をシフトレジスタに格納するよう
にしたので、演算の進行とともにシフトレジスタをシフ
トするだけで、演算に必要な数値を乗算器に供給すると
ともに演算結果を格納することができるので、高速なガ
ロア体の除算を行うことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係るガロ
ア体の除算装置の実施の形態を示すブロック図である。
同図に示すように、ガロア体の除算装置は、シフトレジ
スタ101、103と、レジスタ105、107と、入
力されたガロア体の元の逆元を出力する逆元ROM10
9と、乗算器111と、加算器113と、レジスタ11
5と、2ウェイセレクタ(スイッチ)117、119、
121、123、125、127及び129と、入力端
子131とからなる。
【0035】なお、シフトレジスタ101、103は、
それぞれガロア体の元を保持可能なレジスタが8個直列
に接続され、この元をシフト動作により順送り可能とし
たものであり、レジスタ105、107及びレジスタ1
15もガロア体の元を保持することが可能なものであ
る。また、データ経路は、それぞれガロア体の元を伝送
可能なバスであり、これらのレジスタのビット数及びバ
スのビット数は、ガロア体をベクトル表現したときのビ
ット数に一致する。同様に乗算器111はガロア体の乗
算器であり、加算器113はガロア体の加算器である。
【0036】次に、図1のガロア体の除算装置の動作を
説明する。まず、入力端子131からは、最初の除数と
なるシンドローム多項式S(X)の各次数の係数が最高
次数から順に与えられ、下側に倒されたスイッチ129
を介してシフトレジスタ101に右詰で格納される。同
様に、最初の被除数となるX2tの係数(1、0、0…、
0)がシフトレジスタ103に右詰で格納される。この
格納が終わるとスイッチ129は上側に倒され、この状
態の時刻をT=0とする。
【0037】次の時刻:T=1では、シフトレジスタ1
01から除数の最高次数係数が逆元ROM109及びレ
ジスタ105へ入力され、同時にシフトレジスタ101
に格納された値は右へ一つシフトする。また、被除数の
最高次数係数は、レジスタ107に入力される。
【0038】T=2では、スイッチ117は上側へ倒さ
れ、スイッチ119は下側へ倒される。そして逆元RO
M109からの出力とレジスタ107からの出力が乗算
器111を用いて掛け合わされ、この乗算結果はレジス
タ115に保持される。
【0039】T=3では、スイッチ117は下側へ倒さ
れ、スイッチ119は上側へ倒される。そしてレジスタ
115に保持された値が商の最高次数係数として出力さ
れると同時に、このレジスタ115に保持された値と、
次なる除数の係数であるシフトレジスタ101の出力と
を乗算器111を用いて掛け合わせ、この乗算結果とシ
フトレジスタ103から出力される被除数係数とを、加
算器113を用いて足し合わせて剰余の中間結果を出力
する。
【0040】この剰余の中間結果はスイッチ121及び
125を介してシフトレジスタ103の入力へフィード
バックして格納される。これと同時に除数の係数もレジ
スタ105からスイッチ123、127、129を介し
てシフトレジスタ101へフィードバックして格納され
る。なお、シフトレジスタ101及び103に格納され
た値は、出力のたびに右へ一つシフトするとともに、最
も左の位置に新しい値が入力される。
【0041】T=4からも同様に、レジスタ115に保
持された値(商の最高次数係数)と、次なる除数の係数
であるシフトレジスタ101の出力とを乗算器111を
用いて掛け合わせ、この結果と、シフトレジスタ103
から出力される被除数の係数とを、加算器113を用い
て足し合わせて剰余の中間結果を出力する。
【0042】この剰余の中間結果は、シフトレジスタ1
03の入力へフィードバックされて格納される。これと
同時に、除数の係数もシフトレジスタ101の入力へフ
ィードバックされて格納される。上記の動作は、レジス
タ115に保持された値(商の最高次数係数)とすべて
の除数係数とが掛け合わされるまで続けられる。ここま
でを1つの除算サイクルとする。この除算サイクルは、
従来技術における図4(a)の並列乗算器を用いた除算
動作の1クロックに相当する。
【0043】次なる除算サイクルのスタートでは、シフ
トレジスタ103には、上記T=3の時にフィードバッ
クした剰余の中間結果の係数が被除数の係数として格納
されている。また、シフトレジスタ101には、フィー
ドバックされた除数の係数が一巡してT=0の時と同様
な状態で格納されている。この状態をT′=0とする。
【0044】次の時刻:T′=1では、シフトレジスタ
101から除数の最高次数係数が逆元ROM109へ入
力される。これと同時に、シフトレジスタ101に格納
された値は右へ一つシフトする。また、被除数の最高次
数係数はレジスタ107へ入力される。
【0045】T′=2では、逆元ROM109の出力と
レジスタ107の出力とが乗算器111により掛け合わ
されて、この結果がレジスタ115に保持される。
【0046】T′=3では、このレジスタ115に保持
された値が商の係数として出力されるとともに、この値
と次なる除数の係数であるシフトレジスタ101の出力
とが乗算器111により掛け合わされ、この乗算結果と
シフトレジスタ103から出力される被除数係数とが加
算器113により足し合わされて剰余の中間結果を出力
する。この剰余の中間結果は、フィードバックされてシ
フトレジスタ103に格納される。これと同時に除数の
係数もフィードバックされてシフトレジスタ101に格
納される。
【0047】T′=4以後も同様に、レジスタ115に
保持された値(商の係数)と、次なる除数の係数である
シフトレジスタ101の出力とを乗算器111を用いて
掛け合わせ、この乗算結果とシフトレジスタ103に格
納された被除数の係数とを加算器113を用いて足し合
わせて剰余の中間結果を出力する。
【0048】この剰余の中間結果は、シフトレジスタ1
03の入力へフィードバックされて格納される。これと
同時に、除数の係数もシフトレジスタ101の入力へフ
ィードバックされて格納される。上記の動作は、レジス
タ115に保持された値(商の係数)とすべての除数係
数とが掛け合わされるまで繰り返される。
【0049】上記の除算サイクルは、(除数と被除数の
次数の差)+1の回数だけ行われて終了する。除算が終
了した時点では、被除数の係数に代わって剰余となる多
項式の係数がシフトレジスタ103に格納されている
が、これらは次の除算(すなわち式(4)から式(5)
へ進む過程)では除数として扱われるため、スイッチ1
23、127、129の切り換えによりシフトレジスタ
101へ順次格納される。これと同時にシフトレジスタ
101に格納されていた除数の係数は、次の除算では被
除数として扱われるため、スイッチ121、125の切
り換えによりシフトレジスタ103へ格納される。
【0050】そして再び除数の最高次数係数は逆元を取
り、被除数の係数と掛け合わされて商の係数としてレジ
スタ115に保持され、この値と次なる除数の係数とが
掛け合わされたものと被除数係数とが足し合わされると
いう動作が繰り返される。
【0051】このように本実施の形態によれば、ガロア
体の乗算器及び加算器をそれぞれただ一つと、除数を初
期値とするシフトレジスタと、被除数を初期値とするシ
フトレジスタとを備えることにより、クロック毎にガロ
ア体の乗算と加算が行えるので、小規模な回路構成で比
較的高速にガロア体の除算を実行することができる。ま
た、一つの除算終了後、ユークリッド法では、剰余の係
数と除数の係数とを入れ替えることになるが、この入れ
替えはそれぞれの係数を保持するシフトレジスタ10
1、103に入力を交換するスイッチ121、123を
設け、このスイッチを切り換えてそれぞれのシフトレジ
スタをシフトさせることにより実現することができる。
【0052】さらに、スイッチ121、123を切り換
えるタイミングを早めて、最後の除算サイクルと並列に
シフトレジスタ101と103との入れ替えを行うと、
全体の処理時間を短縮することができる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ガ
ロア体の除算において、ただ一つの乗算器を用いて、被
除数の係数と商の係数との乗算を、被除数の次数毎に直
列に行うことができるので、除算回路の回路規模を大き
く削減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガロア体の除算装置の実施の形態
を示すブロック回路図である。
【図2】ユークリッド法を用いたRS復号装置の全体構
成図である。
【図3】(a)は、GF(2)上の除算回路の一例を示
す回路図であり、(b)は、GF(q)上に一般化した
除算回路の例を示す回路図である。
【図4】(a)はRS復号に用いられる従来の除算回路
の例を示すブロック回路図であり、(b)は(a)にお
ける除算動作を説明する部分回路図であり、(c)は
(a)における入れ替え動作を説明する部分回路図であ
る。
【符号の説明】
101、103…シフトレジスタ、105、107…レ
ジスタ、109…逆元ROM、111…乗算器、113
…加算器、115…レジスタ、117、119、12
1、123、125、127、129…スイッチ、13
1…入力端子。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれガロア体の元を係数とする第1
    及び第2多項式が与えられ、第1の多項式を除数とし、
    第2の多項式を被除数として、商及びまたは剰余を求め
    るガロア体の除算方法において、 第1及び第2の多項式の係数をそれぞれ第1及び第2の
    シフトレジスタの各段に格納する第1過程と、 第1のシフトレジスタの出力からガロア体の逆元を発生
    する第2の過程と、 第2のシフトレジスタの出力と前記逆元とに乗算を施
    し、この乗算結果を商の係数として保持する第3の過程
    と、 第1及び第2のシフトレジスタをシフトし、第1のシフ
    トレジスタの出力と前記保持された商の係数とに乗算を
    施し、この乗算結果に第2のシフトレジスタの出力を加
    算し、この加算結果を剰余として第2のシフトレジスタ
    の入力に帰還するとともに、第1のシフトレジスタの出
    力を第1のシフトレジスタの入力に帰還する第4の過程
    と、 前記第4の過程を前記商の係数とすべての除数の係数と
    が掛け合わされるまで繰り返す第5の過程と、 前記第2の過程から前記第5の過程までを除数と被除数
    との次数の差を示す数に1を加えた回数だけ繰り返す第
    6の過程と、 を備えることを特徴とするガロア体の除算方法。
  2. 【請求項2】 前記第6の過程における前記最後の第5
    の過程において、第1及び第2のシフトレジスタの入力
    を互いに入れ換えることを特徴とする請求項1記載のガ
    ロア体の除算方法。
  3. 【請求項3】 それぞれガロア体の元を係数とする第1
    及び第2多項式が与えられ、第1の多項式を除数とし、
    第2の多項式を被除数として、商及びまたは剰余を求め
    るガロア体の除算装置において、 第1の多項式の係数を各段毎に格納する第1のシフトレ
    ジスタと、 第2の多項式の係数または剰余を各段毎に格納する第2
    のシフトレジスタと、 第1のシフトレジスタの出力と被除数の係数または商の
    係数とを掛け合わせるただ一つの乗算器と、 を備えることを特徴とするガロア体の除算装置。
  4. 【請求項4】 それぞれガロア体の元を係数とする第1
    及び第2多項式が与えられ、第1の多項式を除数とし、
    第2の多項式を被除数として、商及びまたは剰余を求め
    るガロア体の除算装置において、 第1の多項式の係数を各段毎に格納する第1のシフトレ
    ジスタと、 第2の多項式の係数または剰余を各段毎に格納する第2
    のシフトレジスタと、 第1のシフトレジスタの出力に接続され、ガロア体の逆
    元を発生する逆元発生手段と、 第1のシフトレジスタの出力または前記逆元発生手段の
    出力のいずれか一方を選択して出力する第1の選択手段
    と、 第1のシフトレジスタの出力を単位時間遅延させる第1
    の遅延手段と、 第2のシフトレジスタの出力を単位時間遅延させる第2
    の遅延手段と、 商の係数を保持する保持手段と、 第2の遅延手段の出力または前記保持手段の出力のいず
    れか一方を選択して出力する第2の選択手段と、 第1の選択手段の出力と前記第2の選択手段の出力とに
    乗算を施すただ一つの乗算器と、 前記乗算器の乗算結果を前記保持手段に格納する第1の
    経路と、 前記乗算器の乗算結果と第2のシフトレジスタの出力と
    に加算を施すただ一つの加算器と、 前記加算器の加算結果を剰余として第2のシフトレジス
    タに帰還する第2の経路と、 第1の遅延手段の出力を第1のシフトレジスタに帰還す
    る第3の経路と、 を備えることを特徴とするガロア体の除算装置。
  5. 【請求項5】 前記第2及び第3の経路を交差させて、
    前記加算器の加算結果を第1のシフトレジスタに帰還
    し、前記第1の遅延手段の出力を前記第2のシフトレジ
    スタに帰還する切り換え手段をさらに備えたことを特徴
    とする請求項4記載のガロア体の除算装置。
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