JP2004060113A - 加圧プレス装置および抄造成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】製品各部の厚さを均等に成形することが可能であり、また製造コストを削減することが可能な、加圧プレス装置を提供する。
【解決手段】パルプ膜が配置される下型42,62と、この下型と協働してパルプ膜を加圧する上型52,72と、この上型を揺動自在に支持して下型に対して進退させる昇降手段58,78とを有する構成とした。なお昇降手段は、鉛直面に対して揺動自在な複数の天秤アームを有し、この各アームにそれぞれ上型が揺動自在に取り付けてある構成としてもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】パルプ膜が配置される下型42,62と、この下型と協働してパルプ膜を加圧する上型52,72と、この上型を揺動自在に支持して下型に対して進退させる昇降手段58,78とを有する構成とした。なお昇降手段は、鉛直面に対して揺動自在な複数の天秤アームを有し、この各アームにそれぞれ上型が揺動自在に取り付けてある構成としてもよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加圧プレス装置にかかり、特に複数の成形品を一度の加圧工程において成形するのに好適な加圧プレス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
食料品などを包装する発泡スチロール製の容器は、かなりの量が不燃ゴミとして埋め立て処理されており、大きな環境問題となっている。そこで、葦パルプ等のパルプを含む原料液から抄造される、パルプ製の容器が開発されている。パルプ製の容器は可燃性であり、また自然界において分解されるため、環境に優しい容器として注目されている。
【0003】
このパルプ製品(容器)は、特許掲載公報第3084652号に記載されているように、図5に示すような抄造成形装置により製造されている。この抄造成形装置101は、主に、パルプを含む原料液からパルプ膜を析出させる抄造工程を行う抄造ステージ110と、パルプ膜を加圧しつつ加熱する脱水乾燥工程を行う脱水乾燥ステージ140と、パルプ膜を加熱しつつ成形する熱成形工程を行う熱成形ステージ160と、製品取り出し工程を行う製品取り出しステージ180とにより構成されている。なお、パルプ膜(パルプ製品の中間生成物)は、網目状に形成された抄造ネット104上に載置して各ステージに搬送する。また、1個のパルプ膜には複数個の製品成形領域を設けて、複数個のパルプ製品を同時に抄造成形する。
【0004】
抄造工程を行う抄造ステージ110には、製品形状に対応して形成した下型112が設けられている。この下型112には複数の排液孔113が形成され、下型の下方にはチャンバ116が設けられている。一方、抄造ステージ110の下型112の上方には、抄造カップ130が設けられている。抄造カップ130は、下面開口部136が蓋部材132によって開閉されるようになっており、密閉された抄造カップ130の内部にパルプを含む原料液134が充填される。
【0005】
抄造工程では、図6に示すように、まず下型112の上面に金網状の抄造ネット104を配置する。次に、抄造カップ130を下降させて、下型112の上面に密着させる。次に、抄造カップ130の蓋部材132を上昇させ、蓋部材132の周囲から原料液134を抄造ネット104上に供給する。そして、原料液134の溶媒が、抄造ネット104および排液孔113を介して、チャンバ116内に排出される過程で、抄造ネット104上にパルプが析出し、図5に示すパルプ膜119が抄造される。
【0006】
また、脱水乾燥工程を行う乾燥ステージ140には、製品形状に対応して形成した下型142および上型152で構成される加圧プレス装置150が設けられている。なお下型142には複数の排液孔143が形成され、また下型142および上型152にはヒータ141、151が装着されている。脱水乾燥工程では、まず抄造工程で抄造したパルプ膜119を、抄造工程で使用した抄造ネット104ごと、下型142の上面に配置する。次に、上型152を下降させてパルプ膜119を加圧し、ヒータ141、151によってパルプ膜を加熱する。これにより、パルプ膜119が脱水乾燥されて、パルプ膜149を得る。
【0007】
また、熱成形工程を行う熱成形ステージ160にも、製品形状に対応して形成した下型162および上型172で構成される加圧プレス装置170が設けられている。なお、下型162および上型172には、ヒータ161、171が装着されている。熱成形工程では、パルプ膜149を抄造ネット104ごと下型162の上面に配置する。次に、上型172を下降させ、パルプ膜149を加熱しつつ加圧する。これにより、パルプ膜149が製品形状に熱成形されて、パルプ膜169を得る。そして、最後に、製品取り出し工程を行う製品取り出しステージ180において、パルプ製品189が取り出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
パルプ製品は、その厚さが特に薄く成形された部分があると、当該部分において製品の使用中に孔が開くおそれがある。そのため、抄造成形後に製品各部の厚さ寸法を検査し、許容値より薄く成形された部分がある製品は廃棄処分としている。この廃棄処分は、製品のコストアップの要因となるので、製品各部の厚さを設計寸法通りに均等に成形することが重要な問題となる。そして、パルプ製品の各部における厚さを均等に成形するには、脱水乾燥工程および熱成形工程において、加圧プレス装置によりパルプ膜の各部を均等に加圧する必要がある。
【0009】
ところが、加圧プレス装置を繰り返し使用すると、上型もしくは下型またはこれらのバックアップ部材に、変形が発生することがある。この場合、上述した加圧プレス装置では、上型を垂直に下降させてパルプ膜を加圧するので、パルプ膜の各部を均等に加圧することができなくなる。その結果、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができなくなるという問題がある。この問題は、パルプ製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大するほど顕著になるので、製品の取り個数を増加させることができずに、製造コストの削減が困難になるという問題がある。なお、上述した上型および下型の変形を防止するためには、上下型のバックアップ部材の剛性を上げる必要があるが、装置が大型化および重量化するため、設備コストの上昇をともなうことになる。
【0010】
本発明は上記問題点に着目し、製品各部の厚さを均等に成形することが可能であり、また製造コストの削減が可能な、加圧プレス装置および抄造成形装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る加圧プレス装置は、成形材料が配置される下型と、この下型と協働して前記成形材料を加圧する上型と、この上型を揺動自在に支持して前記下型に対して進退させる昇降手段とを有する構成とした。これにより、上型または下型等に変形が発生した場合でも、モーメントが釣り合うように上型が自動的に揺動してパルプ膜を加圧する。したがって、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。これにより、パルプ製品の各部の厚さを均等に成形することができる。
【0012】
また、前記昇降手段は鉛直面に対して揺動自在な複数のアームを有し、この各アームにそれぞれ前記上型が揺動自在に取り付けてある構成とした。これにより、製品の取り個数を増加すべく成形材料の面積を拡大した場合でも、その各部を均等に加圧することが可能となり、製品各部の厚さを均等に成形することができる。したがって、製品の取り個数を増加することが可能となり、製造コストを削減することができる。
【0013】
一方、本発明に係る抄造成形装置は、パルプ製品の中間生成物を加圧するステージに、前記加圧プレス装置を設置した構成とした。これにより、製品各部の厚さを均等に成形することが可能となり、また製造コストの削減が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る加圧プレス装置の好ましい実施の形態を、添付図面にしたがって詳細に説明する。なお以下に記載するのは本発明の実施形態の一態様にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
図1に、本実施形態に係る加圧プレス装置を備えた、本実施形態に係る抄造成形装置の側面断面図を示す。本実施形態に係る抄造成形装置1は、パルプを含む原料液からパルプ膜を抄造する抄造工程を行う抄造ステージ10と、前記パルプ膜を加圧しつつ加熱する脱水乾燥工程を行う脱水乾燥ステージ40と、前記パルプ膜を加熱しつつ加圧する熱成形工程を行う熱成形ステージ60と、前記パルプ膜を抄造成形装置から取り出す製品取り出し工程を行う製品取り出しステージ80とを有する。そして、この脱水乾燥ステージ40および熱成形ステージ60に、本実施形態に係る加圧プレス装置50,70を設置する。なお、上記の抄造成形装置1では、各ステージにおいて各工程を同時に行う。そして図1には、各工程の終了直後の状態を示している。
【0016】
まず、抄造ステージ10には、製品の外側形状に沿って形成した下型12を設ける。また、下型12の上面には、金網状の抄造ネット14を固定配置する。さらに、抄造ネット14の周縁部を取り囲むように、抄造トレイ18を形成する。そして、抄造トレイ18に対して原料液を供給する原料液供給手段20を設ける。一方、下型12には、上面から下面に貫通する微細な排液孔13を多数形成する。また、下型12の下方には各排液孔13が開口する密閉されたチャンバ16を設ける。さらに、原料液を排液孔13から強制排出させるため、チャンバ16内の空気を減圧する減圧手段(真空ポンプ)22を接続する。なお、チャンバ16の底面に排液配管26を設けて、原料液の排液を外部に排出可能とする。また、チャンバ16内の排液を外部に強制排出させるため、また抄造トレイ18内の原料液をバブリングして撹拌させるため、さらに抄造したパルプ膜を脱水乾燥ステージ40の下型42に受け渡すため、チャンバ16内の空気を昇圧する昇圧手段(コンプレッサ)24を接続する。
【0017】
一方、乾燥ステージ40には、本実施形態に係る加圧プレス装置50を設置する。まず、製品の外側形状に沿って形成した下型42を設ける。この下型42にも、抄造ステージ10の下型12と同様に、上面から下面に貫通する微細な排液孔43を多数形成する。なお、下型42の下方には排液通路(不図示)を設ける。加えて、下型42の下方にヒータ41を設ける。一方、下型42の上面には抄造ネット44を固定配置する。なお後述するように、その抄造ネット44の上面には、抄造後のパルプ膜(パルプ製品の中間生成物)が配置される。
【0018】
また、乾燥ステージ40の上方には、製品の内側形状に沿って形成した上型52を設ける。図2は、本実施形態に係る加圧プレス装置の上型52の側面断面図である。上型52の上方にはヒータ51を設ける。また、上型52には、パルプ膜を吸着するための吸着手段53を設ける。吸着手段53として、上型52の内部に吸気通路56を形成し、その一方端部を上型52の下面に開口させ、他方端部には真空ポンプ57を接続する。そして、脱水乾燥工程では、上型52を下降させ、抄造ネット44上に配置したパルプ膜に上型52を押し付けて加熱することにより、パルプ膜を脱水および乾燥させる。
【0019】
この上型52は、図1に示すように、昇降手段58により揺動自在に支持する。具体的には、昇降手段58に水平軸55を固定し、その水平軸55の周りを自在に揺動する天秤アーム54を設け、その天秤アーム54の下端部に上型52を固定して吊り下げ支持する。なお、昇降手段58は水平軸55を昇降させることにより、吊り下げ支持した上型52を下型42に対して進退させる。以上のように構成した加圧プレス装置50により、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。
【0020】
また、製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大する場合には、図3に示すように、複数の水平軸55a,55bを設け、この各水平軸の周りを自在に揺動する複数の天秤アーム54a,54bを形成し、この各天秤アームの下端部にそれぞれ上型52a,52bを固定する。このように構成した加圧プレス装置により、パルプ膜の面積が拡大しても、その各部を均等に加圧することができる。その結果、製品の取り個数を増加させることが可能となり、製造コストを削減することができる。なお、各水平軸55a,55bは、その上位の水平軸255の周りを自在に揺動する天秤アーム254に固定してもよい。この場合、パルプ膜の各部をより均等に加圧することができる。
【0021】
一方、熱成形ステージ60にも、本実施形態に係る加圧プレス装置70を設置する。まず、製品の外側形状に沿って形成された下型62を設ける。下型62の下方には、パルプ膜を加熱するヒータ61を設ける。一方、この下型62の上面には、抄造ネットを配置しないので、成形マーキング用のパターンを形成することができる。
【0022】
また、熱成形ステージ60の上方には、製品の内側形状に沿って形成された上型72を設ける。上型72の上方にはヒータ71を設ける。また、吸着手段73を設けてパルプ膜を吸着可能とする。そして、熱成形工程では、上型72を下降させ、下型62の上面に直接配置したパルプ膜を加熱するとともに、上型72を押し付けて加圧することにより、パルプ膜を熱成形する。これと同時に、製品の外側にはマーキングが施される。
【0023】
この上型72は、脱水乾燥ステージ40における上型52と同様に、昇降手段78により揺動自在に支持する。具体的には、昇降手段78に水平軸75を固定し、その水平軸75の周りを自在に揺動する天秤アーム74を設け、その天秤アーム74の下端部に上型72を固定して吊り下げ支持する。この加圧プレス装置70により、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。また、製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大する場合には、脱水乾燥ステージ40の場合と同様に、図3に示すような上型支持機構を有する加圧プレス装置を形成すればよい。
【0024】
一方、製品取り出しステージ80の上方には、吸着パッド86を設ける。吸着パッド86は、製品の上面に接触するパッド部と、その接触部の空気を吸引する吸気配管によって構成する。吸気配管は、その一方端部をパッド部に接続し、他方端部を図示しない真空ポンプに接続する。なお、製品取り出しステージ80の下方には、製品取り出しテーブル82を設ける。
【0025】
図1に示すように、上述した抄造ステージ10、脱水乾燥ステージ40、熱成形ステージ60および製品取り出しステージ80は、相互に隣接させて一列に配置する。そして、抄造ステージ10の下型12、脱水乾燥ステージ40の下型42、および熱成形ステージ60の下型62は、相互に連動して、各ステージの後工程を行うステージとの間を往復移動できるように形成する。なお、下型の移動はエアシリンダ等により行う。一方、各ステージの上型は、それぞれ別個に上下方向に移動可能とする。特に、脱水乾燥ステージ40の上型52および熱成形ステージ60の上型72は、抄造ステージ10の下型12、脱水乾燥ステージ40の下型42、および熱成形ステージ60の下型62が水平移動する際に、これらと干渉することのない高さまで上昇できるように形成する。
【0026】
上述した抄造成形装置では、以下に述べる手順によりパルプ製品の抄造成形を行う。図4は、各工程を実施中の状態における、本実施形態に係る抄造成形装置の側面断面図である。
【0027】
最初に、パルプを含む原料液からパルプ膜を抄造する(抄造工程)。まず、図4に示す抄造ステージ10において、抄造トレイ18内の抄造ネット14上にパルプを含む原料液8を供給する。次に、コンプレッサ24を運転し、チャンバ16内の空気を昇圧させる。すると、下型12に形成された排液孔13および抄造ネット14を介して、原料液8に空気が送り込まれてバブリングされる。これにより、原料液8に含まれるパルプが撹拌され、抄造ネット14上の各部に均等に分散する。次に、真空ポンプ22を運転し、チャンバ16内の空気を減圧する。すると、抄造ネット14および排液孔13を介して、原料液の溶媒が強制的にチャンバ16に排出される。ここで、抄造ネット14の網目は原料液に含まれるパルプより小さく形成されているので、抄造ネット上に原料液からパルプが析出して、図1に示すパルプ膜19が抄造される。
【0028】
次に、抄造したパルプ膜19を脱水乾燥ステージ40に搬送する。本実施形態では、図1に示す抄造ステージ10の下型12を、パルプ膜19とともに脱水乾燥ステージ40まで水平移動させることにより、抄造したパルプ膜19を搬送する。次に、脱水乾燥ステージ40の上型52を下降させて、パルプ膜19に当接させる。そして、上型52の吸着手段53によりパルプ膜19を吸着し、さらに上型52を上昇させて、抄造ネット14からパルプ膜19を分離する。その際、コンプレッサ24を運転して、チャンバ16内の空気を昇圧させるのが望ましい。抄造直後のパルプ膜19は多くの水分を含んでいるが、排液孔13から空気を吹き出すことにより、パルプ膜19を抄造ネット14から上型52に受け渡すことができるからである。その後、図1に示す脱水乾燥ステージ40の下型42を、脱水乾燥ステージ40に復帰させる。以上により、パルプ膜19の脱水乾燥ステージ40への搬送が完了する。
【0029】
次に、パルプ膜を脱水および乾燥させる(脱水乾燥工程)。具体的には、脱水乾燥ステージ40の上型52を下降させ、図4に示すように、下型42との間でパルプ膜を加圧する。これにより、パルプ膜に含まれていた水分が流出し、抄造ネット44および排液孔43を通って排液通路(不図示)に排出される。ここで、本実施形態に係る加圧プレス装置50では、水平軸55まわりのモーメントが釣り合うように、天秤アーム54が自動的に揺動してパルプ膜を加圧するので、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。これにより、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。また、図3に示す上型支持機構を採用した場合には、各水平軸255,55a,55bまわりのモーメントが釣り合うように、各天秤アーム254,54a,54bが自動的に揺動して、パルプ膜の各部を加圧する。したがって、製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大する場合でも、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。その後、図1に示すように上型52を上昇させ、パルプ膜とともに下型42を熱成形ステージ60まで水平移動させて、上記と同様にパルプ膜を上型72に受け渡す。
【0030】
次に、パルプ膜を加熱しつつ加圧して成形する(熱成形工程)。具体的には、熱成形ステージ60の上型72を下降させ、図4に示すように、下型62との間でパルプ膜を加圧する。同時に、下型62に埋設したヒータ61によりパルプ膜を加熱する。すると、パルプ膜が押し固められて最終的な製品形状に成形されるとともに、製品の外側には成形マーキングが施される。ここで、本実施形態に係る加圧プレス装置70では、水平軸75まわりのモーメントが釣り合うように、天秤アーム74が自動的に揺動してパルプ膜を加圧するので、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。これにより、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。また、図3に示す上型支持機構を採用した場合には、上記と同様に、製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大する場合でも、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。その後、図1に示すように上型72を上昇させ、パルプ膜とともに下型62を製品取り出しステージ80まで水平移動させて、パルプ膜を吸着パッド86に受け渡す。
【0031】
次に、成形されたパルプ膜を抄造成形装置から取り出す(製品取り出し工程)。すなわち、吸着パッド86でパルプ膜を吸着し、後工程に供給する。以上により、パルプ膜の抄造成形が完成する。なお後工程では、パルプ膜を個別の製品に分離し、また必要に応じて防水用のラミネート加工を施し、さらに必要に応じて消毒を施して、食品包装容器等のパルプ製品を完成させる。
【0032】
以上に詳述した本実施形態に係る加圧プレス装置により、製品各部の厚さを均等に成形することが可能となり、また製造コストを削減することが可能となる。
【0033】
すなわち、本実施形態に係る加圧プレス装置は、パルプ膜が配置される下型と、この下型と協働してパルプ膜を加圧する上型と、この上型を揺動自在に支持して下型に対して進退させる昇降手段とを有する構成とした。これにより、上型もしくは下型またはこれらのバックアップ部材に変形が発生している場合でも、モーメントが釣り合うように上型が自動的に揺動してパルプ膜を加圧する。したがって、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。これにより、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る加圧プレス装置は、昇降手段が、鉛直面に対して揺動自在な複数の天秤アームを有し、この各アームにそれぞれ上型が揺動自在に取り付けてある構成とした。これにより、パルプ製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大する場合でも、その各部を均等に加圧することが可能となり、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。したがって、製品の取り個数を増加することが可能となり、製造コストを削減することができる。
【0035】
そして、本発明に係る抄造成形装置は、パルプ製品の中間生成物を加圧する脱水乾燥ステージおよび熱成形ステージに、前記加圧プレス装置を設置した構成とした。これにより、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することが可能となり、また製造コストの削減が可能となる。
なお、本発明に係る加圧プレス装置は、パルプ製品の抄造成形装置に使用する場合に限られず、鋼板等のプレス加工にも適用することができる。
【0036】
【発明の効果】
成形材料が配置される下型と、この下型と協働して前記成形材料を加圧する上型と、この上型を揺動自在に支持して前記下型に対して進退させる昇降手段とを有する構成としたので、製品各部の厚さを均等に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る抄造成形装置の側面断面図であり、各工程を終了後の状態である。
【図2】本実施形態に係る加圧プレス装置の上型の側面断面図である。
【図3】本実施形態に係る加圧プレス装置の他の上型の側面断面図である。
【図4】本実施形態に係る抄造成形装置の側面断面図であり、各工程を実施中の状態である。
【図5】従来技術に係る抄造成形装置の側面図である。
【図6】従来技術に係る抄造成型方法の説明図である。
【符号の説明】
1………抄造成形装置、6………排液、8………原料液、10………抄造ステージ、12………下型、13………排液孔、14………抄造ネット、16………チャンバ、18………抄造トレイ、19………パルプ膜、20………原料液供給手段、22………真空ポンプ、24………コンプレッサ、26………排液配管、40………脱水乾燥ステージ、41………ヒータ、42………下型、43………排液孔、44………抄造ネット、50………加圧プレス装置、51………ヒータ、52,52a,52b………上型、53………吸着手段、54,54a,54b………天秤アーム、55,55a,55b………水平軸、56………吸気通路、57………真空ポンプ、58………昇降手段、60………熱成形ステージ、61………ヒータ、62………下型、70………加圧プレス装置、71………ヒータ、72………上型、73………吸着手段、74………天秤アーム、75………水平軸、78………昇降手段、80………製品取り出しステージ、82………製品取り出しテーブル、86………吸着パッド、104………抄造ネット、110………抄造ステージ、112………下型、113………排液孔、116………チャンバ、119………パルプ膜、130………抄造カップ、132………蓋部材、134………原料液、140………脱水乾燥ステージ、141………ヒータ、142………下型、143………排液孔、149………中間生成物、150………加圧プレス装置、151………ヒータ、152………上型、160………熱成形ステージ、161………ヒータ、162………下型、169………中間生成物、170………加圧プレス装置、171………ヒータ、172………上型、180………製品取り出しステージ、189………パルプ製品、254………天秤アーム、255………水平軸。
【発明の属する技術分野】
本発明は、加圧プレス装置にかかり、特に複数の成形品を一度の加圧工程において成形するのに好適な加圧プレス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
食料品などを包装する発泡スチロール製の容器は、かなりの量が不燃ゴミとして埋め立て処理されており、大きな環境問題となっている。そこで、葦パルプ等のパルプを含む原料液から抄造される、パルプ製の容器が開発されている。パルプ製の容器は可燃性であり、また自然界において分解されるため、環境に優しい容器として注目されている。
【0003】
このパルプ製品(容器)は、特許掲載公報第3084652号に記載されているように、図5に示すような抄造成形装置により製造されている。この抄造成形装置101は、主に、パルプを含む原料液からパルプ膜を析出させる抄造工程を行う抄造ステージ110と、パルプ膜を加圧しつつ加熱する脱水乾燥工程を行う脱水乾燥ステージ140と、パルプ膜を加熱しつつ成形する熱成形工程を行う熱成形ステージ160と、製品取り出し工程を行う製品取り出しステージ180とにより構成されている。なお、パルプ膜(パルプ製品の中間生成物)は、網目状に形成された抄造ネット104上に載置して各ステージに搬送する。また、1個のパルプ膜には複数個の製品成形領域を設けて、複数個のパルプ製品を同時に抄造成形する。
【0004】
抄造工程を行う抄造ステージ110には、製品形状に対応して形成した下型112が設けられている。この下型112には複数の排液孔113が形成され、下型の下方にはチャンバ116が設けられている。一方、抄造ステージ110の下型112の上方には、抄造カップ130が設けられている。抄造カップ130は、下面開口部136が蓋部材132によって開閉されるようになっており、密閉された抄造カップ130の内部にパルプを含む原料液134が充填される。
【0005】
抄造工程では、図6に示すように、まず下型112の上面に金網状の抄造ネット104を配置する。次に、抄造カップ130を下降させて、下型112の上面に密着させる。次に、抄造カップ130の蓋部材132を上昇させ、蓋部材132の周囲から原料液134を抄造ネット104上に供給する。そして、原料液134の溶媒が、抄造ネット104および排液孔113を介して、チャンバ116内に排出される過程で、抄造ネット104上にパルプが析出し、図5に示すパルプ膜119が抄造される。
【0006】
また、脱水乾燥工程を行う乾燥ステージ140には、製品形状に対応して形成した下型142および上型152で構成される加圧プレス装置150が設けられている。なお下型142には複数の排液孔143が形成され、また下型142および上型152にはヒータ141、151が装着されている。脱水乾燥工程では、まず抄造工程で抄造したパルプ膜119を、抄造工程で使用した抄造ネット104ごと、下型142の上面に配置する。次に、上型152を下降させてパルプ膜119を加圧し、ヒータ141、151によってパルプ膜を加熱する。これにより、パルプ膜119が脱水乾燥されて、パルプ膜149を得る。
【0007】
また、熱成形工程を行う熱成形ステージ160にも、製品形状に対応して形成した下型162および上型172で構成される加圧プレス装置170が設けられている。なお、下型162および上型172には、ヒータ161、171が装着されている。熱成形工程では、パルプ膜149を抄造ネット104ごと下型162の上面に配置する。次に、上型172を下降させ、パルプ膜149を加熱しつつ加圧する。これにより、パルプ膜149が製品形状に熱成形されて、パルプ膜169を得る。そして、最後に、製品取り出し工程を行う製品取り出しステージ180において、パルプ製品189が取り出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
パルプ製品は、その厚さが特に薄く成形された部分があると、当該部分において製品の使用中に孔が開くおそれがある。そのため、抄造成形後に製品各部の厚さ寸法を検査し、許容値より薄く成形された部分がある製品は廃棄処分としている。この廃棄処分は、製品のコストアップの要因となるので、製品各部の厚さを設計寸法通りに均等に成形することが重要な問題となる。そして、パルプ製品の各部における厚さを均等に成形するには、脱水乾燥工程および熱成形工程において、加圧プレス装置によりパルプ膜の各部を均等に加圧する必要がある。
【0009】
ところが、加圧プレス装置を繰り返し使用すると、上型もしくは下型またはこれらのバックアップ部材に、変形が発生することがある。この場合、上述した加圧プレス装置では、上型を垂直に下降させてパルプ膜を加圧するので、パルプ膜の各部を均等に加圧することができなくなる。その結果、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができなくなるという問題がある。この問題は、パルプ製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大するほど顕著になるので、製品の取り個数を増加させることができずに、製造コストの削減が困難になるという問題がある。なお、上述した上型および下型の変形を防止するためには、上下型のバックアップ部材の剛性を上げる必要があるが、装置が大型化および重量化するため、設備コストの上昇をともなうことになる。
【0010】
本発明は上記問題点に着目し、製品各部の厚さを均等に成形することが可能であり、また製造コストの削減が可能な、加圧プレス装置および抄造成形装置の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る加圧プレス装置は、成形材料が配置される下型と、この下型と協働して前記成形材料を加圧する上型と、この上型を揺動自在に支持して前記下型に対して進退させる昇降手段とを有する構成とした。これにより、上型または下型等に変形が発生した場合でも、モーメントが釣り合うように上型が自動的に揺動してパルプ膜を加圧する。したがって、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。これにより、パルプ製品の各部の厚さを均等に成形することができる。
【0012】
また、前記昇降手段は鉛直面に対して揺動自在な複数のアームを有し、この各アームにそれぞれ前記上型が揺動自在に取り付けてある構成とした。これにより、製品の取り個数を増加すべく成形材料の面積を拡大した場合でも、その各部を均等に加圧することが可能となり、製品各部の厚さを均等に成形することができる。したがって、製品の取り個数を増加することが可能となり、製造コストを削減することができる。
【0013】
一方、本発明に係る抄造成形装置は、パルプ製品の中間生成物を加圧するステージに、前記加圧プレス装置を設置した構成とした。これにより、製品各部の厚さを均等に成形することが可能となり、また製造コストの削減が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る加圧プレス装置の好ましい実施の形態を、添付図面にしたがって詳細に説明する。なお以下に記載するのは本発明の実施形態の一態様にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
図1に、本実施形態に係る加圧プレス装置を備えた、本実施形態に係る抄造成形装置の側面断面図を示す。本実施形態に係る抄造成形装置1は、パルプを含む原料液からパルプ膜を抄造する抄造工程を行う抄造ステージ10と、前記パルプ膜を加圧しつつ加熱する脱水乾燥工程を行う脱水乾燥ステージ40と、前記パルプ膜を加熱しつつ加圧する熱成形工程を行う熱成形ステージ60と、前記パルプ膜を抄造成形装置から取り出す製品取り出し工程を行う製品取り出しステージ80とを有する。そして、この脱水乾燥ステージ40および熱成形ステージ60に、本実施形態に係る加圧プレス装置50,70を設置する。なお、上記の抄造成形装置1では、各ステージにおいて各工程を同時に行う。そして図1には、各工程の終了直後の状態を示している。
【0016】
まず、抄造ステージ10には、製品の外側形状に沿って形成した下型12を設ける。また、下型12の上面には、金網状の抄造ネット14を固定配置する。さらに、抄造ネット14の周縁部を取り囲むように、抄造トレイ18を形成する。そして、抄造トレイ18に対して原料液を供給する原料液供給手段20を設ける。一方、下型12には、上面から下面に貫通する微細な排液孔13を多数形成する。また、下型12の下方には各排液孔13が開口する密閉されたチャンバ16を設ける。さらに、原料液を排液孔13から強制排出させるため、チャンバ16内の空気を減圧する減圧手段(真空ポンプ)22を接続する。なお、チャンバ16の底面に排液配管26を設けて、原料液の排液を外部に排出可能とする。また、チャンバ16内の排液を外部に強制排出させるため、また抄造トレイ18内の原料液をバブリングして撹拌させるため、さらに抄造したパルプ膜を脱水乾燥ステージ40の下型42に受け渡すため、チャンバ16内の空気を昇圧する昇圧手段(コンプレッサ)24を接続する。
【0017】
一方、乾燥ステージ40には、本実施形態に係る加圧プレス装置50を設置する。まず、製品の外側形状に沿って形成した下型42を設ける。この下型42にも、抄造ステージ10の下型12と同様に、上面から下面に貫通する微細な排液孔43を多数形成する。なお、下型42の下方には排液通路(不図示)を設ける。加えて、下型42の下方にヒータ41を設ける。一方、下型42の上面には抄造ネット44を固定配置する。なお後述するように、その抄造ネット44の上面には、抄造後のパルプ膜(パルプ製品の中間生成物)が配置される。
【0018】
また、乾燥ステージ40の上方には、製品の内側形状に沿って形成した上型52を設ける。図2は、本実施形態に係る加圧プレス装置の上型52の側面断面図である。上型52の上方にはヒータ51を設ける。また、上型52には、パルプ膜を吸着するための吸着手段53を設ける。吸着手段53として、上型52の内部に吸気通路56を形成し、その一方端部を上型52の下面に開口させ、他方端部には真空ポンプ57を接続する。そして、脱水乾燥工程では、上型52を下降させ、抄造ネット44上に配置したパルプ膜に上型52を押し付けて加熱することにより、パルプ膜を脱水および乾燥させる。
【0019】
この上型52は、図1に示すように、昇降手段58により揺動自在に支持する。具体的には、昇降手段58に水平軸55を固定し、その水平軸55の周りを自在に揺動する天秤アーム54を設け、その天秤アーム54の下端部に上型52を固定して吊り下げ支持する。なお、昇降手段58は水平軸55を昇降させることにより、吊り下げ支持した上型52を下型42に対して進退させる。以上のように構成した加圧プレス装置50により、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。
【0020】
また、製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大する場合には、図3に示すように、複数の水平軸55a,55bを設け、この各水平軸の周りを自在に揺動する複数の天秤アーム54a,54bを形成し、この各天秤アームの下端部にそれぞれ上型52a,52bを固定する。このように構成した加圧プレス装置により、パルプ膜の面積が拡大しても、その各部を均等に加圧することができる。その結果、製品の取り個数を増加させることが可能となり、製造コストを削減することができる。なお、各水平軸55a,55bは、その上位の水平軸255の周りを自在に揺動する天秤アーム254に固定してもよい。この場合、パルプ膜の各部をより均等に加圧することができる。
【0021】
一方、熱成形ステージ60にも、本実施形態に係る加圧プレス装置70を設置する。まず、製品の外側形状に沿って形成された下型62を設ける。下型62の下方には、パルプ膜を加熱するヒータ61を設ける。一方、この下型62の上面には、抄造ネットを配置しないので、成形マーキング用のパターンを形成することができる。
【0022】
また、熱成形ステージ60の上方には、製品の内側形状に沿って形成された上型72を設ける。上型72の上方にはヒータ71を設ける。また、吸着手段73を設けてパルプ膜を吸着可能とする。そして、熱成形工程では、上型72を下降させ、下型62の上面に直接配置したパルプ膜を加熱するとともに、上型72を押し付けて加圧することにより、パルプ膜を熱成形する。これと同時に、製品の外側にはマーキングが施される。
【0023】
この上型72は、脱水乾燥ステージ40における上型52と同様に、昇降手段78により揺動自在に支持する。具体的には、昇降手段78に水平軸75を固定し、その水平軸75の周りを自在に揺動する天秤アーム74を設け、その天秤アーム74の下端部に上型72を固定して吊り下げ支持する。この加圧プレス装置70により、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。また、製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大する場合には、脱水乾燥ステージ40の場合と同様に、図3に示すような上型支持機構を有する加圧プレス装置を形成すればよい。
【0024】
一方、製品取り出しステージ80の上方には、吸着パッド86を設ける。吸着パッド86は、製品の上面に接触するパッド部と、その接触部の空気を吸引する吸気配管によって構成する。吸気配管は、その一方端部をパッド部に接続し、他方端部を図示しない真空ポンプに接続する。なお、製品取り出しステージ80の下方には、製品取り出しテーブル82を設ける。
【0025】
図1に示すように、上述した抄造ステージ10、脱水乾燥ステージ40、熱成形ステージ60および製品取り出しステージ80は、相互に隣接させて一列に配置する。そして、抄造ステージ10の下型12、脱水乾燥ステージ40の下型42、および熱成形ステージ60の下型62は、相互に連動して、各ステージの後工程を行うステージとの間を往復移動できるように形成する。なお、下型の移動はエアシリンダ等により行う。一方、各ステージの上型は、それぞれ別個に上下方向に移動可能とする。特に、脱水乾燥ステージ40の上型52および熱成形ステージ60の上型72は、抄造ステージ10の下型12、脱水乾燥ステージ40の下型42、および熱成形ステージ60の下型62が水平移動する際に、これらと干渉することのない高さまで上昇できるように形成する。
【0026】
上述した抄造成形装置では、以下に述べる手順によりパルプ製品の抄造成形を行う。図4は、各工程を実施中の状態における、本実施形態に係る抄造成形装置の側面断面図である。
【0027】
最初に、パルプを含む原料液からパルプ膜を抄造する(抄造工程)。まず、図4に示す抄造ステージ10において、抄造トレイ18内の抄造ネット14上にパルプを含む原料液8を供給する。次に、コンプレッサ24を運転し、チャンバ16内の空気を昇圧させる。すると、下型12に形成された排液孔13および抄造ネット14を介して、原料液8に空気が送り込まれてバブリングされる。これにより、原料液8に含まれるパルプが撹拌され、抄造ネット14上の各部に均等に分散する。次に、真空ポンプ22を運転し、チャンバ16内の空気を減圧する。すると、抄造ネット14および排液孔13を介して、原料液の溶媒が強制的にチャンバ16に排出される。ここで、抄造ネット14の網目は原料液に含まれるパルプより小さく形成されているので、抄造ネット上に原料液からパルプが析出して、図1に示すパルプ膜19が抄造される。
【0028】
次に、抄造したパルプ膜19を脱水乾燥ステージ40に搬送する。本実施形態では、図1に示す抄造ステージ10の下型12を、パルプ膜19とともに脱水乾燥ステージ40まで水平移動させることにより、抄造したパルプ膜19を搬送する。次に、脱水乾燥ステージ40の上型52を下降させて、パルプ膜19に当接させる。そして、上型52の吸着手段53によりパルプ膜19を吸着し、さらに上型52を上昇させて、抄造ネット14からパルプ膜19を分離する。その際、コンプレッサ24を運転して、チャンバ16内の空気を昇圧させるのが望ましい。抄造直後のパルプ膜19は多くの水分を含んでいるが、排液孔13から空気を吹き出すことにより、パルプ膜19を抄造ネット14から上型52に受け渡すことができるからである。その後、図1に示す脱水乾燥ステージ40の下型42を、脱水乾燥ステージ40に復帰させる。以上により、パルプ膜19の脱水乾燥ステージ40への搬送が完了する。
【0029】
次に、パルプ膜を脱水および乾燥させる(脱水乾燥工程)。具体的には、脱水乾燥ステージ40の上型52を下降させ、図4に示すように、下型42との間でパルプ膜を加圧する。これにより、パルプ膜に含まれていた水分が流出し、抄造ネット44および排液孔43を通って排液通路(不図示)に排出される。ここで、本実施形態に係る加圧プレス装置50では、水平軸55まわりのモーメントが釣り合うように、天秤アーム54が自動的に揺動してパルプ膜を加圧するので、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。これにより、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。また、図3に示す上型支持機構を採用した場合には、各水平軸255,55a,55bまわりのモーメントが釣り合うように、各天秤アーム254,54a,54bが自動的に揺動して、パルプ膜の各部を加圧する。したがって、製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大する場合でも、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。その後、図1に示すように上型52を上昇させ、パルプ膜とともに下型42を熱成形ステージ60まで水平移動させて、上記と同様にパルプ膜を上型72に受け渡す。
【0030】
次に、パルプ膜を加熱しつつ加圧して成形する(熱成形工程)。具体的には、熱成形ステージ60の上型72を下降させ、図4に示すように、下型62との間でパルプ膜を加圧する。同時に、下型62に埋設したヒータ61によりパルプ膜を加熱する。すると、パルプ膜が押し固められて最終的な製品形状に成形されるとともに、製品の外側には成形マーキングが施される。ここで、本実施形態に係る加圧プレス装置70では、水平軸75まわりのモーメントが釣り合うように、天秤アーム74が自動的に揺動してパルプ膜を加圧するので、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。これにより、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。また、図3に示す上型支持機構を採用した場合には、上記と同様に、製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大する場合でも、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。その後、図1に示すように上型72を上昇させ、パルプ膜とともに下型62を製品取り出しステージ80まで水平移動させて、パルプ膜を吸着パッド86に受け渡す。
【0031】
次に、成形されたパルプ膜を抄造成形装置から取り出す(製品取り出し工程)。すなわち、吸着パッド86でパルプ膜を吸着し、後工程に供給する。以上により、パルプ膜の抄造成形が完成する。なお後工程では、パルプ膜を個別の製品に分離し、また必要に応じて防水用のラミネート加工を施し、さらに必要に応じて消毒を施して、食品包装容器等のパルプ製品を完成させる。
【0032】
以上に詳述した本実施形態に係る加圧プレス装置により、製品各部の厚さを均等に成形することが可能となり、また製造コストを削減することが可能となる。
【0033】
すなわち、本実施形態に係る加圧プレス装置は、パルプ膜が配置される下型と、この下型と協働してパルプ膜を加圧する上型と、この上型を揺動自在に支持して下型に対して進退させる昇降手段とを有する構成とした。これにより、上型もしくは下型またはこれらのバックアップ部材に変形が発生している場合でも、モーメントが釣り合うように上型が自動的に揺動してパルプ膜を加圧する。したがって、パルプ膜の各部を均等に加圧することができる。これにより、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る加圧プレス装置は、昇降手段が、鉛直面に対して揺動自在な複数の天秤アームを有し、この各アームにそれぞれ上型が揺動自在に取り付けてある構成とした。これにより、パルプ製品の取り個数を増加すべくパルプ膜の面積を拡大する場合でも、その各部を均等に加圧することが可能となり、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することができる。したがって、製品の取り個数を増加することが可能となり、製造コストを削減することができる。
【0035】
そして、本発明に係る抄造成形装置は、パルプ製品の中間生成物を加圧する脱水乾燥ステージおよび熱成形ステージに、前記加圧プレス装置を設置した構成とした。これにより、パルプ製品各部の厚さを均等に成形することが可能となり、また製造コストの削減が可能となる。
なお、本発明に係る加圧プレス装置は、パルプ製品の抄造成形装置に使用する場合に限られず、鋼板等のプレス加工にも適用することができる。
【0036】
【発明の効果】
成形材料が配置される下型と、この下型と協働して前記成形材料を加圧する上型と、この上型を揺動自在に支持して前記下型に対して進退させる昇降手段とを有する構成としたので、製品各部の厚さを均等に成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る抄造成形装置の側面断面図であり、各工程を終了後の状態である。
【図2】本実施形態に係る加圧プレス装置の上型の側面断面図である。
【図3】本実施形態に係る加圧プレス装置の他の上型の側面断面図である。
【図4】本実施形態に係る抄造成形装置の側面断面図であり、各工程を実施中の状態である。
【図5】従来技術に係る抄造成形装置の側面図である。
【図6】従来技術に係る抄造成型方法の説明図である。
【符号の説明】
1………抄造成形装置、6………排液、8………原料液、10………抄造ステージ、12………下型、13………排液孔、14………抄造ネット、16………チャンバ、18………抄造トレイ、19………パルプ膜、20………原料液供給手段、22………真空ポンプ、24………コンプレッサ、26………排液配管、40………脱水乾燥ステージ、41………ヒータ、42………下型、43………排液孔、44………抄造ネット、50………加圧プレス装置、51………ヒータ、52,52a,52b………上型、53………吸着手段、54,54a,54b………天秤アーム、55,55a,55b………水平軸、56………吸気通路、57………真空ポンプ、58………昇降手段、60………熱成形ステージ、61………ヒータ、62………下型、70………加圧プレス装置、71………ヒータ、72………上型、73………吸着手段、74………天秤アーム、75………水平軸、78………昇降手段、80………製品取り出しステージ、82………製品取り出しテーブル、86………吸着パッド、104………抄造ネット、110………抄造ステージ、112………下型、113………排液孔、116………チャンバ、119………パルプ膜、130………抄造カップ、132………蓋部材、134………原料液、140………脱水乾燥ステージ、141………ヒータ、142………下型、143………排液孔、149………中間生成物、150………加圧プレス装置、151………ヒータ、152………上型、160………熱成形ステージ、161………ヒータ、162………下型、169………中間生成物、170………加圧プレス装置、171………ヒータ、172………上型、180………製品取り出しステージ、189………パルプ製品、254………天秤アーム、255………水平軸。
Claims (3)
- 成形材料が配置される下型と、この下型と協働して前記成形材料を加圧する上型と、この上型を揺動自在に支持して前記下型に対して進退させる昇降手段とを有することを特徴とする加圧プレス装置。
- 請求項1に記載の加圧プレス装置において、前記昇降手段は鉛直面に対して揺動自在な複数のアームを有し、この各アームにそれぞれ前記上型が揺動自在に取り付けてあることを特徴とする加圧プレス装置。
- パルプ製品の中間生成物を加圧するステージに、請求項1または2に記載の加圧プレス装置を設置したことを特徴とする抄造成形装置。
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2002
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