JP3230888B2 - ユークリッド互除回路 - Google Patents

ユークリッド互除回路

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JP3230888B2
JP3230888B2 JP07465293A JP7465293A JP3230888B2 JP 3230888 B2 JP3230888 B2 JP 3230888B2 JP 07465293 A JP07465293 A JP 07465293A JP 7465293 A JP7465293 A JP 7465293A JP 3230888 B2 JP3230888 B2 JP 3230888B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[発明の目的]
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、リード・ソロモン符号
及びBCH符号を含むゴッパ符号の誤り訂正に好適のユ
ークリッド互除回路に関する。
【0003】
【従来の技術】近年、各種ディジタルシステムの信頼性
を向上させるために、誤り訂正符号が適用されるように
なった。誤り訂正符号としては、システムに応じて種々
のものが採用されている。特に、Reed solomon符号(以
下、RS符号という)は、冗長度が低く、CD(コンパ
クトディスク)、DAT(ディジタルオーディオテー
プ)及び衛星通信の分野等において広く用いられている
重要な符号である。
【0004】RS符号の復号方法としては種々の提案が
ある。2又は3シンボル程度の訂正では、RS符号を用
いて代数的な手法によって誤り位置及び誤り値を求める
ことが可能であり、その装置化は容易である。しかし、
高信頼性を必要とするシステムにおいては、訂正能力を
大きくする必要がある。この場合には、ピーターソン
法、バーレカンプ・マッシィ法又はユークリッド法等を
用いる。これらの方法は、誤り位置多項式及び評価多項
式を導出し、チェンサーチ法等によって誤り位置及び誤
り値を求めることによって復号を行う。このような復号
を実現する回路は規模が極めて大きく、また、計算には
長時間を要する。
【0005】次に、RS符号について簡単に説明する。
【0006】RS符号はガロア体GFの元で構成され
る。元の数が2m 個のガロア体GF(2m )上のRS符
号において、符号長をnとし、最小距離(ハミング距
離)をdとし、情報シンボル数をkとすると、RS符号
は下記式(1),(2)を満足する。
【0007】 n≦2m-1 …(1) n=k+(d−1) …(2) このRS符号の訂正能力t(誤り訂正可能なシンボル
数)は下記式(3)によって示すことができる。
【0008】 t=(d−1)/2 …(3) 生成多項式G(X)は、符号の検査シンボル数(n−
k)(=d−1=2t)に等しい次数を有し、且つ、X
n-1 を割切るものである。GF(2m )の原始元をαと
すると、RS符号の生成多項式G(X)は下記式(4)
によって表現することができる。
【0009】 G(X)=(X−α)(X−α2 )…(X−α2t) …(4) なお、G(X)=(X−1)(X−α)…(X−
α2t-1)でもよい。
【0010】次に、符号化について説明する。
【0011】符号化後の符号多項式C(X)は生成多項
式G(X)によって割切れるものでなければならない。
いま、符号化したいk個の情報シンボルをIとする。こ
の情報を多項式で表現すると、情報多項式I(X)は I(X)=Cn-1 Xn-1 +Cn-2 Xn-2 +…+Cn-k Xn-k …(5) となる。
【0012】情報多項式G(X)を生成多項式G(X)
で割ったときの剰余多項式P(X)は P(X)=I(X) mod G(X) …(6) =Cn-k-1 Xn-k-1 +Cn-k-2 Xn-k-2 +…+C0 …(7) となり、符号多項式C(X)は下記式(8)から与えら
れる。
【0013】 C(X)=I(X)+P(X) …(8) 式(8)の符号多項式C(X)がG(X)で割切れるこ
とは明らかである。
【0014】次に、復号化について説明する。
【0015】復号は以下の手順で行う。
【0016】(1)シンドローム計算を行う。
【0017】(2)シンドロームが全て0ならば誤りな
しと判定する。
【0018】(3)シンドロームからピーターソン法又
はユークリッドの互除法等を用いて、誤り位置多項式σ
(X)及び誤り評価多項式ω(X)を求める。
【0019】(4)チェンサーチによって、σ(X)の
根、即ち、誤り位置を求める。
【0020】(5)ω(X)の根、即ち、誤りの値を求
める。
【0021】式(8)の符号多項式C(X)が伝送路に
おいて雑音の影響を受けて受信多項式Y(X)に変化す
るものとする。受信多項式Y(X)は符号多項式C
(X)と誤り多項式E(X)の和である。
【0022】先ず、上記手順(1)において、受信多項
式Y(X)からシンドロームS1 ,S2 ,…,S2tを計
算する。α,α2 ,…,α2tを根とするBCH符号で
は、シンドロームを Si =Y(αi ) i=1,2,…,2t …(9) により定義する。C(αi )=0(i=1,2,…,2
t)であるので、シンドロームは Si =E(αi ) i=1,2,…,2t …(10) となり、誤りがなければ、シンドロームは全て0とな
る。
【0023】いま、位置j1 ,j2 ,…,jL に値がe
1 ,e2 ,…,eL の誤りが生じているものとする。但
し、L≦tとする。このとき、 E(X)=e1 Xj1 +e2 Xj2 +…+eL XjL …(11) であるから、式(10)より下記式(12)が得られ
る。
【0024】 Si =e1 αij1 +e2 αij2 +…+eL αijL (i=1,2,…,2t) …(12) 従って、このS1 ,S2 ,…,S2tから、誤りの位置j
1 ,j2 ,…,jL と誤りの値e1 ,e2 ,…,eL を
求めればよい。
【0025】しかし、シンドロームから直接求めること
は困難であるので、先ず、下記式(13)に示すGF
(2m )上のL次多項式を求める。
【0026】 σ(Z)=(1−αj1Z)(1−αj2Z)…(1−αjLZ) …(13) この式(13)は誤り位置多項式と呼ばれ、根が誤り位
置に対応する。
【0027】ここで、シンドロームS(Z)を S(Z)=S1 +S2 Z+…+S2tZ2t-1 …(14) とおく。このとき、 ei αj1 /(1−αj1Z)=ei αj1+ei α2ji Z+ei α3ji 2 +… …(15) であることに注意すると、下記式(16)が得られる。
【0028】 式(16)の両辺にσ(Z)を乗じると、下記式(1
7)が導かれる。
【0029】 σ(Z)S(Z)=ω(Z) mod Z2t …(17) 即ち、適当な多項式A(Z)を用いて下記式(18)の
ように表わすことができる。
【0030】 A(Z)・Z2t+σ(Z)・S(Z)=ω(Z) …(18) 式(18)のω(Z)は誤り評価多項式と呼ばれ、下記
式(19)によって定義される。
【0031】 ここで、deg σ(Z)≦t、 deg ω(Z)≦t−1 deg は次数を示す …(20) また、ω(α-j1 )≠0(i=1,…,L)であるの
で、ω(Z)とσ(Z)は互いに素であるから、ω
(Z)とσ(Z)はZ2tとS(Z)の最大公約(GC
D)多項式を求めるユークリッドの互除法の過程で求め
ることができる。
【0032】次に、手順(3)で採用するユークリッド
互除法について説明する。
【0033】いま、2つの多項式r-1(Z)、r0
(Z)が与えられ、deg r0 ≦deg r-1であるとき、次
の除算を繰返す。
【0034】 r-1(Z)=q1 (Z)・r0 (Z)+r1 (Z)、deg r1 ≦deg r0 …(2 4) r0 (Z)=q2 (Z)・r1 (Z)+r2 (Z)、deg r2 ≦deg r1 …(2 5) : : rj-2 (Z)=qj (Z)・rj-1 (Z)+rj (Z)、deg rj ≦deg rj-1 …(26) rj-1 (Z)=qj+1 (Z)・rj (Z) …(27) そして、最後に割切れた非零のrj (Z)がr-1
(Z)とr0 (Z)との最大公約多項式(Greatest Com
mon Devisor )(GCD)になる。
【0035】ここで、以下の定理を用いる。
【0036】2つの多項式r-1(Z)、r0 (Z)が与
えられ、deg r0 ≦deg r-1 、且つ、GCDがh
(Z)であるとき、 U(Z)・r-1(Z)+V(Z)・r0 (Z)=h(Z) …(28) を満足するU(Z),V(Z)が存在し、deg U,deg
Vは共にdeg r-1よりも小さい。
【0037】この定理を用い、r-1 (Z)=Z2t、r
0 (Z)=S(Z)とおき、下記式(29)を満足する
多項式ri (Z),Ai (Z),Bi (Z)を順に算出
する。
【0038】 Ai (Z)・r-1(Z)+Bi (Z)・r0 (Z)=ri (Z) …(29) そして、Bi (Z)がt次以下、剰余ri (Z)が(t
−1)次以下になれば、Bi (Z),ri (Z)は夫々
シグマ(Z),ω(Z)の候補となる。そこで、先ず、 A-1(Z)=1, A0 (Z)=0 …(30) B-1(Z)=0, B0 (Z)=1 …(31) とおき、ri (Z),Ai (Z),Bi (Z)を計算す
る。
【0039】 ri (Z)=ri-2 (Z)−qi (Z)・ri-1 (Z) …(32) Ai (Z)=Ai-2 (Z)−qi (Z)・Ai-1 (Z) …(33) Bi (Z)=Bi-2 (Z)−qi (Z)・Bi-1 (Z) …(34) この演算によってri (Z)の次数が初めて(t−1)
以下となったときに、 σ1 (Z)=Bi (Z), ω1 (Z)=ri (Z) …(35) が求められる。
【0040】このようにユークリッド互除法によって求
めたσ(X),ω(X)の根を用いて、誤りの値ei は
下記式(36)によって得られる。
【0041】 ei =−ω(α-ji )/σ′(α-ji ) i=1,…,L …(36) ここで、σ′(Z)はσ(Z)の導関数であり、σ
(Z)を形式的に微分したものである。σ′(Z)はσ
(Z)の奇数次項のみを取出した下記式(37),(3
8)で表わされる。
【0042】 σ′(Z)=σ1 +σ3 Z2 +σ5 Z4 +…+σL ZL-1 (L:奇数)…(37 ) σ′(Z)=σ1 +σ3 Z2 +σ5 Z4 +…+σL ZL-2 (L:偶数)…(38 ) このようにして、RS符号の符号化と復号化とが行われ
る。
【0043】ところで、復号化の処理時間うち、シンド
ロームから誤り位置多項式σ(Z)と誤り評価多項式ω
(Z)を求める過程が、最も長い計算時間が必要であ
り、この過程に対応する回路規模は最も大きい。そこ
で、この部分の回路規模を低減する提案が特開昭63−
157528号公報においてなされている。図6はこの
提案を示すブロックである。図6(a)はGCDを生成
するプロセッシングエレメントを示し、図6(b)は図
6(a)を用いた全体構成を示す。
【0044】この提案においては、シストリック・アレ
イによる方法を採用している。このシストリック・アレ
イのアルゴリズムは、ユークリッドの互除法を用いてG
CD(最大公約)を求める過程でσ(X)とω(X)と
を求めるものであるが、2つの多項式の最大次係数を互
い違いに乗ずることで次数を低減させている。なお、実
際の回路では、σ(X)とω(X)とを夫々求めるため
に、図6の回路を2回用いるか、又は、図6の回路を2
系統設ける必要がある。
【0045】このように、従来のユークリッド互除回路
においては、1つの基本処理回路は、図6(a)に示す
ように、2つの乗算器、1つの加算器、3入力2出力の
マルチプレクサ及び7つのレジスタによって構成してお
り回路規模が極めて大きい。例えば、ガロア体GF(2
8 )上のRS符号のように、1シンボルが8ビットであ
る場合には、ゲート数をNANDゲート単位で求める
と、約1.2Kゲートを構成する必要がある。実際に
は、この基本回路を図6(b)に示すように(2t+
2)個使用するから、例えば、2t=10である場合に
は、14.4Kゲートを構成しなければならない。更
に、復号を高速にするためには、図6の回路を2回使用
することはできないので、2組の回路を用意する必要が
ある。この場合には、LDC(Long Distance Code)を
採用して、2t=16としたとすると、ゲート数は2
1.6K必要となり、膨大な回路規模となってしまう。
【0046】
【発明が解決しようとする課題】このように、上述した
従来のユークリッド互除回路においては、回路規模が極
めて大きいという問題点があった。
【0047】本発明は、高速性を損なうことなく回路規
模を低減することができるユークリッド互除回路を提供
することを目的とする。
【0048】[発明の構成]
【0049】
【課題を解決するための手段】本発明に係るユークリッ
ド互除回路は、被除多項式と除多項式との除算の剰余の
次数が所定の条件を満足するまで、前記剰余で前記除多
項式を繰返し除算するユークリッド互除回路において、
前記被除多項式の各次数の係数を夫々記憶する複数のレ
ジスタを有する第1のレジスタ群と、前記除多項式の各
次数の係数を夫々記憶する複数のレジスタを有する第2
のレジスタ群と、前記第1及び第2のレジスタ群が記憶
している係数を用いて、前記被除多項式を除多項式で除
算した剰余の係数を求めて前記第1のレジスタ群の各レ
ジスタに記憶させる帰還手段と、前記除多項式の最大次
係数が非零となるまで1回の除算終了毎に前記第1のレ
ジスタ群の各レジスタの内容を前記第1のレジスタ群の
次段のレジスタにシフトさせるシフト手段と、前記第1
のレジスタ群の各レジスタに記憶されている前記被除多
項式の係数と前記第2のレジスタ群の各レジスタに記憶
されている前記除多項式の係数とを同一次数のレジスタ
同士で交換する交換手段とを具備したものである。
【0050】
【作用】本発明において、帰還手段は、被除多項式を除
多項式で除算した剰余を前記第1のレジスタ群の各レジ
スタに記憶させる。これにより、剰余で除多項式を繰返
し除算させる。除数の最高次係数が0である場合には除
算が不可能となるので、シフト手段は最高次係数が0で
なくなるまでシフトさせる。交換手段が除多項式と被除
多項式との内容を交換するので、従来に比して回路規模
を削減することが可能となる。
【0051】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。図1は本発明に係るユークリッド互除回路
に採用される除算器の一実施例を示すブロック図であ
る。
【0052】先ず、本実施例において採用する多項式の
除算器の原理について図2を参照して説明する。
【0053】除算の例として被除多項式と除多項式の割
算であるX4 ÷aX3 +bX2 +cX+dを考える。図
2において、レジスタ1乃至3は被除多項式の係数を記
憶するためのものである。レジスタ5乃至7は夫々除多
項式の係数d,c,b,aを記憶しており、夫々係数d
乃至aを乗算器12乃至14及び逆元ROM8に出力する。
逆元ROM8はレジスタ7の内容の逆元を乗算器15に与
えるようになっている。
【0054】
【表1】 上記表1は各タイミングt0 乃至t6 における入出力及
びレジスタ1乃至3の内容を示している。被除多項式は
最高次数から順次加算器9に与える。表1に示すよう
に、タイミングt0 においては、レジスタ1乃至3は初
期化されて0になっている。タイミングt1 で被除多項
式の最高次X4 の係数1が入力される。以後、タイミン
グt2 乃至t6 において入力される被除多項式の係数は
いずれも0である。次のタイミングt2 においても出力
は0であり、加算器9は乗算器12からの0と入力の1と
を加算してレジスタ1に格納する。レジスタ1の内容は
タイミングt3 ,t4 で順次レジスタ2,3に転送され
る。
【0055】タイミングt4 においてレジスタ3の内容
が1になると、乗算器15は逆元ROM8からの1/aを
乗算して、最高次数の商を初めて出力する。この商は乗
算器12乃至14に帰還されて、夫々係数d乃至aが乗算さ
れ、次のタイミングt5 において、レジスタ1乃至3に
は夫々d/a,c/a,b/aが格納される。これによ
り、タイミングt5 の商はb/a2 となる。出力はタイ
ミングt5 で終了する。
【0056】以後、同様の動作が繰返され、タイミング
t6 では、レジスタ1乃至3に剰余が格納される。図3
は上述した除算を筆算によって示したものである。図2
の回路は図3の筆算と同一の動作を行っており、図3の
筆算結果と同一の結果が得られている。
【0057】被除多項式の0でない最高次数がレジスタ
3に格納されるまで、即ち、タイミングt0 乃至t3 の
期間は最高次数をシフトさせているだけであり、被除多
項式の0でない最高次数の係数をレジスタ3に、以下の
係数をレジスタ2,1に並列に格納させてもよい。この
場合には、タイミングt4 乃至t6 のみの動作でよい。
【0058】なお、この例のように、被除多項式と除多
項式の次数差が1の場合には、計算は必ず2クロックで
終了する。
【0059】図1は本実施例に組込まれる除算器を示す
ブロック図である。
【0060】レジスタ21乃至28は被除数であるRi-2
(X)の係数記憶用のレジスタであり、レジスタ31乃至
38は除数であるRi-1 (X)の係数記憶用のレジスタで
ある。レジスタ21乃至28には除算終了後の剰余が保存さ
れるので、これらのレジスタ21乃至28をRi レジスタと
いい、レジスタ31乃至38をRi-1 レジスタという。
【0061】レジスタ21乃至28のデータ端Dには夫々ス
イッチ60乃至67からデータを供給する。レジスタ21乃至
28の出力データは、夫々加算器41乃至47及び乗算器72に
与えると共に、レジスタ31乃至38のデータ端Dにも与え
る。レジスタ31乃至38の出力データは、夫々乗算器51乃
至57及び逆元ROM70に与えると共に、スイッチ60乃至
67にも与える。
【0062】スイッチ60には0及びシンドローム係数S
0 も与えられ、スイッチ60は後述する制御信号LDN,
LDN2に制御されて、0、シンドローム係数S0 及び
レジスタ31の出力のいずれかを選択してレジスタ21に与
えるようになっている。同様に、スイッチ31乃至67に
は、夫々前段の加算器41乃至47の出力及びS1 乃至S7
も与えられ、スイッチは3入力の1つを選択してレジス
タ22乃至28に出力する。
【0063】逆元ROM70はレジスタ38出力の逆元をア
ンドゲート71に出力する。アンドゲート71は信号QEN
の“H”で逆元を乗算器72に与える。乗算器72はレジス
タ28の出力と逆元との乗算を行って、出力Q(X)とし
て出力すると共に、乗算器51乃至57に出力する。乗算器
51乃至57は夫々レジスタ31乃至37の出力とQ(X)とを
乗算して加算器41乃至47に出力する。加算器41乃至47は
前段のレジスタ21乃至27の出力と乗算器51乃至57の出力
とを加算してスイッチ61乃至67に与えるようになってい
る。
【0064】次に、このように構成された実施例の動作
について図4及び図5を参照して説明する。図4はユー
クリッド互除法のアルゴリズムを説明するためのフロー
チャートであり、「符号理論」(P172,今井秀樹
著、電子情報通信学会編)に記載されたものである。図
5は図1の除算器の動作を説明するためのタイミングチ
ャートである。
【0065】例として、ガロア体GF(24 )上の(1
5、7)RS符号を復号する場合について説明する。原
始多項式P(X)をP(X)=X4 +X+1とし、生成
多項式G(X)を下記式(41)で示すものとする。
【0066】 受信信号の最後の情報から先頭の情報までの15の情報
を0番目乃至14番目の情報というものとして、9,1
0,11,12番目の値にエラーが発生したものとす
る。この場合には、シンドローム係数S0 乃至S7 は下
記式(42)で与えられる。
【0067】 S0 =α8 ・(α9 ) +α・(α10) +α6 ・(α11) +α9 ・(α12) =α S1 =α8 ・(α9 2 +α・(α102 +α6 ・(α112 +α9 ・(α12)2 =α10 S2 =α8 ・(α9 3 +α・(α103 +α6 ・(α113 +α9 ・(α12)3 =α12 S3 =α8 ・(α9 4 +α・(α104 +α6 ・(α114 +α9 ・(α12)4 =α11 S4 =α8 ・(α9 5 +α・(α105 +α6 ・(α115 +α9 ・(α12)5 =1 S5 =α8 ・(α9 6 +α・(α106 +α6 ・(α116 +α9 ・(α12)6 =α8 S6 =α8 ・(α9 7 +α・(α107 +α6 ・(α117 +α9 ・(α12)7 =α13 S7 =α8 ・(α9 8 +α・(α108 +α6 ・(α118 +α9 ・(α12)8 =α3 …(42) 従って、シンドローム生成多項式S(X)は下記式(4
3)によって示すことができる。
【0068】 S(X)=α3 7 +α136 +α8 5 +X4 +α113 +α122 +α10X +α …(43) 次に、図4に示すユークリッドの互除法に基づいて計算
を行う。
【0069】先ず、ステップA1 において、R-1(X)
=X2t=X8 ,R0 =S(X),B-1(X)=0,B0
=1とする。
【0070】次のステップA2 においてi=1とした
後、ステップA3 で下記式(44)に示す演算を行う。
【0071】 Ri (X)=Ri-2 (X) mod Ri-1 (X) …(44) ここで、Qi (X)はRi-2 (X)をRi-1 (X)で除
算したときの商である。
【0072】次いで、ステップA4 において下記式(4
5)の演算を行う。
【0073】 Bi (X)=Bi-2 (X)−Qi (X)・Ri-1 (X) …(45) 上記(44),(45)の演算は、deg Ri (X)<t
(=4)となるまで行う。deg Ri (X)<4である場
合には、ステップA5 からステップA6 に移行してiに
1を加算し、ステップA3 ,A4 を繰返す。
【0074】この例では、1回目のループで、R1
(X)は下記式(46)に示すものとなる。
【0075】 R1 (X)=R-1(X)÷R0 (X)=X8 ÷S(X) ={(α12X+α7 )/Q1 (X)}+{(α115 +α114 +αX3 +α3 2 +α14X+α8 )/R1 (X)} …(46) deg R1 (X)=5であるので、ステップA4 でiをイ
ンクリメントして、R2(X)を求める。
【0076】 R2 (X)={(α7 2 +α12X+α12)/Q2 (X)}+{(α114 +α113 +X2 +α12Xα2 )/R2 (X)} …(47) deg R2 (X)=4であるので、ステップA4 で再度i
をインクリメントして、R3 (X)を求める。
【0077】 R3 (X)=R1 (X)÷R2 (X) ={(X)/Q3 (X)}+{(α4 X+α102 +α13X+α8 )/R3 (X )} …(48) 式(48)はdeg R3 (X)=3であるので、計算を終
了してステップA5 から処理をステップA7 に移行す
る。式(48)のR3 (X)がω(X)である。同様
に、このときのB1 (X)について求めると、 B1 (X)=B-1(X)−Q1 (X)・B0 (X)=0−Q1 (X)・1 =Q1 (X)=(α12X+α7 ) …(49) B2 (X)=B0 (X)−Q2 (X)・B1 (X) =1−(α7 2 +α12X+α12)・(α12X+α7 ) =α4 3 +α4 2 +α14X+α …(50) B3 (X)=B1 (X)−Q3 (X)・B2 (X) =(α12X+α7 )−X・(α4 3 +α4 2 +α14X+α) =α4 4 +α4 3 +α142 +α13X+α7 …(51) となる。式(51)のB3 (X)がσ(X)である。
【0078】ここで、σ(X)にα-12 を代入すると、
下記式(52)が得られる。
【0079】 σ(α3 )=α4 ・α12+α4 ・α9 +α14・α6 +α13・α3 +α7 =0 …(52) この式(52)から12番目にエラーが発生したことが
判明する。このときの誤り値eは、σ(X)の奇数項を
集めて求めた導関数σ′(X)=α4 2 +α13を用い
て下記式(53)で表わすことができる。
【0080】 e=ω(X)÷σ′(X) …(53) 式(53)にα-12 を代入すると、 X=α-12 =α3 であるので、 e=ω(α3 )÷σ′(α3 ) =(α4 ・α9 +α10・α6 +α13・α3 +α8 )÷
(α4 ・α6 +α13) =α3 ÷α9 =α9 このようにして、誤り値α9 が求められる。
【0081】同様に、式(52),(53)にα-11
α-10 ,α-9を代入する。
【0082】X=α-11 =α4 であるので、式(52)
は σ(α4 )=α4 ・α16+α4 ・α12+α14・α8 +α
13・α4 +α7 =0 となる。また、式(53)から e=ω(α4 )÷σ′(α4 ) =(α4 ・α12+α10・α8 +α13・α4 +α8 )÷
(α4 ・α8 +α13) =α6 が得られる。
【0083】また、X=α-10 =α5 であるので、式
(52),(53)は、 σ(α5 )=α4 ・α20+α4 ・α15+α14・α10+α
13・α5 +α7 =0 e=ω(α5 )÷σ′(α5 )=α となる。
【0084】また、X=α-9=α6 であるので、 σ(α6 )=α4 ・α24+α4 ・α18+α14・α12+α
13・α6 +α7 =0 e=ω(α6 )÷σ′(α6 )=α8 となる。このようにして、誤り位置及び誤りの値が求め
られる。
【0085】本実施例の除算器は上記式(44),(4
5)のRi (X)=Ri-2 (X)mod Ri-1 (X)
の商Q(X)及びω(X)を求めるものである。
【0086】先ず、図5の期間Aにおいて、制御信号L
DN(図5(a))によってRi レジスタにS(X)を
記憶させ、Ri-1 レジスタにX8 を記憶させる。この場
合には、R1 レジスタの次数deg Ri (X)<t(=
4)であるか否かを判定する。この例では、S(X)=
α3 7 +α136 +α8 5 +X4 +α113 +α12
2 +α10X+αであり次数は7であるので、次の処理
を行う。
【0087】次に、図5の期間Bにおいて、Ri レジス
タの最高次係数が0でなくなるまでシフトを行う。図5
の場合には、最高次係数のR6 はα3 (=8(HE
X))であるので、シフトは行わない。
【0088】次のC期間には、制御信号LDN2によっ
て、Ri レジスタとRi-1 レジスタの内容を交換する。
このとき、X8 ÷S(X)の計算を開始して、Q(X)
に最高次数のα12(=F(HEX))を得る。これによ
り、Q(X)が有効な期間を示す信号QENが“H”と
なる。上述したように、次数差が1であるので、除算は
2クロックで終了する。次のD期間には、Q(X)とし
て係数α7 (=B(HEX))が得られる。除算はこの
時点で終了し、QENは“L”になる。
【0089】図5のE期間には、Ri レジスタに剰余多
項式の係数が保存される。即ち、レジスタ21乃至28の各
出力は、R6 =0、R5 =α11、R4 =α11、R3 =
α、R2 =α3 、R1 =α14、R0 =α8 である。この
E期間には、A期間と同一の動作によって次数判定を行
う。この場合の次数は5であるので、次の動作に移行す
る。以後は期間A乃至Dの処理が繰返される。
【0090】F期間はB期間と同一の動作を行い、Ri
レジスタの最高次係数が0でなくなるまでシフトを行
う。R6 が0であるので1回だけシフトを行っている。
【0091】G期間はC期間と同一の動作を行い、制御
信号LDN2によってRi レジスタとRi-1 レジスタと
の内容を交換し、除算を開始してQ(X)に最高次数の
α7(=B(HEX))を得る。F期間の1回のシフト
によって次数差は2になるので、QENは3クロック分
になる。つまり、F期間のシフト分だけQENは延長さ
れることになり、計算後の次数はシフト分だけ低下す
る。
【0092】H期間は除算期間であり、Q(X)として
α12(=F(HEX))が得られる。I期間はD期間と
同一の処理を行って、Q(X)として2(F(HE
X))が出力される。除算はI期間で終了し、QENは
“L”となる。
【0093】J期間はE期間と同一の動作を行い、Ri
レジスタには剰余多項式の係数が保存される。即ち、R
6 =α11、R5 =α11、R4 =1、R3 =α12、R2 =
α2、R1 =0、R0 =0である。ここで、次数判定に
よって次数4を得る。次数が4より小さくなっていない
ので、処理を継続させる。
【0094】次のK期間においては、R6 =α11である
のでシフトは行わない。L期間は制御信号LDN2によ
ってRi レジスタとRi-1 レジスタの内容を交換する。
そして、除算を開始してQ(X)として最高次数のα0
(=1(EEX))を得る。
【0095】M期間に除算が終了し、Q(X)の次数0
が出力される。N期間においてRiレジスタに剰余多項
式の係数が保存される。R6 =α4 、R5 =α10、R4
=α13、R3 =α8 、R2 =0、R1 =0、R0 =0で
ある。O期間に次数判定を行う。この次数判定によっ
て、次数3が得られるので処理を停止する。
【0096】このように、本実施例においては、1回の
除算毎にレジスタの内容を交換して、多項式の係数によ
る除算を行っており、ユークリッド互除演算における処
理時間を短縮して誤り訂正の処理速度を向上させること
ができる。また、バッファメモリを必要とせず、実時間
処理が可能であることから、ディジタルVTR等のよう
に高速データ転送を行うものに有効である。
【0097】本実施例においては、ガロア体GF
(28 )上で、基本回路部分(図1の破線部)は約50
0ゲートで構成することができ、また、逆元ROMも約
500ゲートで構成することができる。基本回路部分を
2t個設け、逆元ROMを1個設ければよいので、2t
=10の場合には、約5.5Kゲートの回路規模でよ
く、2t=16の場合には、約85Kゲートで構成する
ことができ、従来に比して著しく回路規模を縮小するこ
とができる。なお、基本回路を縦続接続するだけで、何
重誤り訂正にも容易に拡張することができることは明ら
かである。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、高
速性を損なうことなく回路規模を低減することができる
という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るユークリッド互除回路に
採用される除算器の一実施例を示すブロック図。
【図2】実施例の原理を説明するためのブロック図。
【図3】実施例の原理を説明するための説明図。
【図4】実施例の動作を説明するためのフローチャー
ト。
【図5】実施例の動作を説明するためのタイミングチャ
ート。
【図6】従来のユークリッド互除回路を示すブロック
図。
【符号の説明】
21〜28…Ri レジスタ、31〜38…Ri-1 レジスタ、60〜
67…スイッチ41〜47…加算器、51〜57…乗算器
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06F 11/10 330 H03M 13/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被除多項式と除多項式との除算の剰余の
    次数が所定の条件を満足するまで、前記剰余で前記除多
    項式を繰返し除算するユークリッド互除回路において、 前記被除多項式の各次数の係数を夫々記憶する複数のレ
    ジスタを有する第1のレジスタ群と、 前記除多項式の各次数の係数を夫々記憶する複数のレジ
    スタを有する第2のレジスタ群と、 前記第1及び第2のレジスタ群が記憶している係数を用
    いて、前記被除多項式を除多項式で除算した剰余の係数
    を求めて前記第1のレジスタ群の各レジスタに記憶させ
    る帰還手段と、 前記除多項式の最大次係数が非零となるまで1回の除算
    終了毎に前記第1のレジスタ群の各レジスタの内容を
    記第1のレジスタ群の次段のレジスタにシフトさせるシ
    フト手段と、前記第1のレジスタ群の各レジスタに記憶されている
    記被除多項式の係数と前記第2のレジスタ群の各レジス
    タに記憶されている前記除多項式の係数とを同一次数の
    レジスタ同士で交換する交換手段とを具備したことを特
    徴とするユークリッド互除回路。
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