JPH09296093A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JPH09296093A
JPH09296093A JP11236896A JP11236896A JPH09296093A JP H09296093 A JPH09296093 A JP H09296093A JP 11236896 A JP11236896 A JP 11236896A JP 11236896 A JP11236896 A JP 11236896A JP H09296093 A JPH09296093 A JP H09296093A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性エラストマーの優れた柔軟性、ゴム
弾性、耐熱性、耐候性、成形加工性等の物性を損なうこ
となく、かつ軟化剤のブリードが少なく、加硫ゴムに近
い機械的強度を有する熱可塑性エラストマー組成物を提
供する。 【解決手段】 次の成分(イ)〜(ニ)からなるエラス
トマー組成物。 【化1】 Aはビニル芳香族炭化水素重合体ブロック、Bは共役ジ
エン重合体ブロックである。 (ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤 (ハ)オレフィン系重合体 【化2】 C、Dはビニル結合割合が相異する共役ジエン重合体ブ
ロックである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性エラストマ
ー組成物に関し、柔軟性、ゴム弾性、耐熱性、耐候性、
機械的強度および成形加工性に優れ、かつ軟化剤のブリ
ードの少ない熱可塑性エラストマー組成物に関するもの
で、食品用途、日用雑貨用途、玩具・運動用具用途、デ
スクマットなどの文具用途、自動車内外装用途、土木シ
ート、防水シートなどの土木・建築用途、AV・家電機
器用途、OA・事務機器用途、衣料・履き物用途、テキ
スタイル用途、各種カテーテル等の医療用機器用途、紙
オムツ・生理用品等の衛生用品、化学・鉱工業用資材、
包装輸送用資材、農・畜・水産資材等で利用可能であ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴム的な軟質材料であって、加硫
工程を要せず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性を有す
る熱可塑性エラストマー(以下TPEと略する)が、自
動車部品、家電部品、医療、食品用機器部品、電線およ
び雑貨等の分野で注目され使用されている。このような
TPEには現在、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、
ポリエステル系、ポリスチレン系等の種々の系統のポリ
マーが開発され、市販されている。しかしながら、これ
らTPEは、ゴムとしての広い用途分野の1つである加
硫ゴムの用途に於いて、品質面で加硫ゴムの水準には達
しておらず、従って、加硫ゴム分野での利用は極めて限
定されている。
【0003】例えば、ポリオレフィン系TPEは、比較
的安価で耐熱性、耐候性に優れている反面、軟質のもの
が得られず、最も柔軟なものでもJIS−A硬度(JI
S−K6301)で70程度であり、一般の加硫ゴムの
JIS−A硬度60に比べまだ硬すぎる。また、JIS
−A硬度70付近の低硬度領域における引張強度は25
〜45kg/cm2 で、加硫ゴムの約100kg/cm
2 に比べてかなり低い。ポリエステル系TPEやポリウ
レタン系TPEもまた、その市販品中最も柔軟なもので
もJIS−A硬度が80〜90で、加硫ゴムに比べて非
常に硬く、加硫ゴムの用途分野に適さない。
【0004】一方、スチレン−ブタジエン−スチレンブ
ロックポリマー(SBS)やスチレン−イソプレン−ス
チレンブロックポリマー(SIS)等のポリスチレン系
TPEは、前記のTPEに比べて柔軟性に富み、良好な
ゴム弾性を有するが、ポリマー内のポリブタジエンブロ
ックあるいはポリイソプレンブロックに二重結合を有し
ているため、耐熱老化性(熱安定性)および耐候性に問
題がある。
【0005】スチレンと共役ジエンのブロック共重合体
の分子内二重結合を水素添加することによって熱安定性
の向上したエラストマーを得ることができる。このエラ
ストマーをゴム成分とした熱可塑性エラストマーは、オ
レフィン系TPEに比べて柔軟性、ゴム弾性、強度とも
に優れているが、JIS−A硬度50付近で引張り強度
が70〜90kg/cm2 であり、加硫ゴムに比べ劣っ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、熱可
塑性エラストマーの優れた柔軟性、ゴム弾性、耐熱性、
耐候性、成形加工性等の物性を損なうことなく、かつ軟
化剤のブリードが少なく、加硫ゴムに近い機械的強度を
有する熱可塑性エラストマー組成物を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために種々の研究を重ねた結果、モノビニル置
換芳香族炭化水素ブロック・共役ジエンブロックからな
るブロック共重合体の水素添加誘導体、炭化水素系ゴム
用軟化剤、オレフィン系樹脂に、特殊な水添ジエン系ブ
ロック共重合体を必須成分として配合することにより、
柔軟性、ゴム弾性、耐熱性、耐候性、成形加工性に優
れ、かつ飛躍的に機械的強度が向上することを見いだし
て、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
【0008】
【化3】
【0009】 [ただし、式中のAはモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブロック、Bは共 役ジエンのエラストマー性重合体ブロックであり、nは1〜5の整数である] で表されるブロック共重合体の水素添加誘導体で、重量平均分子量が10万〜4 0万、共重合体中の重合体ブロック(A)の含有量が20〜40重量%の共重合 体 :30〜60重量% (ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤 :40〜70重量% 成分(イ)、(ロ)の合計100重量部に対して (ハ)オレフィン系重合体 :3〜100重量部
【0010】
【化4】
【0011】 (ただし、Cは1,2−ビニル結合の割合が20%以下のポリブタジエン重合体 ブロック、Dはビニル結合の割合が25〜95%である共役ジエン重合体ブロッ ク、nは1以上、mは2以上を示す。) で表される直鎖状共役ジエンブロック共重合体の水素添加誘導体である水添ジエ ン系ブロック共重合体 :3〜50重量部 からなる熱可塑性エラストマー組成物を提供するもので
ある。
【0012】
【発明の実施の形態】(イ)成分の重合体ブロック
(A)を構成する単量体のモノビニル置換芳香族炭化水
素は、好ましくはスチレンであり、α−メチルスチレン
等も用いられる。重合体ブロック(B)における共役ジ
エン単量体はブタジエンもしくはイソプレンが好まし
く、また、両者の混合物でも良い。重合体ブロック
(B)を形成するためにブタジエンが単一の共役ジエン
単量体として用いられる場合には、ブロック共重合体が
水素添加されて二重結合が飽和された後にエラストマー
性を保持する目的で、ポリブタジエンにおけるミクロ構
造中の1,2−ミクロ構造が20〜50%となる重合条
件を採用することが好ましく、特に1,2−ミクロ構造
が35〜45%のものが適している。
【0013】重合体ブロック(A)の前記共重合体中に
占める割合は20〜40重量%、好ましくは25〜35
重量%である。重合体ブロック(A)が20重量%未満
の場合には、得られる熱可塑性エラストマーの機械的強
度、ゴム弾性および耐熱性が劣る。また、重合体ブロッ
ク(A)が40重量%を越える場合には、柔軟性および
ゴム弾性に劣ると同時に軟化剤のブリードが悪化する。
【0014】また、上記(イ)成分の水添ブロック共重
合体の重量平均分子量は、10万〜40万、好ましくは
15万〜35万、更に好ましくは20万〜30万の範囲
である。重量平均分子量が10万未満では、得られる熱
可塑性エラストマーのゴム弾性および耐熱性に劣り、4
0万を越えると粘度が高く成形加工性に劣る。更に水添
ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射
状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよ
い。
【0015】ここで、「重量平均分子量」は、ゲル浸透
クロマトグラフィー(GPC)により次の条件で測定し
たポリスチレン換算の重量平均分子量である。 (条件)カラム:ポリスチレンミックスゲルカラム 溶 媒:o−ジクロロベンゼン 温 度:140℃ 流 速:1ml/分 注入量:200μl 濃 度:2mg/ml(酸化防止剤として2,6−ジ−
t−ブチル−p−フェノールを0.2重量%添加。濃度
検出は赤外分光光度計により波長3.42μmで測
定。) これらのブロック共重合体の製造方法としては、上記し
た構造が得られるものであればどのような製造方法でも
よい。例えば、特公昭40−23798号公報に記載さ
れた方法により、リチウム触媒等を用いて不活性溶媒中
でブロック重合させて得ることができる。
【0016】これらのブロック共重合体の水素添加処理
は、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−
6636号公報、あるいは特開昭59−133203号
公報および特開昭60−79005号公報に記載された
方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下に水
素添加される。この水素添加では、重合体ブロックB中
のオレフィン型二重結合の少なくとも50%、好ましく
は80%以上が水素添加され、重合体ブロックA中の芳
香族不飽和結合の25%以下が水素添加される。このよ
うな水素添加されたブロック共重合体としては、シェル
・ケミカル社より[KRATON−G]、クラレ社より
「セプトン」という商品名で市販されているものがあ
る。
【0017】本発明で(ロ)成分として用いられるゴム
用軟化剤としては、重量平均分子量が300〜2,00
0、好ましくは500〜1,500の炭化水素が用いら
れ、鉱物油系もしくは合成樹脂系が好適である。鉱物油
系軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖
の三者を組み合わせた混合物であって、パラフィン鎖炭
素数が全炭素中の50%以上を占めるものがパラフィン
系オイルと呼ばれ、ナフテン環炭素数が30〜45%の
ものがナフテン系オイルと呼ばれ、芳香族炭素数が35
%以上のものが芳香族系オイルと呼ばれて区分されてい
る。これらの中でゴム用軟化剤として好ましいものはパ
ラフィン系オイルである。
【0018】パラフィン系オイルとしては、40℃動粘
度が20〜800cSt、好ましくは50〜600cS
t、流動点が0〜−40℃、好ましくは0〜−30℃、
および、引火点(COC)が200〜400℃、好まし
くは250〜350℃のオイルが好適に使用される。合
成樹脂系軟化剤としては、ポリブテン、低分子量ポリブ
タジエン等が使用可能であるが、鉱物油系軟化剤の方が
好ましい。
【0019】本発明で(ハ)成分として用いられるオレ
フィン系重合体としては、オレフィンの単独重合体又は
共重合体を用いることができ、示差熱熱量計(DSC)
による融解ピーク温度が130℃未満のものは190
℃、130℃以上のものは230℃におけるメルトフロ
ーレート(JIS−K7210)が0.01〜100g
/10分、好ましくは0.05〜80g/10分、特に
好ましくは0.1〜60g/10分のものが使用され
る。まげ弾性率は500kg/cm2 以上、好ましくは
1,000〜20,000kg/cm2 、更に好ましく
は3,000〜15,000kg/cm2 が望ましい。
【0020】具体的には、エチレン系重合体、プロピレ
ン系重合体、ポリブテン−1およびポリ4−メチルペン
テン−1等が挙げられ、オレフィン系重合体として好ま
しくはエチレン系重合体およびプロピレン系重合体であ
る。エチレン系重合体には、例えば、高密度、中密度ま
たは低密度ポリエチレン、エチレン・プロピレン共重合
体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・ヘキセ
ン共重合体、エチレン・ヘプテン共重合体、エチレン・
オクテン共重合体、エチレン・4−メチルペンテン共重
合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アク
リル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合
体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタ
クリル酸エステル共重合体等が挙げられ、エチレン系重
合体として好ましいものは、高密度、中密度および低密
度ポリエチレンである。
【0021】また、プロピレン系重合体には、ポリプロ
ピレン、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・
ブテン−1共重合体、プロピレン・エチレン・ブテン−
1共重合体、プロピレン・4−メチレンペンテン−1共
重合体等が挙げられ、プロピレン系重合体として好まし
いものは、ポリプロピレンおよびプロピレン・エチレン
共重合体である。
【0022】本発明で(ニ)成分として用いられる水添
ジエン系ブロック共重合体は、1,2−ビニル結合の割
合が20%以下であるポリブタジエン重合体ブロック
(C)、共役ジエン部分のビニル結合の割合が25〜9
5%である共役ジエン重合体ブロック(D)からなり、
かつブロック構造が
【0023】
【化5】
【0024】[ただし、nは1以上、mは2以上]で表
される直鎖状ブロック共重合体の共役ジエン部分を80
%以上水素添加することによって得られる。(ニ)成分
中のブロック(C)は、水素添加により通常の線状低密
度ポリエチレンに類似の構造を示す結晶性の重合体ブロ
ックとなる。ブロック(C)中の1,2−ビニル結合含
量は20%以下であるが、好ましくは18%以下、さら
に好ましくは15%以下であることが望ましい。ブロッ
ク(C)中の1,2−ビニル結合含量が20%を越えた
場合には、水素添加後の結晶融点の降下が著しく、機械
的強度が劣り好ましくない。
【0025】次に、ブロック(D)に用いられる共役ジ
エンとしては、ブタジエンやイソプレンが挙げられ、ブ
タジエンが好ましい。ブロック(D)は水素添加によ
り、例えば共役ジエンがブタジエンの場合、ゴム状のエ
チレン−ブテン共重合体ブロックとなる。なお、ブロッ
ク(D)の共役ジエン部分のビニル結合含量は25〜9
5%、好ましくは25〜75%、さらに好ましくは25
〜55%であり、25%未満あるいは95%を越える
と、水素添加により、例えば共役ジエンがブタジエンの
場合、それぞれポリエチレン連鎖、ポリブテン−1連鎖
に由来する結晶構造を示し、樹脂状となり、柔軟性が劣
り好ましくない。
【0026】(ニ)成分中に占めるブロック(C)/
(D)の重量比率は、通常5/95〜90/10であ
り、好ましくは10/90〜85/15である。ブロッ
ク(C)が5重量%未満〔ブロック(D)が95重量%
を越える〕の場合には、結晶性の重合体ブロックが不足
し、機械的強度が劣り好ましくない。また、ブロック
(C)が90重量%を越える〔ブロック(D)が10重
量%未満〕場合には、柔軟性が不足し好ましくない。
【0027】さらに、本発明で使用される水添ジエン系
ブロック共重合体は、ブロック(C)およびブロック
(D)の共役ジエン部分の二重結合の少なくとも80
%、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以
上が水素添加されて飽和されていることが必要であり、
80%未満では耐熱性、耐候性、強度が劣る。水添ジエ
ン系共重合体の重量平均分子量は5万〜40万であり、
好ましくは10万〜30万、さらに好ましくは15万〜
25万である。5万未満では耐熱性、強度、流動性、加
工性が低下し、40万を越えると流動性、加工性、柔軟
性が劣り好ましくない。ここで「重量平均分子量」は、
GPCにより上記(イ)成分と同様の方法で測定したも
のである。
【0028】本発明で用いる水添ジエン系ブロック共重
合体は官能基で変性してもよく、酸無水物基、カルボキ
シル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イソシアナート基
およびエポキシ基から選ばれた少なくとも1種の官能基
を有する不飽和化合物を用いて、ニーダー、ミキサー、
押出機などで変性することができる。本発明の水添ジエ
ン系ブロック共重合体は、特開平3−128957に開
示されたように、リビングアニオン重合し、さらに水素
添加することで製造される。本発明の(ニ)成分水添ジ
エン系ブロック共重合体としては、上記のものを単独あ
るいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。これら
のなかでは、
【0029】
【化6】
【0030】(nは1または2、mは2〜4)で表され
る直鎖状のブロック共重合体に基づくものが好ましく、
より好ましくはC−D−C、または(C−D)2 、特に
好ましくはC−D−C型のものである。このような水添
ジエン系ブロック共重合体としては、日本合成ゴム社よ
り「ダイナロン」という商品名で市販されているものが
ある。
【0031】本発明の熱可塑性エラストマーを構成する
各成分の配合割合は、(イ)成分と(ロ)成分の合計量
に対して、(イ)成分が30〜60重量%、好ましくは
35〜55重量%である。(イ)成分量が30重量%未
満では、得られる熱可塑性エラストマーのゴム弾性およ
び耐熱性が劣り、軟化剤のブリード性が悪化する。
(イ)成分が60重量%を越えるものは柔軟性および成
形加工性が悪化する。
【0032】(ハ)成分の配合量は、(イ)成分と
(ロ)成分の合計量100重量部に対して3〜100重
量部、好ましくは4〜75重量部、さらに好ましくは5
〜50重量部である。3重量部未満の配合では得られる
熱可塑性エラストマーの成形加工性が劣り、100重量
部を越える配合は、熱可塑性エラストマーの柔軟性が失
われると同時に軟化剤のブリード性を悪化させる。
【0033】(ニ)成分の配合量は、(イ)成分と
(ロ)成分の合計量100重量部に対して3〜50重量
部、好ましくは4〜40重量部、さらに好ましくは5〜
30重量部である。3重量部未満の配合では強度改良効
果は発現されず、50重量部を越える配合は、熱可塑性
エラストマーの柔軟性が失われると同時に成形加工性が
悪化する。本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、
樹脂必須成分に加えて、本発明の効果を著しく損なわな
い範囲で各種目的に応じ他の任意の配合成分を配合する
ことができる。
【0034】任意成分としては、例えば、酸化防止剤、
熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防
曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、分散剤、着
色剤、難燃剤、帯電防止剤、導電性付与剤、架橋剤、架
橋助剤、金属不活性化剤、分子量調整剤、防菌剤、蛍光
増白剤等の各種添加物、上記必須成分以外の熱可塑性樹
脂、上記必須成分以外のエラストマー、フィラー等を挙
げることができ、これらの中から任意のものを単独でま
たは併用して用いることができる。
【0035】ここで、必須成分以外の熱可塑性樹脂とし
ては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)
アクリル酸エステル共重合体のようなエチレン・α−オ
レフィン共重合体、ポリエチレン、ポリブテン−1樹脂
等のポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹
脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系樹脂、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート等のポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレンホモ
ポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキ
シメチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等
を挙げることができる。
【0036】また、任意のエラストマーとしては、例え
ば、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチ
レン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPD
M)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレ
ン・プロピレン・ブテン共重合ゴム等のエチレン系エラ
ストマー;スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレ
ン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラストマ
ー;ポリブタジエン等を挙げることができる。更に、フ
ィラーとしては、ガラス繊維、中空ガラス球、炭素繊
維、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、チタン酸カリウ
ム繊維、シリカ、二酸化チタン、カーボンブラック等を
挙げることができる。
【0037】本発明の熱可塑性エラストマー組成物の製
造においては、上記各成分を機械的溶融混練する通常の
方法によって製造することができる。該機械的溶融混練
において用いられる溶融混練機としては、例えば、単軸
押出機、二軸押出機、ブラベンダープラストグラフ、バ
ンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ロール等を挙
げることができ、好ましくは145〜300℃の温度範
囲で各成分を混練りすることによって得ることができ
る。混練りするにあたり、各成分を一括混練りしてもよ
く、また、任意の成分を混練りしたのち、残りの成分を
添加し混練りする多段分割混練り法を取ることもでき
る。
【0038】上記熱可塑性エラストマー組成物は、従来
公知の方法、射出成形(インサート成形法、二色成形
法、サンドイッチ成形法、ガスインジェクション成形法
等)、押出成形、インフレ成形、Tダイフィルム成形、
ラミネート成形、ブロー成形、中空成形、圧縮成形、カ
レンダー成形等の成形法により実用上有用な成形品に加
工することができる。このようにして得られた成形品
は、自動車部品、家電部品等の工業部品、食品包装材、
医療機器部品、什器部品、日用雑貨品等に用いることが
できる。
【0039】
【実施例】以下に示す実験例によって、本発明を具体的
に説明する。これら実施例および比較例は、以下に示す
評価方法によって評価を行った。ただし、測定試料は、
全てインラインスクリュータイプ射出成形機(東芝機械
(株)製小型射出成形機:IS90B)にて、射出圧力
500kg/cm2 、射出温度200℃、金型温度40
℃の条件下にて成形し、120mm×80mm×2mm
厚シートの横方向打ち抜きにより得たものである。
【0040】(1)柔軟性 JIS−K6301に準拠し、JIS−A硬度を測定し
た。 (2)ゴム弾性および耐熱性 JIS−K6301に準拠し、圧縮永久歪み(70℃×
22時間)〔%〕を測定した。 (3)機械的強度 3号ダンベルで打ち抜き、JIS−K6301に準拠
し、引張破断点強度〔kg/cm2 〕を測定した。 (4)軟化剤のブリード 射出成形シートを常温下で30日間静置した後に表面の
ベタツキの有無を目視にて評価した。 (5)成形加工性 上記の成形条件で得られた射出成形シートにおいて、シ
ーョトショットが無く、かつフローマーク等の著しい外
観不良が無い場合、成形加工性を良好とした。
【0041】また、実施例および比較例で用いた配合成
分は次のとおりである。(イ)成分 モノビニル置換芳香族炭化水素・共役ジエンブロック共
重合体の水素添加誘導体(イ−1〜9)のブロック構
造、重合体ブロック(A)および(B)を構成する単量
体、重量平均分子量、重合体ブロック(A)含有量は表
1に示すとおりである。
【0042】
【表1】
【0043】(ロ)成分 (ロ−1)炭化水素系ゴム用軟化剤:パラフィン系オイ
ル 出光興産社製「PW380」 40℃動粘度 :381.6cSt 流動点 :−15℃ 引火点 :300℃ 重量平均分子量:746
【0044】(ハ)成分 (ハ−1)オレフィン系樹脂:高密度ポリエチレン 三菱ポリエチ−HD「HJ490」 密度 :0.958 MFR:20g/10分(190℃、2.16kg) 弾性率:11,000kg/cm2 (ハ−2)オレフィン系樹脂:ポリプロピレン 三菱ポリプロ「MA2P」 MFR:16g/10分(230℃、2.16kg) 弾性率:14,000kg/cm2 (ハ−3)オレフィン系樹脂:プロピレン・エチレン共
重合体 三菱ポリプロ「FG3D」 MFR:10g/10分(230℃、2.16kg) 弾性率:10,000kg/cm2
【0045】(ニ)成分 (ニ−1)水添ジエン系ブロック共重合体:直鎖状で共
役ジエンがブタジエン(直鎖状CEBC) 日本合成ゴム社製「ダイナロン6100P」 重量平均分子量 :20.3万 末端疑似LDPE部(C)含量:30重量% (ニ−2)水添ジエン系ブロック共重合体:分岐状で共
役ジエンがブタジエン(分岐状CEBC) 日本合成ゴム社製「ダイナロン6160P」 重量平均分子量 :22.6万 末端疑似LDPE部(C)含量:17重量%
【0046】実施例1〜9および比較例1〜12 表2〜表3に示す配合量(重量部)にて配合した組成物
の合計量100重量部に対して、フェノール系酸化防止
剤(商品名「イルガノックス1010」)0.1重量部
を添加し、L/D=33、シリンダー径45mmの二軸
押出機を用いて200℃の温度に設定して溶融混練させ
て熱可塑性エラストマー組成物のペレットを得た。この
ペレットを上記の通り射出成形してシートとし、この得
られたシートを上記の評価に供した。これらの評価結果
を表2〜3に示す。表2に示す実施例1〜9の結果か
ら、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、表3に示
す比較例1〜12に比べて柔軟性、ゴム弾性、耐熱性、
成形加工性のバランスに優れ、かつ軟化剤のブリードが
無く、さらに水添ジエン系ブロック共重合体を配合する
ことにより著しく機械的強度に優れることがわかる。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【発明の効果】本発明の熱可塑性エラストマー組成物
は、柔軟性、ゴム弾性、耐熱性、機械的強度および成形
加工性に優れ、特殊な水添ジエン系ブロック共重合体を
配合することにより、特に機械的強度に優れている。本
発明の熱可塑性エラストマー組成物は、上記のような優
れた特性を有する材料であり、食品用途、日用雑貨用
途、玩具・運動用具用途、デスクマットなどの文具用
途、自動車内外装用途、土木シート、防水シートなどの
土木・建築用途、AV・家電機器用途、OA・事務機器
用途、衣料・履き物用途、テキスタイル用途、各種カテ
ーテル等の医療用機器用途、紙オムツ・生理用品等の衛
生用品、化学・鉱工業用資材、包装輸送用資材、農・畜
・水産資材等に利用可能である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 【化1】 [ただし、式中のAはモノビニル置換芳香族炭化水素の重合体ブロック、Bは共 役ジエンのエラストマー性重合体ブロックであり、nは1〜5の整数である] で表されるブロック共重合体の水素添加誘導体で、重量平均分子量が10万〜4 0万、共重合体中の重合体ブロック(A)の含有量が20〜40重量%の共重合 体 :30〜60重量% (ロ)炭化水素系ゴム用軟化剤 :40〜70重量% 成分(イ)、(ロ)の合計100重量部に対して (ハ)オレフィン系重合体 :3〜100重量部 【化2】 (ただし、Cは1,2−ビニル結合の割合が20%以下のポリブタジエン重合体 ブロック、Dはビニル結合の割合が25〜95%である共役ジエン重合体ブロッ ク、nは1以上、mは2以上を示す。) で表される直鎖状共役ジエンブロック共重合体の水素添加誘導体である水添ジエ ン系ブロック共重合体 :3〜50重量部 からなることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成
    物。
  2. 【請求項2】 (ハ)成分が、エチレン系重合および/
    またはプロピレン系重合体である、請求項1に記載の熱
    可塑性エラストマー組成物。
  3. 【請求項3】 (イ)成分の重合体ブロック(B)が
    1,2−ビニル結合含有量20〜50%のポリブタジエ
    ンの水素添加物である請求項1記載の熱可塑性エラスト
    マー組成物。
  4. 【請求項4】 (ロ)成分が、40℃動粘度が20〜8
    00cSt、流動点が0〜−40℃、重量平均分子量が
    300〜2,000のパラフィン系オイルである請求項
    1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 【請求項5】 (ニ)成分が、ブロックCを5〜90重
    量%、ブロックDを95〜10重量%含有し、二重結合
    の少なくとも80%が水素添加されてなるブロック共重
    合体である請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成
    物。
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