JPH09297586A - 能動騒音制御装置 - Google Patents

能動騒音制御装置

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JPH09297586A
JPH09297586A JP8134259A JP13425996A JPH09297586A JP H09297586 A JPH09297586 A JP H09297586A JP 8134259 A JP8134259 A JP 8134259A JP 13425996 A JP13425996 A JP 13425996A JP H09297586 A JPH09297586 A JP H09297586A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 収束速度の速い適応アルゴリズムを用いて確
実に騒音をキャンセルする。 【解決手段】 マイクアンプ8Aの出力側に演算器22A を
設け、アンプ8Aの出力に、フィルタ係数の可変なFIR フ
ィルタ5Cと5Dの出力を加算し、かつ、FIR フィルタ5C
(5D)の出力を、パワーアンプ7C(7D)の入力点から当
該マイクアンプ8Aの出力点までの伝達関数が設定された
フィルタ21CA(21DA)に通した信号を減算して各適応制
御部10C (10D )に出力するようにし、マイクアンプ8B
についても同様にする。適応制御部10C (10D )は、対
応するフィルタ11CAと11CB(11DAと11DB)の伝達関数を
ともに1に置き換え、リファレンス信号を当該フィルタ
11CAと11CB(11DAと11DB)に通した信号を用いて、収束
速度の速いFiltered−X適応アルゴリズムを実行し、各
演算器22A ,22B から出力される誤差信号を最小化でき
るFIRフィルタ5C(5D)の伝達関数を求め、適応制御
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は能動騒音制御装置に
係り、とくにカルマンフィルタなどの収束の速い適応ア
ルゴリズムを用いても安定な制御動作が可能な能動騒音
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】空間の所望の受音点で騒音と逆位相とな
るような音響をキャンセルスピーカから放射し、空間の
騒音を低減するようにした能動騒音制御装置(アクティ
ブノイズコントローラ)が有る。この能動騒音制御装置
は、未知システムについて入出力関係からパラメータを
推定するシステム同定を応用したものである。図7に従
来の能動騒音制御装置の基本構成を示す(図7は(リフ
ァレンス,キャンセルスピーカ,エラー検出用マイク)
が(1,1,1)の系である)。騒音空間の所望の受音
点にエラー検出用マイク1、騒音空間の他の所望位置に
受音点での騒音と逆位相となるような音響を発生するキ
ャンセルスピーカ2を設置してある。騒音源に設置した
騒音センサ3で騒音が検出され、リファレンス信号が生
成される。このリファレンス信号はA/D変換器4で離
散化されて騒音信号x(n)となり(nは時刻を示
す)、各フィルタ係数が可変でI次のFIRディジタル
フィルタ(以下、FIRフィルタと略す)5に入力され
る。FIRフィルタ5の出力はD/A変換器6でD/A
変換されたのちパワーアンプ7で電力増幅され、キャン
セルスピーカ2に出力されて、該キャンセルスピーカ2
を駆動する。エラー検出用マイク1の出力はマイクアン
プ8で増幅されたのち、A/D変換器9で離散化されて
誤差信号y(n)となり、適応制御部10に入力され
る。この適応制御部10はFiltered−X適応アルゴリズ
ムを実行する。よって、騒音信号x(n)はフィルタ1
1でフィルタリングされたのち適応制御部10に入力さ
れる。フィルタ11はFIRディジタルフィルタから成
り、D/A変換器6の出力点からA/D変換器9の入力
点までの空間パスを含む伝達関数C(z)をJ次のFI
Rディジタルフィルタで具現するときのインパルス応答
j (j=0〜J)が各次数のフィルタ係数として設定
されている。フィルタ11の伝達関数をC´(z)とす
る。
【0003】騒音信号x(n)はフィルタ11に通され
てC´(z)の伝達関数が畳込まれ、q(n)として適
応制御部10に出力される。適応制御部10はq(n)
を用いて所定のFiltered−X適応アルゴリズムを実行
し、y(n)を最小とできるFIRフィルタ5の各次数
のフィルタ係数の更新値を求め、FIRフィルタ5に対
し更新設定する。具体的には、Filtered−X適応アルゴ
リズムが最小自乗法に着目したFiltered−XLMS(Le
ast Mean Square )の場合、FIRフィルタ5の次数位
置i(i=0〜I)のフィルタ係数をwi として、時刻
(n+1)のフィルタ係数wi (n+1)を次式、 wi (n+1)=wi (n)+μ・y(n)・q(n−i) ……(1) 但し、 μ:所定の収束係数に従い、FIRフィルタ5に対しフ
ィルタ係数の更新設定を行う。なお、フィルタ係数wi
の初期値wi (0)は予め定められた所定値に設定す
る。また、フィルタ係数cj は、D/A変換器6の入力
点にM系列ノイズデータを注入したときのA/D変換器
9の出力点の応答信号から所定の演算を行うことで同定
して求める。このようにして、キャンセルスピーカ2か
らはエラー検出用マイク1での騒音が最小となるような
適切な制御音が放射されて、騒音の低減が図られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、Filtered−
XLMSアルゴリズムの場合、(1)式中のμは0.5
以下の適当な値に設定される。μを小さくすると収束が
遅く、騒音信号x(n)の如くランダムに変化する信号
に対しては適応制御が間に合わず、騒音を確実にキャン
セルすることができない。Filtered−XLMSアルゴリ
ズムにおいて騒音信号x(n)の変化に対する追従性を
高めるためには、μを0.5近くの大きな値に設定して
収束速度を速くする必要がある。また、Filtered−XL
MSアルゴリズムの代わりに、カルマンフィルタの如
く、収束の速いFiltered−X適応アルゴリズムを用い
て、騒音信号x(n)の変化に対する追従性を高めても
良い。Filtered−Xカルマンフィルタの場合、(1)に
対応するフィルタ係数更新式は、 wi (n+1)=wi (n)+K(n){q(n−i)}・y(n) ……(2) 但し、K(n)はq(n−i)を従属変数とするカルマ
ンゲインであり、このカルマンゲインが最適値となるよ
うに更新されるため、速い収束速度が得られる。
【0005】しかしながら、上記した従来の能動騒音制
御装置では、適応制御部10はリファレンス信号x
(n)を、D/A変換器6の出力点からA/D変換器9
の入力点までの伝達関数(C´(z))を持つフィルタ
11に通したq(n)に基づき適応制御を行っており、
キャンセルスピーカ2からエラー検出用マイク1までの
空間パスという周波数−位相特性や周波数−ゲイン特性
が複雑で時間遅れの有る伝達関数が含まれているため、
とくに騒音を確実にキャンセルしようとしてμの大きな
Filtered−XLMSアルゴリズムを用いたり、Filtered
−Xカルマンフィルタなど、他の収束速度の速い適応ア
ルゴリズムを用いようとした場合に制御系が不安定にな
り、うまく騒音をキャンセルできないという問題があっ
た。本発明は上記した従来技術の問題に鑑み、収束速度
の速い適応アルゴリズムを用いても、確実に騒音のキャ
ンセルのできる能動騒音制御装置を提供することを、そ
の目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の能動騒音
制御装置では、騒音を検出してリファレンス信号を生成
するリファレンス信号生成手段と、各々、リファレンス
信号を可変の伝達関数で加工する加工手段,加工手段の
出力を電力増幅する電力増幅手段,空間の所定箇所に置
かれて電力増幅手段の出力を電気−音響変換する電気−
音響変換手段から成る1または複数の音響再生手段と、
各々、空間の所定箇所に置かれた1または複数のエラー
検出用マイクと、各エラー検出用マイクの出力を増幅す
る1または複数のマイク用増幅手段と、各音響再生手段
毎に設けられて、リファレンス信号を,電力増幅手段の
入力点から各マイク用増幅手段の出力点までの伝達関数
が個別に設定された1または複数の第1のフィルタに個
別に通した信号を用いて,各マイク用増幅手段から出力
される誤差信号を最小化する加工手段の伝達関数を求
め,加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行う適応
制御手段と、を備えた能動騒音制御装置において、各マ
イク用増幅手段の出力側に個別に演算手段を設け、該演
算手段は対応するマイク用増幅手段の出力に、1または
複数の全ての加工手段の出力を加算し、かつ、1または
複数の全ての加工手段につき、各加工手段の出力を、後
段の電力増幅手段の入力点から当該マイク用増幅手段の
出力点までの伝達関数が設定された第2のフィルタに個
別に通した信号を減算して各適応制御手段に誤差信号を
出力するようにし、各適応制御手段は、対応する1また
は複数の第1のフィルタの伝達関数を1に置き換え、リ
ファレンス信号を当該1または複数の第1のフィルタの
出力信号を用いて、各演算手段から出力される誤差信号
を最小化する加工手段の伝達関数を求め、加工手段の伝
達関数を可変する適応制御を行うようにしたことを特徴
としている。
【0007】請求項2記載の能動騒音制御装置では、請
求項1記載の能動騒音制御装置において、リファレンス
信号生成手段の出力側に、通過周波数帯域を、騒音を低
減したい所望の帯域に制限するフィルタを設けたこと、
を特徴としている。
【0008】請求項3記載の能動騒音制御装置では、請
求項1記載の能動騒音制御装置において、各エラー検出
用マイク毎に、音楽信号キャンセル装置を設け、この音
楽信号キャンセル装置は、空間に音響再生される音楽の
ソース信号をリファレンス信号とし、該リファレンス信
号を可変の伝達関数で加工する第2の加工手段と、第2
の加工手段の出力とマイク用増幅手段の出力を加算した
あと前記演算手段に入力する加算手段と、音楽のソース
信号と加算手段から出力される誤差信号に基づき、該誤
差信号を最小化する第2の加工手段の伝達関数を求め
て、第2の加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行
う第2の適応制御手段と、を備えたことを特徴としてい
る。
【0009】請求項4記載の能動騒音制御装置では、騒
音を検出してリファレンス信号を生成するリファレンス
信号生成手段と、各々、リファレンス信号を可変の伝達
関数で加工する加工手段,加工手段の出力を電力増幅す
る電力増幅手段,空間の所定箇所に置かれて電力増幅手
段の出力を電気−音響変換する電気−音響変換手段から
成る1または複数の音響再生手段と、空間の所定箇所に
置かれた1つのエラー検出用マイクと、該エラー検出用
マイクの出力を増幅するマイク用増幅手段と、各音響再
生手段毎に設けられて、リファレンス信号を,電力増幅
手段の入力点からマイク用増幅手段の出力点までの伝達
関数が個別に設定された1つの第1のフィルタに通した
信号を用いて,各マイク用増幅手段から出力される誤差
信号を最小化する加工手段の伝達関数を求め,加工手段
の伝達関数を可変する適応制御を行う適応制御手段と、
を備えた能動騒音制御装置において、各音響再生手段毎
に、電力増幅手段の入力側に電力増幅手段の入力点から
マイク用増幅手段の出力点までの伝達関数の逆関数が設
定された第2のフィルタを設けるとともに、マイク用増
幅手段の出力側に演算手段を設け、該演算手段はマイク
用増幅手段の出力に、1または複数の全ての加工手段の
出力を加算し、かつ、1または複数の全ての加工手段に
つき、各加工手段の出力を、後段の電力増幅手段の入力
点から当該マイク用増幅手段の出力点までの伝達関数が
設定された第3のフィルタと、電力増幅手段の入力点か
らマイク用増幅手段の出力点までの伝達関数の逆関数が
設定された第4のフィルタに直列に通した信号を減算し
て各適応制御手段に誤差信号を出力するようにし、各適
応制御手段は、対応する第1のフィルタの伝達関数を1
に置き換え、リファレンス信号を当該第1のフィルタに
通した信号を用いて、各演算手段から出力される誤差信
号を最小化する加工手段の伝達関数を求め、加工手段の
伝達関数を可変する適応制御を行うようにしたこと、を
特徴としている。
【0010】請求項5記載の能動騒音制御装置では、請
求項4記載の能動騒音制御装置において、リファレンス
信号生成手段の出力側に、通過周波数帯域を、騒音を低
減したい所望の帯域に制限するフィルタを設けたこと、
を特徴としている。
【0011】請求項6記載の能動騒音制御装置では、請
求項4記載の能動騒音制御装置において、マイク用増幅
手段の出力側に音楽信号キャンセル装置を設け、この音
楽信号キャンセル装置は、空間に音響再生される音楽の
ソース信号をリファレンス信号とし、該リファレンス信
号を可変の伝達関数で加工する第2の加工手段と、第2
の加工手段の出力とマイク用増幅手段の出力を加算した
あと前記演算手段に入力する加算手段と、音楽のソース
信号と加算手段から出力される誤差信号に基づき、該誤
差信号を最小化する第2の加工手段の伝達関数を求め
て、第2の加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行
う第2の適応制御手段と、を備えたことを特徴としてい
る。
【0012】
【作用】請求項1記載の能動騒音制御装置によれば、1
または複数のキャンセル用の音響再生手段と、1または
複数のエラー検出用マイクの設けられた能動騒音制御装
置において、各マイク用増幅手段の出力側に個別に演算
手段を設け、該演算手段は対応するマイク用増幅手段の
出力に、1または複数の全ての加工手段の出力を加算
し、かつ、1または複数の全ての加工手段につき、各加
工手段の出力を、後段の電力増幅手段の入力点から当該
マイク用増幅手段の出力点までの伝達関数が設定された
第2のフィルタに個別に通した信号を減算して各適応制
御手段に誤差信号を出力するようにし、各適応制御手段
は、対応する1または複数の第1のフィルタの伝達関数
を1に置き換え、リファレンス信号を当該1または複数
の第1のフィルタの出力信号を用いて、各演算手段から
出力される誤差信号を最小化する加工手段の伝達関数を
求め、加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行う。
これにより、各第1のフィルタに設定する伝達関数が1
で良いので、電気−音響変換手段と各エラー検出用マイ
クの間の空間パスに伴う時間遅れや、周波数−位相特
性、周波数−ゲイン特性の影響を受けることなく適応制
御の計算を行える。よって、例えば、μを大きくしたFi
ltered−XLMSアルゴリズム、或いは、Filtered−X
カルマンフィルタなどの他の収束速度の速いFiltered−
X適応アルゴリズムを用いても安定した適応制御を行う
ことができ、電気−音響変換手段とエラー検出用マイク
の間の空間パスでの時間遅れを無視できる周波数帯域に
つき騒音のキャンセルを確実に実行することができる。
【0013】また、請求項2記載の能動騒音制御装置に
よれば、リファレンス信号生成手段の出力は、通過周波
数帯域を、騒音を低減したい所望の帯域に制限するフィ
ルタを通したあと第1のフィルタに入力する。これによ
り、適応制御手段での計算の負担が軽減するので、より
確実に所望帯域の騒音をキャンセルさせることができ
る。
【0014】また、請求項3記載の能動騒音制御装置に
よれば、各エラー検出用マイク毎に、音楽信号キャンセ
ル装置を設け、この音楽信号キャンセル装置では、空間
に音響再生される音楽のソース信号をリファレンス信号
として、該リファレンス信号を第2の加工手段により可
変の伝達関数で加工し、第2の加工手段の出力とマイク
用増幅手段の出力を加算手段で加算したあと前記演算手
段に入力するようにし、第2の適応手段により音楽のソ
ース信号と加算手段から出力される誤差信号に基づき、
該誤差信号を最小化する第2の加工手段の伝達関数を求
めて、第2の加工手段の伝達関数を可変する適応制御を
行う。これにより、マイク用増幅手段の出力に含まれる
音楽信号成分をキャンセルして後段の演算手段に出力で
きるので、音楽の聴取が妨げられることはない。
【0015】請求項4記載の能動騒音制御装置によれ
ば、1または複数のキャンセル用の音響再生手段と、1
つのエラー検出用マイクの設けられた能動騒音制御装置
において、電力増幅手段の入力側に電力増幅手段の入力
点からマイク用増幅手段の出力点までの伝達関数の逆関
数が設定された第2のフィルタを設け、加工手段の出力
を第2のフィルタに通した信号を電力増幅手段に入力
し、また、マイク用増幅手段の出力側に演算手段を設
け、該演算手段はマイク用増幅手段の出力に、1または
複数の全ての加工手段の出力を加算し、かつ、1または
複数の全ての加工手段につき、各加工手段の出力を、後
段の電力増幅手段の入力点から当該マイク用増幅手段の
出力点までの伝達関数が設定された第3のフィルタと、
電力増幅手段の入力点からマイク用増幅手段の出力点ま
での伝達関数の逆関数が設定された第4のフィルタに直
列に通した信号を減算して各適応制御手段に誤差信号を
出力するようにし、各適応制御手段は、対応する第1の
フィルタの伝達関数を1に置き換え、リファレンス信号
を当該第1のフィルタに通した信号を用いて、各演算手
段から出力される誤差信号を最小化する加工手段の伝達
関数を求め、加工手段の伝達関数を可変する適応制御を
行う。これにより、各第1のフィルタに設定する伝達関
数が1で良いので、電気−音響変換手段とエラー検出用
マイクの間の空間パスの時間遅れや、周波数−位相特
性、周波数−ゲイン特性の影響を受けることなく適応制
御の計算を行える。よって、例えば、μを大きくしたFi
ltered−XLMSアルゴリズム、或いは、Filtered−X
カルマンフィルタなどの他の収束速度の速いFiltered−
X適応アルゴリズムを用いても安定した適応制御を行う
ことができる。そして、加工手段の出力に電力増幅手段
の入力点からマイク用増幅手段の出力点までの伝達関数
の逆関数を畳込むので、電気−音響変換手段と各エラー
検出用マイクの間の空間パスによる振幅や位相の乱れを
補正できるため、より安定して広い周波数帯域で騒音の
キャンセルを実行することができる。
【0016】
【実施例】図1は本発明の第1実施例に係る能動騒音制
御装置の全体的なブロック図である。図1は(リファレ
ンス,キャンセルスピーカ,エラー検出用マイク)=
(1,2,2)のマルチチャネル能動騒音制御装置を示
す。なお、図7と同一の構成部分には同一の符号が付し
てある。1A,1Bは騒音空間の所望の2つの受音点に
設置されたエラー検出用マイク、2C,2Dは騒音空間
の他の所望の2つの位置に設置され、前記2つの受音点
での騒音と逆位相となるような音響を発生するキャンセ
ルスピーカ、3は騒音源に設置した騒音センサであり、
騒音を検出してリファレンス信号を生成する。4はリフ
ァレンス信号をA/D変換して離散化し、騒音信号x
(n)を作成するA/D変換器である(nは時刻を示
す)。20C,20Dは2系統の音響再生手段であり、
各々、騒音信号x(n)を用いて2つの受音点での騒音
をキャンセルするための音響を形成する。この内、5
C,5Dは各フィルタ係数が可変でI次のFIRディジ
タルフィルタ(以下、FIRフィルタと略す)であり、
加工手段としての機能を有する。6C,6DはFIRフ
ィルタの出力をD/A変換するD/A変換器、7C,7
DはD/A変換器6C,6Dの出力を電力増幅してキャ
ンセルスピーカ2C,2Dを駆動するパワーアンプであ
る。
【0017】8A,8Bはエラー検出用マイク1A,1
Bの出力を増幅するマイクアンプ、9A,9Bはマイク
アンプ8A,8Bの出力をA/D変換して離散化し、誤
差信号yA (n),yB (n)を作成するA/D変換器
である。パワーアンプ7Cの入力点からマイクアンプ8
A,8Bの出力点までの伝達関数をCCA(z),C
CB(z)、FIRフィルタ5Cの出力をsC (n)とす
る。また、パワーアンプ7Dの入力点からマイクアンプ
8A,8Bの出力点までの伝達関数をCDA(z),CDB
(z)、FIRフィルタ5Dの出力をsD (n)とす
る。21CAはフィルタであり、伝達関数CCA(z)をJ
次のFIRディジタルフィルタで具現するときのインパ
ルス応答cCA, j (j=0〜J)が各次数のフィルタ係
数として設定されている。フィルタ21CAの伝達関数を
CA´(z)とする。21CBはフィルタであり、伝達関
数CCB(z)をJ次のFIRディジタルフィルタで具現
するときのインパルス応答cCB, j (j=0〜J)が各
次数のフィルタ係数として設定されている。フィルタ2
CBの伝達関数をCCB´(z)とする。21DAはフィル
タであり、伝達関数CDA(z)をJ次のFIRディジタ
ルフィルタで具現するときのインパルス応答c
DA, j (j=0〜J)が各次数のフィルタ係数として設
定されている。フィルタ21DAの伝達関数をCDA´
(z)とする。21DBはフィルタであり、伝達関数CDB
(z)をJ次のFIRディジタルフィルタで具現すると
きのインパルス応答cDB, j (j=0〜J)が各次数の
フィルタ係数として設定されている。フィルタ21DB
伝達関数をCDB´(z)とする。
【0018】フィルタ21CAのフィルタ係数c
CA, j は、D/A変換器6Cの入力点にM系列ノイズデ
ータを注入したときのA/D変換器9Aの出力点の応答
信号から所定の演算を行うことで同定して求める。フィ
ルタ21CBのフィルタ係数cCB, j は、D/A変換器6
Cの入力点にM系列ノイズデータを注入したときのA/
D変換器9Bの出力点の応答信号から所定の演算を行う
ことで同定して求める。フィルタ21DAのフィルタ係数
DA, j は、D/A変換器6Dの入力点にM系列ノイズ
データを注入したときのA/D変換器9Aの出力点の応
答信号から所定の演算を行うことで同定して求める。フ
ィルタ21DBのフィルタ係数cDB, j は、D/A変換器
6Dの入力点にM系列ノイズデータを注入したときのA
/D変換器9Bの出力点の応答信号から所定の演算を行
うことで同定して求める。
【0019】22Aは演算器であり、A/D変換器9A
の出力からFIRフィルタ5Cの出力であるsC (n)
をフィルタ21CAに通した信号と、FIRフィルタ5D
の出力であるsD (n)をフィルタ21DAに通した信号
を減算し、かつ、sC (n)とsD (n)を加算する。
そして、結果を誤差信号eA (n)として後述する適応
制御部10C,10Dに出力する。22Bは演算器であ
り、A/D変換器9Bの出力からFIRフィルタ5Cの
出力であるsC (n)をフィルタ21CBに通した信号
と、FIRフィルタ5Dの出力であるsD (n)をフィ
ルタ21DBに通した信号を減算し、かつ、sC (n)と
D (n)を加算する。そして、結果を誤差信号e
B (n)として適応制御部10C,10Dに出力する。
【0020】yA (n)中の騒音成分をdA (n)、y
B (n)中の騒音成分をdB (n)とすると、 yA (n)=dA (n)+sC (n)・CCA+sD (n)・CDA ……(3) yB (n)=dB (n)+sC (n)・CCB+sD (n)・CDB ……(4) である。演算器22Aの出力は、 yA (n)−sC (n)・CCA´−sD (n)・CDA´+sC (n) +sD (n) ≒dA (n)+sC (n)・1+sD (n)・1 ……(5) となり、演算器22Bの出力は、 yB (n)−sC (n)・CCB´−sD (n)・CDB´+sC (n) +sD (n) ≒dB (n)+sC (n)・1+sD (n)・1 ……(6) となる。(5)を(3)と対比すると、演算器22Aの
出力点を制御ポイントと見た場合に、D/A変換器6C
の出力点から演算器22Aの出力点までの伝達関数CC
CAと、D/A変換器6Dの出力点から演算器22Aの出
力点までの伝達関数CCDAがともに1という単純な系と
見做せる。また、(6)を(4)と対比すると、演算器
22Bの出力点を制御ポイントと見た場合に、D/A変
換器6Cの出力点から演算器22Bの出力点までの伝達
関数CCDAと、D/A変換器6Dの出力点から演算器2
2Bの出力点までの伝達関数CCDBがともに1という単
純な系と見做せる。
【0021】11CAは騒音信号x(n)に予め、D/A
変換器6Cの出力点から一方の制御ポイントである演算
器22Aの出力点までの伝達関数CCCA(z)を畳込む
ためのフィルタで、11CBは騒音信号x(n)に予め、
D/A変換器6Cの出力点から他方の制御ポイントであ
る演算器22Bの出力点までの伝達関数CCCB(z)を
畳込むためのフィルタである。また、11DAは騒音信号
x(n)に予め、D/A変換器6Dの出力点から一方の
制御ポイントである演算器22Aの出力点までの伝達関
数CCDA(z)を畳込むためのフィルタで、11DBは騒
音信号x(n)に予め、D/A変換器6Dの出力点から
他方の制御ポイントである演算器22Bの出力点までの
伝達関数CCDB(z)を畳込むためのフィルタである。
各フィルタに設定される伝達関数をCCCA´(z)、C
CB´(z)、CCDA´(z)、CCDB´(z)とする
と、これらは全て1に設定されている。
【0022】騒音信号x(n)はフィルタ11CAと11
CBに個別に通されてCCCA´(z)とCCCB´(z)の
伝達関数が畳込まれ、qCA(n)、qCB(n)として適
応制御部10Cに出力される。適応制御部10CはqCA
(n)、qCB(n)を用いて所定のFiltered−X適応ア
ルゴリズムを実行し、eA (n)とeB (n)を最小と
できるFIRフィルタ5Cの各次数位置i(i=0〜
I)のフィルタ係数の更新値を求め、FIRフィルタ5
Cに対し更新設定する。適応制御部10CがFiltered−
X適応アルゴリズムとして、例えばμを0.5近く(但
し、0.5以下)に大きくして収束を速くしたFiltered
−XLMSを用いるとき、FIRフィルタ5Cの次数位
置iのフィルタ係数wC i の更新式は、 wC i (n+1)=wC i (n)+μCA・eA (n)・qCA(n−i) +μCB・eB (n)・qCB(n−i) ……(7) 但し、μCA,μCB:0.5近く(但し、0.5以下)の
所定の収束係数である。適応制御部10Cは(7)式に
従い、FIRフィルタ5Cのフィルタ係数を更新し、適
応制御を行う。wC i の初期値wC i (0)は予め
定められた所定値に設定する。但し、CCCA´=1、C
CB´=1であることから、(7)式中のqCA(n−
i)=qCB(n−i)=x(n−i)となり、キャンセ
ルスピーカ2Cと各エラー検出用マイク1A,1Bの間
の空間パスに伴う時間遅れや、周波数−位相特性、周波
数−ゲイン特性の影響を受けることなく適応制御の計算
を行える。よって、μを大きくしたFiltered−XLMS
を用いても安定した適応制御を行うことができる。
【0023】また、騒音信号x(n)はフィルタ11DA
と11DBに個別に通されてCCDA´(z)とCCDB´
(z)の伝達関数が畳込まれ、qDA(n)、qDB(n)
として適応制御部10Dに出力される。適応制御部10
DはqDA(n)、qDB(n)を用いて所定のFiltered−
X適応アルゴリズムを実行し、eA (n)とeB (n)
を最小とできるFIRフィルタ5Dの各次数位置iのフ
ィルタ係数の更新値を求め、FIRフィルタ5Dに対し
更新設定する。適応制御部10DがFiltered−X適応ア
ルゴリズムとして、例えばμを0.5近く(但し、0.
5以下)に大きくして収束を速くしたFiltered−XLM
Sを用いるとき、FIRフィルタ5Dの次数位置i(i
=0〜I)のフィルタ係数wDi の更新式は、 wD i (n+1)=wD i (n)+μDA・eA (n)・qDA(n−i) +μDB・eB (n)・qDB(n−i) ……(8) 但し、μDA,μDB:0.5近く(但し、0.5以下)の
所定の収束係数である。適応制御部10Dは(8)式に
従い、FIRフィルタ5Dのフィルタ係数を更新し、適
応制御を行う。wD i の初期値wD i (0)は予め
定められた所定値に設定する。但し、CCDA´=1、C
DB´=1であることから、(8)式中のqDA(n−
i)=qDB(n−i)=x(n−i)となり、キャンセ
ルスピーカ2Dと各エラー検出用マイク1A,1Bの間
の空間パスに伴う時間遅れや、周波数−位相特性、周波
数−ゲイン特性の影響を受けることなく適応制御の計算
を行える。よって、μを大きくしたFiltered−XLMS
を用いても安定した適応制御を行うことができる。
【0024】若し、適応制御部10CがFiltered−X適
応アルゴリズムとして、Filtered−Xカルマンフィルタ
を用いる場合のFIRフィルタ5Cの次数位置iのフィ
ルタ係数wC i の更新式は、 wC i (n+1)=wC i (n) +KCA(n){qCA(n−i)}・eA (n) +KCB(n){qCB(n−i)}・eB (n) ……(9) 但し、KCA(n)はqCA(n−i)を従属変数とするカ
ルマンゲイン KCB(n)はqCB(n−i)を従属変数とするカルマン
ゲインである。適応制御部10Cは(9)式に従い、F
IRフィルタ5Cのフィルタ係数を更新し、適応制御を
行う。wC i の初期値wC i (0)、KCAとKCB
初期値KCA(0)とKCB(0)は予め定められた所定値
に設定する。但し、CCCA´=1、CCCB´=1である
ことから、(9)式中のqCA(n−i)=qCB(n−
i)=x(n−i)となり、キャンセルスピーカ2Cと
各エラー検出用マイク1A,1Bの間の空間パスに伴う
時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の
影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、Filtered−Xカルマンフィルタを用いても安定した
適応制御を行うことができる。
【0025】また、適応制御部10DもFiltered−X適
応アルゴリズムとして、Filtered−Xカルマンフィルタ
を用いる場合のFIRフィルタ5Dの次数位置iのフィ
ルタ係数wD i の更新式は、 wD i (n+1)=wD i (n) +KDA(n){qDA(n−i)}・eA (n) +KDB(n){qDB(n−i)}・eB (n) ……(10) 但し、KDA(n)はqDA(n−i)を従属変数とするカ
ルマンゲイン KDB(n)はqDB(n−i)を従属変数とするカルマン
ゲインである。適応制御部10Dは(10)式に従い、F
IRフィルタ5Dのフィルタ係数を更新し、適応制御を
行う。wD ,i の初期値wD ,i (0)、KDAとKDB
初期値KDA(0)とKDB(0)は予め定められた所定値
に設定する。但し、CCDA´=1、CCDB´=1である
ことから、(10)式中のqDA(n−i)=qDB(n−
i)=x(n−i)となり、キャンセルスピーカ2Dと
各エラー検出用マイク1A,1Bの間の空間パスに伴う
時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の
影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、Filtered−Xカルマンフィルタを用いても安定した
適応制御を行うことができる。
【0026】FIRフィルタ5Cはリアルタイムで更新
される伝達関数により、リファレンス信号x(n)を加
工する。FIRフィルタ5Cの出力はD/A変換器6C
でD/A変換されあと、電力増幅器7Cで電力増幅され
る。そして、キャンセルスピーカ2Cを駆動し、キャン
セル用の音響を空間に放射させる。この結果、キャンセ
ルスピーカ2Cと各エラー検出用マイク1A,1Bの間
の空間パスでの時間遅れを無視できる周波数帯域につき
騒音のキャンセルを確実に実行することができる。同様
に、FIRフィルタ5Dはリアルタイムで更新される伝
達関数により、リファレンス信号x(n)を加工する。
FIRフィルタ5Dの出力はD/A変換器6DでD/A
変換されあと、電力増幅器7Dで電力増幅される。そし
て、キャンセルスピーカ2Dを駆動し、キャンセル用の
音響を空間に放射させる。この結果、キャンセルスピー
カ2Dと各エラー検出用マイク1A,1Bの間の空間パ
スでの時間遅れを無視できる周波数帯域につき騒音のキ
ャンセルを確実に実行することができる。例えば、キャ
ンセルスピーカ2C,2Dに口径16cmのスピーカを
用いたとき、70〜150Hzの周波数帯域につき騒音
を低減することができる。
【0027】上記した実施例によれば、電力増幅器7
C、7Dの入力点から制御対象ポイントである各演算器
22A、22Bの出力点までの伝達関数を1とでき、フ
ィルタ11CA,11CB、11DA,11DBに設定する伝達
関数も1で良いので、キャンセルスピーカ2C、2Dと
各エラー検出用マイク1A、1Bの間の空間パスに伴う
時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の
影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、μを大きく設定したFiltered−XLMSや、Filter
ed−Xカルマンフィルタの如く収束速度の速いFiltered
−X適応アルゴリズムを用いても安定した適応制御を行
うことが可能となり、騒音を確実にキャンセルすること
ができる。
【0028】図2は本発明の第2実施例に係る能動騒音
制御装置の全体的なブロック図である。図2は(リファ
レンス,キャンセルスピーカ,エラー検出マイク)=
(1,2,1)のマルチチャネル能動騒音制御装置を示
す。なお、図1と同一の構成部分には同一の符号が付し
てある。図2では、エラー検出用マイクが1Aの1つだ
けなので、図1におけるエラー検出用マイク1B、マイ
クアンプ8B、A/D変換器9B、演算回路22B、フ
ィルタ21CB、21DB、11CB、11DBが省略してあ
る。そして、適応制御部30CがFiltered−X適応アル
ゴリズムとしてFiltered−XLMSを用いる場合、FI
Rフィルタ5Cの係数更新式は、 wC i (n+1)=wC i (n)+μCA・eA (n)・qCA(n−i) ……(11) 但し、μCA:0.5近く(但し、0.5以下)の所定の
収束係数である。
【0029】若し、適応制御部30CがFiltered−Xカ
ルマンフィルタを用いる場合のFIRフィルタ5Cの次
数位置iのフィルタ係数wC i の更新式は、 wC i (n+1)=wC i (n) +KCA(n){qCA(n−i)}・eA (n) ……(12) 但し、KCA(n)はqCA(n−i)を従属変数とするカ
ルマンゲインである。適応制御部30Cは(11)または
(12)式に従い、FIRフィルタ5Cのフィルタ係数を
更新し、適応制御を行う。wC i の初期値wC
i (0)は予め定められた所定値に設定する。但し、C
CA´=1であることから、(11)または(12)式中の
CA(n−i)=x(n−i)となり、キャンセルスピ
ーカ2Cとエラー検出用マイク1Aの間の空間パスに伴
う時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性
の影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、μを大きくしたFiltered−XLMS、或いはFilter
ed−Xカルマンフィルタを用いても安定した適応制御を
行うことができ、キャンセルスピーカ2Cとエラー検出
用マイク1Aの間の空間パスでの時間遅れを無視できる
周波数帯域につき騒音のキャンセルを確実に実行するこ
とができる。
【0030】また、適応制御部30DもFiltered−X適
応アルゴリズムとしてFiltered−XLMSを用いる場
合、FIRフィルタ5Dの係数更新式は、 wD i (n+1)=wD i (n)+μDA・eA (n)・qDA(n−i) ……(13) 但し、μDA:0.5近く(但し、0.5以下)の所定の
収束係数である。
【0031】若し、適応制御部30DがFiltered−Xカ
ルマンフィルタを用いる場合のFIRフィルタ5Dの係
数更新式は、 wD i (n+1)=wD i (n) +KDA(n){qDA(n−i)}・eA (n) ……(14) 但し、KDA(n)はqDA(n−i)を従属変数とするカ
ルマンゲインである。適応制御部30Dは(13)または
(14)式に従い、FIRフィルタ5Cのフィルタ係数を
更新し、適応制御を行う。wC i の初期値wC
i (0)は予め定められた所定値に設定する。但し、C
DA´=1であることから、(13)または(14)式中の
DA(n−i)=x(n−i)となり、キャンセルスピ
ーカ2Dとエラー検出用マイク1Aの間の空間パスに伴
う時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性
の影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、μを大きくしたFiltered−XLMS、或いはFilter
ed−Xカルマンフィルタを用いても安定した適応制御を
行うことができ、キャンセルスピーカ2Dとエラー検出
用マイク1Aの間の空間パスでの時間遅れを無視できる
周波数帯域につき騒音のキャンセルを確実に実行するこ
とができる。
【0032】なお、(リファレンス,キャンセルスピー
カ,エラー検出マイク)=(1,1,1)の系の場合、
図2中の音響再生手段20D、フィルタ21DA、1
DA、適応制御部30Dを省略し、演算器22AはA/
D変換器9Aの出力にFIRフィルタ5Cの出力を加算
し、フィルタ21CAの出力を減算するように変更すれば
良い。適応制御部30Cの適応アルゴリズムは第2実施
例と同じ(11)または(12)式で良い。
【0033】図3は本発明の第3実施例に係る能動騒音
制御装置の全体的なブロック図である。図3は(リファ
レンス,キャンセルスピーカ,エラー検出マイク)=
(1,1,2)のマルチチャネル能動騒音制御装置を示
す。なお、図1と同一の構成部分には同一の符号が付し
てある。図3では、キャンセルスピーカが2Cの1つだ
けなので、図1における音響再生手段20D、適応制御
部10D、フィルタフィルタ21DA、21DB、11DA
11DBが省略してある。演算器22Aは、A/D変換器
9Aの出力からFIRフィルタ5Cの出力であるs
C (n)をフィルタ21CAに通した信号を減算し、か
つ、sC (n)を加算する。そして、結果を誤差信号e
A (n)として適応制御部10Cに出力する。演算器2
2Bは、A/D変換器9Bの出力からFIRフィルタ5
Cの出力であるsC (n)をフィルタ21CBに通した信
号を減算し、かつ、sC (n)を加算する。そして、結
果を誤差信号eB (n)として適応制御部10Cに出力
する。
【0034】yA (n)中の騒音成分をdA (n)、y
B (n)中の騒音成分をdB (n)とすると、 yA (n)=dA (n)+sC (n)・CCA ……(15) yB (n)=dB (n)+sC (n)・CCB ……(16) である。演算器22Aの出力は、 yA (n)−sC (n)・CCA´+sC (n) ≒dA (n)+sC (n)・1 ……(17) となり、演算器22Bの出力は、 yB (n)−sC (n)・CCB´+sC (n) ≒dB (n)+sC (n)・1 ……(18) となる。(17)を(15)と対比すると、演算器22Aの
出力点を制御ポイントと見た場合に、D/A変換器6C
の出力点から演算器22Aの出力点までの伝達関数CC
CAが1という単純な系と見做せる。また、(18)を(1
6)と対比すると、演算器22Bの出力点を制御ポイン
トと見た場合に、D/A変換器6Cの出力点から演算器
22Bの出力点までの伝達関数CCCBが1という単純な
系と見做せる。
【0035】よって、適応制御部10CはFiltered−X
適応アルゴリズムとしてFiltered−XLMSを用いる場
合、FIRフィルタ5Cの次数位置iのフィルタ係数w
C i を(7)式に従い更新し、適応制御を行えば良
い。また、Filtered−Xカルマンフィルタを用いる場
合、FIRフィルタ5Cの次数位置iのフィルタ係数w
Ci を(10)式に従い更新し、適応制御を行えば良
い。但し、CCCA´=1、CCCB´=1となることか
ら、(7)または(10)式中のqCA(n−i)=q
CB(n−i)=x(n−i)となり、キャンセルスピー
カ2Cと各エラー検出用マイク1A,1Bの間の空間パ
スに伴う時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイ
ン特性の影響を受けることなく適応制御の計算を行え
る。よって、μを大きくしたFiltered−XLMS、或い
はFiltered−Xカルマンフィルタの如く収束速度の速い
適応アルゴリズムを用いても安定した適応制御を行うこ
とができ、キャンセルスピーカ2Cと各エラー検出用マ
イク1A、1Bの間の空間パスでの時間遅れを無視でき
る周波数帯域につき騒音のキャンセルを確実に実行する
ことができる。
【0036】図4は本発明の第4実施例に係る能動騒音
制御装置の全体的なブロック図である。図4は(リファ
レンス,キャンセルスピーカ,エラー検出マイク)=
(1,2,1)のマルチチャネル能動騒音制御装置を示
す。なお、図1と同一の構成部分には同一の符号が付し
てある。図4では、エラー検出用マイクが1Aの1つだ
けなので、図1におけるエラー検出用マイク1B、マイ
クアンプ8B、A/D変換器9B、演算器22B、フィ
ルタ21CB、21DB、11CB、11DBが省略してある。
図4の実施例では、キャンセルスピーカ2C、2Dとエ
ラー検出用マイク1Aとの間の空間パスの周波数−ゲイ
ン特性、周波数−位相特性の影響を小さくするため、C
CA(z)の逆関数CCA -1 (z)を求めておき、求めた
伝達関数(これをCCA´ -1 (z)とする)を持つフィ
ルタ33CAと34CAをD/A変換器6Cの入力側とフィ
ルタ21CAの入力側に設けてある。同様に、CDA(z)
の逆関数CDA -1 (z)を求めておき、求めた伝達関数
(これをCDA´ -1 (z)とする)を持つフィルタ33
DAと34DAをD/A変換器6Dの入力側とフィルタ21
DAの入力側に設けてある。
【0037】yA (n)中の騒音成分をdA (n)とす
ると、 yA (n)=dA (n)+sC (n)・CCA´-1・CCA +sD (n)・CDA´ -1 ・CDA ……(19) である。演算器22Aの出力は、 yA (n)−sC (n)・CCA´-1・CCA´−sD (n)・CDA´ -1 ・CDA´ +sC (n)+sD (n) ≒dA (n)+sC (n)・1+sD (n)・1 ……(20) となる。(20)を(19)と対比すると、演算器22Aの
出力点を制御ポイントと見た場合に、フィルタ33CA
入力点から演算器22Aの出力点までの伝達関数CCCA
と、フィルタ33DAの入力点から演算器22Aの出力点
までの伝達関数CCDAがともに1という単純な系と見做
せる。
【0038】35CAは騒音信号x(n)に予め、フィル
タ33CAの入力点から制御ポイントである演算器22A
の出力点までの伝達関数CCCA(z)を畳込むためのフ
ィルタで、35DAは騒音信号x(n)に予め、フィルタ
33DAの入力点から制御ポイントである演算器22Aの
出力点までの伝達関数CCDA(z)を畳込むためのフィ
ルタである。各フィルタに設定される伝達関数をCCCA
´(z)、CCDA´(z)とすると、これらは全て1に
設定されている。
【0039】適応制御部40CがFiltered−X適応アル
ゴリズムとしてFiltered−XLMSを用いる場合、(1
1)式に従いFIRフィルタ5Cの係数を更新し、適応
制御を行う。また、Filtered−Xカルマンフィルタを用
いる場合、(12)式に従いFIRフィルタ5Cの係数を
更新し、適応制御を行う。但し、CCCA´=1であるこ
とから、(11)または(12)式中のqCA(n−i)=x
(n−i)となり、キャンセルスピーカ2Cとエラー検
出用マイク1Aの間の空間パスに伴う時間遅れや、周波
数−位相特性、周波数−ゲイン特性の影響を受けること
なく適応制御の計算を行える。よって、μを大きくした
Filtered−XLMS、或いはFiltered−Xカルマンフィ
ルタの如く収束速度の速いFiltered−X適応アルゴリズ
ムを用いても安定した適応制御を行うことができる。加
えて、FIRフィルタ5Cの出力に、電力増幅器7Cの
入力点からマイクアンプ9Aの出力点までの伝達関数の
逆関数を畳込むようにしたので、キャンセルスピーカ2
Cとエラー検出用マイク1Aの間の空間パスでの振幅と
位相の乱れを補正することができ、より安定して広い周
波数範囲で騒音のキャンセルを実行することができる。
【0040】また、適応制御部40DがFiltered−X適
応アルゴリズムとしてFiltered−XLMSを用いる場
合、(13)式に従いFIRフィルタ5Dの係数を更新
し、適応制御を行う。また、Filtered−Xカルマンフィ
ルタを用いる場合、(14)式に従いFIRフィルタ5D
の係数を更新し、適応制御を行う。但し、CCDA´=1
であることから、(13)または(14)式中のqDA(n−
i)=x(n−i)となり、キャンセルスピーカ2Dと
エラー検出用マイク1Aの間の空間パスに伴う時間遅れ
や、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の影響を受
けることなく適応制御の計算を行える。よって、μを大
きくしたFiltered−XLMS、或いはFiltered−Xカル
マンフィルタの如く収束速度の速いFiltered−X適応ア
ルゴリズムを用いても安定した適応制御を行うことがで
きる。加えて、FIRフィルタ5Dの出力に、電力増幅
器7Dの入力点からマイクアンプ9Aの出力点までの伝
達関数の逆関数を畳込むようにしたので、キャンセルス
ピーカ2Dとエラー検出用マイク1Aの間の空間パスで
の振幅と位相の乱れを補正することができ、より安定し
て広い周波数範囲で騒音のキャンセルを実行することが
できる。
【0041】図5は本発明の第5実施例に係る能動騒音
制御装置の全体的なブロック図である。図5は(リファ
レンス,キャンセルスピーカ,エラー検出マイク)=
(1,1,1)の能動騒音制御装置を示す。なお、図4
と同一の構成部分には同一の符号が付してある。図5で
は、キャンセルスピーカが2Cの1つだけなので、図4
の内、音響再生手段20D、フィルタ21DA、34DA
35DA、適応制御部40Dが省略してある。演算器22
AはA/D変換器9Aの出力にFIRフィルタ5Cの出
力を加算し、FIRフィルタ5Cの出力を伝達関数CCA
´-1のフィルタ34CAと伝達関数CCA´のフィルタ21
CAに直列に通した信号を減算する。その他の構成部分は
図4と同様に構成されている。
【0042】yA (n)中の騒音成分をdA (n)とす
ると、 yA (n)=dA (n)+sC (n)・CCA´-1・CCA ……(21) である。演算器22Aの出力は、 yA (n)−sC (n)・CCA´-1・CCA´+sC (n) ≒dA (n)+sC (n)・1 ……(22) となる。(22)を(21)と対比すると、演算器22Aの
出力点を制御ポイントと見た場合に、フィルタ33CA
入力点から演算器22Aの出力点までの伝達関数CCCA
が1という単純な系と見做せる。35CAは騒音信号x
(n)に予め、フィルタ33CAの入力点から制御ポイン
トである演算器22Aの出力点までの伝達関数CC
CA(z)を畳込むためのフィルタで、伝達関数をCCCA
´(z)とすると1に設定されている。
【0043】適応制御部40Cは、Filtered−X適応ア
ルゴリズムとしてFiltered−XLMSを用いる場合、
(11)式に従いFIRフィルタ5Cの係数を更新し、適
応制御を行う。また、Filtered−Xカルマンフィルタを
用いる場合、(12)式に従いFIRフィルタ5Cの係数
を更新し、適応制御を行う。但し、CCCA´=1である
ことから、(11)または(12)式中のqCA(n−i)=
x(n−i)となり、キャンセルスピーカ2Cとエラー
検出用マイク1Aの間の空間パスに伴う時間遅れや、周
波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の影響を受けるこ
となく適応制御の計算を行える。よって、μを大きくし
たFiltered−XLMS、或いはFiltered−Xカルマンフ
ィルタの如く収束速度の速いFiltered−X適応アルゴリ
ズムを用いても安定した適応制御を行うことができる。
加えて、FIRフィルタ5Cの出力に、電力増幅器7C
の入力点からマイクアンプ9Aの出力点までの伝達関数
の逆関数を畳込むようにしたので、キャンセルスピーカ
2Cとエラー検出用マイク1Aの間の空間パスでの振幅
と位相の乱れを補正することができ、より安定して広い
周波数範囲で騒音のキャンセルを実行することができ
る。
【0044】上記した各実施例では、騒音センサ3で検
出したリファレンス信号をそのままA/D変換してx
(n)を形成したが、騒音が目立つのは20〜200H
zの低域であることから、図1〜図5の破線で囲んだブ
ロック(符号50参照)の如く、騒音センサ3の出力側
に20〜200Hzの通過帯域幅を持つBPFを設け、
騒音センサ3の出力の内、低域成分のみを取り出し、A
/D変換器4でx(n)を作成するようにしても良い。
このようにすれば、20Hz以下の耳に聞こえない超低
周波成分や200Hz以上のそれほど騒音の目立たない
成分がカットされるので、適応制御部は余計な成分に応
答しなくて済み、適応制御がし易くなる。
【0045】また、空間に音楽が流れているとき、上記
した各実施例では、騒音と音楽を区別できないために音
楽についてもキャンセルしてしまう。そこで、各エラー
検出用マイク毎に、マイクアンプの出力側(A/D変換
器の出力側)に音楽信号キャンセル装置を設け、誤差信
号の中に含まれる音楽信号成分を取り除いたあと、演算
器の側に出力するようにしても良い。図6に音楽信号キ
ャンセル装置の具体例を示す。オーディオソース信号A
Sがパワーアンプ59で電力増幅されたあと音楽用スピ
ーカ60Mから空間に音響放射されているものとする。
系に設置されたエラー検出用マイクが1Aの場合、該エ
ラー検出用マイク1Aの出力がマイクアンプ8Aで増幅
されたあと、A/D変換器9AでA/D変換されて誤差
信号yA (n)が作成される。A/D変換器9Aの出力
側に音楽信号キャンセル装置70を設け、yA (n)に
含まれる音楽成分を除去したのち後段の演算器22Aへ
出力させる。
【0046】音楽信号キャンセル装置70は基本的には
能動騒音制御装置と同様の構成を有し、オーディオソー
ス信号ASを音楽リファレンス信号とし、A/D変換器
71で離散化して音楽リファレンス信号mx(n)を作
成する。音楽リファレンス信号mx(n)はフィルタ係
数が可変のK次のFIRディジタルフィルタ(以下、F
IRフィルタという)72に入力される。該FIRフィ
ルタ72の出力は加算器73によりyA (n)に加算さ
れる。加算器73の出力は誤差信号yA (n)´として
後段の演算器(図1〜図5の符号22A参照)に出力さ
れるほか、適応制御部74に入力される。適応制御部7
4には音楽リファレンス信号mx(n)も入力される。
【0047】適応制御部74はmx(n)を用いて所定
の適応アルゴリズムを実行し、yA(n)´を最小とで
きるFIRフィルタ72の各次数位置のフィルタ係数の
更新値を求め、FIRフィルタ72に対し更新設定す
る。具体的には、適応アルゴリズムが最小自乗法に着目
したFiltered−XLMS(Least Mean Square )の場
合、FIRフィルタ72の次数位置k(k=0〜K)の
フィルタ係数をwk として、時刻(n+1)のフィルタ
係数wi (n+1)を次式、 wk (n+1)=wk (n)+μ・yA (n)´・mx(n−i) ……(23) 但し、μ:所定の収束係数 に従い、FIRフィルタ72に対しフィルタ係数の更新
設定を行う。なお、フィルタ係数wk の初期値w
k (0)は予め定められた所定値に設定する。
【0048】このように構成された音楽信号キャンセル
装置70により、音楽リファレンス信号mx(n)がF
IRフィルタ72により、yA (n)中の音楽成分を丁
度、打ち消すように加工されて出力される。よって、加
算器73からは音楽成分の打ち消された誤差信号y
A (n)´を出力できるので、能動騒音制御系によっ
て、音楽が打ち消されてしまうことはない。なお、エラ
ー検出用マイクが複数存在するとき、各エラー検出用マ
イク毎に、音楽信号キャンセル装置を設けるようにす
る。
【0049】また、上記した各実施例、変形例では、音
響再生手段を1または2、エラー検出用マイクを1また
は2個設ける場合につき説明したが、本発明は何らこれ
に限定されるものではない。また、適応制御部が実行す
るFiltered−X適応アルゴリズムについても、Filtered
−XLMS、Filtered−Xカルマンフィルタに限定され
ず、例えば、Filtered−XRLS(RLS;逐次最小2
乗法)など他の種類の収束速度の速いFiltered−X適応
アルゴリズムを用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】請求項1記載の能動騒音制御装置によれ
ば、1または複数のキャンセル用の音響再生手段と、1
または複数のエラー検出用マイクの設けられた能動騒音
制御装置において、各マイク用増幅手段の出力側に個別
に演算手段を設け、該演算手段は対応するマイク用増幅
手段の出力に、1または複数の全ての加工手段の出力を
加算し、かつ、1または複数の全ての加工手段につき、
各加工手段の出力を、後段の電力増幅手段の入力点から
当該マイク用増幅手段の出力点までの伝達関数が設定さ
れた第2のフィルタに個別に通した信号を減算して各適
応制御手段に誤差信号を出力するようにし、各適応制御
手段は、対応する1または複数の第1のフィルタの伝達
関数を1に置き換え、リファレンス信号を当該1または
複数の第1のフィルタの出力信号を用いて、各演算手段
から出力される誤差信号を最小化する加工手段の伝達関
数を求め、加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行
うように構成したことにより、各第1のフィルタに設定
する伝達関数が1で良いので、電気−音響変換手段と各
エラー検出用マイクの間の空間パスに伴う時間遅れや、
周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の影響を受ける
ことなく適応制御の計算を行える。よって、例えば、μ
の大きなFiltered−XLMS、Filtered−Xカルマンフ
ィルタなど、収束速度の速いFiltered−X適応アルゴリ
ズムを用いても安定した適応制御を行うことができ、電
気−音響変換手段とエラー検出用マイクの間の空間パス
での時間遅れを無視できる周波数帯域につき騒音のキャ
ンセルを確実に実行することができる。
【0051】また、請求項4記載の能動騒音制御装置に
よれば、1または複数のキャンセル用の音響再生手段
と、1つのエラー検出用マイクの設けられた能動騒音制
御装置において、電力増幅手段の入力側に電力増幅手段
の入力点からマイク用増幅手段の出力点までの伝達関数
の逆関数が設定された第2のフィルタを設け、加工手段
の出力を第2のフィルタに通した信号を電力増幅手段に
入力し、また、マイク用増幅手段の出力側に演算手段を
設け、該演算手段はマイク用増幅手段の出力に、1また
は複数の全ての加工手段の出力を加算し、かつ、1また
は複数の全ての加工手段につき、各加工手段の出力を、
後段の電力増幅手段の入力点から当該マイク用増幅手段
の出力点までの伝達関数が設定された第3のフィルタ
と、電力増幅手段の入力点からマイク用増幅手段の出力
点までの伝達関数の逆関数が設定された第4のフィルタ
に直列に通した信号を減算して各適応制御手段に誤差信
号を出力するようにし、各適応制御手段は、対応する第
1のフィルタの伝達関数を1に置き換え、リファレンス
信号を当該第1のフィルタに通した信号を用いて、各演
算手段から出力される誤差信号を最小化する加工手段の
伝達関数を求め、加工手段の伝達関数を可変する適応制
御を行うように構成したことにより、各第1のフィルタ
に設定する伝達関数が1で良いので、電気−音響変換手
段とエラー検出用マイクの間の空間パスの時間遅れや、
周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の影響を受ける
ことなく適応制御の計算を行える。よって、例えば、μ
の大きなFiltered−XLMS、Filtered−Xカルマンフ
ィルタなど、収束速度の速いFiltered−X適応アルゴリ
ズムを用いても安定した適応制御を行うことができる。
そして、加工手段の出力に電力増幅手段の入力点からマ
イク用増幅手段の出力点までの伝達関数の逆関数を畳込
むので、電気−音響変換手段と各エラー検出用マイクの
間の空間パスによる振幅と位相の乱れを補正できるた
め、より安定して広い周波数帯域で騒音のキャンセルを
実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る能動騒音制御装置の
ブロック図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る能動騒音制御装置の
ブロック図である。
【図3】本発明の第3実施例に係る能動騒音制御装置の
ブロック図である。
【図4】本発明の第4実施例に係る能動騒音制御装置の
ブロック図である。
【図5】本発明の第5実施例に係る能動騒音制御装置の
ブロック図である。
【図6】本発明の変形例に係る能動騒音制御装置の一部
省略したブロック図である。
【図7】従来の能動騒音制御装置の回路図である。
【符号の説明】
1A、1B エラー検出用マイク 2C、2D キャンセルスピーカ 3 騒音センサ 4、9A、9B、71 A/D変換器 5C、5D、72 FIRディジタルフィルタ 6C、6D D/A変換器 7C、7D、59 パワーアンプ 8A、8B マイクアンプ 10C、10D、30C、30D、40C、40D、7
4 適応制御部 11CA、11CB、11DA、11DB、21CA、21CB、2
DA、21DB、33CA、33DA、34CA、34DA、35
CA、35DA フィルタ 20C、20D 音響再生手段 22A、22B 演算器 50 BPF 60M 音楽用スピーカ 70 音楽信号キャンセル装置 73 加算器
【手続補正書】
【提出日】平成9年2月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は能動騒音制御装置に
係り、とくにカルマンフィルタなどの収束の速い適応ア
ルゴリズムを用いても安定な制御動作が可能な能動騒音
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】空間の所望の受音点で騒音と逆位相とな
るような音響をキャンセルスピーカから放射し、空間の
騒音を低減するようにした能動騒音制御装置(アクティ
ブノイズコントローラ)が有る。この能動騒音制御装置
は、未知システムについて入出力関係からパラメータを
推定するシステム同定を応用したものである。図7に従
来の能動騒音制御装置の基本構成を示す(図7は(リフ
ァレンス,キャンセルスピーカ,エラー検出用マイク)
が(1,1,1)の系である)。騒音空間の所望の受音
点にエラー検出用マイク1、騒音空間の他の所望位置に
受音点での騒音と逆位相となるような音響を発生するキ
ャンセルスピーカ2を設置してある。騒音源に設置した
騒音センサ3で騒音が検出され、リファレンス信号が生
成される。このリファレンス信号はA/D変換器4で離
散化されて騒音信号x(n)となり(nは時刻を示
す)、各フィルタ係数が可変でI次のFIRディジタル
フィルタ(以下、FIRフィルタと略す)5に入力され
る。FIRフィルタ5の出力はD/A変換器6でD/A
変換されたのちパワーアンプ7で電力増幅され、キャン
セルスピーカ2に出力されて、該キャンセルスピーカ2
を駆動する。エラー検出用マイク1の出力はマイクアン
プ8で増幅されたのち、A/D変換器9で離散化されて
誤差信号y(n)となり、適応制御部10に入力され
る。この適応制御部10は適応アルゴリズムを実行す
る。よって、騒音信号x(n)はフィルタ11でフィル
タリングされたのち適応制御部10に入力される。フィ
ルタ11はFIRディジタルフィルタから成り、D/A
変換器6の出力点からA/D変換器9の入力点までの空
間パスを含む伝達関数C(z)をJ次のFIRディジタ
ルフィルタで具現するときのインパルス応答cj (j=
0〜J)が各次数のフィルタ係数として設定されてい
る。フィルタ11の伝達関数をC´(z)とする。
【0003】騒音信号x(n)はフィルタ11に通され
てC´(z)の伝達関数が畳込まれ、q(n)として適
応制御部10に出力される。適応制御部10はq(n)
を用いて所定の適応アルゴリズムを実行し、y(n)を
最小とできるFIRフィルタ5の各次数のフィルタ係数
の更新値を求め、FIRフィルタ5に対し更新設定す
る。具体的には、適応アルゴリズムが最小自乗法に着目
したLMS(Least Mean Square)の場合、FIRフィル
タ5の次数位置i(i=0〜I)のフィルタ係数をwi
として、時刻(n+1)のフィルタ係数wi (n+1)
を次式、 wi (n+1)=wi (n)+μ・y(n)・q(n−i) ……(1) 但し、 μ:所定の収束係数 に従い、FIRフィルタ5に対しフィルタ係数の更新設
定を行う。なお、フィルタ係数wi の初期値wi (0)
は予め定められた所定値に設定する。また、フィルタ係
数cj は、D/A変換器6の入力点にM系列ノイズデー
タを注入したときのA/D変換器9の出力点の応答信号
から所定の演算を行うことで同定して求める。このよう
にして、キャンセルスピーカ2からはエラー検出用マイ
ク1での騒音が最小となるような適切な制御音が放射さ
れて、騒音の低減が図られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、LMSアル
ゴリズムの場合、(1)式中のμは通常、0.5以下の
適当な値に設定される。μを小さくすると収束が遅く、
騒音信号x(n)の如くランダムに変化する信号に対し
ては適応制御が間に合わず、騒音を確実にキャンセルす
ることができない。LMSアルゴリズムにおいて騒音信
号x(n)の変化に対する追従性を高めるためには、μ
を0.5近くの大きな値に設定して収束速度を速くする
必要がある。また、LMSアルゴリズムの代わりに、カ
ルマンフィルタの如く、収束の速い適応アルゴリズム
用いて、騒音信号x(n)の変化に対する追従性を高め
ても良い。カルマンフィルタの場合、(1)に対応する
フィルタ係数更新式は、 wi (n+1)=wi (n)+K(n){q(n−i)}・y(n) ……(2) 但し、K(n)はq(n−i)を従属変数とするカルマ
ンゲインであり、このカルマンゲインが最適値となるよ
うに更新されるため、速い収束速度が得られる。
【0005】しかしながら、上記した従来の能動騒音制
御装置では、適応制御部10はリファレンス信号x
(n)を、D/A変換器6の出力点からA/D変換器9
の入力点までの伝達関数(C´(z))を持つフィルタ
11に通したq(n)に基づき適応制御を行っており、
キャンセルスピーカ2からエラー検出用マイク1までの
空間パスという周波数−位相特性や周波数−ゲイン特性
が複雑で時間遅れの有る伝達関数が含まれているため、
とくに騒音を確実にキャンセルしようとしてμの大きな
LMSアルゴリズムを用いたり、カルマンフィルタ
ど、他の収束速度の速い適応アルゴリズムを用いようと
した場合に制御系が不安定になり、うまく騒音をキャン
セルできないという問題があった。本発明は上記した従
来技術の問題に鑑み、収束速度の速い適応アルゴリズム
を用いても、確実に騒音のキャンセルのできる能動騒音
制御装置を提供することを、その目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の能動騒音
制御装置では、騒音を検出してリファレンス信号を生成
するリファレンス信号生成手段と、各々、リファレンス
信号を可変の伝達関数で加工する加工手段,加工手段の
出力を電力増幅する電力増幅手段,空間の所定箇所に置
かれて電力増幅手段の出力を電気−音響変換する電気−
音響変換手段から成る1または複数の音響再生手段と、
各々、空間の所定箇所に置かれた1または複数のエラー
検出用マイクと、各エラー検出用マイクの出力を増幅す
る1または複数のマイク用増幅手段と、各音響再生手段
毎に設けられて、リファレンス信号を,電力増幅手段の
入力点から各マイク用増幅手段の出力点までの伝達関数
が個別に設定された1または複数の第1のフィルタに個
別に通した信号を用いて,各マイク用増幅手段から出力
される誤差信号を最小化する加工手段の伝達関数を求
め,加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行う適応
制御手段と、を備えた能動騒音制御装置において、各マ
イク用増幅手段の出力側に個別に演算手段を設け、該演
算手段は対応するマイク用増幅手段の出力に、1または
複数の全ての加工手段の出力を加算し、かつ、1または
複数の全ての加工手段につき、各加工手段の出力を、後
段の電力増幅手段の入力点から当該マイク用増幅手段の
出力点までの伝達関数が設定された第2のフィルタに個
別に通した信号を減算して各適応制御手段に誤差信号を
出力するようにし、各適応制御手段は、対応する1また
は複数の第1のフィルタの伝達関数を1に置き換え、リ
ファレンス信号を当該1または複数の第1のフィルタの
出力信号を用いて、各演算手段から出力される誤差信号
を最小化する加工手段の伝達関数を求め、加工手段の伝
達関数を可変する適応制御を行うようにしたことを特徴
としている。
【0007】請求項2記載の能動騒音制御装置では、請
求項1記載の能動騒音制御装置において、リファレンス
信号生成手段の出力側に、通過周波数帯域を、騒音を低
減したい所望の帯域に制限するフィルタを設けたこと、
を特徴としている。
【0008】請求項3記載の能動騒音制御装置では、請
求項1記載の能動騒音制御装置において、各エラー検出
用マイク毎に、音楽信号キャンセル装置を設け、この音
楽信号キャンセル装置は、空間に音響再生される音楽の
ソース信号をリファレンス信号とし、該リファレンス信
号を可変の伝達関数で加工する第2の加工手段と、第2
の加工手段の出力とマイク用増幅手段の出力を加算した
あと前記演算手段に入力する加算手段と、音楽のソース
信号と加算手段から出力される誤差信号に基づき、該誤
差信号を最小化する第2の加工手段の伝達関数を求め
て、第2の加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行
う第2の適応制御手段と、を備えたことを特徴としてい
る。
【0009】請求項4記載の能動騒音制御装置では、騒
音を検出してリファレンス信号を生成するリファレンス
信号生成手段と、各々、リファレンス信号を可変の伝達
関数で加工する加工手段,加工手段の出力を電力増幅す
る電力増幅手段,空間の所定箇所に置かれて電力増幅手
段の出力を電気−音響変換する電気−音響変換手段から
成る1または複数の音響再生手段と、空間の所定箇所に
置かれた1つのエラー検出用マイクと、該エラー検出用
マイクの出力を増幅するマイク用増幅手段と、各音響再
生手段毎に設けられて、リファレンス信号を,電力増幅
手段の入力点からマイク用増幅手段の出力点までの伝達
関数が個別に設定された1つの第1のフィルタに通した
信号を用いて,各マイク用増幅手段から出力される誤差
信号を最小化する加工手段の伝達関数を求め,加工手段
の伝達関数を可変する適応制御を行う適応制御手段と、
を備えた能動騒音制御装置において、各音響再生手段毎
に、電力増幅手段の入力側に電力増幅手段の入力点から
マイク用増幅手段の出力点までの伝達関数の逆関数が設
定された第2のフィルタを設けるとともに、マイク用増
幅手段の出力側に演算手段を設け、該演算手段はマイク
用増幅手段の出力に、1または複数の全ての加工手段の
出力を加算し、かつ、1または複数の全ての加工手段に
つき、各加工手段の出力を、後段の電力増幅手段の入力
点から当該マイク用増幅手段の出力点までの伝達関数が
設定された第3のフィルタと、電力増幅手段の入力点か
らマイク用増幅手段の出力点までの伝達関数の逆関数が
設定された第4のフィルタに直列に通した信号を減算し
て各適応制御手段に誤差信号を出力するようにし、各適
応制御手段は、対応する第1のフィルタの伝達関数を1
に置き換え、リファレンス信号を当該第1のフィルタに
通した信号を用いて、各演算手段から出力される誤差信
号を最小化する加工手段の伝達関数を求め、加工手段の
伝達関数を可変する適応制御を行うようにしたこと、を
特徴としている。
【0010】請求項5記載の能動騒音制御装置では、請
求項4記載の能動騒音制御装置において、リファレンス
信号生成手段の出力側に、通過周波数帯域を、騒音を低
減したい所望の帯域に制限するフィルタを設けたこと、
を特徴としている。
【0011】請求項6記載の能動騒音制御装置では、請
求項4記載の能動騒音制御装置において、マイク用増幅
手段の出力側に音楽信号キャンセル装置を設け、この音
楽信号キャンセル装置は、空間に音響再生される音楽の
ソース信号をリファレンス信号とし、該リファレンス信
号を可変の伝達関数で加工する第2の加工手段と、第2
の加工手段の出力とマイク用増幅手段の出力を加算した
あと前記演算手段に入力する加算手段と、音楽のソース
信号と加算手段から出力される誤差信号に基づき、該誤
差信号を最小化する第2の加工手段の伝達関数を求め
て、第2の加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行
う第2の適応制御手段と、を備えたことを特徴としてい
る。
【0012】
【作用】請求項1記載の能動騒音制御装置によれば、1
または複数のキャンセル用の音響再生手段と、1または
複数のエラー検出用マイクの設けられた能動騒音制御装
置において、各マイク用増幅手段の出力側に個別に演算
手段を設け、該演算手段は対応するマイク用増幅手段の
出力に、1または複数の全ての加工手段の出力を加算
し、かつ、1または複数の全ての加工手段につき、各加
工手段の出力を、後段の電力増幅手段の入力点から当該
マイク用増幅手段の出力点までの伝達関数が設定された
第2のフィルタに個別に通した信号を減算して各適応制
御手段に誤差信号を出力するようにし、各適応制御手段
は、対応する1または複数の第1のフィルタの伝達関数
を1に置き換え、リファレンス信号を当該1または複数
の第1のフィルタの出力信号を用いて、各演算手段から
出力される誤差信号を最小化する加工手段の伝達関数を
求め、加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行う。
これにより、各第1のフィルタに設定する伝達関数が1
で良いので、電気−音響変換手段と各エラー検出用マイ
クの間の空間パスに伴う時間遅れや、周波数−位相特
性、周波数−ゲイン特性の影響を受けることなく適応制
御の計算を行える。よって、例えば、μを大きくした
MSアルゴリズム、或いは、カルマンフィルタなどの他
の収束速度の速い適応アルゴリズムを用いても安定した
適応制御を行うことができ、電気−音響変換手段とエラ
ー検出用マイクの間の空間パスでの時間遅れを無視でき
る周波数帯域につき騒音のキャンセルを確実に実行する
ことができる。
【0013】また、請求項2記載の能動騒音制御装置に
よれば、リファレンス信号生成手段の出力は、通過周波
数帯域を、騒音を低減したい所望の帯域に制限するフィ
ルタを通したあと第1のフィルタに入力する。これによ
り、適応制御手段での計算の負担が軽減するので、より
確実に所望帯域の騒音をキャンセルさせることができ
る。
【0014】また、請求項3記載の能動騒音制御装置に
よれば、各エラー検出用マイク毎に、音楽信号キャンセ
ル装置を設け、この音楽信号キャンセル装置では、空間
に音響再生される音楽のソース信号をリファレンス信号
として、該リファレンス信号を第2の加工手段により可
変の伝達関数で加工し、第2の加工手段の出力とマイク
用増幅手段の出力を加算手段で加算したあと前記演算手
段に入力するようにし、第2の適応手段により音楽のソ
ース信号と加算手段から出力される誤差信号に基づき、
該誤差信号を最小化する第2の加工手段の伝達関数を求
めて、第2の加工手段の伝達関数を可変する適応制御を
行う。これにより、マイク用増幅手段の出力に含まれる
音楽信号成分をキャンセルして後段の演算手段に出力で
きるので、音楽の聴取が妨げられることはない。
【0015】請求項4記載の能動騒音制御装置によれ
ば、1または複数のキャンセル用の音響再生手段と、1
つのエラー検出用マイクの設けられた能動騒音制御装置
において、電力増幅手段の入力側に電力増幅手段の入力
点からマイク用増幅手段の出力点までの伝達関数の逆関
数が設定された第2のフィルタを設け、加工手段の出力
を第2のフィルタに通した信号を電力増幅手段に入力
し、また、マイク用増幅手段の出力側に演算手段を設
け、該演算手段はマイク用増幅手段の出力に、1または
複数の全ての加工手段の出力を加算し、かつ、1または
複数の全ての加工手段につき、各加工手段の出力を、後
段の電力増幅手段の入力点から当該マイク用増幅手段の
出力点までの伝達関数が設定された第3のフィルタと、
電力増幅手段の入力点からマイク用増幅手段の出力点ま
での伝達関数の逆関数が設定された第4のフィルタに直
列に通した信号を減算して各適応制御手段に誤差信号を
出力するようにし、各適応制御手段は、対応する第1の
フィルタの伝達関数を1に置き換え、リファレンス信号
を当該第1のフィルタに通した信号を用いて、各演算手
段から出力される誤差信号を最小化する加工手段の伝達
関数を求め、加工手段の伝達関数を可変する適応制御を
行う。これにより、各第1のフィルタに設定する伝達関
数が1で良いので、電気−音響変換手段とエラー検出用
マイクの間の空間パスの時間遅れや、周波数−位相特
性、周波数−ゲイン特性の影響を受けることなく適応制
御の計算を行える。よって、例えば、μを大きくした
MSアルゴリズム、或いは、カルマンフィルタなどの他
の収束速度の速い適応アルゴリズムを用いても安定した
適応制御を行うことができる。そして、加工手段の出力
に電力増幅手段の入力点からマイク用増幅手段の出力点
までの伝達関数の逆関数を畳込むので、電気−音響変換
手段と各エラー検出用マイクの間の空間パスによる振幅
や位相の乱れを補正できるため、より安定して広い周波
数帯域で騒音のキャンセルを実行することができる。
【0016】
【実施例】図1は本発明の第1実施例に係る能動騒音制
御装置の全体的なブロック図である。図1は(リファレ
ンス,キャンセルスピーカ,エラー検出用マイク)=
(1,2,2)のマルチチャネル能動騒音制御装置を示
す。なお、図7と同一の構成部分には同一の符号が付し
てある。1A,1Bは騒音空間の所望の2つの受音点に
設置されたエラー検出用マイク、2C,2Dは騒音空間
の他の所望の2つの位置に設置され、前記2つの受音点
での騒音と逆位相となるような音響を発生するキャンセ
ルスピーカ、3は騒音源に設置した騒音センサであり、
騒音を検出してリファレンス信号を生成する。4はリフ
ァレンス信号をA/D変換して離散化し、騒音信号x
(n)を作成するA/D変換器である(nは時刻を示
す)。20C,20Dは2系統の音響再生手段であり、
各々、騒音信号x(n)を用いて2つの受音点での騒音
をキャンセルするための音響を形成する。この内、5
C,5Dは各フィルタ係数が可変でI次のFIRディジ
タルフィルタ(以下、FIRフィルタと略す)であり、
加工手段としての機能を有する。6C,6DはFIRフ
ィルタの出力をD/A変換するD/A変換器、7C,7
DはD/A変換器6C,6Dの出力を電力増幅してキャ
ンセルスピーカ2C,2Dを駆動するパワーアンプであ
る。
【0017】8A,8Bはエラー検出用マイク1A,1
Bの出力を増幅するマイクアンプ、9A,9Bはマイク
アンプ8A,8Bの出力をA/D変換して離散化し、誤
差信号yA (n),yB (n)を作成するA/D変換器
である。パワーアンプ7Cの入力点からマイクアンプ8
A,8Bの出力点までの伝達関数をCCA(z),C
CB(z)、FIRフィルタ5Cの出力をsC (n)とす
る。また、パワーアンプ7Dの入力点からマイクアンプ
8A,8Bの出力点までの伝達関数をCDA(z),CDB
(z)、FIRフィルタ5Dの出力をsD (n)とす
る。21CAはフィルタであり、伝達関数CCA(z)をJ
次のFIRディジタルフィルタで具現するときのインパ
ルス応答cCA, j (j=0〜J)が各次数のフィルタ係
数として設定されている。フィルタ21CAの伝達関数を
CA´(z)とする。21CBはフィルタであり、伝達関
数CCB(z)をJ次のFIRディジタルフィルタで具現
するときのインパルス応答cCB, j (j=0〜J)が各
次数のフィルタ係数として設定されている。フィルタ2
CBの伝達関数をCCB´(z)とする。21DAはフィル
タであり、伝達関数CDA(z)をJ次のFIRディジタ
ルフィルタで具現するときのインパルス応答c
DA, j (j=0〜J)が各次数のフィルタ係数として設
定されている。フィルタ21DAの伝達関数をCDA´
(z)とする。21DBはフィルタであり、伝達関数CDB
(z)をJ次のFIRディジタルフィルタで具現すると
きのインパルス応答cDB, j (j=0〜J)が各次数の
フィルタ係数として設定されている。フィルタ21DB
伝達関数をCDB´(z)とする。
【0018】フィルタ21CAのフィルタ係数c
CA, j は、D/A変換器6Cの入力点にM系列ノイズデ
ータを注入したときのA/D変換器9Aの出力点の応答
信号から所定の演算を行うことで同定して求める。フィ
ルタ21CBのフィルタ係数cCB, j は、D/A変換器6
Cの入力点にM系列ノイズデータを注入したときのA/
D変換器9Bの出力点の応答信号から所定の演算を行う
ことで同定して求める。フィルタ21DAのフィルタ係数
DA, j は、D/A変換器6Dの入力点にM系列ノイズ
データを注入したときのA/D変換器9Aの出力点の応
答信号から所定の演算を行うことで同定して求める。フ
ィルタ21DBのフィルタ係数cDB, j は、D/A変換器
6Dの入力点にM系列ノイズデータを注入したときのA
/D変換器9Bの出力点の応答信号から所定の演算を行
うことで同定して求める。
【0019】22Aは演算器であり、A/D変換器9A
の出力からFIRフィルタ5Cの出力であるsC (n)
をフィルタ21CAに通した信号と、FIRフィルタ5D
の出力であるsD (n)をフィルタ21DAに通した信号
を減算し、かつ、sC (n)とsD (n)を加算する。
そして、結果を誤差信号eA (n)として後述する適応
制御部10C,10Dに出力する。22Bは演算器であ
り、A/D変換器9Bの出力からFIRフィルタ5Cの
出力であるsC (n)をフィルタ21CBに通した信号
と、FIRフィルタ5Dの出力であるsD (n)をフィ
ルタ21DBに通した信号を減算し、かつ、sC (n)と
D (n)を加算する。そして、結果を誤差信号e
B (n)として適応制御部10C,10Dに出力する。
【0020】yA (n)中の騒音成分をdA (n)、y
B (n)中の騒音成分をdB (n)とすると、 yA (n)=dA (n)+sC (n)・CCA+sD (n)・CDA ……(3) yB (n)=dB (n)+sC (n)・CCB+sD (n)・CDB ……(4) である。演算器22Aの出力は、 yA (n)−sC (n)・CCA´−sD (n)・CDA´+sC (n) +sD (n) ≒dA (n)+sC (n)・1+sD (n)・1 ……(5) となり、演算器22Bの出力は、 yB (n)−sC (n)・CCB´−sD (n)・CDB´+sC (n) +sD (n) ≒dB (n)+sC (n)・1+sD (n)・1 ……(6) となる。(5)を(3)と対比すると、演算器22Aの
出力点を制御ポイントと見た場合に、D/A変換器6C
の出力点から演算器22Aの出力点までの伝達関数CC
CAと、D/A変換器6Dの出力点から演算器22Aの出
力点までの伝達関数CCDAがともに1という単純な系と
見做せる。また、(6)を(4)と対比すると、演算器
22Bの出力点を制御ポイントと見た場合に、D/A変
換器6Cの出力点から演算器22Bの出力点までの伝達
関数CCDAと、D/A変換器6Dの出力点から演算器2
2Bの出力点までの伝達関数CCDBがともに1という単
純な系と見做せる。
【0021】11CAは騒音信号x(n)に予め、D/A
変換器6Cの出力点から一方の制御ポイントである演算
器22Aの出力点までの伝達関数CCCA(z)を畳込む
ためのフィルタで、11CBは騒音信号x(n)に予め、
D/A変換器6Cの出力点から他方の制御ポイントであ
る演算器22Bの出力点までの伝達関数CCCB(z)を
畳込むためのフィルタである。また、11DAは騒音信号
x(n)に予め、D/A変換器6Dの出力点から一方の
制御ポイントである演算器22Aの出力点までの伝達関
数CCDA(z)を畳込むためのフィルタで、11DBは騒
音信号x(n)に予め、D/A変換器6Dの出力点から
他方の制御ポイントである演算器22Bの出力点までの
伝達関数CCDB(z)を畳込むためのフィルタである。
各フィルタに設定される伝達関数をCCCA´(z)、C
CB´(z)、CCDA´(z)、CCDB´(z)とする
と、これらは全て1に設定されている。
【0022】騒音信号x(n)はフィルタ11CAと11
CBに個別に通されてCCCA´(z)とCCCB´(z)の
伝達関数が畳込まれ、qCA(n)、qCB(n)として適
応制御部10Cに出力される。適応制御部10CはqCA
(n)、qCB(n)を用いて所定の適応アルゴリズム
実行し、eA (n)とeB (n)を最小とできるFIR
フィルタ5Cの各次数位置i(i=0〜I)のフィルタ
係数の更新値を求め、FIRフィルタ5Cに対し更新設
定する。適応制御部10Cが適応アルゴリズムとして、
例えばμを0.5近く(但し、0.5以下)に大きくし
て収束を速くしたLMSを用いるとき、FIRフィルタ
5Cの次数位置iのフィルタ係数wC i の更新式は、 wC i (n+1)=wC i (n)+μCA・eA (n)・qCA(n−i) +μCB・eB (n)・qCB(n−i) ……(7) 但し、μCA,μCB:0.5近く(但し、0.5以下)の
所定の収束係数である。適応制御部10Cは(7)式に
従い、FIRフィルタ5Cのフィルタ係数を更新し、適
応制御を行う。wC i の初期値wC i (0)は予め
定められた所定値に設定する。但し、CCCA´=1、C
CB´=1であることから、(7)式中のqCA(n−
i)=qCB(n−i)=x(n−i)となり、キャンセ
ルスピーカ2Cと各エラー検出用マイク1A,1Bの間
の空間パスに伴う時間遅れや、周波数−位相特性、周波
数−ゲイン特性の影響を受けることなく適応制御の計算
を行える。よって、μを大きくしたLMSを用いても安
定した適応制御を行うことができる。
【0023】また、騒音信号x(n)はフィルタ11DA
と11DBに個別に通されてCCDA´(z)とCCDB´
(z)の伝達関数が畳込まれ、qDA(n)、qDB(n)
として適応制御部10Dに出力される。適応制御部10
DはqDA(n)、qDB(n)を用いて所定の適応アルゴ
リズムを実行し、eA (n)とeB (n)を最小とでき
るFIRフィルタ5Dの各次数位置iのフィルタ係数の
更新値を求め、FIRフィルタ5Dに対し更新設定す
る。適応制御部10Dが適応アルゴリズムとして、例え
ばμを0.5近く(但し、0.5以下)に大きくして収
束を速くしたLMSを用いるとき、FIRフィルタ5D
の次数位置i(i=0〜I)のフィルタ係数wD i
更新式は、 wD i (n+1)=wD i (n)+μDA・eA (n)・qDA(n−i) +μDB・eB (n)・qDB(n−i) ……(8) 但し、μDA,μDB:0.5近く(但し、0.5以下)の
所定の収束係数である。適応制御部10Dは(8)式に
従い、FIRフィルタ5Dのフィルタ係数を更新し、適
応制御を行う。wD i の初期値wD i (0)は予め
定められた所定値に設定する。但し、CCDA´=1、C
DB´=1であることから、(8)式中のqDA(n−
i)=qDB(n−i)=x(n−i)となり、キャンセ
ルスピーカ2Dと各エラー検出用マイク1A,1Bの間
の空間パスに伴う時間遅れや、周波数−位相特性、周波
数−ゲイン特性の影響を受けることなく適応制御の計算
を行える。よって、μを大きくしたLMSを用いても安
定した適応制御を行うことができる。
【0024】若し、適応制御部10Cが適応アルゴリズ
として、カルマンフィルタを用いる場合のFIRフィ
ルタ5Cの次数位置iのフィルタ係数wC i の更新式
は、 wC i (n+1)=wC i (n) +KCA(n){qCA(n−i)}・eA (n) +KCB(n){qCB(n−i)}・eB (n) ……(9) 但し、KCA(n)はqCA(n−i)を従属変数とするカ
ルマンゲイン KCB(n)はqCB(n−i)を従属変数とするカルマン
ゲインである。適応制御部10Cは(9)式に従い、F
IRフィルタ5Cのフィルタ係数を更新し、適応制御を
行う。wC i の初期値wC i (0)、KCAとKCB
初期値KCA(0)とKCB(0)は予め定められた所定値
に設定する。但し、CCCA´=1、CCCB´=1である
ことから、(9)式中のqCA(n−i)=qCB(n−
i)=x(n−i)となり、キャンセルスピーカ2Cと
各エラー検出用マイク1A,1Bの間の空間パスに伴う
時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の
影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、カルマンフィルタを用いても安定した適応制御を行
うことができる。
【0025】また、適応制御部10Dも適応アルゴリズ
として、カルマンフィルタを用いる場合のFIRフィ
ルタ5Dの次数位置iのフィルタ係数wD i の更新式
は、 wD i (n+1)=wD i (n) +KDA(n){qDA(n−i)}・eA (n) +KDB(n){qDB(n−i)}・eB (n) ……(10) 但し、KDA(n)はqDA(n−i)を従属変数とするカ
ルマンゲイン KDB(n)はqDB(n−i)を従属変数とするカルマン
ゲインである。適応制御部10Dは(10)式に従い、F
IRフィルタ5Dのフィルタ係数を更新し、適応制御を
行う。wD ,i の初期値wD ,i (0)、KDAとKDB
初期値KDA(0)とKDB(0)は予め定められた所定値
に設定する。但し、CCDA´=1、CCDB´=1である
ことから、(10)式中のqDA(n−i)=qDB(n−
i)=x(n−i)となり、キャンセルスピーカ2Dと
各エラー検出用マイク1A,1Bの間の空間パスに伴う
時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の
影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、カルマンフィルタを用いても安定した適応制御を行
うことができる。
【0026】FIRフィルタ5Cはリアルタイムで更新
される伝達関数により、リファレンス信号x(n)を加
工する。FIRフィルタ5Cの出力はD/A変換器6C
でD/A変換されあと、電力増幅器7Cで電力増幅され
る。そして、キャンセルスピーカ2Cを駆動し、キャン
セル用の音響を空間に放射させる。この結果、キャンセ
ルスピーカ2Cと各エラー検出用マイク1A,1Bの間
の空間パスでの時間遅れを無視できる周波数帯域につき
騒音のキャンセルを確実に実行することができる。同様
に、FIRフィルタ5Dはリアルタイムで更新される伝
達関数により、リファレンス信号x(n)を加工する。
FIRフィルタ5Dの出力はD/A変換器6DでD/A
変換されあと、電力増幅器7Dで電力増幅される。そし
て、キャンセルスピーカ2Dを駆動し、キャンセル用の
音響を空間に放射させる。この結果、キャンセルスピー
カ2Dと各エラー検出用マイク1A,1Bの間の空間パ
スでの時間遅れを無視できる周波数帯域につき騒音のキ
ャンセルを確実に実行することができる。例えば、キャ
ンセルスピーカ2C,2Dに口径16cmのスピーカを
用いたとき、70〜150Hzの周波数帯域につき騒音
を低減することができる。
【0027】上記した実施例によれば、電力増幅器7
C、7Dの入力点から制御対象ポイントである各演算器
22A、22Bの出力点までの伝達関数を1とでき、フ
ィルタ11CA,11CB、11DA,11DBに設定する伝達
関数も1で良いので、キャンセルスピーカ2C、2Dと
各エラー検出用マイク1A、1Bの間の空間パスに伴う
時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の
影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、μを大きく設定したLMSや、カルマンフィルタ
如く収束速度の速い適応アルゴリズムを用いても安定し
た適応制御を行うことが可能となり、騒音を確実にキャ
ンセルすることができる。
【0028】図2は本発明の第2実施例に係る能動騒音
制御装置の全体的なブロック図である。図2は(リファ
レンス,キャンセルスピーカ,エラー検出マイク)=
(1,2,1)のマルチチャネル能動騒音制御装置を示
す。なお、図1と同一の構成部分には同一の符号が付し
てある。図2では、エラー検出用マイクが1Aの1つだ
けなので、図1におけるエラー検出用マイク1B、マイ
クアンプ8B、A/D変換器9B、演算回路22B、フ
ィルタ21CB、21DB、11CB、11DBが省略してあ
る。そして、適応制御部30Cが適応アルゴリズムとし
LMSを用いる場合、FIRフィルタ5Cの係数更新
式は、 wC i (n+1)=wC i (n)+μCA・eA (n)・qCA(n−i) ……(11) 但し、μCA:0.5近く(但し、0.5以下)の所定の
収束係数である。
【0029】若し、適応制御部30Cがカルマンフィル
を用いる場合のFIRフィルタ5Cの次数位置iのフ
ィルタ係数wC i の更新式は、 wC i (n+1)=wC i (n) +KCA(n){qCA(n−i)}・eA (n) ……(12) 但し、KCA(n)はqCA(n−i)を従属変数とするカ
ルマンゲインである。適応制御部30Cは(11)または
(12)式に従い、FIRフィルタ5Cのフィルタ係数を
更新し、適応制御を行う。wC i の初期値wC
i (0)は予め定められた所定値に設定する。但し、C
CA´=1であることから、(11)または(12)式中の
CA(n−i)=x(n−i)となり、キャンセルスピ
ーカ2Cとエラー検出用マイク1Aの間の空間パスに伴
う時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性
の影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、μを大きくしたLMS、或いはカルマンフィルタ
用いても安定した適応制御を行うことができ、キャンセ
ルスピーカ2Cとエラー検出用マイク1Aの間の空間パ
スでの時間遅れを無視できる周波数帯域につき騒音のキ
ャンセルを確実に実行することができる。
【0030】また、適応制御部30Dも適応アルゴリズ
としてLMSを用いる場合、FIRフィルタ5Dの係
数更新式は、 wD i (n+1)=wD i (n)+μDA・eA (n)・qDA(n−i) ……(13) 但し、μDA:0.5近く(但し、0.5以下)の所定の
収束係数である。
【0031】若し、適応制御部30Dがカルマンフィル
を用いる場合のFIRフィルタ5Dの係数更新式は、 wD i (n+1)=wD i (n) +KDA(n){qDA(n−i)}・eA (n) ……(14) 但し、KDA(n)はqDA(n−i)を従属変数とするカ
ルマンゲインである。適応制御部30Dは(13)または
(14)式に従い、FIRフィルタ5Cのフィルタ係数を
更新し、適応制御を行う。wC i の初期値wC
i (0)は予め定められた所定値に設定する。但し、C
DA´=1であることから、(13)または(14)式中の
DA(n−i)=x(n−i)となり、キャンセルスピ
ーカ2Dとエラー検出用マイク1Aの間の空間パスに伴
う時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性
の影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、μを大きくしたLMS、或いはカルマンフィルタ
用いても安定した適応制御を行うことができ、キャンセ
ルスピーカ2Dとエラー検出用マイク1Aの間の空間パ
スでの時間遅れを無視できる周波数帯域につき騒音のキ
ャンセルを確実に実行することができる。
【0032】なお、(リファレンス,キャンセルスピー
カ,エラー検出マイク)=(1,1,1)の系の場合、
図2中の音響再生手段20D、フィルタ21DA、1
DA、適応制御部30Dを省略し、演算器22AはA/
D変換器9Aの出力にFIRフィルタ5Cの出力を加算
し、フィルタ21CAの出力を減算するように変更すれば
良い。適応制御部30Cの適応アルゴリズムは第2実施
例と同じ(11)または(12)式で良い。
【0033】図3は本発明の第3実施例に係る能動騒音
制御装置の全体的なブロック図である。図3は(リファ
レンス,キャンセルスピーカ,エラー検出マイク)=
(1,1,2)のマルチチャネル能動騒音制御装置を示
す。なお、図1と同一の構成部分には同一の符号が付し
てある。図3では、キャンセルスピーカが2Cの1つだ
けなので、図1における音響再生手段20D、適応制御
部10D、フィルタフィルタ21DA、21DB、11DA
11DBが省略してある。演算器22Aは、A/D変換器
9Aの出力からFIRフィルタ5Cの出力であるs
C (n)をフィルタ21CAに通した信号を減算し、か
つ、sC (n)を加算する。そして、結果を誤差信号e
A (n)として適応制御部10Cに出力する。演算器2
2Bは、A/D変換器9Bの出力からFIRフィルタ5
Cの出力であるsC (n)をフィルタ21CBに通した信
号を減算し、かつ、sC (n)を加算する。そして、結
果を誤差信号eB (n)として適応制御部10Cに出力
する。
【0034】yA (n)中の騒音成分をdA (n)、y
B (n)中の騒音成分をdB (n)とすると、 yA (n)=dA (n)+sC (n)・CCA ……(15) yB (n)=dB (n)+sC (n)・CCB ……(16) である。演算器22Aの出力は、 yA (n)−sC (n)・CCA´+sC (n) ≒dA (n)+sC (n)・1 ……(17) となり、演算器22Bの出力は、 yB (n)−sC (n)・CCB´+sC (n) ≒dB (n)+sC (n)・1 ……(18) となる。(17)を(15)と対比すると、演算器22Aの
出力点を制御ポイントと見た場合に、D/A変換器6C
の出力点から演算器22Aの出力点までの伝達関数CC
CAが1という単純な系と見做せる。また、(18)を(1
6)と対比すると、演算器22Bの出力点を制御ポイン
トと見た場合に、D/A変換器6Cの出力点から演算器
22Bの出力点までの伝達関数CCCBが1という単純な
系と見做せる。
【0035】よって、適応制御部10Cは適応アルゴリ
ズムとしてLMSを用いる場合、FIRフィルタ5Cの
次数位置iのフィルタ係数wC i を(7)式に従い更
新し、適応制御を行えば良い。また、カルマンフィルタ
を用いる場合、FIRフィルタ5Cの次数位置iのフィ
ルタ係数wC i を(10)式に従い更新し、適応制御を
行えば良い。但し、CCCA´=1、CCCB´=1となる
ことから、(7)または(10)式中のqCA(n−i)=
CB(n−i)=x(n−i)となり、キャンセルスピ
ーカ2Cと各エラー検出用マイク1A,1Bの間の空間
パスに伴う時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲ
イン特性の影響を受けることなく適応制御の計算を行え
る。よって、μを大きくしたLMS、或いはカルマンフ
ィルタの如く収束速度の速い適応アルゴリズムを用いて
も安定した適応制御を行うことができ、キャンセルスピ
ーカ2Cと各エラー検出用マイク1A、1Bの間の空間
パスでの時間遅れを無視できる周波数帯域につき騒音の
キャンセルを確実に実行することができる。
【0036】図4は本発明の第4実施例に係る能動騒音
制御装置の全体的なブロック図である。図4は(リファ
レンス,キャンセルスピーカ,エラー検出マイク)=
(1,2,1)のマルチチャネル能動騒音制御装置を示
す。なお、図1と同一の構成部分には同一の符号が付し
てある。図4では、エラー検出用マイクが1Aの1つだ
けなので、図1におけるエラー検出用マイク1B、マイ
クアンプ8B、A/D変換器9B、演算器22B、フィ
ルタ21CB、21DB、11CB、11DBが省略してある。
図4の実施例では、キャンセルスピーカ2C、2Dとエ
ラー検出用マイク1Aとの間の空間パスの周波数−ゲイ
ン特性、周波数−位相特性の影響を小さくするため、C
CA(z)の逆関数CCA -1 (z)を求めておき、求めた
伝達関数(これをCCA´ -1 (z)とする)を持つフィ
ルタ33CAと34CAをD/A変換器6Cの入力側とフィ
ルタ21CAの入力側に設けてある。同様に、CDA(z)
の逆関数CDA -1 (z)を求めておき、求めた伝達関数
(これをCDA´ -1 (z)とする)を持つフィルタ33
DAと34DAをD/A変換器6Dの入力側とフィルタ21
DAの入力側に設けてある。
【0037】yA (n)中の騒音成分をdA (n)とす
ると、 yA (n)=dA (n)+sC (n)・CCA´-1・CCA +sD (n)・CDA´ -1 ・CDA ……(19) である。演算器22Aの出力は、 yA (n)−sC (n)・CCA´-1・CCA´−sD (n)・CDA´ -1 ・CDA´ +sC (n)+sD (n) ≒dA (n)+sC (n)・1+sD (n)・1 ……(20) となる。(20)を(19)と対比すると、演算器22Aの
出力点を制御ポイントと見た場合に、フィルタ33CA
入力点から演算器22Aの出力点までの伝達関数CCCA
と、フィルタ33DAの入力点から演算器22Aの出力点
までの伝達関数CCDAがともに1という単純な系と見做
せる。
【0038】35CAは騒音信号x(n)に予め、フィル
タ33CAの入力点から制御ポイントである演算器22A
の出力点までの伝達関数CCCA(z)を畳込むためのフ
ィルタで、35DAは騒音信号x(n)に予め、フィルタ
33DAの入力点から制御ポイントである演算器22Aの
出力点までの伝達関数CCDA(z)を畳込むためのフィ
ルタである。各フィルタに設定される伝達関数をCCCA
´(z)、CCDA´(z)とすると、これらは全て1に
設定されている。
【0039】適応制御部40Cが適応アルゴリズムとし
LMSを用いる場合、(11)式に従いFIRフィルタ
5Cの係数を更新し、適応制御を行う。また、カルマン
フィルタを用いる場合、(12)式に従いFIRフィルタ
5Cの係数を更新し、適応制御を行う。但し、CCCA´
=1であることから、(11)または(12)式中のq
CA(n−i)=x(n−i)となり、キャンセルスピー
カ2Cとエラー検出用マイク1Aの間の空間パスに伴う
時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の
影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、μを大きくしたLMS、或いはカルマンフィルタ
如く収束速度の速い適応アルゴリズムを用いても安定し
た適応制御を行うことができる。加えて、FIRフィル
タ5Cの出力に、電力増幅器7Cの入力点からマイクア
ンプ9Aの出力点までの伝達関数の逆関数を畳込むよう
にしたので、キャンセルスピーカ2Cとエラー検出用マ
イク1Aの間の空間パスでの振幅と位相の乱れを補正す
ることができ、より安定して広い周波数範囲で騒音のキ
ャンセルを実行することができる。
【0040】また、適応制御部40Dが適応アルゴリズ
としてLMSを用いる場合、(13)式に従いFIRフ
ィルタ5Dの係数を更新し、適応制御を行う。また、
ルマンフィルタを用いる場合、(14)式に従いFIRフ
ィルタ5Dの係数を更新し、適応制御を行う。但し、C
DA´=1であることから、(13)または(14)式中の
DA(n−i)=x(n−i)となり、キャンセルスピ
ーカ2Dとエラー検出用マイク1Aの間の空間パスに伴
う時間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性
の影響を受けることなく適応制御の計算を行える。よっ
て、μを大きくしたLMS、或いはカルマンフィルタ
如く収束速度の速い適応アルゴリズムを用いても安定し
た適応制御を行うことができる。加えて、FIRフィル
タ5Dの出力に、電力増幅器7Dの入力点からマイクア
ンプ9Aの出力点までの伝達関数の逆関数を畳込むよう
にしたので、キャンセルスピーカ2Dとエラー検出用マ
イク1Aの間の空間パスでの振幅と位相の乱れを補正す
ることができ、より安定して広い周波数範囲で騒音のキ
ャンセルを実行することができる。
【0041】図5は本発明の第5実施例に係る能動騒音
制御装置の全体的なブロック図である。図5は(リファ
レンス,キャンセルスピーカ,エラー検出マイク)=
(1,1,1)の能動騒音制御装置を示す。なお、図4
と同一の構成部分には同一の符号が付してある。図5で
は、キャンセルスピーカが2Cの1つだけなので、図4
の内、音響再生手段20D、フィルタ21DA、34DA
35DA、適応制御部40Dが省略してある。演算器22
AはA/D変換器9Aの出力にFIRフィルタ5Cの出
力を加算し、FIRフィルタ5Cの出力を伝達関数CCA
´-1のフィルタ34CAと伝達関数CCA´のフィルタ21
CAに直列に通した信号を減算する。その他の構成部分は
図4と同様に構成されている。
【0042】yA (n)中の騒音成分をdA (n)とす
ると、 yA (n)=dA (n)+sC (n)・CCA´-1・CCA ……(21) である。演算器22Aの出力は、 yA (n)−sC (n)・CCA´-1・CCA´+sC (n) ≒dA (n)+sC (n)・1 ……(22) となる。(22)を(21)と対比すると、演算器22Aの
出力点を制御ポイントと見た場合に、フィルタ33CA
入力点から演算器22Aの出力点までの伝達関数CCCA
が1という単純な系と見做せる。35CAは騒音信号x
(n)に予め、フィルタ33CAの入力点から制御ポイン
トである演算器22Aの出力点までの伝達関数CC
CA(z)を畳込むためのフィルタで、伝達関数をCCCA
´(z)とすると1に設定されている。
【0043】適応制御部40Cは、適応アルゴリズム
してLMSを用いる場合、(11)式に従いFIRフィル
タ5Cの係数を更新し、適応制御を行う。また、カルマ
ンフィルタを用いる場合、(12)式に従いFIRフィル
タ5Cの係数を更新し、適応制御を行う。但し、CCCA
´=1であることから、(11)または(12)式中のqCA
(n−i)=x(n−i)となり、キャンセルスピーカ
2Cとエラー検出用マイク1Aの間の空間パスに伴う時
間遅れや、周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の影
響を受けることなく適応制御の計算を行える。よって、
μを大きくしたLMS、或いはカルマンフィルタの如く
収束速度の速い適応アルゴリズムを用いても安定した適
応制御を行うことができる。加えて、FIRフィルタ5
Cの出力に、電力増幅器7Cの入力点からマイクアンプ
9Aの出力点までの伝達関数の逆関数を畳込むようにし
たので、キャンセルスピーカ2Cとエラー検出用マイク
1Aの間の空間パスでの振幅と位相の乱れを補正するこ
とができ、より安定して広い周波数範囲で騒音のキャン
セルを実行することができる。
【0044】上記した各実施例では、騒音センサ3で検
出したリファレンス信号をそのままA/D変換してx
(n)を形成したが、騒音が目立つのは20〜200H
zの低域であることから、図1〜図5の破線で囲んだブ
ロック(符号50参照)の如く、騒音センサ3の出力側
に20〜200Hzの通過帯域幅を持つBPFを設け、
騒音センサ3の出力の内、低域成分のみを取り出し、A
/D変換器4でx(n)を作成するようにしても良い。
このようにすれば、20Hz以下の耳に聞こえない超低
周波成分や200Hz以上のそれほど騒音の目立たない
成分がカットされるので、適応制御部は余計な成分に応
答しなくて済み、適応制御がし易くなる。
【0045】また、空間に音楽が流れているとき、上記
した各実施例では、騒音と音楽を区別できないために音
楽についてもキャンセルしてしまう。そこで、各エラー
検出用マイク毎に、マイクアンプの出力側(A/D変換
器の出力側)に音楽信号キャンセル装置を設け、誤差信
号の中に含まれる音楽信号成分を取り除いたあと、演算
器の側に出力するようにしても良い。図6に音楽信号キ
ャンセル装置の具体例を示す。オーディオソース信号A
Sがパワーアンプ59で電力増幅されたあと音楽用スピ
ーカ60Mから空間に音響放射されているものとする。
系に設置されたエラー検出用マイクが1Aの場合、該エ
ラー検出用マイク1Aの出力がマイクアンプ8Aで増幅
されたあと、A/D変換器9AでA/D変換されて誤差
信号yA (n)が作成される。A/D変換器9Aの出力
側に音楽信号キャンセル装置70を設け、yA (n)に
含まれる音楽成分を除去したのち後段の演算器22Aへ
出力させる。
【0046】音楽信号キャンセル装置70は基本的には
能動騒音制御装置と同様の構成を有し、オーディオソー
ス信号ASを音楽リファレンス信号とし、A/D変換器
71で離散化して音楽リファレンス信号mx(n)を作
成する。音楽リファレンス信号mx(n)はフィルタ係
数が可変のK次のFIRディジタルフィルタ(以下、F
IRフィルタという)72に入力される。該FIRフィ
ルタ72の出力は加算器73によりyA (n)に加算さ
れる。加算器73の出力は誤差信号yA (n)´として
後段の演算器(図1〜図5の符号22A参照)に出力さ
れるほか、適応制御部74に入力される。適応制御部7
4には音楽リファレンス信号mx(n)も入力される。
【0047】適応制御部74はmx(n)を用いて所定
の適応アルゴリズムを実行し、yA(n)´を最小とで
きるFIRフィルタ72の各次数位置のフィルタ係数の
更新値を求め、FIRフィルタ72に対し更新設定す
る。具体的には、適応アルゴリズムが最小自乗法に着目
したLMS(Least Mean Square )の場合、FIRフィ
ルタ72の次数位置k(k=0〜K)のフィルタ係数を
k として、時刻(n+1)のフィルタ係数wi (n+
1)を次式、 wk (n+1)=wk (n)+μ・yA (n)´・mx(n−i) ……(23) 但し、μ:所定の収束係数に従い、FIRフィルタ72
に対しフィルタ係数の更新設定を行う。なお、フィルタ
係数wk の初期値wk (0)は予め定められた所定値に
設定する。
【0048】このように構成された音楽信号キャンセル
装置70により、音楽リファレンス信号mx(n)がF
IRフィルタ72により、yA (n)中の音楽成分を丁
度、打ち消すように加工されて出力される。よって、加
算器73からは音楽成分の打ち消された誤差信号y
A (n)´を出力できるので、能動騒音制御系によっ
て、音楽が打ち消されてしまうことはない。なお、エラ
ー検出用マイクが複数存在するとき、各エラー検出用マ
イク毎に、音楽信号キャンセル装置を設けるようにす
る。
【0049】また、上記した各実施例、変形例では、音
響再生手段を1または2、エラー検出用マイクを1また
は2個設ける場合につき説明したが、本発明は何らこれ
に限定されるものではない。また、適応制御部が実行す
適応アルゴリズムについても、LMSカルマンフィ
ルタに限定されず、例えば、RLS(RLS;逐次最小
2乗法)など他の種類の収束速度の速い適応アルゴリズ
を用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】請求項1記載の能動騒音制御装置によれ
ば、1または複数のキャンセル用の音響再生手段と、1
または複数のエラー検出用マイクの設けられた能動騒音
制御装置において、各マイク用増幅手段の出力側に個別
に演算手段を設け、該演算手段は対応するマイク用増幅
手段の出力に、1または複数の全ての加工手段の出力を
加算し、かつ、1または複数の全ての加工手段につき、
各加工手段の出力を、後段の電力増幅手段の入力点から
当該マイク用増幅手段の出力点までの伝達関数が設定さ
れた第2のフィルタに個別に通した信号を減算して各適
応制御手段に誤差信号を出力するようにし、各適応制御
手段は、対応する1または複数の第1のフィルタの伝達
関数を1に置き換え、リファレンス信号を当該1または
複数の第1のフィルタの出力信号を用いて、各演算手段
から出力される誤差信号を最小化する加工手段の伝達関
数を求め、加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行
うように構成したことにより、各第1のフィルタに設定
する伝達関数が1で良いので、電気−音響変換手段と各
エラー検出用マイクの間の空間パスに伴う時間遅れや、
周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の影響を受ける
ことなく適応制御の計算を行える。よって、例えば、μ
の大きなLMSカルマンフィルタなど、収束速度の速
適応アルゴリズムを用いても安定した適応制御を行う
ことができ、電気−音響変換手段とエラー検出用マイク
の間の空間パスでの時間遅れを無視できる周波数帯域に
つき騒音のキャンセルを確実に実行することができる。
【0051】また、請求項4記載の能動騒音制御装置に
よれば、1または複数のキャンセル用の音響再生手段
と、1つのエラー検出用マイクの設けられた能動騒音制
御装置において、電力増幅手段の入力側に電力増幅手段
の入力点からマイク用増幅手段の出力点までの伝達関数
の逆関数が設定された第2のフィルタを設け、加工手段
の出力を第2のフィルタに通した信号を電力増幅手段に
入力し、また、マイク用増幅手段の出力側に演算手段を
設け、該演算手段はマイク用増幅手段の出力に、1また
は複数の全ての加工手段の出力を加算し、かつ、1また
は複数の全ての加工手段につき、各加工手段の出力を、
後段の電力増幅手段の入力点から当該マイク用増幅手段
の出力点までの伝達関数が設定された第3のフィルタ
と、電力増幅手段の入力点からマイク用増幅手段の出力
点までの伝達関数の逆関数が設定された第4のフィルタ
に直列に通した信号を減算して各適応制御手段に誤差信
号を出力するようにし、各適応制御手段は、対応する第
1のフィルタの伝達関数を1に置き換え、リファレンス
信号を当該第1のフィルタに通した信号を用いて、各演
算手段から出力される誤差信号を最小化する加工手段の
伝達関数を求め、加工手段の伝達関数を可変する適応制
御を行うように構成したことにより、各第1のフィルタ
に設定する伝達関数が1で良いので、電気−音響変換手
段とエラー検出用マイクの間の空間パスの時間遅れや、
周波数−位相特性、周波数−ゲイン特性の影響を受ける
ことなく適応制御の計算を行える。よって、例えば、μ
の大きなLMSカルマンフィルタなど、収束速度の速
適応アルゴリズムを用いても安定した適応制御を行う
ことができる。そして、加工手段の出力に電力増幅手段
の入力点からマイク用増幅手段の出力点までの伝達関数
の逆関数を畳込むので、電気−音響変換手段と各エラー
検出用マイクの間の空間パスによる振幅と位相の乱れを
補正できるため、より安定して広い周波数帯域で騒音の
キャンセルを実行することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音を検出してリファレンス信号を生成
    するリファレンス信号生成手段と、各々、リファレンス
    信号を可変の伝達関数で加工する加工手段,加工手段の
    出力を電力増幅する電力増幅手段,空間の所定箇所に置
    かれて電力増幅手段の出力を電気−音響変換する電気−
    音響変換手段から成る1または複数の音響再生手段と、
    各々、空間の所定箇所に置かれた1または複数のエラー
    検出用マイクと、各エラー検出用マイクの出力を増幅す
    る1または複数のマイク用増幅手段と、各音響再生手段
    毎に設けられて、リファレンス信号を,電力増幅手段の
    入力点から各マイク用増幅手段の出力点までの伝達関数
    が個別に設定された1または複数の第1のフィルタに個
    別に通した信号を用いて,各マイク用増幅手段から出力
    される誤差信号を最小化する加工手段の伝達関数を求
    め,加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行う適応
    制御手段と、を備えた能動騒音制御装置において、 各マイク用増幅手段の出力側に個別に演算手段を設け、
    該演算手段は対応するマイク用増幅手段の出力に、1ま
    たは複数の全ての加工手段の出力を加算し、かつ、1ま
    たは複数の全ての加工手段につき、各加工手段の出力
    を、後段の電力増幅手段の入力点から当該マイク用増幅
    手段の出力点までの伝達関数が設定された第2のフィル
    タに個別に通した信号を減算して各適応制御手段に誤差
    信号を出力するようにし、 各適応制御手段は、対応する1または複数の第1のフィ
    ルタの伝達関数を1に置き換え、リファレンス信号を当
    該1または複数の第1のフィルタの出力信号を用いて、
    各演算手段から出力される誤差信号を最小化する加工手
    段の伝達関数を求め、加工手段の伝達関数を可変する適
    応制御を行うようにしたこと、 を特徴とする能動騒音制御装置。
  2. 【請求項2】 前記リファレンス信号生成手段の出力側
    に、通過周波数帯域を、騒音を低減したい所望の帯域に
    制限するフィルタを設けたこと、 を特徴とする請求項1記載の能動騒音制御装置。
  3. 【請求項3】 前記各エラー検出用マイク毎に、音楽信
    号キャンセル装置を設け、この音楽信号キャンセル装置
    は、 空間に音響再生される音楽のソース信号をリファレンス
    信号とし、該リファレンス信号を可変の伝達関数で加工
    する第2の加工手段と、 第2の加工手段の出力とマイク用増幅手段の出力を加算
    したあと前記演算手段に入力する加算手段と、 音楽のソース信号と加算手段から出力される誤差信号に
    基づき、該誤差信号を最小化する第2の加工手段の伝達
    関数を求めて、第2の加工手段の伝達関数を可変する適
    応制御を行う第2の適応制御手段と、 を備えたこと、を特徴とする請求項1記載の能動騒音制
    御装置。
  4. 【請求項4】 騒音を検出してリファレンス信号を生成
    するリファレンス信号生成手段と、各々、リファレンス
    信号を可変の伝達関数で加工する加工手段,加工手段の
    出力を電力増幅する電力増幅手段,空間の所定箇所に置
    かれて電力増幅手段の出力を電気−音響変換する電気−
    音響変換手段から成る1または複数の音響再生手段と、
    空間の所定箇所に置かれた1つのエラー検出用マイク
    と、該エラー検出用マイクの出力を増幅するマイク用増
    幅手段と、各音響再生手段毎に設けられて、リファレン
    ス信号を,電力増幅手段の入力点からマイク用増幅手段
    の出力点までの伝達関数が個別に設定された1つの第1
    のフィルタに通した信号を用いて,各マイク用増幅手段
    から出力される誤差信号を最小化する加工手段の伝達関
    数を求め,加工手段の伝達関数を可変する適応制御を行
    う適応制御手段と、を備えた能動騒音制御装置におい
    て、 各音響再生手段毎に、電力増幅手段の入力側に電力増幅
    手段の入力点からマイク用増幅手段の出力点までの伝達
    関数の逆関数が設定された第2のフィルタを設けるとと
    もに、 マイク用増幅手段の出力側に演算手段を設け、該演算手
    段はマイク用増幅手段の出力に、1または複数の全ての
    加工手段の出力を加算し、かつ、1または複数の全ての
    加工手段につき、各加工手段の出力を、後段の電力増幅
    手段の入力点から当該マイク用増幅手段の出力点までの
    伝達関数が設定された第3のフィルタと、電力増幅手段
    の入力点からマイク用増幅手段の出力点までの伝達関数
    の逆関数が設定された第4のフィルタに直列に通した信
    号を減算して各適応制御手段に誤差信号を出力するよう
    にし、 各適応制御手段は、対応する第1のフィルタの伝達関数
    を1に置き換え、リファレンス信号を当該第1のフィル
    タに通した信号を用いて、各演算手段から出力される誤
    差信号を最小化する加工手段の伝達関数を求め、加工手
    段の伝達関数を可変する適応制御を行うようにしたこ
    と、 を特徴とする能動騒音制御装置。
  5. 【請求項5】 前記リファレンス信号生成手段の出力側
    に、通過周波数帯域を、騒音を低減したい所望の帯域に
    制限するフィルタを設けたこと、 を特徴とする請求項4記載の能動騒音制御装置。
  6. 【請求項6】 マイク用増幅手段の出力側に音楽信号キ
    ャンセル装置を設け、この音楽信号キャンセル装置は、 空間に音響再生される音楽のソース信号をリファレンス
    信号とし、該リファレンス信号を可変の伝達関数で加工
    する第2の加工手段と、 第2の加工手段の出力とマイク用増幅手段の出力を加算
    したあと前記演算手段に入力する加算手段と、 音楽のソース信号と加算手段から出力される誤差信号に
    基づき、該誤差信号を最小化する第2の加工手段の伝達
    関数を求めて、第2の加工手段の伝達関数を可変する適
    応制御を行う第2の適応制御手段と、 を備えたこと、を特徴とする請求項4記載の能動騒音制
    御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002229572A (ja) * 2001-01-30 2002-08-16 Yoichi Suzuki 音場制御システム
JP2009232157A (ja) * 2008-03-24 2009-10-08 Railway Technical Res Inst 騒音低減装置
JP2014174347A (ja) * 2013-03-08 2014-09-22 Toshiba Corp 能動消音装置および方法

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