JP2009293157A - パルプ繊維製半球状容器の製造方法 - Google Patents

パルプ繊維製半球状容器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プレス時におけるクラックや破れの発生を抑制するパルプ繊維製半球状容器の製造方法を提供する。
【解決手段】プレス工程S8において、乾燥されたパルプ繊維成形体Aを、合わせ面96から突設されて第1パルプ繊維製半球状容器10の内側形状に対応する形状であってパルプ繊維成形体Aの高さよりも小さい突き出し高さを有する凸面98を備えた凸型86と、合わせ面100に彫り込まれて第1パルプ繊維製半球状容器10の外側形状に対応する形状であってパルプ繊維成形体Aの高さよりも小さい深さを有する凹面102を備えた凹型88との間で、プレスされることにより、半球状のパルプ繊維成形体Aの開口付近の円筒状部がプレス方向に圧縮されてその円筒状部にプレス方向の引張力が作用することが解消されるので、第1パルプ繊維製半球状容器10の円筒状部10aにおけるクラックの発生が好適に防止される。
【選択図】図7

Description

本発明は、パルプ泥漿からパルプ繊維製半球状容器を製造する製造方法に関するものである。
半球状容器は、たとえば2つの開口を相互の嵌合させることにより密閉された球状容器とされ、種々の分野において用いられている。たとえば、射出成形によって大量生産された樹脂製の半球状容器が多用されている。このような樹脂製の半球状容器は、使用後に廃棄されてゴミとなることから、石油資源が消費されるだけでなく、分解されない廃棄物として環境を汚染して環境に負荷を与えていた。また、誤飲や踏みつけによる怪我が発生するおそれがあった。
これに対して、段ボールや新聞紙等の古紙から得られたパルプ(製紙原料)繊維からパルプモールドと称されるパルプ繊維製の物品を製造することが行われており、そのようなパルプ繊維により上記半球状容器を構成することが考えられる。これによれば、焼却されたとしても有害ガスが発生せず、廃棄されたとしても自然分解されるので、環境が汚染されないもの、或いは人にやさしいものとして期待されている。
上記パルプ繊維製の物品を製造するに際しては、特許文献1に記載されているように、通常、パルプ繊維成形体に対応する形状の表面を有し且つその表面に開口する多数の吸引穴が形成された吸着面を備えた抄造型を用い、その抄造型をパルプ泥漿槽中に浸漬した状態で吸引穴から吸引してパルプ繊維をその抄造型の表面或いはその抄造型の表面に設けられる網状体から構成される吸着面上に吸着させることにより形成され、パルプ泥漿槽外でその吸着されたパルプ繊維成形体を更に吸引し、或いは熱乾燥して脱水することにより、形状を維持できる程度の含水率とした後、その抄造型から離型し、乾燥炉内又は天日で熱風にて更に乾燥させられた後で、プレス型を用いてプレスされて肉厚が減少させられて緻密な組織とされるとともに、全体として正確な寸法形状に仕上げられることによって製造される。
特開平9−296399号公報
ところで、上記パルプ繊維で半球状容器を構成しようとするに際して、抄造された半球状のパルプ繊維成形体に対してプレスを行うと、半球状容器の開口縁部にクラックが発生し、製品としての半球状容器が得られないという問題があった。すなわち、前記半球状容器の内側形状に対応する形状を有する凸面を備えた凸型とその半球状容器の外側形状に対応する形状を有する凹面を備えた凹型との間で半球状のパルプ繊維成形体の全体を圧縮するプレス中において、その半球状のパルプ繊維成形体開口付近の円筒部が先に圧縮により拘束され、その円筒部からパルプ繊維成形体の底へ向かうほど遅れて圧縮されることから、その部分に剪断応力が加えられるとともに上記円筒状部の下側部分にプレス方向の大きな引張力が作用するので、その部分に破断が発生し、プレス方向に交差する方向のクラックが生じる場合があった。
本発明は以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、プレス工程においてクラックが発生しないパルプ繊維製半球状容器の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決しようとして種々研究を重ねた結果、上記プレスに際して、上記半球状のパルプ繊維成形体の開口部付近の円筒状部に対してプレス方向の圧縮力を積極的に加えつつプレスを進行させると、上記クラックの解消に顕著な効果があることを見い出すことができた。本発明はこの知見に基づいてなされたものである。
すなわち、上記目的を達成するための請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)パルプ繊維製半球状容器をパルプ泥漿から製造するパルプ繊維製半球状容器の製造方法であって、(b)前記半球状容器の内側形状に対応する吸着面を有する抄造型をパルプ泥漿内に浸漬して該パルプ泥漿を吸引することにより、開口から外側へ向かって突き出すフランジ部を備えた半球容器状のパルプ繊維成形体を抄造する抄造工程と、(c)その抄造工程で抄造されたパルプ繊維成形体を脱水乾燥する脱水乾燥工程と、(d)その乾燥工程で乾燥されたパルプ繊維成形体を、合わせ面から突設されて前記半球状容器の内側形状に対応する形状であって該パルプ繊維成形体の高さよりも小さい突き出し高さを有する凸面を備えた凸型と、合わせ面に彫り込まれて該半球状容器の外側形状に対応する形状であって該パルプ繊維成形体の高さよりも小さい深さを有する凹面を備えた凹型との間で、加圧してパルプ繊維を相互に密着させることにより、前記パルプ繊維成形体よりも肉厚が薄い半球状容器にプレスするプレス工程とを、含むことにある。
また、請求項2にかかる発明の要旨とするところは、請求項1にかかる発明において、前記抄造工程は、開口から外側へ向かって突き出す環状のフランジ部を備えた半球容器状のパルプ繊維成形体を抄造するものであり、前記プレス工程は、前記凸型の合わせ面を前記パルプ繊維成形体のフランジ部に当接させつつ該パルプ繊維成形体の開口縁部を前記凹型の凹面内に押し込むことにより、前記パルプ繊維成形体よりも肉厚が薄いフランジ部付半球状容器にプレスするものであることにある。
また、請求項3に係る発明の要旨とするところは、請求項2にかかる発明において、前記プレス工程によりプレスされた前記フランジ部付半球状容器からそのフランジ部を除去することにより前記パルプ繊維製半球状容器を得るフランジ部除去工程をさらに含むことにある。
また、請求項4にかかる発明の要旨とするところは、請求項2にかかる発明において、前記プレス工程は、前記パルプ繊維成形体のフランジ部がそのフランジ部の厚みに前記凹型の凹面の深さの5乃至15%を加えた寸法だけ該凹型の合わせ面よりも突き出している状態で、前記凸型を該凹型へ向かって押しつけるものであることにある。
また、請求項5にかかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至4のいずれか1にかかる発明において、前記パルプ繊維製半球状容器の開口縁から底へ向かう円筒状部は、前記プレス工程におけるプレス方向に対する角度が0乃至10°であることにある。
また、請求項6かかる発明の要旨とするところは、請求項1乃至5のいずれか1にかかる発明において、前記乾燥工程で乾燥されたパルプ繊維成形体は、前記パルプ繊維製半球状容器の1.5倍以上の厚みを有するものであることにある。
請求項1にかかる発明のパルプ繊維製半球状容器の製造方法によれば、プレス工程では、脱水乾燥工程で脱水乾燥されたパルプ繊維成形体を、合わせ面から突設されて前記半球状容器の内側形状に対応する形状であって該パルプ繊維成形体の高さよりも小さい突き出し高さを有する凸面を備えた凸型と、合わせ面に彫り込まれて該半球状容器の外側形状に対応する形状であって該パルプ繊維成形体の高さよりも小さい深さを有する凹面を備えた凹型との間で、加圧してパルプ繊維を相互に密着させることにより、前記パルプ繊維成形体よりも肉厚が薄い半球状容器にプレスされることから、半球状のパルプ繊維成形体開口付近の円筒状部がプレス方向に圧縮されるときに発生する剪断応力が緩和されることから、その円筒状部にプレス方向の引張力が作用することが解消されるので、パルプ繊維製半球状容器の開口付近の円筒状部におけるクラックの発生が好適に防止される。
また、請求項2にかかる発明のパルプ繊維製半球状容器の製造方法によれば、前記抄造工程は、開口から外側へ向かって突き出す環状のフランジ部を備えた半球容器状のパルプ繊維成形体を抄造するものであり、前記プレス工程は、前記凸型の合わせ面を前記パルプ繊維成形体のフランジ部に当接させつつ該パルプ繊維成形体の開口縁部を前記凹型の凹面内に押し込むことにより、前記パルプ繊維成形体よりも肉厚が薄いフランジ部付半球状容器にプレスするものであることから、半球容器状のパルプ繊維成形体開口付近の円筒状部がプレス方向に圧縮されるときに発生する剪断応力が緩和されることから、その円筒状部にプレス方向の引張力が作用することが解消されるので、パルプ繊維製半球状容器の開口付近の円筒状部におけるクラックの発生が好適に防止される。また、半球容器状のパルプ繊維成形体開口にフランジ部が設けられてその分だけ強度が高められているので、凸型により押し込まれるときの変形が抑制される。
また、請求項3にかかる発明のパルプ繊維製半球状容器の製造方法によれば、前記プレス工程によりプレスされた前記フランジ部付半球状容器からそのフランジ部を除去することにより前記パルプ繊維製半球状容器を得るフランジ部除去工程をさらに含むことから、フランジ部のないパルプ繊維製半球状容器が得られる。
また、請求項4にかかる発明のパルプ繊維製半球状容器の製造方法によれば、前記プレス工程は、前記パルプ繊維成形体のフランジ部がそのフランジ部の厚みに前記凹型の凹面の深さの5乃至15%を加えた寸法だけ該凹型の合わせ面よりも突き出している状態で、前記凸型を該凹型へ向かって押しつけるものであることから、半球状のパルプ繊維成形体開口付近の円筒状部がプレス方向に圧縮されてその円筒状部にプレス方向の引張力が作用することが解消されるので、パルプ繊維製半球状容器の開口付近の円筒状部におけるクラックの発生が好適に防止される。
また、請求項5にかかる発明のパルプ繊維製半球状容器の製造方法によれば、前記パルプ繊維製半球状容器の開口縁から底へ向かう円筒状部は、前記プレス工程におけるプレス方向に対する角度が0乃至10°であることから、その10°以下の立ち面である円筒状部がプレス方向に圧縮されてその円筒状部にプレス方向の引張力が作用することが解消されるので、パルプ繊維製半球状容器の開口付近の円筒状部におけるクラックの発生が好適に防止される。
また、請求項6にかかる発明のパルプ繊維製半球状容器の製造方法によれば、前記乾燥工程で乾燥されたパルプ繊維成形体は、前記パルプ繊維製半球状容器の1.5倍以上の厚みを有するものであることから、プレス工程では、凸型の凸面と凹型の凹面との間で挟圧されることによりパルプ繊維が相互に密着させられて前記パルプ繊維成形体よりも肉厚が薄いフランジ部付半球状容器にプレスされるとともに、半球状のパルプ繊維成形体開口付近の円筒状部がプレス方向に圧縮されてその円筒状部にプレス方向の引張力が作用することが解消されるので、パルプ繊維製半球状容器の開口付近の円筒状部におけるクラックの発生が好適に防止される。
以下、本発明の一適用を示す図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一適用例によってそれぞれ製造された一対の第1パルプ繊維製半球状容器10および第2パルプ繊維製半球状容器12が、互いに嵌合されることによって構成された密閉容器14を示している。第1パルプ繊維製半球状容器10はその開口縁10aから底側へ向かう円筒状の円筒状部10bを開口付近に備えている。第2パルプ繊維製半球状容器12もその開口縁12aから底側へ向かう円筒状の円筒状部12bを開口付近に備えている。第1パルプ繊維製半球状容器10および第2パルプ繊維製半球状容器12は、軸心C1をその中心軸とする軸直角断面が円形の容器状を成す略一定厚みの殻構造を備えている。
この円筒状部12bは開口縁から所定距離底側までの間の肉厚が他の部分よりも薄くされることにより、円筒状部12bの内周面に段部12cが形成されている。円筒状部10bおよび円筒状部12bは、軸心C1に対して0乃至10°の角度を有する立ち面( 内周および外周円筒状面) から構成されており、円筒状部10bは、円筒状部12bよりも小径でその円筒状部12b内に摺動嵌合可能とされている。円筒状部10bが円筒状部12b内に嵌め入れられることにより、上記密閉容器14が構成されている。上記第1パルプ繊維製半球状容器10および第2パルプ繊維製半球状容器12は同様の工程を経て製造されるので、以下においては第1パルプ繊維製半球状容器10の製造装置および製造工程を説明する。
図2は、上記第1パルプ繊維製半球状容器10を製造するための一例の製造装置であるパルプ繊維製品製造装置16の要部を示している。図2において、パルプ繊維製品製造装置16は、古紙等のパルプ原料から図示しない原質装置によって調製されたパルプ泥漿18からパルプ繊維成形体(中間製品) Aを成形するための一対の抄造型20を有する抄造機60と、抄造型20からパルプ繊維成形体Aを取り外すための離型機62と、パルプ繊維成形体Aを乾燥するための乾燥機70と、乾燥させられたパルプ繊維成形体Aの精度を高めるための凸型86および凹型88を有するプレス装置80とを備えている。
上記の抄造機60に備えられた抄造型20は、図3にその要部を拡大して示されるように、成形するパルプ繊維成形体Aの内周形状に対応する凸形状に形成された抄造凸面22aとその抄造凸面22aの外周に位置する平坦な環状抄造面22dとを備えた、厚みが例えば2cm程度の合成樹脂製或いはアルミニウム合金製の母材22と、その母材22の表面と同様の形状に成形されてそれを覆う状態で設けられることにより吸着面を形成する網状体26と、表面および裏面に両端が開口するように母材22を貫通させられた複数本の吸引穴28とを備えている。
上記の母材22の抄造凸面22aの表面形状は、半球状面22bと離型方向すなわち軸心C2方向に対する角度が0乃至10°の立ち面22cとを連続的に備えたものである。この立ち面22cを含む抄造凸面22aの高さH’は、パルプ繊維成形体Aの乾燥機70における乾燥収縮後において、例えば 5(mm)程度の所定長さdだけ、プレス装置80でのプレス後の第1パルプ繊維製半球状容器10の高さHよりも大きくなるように形成されている。すなわち、抄造凸面22aの高さH’は、プレスされた第1パルプ繊維製半球状容器10の高さHを乾燥機70における乾燥収縮比s(たとえば0.97程度) で除した乾燥収縮前の高さh’と、上記所定長さdを乾燥機70における乾燥収縮率sで除した乾燥収縮前の長さd’とを加えた値とされている。この長さd’は、好適には、専ら立ち面22cに加えられている。ここで、上記乾燥収縮比sは、( H+d) /H’である。
また、図3において、上記母材22の抄造凸面22aおよび環状抄造面22dの表面は、網状体押え枠24によりその周縁部が抄造型20に固定された網状体26により覆われている。この網状体26は、例えば目付が20〜50(g/m)程度のポリエステル製或いはポリプロピレン製などの不織布や、トリコット、#20〜#200(線径0.10〜0.32(mm))程度のステンレス、真鍮等の金属メッシュ、ナイロン或いはテトロンなどの合成繊維メッシュの単層或いは複数層から成り、通常のプレス、熱プレスなどを用いて抄造凸面22aの表面形状に沿った形状に予め成形される。
また、前記母材22には、その裏面から表面へ貫通する複数本の吸引穴28が形成されている。この吸引穴28は、2.0乃至3.0(mm)程度の開口径を備えたものであり、例えば5乃至30(mm)程度の間隔で抄造凸面22aなどの表面に開口するように複数個所に設けられている。また、吸引穴28は、その裏面側の開口径が表面側よりも充分に大きな径、例えば5乃至10(mm)程度の径となるように段付き穴形状に形成され、吸引穴28内のパルプ繊維による穴詰まりが防止されている。
上記のように構成された抄造型20は、支持アーム30の先端に固定されたチャンバ32に固定されており、このチャンバ32のフランジ34に固定されたブラケット36にボルト38により気密に取り付けられている。その抄造型20が取付られたことによりチャンバ32内に形成される内部空間40は、チャンバ32を支持する支持アーム30の縦通穴42を介して切換弁44に接続されている。この切換弁44は、ドレンタンク46を介して吸引ポンプ48に接続される吸引位置と、コンプレッサ50に接続される噴出位置とに図示しないシーケンスコントローラ等の制御装置からの指令に従って切り換えられるものである。そのため、その切換位置に応じて、吸引ポンプ48によって閉空間40内が負圧とされると共に吸引穴28から吸引され、或いは、コンプレッサ50によって吸引穴28から空気が噴出させられるようになっている。なお、上記ドレンタンク46内に貯留された水は排出ポンプ52により適宜排出される。
図2に戻って、上記のように構成される抄造型20が取り付けられた抄造機60は、図示しない支持装置によって紙面に垂直な軸心回りの回動可能に支持された回動軸54を備えており、その回動軸54に一対の支持アーム30が互いに180°異なる回動角度位置に取り付けられている。そして、それら一対の支持アーム30の先端に、抄造型20がそれぞれ取り付けられている。回動軸54の下方にはパルプ泥漿18を蓄えたパルプ泥漿槽56が備えられており、支持アーム30の先端にそれぞれ取り付けられた抄造型20が、その下端位置においてパルプ泥漿18中に浸漬されるようになっている。すなわち、一対の抄造型20は、回動軸54を挟んで互いに反対側に設けられており、その軸心回りに回動させられることによって交互にパルプ泥漿槽56内のパルプ泥漿18内に位置させられ、そのパルプ泥漿18内に浸漬された状態で吸引穴28から吸引されることによって網状体26上にパルプが所定の厚みで吸着され、パルプ泥漿18外において所定時間の間において吸引脱水されることでパルプ繊維成形体Aが成形されるのである。
上記回動軸54の上方に備えられた前記離型機62は、図2の左右方向に移動可能且つ左端部(すなわち回動軸54の直上)および破線で示される右端部において上下方向に移動可能とされた離型用型64を備えている。離型用型64は、抄造型20の吸着面上に吸着されるパルプ繊維成形体Aの裏面の形状に略対応した形状の受取面を備えたものであるが、その他の構成は抄造型20と略同様であるため、詳細な説明は省略する。離型機62は、離型用型64が実線で示される左端部にあるとき、図に示される位置よりも下側の下端位置において、吸着面上すなわち網状体26上のパルプ繊維成形体Aを吸着してその網状体26上から取り外すと共に、破線で示される右端部の下端位置において、乾燥機70に備えられた搬入用コンベア66上にそのパルプ繊維成形体Aを下ろすことにより、パルプ繊維成形体Aを抄造機60から乾燥機70へ搬送するものである。
また、前記の乾燥機70は、図示しない熱源から温風が供給されることにより所定温度に保持された箱型の乾燥室68内に、パルプ繊維成形体Aを載置するための複数の移動棚72を有する昇降装置74と、その昇降装置74に向かってパルプ繊維成形体Aを搬送するための前記搬入用コンベア66と、乾燥室68内で下降させられたパルプ繊維成形体Aを乾燥機70から搬出して次工程へ送るための搬出用コンベア76とを備えたものである。上記昇降装置74は、複数の移動棚72を図の左方側から上昇させると共に右方側から下降させるものであり、移動棚72上に載置されたパルプ繊維成形体Aは、乾燥室68内で公転させられている間に速やかに乾燥させられる。
また、前記プレス装置80は、上下方向の相対移動可能に設けられた一対の取付板82および84にそれぞれ固定された一対の型すなわち凸型( 上型)86および凹型( 下型)88と、凸型86を駆動することにより凸型86を凹型88に対して接近離隔させる型駆動装置90とを備え、乾燥後のパルプ繊維成形体Aを厚み方向に圧縮して緻密なパルプ繊維組織とするとともに、寸法精度を高めるものである。一対の凸型86および凹型88は、鋼製、アルミニウム合金製などの金属製であり、相互の対抗面の反対側に位置する面にヒータ92および94をそれぞれ備えている。
図4に詳しく示されるように、上記凸型86は、合わせ面96と、その合わせ面96から突設されて前記第1半球状容器10の内側形状に対応する形状であってパルプ繊維成形体Aの高さH’よりも小さい突き出し高さを有する凸面98を備えている。また、上記凹型88は、合わせ面100と、その合わせ面100に彫り込まれて前記第1半球状容器10の外側形状に対応する形状であってパルプ繊維成形体Aの高さH’よりも小さい深さDを有する凹面102とを備えている。また、型駆動装置90により凸型86が凹型88側へ押圧されて、パルプ繊維成形体Aがそれらの間で挟圧された状態では、図5に示されるように、合わせ面96と合わせ面100との間にはプレス後の目標厚みと同じ間隔たとえば1.5乃至2(mm)程度の間隔が形成されるとともに、凸面98と凹面102との間にはそれと同様の間隔の成形キャビティが形成されるようになっている。
上記プレス装置80によるプレス後の第1パルプ繊維製半球状容器10は、その開口縁から外側へ突き出す平坦なフランジ部10fを備えているので、そのフランジ部10fを第1パルプ繊維製半球状容器10から除去するための打抜装置110の要部構成を図6を用いて説明する。図6において、打抜装置110は、プレス直後の第1パルプ繊維製半球状容器10を載置するためにその内周形状に対応する凸形状を有する凸部112aとその凸部112aに続いて打ち抜き径と同じ径を有する円板状の下刃部材112bとを備えた打抜下型112と、その打抜下型112と同心に配置されて軸心方向に移動可能に設けられ、打ち抜き径と同じ径を有する円環状の上刃部材114とを備え、上記打抜下型112にプレス直後の第1パルプ繊維製半球状容器10が載置された状態で上刃部材114が下刃部材112bを通過するまで軸心方向へ駆動されることにより、フランジ部10fを除去する。上記打ち抜き径Kは、たとえば第1パルプ繊維製半球状容器10の円筒状部10bの外径寸法と同じ値またはそれよりも僅かに大きい値に設定される。上記下刃部材112bの外周端縁の上角112cと上記上刃部材114の内周端縁の下角114cとが切断用切れ刃に相当する。
以上のように構成されたパルプ繊維製品製造装置16を用いて半球状容器の一例である第1半球状容器10を製造する工程を、図7の工程図を用いて説明する。先ず、図示しない起動装置を操作することにより、抄造機60の吸引ポンプ48およびコンプレッサ50、離型機62の図示しない吸引ポンプ等や乾燥機74の熱源等を起動する。なお、吸引ポンプ48やコンプレッサ50等は、後述の各工程において切換弁46等の切換作動に伴って起動および停止させられても良い。
上記の起動操作の後、浸漬工程S1において回動軸54を回動させることにより、図2の矢印に従って上側に位置する抄造型20を下方に向かって回動させると共に下側に位置する抄造型20を上方に向かって回動させる。次いで、吸引工程S2では、その回動中において、吸引ポンプ48を運転しつつ抄造型20に接続されている切換弁44を吸引位置に切り換えることにより、その抄造型20の吸引穴28から吸引を開始する。
そして、更に回動して抄造型20がパルプ泥漿槽56中のパルプ泥漿18内に入れられることにより、吸着工程S3において、予め定められた所定の吸着時間だけそのパルプ泥漿18中のパルプ繊維が抄造凸面22aおよび環状抄造面22dの網状体26上に吸着される。上記浸漬工程S1、吸引工程S2、および吸着工程S3が抄造工程に対応している。このようにして抄造されたパルプ繊維成形体Aは、65%程度の高い含水率と3乃至4(mm)程度の厚みとを備えており、容易に変形可能な比較的不安定なものである。このとき、母材22の表面には、パルプ繊維成形体Aの乾燥機70における乾燥収縮後において、例えば4乃至6(mm)程度の所定長さdだけ、プレス装置80でのプレス後の第1パルプ繊維製半球状容器10の高さH(たとえば50(mm))よりも大きい高さH’を有する抄造凸面22aが形成されていることから、パルプ繊維成形体Aはその形状に倣って図3の上下方向(すなわち離型方向)の長さが好適には5.1(mm)程度の所定長さd’だけ高い形状に吸着される。たとえば、H’=( H+d) ×( 1+乾燥収縮率) で算出される。ここで、乾燥収縮率が2%であるとすると、H’=( H+d) ×1.02となる。
なお、上記の所定の吸着時間は例えば2秒程度の比較的短い時間に設定されるが、その吸着時間は後述のプレス時の圧縮量を考慮して、パルプ繊維成形体Aの吸着厚さがそのプレス後の所望の製品厚さの2〜3倍程度となるように設定されている。上記所定時間が経過すると、引上工程S4において、吸引穴28からの吸引を継続したまま抄造型20をパルプ泥漿18外に出し、脱水工程S5において、例えば10秒程度の所定時間だけ更に吸引を継続することにより、網状体26上に吸着されたパルプ繊維が脱水させられて前記パルプ繊維成形体Aが成形される。なお、吸引穴28からの吸引が継続して実施されていることから、脱水工程S5は、引上工程S4において抄造型20がパルプ泥漿18外に出された直後から実行されることとなる。
上記のように脱水が終了した後、離型工程S6において、離型用型64をその左端位置に位置する状態で下降させて、パルプ繊維成形体Aを介して抄造型20に嵌め合わせ、抄造型20側の切換弁44を噴出位置に切り換えて吸引穴28から空気を噴出すると同時に、離型用型64の受取面の図示しない吸引穴から吸引する。そして、吸引穴28からの噴出および離型用型64の吸引穴からの吸引を継続したままその離型用型64を上昇させることにより、パルプ繊維成形体Aがその受取面に吸着されて抄造型20から離型させられる。
続いて、パルプ繊維成型体Aを吸着した離型用型64を、その上端位置まで上昇させた後、図の右方に移動させ、破線で示される右端位置において、再び下降させる。このようにして、離型用型64が図に示される下端位置まで下降した後、その吸引穴から空気を噴出させることにより、パルプ繊維成形体Aが受取面上から引き剥がされて乾燥機70の搬入用コンベア66上に落下させられる。
そして、乾燥工程S7においては、搬入用コンベア66上に落下させられたパルプ繊維成形体Aが乾燥機70の箱型の乾燥室68内に順次送り込まれて移動棚72上に移され、その移動棚72上に載置された状態で乾燥室68内を図2における右回りに回動させられる。乾燥機70の乾燥室68内は、前述のように所定温度に保持されているため、上記の回動中においてパルプ繊維成形体Aは十分に乾燥させられて、乾燥室68内の右側下端位置において搬出用コンベア76上に移される。上記脱水工程S5、離型工程S6、および乾燥工程S7が脱水乾燥工程に対応している。この乾燥工程S7を経たパルプ繊維成形体Aは、65%程度の含水率を有し、プレス後に比較して1.5倍乃至2.5の厚みを有し、且つ、乾燥前に比較して2〜3%程度の割合で収縮している。
続くプレス工程S8においては、搬出用コンベア76によって搬送されたパルプ繊維成形体Aが、一対の型のうちの下型であってヒータ94により加熱されている凹型88の凹面102内に嵌め入れられる。この状態では、図4に示されるように、パルプ繊維成形体Aのフランジ部Afの下面および円筒部の一部が凹型88の凹面102から上方へ所定寸法dだけ突き出している。次いで、ヒータ92により加熱されている凸型86(上型)が下降させられることにより、それら一対の凸型86と凹型88との間でパルプ繊維成形体Aが加熱されると同時に半分程度の厚みに加圧される。図5はこの状態を示している。これにより、凸面98と凹面102との間に形成される隙間の形状に倣って、所望の形状および厚みに成形されたフランジ部10f付の第1パルプ繊維製半球状容器10が得られる。この凸型86の加工過程では、図4に示されるように、凸型86の合わせ面96のパルプ繊維成形体Aの開口端縁すなわち上端縁が圧縮に先立って、先に当接させられた後にパルプ繊維成形体Aの円筒部が凹型88の凹面102内に押し込まれつつ、凸型86の凸面98が凹面102内に嵌め入れられて圧縮が行われることから、そのパルプ繊維成形体Aの円筒部では、その圧縮によって凸面98による引っ張りが相殺されるので、そこでクラックや破れが生じることが好適に防止される。
図4の矢印はプレス方向を示しており、第1パルプ繊維製半球状容器10の開口縁10aから底へ向かう円筒状部10bは、そのプレス方向に対する角度が0乃至10°である。
そして、フランジ部除去工程S9では、図6に示す打抜装置110を用いて、プレス直後の第1パルプ繊維製半球状容器10の開口端縁から外周側に突き出しているフランジ部10fが、打抜下型112の下刃部材112bと上刃部材114との間で打ち抜かれることにより除去される。これにより、図1に示す第1パルプ繊維製半球状容器10が得られる。
上述のように、本実施例のパルプ繊維製半球状容器の製造方法によれば、プレス工程S8において、乾燥工程S7で乾燥されたパルプ繊維成形体Aを、合わせ面96から突設されて第1パルプ繊維製半球状容器10の内側形状に対応する形状であってパルプ繊維成形体Aの高さよりも小さい突き出し高さを有する凸面98を備えた凸型86と、合わせ面100に彫り込まれて第1パルプ繊維製半球状容器10の外側形状に対応する形状であってパルプ繊維成形体Aの高さよりも小さい深さを有する凹面102を備えた凹型88との間で、加圧されてパルプ繊維が相互に密着させられることにより、パルプ繊維成形体Aよりも肉厚が薄いフランジ部付半球状容器10にプレスされることから、半球状のパルプ繊維成形体Aの開口付近の円筒状部がプレス方向に圧縮されてその円筒状部にプレス方向の引張力が作用することが解消されるので、第1パルプ繊維製半球状容器10の開口付近の円筒状部10bにおけるクラックの発生が好適に防止される。
また、本実施例のパルプ繊維製半球状容器の製造方法によれば、前記プレス工程S8は、凸型86の合わせ面96をパルプ繊維成形体Aのフランジ部Afに当接させつつそのパルプ繊維成形体Aの開口縁部を凹型88の凹面102内にそのパルプ繊維成形体Aの崩れを発生させないで容易に押し込むものであることから、第1パルプ繊維製半球状容器10の開口付近の円筒状部10bがプレス方向に圧縮されてその円筒状部10bにプレス方向の引張力が相対によって解消されるので、第1パルプ繊維製半球状容器10の開口付近の円筒状部10bにおけるクラックの発生が好適に防止される。上記パルプ繊維成形体Aのフランジ部Afにより凸型86の合わせ面96とパルプ繊維成形体Aとの間の当接面積が増加することから、比較的強度の低いプレス前のパルプ繊維成形体Aの崩れが好適に防止される。
また、本実施例のパルプ繊維製半球状容器の製造方法によれば、プレス工程S8は、パルプ繊維成形体Aのフランジ部Afがそのフランジ部の厚みに凹型88の凹面102の深さの5乃至15%を加えた寸法だけその凹型88の合わせ面100よりも突き出している状態で、凸型86を凹型88へ向かって押しつけるものであることから、半球状のパルプ繊維成形体Aの開口付近の円筒状部がプレス方向に圧縮されてその円筒状部にプレス方向の引張力が作用することが解消されるので、第1パルプ繊維製半球状容器10の開口付近の円筒状部10bにおけるクラックの発生が好適に防止される。
また、本実施例のパルプ繊維製半球状容器の製造方法によれば、第1パルプ繊維製半球状容器10の開口縁から底へ向かう円筒状部10bは、プレス工程S8におけるプレス方向に対する角度が0乃至10°の面であることから、その10°以下のテーパ面である円筒状部がプレス方向に圧縮されてその円筒状部にプレス方向の引張力が作用することが解消されるので、第1パルプ繊維製半球状容器10の開口付近の円筒状部10bにおけるクラックの発生が好適に防止される。
また、本実施例のパルプ繊維製半球状容器の製造方法によれば、乾燥工程S7で乾燥されたパルプ繊維成形体Aは、第1パルプ繊維製半球状容器10の1.5倍以上の厚みを有するものであることから、プレス工程S8では、凸型86の凸面98と凹型88の凹面102との間で挟圧されることによりパルプ繊維が相互に密着させられてパルプ繊維成形体Aよりも肉厚が薄いフランジ部10f付第1パルプ繊維製半球状容器10にプレスされるとともに、第1パルプ繊維製半球状容器10の開口付近の円筒状部10bがプレス方向に圧縮されてその円筒状部10bにプレス方向の引張力が作用することが解消されるので、その第1パルプ繊維製半球状容器10の開口付近の円筒状部10bにおけるクラックの発生が好適に防止される。
以上、本発明の一実施例を図面を参照して詳細に説明したが、本発明は更に別の態様でも実施される。
例えば、前述の実施例においては、抄造型20および型86,88はアルミニウム合金等の軽合金から構成されていたが、一般鋼、工具鋼、真鍮等の金属製、エポキシ樹脂等の樹脂製であってもよい。なお、抄造型20が、例えば樹脂球、ガラス球、セラミック球などの無機質の粒子が接着剤で結合させられることにより多孔質に構成された多孔組織によって構成される場合には、吸引穴は不要となる。
また、抄造型20においては、吸引穴28は表面側の開口径よりも裏面側の開口径が大きい段付き穴に形成されていたが、例えば、表面側から裏面側に向かって次第に断面積が大きくなる円錐状に形成されても良い。また、目詰まりが生じ難い場合には、全体が同様な断面積を有するように形成されていても差し支えない。
また、前述の実施例では、吸引穴28は表面の法線に対して傾斜させられていたが、法線と平行すなわち表面に対して直角方向に形成されてもよい。
また、前述の実施例においては、プレス装置80の型である凸面86、凹型88にそれぞれヒータ92、94が備えられていたが、このヒータ92、94は必ずしも備えられていなくともよい。すなわち、プレス工程S8においては、パルプ繊維成形体Aが単に加圧されるだけでもよい。
また、実施例においては、凸型86には単一の凸面98が備えられ、凹型88には単一の凹面102が備えられていたが、凸面98および凹面102は複数個ずつ備えられていてもよい。
また、前述の実施例のプレス工程S8では、パルプ繊維成形体Aのフランジ部Afの下面がプレス後の第1パルプ繊維製半球状容器10の高さHの10%程度の寸法dだけ凹型88から突き出した状態でプレスが開始されていたが、第1パルプ繊維製半球状容器10の高さHの5乃至15%程度の寸法だけ該凹型88の合わせ面100よりも突き出している状態で、凸型86を凹型88へ向かって押しつけるものであってもよい。
また、前述の実施例のプレス工程S8に先立って乾燥工程S7が実施されていたが、その乾燥工程S7は必ずしも設けられていなくてもよい。プレス工程S8におけるプレスによっても乾燥機能が得られる。乾燥工程S7が設けられていない場合でも、プレス工程S8におけるプレスは1回であってもよいし、2回以上であってもよい。
また、実施例の抄造工程( 浸漬工程S1、吸引工程S2、および吸着工程S3) においては、図3に示すように、パルプ繊維成形体Aの内周形状に対応する凸形状に形成された抄造面を有する抄造型20が用いられていたが、パルプ繊維成形体Aの内周形状に対応する凹形状の形成された抄造面を有する抄造型が用いられてもよい。
また、実施例のフランジ部除去工程S9では、図6に示す打抜装置110を用いて、プレス直後の第1パルプ繊維製半球状容器10の開口端縁から外周側に突き出しているフランジ部10fが、打抜下型112の下刃部材112bと円環状の上刃部材114との間で打ち抜かれることにより除去されていたが、たとえば上下が逆であってもよいし、下刃部材112bと合成樹脂板との間で挟圧することによりフランジ部10fが除去されてもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得るものである。
本発明方法の一例が適用されることにより製造される第1パルプ繊維製半球状容器および第2パルプ繊維製半球状容器から成る密閉容器を示す図である。 図1の第1パルプ繊維製半球状容器を製造するパルプ繊維製品製造装置の要部構成を示す図である。 図2のパルプ繊維製品製造装置に設けられる抄造型の構成を詳しく説明するための断面図である。 図2のパルプ繊維製品製造装置に設けられる型すなわち凸型および凹型の構成を詳しく説明する図であって、押圧開始時の状態をを示す図である。 図2のパルプ繊維製品製造装置に設けられる型すなわち凸型および凹型の構成を詳しく説明する図であって、押圧完了後の状態を示す図である。 図2のパルプ繊維製品製造装置に設けられる打抜装置の要部構成を説明する図である。 図2のパルプ繊維製品製造装置によるパルプ繊維製半球状容器の製造工程をそれぞれ説明する工程図である。
符号の説明
10:第1パルプ繊維製半球状容器
12:第2パルプ繊維製半球状容器
14:密閉容器
18:パルプ泥漿
20:抄造型
A:パルプ繊維成形体
Af:パルプ繊維成形体のフランジ部
S1:浸漬工程、S2:吸引工程、S3:吸着工程( 抄造工程)
S5:脱水工程、S6:離型工程、S7:乾燥工程( 脱水乾燥工程)
S8:プレス工程
S9:フランジ部除去工程

Claims (6)

  1. パルプ繊維製半球状容器をパルプ泥漿から製造するパルプ繊維製半球状容器の製造方法であって、
    前記半球状容器の内側形状に対応する吸着面を有する抄造型をパルプ泥漿内に浸漬して該パルプ泥漿を吸引することにより、半球容器状のパルプ繊維成形体を抄造する抄造工程と、
    該抄造工程において抄造されたパルプ繊維成形体を脱水および乾燥する脱水乾燥工程と、
    該脱水乾燥工程で乾燥されたパルプ繊維成形体を、合わせ面から突設されて前記半球状容器の内側形状に対応する形状であって該パルプ繊維成形体の高さよりも小さい突き出し高さを有する凸面を備えた凸型と、合わせ面に彫り込まれて該半球状容器の外側形状に対応する形状であって該パルプ繊維成形体の高さよりも小さい深さを有する凹面を備えた凹型との間で、加圧してパルプ繊維を相互に密着させることにより、前記パルプ繊維成形体よりも肉厚が薄い半球状容器にプレスするプレス工程と、
    を、含むことを特徴とするパルプ繊維製半球状容器の製造方法。
  2. 前記抄造工程は、開口から外側へ向かって突き出す環状のフランジ部を備えた半球容器状のパルプ繊維成形体を抄造するものであり、
    前記プレス工程は、前記凸型の合わせ面を前記パルプ繊維成形体のフランジ部に当接させつつ該パルプ繊維成形体の開口縁部を前記凹型の凹面内に押し込むことにより、前記パルプ繊維成形体よりも肉厚が薄いフランジ部付半球状容器にプレスするものである請求項1のパルプ繊維製半球状容器の製造方法。
  3. 該プレス工程によりプレスされた前記フランジ部付半球状容器からそのフランジ部を除去することにより前記パルプ繊維製半球状容器を得るフランジ部除去工程をさらに含むことを特徴とする請求項2のパルプ繊維製半球状容器の製造方法。
  4. 前記プレス工程は、前記パルプ繊維成形体のフランジ部が該フランジ部の厚みに前記凹型の凹面の深さの5乃至15%を加えた寸法だけ該凹型の合わせ面よりも突き出している状態で、前記凸型を該凹型へ向かって押しつけるものである請求項2のパルプ繊維製半球状容器の製造方法。
  5. 前記パルプ繊維製半球状容器の開口縁から底へ向かう円筒状部は、前記プレス工程におけるプレス方向に対する角度が0乃至10°である請求項1乃至4のいずれか1のパルプ繊維製半球状容器の製造方法。
  6. 前記乾燥工程で乾燥されたパルプ繊維成形体は、前記パルプ繊維製半球状容器の1.5倍以上の厚みを有するものである請求項1乃至5のいずれか1のパルプ繊維製半球状容器の製造方法。
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