JPH09302413A - 低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH09302413A
JPH09302413A JP8119923A JP11992396A JPH09302413A JP H09302413 A JPH09302413 A JP H09302413A JP 8119923 A JP8119923 A JP 8119923A JP 11992396 A JP11992396 A JP 11992396A JP H09302413 A JPH09302413 A JP H09302413A
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善彦 尾田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電磁鋼板を縦型焼鈍炉にて製造する場合にお
いて、低磁場特性を劣化させることなく無方向性電磁鋼
板を製造する方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.01%以下、Si:
4%以下、Mn:0.1〜0.8%、Al:0.004
%以下を含有し、V:0.01%以下(0を含む)、
S:0.02%以下(0を含む)、N:0.005%以
下(0を含む)、P:0.2%以下(0を含む)である
冷間圧延鋼板を、鋼板張力が0.7kgf/mm2以上となる
縦型焼鈍炉にて仕上焼鈍を施すに際し、仕上焼鈍温度
を、T≧1380+120×log 〔V(%)×N
(%)〕(℃)として仕上焼鈍を行った後、仕上焼鈍温
度から500℃までの平均冷却速度を10〜50℃/s
として冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた低磁場特性を
有する無方向性電磁鋼板の製造方法に関し、特に、冷蔵
庫、エアコン用などの小型モータ、小型制御用モータ、
インバータ駆動モータの鉄心材料として好適な電磁鋼板
を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パワーエレクトロニクス技術が急速な進
歩をとげ、その代表例であるインバーターが産業用の大
型機器から家電製品まで幅広く採用されるようになって
きた。インバーターの採用により、電気機器の省電力、
高効率、高性能、小型化などが実現されている。従来、
こうした大型モーターやコンプレッサーモーターの鉄心
材料には高磁束密度(B50で評価)、低鉄損(W15/
50)が要求されてきた。しかしながらインバーター駆
動による大型モーターやコンプレッサーモーターは、起
動時には1.2〜1.5T、安定状態では0.8〜1.
0T程度で励磁されることが多く、これまで以上に低磁
場での磁気特性が重要視されるようになってきた。さら
に小型モータ、特に交流モータ、インバータ駆動モー
タ、小型制御用モータなどは、応答性が重要視され、鉄
心材料として使用される電磁鋼板には、磁化曲線の立ち
上がりが鋭いこと、即ち、低磁場領域での磁束密度が高
いことが要求されている。
【0003】ところで、電磁鋼板の焼鈍は、従来、鋼板
への歪みの導入が少ない横型炉で行われていた。しか
し、横型炉において能率を高めるためには炉長を長くす
る必要があり、このため炉の建設に長大なスペースが必
要となるという問題があった。これに対し、縦型炉にお
いては、炉長は十分に長くとれ、またそれに伴う設備ス
ペースの増大は生じない。このため、縦型炉においては
高能率で焼鈍を行うことが可能であり、また、炉の建設
費も安くなることからコスト的にも有利となる。
【0004】しかし、縦型焼鈍炉にて電磁鋼板を製造し
た場合には、鋼板の自重等により、横型炉よりも大きな
張力が鋼板に付与されるため、一般に、横型炉で製造さ
れた電磁鋼板よりも低磁場特性が劣化していた。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みなされた
ものであり、電磁鋼板を縦型焼鈍炉にて製造する場合に
おいて、低磁場特性を劣化させることなく無方向性電磁
鋼板を製造する方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題は、(1) 重量%
で、C:0.01%以下、Si:4%以下、Mn:0.
1〜0.8%、Al:0.004%以下を含有し、V:
0.01%以下(0を含む)、S:0.02%以下(0
を含む)、N:0.005%以下(0を含む)、P:
0.2%以下(0を含む)である珪素鋼スラブを熱間圧
延して熱延鋼板を製造する工程、(2) 前記熱延鋼板を一
回または二回以上の冷間圧延によって冷延鋼板を製造す
る工程、(3) 前記冷延鋼板を、鋼板張力が0.7kgf/mm
2 以上となる縦型焼鈍炉にて、仕上焼鈍温度Tを T≧1380+120×log 〔V(%)×N(%)〕 (℃) として仕上焼鈍を行う工程、(4) 仕上焼鈍温度から50
0℃までの平均冷却速度を10〜50℃/sとして冷却
する工程、を有することを特徴とする低磁場特性に優れ
た無方向性電磁鋼板の製造方法により解決される。
【0007】なお、Cの含有量を0.005%以下に規
定すれば、さらに低磁場特性に優れた無方向性電磁鋼板
を製造することができる。
【0008】(発明に至る経緯)本発明者らが、縦型焼
鈍炉にて製造したtr. Al系の電磁鋼板の低磁場特性の向
上を妨げている原因に関し鋭意調査したところ、縦型焼
鈍炉においては鋼板の自重および張力により必然的に
0.7kgf/mm2 以上の応力が鋼板に付与され、特に、ロ
ールにより曲げ変形が加わる部分においては2〜5kgf/
mm2 程度の応力が加わっており、それに伴い、VNの微
細析出が促進されること、さらに、微細析出したVNが
磁壁の移動を妨げ、低磁場特性を悪化させることが判明
した。
【0009】よって、低磁場特性の優れたものとするた
めには、VNの析出を防止することが必要となる。VN
の析出を防止するためには、鋼中へのVの混入を防止す
ればよいが、Vは鉱石より不可避的に混入するため不可
能である。そこで本発明者らは、仕上焼鈍時にVNを鋼
中に完全に固溶させ、焼鈍後の冷却速度を制御すること
により、1.0kg/mm2 程度の張力下においてもVNの再析
出を防止することが可能となること、また、これにより
磁壁移動が容易になり、低磁場特性が非常に良好になる
ことを知見し、この知見に基づいて本発明を完成させ
た。以下、これらの経緯と各要素の限定理由について、
更に詳しく説明する。
【0010】本発明者らは低磁場特性をより向上させる
ため、磁壁の移動を妨げる因子について調査を行った。
【0011】まず始めに、化学組成がSi:0.75
%,Mn:0.21%,P:0.100%,S:0.0
04%,tr. Alの鋼を5 チャージ溶製し、その後鋳造
してスラブとした。このスラブを熱間圧延、冷間圧延に
より板厚0.5mm とし、引き続き縦型炉にて850℃×2
分間の仕上焼鈍を施し、5 ℃/sの冷却速度で室温まで
冷却した。縦型炉の焼鈍時および冷却時の鋼板張力は
0.8kgf/mm2 であった。仕上焼鈍後の鋼板より、外径
45mm、内径33mmのリングサンプルを歪みの入らない
放電加工により切り出し、一次100turn、二次100
turn巻き線後、低磁場特性を測定した。
【0012】その結果、同一成分の鋼であっても、10
0A/mに磁化した場合の磁束密度B1 が0.5〜1.
0Tと大きくばらつくことが判明した。
【0013】次に、これらのサンプルの介在物および析
出物の観察を行なった。観察は走査型電子顕微鏡(以下
SEMと呼ぶ)および透過型電子顕微鏡(以下TEMと
呼ぶ)を用いて行ない、SEM観察は鋼板断面を直接観
察し、TEM観察は抽出レプリカ観察とした。SEM観
察の結果、いずれのサンプルにおいても、1 〜5 μm程
度のSiO2 および0.1〜0.5μm程度のMnSが
観察され、低磁場特性によらず大きさ、量はほぼ同程度
であった。さらにTEM観察を行なったところ、低磁場
特性の低い材料においては、数十nm程度の極めて微細
な析出物が認められ、それらがVNであることが確認さ
れた。
【0014】このことより、低磁場領域の磁壁移動には
数十nmのVNが大きく影響を及ぼしていることを知見
した。即ち、鋼板の中のVNを極力低減することが、磁
壁の移動を容易にして低磁場特性を高め、逆にVNが多
くなると磁壁移動の障害となって低磁場特性を悪化させ
ることが判明した。
【0015】そこで、こうした微細なVNの生成を防止
する手法について検討を行なった。VNの析出を防止す
るためには、鋼中のVをtr. とすればよいが、Vは鉱石
より不可避的に混入するため不可能である。そこで本発
明者らは仕上焼鈍時にVNを鋼中に完全に固溶させ、焼
鈍後の冷却速度を制御することにより、1.0kgf/mm 2
程度の張力下においてもVNの再析出を防止する技術に
ついて検討した。以下にその検討内容を詳細に説明す
る。
【0016】(1)仕上焼鈍温度 まず、仕上焼鈍前のVNの状態についてTEM観察を行
なったところ、数十nmのVNが観察された。このた
め、VNの析出を抑さえるためには、仕上焼鈍時に再固
溶させる必要があると判断した。
【0017】そこで、まず、VNが固溶する仕上焼鈍温
度について検討した。本検討に用いたサンプルはC:
0.0025%、Si:1.05%、Mn:0.21
%、P:0.08%、tr. Al、S:0.004%、
V:0.001〜0.015%、N:0.0010〜
0.0060%の範囲で調整したもので、残部はFe及
び不可避不純物である。これらを冷間圧延により板厚
0.5mmとし、仕上焼鈍温度を650℃×2分間から9
00℃×2分間の範囲で変化させた。その後、平均冷速
100℃/sで室温まで急冷し、サンプルを得た。
【0018】このようにして得られたサンプルのTEM
観察結果を図1に示す。これより、仕上焼鈍温度Tが T≧1380+120×log 〔V(%)×N(%)〕 (℃) であればVNは完全に固溶することがわかる。
【0019】(2)冷却パターン このように再固溶したVNは、仕上焼鈍後の冷却速度が
遅い場合には再析出してくるものと考えられる。そこ
で、仕上焼鈍後の冷却速度について検討した。
【0020】本検討に用いたサンプルはC:0.002
5%、Si:1.05%、Mn:0.21%、P:0.
08%、tr. Al、S:0.004%、V:0.007
%、N:0.0020%、残部はFe及び不可避不純物
である。これらを冷間圧延により板厚0.5mmとし、V
Nが完全に固溶する850℃×2分間の仕上焼鈍を施し
た。その後、2 〜15℃/sの冷却速度で室温まで急冷
し、サンプルを得た。なお、この際の鋼板張力は0.1
〜1.5kgf/mm2 の範囲で調整した。
【0021】このようにして得られたサンプルのTEM
観察を行った結果を図2に示す。図2より、横型焼鈍炉
において鋼板に付与される張力である0.5kgf/mm2
度においては、横型焼鈍炉における仕上焼鈍後の平均的
な冷却速度である5℃/s程度の冷却速度でもVNは観
察されないことがわかる。
【0022】しかし、縦型焼鈍炉においては鋼板張力は
0.7kgf/mm2以上となり、特にロール部においては2〜5
kgf/mm2 となる。このような場合には図2より明らかな
ように、VNの再析出を抑制するためには10℃/s以
上の急冷を行う必要がある。
【0023】以上のことより、縦型焼鈍炉においてVNの
再析出を抑制するためには、仕上焼鈍後の冷却速度を1
0℃/s以上とする必要があることが明らかとなった。
【0024】(3)急冷終了温度 次に、急冷終了温度について検討した。本検討に用いた
鋼板の成分は、C:0.0022%、Si:0.30
%、Mn:0.44%、P:0.112%、Al:tr.
、N:0.0025%、S:0.004%、V:0.
004%残部はFe及び不可避不純物である。これらを
冷間圧延により板厚0.5mmとし、鋼板に張力1.0kg
f/mm2 を付与した条件下で、VNが完全に固溶する85
0℃×2分間の仕上焼鈍を施し、焼鈍後速やかに30℃
/sの急冷を開始し、急冷終了温度を750℃から30
0℃まで変化させた。なお、急冷終了後は5℃/sの一
定冷却速度で室温まで冷却を行った。
【0025】このように急冷を行った場合のVNの析出状
態を調査するため、仕上焼鈍板を4%MS系(4%サリ
チル酸メチル−1%サリチル酸−1%塩化テトラメチル
アンモニウム−メタノール)電解液で1g定電位電解
し、得られた残渣をアルカリ融解して金属元素を定量す
ることにより、VNとしてのV量を求めた。得られた結
果を表1に示す。表1から明らかなように、500℃以
下で急冷を終了したサンプルにおいてはVNは全く認め
られなかった。これに対し、500℃超で急冷を終了し
たサンプルにおいてはVNが認められ、VNの量は、急
冷終了温度が500℃までは、急冷終了温度の上昇に伴
い多くなることが判明した。
【0026】また、急冷終了温度が500℃以下におい
ては、急冷を中止したとしてもVNは析出しないことも
明らかとなった。このことは、VNの析出は500℃以
上で終了していることを示しており、500℃以下で急
冷する必要は無いことを示している。
【0027】以上のことより、仕上焼鈍後の急冷は50
0℃まで行えばよく、500℃以下の冷却速度について
は特に規定する必要はない。
【0028】
【表1】
【0029】(4)急冷速度の上限 以上の検討によりVNを析出させない急冷条件が明らか
となったが、冷却速度が速くなると、それに伴い、鋼板
へ導入される冷却歪みも大きくなるものと考えられる。
そこで、次に、急冷速度の上限について検討を行った。
本検討に用いた鋼板の成分は、C:0.0022%、S
i:0.75%、Mn:0.45%、P:0.110
%、Al:tr. 、N:0.0022%、S:0.003
%、V:0.005%残部はFe及び不可避不純物であ
る。
【0030】これらを冷間圧延により板厚0.5mmと
し、鋼板に張力1.0kgf/mm2 を付与した条件下で、V
Nが完全に固溶する850℃×2分間の仕上焼鈍を施
し、焼鈍後速やかに500℃まで5〜70℃/sの冷却
を行い、500℃から300℃まで5℃/sの徐冷を行
った。図3にこのようにして得られた鋼板の830℃か
ら500℃までの平均冷却速度VQとB1 の関係を示
す。図3より冷却速度VQが10〜50℃/sの範囲に
おいてはB1 が1.0T以上の良好な値を示している。
これに対し、10℃/s未満および50℃/s超におい
てはB1 は大きく低下している。この10℃/s未満に
おける低磁場特性の低下は、前述したようにVNが析出
するためである。10℃/s超においては鋼板中へ冷却
歪みが導入されるようになるものの、一方でVNの析出
が抑制されるため低磁場特性は良好となる。しかし、冷
却速度が50℃/sを超えた場合には、鋼板中へ導入さ
れる冷却歪みが非常に大きくなるため低磁場特性が著し
く劣化する。以上のことより、急冷速度は10〜50℃
/sとする。
【0031】また、図3から明らかなように、急冷速度
のより好ましい範囲は、10〜30℃/sである。
【0032】(5)VとNの許容範囲 次に本発明が適用できるVとNの上限について検討し
た。
【0033】図4は鋼板中のV量およびN量と仕上焼鈍
後の磁束密度B1 の関係を示している。図4において、
鋼板中の成分は、C:0.0021%、Si:2.05
%、Mn:0.45%、P:0.100%、Al:t
r、S:0.0020%、V:0.001〜0.015
%、N:0.0010〜0.0070%であり、残部は
Fe及び不可避不純物である。これらを冷間圧延により
板厚0.5mmとし、鋼板に張力1.0kgf/mm2 を付与し
た条件下で、920℃×2分間の仕上焼鈍を施し、80
0℃から500℃までの平均冷却速度を25℃/sと
し、500℃から300℃までの平均冷速を5℃/s一
定としサンプルを得た。
【0034】図4から、V を0.01%以下、N を0.
005%以下にすることで、磁束密度B1 は1.00T
以上と高くなるが、Vが0.01%超又はNが0.00
5%超となった場合には本発明の仕上焼鈍条件及び冷却
速度条件においても低磁場特性は向上しないことがわか
る。
【0035】この原因を調査するため、Vが0.012
%、Nが0.002%の鋼板と、Vが0.003%、N
が0.006%の鋼板のTEM観察を行った。その結
果、いずれの鋼板においても微細なVN多数観察され
た。すなわち、Vが0.01%超又はNが0.005%
超となった場合には、本発明の冷却速度においてもVN
が再析出し、冷却速度をさらに大きくする必要があるこ
とが明らかとなった。
【0036】しかし前述したように冷却速度を50℃/
sよりも大きくした場合には鋼板中に冷却歪みが導入さ
れるため低磁場特性は低下する。以上のことより、Vは
0.01%以下、Nは0.005%以下とする。
【0037】(6)その他の成分の範囲 Cは鉄損を多くする有害な成分でかつ磁気時効の原因と
なるので0.01%以下とするが、より好ましくは0.
005%以下とする。
【0038】Siは鋼板の固有抵抗を上げ鉄損を少なく
するのに有効な成分であるが、4%を超えると冷間圧延
が困難となるため上限を4%とする。
【0039】Mnは鋼板の固有抵抗を上げて鉄損を少な
くするのに有効な成分であるため0.1%以上とし、一
方、多すぎると磁束密度が低下するため0.8%以下と
する。
【0040】Alは微量に添加した場合には微細なAI
Nを生じ、磁気特性を劣化させる。このため0.004
%以下とする。
【0041】Pは鋼板の打ち抜き性を改善するために有
効な成分であるのである程度含まれている方が好ましい
が、0.2%を超えて添加すると鋼板の加工性が低下す
るため0.2%以下とする。
【0042】Sは磁気特性を劣化させるMnS等を形成
するため、上限を0.02%とする。
【0043】なお、本発明では、Sb、Sn、Bを磁気
特性向上のために添加することは何らさしつかえない。
【0044】残りの成分は実質的にFeと不可避不純物
からなる。ここに、「実質的に」というのは、本発明の
技術的思想を害さない範囲で、任意の微量成分が添加さ
れたものをも含む趣旨である。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の鋼板の製造方法は以下の
とおりである。
【0046】Vが所定の範囲内となった溶鋼を転炉また
は電気炉で溶製し、脱ガス処理して所定の成分に調整
し、造塊鋳造、連続鋳造あるいはストリップキャスタで
鋳造し、熱間加工を行う。熱間加工は、分塊圧延、粗圧
延、仕上熱延の内、仕上熱延は必須であるが、分塊圧
延、粗圧延は鋳造後の鋼塊、鋼片、鋳造板などの厚さ寸
法、リジング抑制の要求などにより選択する。
【0047】熱間圧延後の熱延板焼鈍は行ってもよいが
必須ではない。その他、熱間圧延と冷間圧延の間に任意
の付加的な工程(酸洗等)を介在させてもよい。次い
で、一回の冷間圧延、もしくは中間焼鈍をはさんだ2回
以上の冷間圧延により所定の板厚とした後に、縦型炉に
て仕上焼鈍し所定の冷却速度で冷却する。冷間圧延と仕
上焼鈍の間にも、任意の付加的な工程(洗浄等)を介在
させてもよい。
【0048】
【実施例】表2、表3に示す成分の珪素鋼を、転炉で吹
練した後に、脱ガス処理して所定の成分に調整後、鋳造
し、熱間圧延で板厚2mmの鋼板を得た。次いで、酸洗
し、板厚0.5mmまで冷間圧延し、縦型炉にて表2、表
3の条件の仕上焼鈍および冷却を行った。仕上焼鈍後の
鋼板より、外径45mm、内径33mmのリングサンプル
を、歪みの入らない放電加工により切り出し、一次10
0turn、二次100turn巻き線後、低磁場特性を測定し
た。
【0049】表2、表3において、Tは、1380+1
20×log 〔V(%)×N(%)〕の値を示す。また、
張力は縦型炉における鋼板張力、TFは急冷終了温度、
VQは仕上焼鈍温度から急冷終了温度までの平均冷却速
度を示す。
【0050】表2は、Siの範囲が1%以下(主として
約0.3%)の珪素鋼についてのデータであり、表3
は、Siの範囲が約2%以上の珪素鋼についてのデータ
である。
【0051】表2において、鋼板番号1〜5のものは本
発明の実施例であり、6〜12のものは比較例である。
Siの含有量が低いので、実施例の中にもB1 が0.8
(T)と低いものもあるが、いずれの実施例も比較例に
比べて高い値を示している。また、実施例においては、
W10/50の値も比較例に比べて低い。
【0052】表3においては、鋼板番号13〜20のも
のが本発明の実施例であり、21〜31のものが比較例
である。実施例においては、B1 がいずれも約1(T)
以上となっており、比較例に比べて高い値を示してい
る。また、W10/50の値も、一部の例外を除いて比較例
に比べて低い。
【0053】これらの例から明らかなように、同一のS
iのレベルで比較した場合、本発明の電磁鋼板は、比較
例に比して良好な低磁場特性を示している。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、珪
素鋼板の成分値と仕上焼鈍温度、仕上焼鈍後の冷却速度
を規定することにより、鋼板張力が高い縦型焼鈍炉を使
用する場合でも、低磁場特性の優れた無方向性電磁鋼板
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 V(%)×N(%)の値及び仕上げ焼鈍温度
と、VNの有無の関係を示す図である。
【図2】 仕上焼鈍時の鋼板張力及び平均冷却速度VQ
と、VNの有無の関係を示す図である。
【図3】 平均冷却速度VQとB1 の関係を示す図であ
る。
【図4】 V(%)、N(%)とB1 の関係を示す図で
ある。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) 重量%で、C:0.01%以下、S
    i:4%以下、Mn:0.1〜0.8%、Al:0.0
    04%以下を含有し、V:0.01%以下(0を含
    む)、S:0.02%以下(0を含む)、N:0.00
    5%以下(0を含む)、P:0.2%以下(0を含む)
    である珪素鋼スラブを熱間圧延して熱延鋼板を製造する
    工程、(2) 前記熱延鋼板を一回または二回以上の冷間圧
    延によって冷延鋼板を製造する工程、(3) 前記冷延鋼板
    を、鋼板張力が0.7kgf/mm2 以上となる縦型焼鈍炉に
    て、仕上焼鈍温度Tを T≧1380+120×log 〔V(%)×N(%)〕 (℃) として仕上焼鈍を行う工程、(4) 仕上焼鈍温度から50
    0℃までの平均冷却速度を10〜50℃/sとして冷却
    する工程、を有することを特徴とする低磁場特性に優れ
    た無方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で、Cの含有量が0.005%以
    下である他は成分が請求項1に記載の範囲である珪素鋼
    スラブを使用する請求項1に記載の低磁場特性に優れた
    無方向性電磁鋼板の製造方法。
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