JPH09296923A - 燐を含む焼却灰のスラグ化方法 - Google Patents

燐を含む焼却灰のスラグ化方法

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JPH09296923A
JPH09296923A JP6488596A JP6488596A JPH09296923A JP H09296923 A JPH09296923 A JP H09296923A JP 6488596 A JP6488596 A JP 6488596A JP 6488596 A JP6488596 A JP 6488596A JP H09296923 A JPH09296923 A JP H09296923A
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slag
melt
phosphorus
heating
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Tsuneo Furuya
恒夫 古谷
Toshiyuki Nishikawa
敏行 西川
Takao Murakami
孝雄 村上
Kenji Suga
研二 須賀
Keisuke Nakahara
啓介 中原
Takeshi Nakayama
剛 中山
Yasushi Hoshino
寧 星野
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GESUIDO SHIN GIJUTSU SUISHIN K
GESUIDO SHIN GIJUTSU SUISHIN KIKO
KANAGAWA PREF GOV
Kanagawa Prefecture
JFE Engineering Corp
Original Assignee
GESUIDO SHIN GIJUTSU SUISHIN K
GESUIDO SHIN GIJUTSU SUISHIN KIKO
KANAGAWA PREF GOV
Kanagawa Prefecture
NKK Corp
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  • Gasification And Melting Of Waste (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 下水を脱燐処理した汚泥の焼却灰中には多量
の燐が含まれており、この焼却灰を溶融処理しても、一
部には未だ溶解性のものが存在する。従って、このスラ
グを廃棄したり、建設資材として使用した場合に、スラ
グ中の燐が溶出し、河川や湖沼の富栄養化を引き起こす
原因となる。 【解決手段】 燐を含有する焼却灰を溶融し、溶融物の
温度を800℃未満の領域まで降下させた後、再び加熱
して800℃〜1000℃に昇温させ、この温度領域で
所定時間保持しスラグ化する。 【効果】 上記の熱処理によって、スラグからの燐の溶
出が極度に抑制され、溶出液中の燐濃度は閉鎖水域にお
ける燐の排出基準値である1mg/l以下になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、燐を含有する下
水汚泥などの廃棄物の焼却灰を溶融処理し、燐の溶出が
起こりにくいスラグを製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】下水処理場で発生する汚泥等の廃棄物
は、一般に、焼却された後、埋め立て処分されている。
しかし、埋め立て用地の確保が、年々、困難になってい
る上、焼却灰中の重金属類の溶出による二次公害の発生
が懸念されている。そこで、焼却灰を減容化させると共
に、焼却灰中の重金属を不溶化し安定化させるために、
焼却灰を溶融してスラグ化する処理が行われている。こ
の溶融処理によって生成したスラグの多くは廃棄されて
いるが、その一部は建設資材などとして有効利用されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、下水を脱燐
処理した際に発生する汚泥には燐が含まれているので、
これを焼却、溶融処理して得たスラグ中にも多量の燐が
含まれている。このスラグ中の燐の多くは、溶融処理に
よって難溶化あるいは不溶化されているが、その一部に
溶解性のものが存在するため、このスラグを水と接触さ
せた場合、かなりの量の燐が溶出する。
【0004】従って、上記スラグを廃棄したり、建設資
材として使用した場合、その溶出液が河川や湖沼に流入
し、河川や湖沼の富栄養化を引き起こす原因となること
が懸念されている。特に、閉鎖水域においては、厳しい
排水規制が設けられており、これらの地域においてスラ
グを投棄したり、建設資材として使用する際には、スラ
グ中からの燐の溶出量についても、主要な検討事項の一
つとして取り上げられなければならない。
【0005】しかるに、従来の焼却灰の溶融処理におい
ては、燐の溶出防止に対する考慮がなされた技術は見当
たらない。
【0006】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、水と接触しても燐の溶出が起こりにくく、河
川や湖沼の富栄養化を引き起こすようなことがないスラ
グが得られる、燐を含む焼却灰のスラグ化方法を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に係る発明においては、燐を含有する焼
却灰を溶融し、この溶融物の温度を一旦降下させた後、
前記溶融物を加熱して昇温させる処理を行う。
【0008】請求項2に係る発明においては、燐を含有
する焼却灰を溶融し、この溶融物の温度を一旦800℃
未満の領域まで降下させた後、前記溶融物を加熱して8
00℃〜1000℃の温度領域に昇温させ、前記温度領
域で所定時間保持する処理を行う。
【0009】請求項3に係る発明においては、燐を含有
する焼却灰を溶融し、この溶融物の温度を一旦600℃
以上800℃未満の領域まで降下させ、前記温度領域で
所定時間保持した後、前記溶融物を加熱して800℃〜
1000℃の温度領域に昇温させ、前記温度領域で所定
時間保持する処理を行う。
【0010】請求項4に係る発明においては、燐を含有
する焼却灰を溶融し、この溶融物の温度を一旦降下させ
た後、1段目の加熱をして昇温させ、次いで2段目の加
熱をしてさらに昇温させる処理を行う。
【0011】請求項5に係る発明においては、燐を含有
する焼却灰を溶融し、この溶融物の温度を一旦600℃
未満の領域まで降下させた後、前記溶融物を1段目の加
熱により600℃以上800℃未満の温度領域に昇温さ
せ、前記温度領域で所定時間保持し、次いで、2段目の
加熱により800℃〜1000℃の温度領域に昇温さ
せ、前記温度領域で所定時間保持する処理を行う。
【0012】本発明者等は、焼却灰を溶融する際の条件
やその溶融物の処理方法について種々の検討を重ね、多
くの試験を行い、それらの結果の中から燐を不溶化させ
ることができる条件を見出した。すなわち、焼却灰を溶
融し、その溶融物を冷却して固化させるまでの過程にお
ける温度条件と燐の溶出量との関係について調べた結
果、次のような知見を得た。
【0013】燐を含有する焼却灰を溶融した後、この溶
融物の温度を、一旦、ある温度以下に降下させ、次い
で、これを加熱して再び昇温させると言うパターンで温
度変化させた熱履歴を有するスラグの燐溶出量は、非常
に少なくなることが分かった。そして、後述するよう
に、燐の溶出を抑えるために昇降させるべき温度条件の
範囲を試験的に求めたところ、温度を降下させる際に
は、800℃未満の領域、好ましくは600℃〜800
℃未満の温度領域まで下げる必要があり、加熱して昇温
させる際には、800℃〜1000℃の温度領域まで上
昇させる必要があることが確認された。
【0014】溶融物の温度を降下させた後に、加熱して
昇温させる際の好ましい温度領域(以下、高温側保持温
度領域と言う)は、次のようにして決められた。加熱後
の溶融物の温度を800℃以上にすれば、燐の溶出量が
極度に減少するスラグが得られる。しかし、この温度を
1000℃を超えて上げても、燐の溶出量が更に減少す
る訳ではないので、省エネルギーの見地から、加熱温度
の上限を1000℃とした。従って、高温側保持温度領
域は800℃〜1000℃の範囲内とすべきである。
【0015】また、溶融物の温度を降下させる際の好ま
しい温度領域(以下、低温側保持温度領域と言う)は、
次のようにして決められた。溶融物の温度を降下させる
際に、低温側保持温度領域以下の温度にすれば、燐の溶
出は抑制される。従って、溶融物の温度をそれより低い
領域まで降下させ、別途に加熱処理する場合には、降下
させる温度を特定する必要はない。
【0016】しかし、溶融物の温度を降下させた後、直
ちに加熱して昇温させる操作を連続して実施する場合に
は、降温処理する際の温度をどの程度に止めることがで
きるかと言うことが、後に行う加熱昇温処理の際のエネ
ルギー消費に大きな影響を及ぼす。低温側保持温度領域
(600℃以上800℃未満)は、このエネルギー消費
に係る目的に沿って定められたものであり、800℃未
満の温度は、燐の溶出を極度に抑制することができる上
限温度である。なお、下限温度600℃は、省エネルギ
ーの見地から定めた値である。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1実施態様の方
法を示す図である。第1実施態様の方法によれば、焼却
灰のスラグ化は下記のようにして行われる。
【0018】 まず、燐を含む焼却灰を1400℃〜
1600℃に保持された溶融炉へ送って溶融する。この
際、溶融処理する焼却灰のCaO/SiO2 の比(塩基
度)が所定値になるように、炭酸カルシウム等のカルシ
ウム含有物質を加え、成分調整する。
【0019】 次いで、溶融物を溶融炉から取り出
し、常温まで冷却する。 冷却されたスラグを加熱炉に入れて加熱し、800
℃〜1000℃(高温側保持温度領域)まで昇温させた
後、この温度領域で所定時間保持する。
【0020】 次いで、加熱炉から加熱されたスラグ
を取り出し、そのまま放冷する。この処理によって得ら
れたスラグの燐の溶出は極度に抑制されている。
【0021】図2は本発明の第2実施態様の方法を示す
図である。第2実施態様の方法によれば、焼却灰のスラ
グ化は下記のようにして行われる。 図1のと同様の処理を行って、焼却灰を溶融す
る。
【0022】 溶融物を溶融炉から取り出して600
℃〜800℃未満(低温側保持温度領域)まで冷却し、
保温機能を有する装置の中に入れてそのまま所定時間保
持する。
【0023】 次いで溶融物を加熱し、800℃〜1
000℃(高温側保持温度領域)まで昇温させ、この温
度領域に所定時間保持する。 次いで、加熱されたスラグを取り出し、そのまま放
冷する。
【0024】図3は本発明の第3実施態様の方法を示す
図である。第3実施態様の方法によれば、焼却灰のスラ
グ化は下記のようにして行われる。 図1のと同様の処理を行って、焼却灰を溶融す
る。
【0025】 図1のと同様の処理を行って、溶融
物を常温まで降温させる。 冷却されたスラグを加熱炉に入れて加熱し、600
℃〜800℃(低温側保持温度領域)まで昇温させた
後、この温度領域で所定時間保持する。
【0026】 以下、図2のおよびと同様の処理
を行って、燐の溶出が極度に抑制されたスラグを得る。
【0027】図1〜図3に示した方法を実施する際に使
用する焼却灰の溶融炉の型式は、特に限定されるもので
はなく、旋回流式溶融炉、表面溶融炉、コークスベッド
溶融炉、アーク溶融炉、電気抵抗式溶融炉などの型式の
ものを用いることができる。
【0028】図2の方法において、溶融炉から取り出し
た溶融物を、低温側保持温度領域に保持し、次いで、高
温側保持温度領域に保持する処理を行う場合、この二つ
の処理を同一の装置内で継続して行うこともできるし、
二つの装置を用いて、低温側保持処理と高温側保持処理
とを段階的に行うこともできる。また、上記二つの処理
に際しては、連続式の装置を用いるとができるし、バッ
チ式の装置を用いるともできる。
【0029】また、図1〜図3の説明においては、焼却
灰を溶融炉に投入して溶融し、スラグ化する方法につい
て説明したが、本発明においては、必ずしも、出発物質
が焼却灰に限定されるものではなく、焼却前の物質を出
発物質とすることもできる。例えば、焼却処理と溶融処
理とを一連の操作で行うことができる旋回溶融炉のよう
な型式の溶融炉を使用する場合には、汚泥のような焼却
前の物質を投入しても、これを焼却・溶融して上記のよ
うな温度保持処理を行えば、燐の溶出が極度に抑制され
たスラグを得ることができる。
【0030】
【実施例】
(試験例1)この試験においては、溶融物を冷却した
後、高温側保持温度領域まで加熱することによる効果を
確認した。
【0031】表1のA欄に示す成分組成の下水汚泥(高
分子凝集剤を使用した脱燐処理汚泥)の焼却灰に、炭酸
カルシウムを種々の割合で混合し、CaO/SiO2
重量比(塩基度)が0.3〜1.3の試料を調製した。
これらの試料を200g秤量して坩堝に受け、電気炉に
入れて溶融した。
【0032】
【表1】
【0033】次いで、電気炉から坩堝を取り出し、溶融
物を一旦冷却した後、再び電気炉に入れて加熱し、80
0℃まで昇温させ、この温度で2時間保持したのち放冷
した。このような処理が施されたスラグについて、燐の
溶出試験を行った。なお、比較のために、溶融物を冷却
したままで加熱しなかったスラグも作り、このスラグに
ついても、燐の溶出試験を行った。
【0034】溶出試験は、スラグを2mm以下の粒度にな
るように粉砕し、この粉末100gに対し1リットルの
割合で蒸留水を混合して、6時間振盪した後、孔径1μ
mのグラスファイバ製のフィルタで濾過し、濾液中の燐
濃度を分析することにより行った。
【0035】溶出試験の結果を表2に示す。なお、溶出
試験における溶出液中の燐濃度は燐単体(P)として表
されている。
【0036】
【表2】
【0037】表2から明らかなように、未処理スラグの
燐溶出濃度は2〜3mg/lであって、閉鎖水域における排
出基準(燐の排出基準:1mg/l以下)を大幅に超えた値
であった。これに対し、冷却した後に加熱処理したスラ
グの燐の溶出濃度は極めて低く、何れも1.0mg/l以下
であり、良好であった。従って、このスラグを、厳しい
排出基準が設けられている閉鎖水域などに廃棄したり、
路盤材などに使用しても、全く問題の生じないことが確
認された。
【0038】(試験例2)この試験においては、焼却灰
中の燐の含有率とその焼却灰から得られたスラグの燐溶
出濃度との関係を調べた。この試験における試料中の燐
含有率は5wt%〜30wt%である。なお、この燐含
有率は、一般に、通常の汚泥焼却灰中の燐含有率が5w
t%程度であり、脱燐汚泥の焼却灰中の燐含有率が最高
30wt%程度であることに基づいて定めた。
【0039】試験のための試料を次のようにして調製し
た。表1A欄に示す成分組成の下水汚泥の焼却灰に、試
薬の二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化鉄、炭酸カル
シウム、燐酸カルシウムを適宜配合し、燐含有率が、P
2 5 換算で5wt%〜30wt%になるようにした。
この際、CaO/SiO2 の重量比(塩基度)が1.0
となるように炭酸カルシウムを添加し、他の成分源を添
加する必要がある場合には、SiO2 、Al2 3 、F
2 3 の比が表1A欄に示すものと同じになるよう
に、二酸化珪素、酸化アルミニウム、および酸化第二鉄
を配合した。
【0040】この試料を、試験例1の場合と同様に溶融
し、次いで、常温まで冷却した後、加熱して800℃ま
で昇温させ、この温度で2時間保持したのち冷却した。
処理されたスラグについて、燐の溶出試験を行った。な
お、比較のために、溶融物を冷却したまま加熱しなかっ
たスラグも作り、このスラグについても、燐の溶出試験
を行った。試験結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】表3から明らかなように、未処理のスラグ
の燐溶出濃度は、2〜3mg/l程度あり、燐の溶出抑制は
不十分であった。これに対し、冷却した後に加熱処理し
たスラグの燐溶出濃度は、何れも1.0mg/l以下であり
良好であった。このように、燐含有率が高い焼却灰をス
ラグ化した場合にも、燐の溶出濃度はさして変わらない
ことが判った。
【0043】(試験例3)この試験においては、溶融物
を冷却した後に加熱する際の好ましい温度領域(高温側
保持温度領域)を求めた。
【0044】表1のA欄に示す成分組成の下水汚泥焼却
灰に炭酸カルシウムを混合し、CaO/SiO2 の重量
比が0.3〜1.1の4試料を調製した。この試料を試
験例1の場合と同様に溶融し、次いで、常温まで冷却し
た後、加熱して昇温させ、その温度に2時間保持した。
冷却後の加熱保持温度は600℃〜1000℃の5水準
にした。このように加熱処理したスラグについて、試験
例1の場合と同様の操作による溶出試験を行った。試験
結果を表4および図4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】表4および図4から明らかなように、加熱
保持温度が600℃のスラグの場合には、1〜3mg/lの
燐が溶出しており、燐の溶出抑制は不十分であった。こ
れに対し、700℃以上の温度で保持したスラグの場合
には、燐の溶出濃度が何れも1mg/l以下であり、そし
て、加熱保持温度が800℃以上の場合には、燐の溶出
濃度が一層低下し、0.5mg/l以下になった。
【0047】従って、加熱保持温度(高温側保持温度領
域)は、800℃以上にすることが必要である。なお、
高温側保持温度領域の上限は、前述した理由により、1
000℃にすべきある。
【0048】(試験例4)この試験においては、溶融物
を冷却する際の好ましい温度領域(低温側保持温度領
域)を求めた。
【0049】表1のA欄に示す成分組成の下水汚泥の焼
却灰に炭酸カルシウムを混合し、CaO/SiO2 の重
量比が0.3〜1.1の4試料を調製した。この試料を
試験例1の場合と同様に溶融し、溶融物を常温まで冷却
し、次いで、400℃〜900℃の6水準の温度条件で
加熱した後、2時間その温度で保持した。次いで、加熱
して1000℃まで昇温させ、その温度で2時間保持し
た。このように処理したスラグについて、試験例1の場
合と同様の操作による溶出試験を行った。試験結果を表
5および図5に示す。
【0050】
【表5】
【0051】表5および図5から明らかなように、この
試験においては、総じて好ましい値が得られたが、特
に、低温側保持温度を600℃〜800℃未満にした場
合に、燐の溶出濃度は極めて低い値になり、その多くが
0.1mg/l以下になった。
【0052】なお、低温側保持温度が400℃〜500
℃の場合、および900℃の場合でも、燐の溶出濃度は
1.0mg/l以下の好ましい範囲の値であったが、これら
の条件においては、燐濃度の値が、試験例3(表4)に
おける加熱温度が1000℃の場合の値と比べて、僅か
に低下している程度であり、低温側保持温度内に保持す
ることによる効果は極めて小さかった。
【0053】上記結果から、溶出液中の燐濃度が1.0
mg/lを遙に下回るように、一段と低下させるためには、
低温側保持温度を600℃〜800℃未満の範囲内にす
べきである。
【0054】(試験例5)焼却灰の溶融物を、低温側保
持温度領域まで冷却し、そのまま保持した後、加熱して
高温側保持温度領域まで昇温させ、保持する試験を行っ
た。
【0055】表1のA欄に示す組成の下水汚泥の焼却灰
に炭酸カルシウムを混合して、CaO/SiO2 の重量
比が1.0の試料を調製した。この試料を200g秤量
して坩堝に受け、電気炉に入れて溶融させた。次いで、
坩堝を取り出して、所定の低温側保持温度に設定されて
いる電気炉に入れ、2時間保持した。次いで、その坩堝
を取り出し、所定の高温側保持温度に設定されている電
気炉に入れ、2時間保持した後、取り出して放冷した。
このようにして、低温側保持温度を600℃、高温側保
持温度を900℃にした試験と、低温側保持温度を70
0℃、高温側保持温度を1000℃にした試験を行っ
た。処理したスラグについて、試験例1の場合と同様の
操作による溶出試験を行った。試験結果を表6に示す。
【0056】
【表6】
【0057】表6から明らかなように、試験例4(表
5)の場合と同様に、燐の溶出濃度は極めて低く、0.
1mg/l以下であった。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
燐を含有する下水汚泥などの焼却灰を溶融処理し、水と
接触しても燐の溶出が生じにくいスラグを製造すること
ができ、従って、この発明の方法によって処理されたス
ラグを、閉鎖水域などのような厳しい排出基準が設けら
れている地域に廃棄し、また、建設資材として使用して
も、公害が生ずることがない、工業上有用な効果がもた
らされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施態様の方法を示す図である。
【図2】本発明の第2実施態様の方法を示す図である。
【図3】本発明の第3実施態様の方法を示す図である。
【図4】加熱処理温度(高温側保持温度)と燐の溶出濃
度との関係を示す図である。
【図5】加熱処理温度(低温側保持温度)と燐の溶出濃
度との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西川 敏行 神奈川県横浜市泉区和泉町464−16 (72)発明者 村上 孝雄 東京都豊島区西池袋1の22の8 財団法人 下水道新技術推進機構内 (72)発明者 須賀 研二 東京都豊島区西池袋1の22の8 財団法人 下水道新技術推進機構内 (72)発明者 中原 啓介 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中山 剛 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 星野 寧 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燐を含有する焼却灰を溶融し、この溶融
    物の温度を一旦降下させた後、前記溶融物を加熱して昇
    温させることを特徴とする、燐を含む焼却灰のスラグ化
    方法。
  2. 【請求項2】 燐を含有する焼却灰を溶融し、この溶融
    物の温度を一旦800℃未満の領域まで降下させた後、
    前記溶融物を加熱して800℃〜1000℃の温度領域
    に昇温させ、前記温度領域で所定時間保持することを特
    徴とする、燐を含む焼却灰のスラグ化方法。
  3. 【請求項3】 燐を含有する焼却灰を溶融し、この溶融
    物の温度を一旦600℃以上800℃未満の領域まで降
    下させ、前記温度領域で所定時間保持した後、前記溶融
    物を加熱して800℃〜1000℃の温度領域に昇温さ
    せ、前記温度領域で所定時間保持することを特徴とす
    る、燐を含む焼却灰のスラグ化方法。
  4. 【請求項4】 燐を含有する焼却灰を溶融し、この溶融
    物の温度を一旦降下させた後、前記溶融物を1段目の加
    熱により昇温させ、次いで2段目の加熱により更に昇温
    させることを特徴とする、燐を含む焼却灰のスラグ化方
    法。
  5. 【請求項5】 燐を含有する焼却灰を溶融し、この溶融
    物の温度を一旦600℃未満の領域まで降下させた後、
    前記溶融物を1段目の加熱により600℃以上800℃
    未満の温度領域に昇温させ、そして、前記温度領域で所
    定時間保持し、次いで、2段目の加熱により800℃〜
    1000℃の温度領域に昇温させ、そして、前記温度領
    域で所定時間保持することを特徴とする、燐を含む焼却
    灰のスラグ化方法。
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