JPH09300096A - オーステナイト系ステンレス鋼用不活性ガスアーク溶接材料 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス鋼用不活性ガスアーク溶接材料

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JPH09300096A
JPH09300096A JP12204696A JP12204696A JPH09300096A JP H09300096 A JPH09300096 A JP H09300096A JP 12204696 A JP12204696 A JP 12204696A JP 12204696 A JP12204696 A JP 12204696A JP H09300096 A JPH09300096 A JP H09300096A
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welding material
welding
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weld metal
less
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JP12204696A
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English (en)
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Yusuke Minami
雄介 南
Tsuneji Ogawa
恒司 小川
Yoshizo Hashimoto
芳造 橋本
Shintaro Ozaki
慎太郎 尾崎
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Kobe Steel Ltd
JFE Engineering Corp
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 溶接作業性を向上させることができ、溶接の
ままで母材と同じレベルの高温強度を有する溶接金属を
得ることができると共に、溶接金属の耐割れ性を高める
ことができ、これにより、トータルコストが低減された
オーステナイト系ステンレス鋼用不活性ガスアーク溶接
材料。 【解決手段】 オーステナイト系ステンレス鋼用不活性
ガスアーク溶接材料は、C、N、Nb、Si、Mn、C
r、Ni、Cu、Mo、Al、C+Nの量が特定され、
残部がFe及び不可避的不純物からなり、前記不可避的
不純物のうち、S、Ca、Ti、P及びSは特定量以下
に規制されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はタングステン等の非
消耗性電極を使用して溶接アークを発生するTIG溶
接、プラズマ溶接並びに溶接材料自身が電極となる消耗
性電極を使用するMIG溶接等の不活性ガスアーク溶接
において適用される溶接材料に関し、特に、溶接作業性
が優れており、優れた高温強度を有する溶接金属を得る
ことができるオーステナイト系ステンレス鋼用不活性ガ
スアーク溶接材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、高温環境下においては、良好
な高温強度を有する18Cr−8Ni系ステンレス鋼材
が使用されてきているが、近時、火力発電プラントにお
ける発電用ボイラの蒸気条件の高温高圧(USC)化に
伴って、伝熱管においては、より一層高い強度の材料に
対する要求が高まってきている。
【0003】そこで、18Cr−8Ni系のオーステナ
イト系ステンレス鋼にCu、Nb及びBを添加すること
により、高温強度を更に一層高めることができることは
公知である(特開昭62−70553号公報及び特開昭
62−133048号公報等)。また、このように優れ
た高温強度を有するオーステナイト鋼材を溶接するため
の溶接材料としては、凝固組織のままで優れた高温強度
を得ることができると共に、オーステナイト組織におい
て発生しやすい溶接高温割れを防止することができるオ
ーステナイト鋼用溶接材料が開示されている(特開平6
−142980号公報)。この溶接材料は母材と共金系
であり、C:0.05乃至0.2重量%、Si:0.1
乃至0.5重量%、Mn:0.5乃至5重量%、Cr:
15乃至22重量%、Ni:6乃至30重量%、Cu:
2乃至5重量%、Mo:0.3乃至3重量%、N:0.
07乃至0.35重量%、Nb:0.1乃至1.3重量
%及びS:0.002乃至0.015重量%を含有し、
Al:0.03重量%以下及びP:0.015重量%以
下に規制されていて、残部がFe及び不可避的不純物か
らなるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−142980号公報に開示されている溶接材料にお
いては、ブローホール及びスラグが発生することがあ
り、溶接材料自体を電極とする場合のアーク安定性につ
いても不安定であることから、溶接作業性が優れている
とはいえない。また、溶接材料の冷間加工性が不良であ
り、溶接材料の原料コスト、製造コスト及び溶接コスト
等により評価される生産性及び経済性が考慮されていな
いという問題点もある。
【0005】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、溶接作業性を向上させることができ、溶接
のままで母材と同じレベルの高温強度を有する溶接金属
を得ることができると共に、溶接金属の耐割れ性を高め
ることができ、これにより、トータルコストが低減され
たオーステナイト系ステンレス鋼用不活性ガスアーク溶
接材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るオーステナ
イト系ステンレス鋼用不活性ガスアーク溶接材料は、
C:0.05乃至0.30重量%、N:0.01乃至
0.06重量%、Nb:0.3乃至1.0重量%、S
i:0.1乃至0.5重量%、Mn:0.5乃至3.0
重量%、Cr:14乃至22重量%、Ni:10乃至2
0重量%、Cu:1.0乃至4.0重量%、Mo:2.
0乃至5.0重量%及びAl:0.003乃至0.03
重量%を含有し、C及びNの合計が0.10重量%以上
であって、残部がFe及び不可避的不純物からなり、前
記不可避的不純物のうち、S、Ca、Ti、P及びB
は、S:0.008重量%以下、Ca:0.005重量
%以下、Ti:0.03重量%以下、P:0.015重
量%以下及びB:0.0015重量%以下に規制された
ことを特徴とする。この不可避的不純物としてのSは
0.002重量%以下であることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本願発明者等は、18Cr−8N
i系ステンレス鋼をベースとした溶接材料について、前
記課題を解決することができる溶接材料を開発すべく種
々研究を行った。その結果、ベースとなる溶接材料に微
量のSiを添加することにより、溶融金属の流動性を良
好にすることができ、更に、溶接材料中のAl、Ca及
びTiの含有量を適正量に規制することによって、溶接
金属表面のスラグの発生を抑制して、溶接ビードのなじ
み性を良好に保つことができ、これにより、溶接作業性
を向上させることができることを見い出した。
【0008】また、消耗性電極として共金系の溶接材料
を使用する場合、溶接材料自身のアーク安定性を向上さ
せる必要があり、溶接金属中に過剰にAlが添加されて
いるとアークが不安定となるので、溶接材料中のAl含
有量を低減させる必要がある。
【0009】更に、溶接時の凝固組織のままで、母材と
同レベルの高温強度を有する溶接金属を得るようにする
ためには、ベースとなる溶接材料にC、Nb及びNを添
加し、NbC及びNbN等を析出させることにより、凝
固組織を改善することが有効である。しかしながら、ベ
ースとなる溶接材料に過剰にNを添加すると、溶接材料
の冷間加工性が劣化することにより焼鈍回数が増加し
て、溶接材料の製造コストが上昇してしまうので、N含
有量を低減した状態で高温強度を確保する必要がある。
そこで、本願発明者等は、溶接材料中のC及びNの含有
量の合計を所定量以上に規定することにより、N含有量
を低減しても溶接金属の高温強度を向上させることがで
きることを見い出した。更に、溶接金属の高温強度を向
上させることができる成分として、他に、Mo、Cu、
Co、V及びTi等がある。
【0010】また、溶接高温割れを防止するためには、
溶接金属中のP、S及びBの含有量を低減することが効
果的である。しかしながら、一般的に、圧延及び熱処理
等の調質処理が施される母材においては、クリープ破断
強度を向上させて、溶接構造物の製造コストを低減する
ために、溶接母材にP及びBを添加することがある。本
発明に係る溶接材料においては、対象とする溶接母材と
して、P及びB等が添加されたものがあるため、高温割
れを防止する効果を十分に得るためには、溶接材料中の
P及びB含有量を通常のオーステナイト鋼用の溶接材料
よりも低減する必要がある。
【0011】以下、本発明におけるオーステナイト系ス
テンレス鋼用不活性ガスアーク溶接材料に含有される化
学成分及びその組成限定理由について説明する。
【0012】C:0.05乃至0.30重量% Cは溶接材料中に存在すると、溶接金属中における固溶
強化作用及びNbCとしての析出強化作用により、溶接
金属の引張強度及びクリープ強度を向上させることがで
きる。溶接材料中のCが溶接材料全重量に対して0.0
5重量%未満であると、形成される溶接金属の強度を十
分に向上させることができない。一方、溶接材料中のC
が0.30重量%を超えると、炭化物が多量に生成され
ることにより、延性が低下すると共に、高温割れが発生
することがある。従って、溶接材料中のCは溶接材料全
重量に対して0.05乃至0.30重量%とする。
【0013】N:0.01乃至0.06重量% Nは溶接材料中に存在すると、溶接金属中における固溶
強化作用及びNbNとしての析出強化作用により、溶接
金属の引張強度及びクリープ強度を向上させることがで
きる。溶接材料中のNが溶接材料全重量に対して0.0
1重量%未満であると、形成される溶接金属の強度を十
分に向上させることができない。一方、溶接材料中のN
が0.06重量%を超えると、伸線加工時の冷間加工性
が低下すると共に、溶接時においてブローホール等の溶
接欠陥の原因となる。従って、溶接材料中のNは溶接材
料全重量に対して0.01乃至0.06重量%とする。
【0014】Nb:0.3乃至1.0重量% NbはC及びNと結合してNbC及びNbNとして析出
するので、凝固組織の微細化及び析出強化作用により、
溶接金属のクリープ強度及び高温における引張強度を向
上させる効果を有する。溶接材料中のNbが溶接材料全
重量に対して0.3重量%未満であると、形成される溶
接金属の強度を十分に向上させることができない。一
方、溶接材料中のNbが1.0重量%を超えると、溶接
高温割れが発生することがある。従って、溶接材料中の
Nbは溶接材料全重量に対して0.3乃至1.0重量%
とする。
【0015】Si:0.1乃至0.5重量% Siは溶融金属の流動性を高める効果を有する。溶接材
料中のSiが溶接材料全重量に対して0.1重量%未満
であると、その効果を十分に得ることができない。一
方、溶接材料中のSiが0.5重量%を超えると、溶接
金属の耐割れ性が低下すると共に、固溶強化元素として
添加されているNの固溶度を低下させてしまう。従っ
て、溶接材料中のSiは溶接材料全重量に対して0.1
乃至0.5重量%とする。
【0016】Mn:0.5乃至3.0重量% Mnは固溶強化元素として添加されているNの固溶度を
高める効果を有している。溶接材料中のMnが溶接材料
全重量に対して0.5重量%未満であると、その効果を
十分に得ることができない。一方、溶接材料中のMnが
3.0重量%を超えると、溶接金属が脆化する虞があ
る。従って、溶接材料中のMnは溶接材料全重量に対し
て0.5乃至3.0重量%とする。
【0017】Cr:14乃至22重量% Crは溶接金属の耐酸化性を向上させる効果を有する。
溶接材料中のCrが溶接材料全重量に対して14重量%
未満であると、その効果を十分に得ることができない。
一方、Crが22重量%を超えて溶接材料中に過剰に添
加されると、Crは高価な原料であるため、原料コスト
が増加してしまう。また、Cr含有量の増加によりオー
ステナイト相が不安定となるので、これを安定化させる
ために多量のNiを必要とすることより、原料コストが
更に一層増加する。従って、溶接材料中のCrは溶接材
料全重量に対して14乃至22重量%とする。
【0018】Ni:10乃至20重量% Niはオーステナイト相を安定化させる効果を有する。
溶接材料中のNiが溶接材料全重量に対して10重量%
未満であると、その効果を十分に得ることができない。
一方、Niが20重量%を超えて溶接材料中に過剰に添
加されると、原料コストが上昇する。従って、溶接材料
中のNiは溶接材料全重量に対して10乃至20重量%
とする。
【0019】Cu:1.0乃至4.0重量% Cuは高温に加熱されると、マトリックス中に微細分散
析出することによって、溶接金属の高温強度(クリープ
強度)を高める効果を有する。溶接材料中のCuが溶接
材料全重量に対して1.0重量%未満であると、その効
果を十分に得ることができない。一方、Cuが4.0重
量%を超えて溶接材料中に過剰に添加されると、延性が
低下すると共に、微細な高温割れが発生することがあ
る。従って、溶接材料中のCuは溶接材料全重量に対し
て1.0乃至4.0重量%とする。
【0020】Mo:2.0乃至5.0重量% Moはマトリックス中において、固溶強化元素として作
用する。溶接材料中のMoが溶接材料全重量に対して
2.0重量%未満であると、その効果を十分に得ること
ができない。一方、Moが5.0重量%を超えて溶接材
料中に過剰に添加されると、溶接高温割れが発生する。
従って、溶接材料中のMoは溶接材料全重量に対して
2.0乃至5.0重量%とする。
【0021】Al:0.003乃至0.03重量% 消耗性電極を使用するMIG溶接においては、アークの
安定性を確保するために、不活性ガス中にO2及びCO2
等の活性ガスを添加することがあるので、TIG溶接す
る場合と比較して溶接金属中の酸素量が増加する。この
ような場合に、Alを極微量添加することにより、溶接
金属を脱酸することができる。溶接材料中のAlが溶接
材料全重量に対して0.003重量%未満であると、溶
接金属の脱酸効果を得ることができない。一方、Alが
0.03重量%を超えて溶接材料中に過剰に添加される
と、溶融金属中にスラグが発生して溶接ビードのなじみ
性が低下すると共に、MIG溶接する場合にアークが不
安定となる。従って、溶接材料中のAlは溶接材料全重
量に対して0.003乃至0.03重量%とする。
【0022】[C]+[N]:0.10重量%以上 前述の如く、Nは溶接金属の高温強度を高める効果を有
する一方、溶接材料中に過剰に添加されると溶接材料の
冷間加工性が低下する。従って、本発明においては、N
と同様の効果を有するC及びNの含有量の合計を適正量
に規制することにより、N含有量を増加させることなく
溶接金属の高温強度を向上させるものとする。
【0023】図1は横軸に溶接材料中のCの含有量
[C]とNの含有量[N]の合計([C]+[N])を
とり、縦軸にこの溶接材料を使用して形成された溶接金
属の引張強度をとって、溶接材料中のC及びNの含有量
の合計に対する溶接金属の引張強度を示すグラフ図であ
る。図1に示すように、溶接材料中のC及びNの含有量
の合計を増加させるにつれて、溶接金属の引張強度を高
めることができる。即ち、母材と同レベルの高温強度を
有する溶接金属を得るためには、溶接金属の引張強度が
700℃において310N/mm2以上であればよいの
で、溶接材料中のN含有量を低減してもC含有量を増加
させることによって、高い高温強度を有する溶接金属を
得ることができる。溶接材料中のC及びNの含有量が合
計で0.10重量%未満であると、母材と同レベルの高
温強度を得ることができない。従って、溶接材料中のC
及びNの含有量の合計は0.10重量%以上とする。
【0024】S:0.008重量%以下 Sは溶接高温割れの発生を促進させる元素であり、溶接
材料中のSが溶接材料全重量に対して0.008重量%
を超えると、溶接高温割れが発生しやすくなる。従っ
て、溶接材料中のSは溶接材料全重量に対して0.00
8重量%以下とする。なお、好ましくは、溶接材料中の
Sは0.002重量%以下であることが望ましい。
【0025】Ca:0.005重量%以下 CaはAlと同様に溶融金属中にスラグを発生させる元
素であり、溶接材料中のCaが溶接材料全重量に対して
0.005重量%を超えると、溶融金属中に発生するス
ラグによりビードのなじみ性が低下する。従って、溶接
材料中のCaは溶接材料全重量に対して0.005重量
%以下とする。
【0026】Ti:0.03重量%以下 TiはAl及びCaと同様に溶融金属中にスラグを発生
させる元素であり、溶接材料中のTiが溶接材料全重量
に対して0.03重量%を超えると、ビードのなじみ性
が低下する。従って、溶接材料中のTiは溶接材料全重
量に対して0.03重量%以下とする。
【0027】P:0.015重量%以下 Pは溶接高温割れの発生を促進させる元素であり、溶接
材料中のPが溶接材料全重量に対して0.015重量%
を超えると、溶接高温割れが発生しやすくなる。従っ
て、溶接材料中のPは溶接材料全重量に対して0.01
5重量%以下とする。
【0028】B:0.0015重量%以下 本発明に係る溶接材料の対象である溶接母材としてのオ
ーステナイト系ステンレス鋼においては、炭化物の分散
強化及び粒界の強化によるクリープ強度を向上させるた
めに、Bを添加することがある。しかしながら、凝固組
織である溶接金属においては、Bを均一に分散析出させ
ることは困難であり、溶接材料中のB及び溶接時に希釈
によって母材より混入したBは溶接金属の最終凝固部に
濃縮されることにより、高温割れの原因となる。本発明
は、Bが添加された母材に対しても適用されるものであ
り、その場合に、溶接材料中のBが0.0015重量%
を超えると、高温割れが発生する。従って、溶接材料中
のBは溶接材料全重量に対して0.0015重量%以下
とする。
【0029】
【実施例】以下、本発明に係るオーステナイト系ステン
レス鋼用不活性ガスアーク溶接材料の実施例についてそ
の比較例と比較して具体的に説明する。
【0030】先ず、本発明に係る溶接材料が適用される
溶接母材として、下記表1に示す化学組成を有するオー
ステナイト系ステンレス鋼からなる鋼板を作製し、鋼板
の開先を加工して溶接開先部を形成した。次いで、この
鋼板を溶接母材として、種々の化学組成を有する溶接材
料により製造した溶接ワイヤを使用して溶接し、溶接時
の溶融金属の流動性(湯流れ性)、スラグの発生及びブ
ローホールの発生を目視により評価すると共に、形成さ
れた溶接金属の高温強度及び耐割れ性を評価した。但
し、この溶接母材として使用する鋼板の引張強度は、7
00℃において310乃至320N/mm2である。
【0031】ここで、溶接金属の高温強度の評価方法に
ついて説明する。
【0032】図2は溶接金属の高温強度評価試験におい
て使用する溶接母材の開先形状を示す断面図である。図
2に示すように、2枚の鋼板1はその端面が切欠かれて
おり、傾斜面1aを有している。そして、2枚の鋼板1
は上方に向かって開いた形状のV形の開先部3が形成さ
れるように配置されており、その裏面は若干離間されて
いて、両鋼板1の裏面に当接するように裏当材2が配置
されている。本実施例においては、鋼板1の板厚を14
mm、離間して配置された鋼板1の裏面間の距離(ルー
ト間隔)を8mmとし、開先角度を50°とした。
【0033】このように配置された鋼板1の開先部3に
対して、多層盛り溶接を実施し、全溶着金属を形成し、
高温強度評価試験用の試験片を採取した。
【0034】図3は高温強度試験片の溶接金属からの採
取位置を示す断面図であり、図4は本実施例において使
用した高温強度試験片の形状及びサイズを示す側面図で
ある。鋼板1の開先部3において、溶接方向に向かって
長手方向に形成された溶接金属4から、この長手方向に
沿って丸棒形状の試験片5が採取される。このとき、試
験片5の断面形状である円の中心が、形成された溶接金
属4の中心に位置されると共に、鋼板1の板厚中央部と
なるように試験片5を採取するものとする。
【0035】また、図4に示すように、試験片5は、そ
の長手方向の中央部分が両端部と比較して、直径が細く
なるように形成されており、太径の両端部がつかみ部6
となり、均一な径を有する細径の中央部分が平行部7と
なっている。また、つかみ部6と平行部7との間には径
を滑らかに変更させるための肩部8が形成されている。
本実施例においては、JIS 3111のA2号引張試
験片に準じて、平行部7の長さを32mm、直径を6m
mとし、肩部8の曲率半径を6mmとした。そして、こ
のような試験片5を使用して、700℃の温度におい
て、JIS 3111に準じて引張試験を実施すること
により高温強度を評価した。
【0036】次に、溶接金属の耐割れ性の評価方法につ
いて説明する。
【0037】図5(a)は溶接金属の耐割れ性評価試験
において使用する溶接母材の開先形状を示す断面図であ
り、(b)はその平面図である。2枚の鋼板10はその
端面が切欠かれており、傾斜面10aを有している。そ
して、2枚の鋼板10は上方に向かって開いた形状のV
形の開先部11となるように配置されており、その裏面
は若干離間されている。本実施例においては、鋼板10
の板厚を14mm、溶接方向の長さを200mm、離間
して配置された鋼板10の裏面間の距離(ルート間隔)
を2.5mmとし、開先角度を90°とした。
【0038】このように配置された鋼板10の開先部1
1に対してTIG溶接を実施し、JIS Z 3155
のC形ジグ拘束突合せ溶接割れ試験方法に準じて割れ試
験を実施することにより、耐割れ性を評価した。なお、
TIG溶接においては、溶接電流を150A、溶接電圧
を12V、溶接速度を8cm/分とした。
【0039】本実施例において使用した溶接材料の化学
成分を下記表2乃至5に示し、これらの評価結果を下記
表6及び7に示す。但し、耐割れ性の評価欄において、
◎はクレータ割れ及びビード割れが共に発生しなかった
ものを示し、○はビード割れは発生せず、クレータ割れ
のみ発生したもの、×はビード割れ及びクレータ割れが
共に発生したものを示す。
【0040】
【表1】 (その1)
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
【表7】
【0047】上記表2乃至7に示すように、実施例N
o.1乃至12は溶接材料中の化学成分が全て本発明の
範囲内であるので、高温強度の評価結果が全て母材の高
温強度を超える値となり、耐割れ性試験においては、全
ての試験片についてビード割れが発生しなかった。ま
た、湯流れ性が良好であると共に、スラグ及びブローホ
ールが発生せず、良好な溶接作業性を示した。特に、実
施例No.3、10及び12は溶接材料中のSが他の実
施例と比較して十分に低減されているため、クレータ割
れ及びビード割れ等が発生せず、優れた耐割れ性を示し
た。
【0048】一方、比較例No.13、15及び17は
溶接材料中のC、N、Nb又は[C]+[N]が本発明
範囲の下限未満であるので、高温強度が優れた溶接金属
を得ることができない。比較例No.14及び18は溶
接材料中のC又はNbが本発明範囲の上限を超えている
ので、クレータ割れ及びビード割れが発生した。比較例
No.16は溶接材料中のNが本発明範囲の上限を超え
ているので、ブローホールが発生した。
【0049】また、比較例No.19は溶接材料中のS
iが本発明範囲の下限未満であるので、溶融金属の流れ
が悪くなり、溶接作業性が低下した。比較例No.2
0、21、24及び25は溶接材料中のSi、S、B又
はPが本発明範囲の上限を超えているので、クレータ割
れ及びビード割れが発生し、特に、比較例No.21は
溶接材料中のTiについても本発明範囲の上限を超えて
いるので、溶融金属中にスラグが発生した。比較例N
o.22及び23は溶接材料中のAl又はCaが本発明
範囲の上限を超えているので、溶融金属中にスラグが発
生して、溶接金属のなじみ性及びアークの広がりが低下
し、特に、比較例No.23は溶接材料中のNについて
も本発明範囲の上限を超えているので、ブローホールが
発生した。
【0050】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
溶接材料中の化学成分の含有量を適正量に規制している
ので、溶接作業性を向上させることができ、溶接のまま
で母材と同じレベルの高温強度を有する溶接金属を得る
ことができると共に、溶接金属の耐割れ性を高めること
ができ、これにより、溶接材料の製造コスト及び溶接コ
スト等を低減することができる。また、溶接材料中のS
含有量が更に規制されていると、より一層溶接金属の耐
割れ性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に溶接材料中のC及びNの含有量の合計
[C]+[N]をとり、縦軸にこの溶接材料を使用して
形成された溶接金属の引張強度をとって、溶接材料中の
C及びNの含有量の合計に対する溶接金属の引張強度を
示すグラフ図である。
【図2】溶接金属の高温強度評価試験において使用する
溶接母材の開先形状を示す断面図である。
【図3】高温強度試験片の溶接金属からの採取位置を示
す断面図である。
【図4】本実施例において使用した高温強度試験片の形
状及びサイズを示す側面図である。
【図5】(a)は溶接金属の耐割れ性評価試験において
使用する溶接母材の開先形状を示す断面図であり、
(b)はその平面図である。
【符号の説明】
1、10;鋼板 1a、10a;傾斜面 2;裏当材 3、11;開先部 4;溶接金属 5;試験片 6;つかみ部 7;平行部 8;肩部
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/58 C22C 38/58 (72)発明者 橋本 芳造 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (72)発明者 尾崎 慎太郎 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1 株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.05乃至0.30重量%、N:
    0.01乃至0.06重量%、Nb:0.3乃至1.0
    重量%、Si:0.1乃至0.5重量%、Mn:0.5
    乃至3.0重量%、Cr:14乃至22重量%、Ni:
    10乃至20重量%、Cu:1.0乃至4.0重量%、
    Mo:2.0乃至5.0重量%及びAl:0.003乃
    至0.03重量%を含有し、C及びNの合計が0.10
    重量%以上であって、残部がFe及び不可避的不純物か
    らなり、前記不可避的不純物のうち、S、Ca、Ti、
    P及びBは、S:0.008重量%以下、Ca:0.0
    05重量%以下、Ti:0.03重量%以下、P:0.
    015重量%以下及びB:0.0015重量%以下に規
    制されたことを特徴とするオーステナイト系ステンレス
    鋼用不活性ガスアーク溶接材料。
  2. 【請求項2】 前記不可避的不純物としてのSが0.0
    02重量%以下に規制されたことを特徴とする請求項1
    に記載のオーステナイト系ステンレス鋼用不活性ガスア
    ーク溶接材料。
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