JPH09296395A - パルプ繊維成形体の製造方法 - Google Patents

パルプ繊維成形体の製造方法

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JPH09296395A
JPH09296395A JP10832196A JP10832196A JPH09296395A JP H09296395 A JPH09296395 A JP H09296395A JP 10832196 A JP10832196 A JP 10832196A JP 10832196 A JP10832196 A JP 10832196A JP H09296395 A JPH09296395 A JP H09296395A
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JP
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pulp fiber
pulp
molded body
molding
fiber molded
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JP10832196A
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Yoshinari Mizutani
吉成 水谷
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Noritake Co Ltd
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Noritake Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】設計寸法および形状に対する変形が可及的に小
さいパルプ繊維成形体を得ることが可能なパルプ繊維成
形体の製造方法を提供する。 【解決手段】 抄造型10の母材14の表面12に備え
られている稜線20は円弧状に形成されているため、吸
着工程においてパルプ泥漿96中のパルプ繊維が抄造型
10の成形面に吸着されたときには、その稜線20に対
応するパルプ繊維成形体100の周縁端部112は、図
に二点鎖線で示すように各辺の中央部において距離Cだ
け膨らんだ、所望のパルプ繊維成形体100の形状から
変形させられた形状に吸着されている。乾燥時には乾燥
収縮の不均一性等に起因して周縁端部112が各辺の中
央部程大きく内側に向かって変形させられることから、
乾燥終了時においてその周縁端部112が図に実線で示
されるように略真っ直ぐに変化させられて、所望のパル
プ繊維成形体100の形状が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パルプ泥漿からパ
ルプ繊維成形体を製造する製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】所定の製品等を運搬するに際し、その製
品等の形状に応じた凹所を有する包装・緩衝材によりそ
の製品等を嵌め入れた状態で梱包することが行われてい
る。このような包装および緩衝材料としては、通常、発
泡ポリスチレン等が使用されているが、これらは廃棄に
あたって環境汚染を引き起こすことが最近大きな問題と
なっている。
【0003】これに対して、回収資源の有効利用等を目
的として、廃棄処理等も容易な段ボールや新聞紙等の古
紙から得られたパルプ(製紙原料)繊維からパルプモー
ルドと称されるパルプ繊維成形体を製造することが行わ
れており、そのようなパルプ繊維成形体が環境汚染の少
ない梱包材として用いられている。このようなパルプ繊
維成形体は、通常、それに対応する形状の表面を有し且
つその表面に開口する多数の吸引穴が形成された母材を
備えた抄造型を用い、その抄造型をパルプ泥漿槽中に浸
漬した状態で吸引穴から吸引してパルプ繊維をその母材
表面或いはその母材表面に設けられる網状体から構成さ
れる成形面上に吸着させることにより形成され、パルプ
泥漿槽外でその吸着されたパルプ繊維成形体を更に吸引
して脱水することにより、形状を維持できる程度の含水
率とした後、その抄造型から離型し、乾燥炉内で熱風に
て更に乾燥させられることにより製造される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の製造
方法において、成形面上にパルプ繊維を所定形状で吸着
するための抄造型は、例えば、設計図面に基づいてパル
プ繊維の乾燥収縮量を考慮した木型等の原型を製作し、
アルミニウム合金や樹脂等でその原型の形状を写し取る
ことで製作されていた。また、その抄造型の成形面上に
吸着させられたパルプ繊維成形体をその成形面上から取
り外すための離型用型は、その成形面形状に吸着される
パルプ繊維の厚みに相当する隙間が成形面との間に形成
されるように、その成型面上からパルプ繊維成形体を受
け取るための受取面の寸法および形状が決定されてい
た。
【0005】しかしながら、一般に、パルプ繊維成形体
は、複雑な被梱包材形状に対応すると共に緩衝作用を十
分に高くする等の目的で、複雑に入り組んだ凹凸形状に
設計される。そのような複雑な形状においては、パルプ
繊維の吸着量や密度が成形面上の各部分で異なることや
乾燥速度が不均一になることに起因して、収縮のばらつ
き等に基づく変形が生じ得る。このような変形は専らパ
ルプ繊維成形体の厚み方向に生じることから、開放端で
あるためにその厚み方向への拘束力が弱い周縁部におい
て顕著である。
【0006】また、被梱包材である製品形状に応じて、
パルプ繊維成形体が比較的大きな平坦底面を有する形状
に設計されることもあるが、前記のパルプ繊維成形体の
製造方法においてパルプ繊維成形体を乾燥するに際して
は、一般に、その平坦底面が上側に位置する状態で載置
されることから、自重に基づいてその平坦底面の中央部
が垂れ下がり、被梱包材を嵌め入れるための凹所の中央
部が凸形状に変形させられることが生じ得る。
【0007】しかしながら、パルプ繊維成形体を梱包材
として用いる場合にも、従来から用いられている発泡ポ
リスチレン等と同様に緩衝作用が十分に得られ且つ梱包
寸法が可及的に小さくなることが望まれる。したがっ
て、被梱包材である製品を嵌め入れるためにパルプ繊維
成形体に設けられる凹所の寸法および形状が、その被梱
包材の形状に応じて定められる一方で、パルプ繊維成形
体の外形寸法は十分な緩衝作用が得られる範囲で最小寸
法に設計され、更に、その外容器である段ボール箱等の
内寸法は、内部でのがたつきを防止し且つ梱包寸法を小
さくするために、パルプ繊維成形体の周縁部との間の隙
間が殆どない状態でそのパルプ繊維成形体に嵌め入れら
れた被梱包材が収納されるように定められる。このた
め、上記のような乾燥時或いは離型時の変形によってパ
ルプ繊維成形体の各部の寸法および形状が設計値から大
きく異なるものになると、被梱包材を凹所に正しく嵌め
入れられないことや、外容器に納まらないことが生じ得
るという問題があった。
【0008】本発明は、以上の事情を背景として為され
たものであって、その目的は、設計寸法および形状に対
する変形が可及的に小さいパルプ繊維成形体を得ること
が可能なパルプ繊維成形体の製造方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための第1の手段】斯かる目的を達成
するため、第1発明の要旨とするところは、パルプ泥漿
から所定形状のパルプ繊維成形体を製造する方法であっ
て、(a) 多数の吸引穴が開口する母材表面上に形成され
た成形面を備えた抄造型を前記パルプ泥漿内に浸漬し、
前記吸引穴からパルプ泥漿を吸引することにより、その
成形面上の所定位置における乾燥歪の方向と反対方向の
歪が形成されるように前記所定形状に対して所定量予め
変形させられた形状で、そのパルプ泥漿中のパルプ繊維
をその成形面上に吸着する吸着工程と、(b) 前記成形面
上に吸着されたパルプ繊維成形体をその成形面上から取
り外して乾燥することにより、前記所定形状のパルプ繊
維成形体を得る乾燥工程とを、含むことにある。
【0010】
【第1発明の効果】このようにすれば、吸着工程におい
て、成形面上の所定位置における乾燥歪の方向と反対方
向の歪が形成されるように前記所定形状に対して所定量
予め変形させられた形状でパルプ繊維がその成形面上に
吸着され、乾燥工程において、その成形面上からパルプ
繊維成形体を取り外して乾燥することにより、前記所定
形状のパルプ繊維成形体が得られる。そのため、成形面
上に吸着されるパルプ繊維成形体の前記所定形状からの
変形量を、乾燥収縮の不均一性に基づく変形すなわち乾
燥歪を考慮して、その変形が相殺されるように決定する
ことにより、乾燥収縮が不均一な複雑な形状の場合に
も、設計寸法および形状からの変形が可及的に小さいパ
ルプ繊維成形体を得ることができる。なお、上記の『成
形面』は、抄造型の母材が緻密質に構成されてその表面
に網状体が備えられる場合にはその網状体の表面により
形成され、抄造型の母材が多孔質に構成されている場合
にはその母材表面自体により形成される。また、上記吸
着形状を所定量だけ変形させるためには、例えば、母材
表面や成形面(網状体表面或いは多孔質の母材表面)を
その変形された形状に形成すれば良い。
【0011】
【第1発明の他の態様】ここで、好適には、前記吸着形
状は、成形面上のパルプ繊維成形体の周縁端部に対応す
る位置において、その周縁端部の形状よりも外側に膨ら
むように変形させられたものである。このようにすれ
ば、乾燥収縮の不均一性に基づく変形は、一般に周縁端
部で最も大きく、しかも、その周縁端部の変形が被梱包
材を凹所に嵌め入れた状態で外容器に収納する際の困難
性に最も影響するため、乾燥後のパルプ繊維成形体のこ
の周縁端部の形状を設計値に近づけることにより、その
収納時の困難性が一層緩和される。
【0012】
【課題を解決するための第2の手段】また、前記目的を
達成するための第2発明の要旨とするところは、パルプ
泥漿から平坦底面を備えたパルプ繊維成形体を製造する
方法であって、(c) 多数の吸引穴が開口する母材表面上
に形成された成形面を備えた抄造型を前記パルプ泥漿内
に浸漬し、前記吸引穴からパルプ泥漿を吸引することに
より、そのパルプ泥漿中のパルプ繊維をその成形面上に
吸着する吸着工程と、(d) 前記成形面上に吸着されたパ
ルプ繊維成形体を、前記平坦底面の周縁部から中央部に
向かうに従ってその平坦底面から離隔する受取面を備え
た離型用型その受取面で吸着することにより、前記成形
面上から取り外す離型工程と、(e) 前記成形面上から取
り外されたパルプ繊維成形体を前記平坦底面が上側に位
置する状態で乾燥する乾燥工程とを、含むことにある。
【0013】
【第2発明の効果】このようにすれば、吸着工程におい
て、パルプ泥漿中のパルプ繊維が成形面上に吸着され、
離型工程において、その成形面上に吸着されたパルプ繊
維成形体が平坦底面の周縁部から中央部に向かうに従っ
てその平坦底面から離隔する(すなわち、その平坦底面
に対して凹に形成された)受取面を備えた離型用型のそ
の受取面で吸着され、乾燥工程において、成形面上から
取り外されたパルプ繊維成形体が平坦底面が上側に位置
する状態で乾燥させられる。そのため、離型用型で吸着
されて成形面上から取り外された際には、その受取面の
凹形状に倣って平坦底面が変形させられ、乾燥工程にお
いては、その平坦底面が上側に凸になった状態で乾燥さ
せられることになる。したがって、その乾燥中において
平坦底面の中央部が自重に基づいて垂れ下がると、上記
凸形状を適宜設定することによって丁度平坦面を得るこ
とができる。したがって、比較的大きな平坦底面を有す
る形状の場合にも、設計寸法および形状に対する変形が
可及的に小さいパルプ繊維成形体を得ることができるの
である。
【0014】
【課題を解決するための第3の手段】また、前記目的を
達成するための第3発明の要旨とするところは、パルプ
泥漿から平坦底面と周縁部にその平坦底面から所定高さ
に形成された枠部とを備えたパルプ繊維成形体を製造す
る方法であって、(f) 多数の吸引穴が開口する母材表面
上に形成されて前記平坦底面に対応する平坦面とその平
坦面の一部に前記枠部の高さと略同様な深さに設けられ
た凹陥面とを有する成形面と、その成形面上においてそ
の凹陥面の周縁部を囲むようにその周縁部に沿って所定
間隔をもって立設された複数の薄板状部材とを備えた抄
造型を前記パルプ泥漿内に浸漬し、前記吸引穴からパル
プ泥漿を吸引することにより、そのパルプ泥漿中のパル
プ繊維をその成形面上に吸着する吸着工程と、(g) 前記
成形面上に吸着されたパルプ繊維成形体をその成形面上
から取り外して乾燥する乾燥工程と、(h) 乾燥させられ
たパルプ繊維成形体の前記平坦底面内において前記凹陥
面に対応して形成された柱状部をその平坦底面との境界
部から折り取って除去する柱状部除去工程とを、含むこ
とにある。
【0015】
【第3発明の効果】このようにすれば、吸着工程におい
て、平坦面の一部に枠部の高さと同様な深さに形成され
た凹陥面を有する成形面と、その凹陥面の周縁部を囲む
ようにその周縁部に沿って所定間隔をもって立設された
複数の薄板状部材とを備えた抄造型のその成形面にパル
プ繊維が吸着され、乾燥工程において、パルプ繊維成形
体が成形面上から取り外されて乾燥され、柱状部除去工
程において、凹陥面に対応して平坦底面内に形成された
柱状部がその平坦底面との境界部から折り取られて除去
される。そのため、乾燥中において平坦底面が自重によ
って垂れ下がることが、その平坦底面の一部に枠部と同
様な高さに形成された柱状部によってその平坦底面が支
持されることで抑制され、成形面に立設された複数の薄
板状部材の相互の間隔に対応した一部のみによって平坦
底面に接続されている柱状部を容易に折り取ることで、
設計通りの平坦底面を有するパルプ繊維成形体が得られ
る。したがって、比較的大きな平坦底面を有する形状の
場合にも、設計寸法および形状に対する変形が可及的に
小さいパルプ繊維成形体を得ることができる。なお、柱
状部を折り取った跡には、凹陥面の周縁形状に対応する
穴が形成されることとなるが、パルプ繊維成形体が梱包
材として用いられる場合には、その穴の大きさおよび位
置を梱包材としての機能を損なわないように適宜設定す
れば、何ら支障は生じないのである。
【0016】
【課題を解決するための第4の手段】また、前記目的を
達成するための第4発明の要旨とするところは、パルプ
泥漿からパルプ繊維成形体を製造する方法であって、
(i) 多数の吸引穴が開口する母材表面上に形成されて周
縁端部に内側位置からの延長面よりも凹んで設けられた
段付き部を有する成形面を備えた抄造型を前記パルプ泥
漿内に浸漬し、前記吸引穴からパルプ泥漿を吸引するこ
とにより、そのパルプ泥漿中のパルプ繊維をその成形面
上に吸着する吸着工程と、(g) 前記成形面上に吸着され
たパルプ繊維成形体をその成形面上から取り外して乾燥
する乾燥工程とを、含むことにある。
【0017】
【第4発明の効果】このようにすれば、吸着工程におい
て、周縁端部に内側位置からの延長面よりも凹んで設け
られた段付き部を有する成形面にパルプ繊維が吸着さ
れ、乾燥工程において、その成形面からパルプ繊維成形
体が取り外されて乾燥させられる。そのため、成形面の
周縁端部に設けられた段付き部に対応する位置のパルプ
繊維成形体の周縁部は、その段付き部の凹みの大きさだ
け厚み方向に延長して形成される。したがって、乾燥収
縮のばらつきに起因して最も変形し易いパルプ繊維成形
体の周縁部の変形が、その変形方向である厚み方向に延
長して形成されたリブの面方向の変形抵抗によって抑制
される。これにより、乾燥収縮が不均一な複雑な形状の
場合にも、設計寸法および形状からの変形が可及的に小
さいパルプ繊維成形体を得ることができる。
【0018】
【第4発明の他の態様】ここで、好適には、前記吸着工
程は、前記段付き部にも前記吸引穴が開口する抄造型に
よって前記パルプ泥漿を吸引するものである。このよう
にすれば、その段付き部におけるパルプ繊維の吸着量が
十分に多くされて、乾燥時のパルプ繊維成形体の周縁部
の変形を一層確実に抑制できる。
【0019】また、好適には、前記パルプ繊維成形体
は、被梱包材を嵌め入れるための凹所の外側に緩衝作用
を高めるためにその凹所の側壁面に沿って延びる折り返
し部を備えたものであり、前記抄造型の成形面は、その
凹所の内壁面からその折り返し部の外壁面までの幅寸法
(すなわち折り返し部の幅寸法)が、前記凹みの大きさ
だけ小さくされているものである。このようにすれば、
上記のような凹みが外周側に向かって形成される形状の
場合にも、その凹みの大きさだけその折り返し部の幅寸
法が小さくされるため、パルプ繊維成形体の外形寸法を
保ちつつ乾燥収縮の不均一性に起因する変形を抑制する
ことができる。
【0020】また、好適には、前記段付き部の凹みの大
きさは、パルプ繊維の吸着厚みよりも小さくされる。こ
のようにすれば、パルプ繊維成形体の周縁端部とその内
側部分との境界部における強度を十分に高く保ちつつ、
その周縁端部における厚さを十分に大きくできるため、
乾燥時の変形を一層確実に抑制できる。すなわち、凹み
が設けられている部分では他の部分よりもパルプ繊維が
厚く吸着されるが、一方、上記境界部においては厚みが
小さい括れ部分が形成されることとなることから、その
括れ部分に離型時や乾燥時等に引き裂かれないだけの強
度を与えるためには、凹みの大きさを吸着厚みよりも小
さくすることが好ましいのである。なお、変形を抑制す
る効果を十分に得るためには、凹みの大きさが 0.3mm以
上にされることが好ましいことから、凹みの大きさは、
『 0.3mm〜吸着厚み』程度とされることが最も好まし
い。
【0021】なお、上記のような凹みを形成するために
は、例えば、抄造型の母材表面自体を段付き形状に形成
すれば良い。また、前記のような折り返し部を備えた形
状のパルプ繊維成形体を製造する方法において例えば母
材表面に網状体が設けられる場合には、その網状体を母
材の周縁部において固定するための枠状体の内側面が、
その母材表面の周縁部よりも外側に位置するようにその
枠状体を固定することで段付き部すなわち凹みを形成し
てもよく、或いは、枠状体自体を段付き形状に形成する
ことによって段付き部を形成してもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面を
参照して説明する。
【0023】図1は本発明の一実施例であるパルプ繊維
成形体の製造方法が適用されるパルプ繊維成形体製造装
置の要部構成を示す図である。図において、パルプ繊維
成形体製造装置は、図示しない原質装置によって調製さ
れたパルプ泥漿96からパルプ繊維成形体100を成形
するための一対の抄造型10a,10b(以下、特に区
別しないときは単に抄造型10という)を有する成型機
50と、抄造型10からパルプ繊維成形体100を取り
外すための離型機52と、パルプ繊維成形体100を乾
燥して次工程に送るための乾燥機54とを備えている。
【0024】上記の成型機50に備えられた抄造型10
は、図2に要部を拡大して示されるように、成形するパ
ルプ繊維成形体100に対応する形状に表面12を形成
された例えばアルミニウム合金製の母材14と、その表
面12と同様の形状に成形されてそれを覆う状態で設け
られることにより成形面を形成する網状体16と、表面
12および裏面17に両端が開口するように母材14を
貫通させられた複数本の吸引穴18とを備えている。本
実施例においては、上記の表面12が母材表面に相当す
る。
【0025】上記の母材14は、図3に図2の上方から
見た状態をその母材14のみについて示すように、全体
の平面形状が矩形に形成されたものである。図において
円弧状の4辺から形成される稜線20の内側部分が、上
記網状体16で覆われることによって、パルプ繊維成形
体100を成型するためにパルプ泥漿96中のパルプ繊
維を吸着する成形面として機能する部分である。なお、
この図3においては、表面12に開口する吸引穴18は
省略されている。また、前記の図2は、図3のII−II断
面に対応するものであり、本実施例においては、各辺の
中間部において稜線20が外側に膨らむように形成され
ていることから、図2に示されるように、稜線20のう
ちの円弧状の各辺の中央部近傍の稜部20aが外側位置
において大きな鈍角に形成されている一方、相互に隣接
する円弧状の2辺から構成される角部に近い稜部20b
が内側位置において稜部20aよりも小さな鈍角に形成
されている。
【0026】上記の図3において二点鎖線は、パルプ繊
維成形体100の要求形状に対して乾燥収縮量だけを考
慮して母材14の表面12を形成した場合の仮想的な稜
線(仮想稜線)21を示すものである。図から明らかな
ように、稜線20は、平面形状における角部において仮
想稜線21に一致させられているが、各辺の中央部にお
いては、所定距離Cだけその仮想稜線21から離隔させ
られている。この距離Cは、後述の乾燥工程においてパ
ルプ繊維成形体100が収縮させられる際に、稜線20
に対応するそのパルプ繊維成形体100の周縁端部11
2(図6参照)の変形量を考慮して最大10mm程度の範囲
で実験的に決定されたものである。すなわち、稜線20
は、図6に矢印fで示される乾燥歪の方向と反対方向の
矢印Fの方向に歪んで形成されている。なお、各辺の円
弧の長さは、仮想稜線21の各辺の長さLに対して1.05
〜1.30L(好適には1.05〜1.10L)程度となっている。
【0027】図2に戻って、母材14の表面12を覆う
ようにして抄造型10に固定された網状体16は、例え
ば目付が20〜50g/m2程度のポリエステル製或いはポリプ
ロピレン製などの不織布や、トリコット、#20 〜#200
(線径0.10〜0.32mm)程度のステンレス、真鍮等の金属
メッシュ、ナイロン或いはテトロンなどの合成繊維メッ
シュであり、プレスなどを用いて表面12に沿った形状
に予め成形され、例えば図2に示されるように、網状体
押え枠27によりその周縁部が固定されている。
【0028】上記網状体16が不織布により構成される
場合には、例えば、所定厚みの不織布を熱プレスして所
望の形状を得るのであるが、このとき、目付が50g/m2
度の不織布では成形したときの伸び率によっては20g/m2
よりも薄くなってしまい、メッシュとしては不完全なも
のとなってしまう場合がある。そこで、その部分だけを
多層として所定の目付を確保する。このとき、重ねた不
織布は、接着剤などによって相互に且つ表面12にそれ
ぞれ適宜の位置で接着されることにより取り付けられる
と共に、上記網状体押え枠27によりその周縁部に固着
されて剥がれが防止される。多層にする目的は、所定の
目付を確保するためであり、例えば、複雑な形状の場合
には、目付が100g/m2 程度の厚めの不織布を使用しても
よい。また、図1などにおいては上記網状体押え枠27
は省略されている。
【0029】また、上記網状体16が、金属線或いは合
繊繊維のメッシュで構成される場合には、ワイヤー等を
用いてその一部が吸引穴18に適宜の位置で固定される
と共に、上記網状体押え枠27によりその周縁部に固着
されて後述のパルプ繊維成形体100の周縁端部112
の形状すなわち輪郭(トリムライン)が明確とされ、同
時に網状体16の剥がれが防止されている。なお、網状
体16は、一体的に成形され且つ構成されていてもよい
が、複数に分割された各部において成形され且つそれら
各部が組み立てられることにより構成されてもよい。
【0030】また、前記母材14においてその裏面17
から表面12へ貫通する吸引穴18は、 2.0乃至3.5mm
程度の開口径を備えたものであり、例えば 5乃至30mm程
度の間隔で表面12に開口するように複数個所に設けら
れている。また、吸引穴18は、その裏面17側の開口
径が表面12側よりも充分に大きな径、例えば 5乃至10
mm程度の径となるように段付き穴形状に形成され、吸引
穴18内のパルプ繊維による穴詰まりが防止されてい
る。また、上記の図2に示すように、吸引穴18は表面
12に対して例えば30°程度の傾斜角度すなわち表面1
2の法線に対して60°程度の傾斜角度で傾斜して設けら
れている。この吸引穴18の開口の配置密度および径
は、網状体16の上に形成されるパルプ繊維成形体10
0の厚みが均一となるように実験的に求められている。
【0031】なお、前記図2は、成型機50における上
記抄造型10の取付け状態を模式的に示す図である。図
において、支持アーム22の先端にはチャンバ23が固
定されており、このチャンバ23のフランジ面23a
に、抄造型10がボルト26によって取り付けられたベ
ース24がボルト25aおよびナット25bにより固定
されている。抄造型10の母材14は、その厚みが例え
ば 2cm程度であって母材14の表面12に沿った形状の
凹所28を裏面17に有しており、その凹所28とチャ
ンバ23とで閉空間30が形成されて、前記の吸引穴1
8はこの凹所28に連通させられている。
【0032】上記凹所28とチャンバ23とで形成され
た閉空間30は、支持アーム22の縦通穴32を介して
切換弁34に接続されている。この切換弁34は、ドレ
ンタンク36を介して吸引ポンプ38に接続される吸引
位置と、コンプレッサ40に接続される噴出位置とに図
示しないシーケンスコントローラ等の制御装置からの指
令に従って切り換えられるものである。そのため、その
切換位置に応じて、吸引ポンプ38によって閉空間30
内が負圧とされると共に吸引穴18から吸引され、或い
は、コンプレッサ40によって吸引穴18から空気が噴
出させられるようになっている。なお、上記ドレンタン
ク36内に貯留された水は排出ポンプ42により適宜排
出される。
【0033】図1に戻って、上記のように構成される抄
造型10が取り付けられた成型機50は、図示しない支
持装置によって紙面に垂直な軸心回りの回動可能に支持
された回動軸94を備えており、その回動軸94に一対
の支持アーム22(22a,22b)が互いに 180°異
なる回動角度位置に取り付けられている。そして、それ
ら支持アーム22a,22bの先端に、抄造型10a,
10bがそれぞれ取り付けられている。回動軸94の下
方にはパルプ泥漿96を蓄えたパルプ泥漿槽98が備え
られており、支持アーム22a,22bの先端にそれぞ
れ取り付けられた抄造型10a,10bが、その下端位
置においてパルプ泥漿96中に浸漬されるようになって
いる。すなわち、抄造型10a,10bは、回動軸94
を挟んで互いに反対側に設けられており、その軸心回り
に回動させられることによって交互にパルプ泥漿槽98
内のパルプ泥漿96内に位置させられ、そのパルプ泥漿
96内に浸漬された状態で吸引穴18から吸引されるこ
とによって網状体16上にパルプが吸着され、パルプ泥
漿96外において吸引脱水されることでパルプ繊維成形
体100が成形されるのである。
【0034】また、回動軸94の上方に備えられた前記
離型機52は、図の左右方向に移動可能且つ左端部(す
なわち回動軸94の直上)および破線で示される右端部
において上下方向に移動可能とされた離型用型102を
備えている。離型機52は、離型用型102が実線で示
される左端部にあるとき、図に示される位置よりも下側
の下端位置において、成形面上すなわち網状体16上の
パルプ繊維成形体100を吸着してその網状体16上か
ら取り外すと共に、破線で示される右端部の下端位置に
おいて、乾燥機54に備えられた搬入用コンベア56上
にそのパルプ繊維成形体100を下ろすことにより、パ
ルプ繊維成形体100を成型機50から乾燥機54に搬
送するものである。
【0035】上記の離型用型102は、図4に断面構造
が模式的に示されるように、前記抄造型10の表面12
を略反転した形状の受取面58を有した例えばエポキシ
樹脂製の離型用型母材60と、受取面58および裏面6
2に両端が開口するように離型用型母材60を貫通させ
られた複数本の吸引穴64と、その離型用型母材60を
外周側で保持する木製の枠体66とを備えている。
【0036】上記の吸引穴64は、例えば 2乃至4mm 程
度の開口径を備えたものであり、抄造型10の凹部に対
応する離型用型母材60の凸部67の角部において、例
えば30乃至150mm 程度の間隔で受取面58に開口するよ
うに複数個所に設けられている。この吸引穴64の開口
の配置密度および径は、抄造型10の成形面上から受け
取るパルプ繊維成形体100の変形や破損が生じないよ
うに実験的に求められている。なお、図4は、前記図2
に示される抄造型10の断面に対応する位置(すなわ
ち、母材14について前記図3に示す破断線II−IIに対
応する断面)における離型用型102の断面を示すもの
である。そのため、図4において右側に示される凸部6
7は底部が幅広に描かれている。
【0037】上記の離型用型102は、抄造型10と同
様に吸引穴64から吸引し或いは空気を噴出するように
構成されている。すなわち、図に示されるように、前記
図1の上下方向に伸縮可能にされた支持アーム68の先
端にはチャンバ70が固定されており、このチャンバ7
0のフランジ面70aに、離型用型102が木ねじ等に
よって取り付けられた木製のベース72がボルト74a
およびナット74bにより固定されている。上記の離型
用型母材60は厚みが例えば数cm乃至十数cm程度であっ
て、離型用型102は、その離型用型母材60の裏面6
2と枠体66の裏面とによって構成される凹所76をそ
の裏面62側に有している。その凹所76とチャンバ7
0とで閉空間78が形成されており、前記の吸引穴64
はこの凹所76に連通させられている。
【0038】そして、上記閉空間78は、支持アーム6
8の縦通穴80を介して切換弁82に接続されている。
この切換弁82は、ドレンタンク84を介して吸引ポン
プ86に接続される吸引位置と、コンプレッサ88に接
続される噴出位置とに図示しないシーケンスコントロー
ラ等の制御装置からの指令に従って切り換えられるもの
である。そのため、その切換位置に応じて、吸引ポンプ
86によって閉空間78内が負圧とされると共に吸引穴
64から吸引され、或いは、コンプレッサ88によって
吸引穴64から空気が噴出させられるようになってい
る。なお、上記ドレンタンク84内に貯留された水は排
出ポンプ90により適宜排出される。
【0039】なお、離型用型母材60は、例えば以下の
ようにして作製される。すなわち、先ず、後述の図5の
製造工程に従って、前記抄造型10の成形面上(網状体
16上)にパルプ繊維を吸着し、脱水することにより、
離型用型102によってその成形面上から取り外される
直前のパルプ繊維成形体100を成形する。次いで、成
形面上のパルプ繊維成形体100の表面に例えば 2〜2.
5mm 程度の所定厚みに粘土等を貼り付け、更に、そのパ
ルプ繊維成形体100の表面にゲル状のエポキシ樹脂等
の常温硬化型の樹脂を繰り返し塗布することにより、図
4に示されるように各部が所定厚みとされた樹脂層を形
成する。このとき、樹脂とパルプ繊維成形体100との
間には上記粘土の厚み分に相当する間隔が設けられるこ
とになる。そして、塗布された樹脂が硬化した後、パル
プ繊維成形体100から剥離し、所定位置に前記吸引穴
64を穿孔形成することにより、そのパルプ繊維成形体
100側に受取面58を備えた離型用型母材60が得ら
れる。したがって、受取面58の表面形状は、網状体1
6上に吸着されるパルプ繊維成形体100との間に所定
の隙間が形成されるように考慮した形状になっている。
【0040】図1に戻って、前記の乾燥機54は、図示
しない熱源によって所定温度に保持された箱型容器10
4内に、パルプ繊維成形体100を載置するための複数
の台106を有する昇降装置108と、その昇降装置1
08に向かってパルプ繊維成形体100を搬送するため
の前記搬入用コンベア56と、箱型容器104内で下降
させられたパルプ繊維成形体100を乾燥機54から搬
出して次工程へ送るための搬出用コンベア110とを備
えたものである。上記昇降装置108は、複数の台10
6を図の左方側から上昇させると共に右方側から下降さ
せるものであり、台106上に載置されたパルプ繊維成
形体100は、箱型容器104内で公転させられている
間に速やかに乾燥させられる。
【0041】以上のように構成されたパルプ繊維成形体
製造装置を用いてパルプ繊維成形体100を製造する方
法を、一方の抄造型10aについて、図1および成形工
程を示す図5を参照して説明する。先ず、図示しない起
動装置を操作することにより、成型機50および離型機
52の吸引ポンプ38,86、コンプレッサ40,88
や乾燥機54の熱源等を起動する。なお、吸引ポンプ3
8,86やコンプレッサ40,88等は、後述の各工程
において切換弁34,82の切換作動に伴って起動およ
び停止させられても良い。
【0042】上記の起動操作の後、工程1の浸漬工程に
おいて回動軸94を回動させることにより、図1の矢印
Aに従って上側に位置する抄造型10aを下方に向かっ
て回動させると共に下側に位置する抄造型10bを上方
に向かって回動させる。次いで、工程2の吸引工程で
は、その回動中において、吸引ポンプ38を運転しつつ
抄造型10aに接続されている切換弁34を吸引位置に
切り換えることにより、その抄造型10aの吸引穴18
から吸引を開始する。
【0043】そして、更に回動して抄造型10aがパル
プ泥漿槽98中のパルプ泥漿96内に入れられることに
より、工程3の吸着工程において、予め定められた所定
の吸着時間だけそのパルプ泥漿96中のパルプ繊維が網
状体16上に吸着される。このとき、図3に示されるよ
うに、母材14の表面12上の稜線20が乾燥収縮量の
みを考慮した仮想稜線21よりも外側に膨らんだ形状に
設けられていることから、パルプ繊維はその形状に倣っ
て図6に示される周縁端部112が中央部程大きく外側
に膨らんだ形状に吸着される。すなわち、上記の吸着工
程では、成形面上のパルプ繊維成形体100の周縁端部
112に対応する所定位置において、図3の仮想稜線2
1に対応する所定形状すなわち図6に実線で示される得
ようとする周縁端部112に対して所定量(中央部にお
いて距離C)だけ変形させられた形状で、パルプ繊維が
吸着される。したがって、本実施例においては、パルプ
繊維の吸着形状を所定量だけ変形させるために、母材1
4の表面12がその変形された形状に形成されている。
【0044】なお、上記の所定の吸着時間は例えば 2秒
程度の比較的短い時間に設定される。上記所定時間が経
過すると、工程4の引上工程において、吸引穴18から
の吸引を継続したまま抄造型10aをパルプ泥漿96外
に出し、工程5の脱水工程において、例えば10秒程度の
所定時間だけ更に吸引を継続することにより、網状体1
6上に吸着されたパルプ繊維が脱水させられて前記パル
プ繊維成形体100が成形される。なお、吸引穴18か
らの吸引が継続して実施されていることから、脱水工程
は、引上工程において抄造型10aがパルプ泥漿96外
に出された直後から実行されることとなる。
【0045】上記のように脱水が終了した後、工程6の
離型工程において、離型用型102をその左端位置に位
置する状態で下降させて、パルプ繊維成形体100を介
して抄造型10aに嵌め合わせ、抄造型10a側の切換
弁34を噴出位置に切り換えて吸引穴18から空気を噴
出すると同時に、離型用型102側の吸引ポンプ86を
運転しつつ切換弁82を吸引位置に切り換えて、受取面
58に開口する多数の吸引穴64から吸引してその離型
用型102内の閉空間78を負圧にする。そして、吸引
穴18からの噴出および吸引穴64からの吸引を継続し
たまま離型用型102を上昇させることにより、パルプ
繊維成形体100がその受取面58に吸着されて抄造型
10aから離型させられる。
【0046】続いて、パルプ繊維成型体100を吸着し
た離型用型102を、その上端位置まで上昇させた後、
図の右方に移動させ、破線で示される右端位置におい
て、再び下降させる。このようにして、離型用型102
が図に示される下端位置まで下降した後、切換弁82を
噴出位置に切り換えて吸引穴64から空気を噴出させる
ことにより、パルプ繊維成形体100が受取面58上か
ら引き剥がされて乾燥機54の搬入用コンベア56上に
下ろされる。
【0047】そして、工程7の乾燥工程においては、搬
入用コンベア56上に下ろされたパルプ繊維成形体10
0が乾燥機54の箱型容器104内に順次送り込まれて
台106上に移され、その台106上に載置された状態
で箱型容器104内を図1における右回りに回動させら
れる。乾燥機54の箱型容器104内は、前述のように
遠赤外線ヒータ等の熱源によって所定温度に保持されて
いる。このため、上記の回動中においてパルプ繊維成形
体100が十分に乾燥させられて、図6(a),(b) に実線
で示すようなパルプ繊維成形体100の乾燥製品が得ら
れ、箱型容器104内の右側下端位置において搬出用コ
ンベア110に移されることにより、次工程である検査
工程や必要に応じて設けられるアフタプレス工程等に搬
送される。
【0048】このとき、前述のように、抄造型10の母
材14の表面12に備えられている稜線20は外側に膨
らむ円弧状に形成されているため、工程3の吸着工程に
おいてパルプ泥漿96中のパルプ繊維が抄造型10の成
形面に吸着されたときには、その稜線20に対応するパ
ルプ繊維成形体100の周縁端部112は、図6(a),
(b) に二点鎖線で示すように各辺の中央部において、母
材14について図3に示される距離Cと同様な大きさC
だけ膨らんだ、所望のパルプ繊維成形体100の形状か
ら乾燥歪みの方向(図6の矢印fの方向)と反対方向
(図3の矢印Fの方向)の歪みが形成されるように予め
変形させられた形状に吸着されており、この変形形状が
乾燥機54内に搬入されるまで保持される。そして、乾
燥時には乾燥収縮の不均一性等に起因して周縁端部11
2が各辺の中央部程大きく内側(すなわち矢印fの方
向)に向かって変形させられることから、乾燥終了時に
おいてその周縁端部112が図に実線で示されるように
略真っ直ぐに変化させられて、所望のパルプ繊維成形体
100の形状が得られることとなる。前述のように、上
記の変形量Cは乾燥収縮時の変形を考慮して設定されて
いることから、上記のように所望の形状が得られるので
ある。
【0049】したがって、本実施例によれば、抄造型1
0の成形面上で成形されるパルプ繊維成形体100の変
形量が、乾燥収縮の不均一性に基づく変形を考慮して、
その変形を相殺するように決定されていることから、乾
燥収縮が不均一な複雑な形状の場合にも、設計寸法およ
び形状からの変形が可及的に小さいパルプ繊維成形体1
00を得ることができる。
【0050】これに対して、抄造型10の成形面(すな
わち母材14の表面12)がパルプ繊維成形体100の
乾燥収縮量だけに基づいて定められた形状に形成されて
いる場合、すなわち、図3に示される稜線20に代えて
仮想稜線21の位置に稜線が形成されている場合には、
成形直後においては、パルプ繊維成形体100が図6
(a),(b) に実線で示されるような真っ直ぐな周縁端部1
12を有している。しかしながら、これを乾燥機54内
で乾燥すると、上記のような乾燥収縮の不均一性に起因
して、同図に破線で示されるようにパルプ繊維成形体1
00の周縁端部112が内側に変形させられることか
ら、所望の真っ直ぐな周縁端部112を有するパルプ繊
維成形体100を得ることが困難であった。
【0051】また、本実施例においては、抄造型10の
成形面上へのパルプ繊維の吸着形状は、表面12上のパ
ルプ繊維成形体100の周縁端部112に対応する位置
において、その周縁端部112の形状よりも外側に膨ら
むように変形させられている。このようにすれば、乾燥
収縮の不均一性に基づく変形は、一般に周縁端部112
で最も大きく、しかも、その周縁端部112の変形が被
梱包材を凹所に嵌め入れた状態で段ボール箱等の外容器
に収納する際の困難性に最も影響するため、乾燥後のパ
ルプ繊維成形体100のこの周縁端部112の形状を設
計値に近づけることにより、その収納時の困難性が一層
緩和される。
【0052】次に、本発明の他の実施例を説明する。な
お、以下の説明において、前述の実施例と共通する部分
は同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】図7は、他の実施例のパルプ繊維成形体の
製造方法に用いられる離型用型114の要部を示す図で
あって、前記図4の一部に対応する図である。図におい
て、離型用型114は、前述の実施例の離型用型102
と同様に抄造型10の表面12に略対応する形状の受取
面116を有する離型用型母材118を備えている。但
し、離型用型114においては、その受取面116のう
ち、抄造型10の中央の凸部に対応する凹部120の底
面部分は、図に二点鎖線で示される表面12に対応する
形状に対して、中央部において距離Rだけその形状から
離隔するように、その表面12に対して凹状に形成され
ている。そのため、離型用型母材118の裏面122の
形状もその凹状の受取面116に倣って凹所76に凸に
形成されているが、その他の部分の構成は、図において
省略されている部分も含めて前述の実施例と同様であ
る。なお、上記底面部分の凹形状は、例えば、前述の離
型用型母材60の製造工程において、パルプ繊維成形体
100の表面に貼り付けられる粘土の厚みを抄造型10
の中央凸部に向かうに従って厚くすることにより、容易
に得ることができる。
【0054】上記の離型用型114が離型機52に備え
られたパルプ繊維成形体製造装置においても、前記図5
に示される各工程に従って前記図6に実線で示されるよ
うなパルプ繊維成形体100の乾燥製品が製造される。
但し、本実施例においては、前記図5の工程6の離型工
程で抄造型10の吸引穴18から空気が噴出されると同
時に離型用型114の吸引穴64から吸引されると、離
型用型114の受取面116のうち凹部120の底面部
分が凹状に形成されていることから、抄造型10上のパ
ルプ繊維成形体100は、その底面部分に対応する一部
(平坦底面124)が受取面116のその凹形状に倣っ
て変形させられる。
【0055】すなわち、本実施例においては、離型工程
において、抄造型10の表面12(成形面)上に吸着さ
れたパルプ繊維成形体100が平坦底面124の周縁部
から中央部に向かうに従ってその平坦底面124から離
隔する(すなわち、その平坦底面124に対して凹に形
成された)受取面116を備えた離型用型114のその
受取面116で吸着される。そのため、そのパルプ繊維
成形体100が離型用型114から搬入用コンベア56
上に下ろされたときには、図8に示されるように、その
パルプ繊維成形体100の中央部に設けられた平坦底面
124は、上記凹部120の底面部分の変形量に対応す
る距離Rだけ図における上方に膨らんだ凸形状になって
いる。
【0056】そして、続く工程7の乾燥工程において、
図8に示されるように平坦底面124が上側に位置する
向きで乾燥機54内に搬入されて台106上に移される
と、乾燥機54内で公転させられつつ乾燥させられる間
に、その平坦底面124が自重によって、中央部程大き
く下方に垂れ下がる。そのため、乾燥が終了して搬出用
コンベア110によって乾燥機54から送り出されたと
きには、その平坦底面124の下面側が例えば図8に二
点鎖線で示される位置まで変形させられて、所望の平坦
底面124を備えたパルプ繊維成形体100が得られる
のである。すなわち、本実施例においては、図7に示さ
れる離型用型114の受取面116の凹部120底面の
変形量Rは、上記のように乾燥変形後に所望の平坦底面
124が得られるように実験的に決定されており、0.3
〜10mm程度の大きさである。また、凹部120底面の弧
長は、二点鎖線で示される直線の長さの1.02〜1.30倍程
度(好適には1.03〜1.20倍程度)とされている。したが
って、凸形状の大きさ(変化量R)を適宜設定すること
により、比較的大きな平坦底面124を有する形状の場
合にも、設計寸法および形状に対する変形が可及的に小
さいパルプ繊維成形体100を得ることができる。
【0057】図9は、本発明の更に他の実施例のパルプ
繊維成形体の製造方法において、成型機50の抄造型1
0に取り付けられる母材126を示す斜視図である。こ
の母材126は、図10に示されるように比較的大きな
平坦底面128を有するパルプ繊維成形体130を成形
するために用いられるものであって、その平坦底面12
8に対応する平坦面を有する凸部132を備えた形状に
表面134が形成されている。この凸部132の中央部
には、パルプ繊維成形体130の平坦底面128の周縁
部に備えられている枠部136に対応する底面138と
同一平面上に先端面140が位置する凹陥面142が備
えられており、凸部132の表面には、その凹陥面14
2の周縁部に沿って、例えば吸着されるパルプ繊維の厚
さと同等以上の高さで、厚さ数mm程度の円弧状の4つの
薄板状部材144が例えば数mm程度の所定間隔をもって
備えられている。
【0058】上記の母材126は、図2に示される母材
14と同様に、表面134上にその形状に倣って網状体
16を設けられることにより、成形面が形成されるもの
である。したがって、本実施例においては、母材126
の表面134上に形成される成形面上に平坦底面128
に対応する平坦面を有する凸部(凸部132に対応して
網状体16上に生じる凸部)が形成されて、その平坦面
の一部に枠部136の高さと略同様な深さに設けられた
凹陥面142が備えられる。そして、成形面上において
その凹陥面142の周縁部を囲むようにその周縁部に沿
って所定間隔をもって複数の薄板状部材144が立設さ
れている。なお、薄板状部材144の高さは、工程3の
吸着工程においてパルプ繊維を抄造型10の成形面に吸
着する際に、吸着されるパルプ繊維成形体100の表面
から薄板状部材144の先端部が突き出すように、網状
体16の厚さ等も考慮して定められたものである。ま
た、表面134には前記の実施例と同様に多数の吸引穴
18が開口させられているが、図9においては省略され
ている。
【0059】上記の母材126を用いてパルプ繊維成形
体130を成形する場合にも、前記図5に示される各工
程に従って、母材126の表面134にパルプ泥漿96
中のパルプ繊維が吸着させられ、離型させられる。この
場合において、母材126の凸部132には凹陥面14
2が備えられていることから、図10および図11に示
されるように、成形されるパルプ繊維成形体130の平
坦底面128の中央部には、枠部136と同様な高さの
柱状部146が形成される。なお、上記図11は、図1
0におけるXI−XI断面を上下反転して示したものであ
る。
【0060】そして、工程7の乾燥工程において、柱状
部146が下側に位置する状態(すなわち図11に示さ
れる向き)でパルプ繊維成形体130を乾燥することに
より、図10,図11に示されるようなパルプ繊維成形
体130の乾燥品が得られる。このとき、本実施例にお
いては、図11から明らかなように、乾燥時には平坦底
面128が柱状部146によって支持されることから、
その平坦底面128の自重に基づく変形が抑制されて、
設計値に対する変形が少ないパルプ繊維成形体130の
乾燥品が得られる。
【0061】なお、上記の柱状部146は、パルプ繊維
成形体130の完成品には不要なものであることから、
本実施例においては、上記の乾燥工程の後に、図12に
示されるように更に工程8の柱状部除去工程が設けられ
ており、上記柱状部146が平坦底面128との境界部
から折り取られて除去される。この場合において、前記
凹陥面142の周縁部には薄板状部材144が備えられ
ていることから、図10に示されるように、柱状部14
6と平坦底面128との間には、平坦底面128を厚さ
方向に貫通するように薄板状部材144に対応する複数
の円弧状の長穴148が形成され、それら柱状部146
と平坦底面128とは、それら複数の長穴148相互の
間に形成される複数の微小連結部150のみによって接
続されている。そのため、上記の柱状部除去工程におい
て柱状部146を僅かな力で容易に折り取り除去できる
ことから、平坦底面128が変形或いは破損させられた
り、特に工程が煩雑になることがない。
【0062】また、柱状部146が形成されている部分
は、図11に示されるようにパルプ繊維が凹陥面142
に倣って堆積させられていることから、上記の柱状部除
去工程において柱状部146を除去するとその跡には柱
状部146の底面に対応する穴が形成される。しかしな
がら、一般に、パルプ繊維成形体130が梱包材として
用いられる場合には、このような穴が生じても梱包や緩
衝作用に支障はないことから特に問題とならないのであ
る。
【0063】図13乃至図16は、更に他の実施例のパ
ルプ繊維成形体の製造方法において成型機50に用いら
れる抄造型152,154,156,158の要部断面
を示す図である。なお、図示しない他の部分は前述の抄
造型10と略同様である。
【0064】図13に示される抄造型152は、図17
に示されるような被梱包材を嵌め入れるための凹所16
0の外側位置にその凹所160の側壁面162に沿って
延びる折り返し部164を有するパルプ繊維成形体16
6を成形するためのものである。図13において、母材
168の表面170から裏面172に貫通する吸引穴1
8は、上記折り返し部164を形成するための外側傾斜
面174の更に外側に、網状体押え枠27によって表面
170に網状体16を固着するために設けられている外
周平坦部176の内側端部にも備えられている。その網
状体押え枠27は外周平坦部176よりも小さい幅に形
成されて外側傾斜面174に略平行な内壁面178を有
していることから、外周平坦部176の内周側の一部が
例えば 0.3〜5mm 程度の小さな幅dだけ露出させられて
いる。そのため、網状体押え枠27の内側に形成される
成形面には、外側傾斜面174の内側位置からの延長面
よりも所定の大きさdだけ凹んだ段付き部180が備え
られている。
【0065】上記の抄造型152が用いられる場合に
も、前記図5に示される工程に従って成形面上にパルプ
繊維が吸着されて、図17に断面を示されるようなパル
プ繊維成形体166が成形される。このとき、工程3の
吸着工程においては、上記のように外周平坦部176に
吸引穴18aが備えられていると共に、その外周平坦部
176の内周側の一部が露出させられて段付き部180
が設けられていることから、成形されるパルプ繊維成形
体166の折り返し部164の周縁部182には、所定
の大きさd(段付き部180の大きさd)だけ外周側す
なわちその折り返し部164の厚み方向に突き出すリブ
184が形成される。なお、図13においては、段付き
部180に開口する吸引穴18aの開口部が殆ど閉塞さ
れているように描かれているが、実際には網状体押え枠
27と表面170との間に網状体16が介在させられて
いることから、段付き部180においても十分な吸引力
が得られて、リブ184が十分な厚さに形成されること
となる。また、段付き部180の幅dは、上記の吸着工
程において吸着されるパルプ繊維の厚みよりも小さくさ
れている。
【0066】そのため、工程7の乾燥工程においてパル
プ繊維成形体166が乾燥させられる際には、折り返し
部164の厚み方向に延長して周縁部182に形成され
ているリブ184の面方向の変形抵抗が作用して、その
周縁部182の厚み方向の変形が抑制される。したがっ
て、図18に示されるような周縁部182の真っ直ぐな
パルプ繊維成形体166が得られる。
【0067】すなわち、本実施例においては、吸着工程
において、周縁端部に内側位置の外側傾斜面174から
の延長面よりも凹んで設けられた段付き部180を有す
る成形面にパルプ繊維が吸着され、乾燥工程において、
その成形面からパルプ繊維成形体166が取り外されて
乾燥させられる。そのため、成形面の周縁端部に設けら
れた段付き部180に対応する位置のパルプ繊維成形体
166の周縁部182は、その段付き部180の凹みの
大きさdだけ厚み方向に延長されてリブ184が形成さ
れる。したがって、乾燥収縮のばらつきに起因して最も
変形し易いパルプ繊維成形体166の周縁部180の変
形が、その変形方向である厚み方向に延長して形成され
たリブ184の面方向の変形抵抗によって抑制される。
これにより、乾燥収縮が不均一な複雑な形状の場合に
も、設計寸法および形状からの変形が可及的に小さいパ
ルプ繊維成形体166を得ることができる。
【0068】因みに、図19に示されるようなリブ18
4が形成されていない従来のパルプ繊維成形体186で
は、周縁部188は厚み方向に自由に変形させられ得る
ことから、例えば、周縁部188の長手方向中央部にお
いて 5mm程度の幅Wだけ内側に変形させられて、所望の
形状のパルプ繊維成形体を得ることが困難であった。
【0069】なお、本実施例のパルプ繊維成形体166
は、被梱包材を嵌め入れるための凹所160の外側に緩
衝作用を高めるためにその凹所160の側壁面162に
沿って延びる折り返し部164を備えたものであるが、
その折り返し部164と凹所160との間の枠部190
の幅Dは、上記従来のパルプ繊維成形体186の枠部の
幅Dn よりもリブ184の幅dに等しい大きさだけ小さ
く形成されている。そのため、リブ184が設けられて
いるにも拘わらず、設けられていない場合と同様な内寸
法の段ボール等の外容器内に納めることができる。した
がって、パルプ繊維成形体166の外形寸法を保ちつつ
乾燥収縮の不均一性に起因する変形が抑制される。
【0070】また、段付き部180の幅(すなわち凹み
の大きさ)dは、パルプ繊維の吸着厚みよりも小さくさ
れていることから、パルプ繊維成形体166の周縁部1
82とその内側部分の折り返し部164との境界部にお
ける強度を十分に高く保ちつつ、その周縁部182にお
ける厚さを十分に大きくできるため、乾燥時の変形を一
層確実に抑制できる。
【0071】図14に示される抄造型154において
は、外側傾斜面174の外周側端部すなわち網状体押え
枠27との境界部において、母材192の表面170が
例えば15mm(好適には 5mm以下)程度の所定幅h、0.3
〜5 mm程度の所定深さdだけ外周側に形成されることに
より、段付き部194が設けられている。このようにし
ても、前記図13の抄造型152と同様に、図17に示
されるようなリブ184を備えたパルプ繊維成形体16
6を成形することができる。しかも、本実施例において
は、段付き部180の更に上側の傾斜面にも吸引穴18
が開口することから、母材192の加工に手間を必要と
するもののリブ184の厚みが一層厚く、安定して形成
されるという利点がある。
【0072】また、図15に示される抄造型156にお
いては、前記抄造型10と同様な母材14が用いられて
おり、外側傾斜面174から延長した位置に位置する網
状体押え枠196の内壁面178が、母材14側の下端
において、外周平坦部176と同様な幅に形成されると
共に、その外周平坦部176から例えば5 mm程度以下の
所定距離hだけ離隔した位置において、幅が例えば0.3
〜5 mm程度の所定値dだけ小さくされることによって段
付き部198が形成されている。このようにしても、前
記図17に示されるようなリブ184を備えたパルプ繊
維成形体166を成形できる。
【0073】なお、段付き部198には吸引穴18が開
口していないが、その下方に備えられている吸引穴18
の吸引力に基づいてパルプ繊維が上方まですなわち段付
き部198まで堆積させられることから、段付き部19
8に吸引穴18が開口している必要はないのである。
【0074】また、図16に示される抄造型158は、
折り返し部164を有していないパルプ繊維成形体20
0を成形するためのものである。そのため、母材202
の表面204は、周縁部が図の水平方向に延びて形成さ
れている。この母材202には、網状体押え枠27の内
壁面178から例えば15mm(好適には 5mm以下)程度の
所定距離hだけ離隔した位置に例えば 0.3〜5mm 程度の
所定の深さdの段付き部206が形成されている。その
ため、吸着工程においてパルプ繊維が吸着される際に
は、その段付き部206においてパルプ繊維の堆積厚み
が厚くされる。すなわち、パルプ繊維成形体200の周
縁部において、厚み方向に延長してパルプ繊維成形体1
66と同様なリブが形成されることとなる。したがっ
て、その周縁部の厚み方向の変形がパルプ繊維成形体1
66と同様に抑制されて、所望の形状のパルプ繊維成形
体200が得られるのである。
【0075】以上、本発明の一実施例を図面を参照して
詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施され
る。
【0076】例えば、前述の実施例においては、抄造型
10等はアルミニウム合金等の軽合金から構成されてい
たが、一般鋼、工具鋼、真鍮等の金属製、エポキシ樹脂
等の樹脂製であってもよい。また、上記抄造型10等
が、例えば樹脂球、ガラス球、セラミック球などの無機
質の粒子が接着剤で結合させられることにより多孔質に
構成された多孔組織によって構成される場合には、吸引
穴は不要となる。
【0077】また、抄造型10においては、吸引穴18
は表面12側の開口径よりも裏面17側の開口径が大き
い段付き穴に形成されていたが、例えば、表面12側か
ら裏面17側に向かって次第に断面積が大きくなる円錐
状に形成されても良い。また、目詰まりが生じ難い場合
には、全体が同様な断面積を有するように形成されてい
ても差し支えない。
【0078】また、前述の実施例では、吸引穴18は表
面12の法線に対して傾斜させられていたが、法線と平
行すなわち表面12に対して直角方向に形成されてもよ
い。
【0079】また、図3に示される母材14において
は、パルプ繊維成形体100の周縁端部112に対応す
る稜線20のみがそのパルプ繊維成形体100に直接対
応する形状から変形させられていたが、他に変形し易い
部分があれば、稜線20と同様に乾燥時の変形量を考慮
して予め変形させられても良い。
【0080】また、実施例においては、離型用型102
等の離型用型母材60等がエポキシ樹脂等から構成され
ていたが、FRPやアルミニウム合金等の抄造型10の
母材14等と同様な素材から構成されても良い。
【0081】その他、一々例示はしないが、本発明は、
その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の製造方法が適用されるパル
プ繊維成形体製造装置の構成を示す図である。
【図2】図1のパルプ繊維成形体製造装置の成形機に用
いられる抄造型の取付け状態を拡大して示す図である。
【図3】図2の抄造型の母材の表面形状を説明する図で
ある。
【図4】図1のパルプ繊維成形体製造装置の離型機に用
いられる離型用型の取付け状態を拡大して示す図であ
る。
【図5】図1のパルプ繊維成形体製造装置によるパルプ
繊維成形体の製造方法を説明する工程図である。
【図6】(a) ,(b)はそれぞれ図5の工程により製造され
るパルプ繊維成形体を示す断面図および平面図である。
【図7】図1のパルプ繊維成形体製造装置の離型機に用
いられる他の離型用型の要部構成を示す断面図である。
【図8】図7の離型用型で離型した直後のパルプ繊維成
形体の断面形状を示す図である。
【図9】図1のパルプ繊維成形体製造装置の成型機に用
いられる他の抄造型の母材を示す斜視図である。
【図10】図9の母材が取り付けられた抄造型によって
成形されたパルプ繊維成形体を示す斜視図である。
【図11】図10のパルプ繊維成形体の断面図である。
【図12】図9の母材が用いられる場合の製造工程を示
す図である。
【図13】図1のパルプ繊維成形体製造装置の成型機に
用いられる他の抄造型の要部を示す断面図である。
【図14】図1のパルプ繊維成形体製造装置の成型機に
用いられる他の抄造型の要部を示す断面図である。
【図15】図1のパルプ繊維成形体製造装置の成型機に
用いられる他の抄造型の要部を示す断面図である。
【図16】図1のパルプ繊維成形体製造装置の成型機に
用いられる他の抄造型の要部を示す断面図である。
【図17】図13乃至図15の抄造型によって成形され
るパルプ繊維成形体の要部を示す断面図である。
【図18】図17のパルプ繊維成形体の全体を示す斜視
図である。
【図19】図18のパルプ繊維成形体と略同形状の従来
のパルプ繊維成形体を示す斜視図である。
【符号の説明】
10:抄造型 12:成形面 18:吸引穴 96:パルプ泥漿 98:パルプ泥漿槽 100:パルプ繊維成形体 112:周縁端部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルプ泥漿から所定形状のパルプ繊維成
    形体を製造する方法であって、 多数の吸引穴が開口する母材表面上に形成された成形面
    を備えた抄造型を前記パルプ泥漿内に浸漬し、前記吸引
    穴からパルプ泥漿を吸引することにより、該成形面上の
    所定位置における乾燥歪の方向と反対方向の歪が形成さ
    れるように前記所定形状に対して所定量予め変形させら
    れた形状で、該パルプ泥漿中のパルプ繊維を該成形面上
    に吸着する吸着工程と、 前記成形面上に吸着されたパルプ繊維成形体を該成形面
    上から取り外して乾燥することにより、前記所定形状の
    パルプ繊維成形体を得る乾燥工程とを、含むことを特徴
    とするパルプ繊維成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】 パルプ泥漿から平坦底面を備えたパルプ
    繊維成形体を製造する方法であって、 多数の吸引穴が開口する母材表面上に形成された成形面
    を備えた抄造型を前記パルプ泥漿内に浸漬し、前記吸引
    穴からパルプ泥漿を吸引することにより、該パルプ泥漿
    中のパルプ繊維を該成形面上に吸着する吸着工程と、 前記成形面上に吸着されたパルプ繊維成形体を、前記平
    坦底面の周縁部から中央部に向かうに従って該平坦底面
    から離隔する受取面を備えた離型用型の該受取面で吸着
    することにより、前記成形面上から取り外す離型工程
    と、 前記成形面上から取り外されたパルプ繊維成形体を前記
    平坦底面が上側に位置する状態で乾燥する乾燥工程と
    を、含むことを特徴とするパルプ繊維成形体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 パルプ泥漿から平坦底面と周縁部に該平
    坦底面から所定高さに形成された枠部とを備えたパルプ
    繊維成形体を製造する方法であって、 多数の吸引穴が開口する母材表面上に形成されて前記平
    坦底面に対応する平坦面と該平坦面の一部に前記枠部の
    高さと略同様な深さに設けられた凹陥面とを有する成形
    面と、該成形面上において該凹陥面の周縁部を囲むよう
    に該周縁部に沿って所定間隔をもって立設された複数の
    薄板状部材とを備えた抄造型を前記パルプ泥漿内に浸漬
    し、前記吸引穴からパルプ泥漿を吸引することにより、
    該パルプ泥漿中のパルプ繊維を該成形面上に吸着する吸
    着工程と、 前記成形面上に吸着されたパルプ繊維成形体を該成形面
    上から取り外して乾燥する乾燥工程と、 乾燥させられたパルプ繊維成形体の前記平坦底面内にお
    いて前記凹陥面に対応して形成された柱状部を該平坦底
    面との境界部から折り取って除去する柱状部除去工程と
    を、含むことを特徴とするパルプ繊維成形体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 パルプ泥漿からパルプ繊維成形体を製造
    する方法であって、 多数の吸引穴が開口する母材表面上に形成されて周縁端
    部に内側位置からの延長面よりも凹んで設けられた段付
    き部を有する成形面を備えた抄造型を前記パルプ泥漿内
    に浸漬し、前記吸引穴からパルプ泥漿を吸引することに
    より、該パルプ泥漿中のパルプ繊維を該成形面上に吸着
    する吸着工程と、 前記成形面上に吸着されたパルプ繊維成形体を該成形面
    上から取り外して乾燥する乾燥工程とを、含むことを特
    徴とするパルプ繊維成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記吸着工程は、前記段付き部にも前記
    吸引穴が開口する抄造型によって前記パルプ泥漿を吸引
    するものである請求項4のパルプ繊維成形体の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114703700A (zh) * 2022-04-11 2022-07-05 湖南荣泰新材料科技有限公司 一种高克重云母纸的均匀抄造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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