JPH09299058A - サラダ用ペースト状水中油型乳化脂 - Google Patents

サラダ用ペースト状水中油型乳化脂

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JPH09299058A
JPH09299058A JP8123770A JP12377096A JPH09299058A JP H09299058 A JPH09299058 A JP H09299058A JP 8123770 A JP8123770 A JP 8123770A JP 12377096 A JP12377096 A JP 12377096A JP H09299058 A JPH09299058 A JP H09299058A
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JP
Japan
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oil
salad
water
emulsified fat
fat
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JP8123770A
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English (en)
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Shinichi Numano
新一 沼野
Hirohiko Murata
浩彦 村田
Mitsuharu Tanaka
光治 田中
Satoshi Kawade
智 川出
Hiroshige Kono
博繁 河野
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Adeka Corp
Original Assignee
Asahi Denka Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】サラダ用具材の離水、吸水を防ぎ、新鮮さを保
持し、形崩れしないサラダを調理できるサラダ用ペース
ト状水中油型乳化脂を提供する。 【構成】油相分が10〜60重量%であるペースト状水
中油型乳化脂であって、該水中油型乳化脂中の油滴の少
なくとも一部が凝集状態にあることを特徴とするサラダ
用ペースト状水中油型乳化脂である。水相を酸性にして
酸性ペースト状水中油型乳化脂にしても良い。この際
に、油相分の油脂として5℃におけるSFC(Solid Fa
t Content:固体脂指数)が5以上の油脂又は配合油を
用いると油滴の凝集が円滑に行える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サラダ具材をマヨ
ネーズなどと和えてサラダを調理するとき、この和える
処理に先だって予めサラダ具材を前処理するためのペー
スト状水中油型乳化脂に関する。更に本発明は、サラダ
具材と和えてサラダを調理するときに用いる酸性ペース
ト状水中油型乳化脂に関する。
【0002】
【従来の技術】油性物質を水中に乳化した水中油型乳化
物は食品業界で種々利用されている。ペースト状水中油
型乳化脂の代表的なものはマヨネーズである。マヨネー
ズは、一般には卵黄、酢、水、調味料の混合物を撹拌し
ながら常温液体の油性物質すなわちサラダ油を添加し、
乳化して製造した酸性のペースト状水中油型乳化脂であ
る。サラダは下拵えした各種のサラダ具材、例えばじゃ
がいも、かぼちゃ、きゅうり、レタス、セロリ、キャベ
ツ、にんじん、玉ねぎ、コーン等の野菜類、リンゴ、バ
ナナ等の果実、パスタ、卵、春雨、オイル漬けまぐろ
(ツナ)などと、マヨネーズなどの酸性ペースト状水中
油型乳化脂と、スパイスなどの調味料とを和えて調理さ
れる。
【0003】サラダは調理後に惣菜店で販売されたり、
パンに挾んで販売されたりするが、このような冷蔵保存
の間にサラダの新鮮さが失われ、また外観が劣るように
なる。すなわち、野菜や果実を具材に用いたサラダの場
合は、冷蔵保存されると時間の経過とともに、マヨネー
ズに配合されている酢、食塩、砂糖等の滲透圧の作用に
より野菜や果実から水分が出て、次第に水ぽっくなり、
やがて野菜や果実類から出る水分(放水、分離水)でサ
ラダが器の中で泳ぐような状態になり、サラダで最も重
要視される鮮度が著しく低下する。このようになる理由
は、野菜類や果実が水分含量90%以上と極めて水分の
多い植物のためである。
【0004】また、マカロニ、スパゲッティーなどのパ
スタを具材にしたサラダの場合は、パスタを茹であげる
際に茹で方が不足すると、パスタがマヨネーズの水分を
吸収するため、マヨネーズが分離してパスタ表面に油分
が残りギラギラしたものになり見た目が悪くなる。また
逆にパスタを茹ですぎるとパスタの水きりが充分できな
いため、マヨネーズと和えた後、水気がパスタより滲み
出てサラダの状態、外観を悪くする。更に、ポテトを具
材にしたサラダの場合は、ポテトを茹であげて放冷する
間にポテトの水分が10%〜20%放水し、そのためマ
ヨネーズと和えたときにはマヨネーズの水分がポテトに
吸われてマヨネーズが分離状態になり、分離した油分が
外観を悪くし、また風味も低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の支障を除くため
に、従来からサラダ具材に、調理前にサラダ具材の性質
に応じて種々の下拵えを施している。従来のこの下拵え
について述べると、例えば野菜類の場合は、きゅうり、
レタス、キャベツ、オニオンなどを所望の大きさに切断
し、遠心分離機に掛けて野菜中の水分を予め脱水した
り、或いは塩もみをして水気を取った状態にしてから調
理に供している。パスタの場合は、茹であげた後のパス
タの水分吸水性による支障を防ぐため、この吸水性を低
下させるべく、固茹でを避けたり、ボイル後のむらしを
調整したり、ボイル後に流水冷却して水分を十分吸収さ
せておく処置を取ったりしている。ポテトの場合は、加
圧釜でボイルした後、真空冷却して水分が飛んだ分を甘
酢(酢と砂糖を水に溶かした溶液)をスプレーして補っ
ている。春雨の場合は、茹で上げ後に水分が出て来る傾
向の少ない品質の良いものを選ぶとか、またボイルの調
整をしている。
【0006】このように、サラダ具材にはサラダ調理前
に具材に応じてそれぞれ種々の下拵えを施す煩わしさが
あるが、本発明はこの従来の方法の煩わしさを解消し、
簡単に各種のサラダ具材に、サラダ調理後に離水や吸水
するのを防ぐ性質を付与することができる処理剤及びそ
の使用方法を提供することを目的とする。すなわち、サ
ラダ具材とマヨネーズなどとを和えてサラダを調理する
とき、予めサラダ具材に付着(コーティング)させて上
記の性質を付与するためのサラダ用水中油型乳化脂、及
びこのサラダ用水中油型乳化脂でサラダ具材をサラダ調
理前に予め前処理する方法を提供することを目的とす
る。更に本発明は、サラダ具材にサラダ調理前に上記の
如き前処理を施しておかなくても、サラダ調理後に離水
や吸水するのを防ぐことができる特性を有するサラダ用
酸性水中油型乳化脂、及び該酸性水中油型乳化脂とサラ
ダ具材を混和して、新鮮さ維持したサラダを提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来のサ
ラダが上述したような種々の支障を生じる原因は、サラ
ダに調理した後の冷蔵保存の間に、サラダ具材から水分
がサラダに放出(離水)されたり、或いはサラダ具材が
マヨネーズ中の水分を吸収することにあること、また従
来のサラダ具材の下拵えはこれら水分の分離や吸収の抑
制防止に重点が置かれていることに注目した。そして種
々検討の結果、サラダ具材の冷蔵保存時における離水性
及び吸水性現象が、特定の性状の油脂を油相とし、且つ
その水中油型乳化脂を特定の状態に変化させて使用する
ことによって、抑制防止できることを知見し、本発明を
完成した。
【0008】すなわち、本発明の請求項1発明は、油相
分(油脂分)が10〜60重量%であるペースト状水中
油型乳化脂であって、該水中油型乳化脂中の油滴の少な
くとも一部が凝集状態にあることを特徴とするサラダ用
ペースト状水中油型乳化脂である。また、本発明の請求
項2発明は、油相分(油脂分)が10〜60重量%であ
り、且つ水相が酸性であるペースト状水中油型乳化脂で
あって、該水中油型乳化脂中の油滴の少なくとも一部が
凝集状態にあることを特徴とするサラダ用ペースト状水
中油型乳化脂である。
【0009】請求項1発明は、主に、サラダ調理前に各
種のサラダ具材を前処理するために用いるサラダ用ペー
スト状水中油型乳化脂である。この乳化脂で前処理しコ
ーティングされたサラダ具材を用いたサラダは、市販の
マヨネーズと和えて調理した後に冷蔵保存しても、保存
中にサラダ具材が離水現象や吸水現象を引き起こすこと
がなく、そのためサラダの新鮮さが失われない。また、
請求項2発明は、サラダ具材と和えてサラダを調理する
のに用いる酸性のサラダ用ペースト状水中油型乳化脂、
すなわちマヨネーズである。このサラダ用酸性ペースト
状水中油型乳化脂を用いて調理したサラダは、サラダ具
材に予め特別に前処理しておかなくても、調理後の冷蔵
保存中にサラダ具材が離水現象や吸水現象を引き起こす
ことがなく、そのためサラダの新鮮さが失われない。
【0010】本発明について詳しく説明する。本発明の
サラダ用ペースト状水中油型乳化脂は、水と油脂とを混
合して乳化し、均質化処理して製造したペースト状水中
油型乳化脂において、その乳化脂中の油滴の少なくとも
一部を凝集状態にしたものである。そして、この油滴の
少なくとも一部を凝集させた状態で、サラダ具材の前処
理に用いたり、サラダ具材と和えてサラダの調理に使用
する。しかして、均質化したペースト状水中油型乳化脂
中の油滴の少なくとも一部を凝集化するには、この凝集
化時に、該水中油型乳化脂中に固体の油脂が存在するこ
とが必要である。そのため、本発明では、上記の凝集化
するときの温度において、固体の油脂が存在するような
油脂を使用する。本発明では、二種又は二種以上の油脂
を配合した配合油も使用できる。この配合油を使用する
場合も、上記の凝集化状態にするときの温度において、
固体の油脂が存在するような配合油を使用する。
【0011】通常使用温度で油脂には固体の油脂と液体
の油脂とが混在しているが、油脂中の固体の油脂、すな
わち固体脂の量を表すのにSFCが用いられている。こ
のSFCは、それぞれの油脂に特有の値である。この油
脂中の固体脂含有量は温度によって変化し、通常温度が
高くなるほど固体脂が溶けて少なくなり、SFCの値は
小さくなる。本発明では、好ましくはSFCが5℃にお
いて5以上、特に好ましくは20以上の油脂又は配合油
が用いられる。ここで、5℃におけるSFCが5以上で
ある油脂とは、5℃で測定したときのSFCが5以上で
ある油脂を指す。このSFCはSFC-900(PRAXIS社製)で
測定した値である。従来のマヨネーズやドレッシングに
使用されているサラダ油等は常温液体、すなわち常温の
SFCが0であり、5℃におけるSFCも0である。
【0012】本発明で用いる油脂又は配合油は、具体的
には、大豆油、ナタネ油、コーン油、綿実油、パーム
油、ヤシ油、パーム核油、魚油、ラード、乳脂等の動植
物性油脂及びそれらの硬化油又は分別油などで、これら
は適宜に使用することができ、また固体脂と液体油とを
混合した配合油も使用できる。
【0013】本発明のサラダ用ペースト状水中油型乳化
脂そのものは、水と油脂又は配合油を混合して乳化し、
その後均質化して製造するが、本発明で用いる油脂又は
配合油は、固体の油脂が混在しているため、乳化温度を
上げて油脂又は配合油を溶融させた状態で乳化させる必
要がある。そのため常温液状であるサラダ油を乳化させ
る従来のマヨネーズ類の乳化温度より高温で乳化作用を
有する乳化剤を使用する必要がある。
【0014】この乳化剤としては、卵黄も使用できる
が、リゾホスファチドを使用するのが好ましい。このリ
ゾホスファチドは、大豆、ナタネ、小麦等の植物脂質或
いは卵黄等の動物脂質のジアシルフォスファチドに豚の
膵液や蛇毒中のフォスフォリパーゼA−2、または細菌
などのフォスフォリパーゼA−1を作用させて加水分解
し、発生した脂肪酸をアセトンで除去し、精製するなど
既知の方法で得られる。また本発明では豚の膵臓から抽
出したトリプシン、植物を起源とするパパイン、ブロメ
ライン、ペプシンなどを用いて部分加水分解した卵黄も
用いることができる。前者の乳化剤の場合は0.01〜
5重量%、後者の部分加水分解卵黄の場合は0.1〜1
0重量%使用するのが好ましい。
【0015】本発明の請求項1発明のペースト状水中油
型乳化脂は、主に、サラダ具材用の前処理、すなわちサ
ラダ具材のコーティング剤に用い、このコーティングに
よってサラダ調理後の具材の水の移行(離水や吸水)を
防ぐことを主目的とするものであり、調味料としての目
的をもつものではないから、この水中油型乳化脂の水相
には特に考慮する必要がないが、必要がある場合には、
調味料、酸性物質などを配合してもよい。また油相に乳
化安定剤を配合しても良い。調味料としては、食塩、グ
ルタミン酸ソーダ、砂糖、香辛料などが用いられる。乳
化安定剤としてはα化変性デンプン、キサンタンガム等
の多糖類が用いられる。乳化安定剤を併用することによ
りペースト状水中油型乳化脂の具材への付着性を向上さ
せることができる。この多糖類の配合量は0.01〜5
重量%である。
【0016】本発明の請求項2発明の酸性ペースト状水
中油型乳化脂は、サラダ具材と和えてサラダを調理する
ためのもの、すなわちマヨネーズであり、調味料の作用
をなし、且つ調理後のサラダ具材の水の移行(離水や吸
水)を防ぐ作用をなすものである。そのため、水相には
酸性物質の配合が必要である。更に必要に応じて調味料
や乳化安定剤を配合する。この酸性物質としては、酢
酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスコルビン
酸、リン酸等の有機、無機酸、或いは、合酢、果汁、果
肉、発酵乳等が挙げられる。これら酸性物質は、水中油
型乳化脂のpHを3.5〜5.5に調整するに必要な量
を使用する。pHが3.5以下であると味が酸っぱくな
り、pHが5.5以上であると日持ちが悪くなり好まし
くない。調味料や乳化安定剤には上記のものが用いられ
る。
【0017】また、本発明のサラダ用ペースト状水中油
型乳化脂は、油相分(油脂分)が10〜60重量%であ
るが、好ましくは30〜50重量%である。この水中油
型乳化脂はペースト状が好ましいが、10重量%以下で
は、乳化脂がペースト状になりにくい。また、60重量
%以上では、乳化脂のペースト状態が固く好ましくな
い。本発明のサラダ用ペースト状水中油型乳化脂は、ペ
ースト状の乳化状態にすることが重要である。このペー
スト状態にすることにより、野菜類と和えたとき野菜類
への付着力が高まり、経時的な離水、吸水を防止し、サ
ラダとしての形態と鮮度とを保持させるという本発明の
効果の達成を助長する。
【0018】本発明のサラダ用ペースト状水中油型乳化
脂の製造方法について説明する。水に乳化剤、更に必要
に応じて酸性物質、調味料、生クリーム等を添加配合し
た水相分を、原料の油脂の融点より高い温度に加温保持
する。次に油脂を加温して溶融して液状となし、必要に
応じてα化変性デンプン、キサンタンガム等の安定剤を
分散させる。上記の加温した水相分に撹拌しながら、加
温して液状化した油脂を注ぎ込み粗乳化を行ない、次い
でコロイドミル、ホモジナイザーで仕上げ乳化を行なっ
て均質化し、その後冷却してペースト状水中油型乳化脂
を得る。この乳化脂につき、後述する適宜の方法で油滴
の少なくとも一部を凝集させて本発明のサラダ用ペース
ト状水中油型乳化脂を得る。
【0019】本発明において、ペースト状水中油型乳化
脂中の油滴の少なくとも一部を凝集状態にする必要があ
る。ペースト状水中油型乳化脂は、上記の如くして、水
と油脂とを混合し乳化させ、更にこの乳化物をコロイド
ミル、ホモジナイザーなどで均質化して製造するが、こ
の均質化したものは、水相中に油滴(油相)が微細均一
に分散した状態にある。ところが、ペースト状水中油型
乳化脂を特定の条件で調製したり、調製後に特定の条件
下に置くと、水相中に均質に分散している油滴が数珠状
に会合し始め、更にすすむとブドウの房状に凝集する。
本発明でいう凝集状態とは、ペースト状水中油型乳化脂
中の油滴が数珠状の会合ないしブドウ房状の凝集を起こ
した状態を指す。そして、このブドウ房状の凝集がすす
むと、遂にはエマルジョンが破壊され2層に分離し、い
わゆる解乳化の状態になる。本発明では、油滴の5重量
%以上、好ましくは10重量%以上が、上記の凝集状態
にあることが好ましく、また上限は80重量%以下であ
ることが好ましい。この凝集化は、水中油型乳化脂の油
相中に固体の油脂(油脂の結晶)が存在することによっ
て行える。凝集状態にするときに水中油型乳化脂の油相
中に固体の油脂(油脂の結晶)が存在しない場合には、
凝集状態を維持することなくエマルジョンが破壊され2
層に分離し、いわゆる解乳化の状態になる。したがっ
て、液状であるサラダ油を油相分に使用した従来のマヨ
ネーズでは上記のような凝集化現象を利用することがで
きない。
【0020】上記の凝集化を行わせるには次の如き手段
を採用する。すなわち、例えば、 (i)ペースト状水中油型乳化脂の製造時の乳化均質化
処理の剪断力を高める。すなわち、均質化処理をコロイ
ドミル行う場合はクリアランスを狭め、回転数を上げる
などする。またホモジナイザーで均質化処理する場合
は、必要以上の高圧、例えば100Kg/cm2以上で
行うなどの処理を行う。油相の油脂の融点以上の温度で
必要以上の剪断力を加えたコロイドミル処理やホモジナ
イザー処理を行うことにより、過微細化された油滴の表
面積は広がりすぎ一部の油滴に破壊を生じさせる。この
ような乳化状態にしてから、次いでこれを油脂の融点以
下の温度に冷却すると、水中油型乳化脂の油滴の一部が
凝集し、油滴が数珠状の会合ないしブドウ房状の凝集状
態になる。また、高圧にしなくても、常用されている圧
力(例えば50〜70Kg/cm2)を2〜3回繰返し
て加圧することでもこのような凝集状態にできる。 (ii)乳化・均質化処理後の冷却を徐冷で行う。すなわ
ち、通常ペースト状水中油型乳化脂は、乳化後、均質化
処理し、次いで冷却して製造するが、この冷却を急冷で
行うことなく、徐冷、例えば1℃/時の程度の冷却によ
っても上記の凝集状態にできる。
【0021】(iii)乳化・均質化処理後の乳化脂を製
品容器に充填して原料油脂の融点付近の温度で熟成す
る。すなわち、乳化・均質化処理して製造したペースト
状水中油型乳化脂を製品容器に充填し、工場出荷の状態
になし、これを乳化脂の原料に用いた油脂又は配合油の
融点付近で、例えば融点36℃の油脂を使用して乳化脂
を作った場合は28〜32℃で数時間熟成することによ
っても上記の凝集状態が得られる。 (iv)乳化・均質化処理後の乳化脂を数時間振とうす
る。すなわち乳化・均質化処理して製造したペースト状
水中油型乳化脂を適当な容器に入れ振とう機など振とう
することによって上記の凝集状態にする。 (v)乳化・均質化処理後の乳化脂を撹拌する。すなわ
ち、乳化・均質化処理して製造したペースト状水中油型
乳化脂を用いてサラダ具材を処理したり、具材と和えて
サラダを調理するに当り、これに先立って乳化脂を激し
く撹拌する。これによって乳化脂中の油滴の一部を凝集
状態にすることができる。
【0022】(vi)均質化処理後の乳化脂を起泡状態
にする。すなわち、乳化・均質化処理して製造したペー
スト状水中油型乳化脂を、ホイップするなどによって起
泡状態にすると、該乳化脂中の油滴の少なくとも一部を
凝集状態にすることができる。この場合、油脂又は配合
油等の原料、乳化状態、ホイップ状態を調節して、オー
バーラン値が100%以下、好ましくは30%〜70%
になるように調整する。オーバーラン値100%以上で
は、経時的な脱泡が激しく、具材の離水や水分吸収を抑
制する効力が低下し好ましくない。ここでオーバーラン
値とは、最適起泡状態(ホイップ状態)に達したときの
増加体積値をパーセントで表したもので、次の計算式: {[(一定容量のペースト重量)−(一定容量のホイップ
後のペースト重量)]÷(一定容量のホイップ後のペース
ト重量)}×100 で求める。ホイップによる起泡は常法で行う。
【0023】また、本発明のサラダ用ペースト状水中油
型乳化脂はホイップして、サラダ具材のコーティングに
用いると、比重が0.6〜0.8と軽くなり、サラダ具
材に付着させやすくなる。またこのホイップしたペース
ト状水中油型乳化脂で処理した具材を用いたサラダ、或
いはホイップしたペースト状水中油型乳化脂で調理した
サラダは軽いタッチのものとなる。しかもホイップする
ことにより、カサが増えるため、非ホイップのものに比
し6割程度の使用量で目的を達することができる利点が
ある。更にホイップすることによって、本発明のサラダ
用ペースト状水中油型乳化脂は色白になるため、これを
付着したサラダ具材で調理したサラダ、或いはこれで調
理したサラダは見栄えがよくなる。
【0024】
【作用】本発明のサラダ用ペースト状水中油型乳化脂
は、その中の油滴の少なくとも一部を凝集状態にしたも
のである。このような状態は、前述したとおり、ペース
ト状水中油型乳化脂の水相中に均質に分散している油滴
が数珠状の会合ないしブドウ房状の凝集を形成した状態
にある。サラダ具材をこの状態のペースト状水中油型乳
化脂に接触させると、この数珠状に会合ないしブドウ房
状に凝集した油滴がサラダ具材の表面を被い、そのため
サラダ具材からの水分の移行(離水、吸水)が阻止され
るものと推測される。
【0025】したがって、本発明のサラダ用ペースト状
水中油型乳化脂をサラダ具材の前処理、すなわちサラダ
具材にマヨネーズ等を和えてサラダにする前に、サラダ
具材にコーティングすることによって、サラダ調理後の
具材からの水の移行(離水や吸水)を防ぐことができ
る。このコーティングは浸漬、塗布、混合などの手段に
よって行なう。例えば切断した野菜、果物、茹でたポテ
ト、茹でたパスタ、茹でた春雨、オイル漬けまぐろ(ツ
ナ)等のサラダ具材100重量部に対し、5〜30重量
部を加え、よく混和させ、サラダ具材の表面に付着させ
る。このように前処理したサラダ具材を常法でマヨネー
ズと和えてサラダを調理する。市販のマヨネーズを用い
ても、冷蔵保存時に具材からの水の移行がないので、新
鮮さが失われたり、外観が損なわれることのないサラダ
が得られる。
【0026】また、本発明の酸性のサラダ用ペースト状
水中油型状乳化脂を用いてサラダを調理するには、通常
行なわれている手順にしたがって行なうことができる。
サラダ用具材としては、じゃがいも、かぼちゃ、きゅう
り、レタス、セロリ、キャベツ、にんじん、玉ねぎ、コ
ーン等の野菜類、リンゴ、バナナ等の果実、パスタ、
卵、春雨、オイル漬けまぐろ(ツナ)などが用いられ
る。この際、従来の様に格別に具材の下拵えに手間を掛
けなくても、冷蔵保存時に具材からの水の移行がないの
で、新鮮さが失われ、外観が損なわれることのないサラ
ダが得られる。またマカロニ、スパゲッティーなどのパ
スタを具材にしたサラダの場合、パスタが茹で不足のと
きでも、また茹で過ぎのときでも、乳化脂がパスタとの
間で水分の移行を防ぐため、外観を損なうことのないサ
ラダを調理することができ、しかもパスタの黄変を防ぐ
ことができる。
【0027】更に、ポテトを具材にしたサラダの場合
は、本発明の酸性ペースト状水中油型状乳化脂を用いる
と、従来行なっていた茹でたポテトに予め甘酢をスプレ
ーしてからマヨネーズ類を和えるとか、或はあらかじめ
マヨネーズを水で希釈して(マヨネーズ100に対し水
30〜50)ポテトと和える手段を採用しなくても、外
観、風味のよいポテトサラダを調理することができる。
また、茹で卵をサラダ具材に用い場合は、冷蔵保存後の
卵の緩みが防げ、そのため水っぽくならない。春雨をサ
ラダ具材に用いた場合は、春雨に本発明のペースト状酸
性水中油型状乳化脂がしっかりと乗り、見栄えする。更
に、オイル漬けまぐろをサラダ具材に用いた場合には、
和えている間にオイル漬けの油分を本発明のペースト状
酸性水中油型状乳化脂が吸収し、また具材からのオイル
分離を防ぐので時間が経ってもベトベトしない。
【0028】
【実施例】実施例を用いて本発明を更に詳しく説明す
る。 実施例1 5%濃度の食酢を14重量%、卵黄9重量%及び水3
3.5重量%を混合した水相を調製した。この水相を激
しく撹拌しながら、その水相中に、大豆サラダ油と大豆
硬化油(融点32℃)を等量混合してなる配合油40重
量%(5℃におけるSFCは23である)と乳化安定剤
のα化変性デンプン3.5重量%とからなる油相を注ぎ
込み、乳化させてpH4.5の乳化物を調製した。この
乳化物をホモジナイザーにて50℃で130kg/cm
2の圧力にて処理し、油滴の約40%が凝集状態の本発
明のサラダ用ペースト状水中油型乳化脂を得た。この乳
化脂を用いて、サラダ具材の薄切りしたきゅうり、及び
茹でたマカロニを前処理し、次いで、この前処理した具
材を市販のマヨネーズで和えてサラダを調理した。この
サラダは、冷蔵保存中に離水を発生することがなく、新
鮮さを保った。
【0029】実施例2 5%濃度の食酢を6重量%、10%加塩卵黄8重量%、
食塩1.5重量%、砂糖2重量%及び水39重量%を混
合した水相を調製した。この水相を激しく撹拌しなが
ら、その水相中に、大豆サラダ油とパーム油とを等量混
合した配合油40重量%(5℃におけるSFCは31で
ある)と乳化安定剤のα化変性デンプン3.5重量%と
からなる油相を注ぎ込み、乳化させてpH4.5の乳化
物を調製した。この乳化物をホモジナイザーにて40℃
で70kg/cm2の圧力にて2回処理して、油滴の約
30%が凝集状態の本発明のサラダ用ペースト状水中油
型乳化脂を得た。この乳化脂と薄切りしたきゅうり及び
茹でたポテトとを和えて、冷蔵可能なサラダを調理し
た。このサラダは保存中も離水を生じることなく新鮮さ
を保った。
【0030】実施例3 実施例2と同じ組成の乳化物を調製した。この乳化物を
ホモジナイザーにて50℃で70kg/cm2の圧力に
てホモジナイザー処理し、直ちに1kgのポリエチレン
製ビンの充填した。この充填したビンを10本段ボール
詰めし、室温(20℃)に静置して徐冷した。この徐冷
により品温は24時間後に25℃に下がった。このビン
の中の乳化脂は、油滴の約20%が凝集状態となってい
た。この乳化脂と薄切りしたキュウリとで和えたサラダ
は、離水を生じにくく、長く鮮度を保った。
【0031】実施例4 10%濃度の食酢を6重量%、10%加塩卵黄の酵素処
理品(加塩卵黄を50℃で5時間トリプシン処理したも
の)6重量%、食塩1.5重量%、砂糖2重量%、水4
0.5重量%を混合した水相に、大豆サラダ油60%と
大豆硬化油(融点32℃)40%からなる配合油を40
重量%とα化デンプン3.5重量%からなる油相を40
℃で混合乳化し、コロイドミルで均質化処理した。この
乳化物をそのままタンク内で40℃で2時間保持し、容
器に充填してサラダ用ペースト状水中油型乳化脂を得
た。この乳化脂は油滴の約20%が凝集状態となってい
た。この乳化脂と細切りキャベツ、トウモロコシで和え
たサラダは離水を生じにくく長くその鮮度が保てた。
【0032】実施例5 実施例4と同じ組成の水相と油相を用いて、実施例4と
同様にして乳化処理及びコロイドミルで均質化処理し
た。次いで、1kgのポリエチレン製ビンの充填した。
この充填したビンを10本段ボール詰めし、この段ボー
ル詰めした状態で1〜2時間振とう処理して、油滴の約
20%が凝集した本発明のサラダ用ペースト状水中油型
乳化脂を得た。
【0033】実施例6 実施例4と同じ組成の水相と油相を用いて、実施例4と
同様に乳化処理して乳化物を得た。この乳化物を50℃
で100kg/cm2にてホモゲナイズ処理をし、かき
取り式の急冷可塑化装置(ゲシュテンベルグ社製コンビ
ネーター)で10℃まで冷却した。次いで、この乳化脂
を攪拌機にかけ激しく攪拌して、油滴の約20%が凝集
した本発明のサラダ用ペースト状水中油型乳化脂を得
た。
【0034】実施例7 実施例6で得た乳化脂を、立型式のミキサー(カントー
ミキサー)で2〜3分間ホイップさせ、オーバオラン6
0%にした。油滴の凝集が更にすすみ、油滴の約60%
が凝集した本発明のサラダ用ペースト状水中油型乳化脂
を得た。実施例5〜実施例7の水中油型乳化脂を使用し
て、コールスローサラダを常法に従い作成した結果、い
ずれも一般のマヨネーズに比べ具材からの離水防止効果
に優れていた。特に実施例7のホイップしたものが極め
て優れていた。
【0035】
【発明の効果】本発明のサラダ用ペースト状水中油型乳
化脂は、その中の油滴の少なくとも一部を凝集状態、す
なわち、数珠状の会合ないしブドウ房状の凝集状態にし
たものである。この油滴を凝集状態にした乳化脂で予め
サラダ具材を前処理し、サラダ具材に該乳化脂をコーテ
イングさせ、次いでこのサラダ具材を通常のマヨネーズ
と和えて調理したサラダにおいては、サラダ具材からの
水分の分離や吸収が抑制される。また、本発明のサラダ
用ペースト状水中油型乳化脂はマヨネーズにも用いら
れ、この乳化脂をサラダ具材と和えて調理したサラダに
おいては、サラダ具材からの水分の分離や吸収が抑制さ
れる。本発明のサラダ用ペースト状水中油型乳化脂は、
このようにサラダ調理後にサラダ具材からの水分の分離
や吸収を抑制するので、サラダ具材に従来のように煩雑
な下拵えを施さずに用いても、冷蔵保存中に生じるサラ
ダ具材の形崩を防いだり、またサラダで最も重要視され
る鮮度の低下を防ぐことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川出 智 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内 (72)発明者 河野 博繁 東京都荒川区東尾久7丁目2番35号 旭電 化工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油相分が10〜60重量%であるペースト
    状水中油型乳化脂であって、該水中油型乳化脂中の油滴
    の少なくとも一部が凝集状態にあることを特徴とするサ
    ラダ用ペースト状水中油型乳化脂。
  2. 【請求項2】油相分が10〜60重量%であり、且つ水
    相が酸性であるペースト状水中油型乳化脂であって、該
    水中油型乳化脂中の油滴の少なくとも一部が凝集状態に
    あることを特徴とするサラダ用ペースト状水中油型乳化
    脂。
  3. 【請求項3】油相分の油脂が、5℃におけるSFC(So
    lid Fat Content:固体脂指数)が5以上の油脂又は配
    合油である請求項1又は2記載のサラダ用ペースト状水
    中油型乳化脂。
  4. 【請求項4】油相分が10〜60重量%であるペースト
    状水中油型乳化脂を100kg/cm2以上の高圧でホ
    モジナイザー処理し、該水中油型乳化脂中の油滴の少な
    くとも一部を凝集状態にすることを特徴とする請求項1
    記載のサラダ用ペースト状水中油型乳化脂の製造方法。
  5. 【請求項5】油相分が10〜60重量%であるペースト
    状水中油型乳化脂をオーバンラン値100以下の起泡状
    態にして、該水中油型乳化脂中の油滴の少なくとも一部
    を凝集状態にすることを特徴とする請求項1記載のサラ
    ダ用ペースト状水中油型乳化脂の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜3のいずれかに記載のサラダ用
    ペースト状水中油型乳化脂でコーティングすることを特
    徴とするサラダ用具材の前処理方法。
  7. 【請求項7】請求項2又は請求項3に記載の酸性のサラ
    ダ用ペースト状水中油型乳化脂とサラダ用具材とを混和
    してなるサラダ。
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