JPH09296101A - ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物

Info

Publication number
JPH09296101A
JPH09296101A JP2234197A JP2234197A JPH09296101A JP H09296101 A JPH09296101 A JP H09296101A JP 2234197 A JP2234197 A JP 2234197A JP 2234197 A JP2234197 A JP 2234197A JP H09296101 A JPH09296101 A JP H09296101A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
polyester resin
polyester
component
terephthalate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2234197A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Nishimura
西村  透
Kenichi Utazaki
憲一 歌崎
Motonori Hiratsuka
元紀 平塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2234197A priority Critical patent/JPH09296101A/ja
Publication of JPH09296101A publication Critical patent/JPH09296101A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Graft Or Block Polymers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】機械的特性、特に0.8mm以下の薄肉隔壁構
造部分の機械的特性、靭性に優れたポリエステル樹脂成
形品を得ること。 【解決手段】結晶性ポリオレフィン、不飽和カルボン酸
および/またはその誘導体、さらに熱可塑性ポリエステ
ルを溶融混合してなるポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄肉部分の機械的
物性に優れた、電気・電子部品の分野および自動車部品
の分野、とくに自動車などのワイヤーハーネスコネクタ
ー用部品に適したポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートやポリブチ
レンテレフタレートに代表される熱可塑性ポリエステル
は機械的特性、耐熱性、耐薬品性、耐候性、電気的特性
に優れているので自動車、電気・電子部品など広い分野
で使用されている。近年、これらの部品に対して、コス
トダウンや軽量化を目的として、小型化、薄肉化の要求
が高まってきている。このような要求に対応するため
に、熱可塑性ポリエステルには良流動化、良離型化が求
められているのが現状である。熱可塑性ポリエステルの
流動性を増すためには低分子量のポリエステルを使用す
るのが一般的であるが、この場合低分子量のために、得
られる成形品の耐衝撃性の低下が著しく満足できるもの
ではなかった。
【0003】一方、熱可塑性ポリエステルの耐衝撃性を
改善するためにポリオレフィンを配合することが有効だ
と考えられ、既に多くの提案がなされている。なかでも
特公昭57−54058号公報および特公昭57−59
261号公報に示される不飽和カルボン酸およびその誘
導体をグラフトした変性エチレン重合体をポリエステル
樹脂に配合する方法、特公平7−62105号公報に示
されるポリエステル樹脂、エチレン/αオレフィン共重
合体、マレイン酸またはその無水物、ラジカル発生剤を
溶融混合する方法などが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法では成形品の耐衝撃性は改良されるものの、小型
・軽量の成形品に見られるような肉厚0.8mm以下の
薄肉隔壁構造部においては、成形性が不良になり、さら
にはその機械的強度が不十分であるという問題が生じて
いた。とくに、0.8mm以上の厚肉部分と0.8mm
以下の薄肉隔壁構造部分が混在するような成形品におい
てはこの問題が顕著となり改善が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、本発明に到達した。すな
わち、「結晶性のポリオレフィン樹脂(A)と不飽和カ
ルボン酸および/またはその誘導体(B)および熱可塑
性ポリエステル(C)からなる、肉厚0.8mm以下の
薄肉隔壁構造を有する射出成形品用ポリエステル樹脂組
成物。」を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を詳細に説明
する。なお本発明において「重量」とは「質量」を意味
する。
【0007】本発明で用いる結晶性ポリオレフィン樹脂
(A)とはX線法で測定した結晶化度が40%以上、好
ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上を示
すオレフィンモノマーの単独あるいは共重合体である。
ポリオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレ
ン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−
1、オクタセン−1などのα−オレフィン、あるいはシ
クロペンタジエン類とオレフィン類から誘導される環状
オレフィンの単独重合体、これら2種以上のモノマーの
ランダム、ブロック、グラフトなどの共重合体や混合物
が挙げられる。これらのポリオレフィンのなかではポリ
エチレン、ポリプロピレンが好ましい。特に好ましいの
は、高圧法低密度ポリエチレンや、直鎖状低密度ポリエ
チレン、高密度ポリエチレンなどである。
【0008】結晶化度が40%に満たないポリオレフィ
ン樹脂では肉厚0.8mm以下の薄肉隔壁構造部分の強
度が低下するので好ましくない。
【0009】また、本発明で用いるポリオレフィン樹脂
(A)の融点は組成物中で100〜220℃、とくに1
20から150℃であることが好ましい。融点が100
℃未満であると、薄肉隔壁構造部分の強度向上に効果が
小さく、また融点が220℃を越えると、ポリエステル
樹脂との相溶性が悪くなり、機械物性が低下するので好
ましくない。ここで、ポオリオレフィン樹脂(A)の融
点とは、本発明のポリエステル樹脂組成物を示差走査熱
量計(DSC)で測定した場合にポリオレフィン樹脂の
融解に伴なう吸熱ピークの位置である。また、この値は
ポリオレフィン樹脂の結晶性の指標となる。
【0010】本発明で用いる不飽和カルボン酸および/
またはその誘導体(B)では、アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、
イソクロトン酸、テトラヒドロフタル酸、シトラコン
酸、ブテンジカルボン酸などがあげられる。また、それ
らの誘導体としては、アルキルエステルおよび酸無水物
などが例示され、これらのなかで酸無水物が好ましく、
無水マレイン酸、無水イタコン酸などが好ましく使用で
きる。これら不飽和カルボン酸およびその誘導体の中か
ら2種以上併用してもよい。
【0011】また溶融混合において、不飽和カルボン酸
および/またはその誘導体(B)の配合量は、機械的強
度の向上効果および架橋反応による不溶物発生防止の観
点からポリオレフィン(A)に対して、0.1〜20重
量%、さらに0.5〜10重量%であることが好まし
い。
【0012】不飽和カルボン酸および/またはその誘導
体(B)はポリオレフィン(A)にグラフトし,ポリエ
ステル樹脂との相溶性を高める作用をするものである。
このためには溶融混合する際に、有機過酸化物などのラ
ジカル発生剤がポリオレフィンに対して0.01〜0.
1重量%を併用使用することにより、より効率的にグラ
フトを生成せしめる。このようなラジカル開始剤として
は、分子量200以上のものが特に好ましい。具体的に
は、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキシン−3、α,α’−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ジイソプロピルベンゼンなどである。
【0013】本発明で用いる熱可塑性ポリエステル
(C)とはジカルボン酸(あるいは、そのエステル形成
性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成性誘
導体)とを主成分とする縮合反応により得られる重合体
ないしは共重合体、あるいはこれらの混合物である。
【0014】上記ジカルボン酸としてはテレフタル酸、
イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボ
ン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カ
ルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン
酸、4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン
酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン
ジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘ
キサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボ
ン酸などの脂環式ジカルボン酸およびこれらのエステル
形成性誘導体などが挙げられる。またジオール成分とし
ては炭素数2〜20の脂肪族グリコールすなわち、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレン
グリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキ
サンジオールなど、あるいは分子量400〜6000の
長鎖グリコール、すなわちポリエチレングリコール、ポ
リ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレ
ングリコールなどおよびこれらのエステル形成性誘導体
などが挙げられる。
【0015】これらの重合体ないしは共重合体の好まし
い例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチ
レン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレ
ン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テ
レフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタ
レート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナ
フタレ−ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン
(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレ
フタレート/5−ナトリウムスルホイソフタレート)、
ポリブチレン(テレフタレート/5−ナトリウムスルホ
イソフタレート)、ポリエチレンナフタレ−ト、ポリシ
クロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが挙げら
れ、熱可塑性ポリエステル組成物の成形性からポリブチ
レンテレフタレート、ポリブチレン (テレフタレート
/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカ
ンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレ−ト、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタ
レート/アジペート)、ポリエチレンナフタレート、ポ
リシクロヘキサンジメチレンテレフタレートなどが特に
好ましく、最も好ましいのはポリブチレンテレフタレー
トである。
【0016】また、これらの熱可塑性ポリエステルはo
−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有
粘度が0.36〜1.60dl/g、とくに0.52〜1.
35dl/gの範囲にあるものが機械的特性、成形性の点か
ら好適である。固有粘度が0.36未満では機械的特性
が不良であり、また、固有粘度が1.60を越えると成
形性が不良となる傾向がある。
【0017】本発明では、芳香族ポリエステル(C)と
して、ポリブチレンテレフタレートと低結晶性のポリエ
ステルの混合物を用いるとポリエステル樹脂組成物の成
形収縮率が小さくなるので好ましい。この低結晶性ポリ
エステルの例としては、ポリブチレン(テレフタレート
/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/
イソフタレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
エチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエ
チレン(テレフタレート/アジペート)、ビスフェノー
ルA(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレ
ン(テレフタレート/ナフタレ−ト)、ポリエチレンナ
フタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレ
ート、ポリシクロヘキサンジメチレン(テレフタレート
/イソフタレート)、ポリ(シクロヘキサンジメチレン
/エチレン)テレフタレート、ポリ(シクロヘキサンジ
メチレン/エチレン)(テレフタレート/イソフタレー
ト)などが挙げられる。これらの中で、ポリエステル樹
脂組成物の成形性、流動性、機械的特性、特に耐衝撃
性、耐熱性の面からポリ(シクロヘキサンジメチレン/
エチレン)テレフタレートが好ましく用いられる。特に
シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリコール
成分のモル比が50/50〜80/20のポリ(シクロ
ヘキサンジメチレン/エチレン)テレフタレートが好ま
しく用いられる。このように低結晶性のポリエステル樹
脂を配合する場合には、ポリエステル樹脂に対して、1
〜50重量%、さらには5〜30重量%の範囲が好まし
い。
【0018】本発明で使用される低結晶性ポリエステル
の低結晶性の指標として、示差走査熱量分析においての
1/2結晶化時間を用い、ポリブチレンテレフタレート
と比較し10倍以上、あるいは全く結晶化ピークを示さ
ないものが好ましく用いられる。
【0019】本発明で使用される低結晶性ポリエステル
はそのo−クロロフェノール溶液を25℃で測定したと
きの固有粘度が0.36〜1.55dl/g、とくに0.5
2〜1.25dl/gの範囲にあるものが機械的特性、成形
性の点から好適である。固有粘度が低いと機械的特性が
不良となる傾向があり、また、固有粘度が1.55を越
えると成形性が不良になる傾向がある。
【0020】本発明に用いるポリエステル樹脂組成物の
製造方法は周知の方法で行うことができる。
【0021】その具体的な溶融混合の方法としては、単
軸あるいは二軸押出機を用いて、ポリオレフィン
(A)、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体
(B)を溶融混練し、変性ポリオレフィンを製造した
後、さらに熱可塑性ポリエステル(C)と混練する方法
や、投入口を2カ所有する二軸押出機を用い、スクリュ
ー根元側に設置した主投入口からポリオレフィン(A)
と不飽和カルボン酸および/またはその誘導体(B)を
供給し、主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口
から熱可塑性ポリエステル(C)を供給し溶融混合する
方法や、バッチ式のミキサーなどを用いてまずポリオレ
フィン(A)と不飽和カルボン酸および/またはその誘
導体(B)を溶融混合し、所定時間後に熱可塑性ポリエ
ステル(C)を投入する方法などが挙げられる。これら
の中で、投入口を2カ所有する二軸押出機を用い、スク
リュー根元側(上流)に設定した、主投入口からポリオ
レフィン(A)と不飽和カルボン酸および/またはその
誘導体(B)を供給し、主投入口と押出機先端の間に接
地した副投入口から熱可塑性ポリエステル(C)を供給
し、溶融混合する方法が好ましい。また、上記の方法で
得られたポリエステル樹脂組成物をさらに別のポリエス
テル樹脂と混練して最終的なポリエステル組成物とする
方法も可能である。
【0022】本発明の成形品は上記のポリエステル樹脂
組成物を、公知の射出成形の方法で成形することにより
得られる。また、その際に上記ポリエステル樹脂組成物
をマスターペレットとし、他の熱可塑性ポリエステルと
ペレットブレンドして用いることも可能である。
【0023】本発明の肉厚0.8mm以下の薄肉隔壁部
を有する射出成形品における、薄肉隔壁構造とは、箱型
構造の成形品の内部にその箱型構造をさらに隔てるよう
な肉厚が0.8mm以下、好ましくは肉厚が0.2〜
0.8mmの板状壁の構造を示す。さらにこの成形品に
は肉厚が0.8mmを超える以上の部分があってもよ
い。
【0024】本発明の樹脂組成物中における熱可塑性ポ
リエステルの配合割合は、重量で99.9〜60%であ
ることがこのましく、さらに99.5〜80%、またさ
らに95〜99.5%であることが好ましい。熱可塑性
ポリエステルの割合が99.5重量%より大きいと衝撃
強度の改質効果が得られず、また60重量%より小さい
と成形性が悪くなり結果として肉厚0.8mm以下の薄
肉隔壁部の機械強度が失われる傾向がある。
【0025】本発明の樹脂組成物中における結晶性ポリ
オレフィン樹脂の配合割合は、重量で0.1〜40%で
あることが好ましく、さらに0.5〜20%、またさら
に0.5〜5%であることが好ましい。結晶性ポリオレ
フィン樹脂の割合が0.1重量%より小さいとポリオレ
フィンによる衝撃強度の改質効果が得られず、また40
重量%より大きいと成形性が悪くなり結果として肉厚
0.8mm以下の薄肉隔壁部の機械強度が失われる傾向
がある。
【0026】なお、本発明の組成物に対して、本発明の
効果を損なわない範囲でさらに他の各種の添加剤を配合
することもできる。これら他の添加剤としては、例え
ば、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、岩綿、炭
酸カルシウム、ケイ砂、ベントナイト、カオリン、タル
ク、クレー、ワラステナイト、硫酸バリウム、ガラスビ
ーズ、マイカなどの強化剤、充填剤、核化剤あるいは酸
化防止剤(リン系、硫黄系など)、紫外線吸収剤、熱安
定剤(ヒンダードフェノール系など)、滑剤、離型剤、
染料および顔料を含む着色剤、難燃剤(ハロゲン系、リ
ン系など)、難燃助剤(三酸化アンチモンに代表される
アンチモン化合物、酸化ジルコニウム、酸化モリブデン
など)、発泡剤、架橋剤(例えば、多価のエポキシ化合
物、イソシアネート化合物、酸無水物など)などが挙げ
られる。また他の合成樹脂(例えば、ポリアミド、エチ
レン/酢酸ビニル共重合体、フェノキシ樹脂、エポキシ
樹脂、シリコーン樹脂、など)を含有することもでき
る。
【0027】本発明の組成物を射出成形してなる成形品
は、薄肉隔壁部分の機械的強度と靭性に均衡して優れて
いるので、例えば自動車部品や電気部品などに使用する
ことができ、特に自動車用ワイヤーハーネスコネクター
に好ましく使用できる。なかでも、樹脂組成物中のポリ
オレフィン成分の重量割合が0.5〜5%のものは薄肉
隔壁部分の機械強度に優れており、金属端子を保持する
ために必要な端子保持力が高く、自動車ワイヤーハーネ
スコネクター用に適している。
【0028】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明効果をさらに説
明する。
【0029】ポリエステル樹脂組成物の製造 参考例1 A−aの製造 190℃におけるメルトフローレートが3.2g/10
分、X線による結晶化度85%の高密度ポリエチレン
(以下HDPEという)、無水マレイン酸(以下MAH
という)、ラジカル開始剤(2,5−ジメチル−2,5
−ジt−ブチルパーオキシ)ヘキサン):商品名“パー
ヘキサ2.5B”(日本油脂(株))を表1に示す割合
に混合し、押出機の主供給口から供給し、また固有粘度
0.88のポリブチレンテレフタレート(以下PBTと
略)をサイドフィーダーから供給し溶融混合を行い樹脂
組成物 (A−a)を得た。押出機は、L/D=35の
30mm二軸押出機を用い、シリンダ温度は主供給口か
らサイドフィーダーまでは230℃、それ以降は260
℃に設定した。
【0030】参考例2 A−bの製造 参考例1のPBTの一部に代えて、固有粘度0.88、
全グリコール成分中のエチレングリコール成分が30モ
ル%のポリ(シクロヘキサンジメチレン/エチレン)テ
レフタレート(以下PCT共重合体と略)も同時に供給
する以外は参考例1と同様にしてポリエステル樹脂組成
物(A−b)を得た。
【0031】参考例3 A−cの製造 参考例1のHDPEの替わりに190℃におけるメルト
フローレートが2g/10分、X線による結晶化度47
%の低密度ポリエチレン(LDPE)を用いる以外は参
考例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物(A−c)
を得た。
【0032】参考例4 A−dの製造(比較例に使用) 参考例1のHDPEの替わりに190℃におけるメルト
フローレートが3.6g/10分、X線による結晶化度
20%のブテン1含有量14モル%のエチレン−ブテン
1共重合体(E/B−1)を用いる以外は参考例1と同
様にしてポリエステル樹脂組成物(A−d)を得た。
【0033】
【表1】
【0034】実施例1〜7 参考例1〜3で製造したポリエステル樹脂組成物(A)
と固有粘度0.88dl/gのポリブチレンテレフタレート
を表2に示した割合でV型ブレンダーで混合したのち、
シリンダー温度を270℃に設定した型締圧力60tの
スクリューインライン型射出成形機を用い、金型温度4
0℃において、1/8インチ厚みの引張試験片を成形
し、ASTM D638に従い引張り試験を行なった。
【0035】また、同様の成形条件にて図1に示すよう
な成形品を成形した。図1の成形品は、高さ(a)12
mm、幅(b)50mm、奥行き(c)30mm、肉厚
部厚み(d)2mm、隔壁構造部(e)の厚み0.5m
mの成形品を成形した。この成形品の隔壁と隔壁の間に
図2に示すような、幅(f)5mm,先端角度30゜の
くさび状治具を5mm/分の速度で挿入し、隔壁破壊時
の応力を測定した。試験は室温および−10℃の環境下
で行った。ここで1kgfは9.80665Nである。
【0036】さらに、得られた引張り試験片の一部を切
削し、DSCにて昇温速度20℃/m・inで測定し、
組成物中におけるポリオレフィン樹脂の融点を測定し
た。
【0037】
【表2】
【0038】比較例1,2 参考例4で製造したポリエステル樹脂組成物(A)と実
施例1と同様の固有粘度0.88dl/gのPBTを表2の
割合で、実施例1と同様に配合した後、テスト成形品を
成形し、評価を行った。結果を表3に示した。DSCに
ついても実施例1と同様に測定を行なったがポリオレフ
ィン成分に由来するピークは観測されなかった。
【0039】比較例7 実施例1で使用したPBT樹脂を用いてそのまま評価し
た。結果を表3に示した。低温での評価で脆性破壊を起
こし、好ましいものではなかった。
【0040】
【表3】
【0041】これらの結果から本発明の方法で得られた
組成物は薄肉隔壁構造部分での靭性と強度を兼ね備えて
いるので、薄肉隔壁構造部の機械強度が要求される成形
品や自動車部品、特にワイヤーハーネスコネクターに適
している。
【0042】
【発明の効果】本発明の成形用樹脂により得られる成形
品は、薄肉隔壁構造部分の強度、靭性に優れているの
で、電気・電子部品、自動車部品の分野の用途、特にワ
イヤーハーネスコネクター用に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で成形した成形品の形状を示す図であ
る。Aは正面図、Bは平面図、Cは右側面図である。
【図2】実施例で評価に用いたくさび状治具の形状を示
す外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
(a):高さ (b):幅
(c):奥行き (d):肉厚部厚み (e):隔壁構造部厚み
(f):くさび幅

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性のポリオレフィン樹脂(A)、不飽
    和カルボン酸および/またはその誘導体(B)ならびに
    熱可塑性ポリエステル(C)を溶融混練してなる、肉厚
    0.8mm以下の薄肉隔壁構造を有する射出成形品用ポ
    リエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】さらに、肉厚0.8mmを超える厚肉部分
    をも有する請求項1記載の射出成形品用ポリエステル樹
    脂組成物。
  3. 【請求項3】ポリオレフィン樹脂(A)のX線回折法に
    よる結晶化度が40%以上である請求項1または2記載
    のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】ポリオレフィン樹脂(A)の融点が100
    〜220℃である請求項1〜3いずれかに記載のポリエ
    ステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】ポリオレフィン樹脂(A)がポリエチレン
    である請求項1〜4いずれかに記載のポリエステル樹脂
    組成物。
  6. 【請求項6】熱可塑性ポリエステル(C)がポリブチレ
    ンテレフタレートを必須成分とする請求項1〜5いずれ
    かに記載のポリエステル樹脂組成物。
  7. 【請求項7】請求項1〜6いずれかに記載のポリエステ
    ル樹脂組成物を射出成形してなる肉厚0.8mm以下の
    薄肉隔壁構造部分を有する成形品。
  8. 【請求項8】結晶性のポリオレフィン樹脂(A)、不飽
    和カルボン酸および/またはその誘導体(B)ならびに
    熱可塑性ポリエステル(C)を溶融混練することを特徴
    とする、肉厚0.8mm以下の薄肉隔壁構造を有する射
    出成形品用ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】ポリオレフィン樹脂(A)のX線回折法に
    よる結晶化度が40%以上である請求項8記載のポリエ
    ステル樹脂組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】熱可塑性ポリエステル(C)がポリブチ
    レンテレフタレートを必須成分とする請求項8または9
    記載のポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】ポリオレフィン樹脂(A)の融点が10
    0〜220℃である請求項8〜10いずれかに記載のポ
    リエステル樹脂組成物の製造方法。
JP2234197A 1996-03-06 1997-02-05 ポリエステル樹脂組成物 Pending JPH09296101A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2234197A JPH09296101A (ja) 1996-03-06 1997-02-05 ポリエステル樹脂組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4850296 1996-03-06
JP8-48502 1996-03-06
JP2234197A JPH09296101A (ja) 1996-03-06 1997-02-05 ポリエステル樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09296101A true JPH09296101A (ja) 1997-11-18

Family

ID=26359546

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2234197A Pending JPH09296101A (ja) 1996-03-06 1997-02-05 ポリエステル樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09296101A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5300572A (en) Moldable polyester resin compositions and molded articles formed of the same
JPH0452300B2 (ja)
US5349007A (en) Lightweight thermoplastic polyester molding compositions, methods of making the same and molded articles formed thereof
JPS6028446A (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
EP0722983B1 (en) Thermoplastic polyester resin composition
JPH0414135B2 (ja)
JPS61221260A (ja) 熱可塑性ポリエステル組成物
JPH09296101A (ja) ポリエステル樹脂組成物
JPH06122794A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0726007B2 (ja) ポリエステル樹脂組成物の製法
JPH09143348A (ja) ポリエステル樹脂組成物およびその製造方法
JPS6142561A (ja) ポリエステル組成物
EP0794228A2 (en) Polyester resin composition
JPH0364549B2 (ja)
JP3258490B2 (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JPH1087843A (ja) 樹脂ペレット混合物
JP2001049095A (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物
JP2647674B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0517646A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2000067986A (ja) コネクター材料
JPH0689235B2 (ja) ガラス繊維強化ポリエステル樹脂組成物の製造法
JP4045653B2 (ja) ポリエステル樹脂混合物
JPH0543767A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH0543766A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JPH04311760A (ja) 熱可塑性樹脂組成物