JP4272411B2 - 抄紙成形装置および抄紙成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は抄紙成形装置および抄紙成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電化製品、精密機器等の包装材や、卵等の食品包装用容器として、パルプ原料液からパルプ成分を抄き取って所定形状に成形した抄紙成形品が使用されており、特に近年、抄紙成形品は環境保護の面でも高い評価を得ている。
【0003】
抄紙成形品を製造する方法としては、抄紙成形工程における抄き型上に、パルプ原料液からパルプ成分を抄き取って脱水して得た含水成形品を、乾燥成形工程において加熱プレスして乾燥させ最終成形品とする方法が、寸法精度の高い抄紙成形品を大量に製造するための方法として一般的に採用されている(たとえば特許文献1〜5)。上記方法においては、加熱プレスして得た最終成形品をプレス型から離型する際等に成形品に圧縮空気を吹き付けて離型する方法が一般に採用されている。また本願出願人が先に出願した特許文献5において、プレス型によって含水成形品を加熱プレスするとともに、プレス型間に間隙を設け、含水成形品への圧縮空気、吸引を行い、成形品をプレス型へ着脱させながら成形品を乾燥させる方法を提案した。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−158599号
【特許文献2】
特開平6−158600号
【特許文献3】
特開平6−313300号
【特許文献4】
特開平8−188999号
【特許文献5】
特願2001−326621
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、加熱プレスして得た成形品をプレス型から離型するために圧縮空気を吹き付ける方法では、成形品の形状によっては確実に離型し難いという問題があった。また本願出願人が先に提案した、プレス型間に間隙を設けて含水成形品への圧縮空気の供給、吸引を行いながら含水成形品を乾燥させる方法では、空気の供給、吸引にあわせて成形品のプレス型への着脱を交互に行わせることが、成形品を効率良く乾燥させる上で好ましいが、この場合も、圧縮空気を含水成形品に供給するだけで含水成形品をプレス型から確実に離型させることは困難であった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、従来の抄紙成形装置に適用していた製造シーケンスをそのまま適用して作動させることができ、成形品を加熱プレス型から容易かつ確実に離型させることのできる離型機構を備えた抄紙成形装置を提供することを目的とする。また本発明は含水成形品の乾燥および離型を効率よく行うことのできる抄紙成形品の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明の抄紙成形装置は、抄き型上にパルプ原料液からパルプ成分を抄き取り脱水して含水成形品を得る抄紙成形工程、抄紙成形工程で得た含水成形品をプレス型間で加熱プレスして乾燥させる乾燥成形工程、乾燥成形工程において乾燥させた成形品をプレス型から離型する離型工程を経て抄紙成形品を得る抄紙成形装置において、プレス型に圧縮空気供給・吸引機構を設けるとともに、該圧縮空気供給・吸引機構と連動して動作し、吸引するとプレス型に吸着され、圧縮空気を供給すると含水成形品を離型する方向に押し出す離型フレームを有する成形品離型機構をプレス型に設けたことを特徴とする。また本発明の抄紙成形品の製造方法は、抄き型上にパルプ原料液からパルプ成分を抄き取り脱水して含水成形品を得る抄紙成形工程、抄紙成形工程で得た含水成形品をプレス型間で加熱プレスして乾燥させる乾燥成形工程、乾燥成形工程において乾燥させた成形品をプレス型から離型する離型工程を経て抄紙成形品を得る抄紙成形品の製造方法であって、乾燥成形工程において、圧縮空気供給・吸引機構を備え、かつ該圧縮空気供給・吸引機構と連動して動作し、吸引するとプレス型に吸着され、圧縮空気を供給すると含水成形品を離型する方向に押し出す離型フレームを有する成形品離型機構を備えたプレス型によって含水成形品を加熱プレスするとともに、プレス型間に間隙を設け、空気供給機構を動作させて成形品のプレス型への脱着を行いながら含水成形品を乾燥させることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基き説明する。
【0009】
図1(a)〜(C)は、抄き型1上にパルプ原料液2からパルプ成分を抄き取り、プレス脱水して含水成形品3aを得る抄紙成形工程の一例を示す。抄き型1の上面は得ようとする成形品形状を有しているとともに、抄き取ったパルプ原料液中のパルプ成分は通過させることなく水分を排出できるように多数の孔を設けた構造となっている。上記抄紙成形工程では、まず図1(a)に示すように抄き型1をパルプ原料液2を貯えた原料液槽4に浸漬し、抄き型1を上昇させて抄き型1上にパルプ成分を抄き取るが、この間、抄き型1を吸引することが均一にパルプ成分を抄き取る上で好ましい。次いで、図1(b)に示すようにプレス型5と型合わせしてプレス脱水する。抄き型1をプレス型5と型合わせしてプレス脱水する過程においても、抄き型1を真空吸引すると脱水を効果的に行うことができる。抄き型1とプレス型5とによるプレス脱水が終了すると、図1(c)に示すように抄き型1は下降して再びパルプ原料液2中に浸漬され、一方、含水成形品3aはプレス型5に吸着されて図2に示す乾燥成形工程に移送される。
【0010】
乾燥成形工程では図2(a)、(b)に示すように上側のプレス型5と下側のプレス型6とによって含水成形品3aを加熱プレスして脱水するが、この際、吸引しながら加熱プレスすることが好ましい。下側のプレス型6は上側のプレス型5と型合わせした際に形成される型間の間隙が、上側のプレス型5と前記抄き型1とを型合わせした際に形成される型間の間隙よりも狭くなるように構成されており、上側のプレス型5と下側のプレス型6とを型合わせすることにより、含水成形品3aが両型間でプレスされるようになっている。プレス型5、6にはヒーター等の加熱手段が設けられており、含水成形品3aを加熱しながらプレスできるようになっている。
【0011】
本発明方法では乾燥成形工程において、含水成形品3aをプレス型5及び6間で加熱プレスした後(図1(b))、プレス型5を下降させてプレス型5、6間に間隙を設け、含水成形品3aに圧縮空気を供給、吸引して含水成形品3aをプレス型5、6に交互に着脱させることにより(図2(c)〜(d))、含水成形品3aの乾燥を行う。
【0012】
上側のプレス型5は、図3に示すように空気導入路7に連通した多数の空気流路8を有し、空気導入路7を介して圧縮空気の供給、吸引を行うことにより、成形品に圧縮空気を吹き付けたり、成形品をプレス型5に吸着させたりできる。プレス型5には、含水成形品3aの開口部周縁に形成されたフランジ9と接する個所に離型フレーム10が設けられている。離型フレーム10は、圧縮空気供給・吸引機構と連動して動作するように構成されており、図3は含水成形品3aを吸引しているときの状態を示し、プレス型5に含水成型品3aを吸引密着させる吸引力が同時に離型フレーム10に作用して、離型フレーム10が戻っている事が好ましいが、プレス型5に吸引密着されている含水成形品3aのフランジ9によってプレス型5方向に押し戻されていてもよい。含水成形品3aに空気導入路7を介して圧縮空気をプレス型5に供給すると、圧縮空気が空気流路8から含水成形品3aを離型する方向に供給されるが、この圧縮空気が同時に離型フレーム10に作用して離型フレーム10が押し出される(図4)。図2(c)は、圧縮空気を供給して含水成形品3aをプレス型5より離型した状態を示し、含水成形品3aに供給した圧縮空気によって離型フレーム10は図4に示すように含水成形品3aを離型する方向に押し出す。次いで吸引すると、図2(d)に示すように含水成形品3aはプレス型5に再び吸着される。
【0013】
含水成形品3aをプレス型5、6間で加熱プレスするとともに、圧縮空気の供給、吸引を行い、含水成形品3aをプレス型5、6へ着脱させることにより、効率良く乾燥させることができる。含水成形品3aのプレス型5、6への着脱は、含水成形品3aが上側のプレス型5から離型し、再び上側のプレス型5に吸着されるまでの動作(図2(c)〜(d)までの動作)を1回の周期とすると、通常この動作を1回〜2回繰り返して行うが、含水成形品3aの乾燥を更に効率よく行うためには、3回〜10回繰り返すことが好ましく、圧縮空気の供給、吸引の間隔は0.5秒〜3秒に設定することが好ましい。また含水成形品は、1回の乾燥成形工程によって乾燥させる場合に限らず、数回の乾燥成形工程を経て乾燥させるように構成することもできる。この場合、各乾燥成形工程における上下のプレス型を型合わせした時の間隙が、最初の乾燥成形工程における間隙よりも、2回目以降の乾燥成形工程において順次狭くなるように構成しても良い。
【0014】
乾燥成形工程が終了すると成形品の離型を行う。離型工程では、例えば図5に示すように下側のプレス型6が下降してプレス型5とプレス型6との間に受け板11が移動し、次いで上側のプレス型5から圧縮空気を供給すると、成形品3がプレス型5から離型して受け板11に受けられ、成形品3が回収される。
【0015】
プレス型5に設けられた離型フレーム10と圧縮空気との作用で、含水成形品3a(または成形品3)は確実に離型される。含水成形品3a(または成形品3)は、図示したような底部から開口部にかけて漸次広がるようにテーパーを設けた形状の成形品に限らず、開口部付近がやや逆テーパーとなっているような形状のものであっても離型フレーム10の作用によって確実に離型することができる。
【0016】
上記した例では、離型機構として含水成形品開口部のフランジ9を押すように構成された離型フレーム10を設けた場合を示したが、離型機構は含水成形品3a(または成形品3)と接して含水成形品3a(または成形品3)を押すことができれば、フランジ9以外の部位(例えば底部等)を押して離型させるように構成されたものであっても良い。また上側のプレス型5に離型フレーム10等の離型機構を設ける場合に限らず、下側のプレス型6に離型機構を設けるように構成しても良いし、凸型側に保持させる場合に限らず凹型側に保持させるようにしても良い。尚、図示した例のように、上側のプレス型5により含水成形品を保持する場合には、吸引を止めることにより離型フレーム10が自重で含水成形品3aを押して離型させることもできるが、圧縮空気を供給して離型するように構成することが望ましい。
【0017】
また図示した例では、抄紙成形工程で用いた上側のプレス型によって含水成形品を乾燥成形工程に移送し、このプレス型を乾燥成形工程における上側のプレス型としてそのまま利用する場合を示したが、抄紙成形工程におけるプレス型と乾燥成形工程におけるプレス型とは、別々の型を用いるように構成しても良い。更に数回の乾燥成形工程を行う場合には、本願出願人が特許文献5において提案したように、上側のプレス型を水平移動させる回転機構を設け、上側のプレス型によって抄紙成形工程で得た含水成形品を、数回の乾燥成形工程を順次移動させながら乾燥するように構成することが装置の占有スペースが小さくすむため好ましい。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の抄紙成形装置は、パルプ原料液からパルプ成分を抄き取り脱水して含水成形品を得る抄紙成形工程、抄紙成形工程で得た含水成形品をプレス型間で加熱プレスして乾燥させる乾燥成形工程、乾燥成形工程で乾燥させた成形品を離型する離型工程を経て抄紙成形品を得る抄紙成形装置において、乾燥成形工程におけるプレス型に圧縮空気供給・吸引機構と連動して動作し、吸引するとプレス型に吸着され、圧縮空気を供給すると含水成形品を離型する方向に押し出す離型フレームを有する成形品離型機構を設けたことにより、プレス型からの成形品の離型を容易かつ確実に行うことができる。また本発明の成形装置には、従来の成形装置のシーケンスを変更することなく、そのまま適用することができるから、従来の装置に大幅な改造を施す等の必要がなく、簡単な改造を施すだけで低コストで提供される。
【0019】
また上記の装置を用い、乾燥成形工程において含水成形品を加熱プレスするとともに、プレス型間に間隙を設け、圧縮空気供給・吸引機構を動作させて成形品のプレス型への着脱を行いながら含水成形品を乾燥させる本発明の抄紙成形品の製造方法は、含水成形品の乾燥効率が優れ成形品の製造サイクルを短くすることができるから、短い時間で効率良く抄紙成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】抄紙成形工程の各工程の断面略図である。
【図2】乾燥成形工程の各工程の断面略図である。
【図3】上側のプレス型の断面図である。
【図4】上側のプレス型の離型フレーム付近の拡大断面図である。
【図5】離型工程の断面略図である。
【符号の説明】
1 抄き型
2 パルプ原料液
3a 含水成形品
3 成形品
5 上側のプレス型
6 下側のプレス型
7 空気導入路
8 空気流路
10 離型フレーム
Claims (2)
- 抄き型上にパルプ原料液からパルプ成分を抄き取り脱水して含水成形品を得る抄紙成形工程、抄紙成形工程で得た含水成形品をプレス型間で加熱プレスして乾燥させる乾燥成形工程、乾燥成形工程において乾燥させた成形品をプレス型から離型する離型工程を経て抄紙成形品を得る抄紙成形装置において、プレス型に圧縮空気供給・吸引機構を設けるとともに、該圧縮空気供給・吸引機構と連動して動作し、吸引するとプレス型に吸着され、圧縮空気を供給すると含水成形品を離型する方向に押し出す離型フレームを有する成形品離型機構をプレス型に設けたことを特徴とする抄紙成形装置。
- 抄き型上にパルプ原料液からパルプ成分を抄き取り脱水して含水成形品を得る抄紙成形工程、抄紙成形工程で得た含水成形品をプレス型間で加熱プレスして乾燥させる乾燥成形工程、乾燥成形工程において乾燥させた成形品をプレス型から離型する離型工程を経て抄紙成形品を得る抄紙成形品の製造方法であって、乾燥成形工程において、圧縮空気供給・吸引機構を備え、かつ該圧縮空気供給・吸引機構と連動して動作し、吸引するとプレス型に吸着され、圧縮空気を供給すると含水成形品を離型する方向に押し出す離型フレームを有する成形品離型機構を備えたプレス型によって含水成形品を加熱プレスするとともに、プレス型間に間隙を設け、空気供給機構を動作させて成形品のプレス型への脱着を行いながら含水成形品を乾燥させることを特徴とする抄紙成形品の製造方法。
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