本発明はエチレンベースポリマー及び改質剤、特に液体改質剤を含むポリエチレン組成物に関する。より具体的には、本発明は、エチレンポリマーの分子量を維持しつつ、融点及び他の性質を損なわずに、柔軟性、軟度、透明度、引裂き耐性、低温衝撃耐性、及び/又は加工性が改善されたポリエチレン組成物に関する。
フィルム及び繊維を含む多くのポリオレフィン製品において、柔軟性及び軟度を併せ持ち、最終用途の温度が高い場合に、その緒性質を保持できることは好ましい性質である。射出成形及び回転成形加工技術により製造されるような、その他のポリオレフィン製品において、堅牢性は重要な性質であり、特に、低温における堅牢性及び衝撃耐性が重要である。低融解粘度(高溶融流量)は、サイクルタイムを減らし、又は処理温度を低め、加工工程において必要とする温度及び/又はエネルギーを減らすことから、大部分のポリオレフィン加工工程において好ましい性質である。
ポリエチレンタイプのレジンについて、柔軟性及び堅牢性を改善するための最も一般的な手段は、コモノマーを添加して結晶化度(従って密度も同様に)を低くすることである。しかしながら、この手段は融点も低めてしまう。低融解粘度を実現する従来の手段は、レジンの分子量を低くし、及び分子量分布を分散させることである。しかしながら、両方法は破壊耐性又は衝撃耐性等を低くすることから、ポリオレフィン製品の最終的な物理的性質に悪影響を及ぼす。必要とされている方法は、柔軟性又は堅牢性等の物理的性質を改善しつつ、同時に融解粘度を低くするような方法である。密度、メルトインデックス及び組成に基づいて各別売られているポリエチレンのタイプを選択することよりも、必要に応じてこれらのパラメータを連続的に変化させることができるならば、製造環境において更に有利である。
可塑剤又は他の物質をポリオレフィンに加えることは、これらの必要性を追求する一方法である。この様な目的を意図した特許を開示しているものに、US 4,960,820、US 4,132,698、US 3,201,364、及びWO 02/31044、WO 01/18109 Al、及びEP 0 300 689 A2がある。これらの開示においては芳香族及び/又は他の官能基を有する、ミネラルオイル等の物質とブレンドされたポリオレフィン及びエラストマーを対象としている。ミネラルオイル自身がポリオレフィンよりもより粘性が低いことから、通常、ミネラルオイルを添加すると、粘度が低下する。
ミネラルオイル様の物質を添加すると、ポリオレフィンの柔軟性を改善する、従ってこのような化合物は一般的に「可塑剤」と定義されている。すなわち、プラスチック又はエラストマーの柔軟性、加工性、又は伸張性を改善する物質である。ミネラルオイルは、ポリオレフィンにおいて、他の使用目的の他に、増量剤としても用いられている。しかしながら、これらの添加化合物の使用は、通常、とりわけ、ポリオレフィンの光学特性(例えば、色及び/又は透明度)を阻害する。ポリオレフィン組成物の軟化点も低くなり、組成物を高い温度で使用した場合、ポリオレフィンの融点も維持できない。更に、そのような添加剤化合物は流動点が高く(通常−20℃以上であるが、−10℃より高いものもある)、ポリオレフィンの低温における堅牢性を僅かにしか、あるいは全く改善しない。
低温での性質を改善するために、従来は、低分子重量のアモルファス化合物を可塑剤として選択している。低分子量化合物は低粘性であるため、ポリエチレン組成物の融解粘度を低め、加工性を改善するために選択されている。しかしながら、この手段はしばしば問題を引き起こしている。例えば、全部、又は一部の添加剤が表面に移動し、高速でエバポレートをすることがあるので、経時的に性質が劣る。引火点が充分に低いならば(例えば、200℃未満)、このような化合物は煙を発生し、融解工程の間大気中に放出されてしまう。このことは、ポリオレフィンの浸出も生じさせてしまい、この可塑化ポリオレフィンから製造された製品と接触した、食品、衣類、及び他の製品を劣化させてしまう。このことは最終製品において、粘着及又は他の表面に関する問題も引き起こす可能性がある。低温性質を改善しつつ、可塑剤の移行、浸出及び/又はエバポレート性能において、優れた化合物が必要されている。
典型的な添加剤化合物の他の欠点は、それらは不飽和炭素及び/又はヘテロ原子に起因する官能価(官能基)の程度が高い(5重量%以上)ことである。これらの官能基は前記添加剤を活性化し、熱的に不安定にし、及び/又はポリマーとの適合性を悪くする。ミネラルオイルは特に、数千の異なる化合物から構成されており、これらの化合物は分子量又は化学的組成の観点からポリオレフィンに用いるには好ましくない。中温乃至高温下において、これらの化合物は揮発し、酸化防止剤が添加された場合でも酸化する。それらは分子量、架橋の減少又は変色を含む融解工程及び加工工程の間の問題の原因でもある。
ミネラルオイル等の典型的な添加剤化合物の性質は最終的な可塑化ポリオレフィンの性能を限定し、それゆえ、多くの製品への使用に好ましくない。従って、それらはポリオレフィンの改質剤としては好ましくない。これらの欠点を克服した改質剤が求められている。更に、前記改質剤は、ポリオレフィンの融点を維持しつつ、柔軟性及び堅牢性を改善するものでなければならない。理想を言えば、前記改質剤は、好ましくない浸出及び抽出を避けるための充分な分子量を維持しつつ、低い流動点を有するものが好ましい。このことは、光学性質、表面性質、熱安定性、及び/又は酸化耐性等に影響をおよぼしてもならない。
パラフィンなどの単純な非官能化化合物を使用することによってポリオレフィンを可塑性にすることができれば望ましい。しかしながら、脂肪族又はパラフィン系化合物はポリオレフィンの特性を損なうことが知られているので、それらは推奨されない。(例えば、CHEMICAL ADDITIVES FOR PLASTICS INDUSTRY 107−116 (Radian Corp., Noyes Data Corporation, NJ 1987);WO 01/18109 A1参照)。
ポリオレフィンと可塑剤の組合せの例としては、WO2004/014998はプロピレンベースポリマーと各種非官能化可塑剤とのブレンドを開示する。WO98/44041はフッ素を含まないポリオレフィン又はポリオレフィン混合物と、オリゴマーポリアルファオレフィンタイプの物質であることを特徴とする可塑剤とを含むプラスチック基質ブレンドを含む、特に食品の包装に好適な構造を有するプラスチックベースのシート状物質を開示する。US 4,536,537は、LLDPE(UC7047)と、ポリプロピレン(5520)と、38℃(100°F)で4.0乃至6.5cStの粘度を有するSynfluid 2CS、4CS又は6CSとのブレンド(配合物)を開示するが、Synfluid 4CSと8CSは「機能しない」と報告されている(第3欄第12行)。
他の関連する参照文献は、EP0448259A、EP1028145A、US 4,073,782、US 3,415,925、US 5,869,555、US 4,210,570、US 4,110,185、GB 1,329,915、US 3,201,364、US 4,774,277、JP 01282280、FR 2094870、JP 69029554、Rubber Technology Handbook, Werner Hoffman, Hanser Publishers, New York, 1989, pg294−305、及び Additives for Plastics. J. Stepek, H. Daoust, Springer Verlag, New York, 1983, pg−6−69を含む。
一定のミネラルオイルは、その粘度指数と、含有飽和物及び含有硫黄の量に従い、全米石油協会(API)によって炭化水素ベースストックGroupI、II又はIIIとして分類されてきた。GroupIベースストックは溶剤精製のミネラルオイルである。このミネラルオイルは最も多くの不飽和物と硫黄を含んでいて、最も低い粘度指数を持ち、潤滑剤性能の低いグループを形成する。GroupIベースストックは生産費用が最も安く、現在のところ、「現行型」のベースストックの大部分を占める。GroupIIとIIIはGroupIベースストックよりも精製度が高く、ハイドロプロセスによる潤滑剤として性能も高い。高粘度指数ベースストックである。これは水処理されたミネラルオイルである。GroupII及びIIIのミネラルオイルはGroupIよりも不飽和物と硫黄の含有量が少なく、また、GroupIIIベースストックは、GroupIIのものよりも高い粘度指数を有する。また、API分類に追加して、GroupIVとVという追加的ベースストックがベースストック産業で使用される。ルドニック(Rudnick)とシュブキン(Shubkin)は、Synthetic Lubricants and High−Performance Functional Fluids, Second edition (Marcel Dekker, Inc. New York, 1999)において、ベースストックの5つのグループを通常以下の通りであると説明している。
GroupI−硫黄濃度が0.03重量%を超え、飽和物濃度が60〜80%であり、粘度指数が約90であるミネラルオイルで、芳香族溶剤抽出と、溶剤脱蝋と、含有硫黄量を減らすための水素化精製を使用して精製されるミネラルオイル;
GroupII−従来の芳香族溶剤抽出と、溶剤脱蝋を用い、かつ、硫黄濃度を0.03重量%以下に減少させると共に、若干のオレフィン系又は芳香族化合物の二重結合を取り除くために、より厳しい水素化精製を行い、飽和物濃度が95−98%を超えかつVI(粘度指数)が約80−120である穏やかに水添分解されたミネラルオイル;
GroupIII−若干のオイルの飽和物濃度が実質的に100%、硫黄含有量が0.03重量%以下(好ましくは、0.001乃至0.01%)、かつ、VIが120を超える厳しく水素化処理されたミネラルオイル;
GroupIV−6つ以上の炭素原子を持つ線状オレフィンの触媒使用オリゴマー化によって製造されたポリーアルファオレフィン炭化水素液体。しかしながら、産業界では、グループIVのベースストックは「ポリアルファオレフィン」と呼ばれ、C4及びそれ以上のαオレフィンをオリゴマー化することによって製造された合成ベースストック流体の1分類と一般に考えられている;
GroupV−エステル、ポリエーテル、ポリアルキレングリコール、及びGroupI、II、III及びIVに含まれない他のすべてのベースストックを含む。
ミネラルオイルを添加してポリエチレンの性質を改善する従来の試みは、GroupI及びGroupIIのミネラルオイルを用いていた。ミネラルオイルがAIPグループ分類で定義されていない場合、ミネラルオイルは「プロセス油」、「ホワイト油」「食用油」等と称されている。このようなミネラルオイルは粘度指数のみから、120未満のIV(GroupI及びGroupIIのミネラルオイルに類似)及び、120より大きいIVの、2つのクラスに分類される。本発明の特定の態様は、GroupI及びGroupII及びIV<120のミネラルオイル及びその他のミネラルオイルを含まず、IVが120以上の物質に関係する。
我々は、好ましくは分岐パラフィンを含む、特定の炭化水素改質剤(好ましくは特定の液体)、が好適にポリエチレンを可塑化して、ミネラルオイルの使用において見られた劣化を起こすことなく、レジンの融点及び分子量を変更することなく、ポリエチレンの物理的性質を改善し、その融解粘度を低めることを発見した。更に、これらの液体炭化水素改質剤の添加は、別のポリエチレングレードを利用することのみでは実現できなかった、即時必要性を有する、連続スケールにおいて、従来問題となっていたポリエチレンの性質を変更する手段を提供する。更に、異なる密度及び組成を有する従来のポリエチレンを利用した製品と比較して、物理的性質及び熱的性質の間に異なる関係を有する製品を得た。このことは、成形製品において新たなで有利な性質を提供する。
発明の概要
本発明は1つ以上のエチレンポリマー及び1つ以上の改質剤、好ましくは液体改質剤を含むポリエチレン組成物に関する。
本発明は更に、(組成物の重量に基づいて)25重量%より多い、20,000g/モル以上のMwを有する、1つ以上のエチレンポリマーと、少なくとも0.1重量%の液体炭化水素改質剤を含む組成物に関し、前記改質剤は、
1) 120以上の粘度指数と、
2) 100℃において3乃至3000cStの動粘度と、
3) −10℃以下の流動点と、
4) 200℃以上の引火点と、
5) 0.86未満の比重(15.6℃)を有することを特徴とし、
前記改質剤が、水酸化物、アリ−ル、及び 置換アリ−ル、ハロゲン、アルコキシ、カルボン塩酸、エステル、アクリレート、酸素、窒素、及びカルボキシルから選択される官能基を、前記改質剤の重量に基づいて5重量%未満含むことを特徴とする。
具体的に、本発明は、1つ以上のエチレンポリマー及び1以上の改質剤を含むポリエチレン組成物に関係する。前記改質剤はC5乃至C14オレフィンのオリゴマー又はポリマーを含むポリアルファオレフィンである。各液体改質剤又は液体改質剤の組合せは120以上の動粘度、及び好ましくは100℃において3乃至3000cStの動粘度を有し、好ましくは−10℃未満の流動点を有する。
本発明は、1つ以上のエチレンポリマー及び1以上の液体改質剤を含むポリエチレン組成物に関係する。前記液体改質剤はC5乃至C14オレフィンのオリゴマー又はポリマーを含み、各改質剤又は改質剤の組合せは120以上の粘度指数を有し、可塑化された組成物が18乃至25重量%の直鎖低密度ポリエチレン(0.912乃至0.935g/cc及び/又は16dg/分のメルトインデックスを有する)を含み、4乃至10重量%の高度に枝分かれした8乃至12の炭素数を有するダイマーアルファオレフィンの水素化物であるポリアルファオレフィンを含む場合、前記組成物は78乃至65時のポリオレフィンホモポリマーを含まない。
本発明は、1つ以上のエチレンポリマー及び1以上の液体改質剤を含むポリエチレン組成物に関係する。前記液体改質剤は300乃至3,000g/モルの数平均分子量を有するGroupIIIベースストック組成物を含む。
本発明は、1つ以上のエチレンポリマー及び1以上の液体改質剤を含むポリエチレン組成物に関係する。前記液体改質剤は、直鎖及び分岐パラフィンを含む、C20乃至C1500パラフィンを含み、好ましくはC30乃至C400パラフィン、より好ましくはC40乃至C250パラフィンを含む。前記パラフィンは100℃において6乃至300cStの動粘度を有することが好ましい。
本発明は、1つ以上のエチレンポリマー及び1つ以上の液体改質剤を含むポリエチレン組成物に関係する。前記液体改質剤は、1つ以上の気体−液体方法により製造された300乃至10,000g/モルの数平均分子量を有する直鎖及び/又は分岐パラフィン系炭化水素組成物を含む。
本発明は、1つ以上のエチレンポリマー及び1以上の液体改質剤を含むポリエチレン組成物に関係する。前記液体改質剤は−10℃以下、好ましくは−15℃以下、より好ましくは−25℃以下、より好ましくは−30℃以下の流動点、及び300g/モル以上の、好ましくは500g/モル以上の数平均分子量を有する。
定義
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、ポリマー又はオリゴマーがオレフィンを含むと言う場合は、ポリマー又はオリゴマー中に存在するオレフィンは、それぞれオレフィンの重合した形、又はオリゴマー化した形である。同様に、ポリマー(polymer)の語は、ホモポリマー及びコポリマーをも含む。更にコポリマー(copolymer)は2つ以上のモノマーを含む任意のポリマーも含む。従って、本明細書で用いる「ポリエチレン」、「エチレンポリマー」、及び「エチレンプラストマー」の語は、少なくとも50モル%のエチレン単位(好ましくは少なくとも70モル%のエチレン単位、より好ましくは少なくとも80モル%のエチレン単位、より好ましくは少なくとも90モル%のエチレン単位、より好ましくは少なくとも95モル%のエチレン単位、又は100%のエチレン単位)を含み、20モル%未満のプロピレン単位(好ましくは15モル%未満、好ましくは10モル%未満、好ましくは5モル%未満、好ましくは0モル%のプロピレン単位)を含むポリマー又はコポリマーを意味し、以下で定義するようにEPゴム由来のエチレンは含まない。更に、「ポリエチレン組成物」の語は、1つ以上のポリエチレン成分のブレンドを意味する。
本発明の目的との関係においては、オリゴマーは、以下の試験方法において、液体性質で説明する方法を用いて測定したときに10,000g/モル未満の数平均分子量(Mn)を有するものであると定義される。
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、0.86g/cm3以下の密度を有するエチレンポリマーをエチレンエラストマー又はエラストマーと言う。0.86g/cm3より大きく0.91g/cm3より小さい範囲の密度を有するエチレンポリマーをエチレンエプラストマー又はプラストマーと言う。0.910乃至0.940g/cm3の密度を有するエチレンポリマーを低密度ポリエチレン(LDPE)(LEDPは、フリーラジカル触媒を用いて製造されたこの密度の幅のエチレンポリマーのほかに、異種触媒を用いて製造されたこの幅の密度を有する直鎖低密度ポリエチレン「LLDPE」を含む)と言う。0.94g/cm3より高い密度のエチレンポリマーは高密度ポリエチレン(HDPE)という。これらの定義において、密度は以下の試験方法の章で述べる方法を用いて測定される。
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、「EPゴム」は、エチレン及びプロピレンのコポリマーであると定義され、任意でジエンモノマーも含み、化学的架橋(すなわち、硬化)されていてもいなくても良い。エチレン含量が35乃至80重量%、ジエン含量が0乃至15重量%、及び残りはプロピレンである。前記コモノマーは(ASTMD1646で測定される)15乃至100のムーニー粘度(ML(1+4)@125℃を有する。本発明の目的との関係及び請求の範囲において、「EPDM」又は「EPDMゴム」はジエンを有するEPゴムであると定義される。
本発明の目的との関係において、「液体」は、0℃以上で、好ましくは−20℃以上で、不明確な融点を有さず、100℃において3000cSt以下の、好ましくは1000cSt以下の動粘度、及び/又は40℃において、35,000cSt以下、好ましくは10,000cSt以下の動粘度を有するものであると定義される。
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、C4アルファオレフィンの語は、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレンの全ての異性体、及びこれらの混合物等を含む。
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、GroupI、II及びIIIベースストックは以下の性質を有するミネラルオイルであると定義される。
飽和(重量%)、硫黄(重量%)、及び粘度指数は、それぞれASTM D2007、ASTM D2622、及びASTM D2207により測定した。
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、GroupIVベースストックは、5以上の炭素原子、好ましくは6以上の炭素原子、好ましくは8以上の炭素原子を有する直鎖アルファオレフィンを、触媒を用いてオリゴマー化、又はポリマー化して製造される「ポリアルファオレフィン」と定義される。前記ポリアルファオレフィンは、アイソタクチック又はシンジオテクチック及び/又はアタクチックを含むタクチシティーの程度により特徴付けられる。他の態様において、ポリアルファオレフィンは50%より多い、好ましくは60%より多い、13C NMRにより測定されるメソダイアドを有する。他の態様において前記ポリアルファオレフィンは、50%より多い、好ましくは60%より多い、13C NMRにより測定されるラセミダイアドを有する。
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、「パラフィン」の語は、n−パラフィン、分岐パラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン、及び脂環式等の全異性体、及びこれらのブレンドを含み、当該分野においてよく知られている方法を用いるか、原油を精製することにより、本明細書で述べる好ましい改質剤に必要とされる性質を備えた改質剤を製造する。イソパラフィンは、各パラフィン鎖の少なくとも1部分の間にC1乃至C18アルキル分岐を有するパラフィン鎖を意味する。より具体的には、イソパラフィンは、少なくとも3つの炭素原子又は少なくとも1つの側鎖に結合している、少なくとも1つの原子を有する分子である、脂肪族炭化水素(すなわち、1つ以上の第三又は第四炭素原子を有する分子)を意味する。イソパラフィンは、通常、マイナー成分である、分岐した側鎖を有するシクロパラフィンを有する。複数のアルキル分岐を有するイソパラフィンはこれらの分岐の部位及び立体配置の任意の組合せを含む。
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、「ミネラルオイル」の語は、(蒸留、溶媒処理、水素処理及び/又は脱ろう等の)精製工程を受けて精製油になった、石油を基とする油を意味する。この語は、過酷な処理工程を通じて大規模に精製及/又は修飾された石油に基づく油も含む。本発明の目的との関係及び請求の範囲において、合成油は、触媒及び/熱を用いてモノマー単位を結合して製造された油である。
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、所与の組成物中の改質剤の量は以下の試験方法の章で述べる方法により測定される。
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、融点を参照、及び融点の幅が記載されている場合、前記融点は、以下の試験方法の章で述べるように、示差走査熱量計(DSC)トレースからの融解のピークを意味する。1つ以上の融解ピークが存在する場合、第一及び第二融解ピークの中で最もおおきなピークを採用し、最も高い温度におけるピークは採用しない。従って、本明細書における融点は、物質の熱量反応に大きく依存している。
発明の詳細な説明
本発明は1つ以上のエチレンポリマー及び1つ以上の改質剤、好ましくは液体組成物を含む組成物に関する。
組成物
通常、エチレンポリマーは本発明の組成物中に、25重量%以上、好ましくは40重量%以上、及び他の態様において50乃至99.9重量%、及び更なる態様において60乃至99重量%、及び更なる態様において70乃至98重量%、及び更なる態様において80乃至97重量%、及び更なる態様において90乃至99重量%存在する。好ましい幅は、上記任意の上限値及び任意の下限値の組合せであっても良く、重量%は組成物の重量に基づく。
他の態様において前記エチレンポリマーは、エチレンポリマーと改質剤との合計の重量に基づいて、50乃至99.99重量%、あるいは60乃至99重量%、あるいは70乃至98重量%、あるいは80乃至97重量%、あるいは90乃至96重量%存在し、前記改質剤はエチレンポリマーと改質剤との合計の重量に基づいて、50乃至0.01重量%、あるいは40乃至1重量%、あるいは30乃至2重量%、あるいは20乃至3重量%、あるいは10乃至4重量%存在する。
他の態様において、前記改質剤は本発明の組成物中に、0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、及び他の態様において60乃至0.1重量%、他の態様において50乃至0.5重量%、及び更なる態様において40乃至1重量%、及び更なる態様において30乃至3重量%、及び更なる態様において20乃至2重量%、及び更なる態様において10乃至0.1重量%存在する。好ましい幅は、上記任意の上限値及び任意の下限値の組合せであっても良く、重量%は組成物の重量に基づく。他の態様において前記改質剤はエチレンポリマー及び改質剤の重量に基づき、3重量%より多く存在する。
本発明の好ましい組成物は、可塑剤の性能がASTM D1203(0.25mm厚シート、70℃のオーブンで300時間乾燥)により決定された場合、修飾組成物の重量が3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満の重量減少しか示さないことにより特徴付けられる。本明細書において重量の減少は、同様の条件において修飾されていないポリエチレンの測定値を基準とした重量の減少を意味する。
他の態様において、本発明の前記ポリエチレン/改質剤組成物は、組成物の重量に基づいて、50重量%未満(好ましくは40重量%未満、好ましくは30重量%未満、好ましくは20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%)のプロピレンホモポリマー又はコポリマーを含む。プロピレンホモポリマー又はコポリマーは少なくとも50モル%のプロピレンモノマー単位を含むポリマーである。
他の態様において、本発明の前記ポリエチレン/改質剤組成物は、組成物の重量に基づいて、50重量%未満(好ましくは40重量%未満、好ましくは30重量%未満、好ましくは20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%)のEPゴムを含む。
他の態様において、前記エチレンポリマーは0%ジエンを含む。他の態様において、組成物中に存在する全エチレンポリマーの総ジエン含量は0%である。他の態様において、前記エチレンポリマーは(エチレンポリマーの重量に基づいて)30重量%未満、好ましくは20重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは2.5重量%未満、好ましくは1重量%未満のジエンを含み、好ましくは0.86g/cm3、好ましくは0.87g/cm3の密度を有する。
他の態様において、前記ポリエチレン/改質剤組成物は、組成の重量に基づいて、50重量%未満の、好ましくは40重量%未満、好ましくは30重量%未満、好ましくは20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満のエチレンエラストマーを含む。
他の態様において、前記ポリエチレン/改質剤組成物は、US6,639,020に記載されているように、エチレンのコポリマー又はコオリゴマー及び1つ以上のアルファ−オレフィンを更に含む。
他の態様において、本発明の前記ポリエチレン/改質剤組成物は、組成物の重量に基づいて、20重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは1重量%未満の、40℃における動粘度が10,000cStであるイソプレン及び/又はブタジエンの液体ホモポリマー又はコポリマーを含む。他の態様において、本発明の前記ポリエチレン/改質剤組成物は20重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは1重量%未満の、40℃における動粘度が2,000cSt及び20cStの間であるイソプレン及び/又はブタジエンの液体ホモポリマー又はコポリマーを含む。
改質剤
本発明のポリエチレン組成物は改質剤、好ましくは液体改質剤(以後、単に「改質剤」という)を含む。本明細書において改質剤として用いることができる各種クラスの物質は、所望の性質を実現するために、単独で又は組合せて用いることができる。
1つの態様において、本発明の改質剤は、炭素及び水素を含む化合物であるが、水酸化物、アリ−ル、及び 置換アリ−ル、ハロゲン、アルコキシ、カルボン塩酸、エステル、アクリレート、酸素、窒素、及びカルボキシルから選択される官能基を感知される程度には含まない。「感知される程度」とは、これらの官能基及びこれらの官能基を含む化合物は、意識的に改質剤に加えられておらず、もし、存在したとしても、ある実施の形態において改質剤の重量の5重量%未満、より好ましくは4重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.3重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満、より好ましくは0.001重量%未満であるのが良い。
他の態様において、前記改質剤は不飽和オレフィンを感知される程度には含んでいない炭化水素である。「感知される程度」の不飽和オレフィンとは、オレフィン結合中に含まれる炭素が、総炭素数の10%未満、好ましくは9%未満、より好ましくは8%未満、より好ましくは7%未満、より好ましくは6%未満、より好ましくは5%未満、より好ましくは4%未満、より好ましくは3%未満、より好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、より好ましくは0.7%未満、より好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.3%未満、より好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%未満、より好ましくは0.01%未満、より好ましくは0.001%未満である。幾つかの態様において、オレフィン結合中に含まれる改質剤の炭素の割合は、改質剤の総炭素数の、0.001乃至10%、好ましくは0.1乃至5%、より好ましくは1%未満である。オレフィン結合中に含まれる炭素数の割合は、以下の試験方法の章で述べる方法により決定される。
1つの態様において、本発明の改質剤はC25乃至C1500パラフィン、及び他の態様においてC30乃至C500パラフィンを含む。他の態様において、前記改質剤は、実質的にC35乃至C300パラフィンから構成されており、他の態様においてC40乃至C250パラフィンから実質的に構成されている。
1つの態様において、本発明の前記改質剤は、−10℃未満の融点(ASTM D97)を有し、他の態様において−20℃未満、更なる態様において−30℃未満、更なる態様において−40℃未満、更なる態様において−50℃未満、更なる態様において−60℃未満、更なる態様において−120℃より高い、更なる態様において−200℃より高い、融点を有する。好ましい幅は前記融点の任意の上限値及び任意の下限値の組合せを含んでいる。
他の態様において、本明細書で述べる任意の改質剤は90以上、好ましくは95以上、より好ましくは100以上、より好ましくは105以上、より好ましくは110以上、より好ましくは115以上、より好ましくは120以上、より好ましくは125以上、より好ましくは130以上のASTM D2207で測定される粘度指数(VI)を有する。他の態様において、前記改質剤は、90と400の間の、好ましくは120と350の間のVIを有する。
幾つかの態様において、前記改質剤は、100℃において、3乃至3000cSt、他の態様において6乃至300cSt、及び他の態様において6乃至200cSt、及び更なる態様において8乃至100cSt、及び更なる態様において4乃至50cSt、及び更なる態様において50cSt未満、及び更なる態様において25未満の動粘度(ASTM D445)を有する。好ましい幅は任意の粘度の上限値及び任意の粘度の下限値の組合せを含む。
他の態様において、前記改質剤は200℃以上、好ましくは210℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは230℃以上、好ましくは240℃以上、好ましくは245℃以上、好ましくは250℃以上、好ましくは260℃以上、好ましくは270℃以上、好ましくは280℃以上の引火点(ASTM D92)を有する。他の態様において、前記改質剤は200℃及び300℃の間の、好ましくは240℃及び290℃の間の引火点を有する。
本明細書で述べる任意の改質剤は20℃において、1つの態様において3.0未満の、他の態様において2.8未満の、他の態様において2.5未満の、及び更なる態様において2.3未満の及び更なる態様において2.1未満の誘電率を有する。ポリエチレン自体は、CRC HANDBOOK OF CHEMISTRY AND PHYSICS (David R. Lide, ed. 82d ed. CRC Press 2001)に従って測定すると、少なくとも2.3(1kHz、23℃)の誘電率を示す。
幾つかの態様において、本明細書で述べる任意の改質剤は1つの態様において、0.88未満、及び他の態様において0.87未満、及び他の態様において0.86未満、及び他の態様において0.85未満、及び他の態様において0.81乃至0.86、及び他の態様において0.82乃至0.85の比重(ASTM D4052、15.6/15.6℃)を有する。好ましい幅はいずれかの比重の上限値及びいずれかの比重の下限値の組合せを含む。
好ましい態様において、前記改質剤は0.85以下(好ましくは0.80及び0.85の間)の比重(15.6/15.6℃)、100℃において3cStの動粘度(好ましくは4以上、好ましくは5cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上、好ましくは15cSt以上、好ましくは20cSt以上)及び/又は少なくとも20の炭素数を有する。
他の好ましい態様において、前記改質剤は、0.86以下(好ましくは0.81及び0.86の間、好ましくは0.82及び0.855の間)の比重(15.6/15.6℃)、100℃において5cStの動粘度(好ましくは6以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上、好ましくは12cSt以上、好ましくは15cSt以上、好ましくは20cSt以上)及び/又は少なくとも30の炭素数を有する。
他の好ましい態様において、前記改質剤は、0.87以下(好ましくは0.82及び0.87の間)の比重(15.6/15.6℃)、100℃において10cStの動粘度(好ましくは12以上、好ましくは14cSt以上、好ましくは16cSt以上、好ましくは20cSt以上、好ましくは30cSt以上、好ましくは40cSt以上)及び/又は少なくとも50の炭素数を有する。
更なる態様において、前記改質剤は0.88以下(好ましくは0.87以下、好ましくは0.82及び0.87の間)の比重(15.6/15.6℃)、100℃において15cStの動粘度(好ましくは20以上、好ましくは25cSt以上、好ましくは30cSt以上、好ましくは40cSt以上、好ましくは30cSt以上、好ましくは40cSt以上)及び/又は少なくとも60の炭素数を有する。
他の態様において本明細書で述べる改質剤は、1つの態様において300℃乃至600℃、及び他の態様において350℃乃至500℃、更なる態様において400℃以上の初留点(ASTM D1160)を有する。
他の態様において、本明細書で述べる任意の改質剤は、通常、「無色透明」、「高品位白」、「標準白」又は「鮮やかなで透明」と定義される低い程度の色、好ましくは100以下、好ましくは80以下の、好ましくは60以下の、好ましくは40以下の好ましくは20以下のASTM D1209で定義されるAPHAカラーを有している。
前記改質剤は、1つの態様において21,00g/モル以下の、好ましくは20,000g/モル以下、好ましくは19,000g/モル以下、好ましくは18,000g/モル以下、好ましくは16,000g/モル以下、好ましくは15,000g/モル以下、好ましくは13,000g/モル以下、好ましくは10,000g/モル以下、及び更なる態様において5,000g/モル以下、及び更なる態様において3,000g/モル以下、及び更なる態様において2,000g/モル以下、及び更なる態様において1,500g/モル以下、及び更なる態様において1,000g/モル以下、及び更なる態様において900g/モル以下、及び及び更なる態様において800g/モル以下、及び及び更なる態様において700g/モル以下、及び及び更なる態様において600g/モル以下、及び及び更なる態様において500g/モル以下の数平均分子量(Mn)を有する。好ましい最小Mnは少なくとも200g/モル、好ましくは少なくとも300g/モルである。更に、好ましい分子量の幅は、前記の分子量の任意の上限値及び下限値の組合せを含む。Mnの測定方法は以下の試験方法の流動性質で説明する。
本発明の好ましい態様において、改質剤の添加は、ポリエチレン組成物の融点を実質的に低めずに、曲げ弾性率を低める。特に、前記改質剤を10重量%組成物に添加する毎に、好ましくは15%以上ずつ、好ましくは20%以上ずつ添加する毎に、改質剤を含まない以外は同様の組成物と比較した場合、(ASTM D790Aで測定される)曲げ弾性率は10%以上ずつ減少する一方、(DSCにより測定される)融点は1℃以下ずつしか低くならない。
他の態様において、本明細書で述べるポリエチレン/改質剤組成物は改質剤を含まない以外は同様の組成物と比較した場合、前記改質剤を10重量%組成物に添加する毎に、−40℃において、Tan Deltaが0.05(以上)、好ましくは0.01以上増加する。
任意の前記改質剤は本明細書で述べる指標の数及び指標の任意の組合せで説明することができる。
好ましい態様において、本明細書で述べる改質剤は、100℃において、3乃至3000cSt、好ましくは6乃至300、より好ましくは8乃至100cStの動粘度、及び/又は300乃至21,000g/モル、好ましくは500乃至5,000g/モル、より好ましくは600乃至3,000g/モルの数平均分子量(Mn)、及び/又は20乃至1500、好ましくは20乃至1500、好ましくは35乃至400、より好ましくは40乃至250の炭素数を有する。
他の好ましい態様において、本明細書で述べる改質剤は、100℃において、3乃至500cSt、より好ましくは6乃至200cSt、より好ましくは8乃至100cSt、より好ましくは3乃至25cStの動粘度、及び/又は300乃至10,000g/モル、好ましくは400乃至5,000g/モル、より好ましくは500乃至2,500g/モル、より好ましくは300乃至1,200g/モルの数平均分子量(Mn)、及び/又は25乃至500、好ましくは30乃至400、好ましくは40乃至200、より好ましくは20乃至100の炭素数を有する。
他の好ましい態様において、本明細書で述べる改質剤は、100℃において、3乃至100cSt、より好ましくは4乃至50cSt、より好ましくは6乃至25cSt、より好ましくは3乃至15cStの動粘度、及び/又は300乃至3,000g/モル、好ましくは350乃至2,000g/モル、より好ましくは400乃至1,000g/モル、より好ましくは300乃至800g/モルの数平均分子量(Mn)、及び/又は25乃至150、好ましくは25乃至150、好ましくは30乃至100、より好ましくは20乃至70の炭素数を有する。
好ましい態様において、前記改質剤は−25℃以下、好ましくは−30℃乃至−90℃の流動点、及び40℃において20乃至5000cStの範囲の動粘度を有する。他の好ましい態様において、前記改質剤は−25℃未満の流動点及び400g/モルの数平均分子量を有する。前記と同様の粘度及び分子量幅を有する官能基を含む大部分のミネラルオイルの流動点は10℃乃至―25℃である。
他の好ましい態様において、前記改質剤は100℃において3cSt以上、好ましくは6cSt以上、より好ましくは8cSt以上の動粘度、及び以下で示す性質の1つ以上を有する.
1.−10℃以下、好ましくは−20℃以下、好ましくは−30℃以下、好ましくは−40℃以下の流動点、及び/又は
2.120以上の粘度指数、及び/又は
3.「無色透明」、「高品位白」、「標準白」又は「鮮やかなで透明」と定義される低い程度の色、好ましくは100以下、好ましくは80以下の、好ましくは60以下の、好ましくは40以下の、好ましくは20以下、好ましくは15以下のASTM D1209で定義されるAPHAカラー、及び/又は
4.200℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上の引火点、及び/又は
5.0.86未満の比重(15.6℃)。
同じ粘度幅を有する大部分のミネラルオイルは、−20℃より大きい流動点、又は20より大きいAPHAカラー、又は0.86以上の比重(15.6℃)を有している。
他の好ましい態様において、前記改質剤は120以上の粘度指数、及び以下で示す性質の1つ以上を有する.
1.−10℃以下、好ましくは−20℃以下、好ましくは−30℃以下、好ましくは−40℃以下の流動点、及び/又は
2.100℃において3cSt以上、好ましくは6cSt以上、より好ましくは8cSt以上、より好ましくは10cStの動粘度、及び/又は
3.「無色透明」、「高品位白」、「標準白」又は「鮮やかなで透明」と定義される低い程度の色、好ましくは100以下の、好ましくは80以下の、好ましくは60以下の、好ましくは40以下の、好ましくは20以下、好ましくは15以下のASTM D1209で定義されるAPHAカラー、及び/又は
4.200℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上の引火点、及び/又は
5.0.86未満の比重(15.6℃).
大部分のミネラルオイルは120未満の粘度指数を有する。
他の好ましい態様において、前記改質剤は−20℃以下、好ましくは−30℃以下の流動点、及び以下で示す性質の1つ以上を有する.
1.100℃において3cSt以上、好ましくは6cSt以上、より好ましくは8cSt以上、より好ましくは10cStの動粘度、及び/又は
2.120以上、好ましくは130以上の粘度指数、及び/又は
3.「無色透明」、「高品位白」、「標準白」又は「鮮やかなで透明」と定義される低い程度の色、好ましくは100以下、好ましくは80以下の、好ましくは60以下の、好ましくは40以下の、好ましくは20以下、好ましくは15以下のASTM D1209で定義されるAPHAカラー、及び/又は
4.200℃以上、好ましくは220℃以上、好ましくは240℃以上の引火点、及び/又は
5.0.86未満の比重(15.6℃).
−20℃未満の流動点を有する大部分のミネラルオイルは、100℃において、6cSt未満、又は20より大きいAPHAカラー、又は200℃未満の流動点を有する。
ポリマーのプロセス油の市場において流通しているいくつかのミネラルオイルの特徴を以下の表1aに示す。
他の好ましい態様において、前記改質剤はASTM E1356に従う測定方法では測定不可能なガラス転移温度(Tg)を有するか、もし測定可能な場合であってもASTM E1356に従うTgの測定において、0℃未満、好ましくは−10℃未満、より好ましくは−20℃未満、より好ましくは−30℃未満、より好ましくは−40℃未のTg、及び以下で示す性質の1つ以上を有する.
1.300℃より高い、好ましくは350℃より高い、好ましくは400℃より高いASTM D1160で測定される初留点、及び/又は
2.−10℃未満、好ましくは−15℃未満、好ましくは−25℃未満、好ましくは−35℃未満、好ましくは−45℃未満の流動点、及び/又は
3.0.88未満、好ましくは0.86未満、好ましくは0.84未満、好ましくは0.80乃至0.88、好ましくは0.82乃至0.86の比重(ASTM D4052、15.6/15.6℃)、及び/又は
4.300℃乃至800℃、好ましくは400℃乃至700℃、好ましくは500℃以上のASTM D1160で測定される終留点、及び/又は
5.30,000及び400g/モル、好ましくは15,000及び500g/モル、より好ましくは5,000及び600g/モルの間の重量均分子量(Mw)、及び/又は
7.200℃以上のASTM D92で測定される引火点、及び/又は
8.20℃において、3.0未満、好ましくは2.8未満、好ましくは2.5未満、好ましくは2.3未満、好ましくは2.2未満の誘電率、及び/又は、
9.25乃至800、好ましくは30乃至500、好ましくは35乃至300の炭素数.
分子量及び炭素数は以下の試験方法の章で説明する方法を用いて測定した。
本発明は、1つ以上のエチレンポリマー及び1つ以上の改質剤を含むポリエチレン組成物に関係する。前記改質剤は100℃において3cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上の動粘度、及び120以上、好ましくは130以上の粘度指数を有する、C5乃至C14アルファオレフィンのオリゴマー又はポリマーを含むポリアルファオレフィン(PAO)を含む。改質剤を組合せて用いる場合、これらの組合せが100℃において3cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上の動粘度、及び120以上、好ましくは130以上の粘度指数を有することが好ましい。
本発明は、1つ以上のエチレンポリマー及び1つ以上の改質剤を含むポリエチレン組成物に関係する。前記改質剤は120以上の粘度指数を有するC6乃至C14オレフィンのオリゴマー又はポリマーを含み、ポリエチレン組成物が水素化され、高度に分岐した、8乃至12の炭素数を有するアルファオレフィンダイマーを4乃至10重量%含む場合、前記組成物は0.912乃至0.935g/cm3の密度を有する直鎖低密度ポリエチレンを18乃至25重量%含まない。
他の態様において、前記改質剤は6乃至14の炭素原子、好ましくは8乃至12の炭素原子、より好ましくは10の炭素原子を有する直鎖オレフィンのオリゴマー又はモノマーを含むポリアルファオレフィン(PAO)を含む。各改質剤、又は改質剤の組合せは100℃において3cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上の(ASTM D445で測定される)動粘度、及び好ましくは100以上、より好ましくは110以上、より好ましくは120以上、より好ましくは130以上、より好ましくは140以上の(ASTM D2270で測定される)粘度指数、及び−10℃以下、より好ましくは−20℃以下、より好ましくは−30℃以下の(ASTM D97で測定される)流動点を有する。
他の態様において、本発明に有用なポリアルファオレフィン(PAO)のオリゴマー又はポリマーは、C20乃至C1500パラフィン、好ましくはC35乃至C400パラフィン、好ましくはC40乃至C250パラフィンを含む。前記PAOオリゴマー/ポリマーは、他の態様においてC5乃至C14α−オレフィンの、及び他の態様においてC6乃至C14のα−オレフィンのダイマー、及び他の態様においてC8乃至C12のα−オレフィンのトライマー、及び他の態様においてC10のα−オレフィンのテトラマー、ペンタマー等である。好適なオレフィンは1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、及び1−ドデセンを含む。1つの態様において、前記α−オレフィンは1−デセンであり、改質剤は、1−デセンのダイマー、トライマー、テトラマー及びペンタマー(及びより高度な重合体)の混合物である。他の態様において、前記PAOは1−オクテン、1−デセン、及び1−ドデセンのオリゴマー又はポリマーである。好ましいPAOは例えば、US 5,171,908及びUS 5,783,531及びSYNTHETIC LUBRICANTS AND HIGH-PERFORMANCE FUNCTIONAL FLUIDS 1-52 (Leslie R. Rudnick & Ronald L. Shubkin, ed. Marcel Dekker, Inc. 1999に、より詳細に記載されている。本発明に有用な前記PAOオリゴマー又はポリマーは、アイソタクチック、シンジオタクチック及びアタクチックを含むタクチクシティーの程度で特徴付けられる。他の態様において、前記ポリアルファオレフィンは、50%より大きい、好ましくは60%より大きい13C NMRで測定されるメソダイアドを有する。他の態様において、前記ポリアルファオレフィン(PAO)は50%より大きい、好ましくは60%より大きい13C NMRで測定されるラセミダイアドを有する。
本発明に有用なPAOは、1つの態様において300乃至21,000g/モル、他の態様において400乃至20,000g/モル、他の態様において500乃至10,000g/モル、他の態様において、500乃至5,000g/モル、他の態様において600乃至3,000g/モル、更なる態様において500乃至1,500g/モルの数平均分子量を有する。好ましいPAOは100℃において、1つの態様において3乃至3000cSt、他の態様において4乃至3000cSt、他の態様において6乃至300cSt、及び他の態様において8乃至100cStの動粘度を有する。本発明に有用なPAOは、1つの態様において−10℃未満、他の態様において−20℃、更なる態様において−30℃の流動点を有する。好ましいPAOは、20乃至1500、好ましくは25乃至1500、好ましくは35乃至400、好ましくは40乃至250の炭素数を有する。好ましいPAOはSpectraSyn及びSpectraSyn Ultraとして市販(エクソンモービルケミカルカンパニー、ヒューストン、テキサス、SHF及びSuoerSynの商標)されており、これらの幾つかを以下の表1bに要約する。
他の有用なPAOはChevronPhillips CHEMICAL Company (ペセデナ、テキサス)より市販されているSynfluid(TM) 、BP Amoco Chemicals (ロンドン、英国) より市販されているDurasyn(TM)、Fortum Corporation (ケイラニエミ、フィンランド) より市販されているNexbase(TM) 及びCrompton Corporation (ミドルバリー、コネチカット)より市販されているSynton(TM) を含む。
他の態様において、PAOは100℃において3cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上、好ましくは10cSt以上、好ましくは20cSt以上、好ましくは300cSt以上、好ましくは100cSt以上の動粘度を有する。他の態様において、前記PAOは100℃において、3乃至1000cSt、好ましくは6乃至300、好ましくは8乃至100、好ましくは8乃至40cStの動粘度を有する。
他の態様において、前記PAOは120以上、好ましくは130以上、好ましくは140以上、好ましくは150以上、好ましくは170以上、好ましくは200以上、好ましくは250以上の粘度指数を有する。
他の態様において、前記PAOは−10℃以下、好ましくは−20℃以下、好ましくは−30℃以下の(ASTM D97で測定される)流動点を有する。
他の態様において、前記PAOは200℃以上、より好ましくは220℃以上、より好ましくは240℃以上、より好ましくは260℃及び290℃の間の引火点を有する。
他の態様において、前記改質剤は約0.5:1乃至9:1、好ましくは1:1乃至4:1の範囲の分岐パラフィン:ノルマルパラフィンの比を有する精製された液体炭化水素である。前記混合物の分岐パラフィンは(分岐パラフィンの総重量に基づいて)50重量%より多い、例えば、2−メチル、3−メチル、4−メチル、5−メチル等のモノメチル類を含み、前記分岐パラフィンは炭素数が1より大きい、例えば、エチル、プロピル、ブチル、等の置換基を有する分岐の最小形成単位を有している。前記分岐パラフィンの70重量%以上がモノ−メチル類であることが好ましい。前記パラフィン混合物は、20乃至500、好ましくは30乃至400、好ましくは40乃至200、好ましくは25乃至150、好ましくは30乃至100、より好ましくは20乃至100、より好ましくは20乃至70の数平均炭素数(Cn)を有し、100℃において3乃至500cSt、好ましくは6乃至200cSt、好ましくは8乃至100cSt、より好ましくは6乃至25cSt、より好ましくは3乃至25cStの動粘度を有し、100乃至350℃の範囲内で、好ましくは110乃至320℃の範囲内で、より好ましくは150乃至300℃の範囲内で、沸点に達する。好ましい態様において、前記パラフィン混合物はフィッシャートロプス法により得られる。これらの分岐パラフィン/n−パラフィンブレンドは、例えば、US5,906,727に記載されている。
他の態様において、前記改質剤は、
1.300乃至10,000g/モル、好ましくは400乃至50,000g/モル、好ましくは500乃至2,500g/モル、好ましくは300乃至1,200g/モルの数平均分子量;
2.より少ない10%、好ましくは8%より少ない、好ましくは5%より少ない、好ましくは3%より少ない、好ましくは2%より少ない、好ましくは1%より少ない、好ましくは0.5%より少ない、好ましくは0.1%より少ない、4以上の炭素数を有する側鎖;
3.少なくとも15%、より好ましくは20%以上、より好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上、より好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、より好ましくは45%以上、より好ましくは50%以上の1又は2の炭素数を有する側鎖;
4.(前記パラフィン混合物の総重量に基づいて)2.5重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、好ましくは0.001重量%の環状パラフィン;
5.100℃において3cSt以上、好ましくは6cSt以上、好ましくは8cSt以上上、好ましくは3乃至25cStの間の動粘度;
6.100以上、より好ましくは120以上、より好ましくは130以上、より好ましくは140以上、好ましくは150以上、好ましくは180以上、好ましくは200以上、好ましくは250以上、好ましくは300以上の粘度指数(VI);
7.−10℃以下の流動点;
8.200℃以上の引火点を有するパラフィン系炭化水素を含む。
他の態様において前記改質剤は、ワックス異性化潤滑油ベースストック(a wax isomerate lubricant oil basestock)を含む。前記ワックス異性化潤滑油ベースストック(a wax isomerate lubricant oil basestock)は、水素異性化(hydroisomerized)ワックスストック(例えば、ガスオイル、スラックワックス(slack wax)、加水分解物燃料の残油等)、水素異性化(hydroisomerized)フィッシャートロプス炭化水素、ワックス、ガス−液体(GTL)ベースストック及びベースオイル、及びベースストック及びベースワックスを水素異性化して得られるワックス系ベースストック、又はこれらの混合物を含む。フィッシャートロプス合成の高沸点残渣であるフィッシャートロプスワックスは硫黄含量の少ない高級パラフィン系炭化水素であり、潤滑性粘度の炭化水素燃料を製造する工程において好ましい原料である。
そのようなベースストックを製造するための水素化工程は、潤滑油水素化分解触媒、又は結晶水素化分解触媒、/水素異性化触媒、好ましくはゼオライト触媒等のアモルファス水素化分解/水素異性化触媒を用いる。例えば、有用な触媒の1つはUS 5,075,269に記載のZSM−48である。水素化分解/水素異性化蒸留物及び水素化分解/水素異性化ワックスの製造は、例えば、U.S.Patent Nos.2,817,693; 4,975,177; 4,921,594 及び4,897,178 並びに British Patent Nos. 1,429,494; 1,350,257; 1,440,230 及び1,390,359に記載されている。特に好ましい方法は、EP464546及び464547に記載されている。フィッシャートロプスワックス原料を用いる方法はUS 4,594,172及び4,943,672に記載されている。
本発明に用いることが好ましいガス−液体(GLT)ベースストック及びベースオイル、ベースストック及びベースオイル由来のフィッシャートロプス炭化水素、及びベースストック及びベースオイル(又はワックス異性化物)由来の他のワックス系原料は、100℃において約3cSt乃至約500cSt、好ましくは約6cSt乃至約200cSt、好ましくは約8cSt乃至約100cSt、より好ましくは約3cSt乃至約25cStの動粘度を有する。これらのガス−液体(GLT)ベースストック及びベースオイル、ベースストック及びベースオイル由来のフィッシャートロプス炭化水素、及びベースストック及びベースオイル(又はワックス異性化物)由来の他のワックス系原料は、好ましくは−10℃未満、好ましくは約−15℃以下、好ましくは約−25℃以下、好ましくは約−30℃乃至−40℃以下の流動点を有し、好ましくは110以上、好ましくは120以上、好ましくは130以上、好ましくは150以上の粘度指数を有し、高度に精製されている(飽和レベルが高く、硫黄含量が少ないかあるいは硫黄を含まず、窒素含量が少ないかあるいは窒素を含まず、芳香族化合物含量が少ないかあるいは芳香族化合物を含まず、臭素価が低く、ヨウ素価が低く、高アニリン点を有する)。有用なガス−液体(GLT)ベースストック及びベースオイル、フィッシャートロプス炭化水素由来ベースストック及びベースオイル、並びにワックス異性化物水素異性化ベースストック及びベースオイルは、例えば、U.S. Patent Nos. 6,080,301; 6,090,989、 及び6,165,949に記載されている。これらの文献を参照により本明細書に援用する。
好ましい態様において、本発明の前記改質剤は、100℃において3乃至500cSt、好ましくは6乃至200cSt、好ましくは8乃至100cSt、より好ましくは3乃至25cStの動粘度、及び/又は300乃至10,000g/モル、好ましくは400乃至5,000g/モル、好ましくは500乃至2,500g/モル、より好ましくは300乃至1,200g/モルの数平均分子量(Mn)、及び/又は20乃至500、好ましくは30乃至400、好ましくは40乃至200、より好ましくは20乃至100の炭素数を有する。
他の態様において、前記改質剤はGroupIII炭化水素ベースストックを含む。好ましくは、前記改質剤は90%以上、好ましくは92%以上、好ましくは94%以上、好ましくは95%以上の飽和レベル、及び0.03%未満、好ましくは0.001及び0.01%の間の硫黄含量、及び120を超える、好ましくは130以上のVIを有する大幅に水素処理されたミネラルオイルを含む。好ましくは、前記GroupIII炭化水素ベースストックは100℃において3乃至100cSt、好ましくは4乃至100cSt、好ましくは6乃至50cSt、好ましくは8乃至20cStの動粘度、及び/又は300乃至5,000、好ましくは400乃至2,000、より好ましくは500乃至1,000の数平均分子量、及び/又は、20乃至400、好ましくは25乃至400、好ましくは35乃至150、より好ましくは40乃至100の炭素数を有する。好ましくは前記GroupIII炭化水素ベースストックは−10℃以下の流動点、及び200℃以上の引火点を有する。
好ましくは、前記改質剤はC
4オレフィン(例えば、n−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、及びブタジエン等の全異性体及びこれらの混合物を含む)のオリゴマー又はポリマーではない。そのような物質は「ポリブタジエン」脂質(又はポリブタジエン)と言われ、前記オリゴマーイソブチレン、及び/又は1−ブテン、及び/又は2−ブテンを含む場合に、ポリオレフィンの添加剤として、例えば、粘着性を導入するため、又は加工助剤として、通常用いられているものである。C
4オレフィン異性体の割合は、オレフィン製法により変化させることができ、この物質は合成の後に水素処理されていてもいなくても良い。ポリブタジエンの市販源は、BP(Indopolグレード)及びInfineum(C−Serisグレード)を含む。C
4オレフィンがイソブチレン単独である場合、前記物質は「ポリイソブチレン」、又はPIBと言う。PIBの市販源は、テキサスペテロケミカル(Texas Petrochemical)(TPC Enhanced PIBグレード)を含む。前記C
4オレフィンが1−ブテン単独である場合、前記物質は「ポリ−n−イソブチレン」又はPNBと言われる。C
4オレフィンから作られる幾つかの液体の性質を以下の表1cに要約する。200℃以上の引火点を有するグレードは−10℃以上の融点、及び/又は120未満のVIを有することを付記する。
好ましくは、前記改質剤はC
4オレフィンのオリゴマー又はポリマーではない。しかしながら、改質剤が存在する場合、C
4オレフィン(例えば、n−ブテン、2−ブテン、イソブチレン、及びブタジエン等の全異性体及びこれらの混合物を含む)のオリゴマー又はポリマーは、組成物中に存在してもよい。好ましい態様において、前記組成物は、組成物の重量に基づいて、PIB、ポリブテン、又はPNB等のC
4オレフィンのポリマー又はオリゴマーを50重量%未満(好ましくは40重量%未満、好ましくは30重量%未満、好ましくは20重量%未満、より好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満、好ましくは0重量%)含む。
好ましい態様において、前記改質剤は組成物の重量に基づいて、50重量%未満のC4オレフィン、好ましくはイソブチレンを含む。好ましくは前記改質剤は、前記改質剤の総重量に基づいて、45重量%未満、好ましくは40重量%未満、好ましくは35重量%未満、好ましくは30重量%未満、好ましくは25重量%未満、好ましくは20重量%未満、好ましくは15重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.25重量%未満のC4オレフィン、好ましくはイソブチレンを含む。
好ましい態様において、前記組成物は、前記組成物の重量に基づいて、50重量%未満(好ましくは40重量%未満、好ましくは30重量%未満、好ましくは20重量%未満、好ましくは15重量%未満、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0重量%)のエチレン/アルファオレフィンコオリゴマー又はコポリマーを含む。前記アルファオレフィンはプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び/又は1−オクテンから選択され、前記エチレン/アルファオレフィンコオリゴマー/コポリマーは液体である。
エチレンポリマー
本発明の組成物を調製するために、本明細書で開示する改質剤は少なくとも1つのエチレンポリマーを含む。
本発明の1つの側面において、前記エチレンポリマーはエチレンホモポリマー、エチレンコポリマー、及びこれらのブレンドから選択される。有用なコポリマーはエチレンのほかに1つ以上のコモノマーを含み、ランダムコポリマー、統計コポリマー、ブロックコポリマー、及び/又はこれらのブレンドでもよい。特に、本明細書で述べるエチレンポリマーブレンドは1つ以上のタイプのエチレンポリマーの物理的又はin situ(現場)ブレンドであり、又はエチレンポリマー成分を主成分(例えば、50重量%より多い)とする、エチレンポリマーとエチレンポリマー以外のポリマーとのブレンドである。前記ポリエチレンを製造する方法は特に限定せず、スラリー、溶液、ガス相、高圧等の適する方法により、又はチグラーナッター触媒、クロミウム触媒、メタロセンタイプ触媒、及び他の好適な触媒システム又はこれらの組合せ等のポリエチレンの重合に好適な触媒システムを用いることにより、又はフリーラジカル重合により製造することができる。好ましい態様において、前記エチレンポリマーは、US 6,342,566, US 6,384,142, WO 03/040201, WO 97/19991及びUS 5741563に記載の触媒、活性剤、及び方法を用いて製造される。そのような触媒は当業者に良く知られており、例えば、ZlEGLER CATALYSTS (Gerhard Fink, RoIf Mulhaupt and Hans HEUBACH. Brintzinger, eds., Springer-Verlag 1995); Resconi et al; and I, II METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS (Wiley & Sons 2000)に記載されている。
本発明に有用なエチレンポリマー及びコポリマーは、ExxonMobil HDPE, ExxonMobil LLDPE, 及びExxonMobil LDPE、並びにEXACT(TM)、EXCEED(TM), ESCORENE(TM), EXXCO(TM), ESCOR(TM), ENABLE(TM), NTX(TM), PAXON(TM), 及びOPTEMA(TM)の商標でエクソンモービルケミカルカンパニー(ヒューストン、テキサス)から販売されているものを含む。
本発明に有用な好ましいホモポリマー、及びコポリマーは、通常、以下の性質を有する.
1.20,000乃至2,000,000g/モル、好ましくは30,000乃至1,000,000g/モル、より好ましくは40,000乃至200,000g/モルのMw(以下の試験方法の章で説明するサイズ排除クロマトグラフィーにより測定)及び/又は、
2.1乃至40、好ましくは1.6乃至20、より好ましくは1.8乃至10、より好ましくは1.8乃至4.好ましくは8乃至25のMw/Mn(以下の試験方法の章で説明するサイズ排除クロマトグラフィーにより測定)、及び/又は、
3.30乃至150℃、好ましくは30乃至140℃、好ましくは50乃至140℃、より好ましくは60乃至135℃のTm(第一融解ピーク)(以下の試験方法の章で説明するDSC法により測定)、及び/又は
4.5乃至80%、好ましくは10乃至70%、より好ましくは20乃至60%の結晶化度(以下の試験方法の章で説明するDSC法により測定)、及び/又は
6.300J/g以下、好ましくは10乃至260J/g以下、より好ましくは20乃至200J/gの融解熱(以下の試験方法の章で説明するDSC法により測定)、及び/又は
7.15乃至130℃、好ましくは20乃至120℃、より好ましくは25乃至110℃、好ましくは60乃至125℃の結晶化温度(Tc)(以下の試験方法の章で説明する方法により測定)、及び/又は
8.30乃至120℃、好ましくは40乃至100℃、より好ましくは50乃至80℃の熱撓み温度(以下の試験方法の章で説明する方法により測定)、及び/又は
9.10以上、好ましくは20以上、好ましくは30以上、好ましくは40以上、好ましくは100以上、好ましくは25乃至75のショア高度(Dスケール)(ASTM D2240により測定)及び/又は、
10.少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、あるいは、少なくとも50%の結晶度のパーセンテージ(以下の試験方法の章で説明するDSC法により測定)、及び/又は
11.少なくとも50%、あるいは少なくとも60%、あるいは少なくとも70%、あるいは50乃至95%の間、又は70%以下、好ましくは60%以下、好ましくは50%以下の、100からの結晶化度からの差し引きにより得られるアモルファス含量のパーセンテージ、及び/又は
12.0.2乃至2.0、好ましくは0.5乃至1.5、好ましくは0.7乃至1.1の分岐指数(g’)(以下の試験方法の章で説明される)、及び/又は、
13.0.85乃至0.97g/cm3、好ましくは0.86乃至0.965g/cm3、あるいは0.910及び0.940g/cm3の間、あるいは0.94乃至0.965g/cm3の間の密度(以下の試験方法で説明される方法により測定)。
前記ポリエチレンはHDPE等のエチレンホモポリマーであることができる。他の態様において、前記エチレンホモポリマーは40までの、好ましくは1.5乃至20、及び他の態様において1.8乃至10、及び更なる態様において1.9乃至5、及び更なる態様において2.0乃至4の分子量分布(Mw/Mn)を有する。他の態様において、200乃至1000Mpa、及び他の態様において300乃至800Mpa、及び更なる態様において400乃至750Mpaの幅の1%割線曲げ弾性率を有する。好ましいポリマーは前記の曲げ弾性率の上限値及び任意の下限値の任意の組合せを含む。好ましいエチレンホモポリマーのメルトインデックス(MI)の範囲は、ASTM D1238(190℃、2.16kg)で測定した場合、1つの態様において0.05乃至800dg/分、他の態様において0.1乃至100dg/分である。
本発明の他の態様において、前記エチレンポリマーはエチレンのランダムコポリマー、又はブロックコポリマーのいずれかであり、及び1つ以上のコモノマーはC3乃至C20α−オレフィンから、典型的には、他の態様においてC3乃至C10α−オレフィンから選択される。好ましくは、前記コモノマーは、1つの態様においてコポリマーの0.1重量%乃至50重量%存在し、更なる態様において0.5乃至30重量%、及び更なる態様において1乃至15重量%、及び更なる態様において0.1乃至5重量%存在する。好ましいコポリマーは前記任意の上限値及び任意の下限値の任意の組合せのエチレン及びC3乃至C20α−オレフィン誘導単位を含む。好ましくは前記エチレンコポリマーは、1つの態様において8,000g/モルより高い、及び他の態様において10,000g/モルより高い、及び他の態様において12,000g/モルより高い、及び更なる態様において20,000g/モルより高い、及び更なる態様において1,000,000g/モル未満の、及び他の態様において800,000g/モル未満の重量平均分子量を有する。好ましいコポリマーは任意の上限分子量及び任意の加減分子量の任意の組合せを含む。
他の態様において、前記エチレンコポリマーはエチレン、及びエチレン、及びC3乃至C20の直鎖、分岐、又は環状モノマー、から選択される1つ以上の他のモノマーを含み、幾つかの態様において、前記他のモノマーはC3乃至C12直鎖又は分岐アルファ−オレフィンであり、ブテン、ペンテン、ヘキセン、へプテン、オクテン、ノネン、デゼン、ドデセン、4−メチル−ペンテン−1、3−メチルペンテン−1,3,5,5−トリメチル−ヘキセン−1等であることが好ましい。前記モノマーは50重量%まで、好ましくは0乃至40重量%、より好ましくは0.5乃至30重量%、より好ましくは2乃至30重量%、より好ましくは55乃至20重量%存在する。
前記エチレンコポリマーのコモノマーとして好ましい直鎖アルファオレフィンは、C3乃至C8アルファ−オレフィン、より好ましくは、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンであり、より好ましくは1−ヘキセンである。好ましくは分岐アルファ−オレフィンは4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、及び3,5,5−トリメチル−1−ヘキセン、5−エチル−1−ノネンを含む。好ましくは芳香族基を含むものは30までの炭素原子を含む。モノマーを含む好適な芳香族基は少なくとも1つの芳香族構造を含み、好ましくは1乃至3つの、より好ましくはフェニル、インデニル、又はナフチル基を含む。前記芳香族基含有モノマーは、重合後に前記芳香族構造がポリマー骨格のペンダントになるような、少なくとも1つの重合可能な二重結合を更に含む。前記芳香族基含有モノマーは更に、C1乃至C10アルキル基を含むがこれらに限定されない1つ以上のヒドロカルビル基を含む。更に、隣接する2つの置換基は結合して環構造を作ることもできる。好ましい芳香族基含有モノマーは、重合可能なオレフィン部分に付加された少なくとも1つの芳香族構造を含む。特に好ましい芳香族モノマーはスチレン、アルファ−メチルスチレン、パラ−アルキルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、アリルベンゼン、及びインデン、特に、スチレン、パラメチルスチレン、4−フェニル−1−ブテン及びアリルベンゼンを含む。
非芳香族環基を含むコモノマーも好ましい。これらのコモノマーは30までの炭素数を含むことができる。モノマーを含む好適な非芳香族環基は少なくとも1つの重合可能なオレフィン基を有することが好ましい。前記重合可能なオレフィン基は、前記環構造のペンダントであるか又は環構造の一部である。前記環構造はさらにC1乃至C10アルキル基等のしかしこれらに限定されない1つ以上のヒドロカルビル基により置換されている。モノマーを含む好ましい非芳香族環状基はビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、ビニルノルボルネン、エチリデン、ノルボルネン、シクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロブテン、ビニルアダマンテン等を含む。
本発明に有用な好ましいジオレフィンモノマーは、好ましくは少なくとも2つの不飽和結合を有するC4乃至C30の任意の炭化水素構造を含む。前記少なくとも2つの不飽和結合は構造特異的又は構造非特異的触媒のいずれかにより容易にポリマー中に取り込まれる。前記ジオレフィンモノマーはアルファ、オメガ−ジエンモノマー(即ち、ジ−ビニルモノマー)から選択されることがより好ましい。より好ましくは、前記ジオレフィンモノマーは直鎖ジ−ビニルモノマーである、最も好ましくは4乃至30の炭素原子を含むものである。好ましいジエンの例は、ブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエン、ヘプタジエン、オクタジエン、ノナジエン、デカジエン、ウンデカジエン、ドデカジエン、トリデカジエン、テトラデカジエン、ペンタデカジエン、ヘキサデカジエン、ヘプタデカジエン、オクタデカジエン、ノナデカジエン、イコサデカジエン、ヘネイコサジエン、ドコサジエン、トリコサジエン、テトラコサジエン、ペンタコサジエン、ヘキサコサジエン、ヘプタコサジエン、オクタコサジエン、ノナコサジエン、トリエイコサジエンを含み。特に好ましいジエンの例は、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,12−トリデカジエン、1,13−テトラデカジエン、及び低分子量のポリデカジエン(Mwが1000g/モル未満)を含む。好ましい環状ジエンはシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、又は各環が置換されているか又は置換されていないジオレフィンを含む高級環を含む。
好ましい態様において、1つ以上のジエンは前記エチレンポリマー中に、前記組成物の重量に基づいて、10重量%まで、好ましくは0.00001乃至2重量%、好ましくは0.002乃至1重量%、より好ましくは0.003乃至0.5重量%存在する。幾つかの態様において、500ppm未満、好ましくは400ppm未満、好ましくは300ppm未満のジエンが重合工程に添加される。他の態様において、少なくとも50ppm、又は100ppm以上、又は150ppm以上のジエンが重合工程に添加される。
特に好ましい態様において、本明細書において用いられる前記エチレンポリマーは、ASTM D1505で測定される密度が、0.91g/cm3であり、ASTM D1238(190℃、2,16kg)で測定されるメルトインデックス(MI)が0.1乃至50d/分である。1つの態様において前記有用なプラストマーはエチレンと、少なくとも1つのC3乃至C12αオレフィン、好ましくはC4乃至C8αオレフィンとのコポリマーである。前記C3乃至C12αオレフィンは、前記プラストマー中に1つの態様において2重量%乃至35重量%、及び他の態様において5重量%乃至30重量%、及び更なる態様において、15重量%乃至25重量%、及び更なる態様において20重量%乃至30重量%の量で存在する。
本発明に好ましいプラストマーは、1つの態様において0.1乃至4dg/分、及び他の態様において0.2乃至20dg/分、及び更なる態様において0.5乃至10dg/分の間のメルトインデックスを有する。好ましいプラストマーの平均分子量は、1つの態様において10,000乃至800,000g/モル、及び他の態様において20,000乃至700,000g/モルの範囲である。好ましいプラストマーの1%割線曲げ弾性率(ASTM D790)は、1つの態様において5乃至100MPa、及び他の態様において10乃至50MPaである。更に、本発明の組成物に有用な好適なプラストマーは、1つの態様において30乃至100℃、他の態様において40乃至80℃の融点(Tm、第一融解ピーク)を有する。好適なプラストマーの結晶化度は3乃至30%である。
本発明に用いるのに特に有用なプラストマーは、メタロセン触媒等の一部位触媒を用いて合成され、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等の高級α−オレフィンとのコポリマーを含み、1つの態様において0.86及び0.91g/cm3の間の密度になるように十分な量の1つ以上のこれらのコモノマー単位を含む。好ましいプラスマーの分子量分布(Mw/Mn)は1つの態様において1.5乃至5、及び他の態様において2.0乃至4の範囲である。市販のプラストマーの例は、0.895g/cm3の密度及び3.5dg/分のMIを有し、プラストマーの18乃至22重量%までが1−ヘキセン誘導単位である、エチレンと1−ヘキセンのコポリマーである、EXACT(TM)4150(エクソンモービルケミカルカンパニー、ヒューストン、テキサス)、及び0.882g/cm3の密度及び1.0dg/分のMIを有し、プラストマーの26乃至30重量%までが1−オクテン誘導単位である、エチレンと1−オクテンのコポリマーである、EXACT(TM)8201(エクソンモービルケミカルカンパニー、ヒューストン、テキサス)である。
本発明の好ましい態様において、前記エチレンポリマーは上限値が5,000,000g/モル、1,000,000g/モル、又は500,000g/モルの上限値及び10,000g/モル、20,000g/モル又は80,000g/モルの間の下限値の範囲内の重量平均分子量(Mw)を有する。
本発明に好ましいエチレンポリマーは、1.5乃至20、及び他の態様において1.6乃至15、及び更なる態様において1.7乃至10、及び更なる態様において1.8乃至5、更なる態様において1.5、1.8又は2.0のいずれかの下限値から40、20、10、又は4.5のいずれかの上限値の範囲内の分子量分布(Mw/Mn)を有する。
好ましいエチレンポリマーの(ASTM D1238(190℃、2.16kg)により測定される)メルトインデックス(MI)は、1つの態様において0.02dg/分乃至800dg/分、他の態様において0.05dg/分乃至500dg/分、他の態様において0.1dg/分乃至100dg/分である。本発明の他の態様において、ポリエチレンは20dg/分以下、7dg/分以下、5dg/分以下、2dg/分以下、又は2dg/分未満のMIを有する。更なる態様において、前記ポリエチレンは100以下、75以下、60以下、又は30以下のムーニー粘度(ML(1+4)@125)(ASTM D 1646において測定)を有する。
更なる態様において、好ましいエチレンポリマーの1%割線曲げ弾性率は5乃至1000Mpa、及び他の態様において10乃至800Mpa、及び更なる態様において5乃至200Mpaである。好適なポリマーは任意の曲げ弾性率の上限及び任意の曲げ弾性率の下限値の任意の組合せを含む。
本明細書において有用な好適なエチレンポリマーの結晶化度は融解熱で示すことができる。本発明の実施例は、下限値が0.1J/g、好ましくは1.0J/g、乃至上限値が260J/g、又は好ましくは240J/gの幅のDSCにより測定される融解熱を有する。
前記ポリマーの結晶化度は結晶化度のパーセンテージで示すこともできる。ポリエチレンの最も高い熱エネルギーのオーダーは290J/gであるとされている。従って、100%の結晶化度は290J/gである。好ましくは、前記ポリマーは80%、60%、40%、30%又は20%の上限値、及び1%、3%、5%、8%、又は10%の下限値の範囲内の結晶化度を有する。
結晶化度のレベルは融点に反映される。本発明の1つの態様において、前記エチレンポリマーは単一の融点を示す。通常、エチレンコポリマーのサンプルは第一ピークに隣接する第二ピークを有し、これらを一緒にして単一の融点としている。これらのピークのうち最も高いピークが融点とされている。前記ポリマーは、150℃、130℃、100℃、80℃、又は60℃、の上限値、乃至0℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、又は45℃の下限値の範囲内の融点を有する。
添加剤
本発明の組成物の1つの態様において、前記組成物中にはポリ(ビニルクロライド)に通常用いられる可塑剤が実質的に存在しない。特に、フタル酸、アジピン酸、トリメリットエステル、ポリエステル、及びUS3,318,835;US4,409,345;WO02/31044 A1及びPLASTIC ADDITIVES 499−504(Goffrey Pritchard ed, Chapman & Hall 1998)に記載の従来より使用されている他の可塑剤を実質的に含まない。「実質的に含まない」の語は、これらの化合物が意図的に前記組成物に添加されていないということを意味し、もし、含まれる場合であっても、組成物中に0.5重量%未満しか存在しないことを意味する。
幾つかの態様において、「ナフテン酸」ミネラルオイル、及び「芳香族」ミネラルオイルが実質的に含まれない。すなわち、本発明の組成物中に0.5%未満しか存在しない。他の態様において、そのようなオイルが前記組成物中に存在する場合は、前記組成物中の液体改質剤の5重量%までの量で存在する。更なる態様において、芳香族部分及び炭素−炭素不飽和化合物は本発明に用いる改質剤には実質的に含まれない。芳香族化合物は、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン等の環構造を有する分子である化合物を含む。「実質的に含まない」とは、これらの芳香族化合物及び部分が本組成物に意図的に添加されないことを意味し、存在していたとしても組成物の0.5重量%未満の量で存在することを意味する。
本発明のポリエチレン化合物は他の添加剤も含む。これらの添加剤は抗酸化剤、核剤、酸スカベンジャー、安定剤、抗粘着剤、発泡剤、チェーンブレーキング(chain−breaking)抗酸化剤等の他のUV吸収剤、冷却剤、静電気防止剤、滑剤、顔料、ダイ、及び充填剤、並びに過酸化物等の硬化剤を含む。ダイ及び他の色素は、一般的な工業的製造においては、組成物の重量に基づいて、1つの態様において0.01乃至10重量%、及び他の態様において0.1乃至6重量%含まれる。
特に、有機亜リン酸塩、ヒンダードアミン、及びフェノール系抗酸化防止剤等の抗酸化剤及び安定剤は本発明のポリエチレン組成物中に、前記組成物の重量に基づいて、1つの態様において0.001乃至2重量%、及び他の態様において0.01乃至0.8重量%、及び更なる態様において0.02乃至5重量%存在する。好適な有機亜リン酸の例は、とリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト(IRGAFOS 168)及びジ(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール ジフォスファイト(ULTRANOX 626)である。ヒンダードアミンの非限定的な例は、ポリ[2−N,N’−ジ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニイル)ヘキサンジアミン−4−(1−アミノ−1,1,3,3−テトラメチルブタン)sym−トリアジン](CHIMASORB 944);ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバカート(TINUVIN 770)を含む。フェノール系抗酸化防止剤の非限定的な例は、ペンタエリスリチルテトラキス(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポネート(IRGANOX 1010);及び1,3,5−トリ(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−イソシアヌレート(IRGANOX 3114)を含む。
充填剤は、前記組成物の重量に基づいて、1つの態様において0.001乃至50重量%、他の態様において0.01乃至25重量%、及び更なる態様において0.2乃至10重量%存在する。好ましい充填剤は二酸化チタン、炭化ケイ素、ケイ素(及びケイ素の他の酸化物、沈殿されていてもいなくても良い)、酸化アンチモン、炭酸鉛、鉛白、リトポン、ジルコン、コランダム、スピネル、アパタイト、バライト粉、硫酸バリウム、マグネサイト(magnesiter)、カーボンブラック、ドロマイト、炭酸カルシウム、タルク及び水和性であるか否かを問わずAl、 Cr 又は Fe及び CO3 及び/又はHP04を持つMg、Ca、又は Znイオンのヒドロタルサイト化合物、石英粉末、炭化マグネシウム塩化水素、 ガラス繊維、 粘土、 アルミナ 、 及び他の金属の酸化物及び炭化物、金属の水酸化物、 クロム、リン及び臭素系の難燃剤、 三酸化アンチモン、 シリカ、 シリコン、及びそれらのブレンドを含む。これらの充填剤は特に、その技術分野で知られる他の充填剤、多孔性充填剤及び担持体を含むこともあり、ある実施の形態においては、本発明のNFPはポリオレフィンに加えられる前に、充填剤と事前に接触させられ、又はそれらの充填剤に吸収させられることもある。
詳説すると、本発明のある実施の形態においては、改質剤、又は改質剤のある部分は、充填剤、望ましくは多孔性充填剤とブレンドされることもある。改質剤と充填剤は,例えば、タンブラー又は他の湿式ブレンド機器でブレンドされることもある。本実施の形態においては、改質剤と充填剤は、改質剤と充填剤が均一な組成物を作り上げるのに適当な時間ブレンドされ、ある実施の形態においては、1分から5時間が望ましい。この改質剤/充填剤のブレンドは、その後、エチレンポリマーに可塑性を与えるために、本発明で有用なエチレンポリマーとブレンドされることもある。他の実施の形態においては、多孔性充填剤は、充填剤をエチレンポリマーと接触させる以前に、改質剤、又はその一部と接触させられることもある。他の実施の形態においては、多孔性充填剤、エチレンポリマー及び改質剤は同時に(又は、同じブレンド装置において)接触させられることもある。いずれにしても充填剤は組成物の0.1重量%から60重量%で存在し、他の実施の形態においては0.2重量%から40重量%で存在し、更に他の実施の形態において0.3重量%から20重量%で存在することもある。
脂肪酸の金属塩は又、本発明のポリエチレン組成物に存在することもある。その様な塩はある実施の形態においては、組成物の0.001重量%から1重量%で存在し、更に他の実施の形態においては0.01重量%から0.8重量%で存在することもある。脂肪酸の例には、ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、 乳酸ステアリル、乳酸、 フタル酸 、安息香酸、ヒドロオキシステアリン酸、リシノール酸(ricinoleic acid)、 ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、及びエルカ酸、又は7乃至22の炭素原子の鎖長を有する飽和又は不飽和のモノカルボン酸を含む。好ましい金属にはLi, Na, Mg, Ca, Sr, Ba, Zn, Cd, Al, Sn, Pb 等を含む。好ましい金属塩は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛及びオレイン酸マグネシウムから選択される。
好ましい態様において、スリップ剤は本発明の組成物中に含まれる。好ましくは、前記スリップ剤は前記組成物の重量に基づいて、0.001乃至1重量%(10乃至10,000ppm)、より好ましくは0.01乃至0.5重量%(100乃至5000ppm)、より好ましくは0.1乃至0.3重量%(1000乃至3000ppm)含まれる。
好ましいスリップ剤は、飽和脂肪酸アミド(パルミトアミド、ステアラアミド、アラキドアミド、ベヘナアミド、ステアリルアミド、パルミチルパミトアミド、及びステアリルアラキドアミド等);飽和エチレンビス−アミド(ステアラミド−エチル−ステアラミド、ステアラミド−エチル−パルミトアミド、及びパルミトアミド−エチル−ステアラミド等);不飽和脂肪酸アミド(オレアミド、エルクアミド、及びリノレインアミド等)、飽和エチレンビスアミド(エチレン−ビス−ステアラミド、エチレン−ビス−オレアミド、ステアリル−エルクアミド、エルクアミド−エチル−エルクアミド、オレアミド−エチル−オレアミド、エルクアミド−エチル−パルミトアミド、及びパルミトアミド−エチル−オレアミド等)、グリコシル、ポリエーテルポリオール(Carbowax等)、脂肪族炭化水素の酸(アジピン酸及びセバシン酸等)、芳香族又は脂肪族炭化水素のエステル(グリセロールモノステアレート、及びペンタエリスリトールモノオレエート)、スチレン−アルファ−メチルスチレン、フッ素含有ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン、フルオレインオイル、及びフルオレインワックス等)、シリコン化合物(シラン及びシリコンオイル、修飾シリコン、及び粗シリコンを含むシリコンポリマー等)、アルキル硫酸ナトリウム、アルキルリン酸エステル、並びにこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
好ましいスリップ剤は、不飽和脂肪酸アミドであり、Crompton (Kekamide(TM) grades)、Croda Universal(Crodamide(TM) grades),及びAkzo Nobel Amides Co. Ltd. (ARMOSLIP(TM) grades)より販売されている。特に好ましいスリップ剤は、以下の化学構造式を有する不飽和脂肪酸アミドを含む。
式1
式中、Xは5乃至15である。好ましいバージョンは以下のものを含む。1)エルクアミド:Xが11であり、cis−13ドコセノアミドとも言う(ARMOSLIP Eとして市販されている);2)オレイルアミド:Xは8、3)オレアミド:Xは7であり、N−9−オクタデセニル−ヘキサデカアミドとも言う。他の態様において、ステアラミドも本発明に用いることができる。他の好ましいスリップ剤はWO2004/005601A1に記載のものを含む。
幾つかの態様において、本発明により生産されるポリエチレンは、これに限定されるものではないが、熱可塑性ポリマー、及び/又はエラストマーを含む一以上の他のポリマーとブレンドしても良い。
「熱可塑性ポリマー」とは、熱により溶融し、そして冷却することができ、その場合その特性に明白な変化を起こすことのないポリマーをいう。熱可塑性ポリマーは通常、これに限定されるものではないが、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリアセタル、ポリラクトン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、ポリフェニレン オキサイド、ポリフェニレン サルファイド、スチレン アクリロニトリル 樹脂、スチレン無水マレイン酸、ポリイミド、芳香ポリケトン、又は上記の2以上の混合物を含む。好ましいポリオレフィンは、これに限定されるものではないが、一以上の直線状、枝分かれ、又は環状のC2からC40のオレフィンを含むポリマー、好ましくは一以上のC3からC40のオレフィン、好ましくは、C3からC20のアルファオレフィン、より好ましくはC3からC10のアルファオレフィンと共重合しているエチレンを含むポリマーが良い。特に好ましい例はポリブテンである。最も好ましいポリオレフィンはポリプロピレンである。他の好ましいポリオレフィンは、より好ましいポリオレフィンは、C3からC40のオレフィン、好ましくはC3からC20のアルファオレフィン、より好ましくはプロピレン、ブテン、ヘキセン、及び/又はオクテンと共重合しているエチレンを含むポリマーを含むのが良い。
エラストマーは、ASTM D1566に規定されるものを含む、全ての天然及び合成ゴムを含む。好ましいエラストマーの例には、これに限定されるものではないが、エチレンプロピレンゴム、エチレン プロピレン ジエン モノマーゴム、スチレン ブロック コポリマーゴム(SEBS、SI、SIS、SB、SBS、 SIBS等を含む、ここでS=スチレン、EB=ランダムエチレン+ブテン、I=イソブチレン、及びB=ブタジエンである)、ブチル ゴム、ハロブチルゴム、イソブチレン及びパラ−アルキルスチレンのコポリマー、イソブチレン及びパラ−アルキルスチレンのハロゲン化したコポリマー、天然ゴム、ポリイソプレン、アクリロニトリルーブタジエン コポリマー、ポリクロロピレン、アルキル アクリレートゴム、塩素化イソプレンゴム、アクリロ二トリル塩素化イソプレンゴム、ポリブタジエン ゴム(シス及びトランス共に)を含む。
他の態様において、前記ブレンド組成物は25重量%以下、好ましくは20重量%以下、好ましくは15重量%以下、好ましくは10重量%以下、好ましくは5重量%以下、好ましくは0重量%のプロピレンを含む。
粘着付与剤は本発明のエチレン組成物とブレンドしても良い。有用な粘着付与剤の例には、これに限定されるものではないが、以下を含む: 脂肪族炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂、水素化 ポリシクロペンタジエン樹脂、ポリシクロペンタジエン樹脂 、ガム ロジン、 ガム ロジン エステル、 ウッド ロジン、 ウッド ロジン エステル、トール オイル ロジン、 トール オイル ロジン エステル、ポリテルペン、 芳香族変性ポリテルペン、フェノール性テルペン、 芳香族変性水素化ポリシクロペンタジエン樹脂、水素化脂肪族樹脂、水素化脂肪族芳香族樹脂、水素化テルペン、及び変性テルペン、及び水素化ロジンエステルである。ある実施の形態においては、粘着付与剤は水素化されている。他の実施の形態においては、粘着付与剤は非分極である(非分極とは、粘着付与剤が極性群を持つモノマーを実質的に含まないことをいう。好ましくは極性群が存在しない、もし存在したとしても、好ましくは5重量%を超えて存在しない、好ましくは2重量%を超えて存在しない、更に好ましくは0.5重量%を超えて存在しないのが良い)。ある実施の形態においては、粘着付与剤は80℃から140℃までの間で、好ましくは100℃から130℃までの間の軟化点(リング及びボール(Ring and Ball)、ASTM E−28により測定)を持つのが良い。粘着付与剤は、もし存在する場合は、ブレンドの重量ベースで通常約1重量%から約50重量%まで存在し、より好ましくは10重量%から40重量%、更に好ましくは20重量%から40重量%で存在するのが良い。しかし、好ましくは粘着付与剤は存在しないのが良く、もし存在するとしても10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満であるのが良い。
別の実施形態では、本発明ポリマー及び/又はその混合物は充填剤、キャビテーティング剤、酸化防止剤、界面活性剤、補助剤、可塑剤、粘着剤、粘着防止剤、カラーマスタバッチ、顔料、染料、処理補助剤、UV安定剤、中和剤、潤滑剤、ワックス及び/又は核生成剤などの公知の典型的な添加物をさらに含む。添加物は通常当該技術において公知である効果的な量、例えば、0.001重量%から10重量%存在していてもよい。好ましい酸化防止剤はチバガイギーが販売するIrganox 1010、Irganox 1076などのフェノール性酸化を含んでいる。好ましい充填剤、キャビテーティング剤、及び/又は核生成剤は二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、珪石、二酸化ケイ素、カーボンブラック、砂、ガラスビーズ、鉱物片、タルク、粘土等を含む。
ブレンド及び加工
本発明に用いるのに好適なポリ又は本発明の改質剤とブレンドすることができる任意の物理的形態を有している。1つの態様において、任意の加工工程に先立ち、重合反応器から分離されたポリマーの顆粒であると定義される反応器顆粒を本発明の改質剤とブレンドする。前記反応器顆粒は、1つの態様において50μm乃至10μm、他の態様において10μm乃至5mmの平均直径を有する。他の態様において、前記ポリマーは例えば、1mm乃至10mmの平均直径を有し、反応器顆粒を溶融押出成形して製造される、ペレットの形態である。
本発明の組成物は任意の好適な方法を用いてブレンドすることができ、通常、ブレンドを行って均一な単相混合物となる第一混合組成物を製造する。例えば、これらは静的混合、バッチ混合、押出成形、又はこれらの組合せを用いて、ポリマー中に改質剤が好適に分散されるまでブレンドする。
前記混合工程は例えば、ポリマーと改質剤が十分な混合物には至らない程度に、最初に接触する工程となるタンブラーブレンド等の第一ドライブレンディングを含む。前記ポリマーと改質剤はその後、押出成形器において溶融混合される。前記組成物をブレンドする他の方法は、押出成形器又はバッチミキサーにおいて改質剤をポリマーペレットとともに直接溶融混合する方法である。これは「マスターバッチ方法」を含む。「マスターバッチ方法」は、高濃度の改質剤を含むように調製された所定量の可塑化ポリマーにポリマーのみを結合させることにより最終的な改質剤濃度の組成物を得る方法である。混合工程は、射出成形器、又はブローフィルム製造ライン、又は繊維ラインにおける押出成形のように、製品加工に用いる方法の一部として行われる。
本発明の1つの側面において、前記エチレンポリマー及び改質剤は押出成形器(1軸、又は2軸)又はバッチ混合器等の装置において「溶融混合」される。前記エチレンポリマーは、タンブラー、ダブルコーンブレンダー、リボンブレンダー、又の好適なブレンダーを用いて改質剤と「乾燥ブレンド」される。更なる態様において、前記エチレンポリマー及び改質剤は、例えば、タンブラー工程の後に押出成形工程を行うように、複数の方法を組み合わせてブレンドされる。好ましいブレンド方法は、押出成形器内において、組成物を溶融し、射出成形又はブロー成形等の成形工程に運搬するような製品加工工程の一部であるブレンドの最終工程を含む。この方は、ポリエチレンを十分に融解する前又は後にいずれかにおいて、改質剤を直接注入する工程を含む。ポリエチレンの押出成形技術は、例えば、PLASTICS EXTRUSION てchのぉgy 26- 37 (Friedhelm Hensen, ed. Hanser Publishers 1988)に詳述されている。
本発明の他の側面において、前記ポリエチレン組成物は両成分を十分に溶解する溶媒を用いた好適な手段により溶液中でブレンドすることができる。このブレンド工程は改質剤及びエチレンポリマーレジンが溶液状態にある任意の温度及び圧力で行うことができる。好ましい条件は、エチレンポリマーの融点より10℃以上、好ましくは20℃以上高い温度で行うブレンド工程を含む。そのような溶液ブレンド工程は、改質剤が他のブレンド工程全体でみられように乾燥ポリマーに添加される方法よりも、エチレンポリマーが溶液工程において製造され、改質剤を直接ポリマー製造の最終加工装置に添加する方法において特に有用である。そのような溶液ブレンド工程は、ポリマー及び改質剤がモノマー中で溶解されるバルク又は高圧プロセスにおいても特に有用である。溶液工程と同様に、他のブレンド工程にみられるように乾燥ポリマーに直接添加される方法よりはむしろ、改質剤は、直接最終工程の装置に添加される。
従って、押出成形器を含む方法を用いた製品加工の場合、十分に製造されているプレブレンドペレット(例示的な組合せはポリマーペレット単独と改質剤のブレンド、ポリマー顆粒単独及び改質剤のブレンド、ポリマーペレット単独、及びプレブレンドペレットのブレンド、及びポリマー顆粒及びプレブレンドペレットのブレンドを含む)を用いる方法は、原料の再融解工程及び混合工程を含むので、射出成形又はブロー成形等のポリエチレン及び改質剤を結合して所望の組成物を得る任意の手段は、より優れた方法である。「プレブレンドペレット」の語はエチレンポリマー及び改質剤を所定の濃度で含むポリエチレン組成物のペレットを意味する。
圧縮成形法において、溶融成分の混合がほとんど起こらず、単なる成分ペレット(顆粒)及び改質剤のブレンドよりもプレブレンドペレットを用いることが好ましい。当業者は、好ましい製造効率を勘案しつつ、成分の均一な混合を達成するために必要なバランスで、ポリマーをブレンドするための好適な方法を決定することができる。
アプリケーション(製品)
本明細書で説明するポリエチレン組成物の高められた性質は、調理及び貯蔵製品等の透明製品、及び家具、自動車部品、玩具、スポーツウエア、医療器具、滅菌医療器具、及び滅菌容器、不織繊維、及び不織布、並びにカーテン、ガウン、フィルタ、衛生製品、オムツ、及びフィルム、延伸フィルム、シート、チューブ、パイプ、等の各種製品、並びに柔軟性、高い衝撃耐性、及び冷凍温度以下の温度おける衝撃耐性が重要な製品に有用である。
本発明の組成物から製造される好ましい製品の追加的な例は、フィルム、シート、繊維、織布、及び不織布、自動車部品、家具、スポーツ用品、食品用貯蔵容器、透明及び半透明製品、玩具、チューブ及びパイプ、シート、包装容器、バッグ、サック、コーティング、カップ、クロージャー、枠箱、パレット、カップ、非食品用容器、円筒形容器、断熱材、及び医療用具を含む。更なる例は、自動車部品、ワイヤ及びケーブルジャケット、パイプ、農業用フィルム、ジオメンブレン、玩具、スポーツ用品、医療器具、パッケージフィルムの注型成形品及びブロー成形品、チューブ、パイプ、及び断面材の押出成形品、スポーツ用具、アウトドア家具(例えば、ガーデン家具)及び遊具、ボート、及び水上乗り物用製品、及び他の製品を含む。特に、前記組成物は、バンパー、グリル、トリム部品、ダッシュボード、及び計器パネル、外部ドア、及びボンネット部品、スポイラ、ウィンドスクリーン、ハブキャップ、ミラーハウジング、ボディパネル、保護用サイドモールディング、及び、乗用車、トラック、ボート、及び他の乗り物に関係する他の外部及び内部製品を含む。
本発明の実施により商業的に製造され得る他の有用な製品及びグッズは、枠箱、コンテナ、パッケージ、培養用のローラーボトル、及び培地ボトル等の実験器具、オフィスフロアーマット、サンプルホルダ及びサンプルウィンド用品、血液又は液体の貯蔵又はIV注射用のバック、ポウチ、及びボトル、照射滅菌により保存されることを特徴とする食品用包装及び容器の他に個包装又はブリスター包装又はプラスチック包装を含む医療器具及び薬に用いられる包装用材料を含む。他の有用なアイテムは、輸液キット、カテーテル、及び呼吸治療用器具を含む医療器具に用いるチューブ及びバルブ、並びに、トレイを含む照射滅菌を行う医療器具用及び食品用パッケージ用素材、並びに貯蔵液体、特に水、ミルク、又はジュース、並びに他に提供単位及びバルク貯蔵単位のコンテナ、並びにチューブ及びパイプ等の輸送手段を含む。
これらの製品の加工は、射出成形、押出成形、熱成形、ブロー成形、回転成形(ローター成形)、紡糸、回転結合成形、又は不織布、フィルムブローイング等の溶融ブロー結合成形、フィルム(チルロールの使用を含む)等のキャスティング、断面変形、コーティング(フィルム、ワイヤ、及びケーブル)、圧縮成形、カレンダリング、発泡、ラミネーティング、トランスファー成形、キャスト成形、引抜成形、突出し成形、ドローリダクション(Draw reduction)、及び他の一般的な加工法、あるいは、例えば、PLASTICS Processing (Radian Corporation, Noyes Data Corp. 1986に記載のこれらの組合せを用いて行われる。少なくとも熱成形又はフィルム製品を用いると単軸又は2軸延伸の利益を実現又は導き出すことが可能になる。十分な混合は、よく分散された、好ましくは均一に混合されたブレンドが最終加工工程の前に達成されていることが好ましい。
接着剤
本発明ポリマーやその混合物は単独で又は粘着付与剤に結合されて接着剤として使用される。好ましい粘着付与剤は上で説明されている。粘着付与剤は通常混合物の重量ベースで、約1重量%から約50重量%存在し、より好ましくは10重量%から40重量%、さらに好ましくは20%乃至40重量%存在する。上で説明される他の添加物を加えてもよい。
本発明の接着剤は粘着用途に使用することができ、これらの用途は使い捨て用品、包装、ラミネート製品、感圧接着剤、テープラベル、木材の結合、紙の結合、不織布、道路マーク、反射膜等である。好ましい実施形態では、本発明の接着剤は使い捨てのおむつとナプキンの土台構造、使い捨ての商品の取替弾性取付部分、パッケージング、ラベリング、製本、木工その他の組立用途に使用される。特に好ましい用途は、赤ん坊のおむつの脚部分のゴムひも、おむつの正面テープ、おむつの脚の袖口、おむつの土台構造、おむつコア安定化、おむつの液体移動層、おむつの外側のカバーはり合わせ、おむつの弾性の袖口はり合わせ、女性のナプキンコア安定化、女性のナプキン接着剤片、工業用フィルタの接着、工業用フィルタ材料はり合わせ、フィルタマスクはり合わせ、手術衣はり合わせ、外科ドレープのはり合わせ、及び腐りやすい製品包装を含む。
フィルム
上で説明された組成物とその混合物は単層か多層フィルムに形成されてもよい。これらのフィルムは押出、同時押出し、押出コーティング、はり合わせ(ラミネート)、ブローイング及びキャスティングを含む当該技術分野で知られている通常法のいずれによって形成されてもよい。フィルムをフラットフィルムプロセス又は管成形プロセスにより作ることができ、続いてフィルム面上の単一軸方向又は2つの互いに垂直な方向へ配向によって得ることもできる。フィルムの1つ以上の層を横方向又は縦方向に同じ又は異なった程度に配向してもよい。この配向は個々の層が結合される以前又は以後に行われる。例えば、1ポリエチレン層は配向ポリプロピレン層に押出コーティング又はラミネートされるか、又はそれらのポリエチレン層とポリプロピレン層はフィルム状に一緒に押し出されて、後に配向される。同様に、配向されたポリエチレンに配向されたポリプロピレンをラミネートすることができ、あるいは、配向されたポリエチレン上にポリプロピレンをコーティングして、その後、この組合せたものをさらに配向することができる。フィルムは通常、縦方向(MD)に最大で15の比、好ましくは5乃至7の比、及び横方向(TD)に最大15、好ましくは7〜9の比で配向されている。しかしながら、別の実施形態では、フィルムはMDとTDの両方向において同じ程度に配向される。
別の実施形態では、本発明の可塑化ポリオレフィン組成物(及び/又はその配合物)を含む層は、他の1つ以上の層に結合されてもよい。他の層は多層フィルム構造に通常含まれている如何なる層であってもよい。例えば、他の1又は2以上の層は以下の通りであってもよい。
1.ポリオレフィン
好ましいポリオレフィンはC2乃至C40オレフィン、好ましくはC2乃至C20オレフィンのホモポリマーかコポリマー、好ましくはアルファオレフィンと別のオレフィン又はアルファオレフィン(本発明の目的のためにエチレンはアルファオレフィンと定義される)とのコポリマーを含む。好ましくはホモポリエチレン、ホモポリプロピレン、エチレン及び又はブテンと共に重合されプロピレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、及び任意ジエンの1つ以上で共重合されたエチレン等である。好ましい例は超低密度ポリエチレン、極低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、イソタクチックポリプロピレン、高イソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレンそして/又はブテンそして/又はヘキセンのランダムコポリマー、及びエラストマーであって、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマゴム、ネオプレン、及び熱可塑性ポリマーと例えば熱可塑性エラストマーとゴム補強プラスチックのようなエラストマーとの配合物であるエラストマーである
2.極性ポリマー
好ましい極性ポリマーはエステル、アミド、アクテート、無水物のホモポリマーとコポリマー、C2乃至C20オレフィンのコポリマー(アセテート、無水物、エステル、アルコール、そして/又はアクリルのような1つ以上の極性モノマーを有するエチレンそして/又はプロピレンそして/又はブテンなど)を含む。好ましい例はポリエステル、ポリアミド、エチレン酢ビコポリマー、及びポリ塩化ビニルを含んでいる。
3. カチオンポリマー
好ましいカチオンポリマーは2置換されたオレフィン、アルファ異原子オレフィン、スチレンモノマー等のポリマーかコポリマーを含んでいる。好ましい2置換されたオレフィンはイソブチレン、イソペンテン、イソヘキサン、イソオクテン、イソデセン、及びイソデオデセンを含んでいる。好ましいアルファ異原子オレフィンはビニルエーテルとビニールカルバゾールを含んでいて、好ましいスチレンモノマーはスチレン、アルキルスチレン、パラアルキルスチレン、アルファメチルスチレン、クロロスチレン、及びブロモパラメチルスチレンを含んでいる。カチオンポリマーの好ましい例はブチル基ゴム、パラメチルスチレン、ポリスチレン、及びポリアルファメチルスチレンによって共重合されるイソブチレンを含んでいる。
4.その他
他の好ましい層は紙、木、段ボール、金属、金属箔(アルミホイルとスズホイルなど)、金属化された表面、ガラス(酸化けい素をフィルム表面に蒸着させることによる酸化けい素(SiOx)コーティングを含んでいる)、織物、スパンボンドされたファイバー、不織布(特にポリプロピレンスパンボンドのファイバー又は不織布)、及びインク、染料、顔料等でコーティングされた基板である。
フィルムは意図された用途に依存して厚みが異なってもよい。しかしながら、通常、1乃至250μmの厚みのフィルムが適当である。通常、包装のために意図されるフィルムは厚さ10乃至60ミクロンである。通常、シール層の厚みは0.2乃至50μmである。シール層をフィルムの内面及び外面の両方又はいずれか一方に設けても良い。
接着剤、接着防止剤、酸化防止剤、顔料、充填剤、加工助剤、UV安定剤、中和剤、潤滑剤、界面活性剤そして/又は核生成剤などの添加物もフィルムの1つ以上の層に存在してもよい。好ましい添加物は二酸化ケイ素、二酸化チタン、ポリジメチルシロキサン、滑石、染料、ワックス、カルシウムステレート、カーボンブラック、低分子量樹脂、及びガラスビーズを含んでいる。好ましくはこれらの添加剤は0.1乃至1000ppm存在する。
別の実施形態では、1つ以上の層がコロナ処理、電子線照射、ガンマ照射、又はマイクロ波照射によって改質されてもよい。好ましい実施形態では、表面層1つか両方がコロナ処理によって変更される。
また、本明細書で説明するフィルムはポリマーと樹脂の重量ベースで、炭化水素樹脂の5乃至60重量%を含んでなってもよい。樹脂はシール層のポリマーに結合されてもよいし、又はコア層でポリマーに結合されてもよい。樹脂は好ましくは100℃以上、さらに好ましくは130〜180℃の軟化点を有する。好ましい炭化水素樹脂の例は上で説明されたものを含む。炭化水素樹脂を含んでなるフィルムは単軸か二軸の方向に同じであるか異なった程度まで配向されていてもよい。本明細書に記載の改質剤と増粘剤とのブレンドの詳細については2004年10月8日に提出されたUSSN 60/617,594を参照のこと。
上で説明されたフィルムは延伸又は接着フィルムとして使用される。延伸又は接着フィルムは様々なバンドリング、包装、及びパレット操作で使用される。特定のフィルムの固着特性を生じさせ又は改良するために、多くの周知の粘着付与添加物が利用されてきた。一般的な粘着付与添加物はポリブテン、テルペン樹脂、アルカリ金属ステアリン酸塩、水素化ロジン、及びエステルガムを含んでいる。接着フィルムの特性はまた、コロナ放電と呼ばれる周知の物理的な過程によって改質されることができる。いくつかのポリマー(エチレンアクリル酸メチルコポリマーなどの)は接着するための添加物を必要とせず、粘着付与剤の使用がなくても接着層として使用しうる。延伸/接着フィルムは如何なる適当なポリオレフィン又はポリオレフィンの組み合わせ(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンコポリマー、エチレン又プロピレンと小量の他のオレフィン、特に、C4乃至C12オレフィンとの共重合から得られるポリマーなど)を含むスリップ層を含んでもよい。特に好ましいのはポリプロピレンと線状低密度ポリエチレン(LLDPE)である。さらに、スリップ層は、ポリオレフィンの生産の間に加えられてもよい又はこの層のスリップ特性を改良するために後に混入されてもよい1つ以上の抗固着(スリップ又は抗接着)添加物を含んでもよい。そのような添加物は当該技術でよく知られていて、例えば珪石、シリケイト、ケイ藻土、滑石、及び様々な潤滑剤を含んでいる。これらの添加物はスリップ層の重量で約100ppmから約2万ppm、より好ましくは約500ppmから約1万ppm利用される。また、望まれるならば、スリップ層は上で説明される他の1つ以上の添加物を含んでもよい。
成型及び押出成形された製品
上で説明されたポリエチレン組成物はまた、成型製品を製造するのに射出成形、ガスアシスト射出モールド、押出しブローモールド、射出ブローモールド、射出延伸ブローモールド、圧縮成形、回転モールド、発泡モールド、熱成形、シート押出し、及び異形押出を含む如何なる成形工程を使用してもよい。成形工程は当業者によく知られている。
本明細書で説明する組成物は当該技術で知られている如何なる適当な方法によって望ましい最終用途用品に形成される。熱成形、真空成形、ブローモールド、回転モールド、スラッシュモールド、トランスファー成形、湿式レイアップ又は接触モールド、キャストモールド、冷間成形マッチドダイモールド、射出成形、スプレー技術、異形同時押出し、又はそれの組合せが通常使用される方法である。
熱成形は少なくとも1個の柔軟なプラスチックシートで必要な形を作るプロセスである。熱成形シーケンスの実施形態が説明されるが、しかしながら、これは本発明の組成物に有用な熱成形方法を制限するものと理解されるべきでない。最初に、本発明の組成物の押し出されたフィルム(その他の層や材料)を加熱の間にそれを保持するためのシャトルラック上に置く。シャトルラックを成形の前にオーブン内に割り出して、オーブンによりフィルムを予熱する。フィルムが一旦加熱されると、シャトルラック成形工具へ戻され割り出される。次にフィルムはバキュームにより成形工具上に受けられて適所に保持され、そして、成形工具は閉じられる。成形工具は「雄型」又は「雌型」のいずれかのタイプのツールである。ツールはフィルムを冷やすために閉じた状態に保たれ、次に、ツールを開く。そして、形成されたラミネート製品はツールから取り外される。シート状材料が通常、140℃から185℃の熱成形温度にいったん達すると、熱成形は真空(負圧)又はプラグ補助真空成形、若しくはこれらの組合せと変形によって達成される。材料分布を改良するために、プレストレッチ気泡ステップが特に大型部品の上に使用される。1つの実施形態では、関節ラックは雄成形工具の開口部からの真空によって補助されながら加熱されたラミネート製品を雄成形工具の方へ持ち上げる。ラミネート製品は雄成形工具の周りで一旦しっかり形成されると、次に、熱成形されたラミネート製品は送風機によって通常冷やされる。一般に、プラグ補助成形は小さな深く搾り出される部品に使用される。プラグの材料、デザイン及びタイミングは工程の最適化に重要である。絶縁発泡材から作られたプラグはプラスチックの冷却が時期尚早となることを防止する。プラグの形は通常モールドキャビティと同様であるが、それよりも小さく、部分的詳細は異なる。通常、丸いプラグ下部は均一な材料分布と一定の側壁厚みを促進する。一般に、ポリプロピレンなどの半結晶高分子の場合、速いプラグ速度は部分において最も良い材料分布を提供する。形成されたラミネート製品は次に型の中で冷やされる。30℃から65℃の成形温度を維持することができるくらいの冷却が望ましい。1実施形態では、部品は型から取り出される前は90℃から100℃以下の温度である。熱成形における好ましい挙動において、最も低いメルトフローインデックスを持つポリマーが望ましい。そして、形成されたラミネート製品は余分な材料部分がトリミングされる。
ブロー成形はもうひとつの適当な成形方法であり、それは射出ブロー成形、多層ブロー成形、押出しブロー成形、及び伸展(ストレッチ)ブロー成形を含み、例えば、ガスタンク他の流体容器のような実質的に閉じている、即ち、空洞の製品に特に適当である。ブロー成形は、例えば、「高分子科学と工学のコンサイス百科事典90−92」(ジャクリーンI.クロシュウィツ版、ジョンウィリ・アンド・サンズ社、1990年)において詳細に説明される。
成形及び形成プロセスのさらに別の実施形態では、異形同時押出しを使用することができる。異形同時押出しプロセスのパラメータはブロー成形に関しては述べた上記説明と同じであるが、ダイの温度(二元的ゾーンの上面と下面)が150℃乃至235℃であり、給送ブロックの温度は90℃乃至250℃、冷却タンク温度は10℃乃至40℃であることが異なる。
射出成形法の1つの実施形態は以下の通り説明される。形成されたラミネート製品を射出成形ツールに置く。型を閉じ、基材物質が型に注がれる。基材物質は1つの実施形態では180℃乃至300℃又は200℃乃至250℃の融解温度を持ち、2〜10秒の注射速度で型に注がれる。注射の後に、材料はパックされ予定時間所定の圧力で保持され部品を寸法的及び審美的に正しく成形する。典型的な時間は5〜25秒、圧力は1,000kPaから15,000kPaである。基板を冷やすために型は10℃と70℃の間の温度に冷やされる。温度は通常必要な艶と望まれている外観に依存する。典型的な冷却時間は10〜30秒であるが、これは部品の厚みに依存する。最終的に、型は開かれ、形成されたラミネートは部品が取り出される。
同様に、溶融ポリマーを型に注いで、該型により成形品の望ましい形状及び厚みに形成して固めることによって成形品を作ることとしてもよい。シートは、ダイから冷却ロール上に実質的に平坦な断面形を押し出すことにより、あるいは、カレンダリングにより作られる。一般にシートは10milから100mil(254μm乃至2540μm)の厚みを有すると考えられる。但し、シートは実質的により厚くてもよい。異形押出によって、医学、飲料水、土地の排水等の用途のためのチューブ類及び管類を作ることができる。異形押出プロセスは溶融ポリマーをダイに通して押し出すことを伴う。押出されたチューブ又は管類は寒気水か冷却空気によって連続した用品に固められる。チューブ類は一般に、2.54cmから254cmの外径と、0.5cm乃至15cmの壁厚を持つ。本発明のバージョンの実施形態の製品から作られたシートは容器を形成するのに使用されてもよい。そのような容器は熱成形、固相加圧成形、スタンピング他の成形のテクニックによって形成されてもよい。また、シートは、床、壁又は他の表面を覆うために形成されてもよい。
熱成形プロセスの実施形態では、オーブン温度が160℃から195℃であり、オーブン内に置かれる時間は10〜20秒、ダイの温度、通常雄ダイの温度は10℃乃至71℃である。冷やされて(室温)、形成されたラミネート製品の最終的な厚みは1実施形態では10μm乃至6000μmであり、別の実施形態では200μm乃至6000μmであり、まだ別の実施形態では250μm乃至3000μmであり、さらに別の実施形態では500μm乃至1550μmであり、望ましい範囲は如何なる下位厚み限界と、如何なる上位厚み限界のあらゆる組合せとであってもよい。
射出成形において基材物質がツール(形成されたラミネートを含む)射出成形の実施形態において、基材物質の温度は1実施の形態では190℃乃至255℃であり、別の210℃乃至250°であり、注入時間は1実施形態では2乃至10秒であり、別の実施形態では2乃至8秒であり、ツール温度は1実施の形態では25℃乃至65℃であり、別の実施の形態では27℃乃至60℃である。好まし実施の形態では、基材物質の温度は、いかなる繋ぎ層材料又は裏打ち層を十分に溶かして層間付着を達成することもできる十分高い温度である。
発明のまだ別の実施形態では、本発明の組成物は、ブロー成形操作を使用することで基材物質に固定されてもよい。ブロー成形は燃料タンク他の流体容器などの閉じている用品、遊び場設備、野外の家具、及び小さな閉鎖構造のような用途に特に有用である。この過程の1実施形態では、本発明の組成物は多層ヘッドを通して押し出され、次に冷却されていないラミネート製品が型内のパリソンの中に置かれる。次に雄又は雌パターンが内側にして型が閉じられ、型内に空気が入れられて部品を成形する。
所望の結果によって、上で概説されたステップを変えてもよいことが当業者によって理解されるであろう。例えば、本発明の組成物の押し出されたシートは、冷却なしで成形されて、その結果冷却ステップをスキップして、直接熱成形又はブロー成形してもよい。最終合成製品が望ましい特徴を持つようにするために他のパラメータをまた、変えることとしてもよい。
試験方法
流体特性
流動点はASTM D97によって測定される。動粘度(KV)はASTM D445によって測定される。粘度指数(VI)はASTMD 2270によって決定される。色(APHAスケール)はASTM D1209のよって測定される。比重は通常ASTM D4052によって決定される。引火点はASTM D92により測定される。
飽和含量(重量%)は、ASTM D2207にしたがって決定される。硫黄含量(重量%)はASTM D2622に従って測定される。オレフィン結合中に含まれる炭素の割合(即ち、オレフィン系炭素)は液状プロトンNMR磁気共鳴法により測定される。約50mgの液体をNMRロック溶媒として用いられる1gの重水素化クロロホルムに溶解する。プロトンの緩和時間は数秒台であり、リサイクル遅延(recycle delays)は6乃至10秒である。温度及び収集時間が増加すると、シグナル対ノイズがわずかに改善されるけれども、通常、スペクトルは30℃で1時間の収集時間を用いて収集する。オレフィン系炭素の分画は総炭素数(オレフィン系+脂肪族)に対するオレフィン系炭素の比を用いて決定される。言い換えると、これらは各炭素タイプのプロトン多様性を補正した後のプロトンの積分により決定される。オレフィンは4つの構造にグループ分けされる;ビニル、1,2−2置換、3置換体、及びビニリデン(1,1−2置換体);これらは、それぞれ、3つ、2つ、1つ及び2つのプロトンを有している。これらの構造のおおまかなケミカルシフトレンジ(バンド)を、各オレフィンタイプの領域に寄与しているプロトン数と共に、以下の表にまとめた。
各バンドに対する実際のケミカルシフトの幅は上記リストとわずかに異なる。好適な積分限界は当業者がスペクトルを目視することにより明確にわかる。各オレフィンタイプの濃度は、関連領域の積分値をプロトンの数をで除して決定することができる。結合された3置換+ビニル領域は、5.9−5.65ppmに渡る積分値を2倍した値を引くことによりビニル含量を補正して、残りを3置換オレフィンとした。脂肪族炭素のバルクはCH2基中にあり、CH3基中にある各脂肪族炭素はCH基中の脂肪族炭素により(平均して)平衡になっていることから、脂肪族成分の積分値(約3ppm乃至0.5ppm)は、完全にCH2基から生じていると考えられる。脂肪族の積分値を2で割ると脂肪族炭化水素の数が算出される。脂肪族炭素及びオレフィン系炭素の合計でオレフィン基の合計を割り、100を掛ると、100炭素数当りのオレフィン結合の数が算出される。この値に2を掛けると、100炭素当りのオレフィン炭素数、又はオレフィン結合中に含まれる炭素のパーセンテージが算出される。
数平均分子量(Mn)はガスクロマトグラフィー(GC、以下で説明する)により決定する。但し、100℃における動粘度が10cStより高い場合はゲルろ過クロマトグラフィー(GPC、以下で説明する)により決定する。平均炭素数(Cn)はMnでCn=(Mn−2)/14によって計算される。
ガスクロマトグラフィー(GC)の原理は、Modern Practice of Gas Chromatography“, R.L. Grob and E.F. Barry, Wiley-Interscience, 3rd EDITION (July 1995)に記載されている。本発明の炭化水素改質剤のためには、非極性キャピラリーGCカラム及び直鎖炭化水素スタンダードを用いて、クロマトグラフの保持時間及び分子量の補正を行った。サンプルを約1容量%の濃度でペンタンに溶解し、サンプル溶液を調製する。少なくとも5つの直鎖炭化水素スタンダード(化学式、CnHn+2、分子量=14*n+2g/モル)をペンテンに溶解しスタンダード溶液(濃度は、各スタンダードについて2mg/ml)を調製する。スタンダードはサンプルの分子量により選択される。すなわち、少なくとも1つのスタンダードがサンプルより早く溶出され、且つ少なくとも1つのスタンダードがサンプルの後に溶出し、他のスタンダードがこれらの2つのスタンダードの範囲内にあるように選択される。ガスクロマトグラフィーは、水素炎イオン化検出器、及び0.1−mm「G2」固定相(ジメチルポリシロキサンガム)で覆われた0.52mmの16m長の石英ガラスキャピラリーカラムを装備している。キャリアガスは約10ml/分の速度で流れるヘリウムガスである。初めに、カラムを35℃に維持し、注入後直ちに温度を5℃/分の速度で50℃にまで上げ、その後12℃/分の速度で170℃まで上げ、その後10℃/分の速度で170℃から310℃まで上げ、310℃を18分間維持する。注入ポートの温度は35℃に維持されており、検出器の温度は320℃に維持されている。約2μLのスタンダード溶液をクロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録する(溶出時間に応じてフラクションの相対重量)。この工程を各サンプル溶液について繰り返し行う。スタンダードのピーク溶出時間を用いて分子量対溶出時間の標準曲線を作成する。この標準曲線をサンプルのクロマトグラムに当てはめて分子量分布を決定する;Mnは前記分布から計算される数平均分子量である。
ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)の原理はModern Size Exclusion LiquidChromatographs“, W.W. Yan, JJ. Kirkland, and D.D. BIy, J. Wiley & Sons (1979)に記載されている。本発明の炭化水素改質剤についての手順はASTM D3593に従っている。Mnは、ポリスチレンスタンダードを用いて作成された標準曲線(分子量対溶出時間)を用いて計算される数平均分子量である。移動相はトルエンである。カラムセットは測定するサンプルの全体の溶出時間をカバーする直線の標準曲線を与えるように選択される。GCP装置の温度は35℃に維持されている。
ポリマー及び配合物のメルトインデックス
メルトインデックス(MFR)はASTM D1238り、別段の事情がなければ190℃で2.16kgの積荷の下で測定される。ASTM D1238によると、メルトインデックス(MI)は190℃で2.16kgの積荷の下で測定される。単位はg/10分、又はdg/分である。通常、試験の間に押出成形されたサンプルの一部を集め、重量を測定する。これは通常、変更方法1といわれる。解析はサンプルに1分間余熱を行い、実験の間一定の温度を保つ。
ポリマー及びポリマーブレンドの密度
密度は、ASTM D 1505で定義される密度勾配カラムにより測定する。圧縮成形されたサンプルをゆっくり(すなわち、10分間以上の時間をかけて)室温まで冷却し、密度が+/−0.001g/cm3の間で一定になるまで老化させる。密度の単位はg/cm3である。
ポリマー及びポリマーブレンドの粘性
周波数の関数としての動ずれ粘性は小振幅振動せん断レオロジーにより決定される。円錐とプレートのサンプル固定具を有するRheometrics Scientific DSR−500動的応力制御レオメータが使用された。テストは190℃で実行された。サンプルは、固定周波数で上側円錐を振動させることよって100Paの設計振幅で振動せん断応力を受け、結果の歪みが測定された。歪みを1−30%の限度に維持する(圧力調整設定=現在の応力の32%、最大圧力=100Pa)ために自動応力調整能力が利用された。これらの状態は、各材料がその線状粘弾性域の範囲内にあることを確実にする。動的ずれ粘性は測定された歪みと負荷応力から周波数に関する関数として計算された。10年間あたり6ポイントの対数掃引モードを使用して、周波数掃引が500rad/sの割合で始まり、0.02rad/sの割合で減少させて行われた。
クロスモデル(C.W.Macoskcoによる「レオロジー:原理、測定及び応用」Wiley-VCH,1004年)で説明される)を使用することで動粘度(η*)対周波数(ω)カーブを合わせた。
式2
このモデルの3つのパラメータは、ゼロずり粘度η
0、平均緩和時間λ及びべき乗法則指数nである。ゼロずり粘度は、低周波数における流れ曲線のニュートン域の停滞期(そこでは、動粘度が周波数から独立している)の値である。平均緩和時間はせん断薄化が開始する周波数の逆数に相当する。べき乗法則指数nは、動粘度対周波数の対数−対数プロットにおける高せん断速度でのせん断薄化域の勾配である。ニュートン流体では、n=1で動的粘度は周波数から独立している。本明細書におけるポリマーについては、n<1であるので、高いせん断シンニングがnの現象(1−nの増加)で示されている。
示差走査熱量測定法(DSC)
結晶化温度 (Tc)及び溶融温度 (Tm)は示差走査熱量測定 (DSC)を用いて測定された。この分析はTA Instruments MDSC 2920 又は Perkin Elmer DSC7を用いて行った。標準的方法に従い、6から10 mgの成形されたポリマー又は可塑性ポリマーがアルミニウム皿に封入され、室温で機器に挿入された。溶融データ(最初の加熱)は、サンプルを少なくともその溶融温度より30℃高い温度まで毎分10℃の割合で加熱することにより得られた。これにより、モールド成形されたそのものの配向、又は応力のみならず、熱履歴により影響を受けることのあるモールドされたままの状態での溶融挙動についての情報を得ることができる。サンプルはその後、その熱履歴を消すためにこの温度で10分間置かれた。サンプルを、溶融温度から10℃/分の冷却度により結晶化温度より少なくとも50℃低い温度に冷却することにより結晶化データが得られた。サンプルはそして25℃で10分置かれ、最終的に追加の溶融データを得るために分当り10℃/分の割合で加熱された(第二の加熱)。これにより、参考の熱履歴後の溶融挙動、並びにモールドされたままの状態のものの将来起こりうる配向及びストレスの影響を受けていない情報が得られる。吸熱性溶融転移(最初及び第二の加熱)及び発熱結晶化転移が、転移の開始及びピーク温度について分析された。表に示された溶融温度は、特に断らない限り、第二の加熱によるピークの溶融温度である。複数のピークを示すポリマーではより高いピーク温度が示されている。
曲線の下の領域は、結晶化度の程度を計算するために用いることのできる融解熱 (ΔHf) を決定するために用いられた。207 J/gの数値は100%結晶相ポリプロピレンの平衡融解熱として用いられた(B. Wunderlich, “Thermal Analysis”, Academic Press,418page、 1990から得た)。%結晶化度は次の式を用いて算出した;(曲線の下部の領域(J/g)/207 (J/g))x100。
エチレンポリマーのサイズ排除クロマトグラフィー
分子量(重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて決定した。示差屈折率検出器 (DRI)、オンライン光散乱検出器及び 粘度計を備えた高温サイズ排除クロマトグラフ(High Temperature Size Exclusion Chromatograph)(Waters Corporation製、又はPolymer Laboratories製の何れか)を用い決定された。Polymer Laboratories の3つのPLgel 10mm Mixed-Bカラムが使用された。名目上のフローレートは0.5cm3/分、名目上の射出容量は300μLであった。種々のトランスファーライン、カラム及び示差屈折計(DRI検出器)は135℃に保たれた炉に納められた。SECの実験のための溶媒は、4リットルのAldrich試薬、グレード1,2,4トリクロロベンゼン中に抗酸化剤として、6グラムのブチル化ヒドロオキシ トルエンを溶解させ作った。TCB混合物は、その後0.7μmガラス前置フィルタ、及び続いて0.1μmテフロンフィルターを通してろ過された。TCBはその後、SECに入る前に、オンライン脱気剤により脱ガスされた。
ポリマー溶液は乾燥ポリマーをガラスコンテナーに入れ、所望の量のTCBを加え、その後混合物を約2時間絶えずかき混ぜながら160℃まで加熱して準備した。数量はすべて重量により計測された。質量/容量単位のポリマー濃度を表すために用いたTCB密度は室温で1.463 g/mlで、135℃で1.324 g/mlである。射出濃度は1.0から2.0mg/mlの範囲であり、低濃度のものが高分子サンプルの生産に用いられた。
各サンプルが投与される前に、DRI検出器及び射出器が洗浄された。機器中のフローレートはその後0.5ml/分の割合で増大され、そして最初のサンプルを射出する前にDRIを8乃至9時間掛けて安定化させた。LSレーザーはサンプル投与1乃至1.5時間前に電源が入れられた。
クロマトグラムの各点の濃度、c、は基準値を差し引いたDRI信号、IDRI、から次の式を用いて算出する:
式3
ここでK
DRIはDRIを測定することにより決定される定数であり、(dn/dc)は、以下のLS分析に記載されているものと同じものである。このSEC法の記述おいてはパラメータの単位は全て、濃度はg/cm
3, 分量はg/モル、固有粘度はdL/gで表される。
使用された光散乱検出器はWyatt Technology High Temperature mini-DAWNである。クロマトグラムの各点でのポリマーの分子量、Mは静的光散乱Zimmモデルを用いるLS出力を分析して決定される(M. B. Huglin, LIGHT SCATTERING FROM POLYMER SOLUTIONS, Academic Press, 1971):
式4
ここでΔR(θ)は散乱角度θに於ける測定された過剰レーリー散乱強度であり、cはDRI分析により決定されるポリマー濃度であり、A
2は第二ビリアル係数(second virial coefficient)であり、P(θ)は単分散ランダムコイル(monodisperse random coil)の形状因子(form factor)(上記の参照文献に記載されている)であり、そしてK
oはシステムの光学定数である:
式5
ここでN
Aはアボガドロ数、及び(dn/dc)はシステムの屈折率の増加である。TCBの屈折率nは、135℃のTCBでn=1.500及びλ=690nmである。更にポリエチレンに対しては、A
2=0.0015であり、(dn/dc)=0.104である。量パラメータはエチレンコポリマーの平均組成により変化する。従って、LS解析により決定された分子量はクロマトグラムの各位置において上記式に当てはめて計算される。この式は、LS解析による平均分子量及び分子量分布も計算することができる。
Viscotek Corporationの高温粘度計が使用され、この粘度計は2つの圧力トランスジューサを備えたWheatstoneブリッジ構成に4つの毛細管を配置したものである。トランスジューサの一つは検出計全体の全圧力減を測定し、他のトランスヂューサは、ブリッジの両サイドの間に位置して圧力差を測定する。粘度計を通過する溶液の比粘度ηsは、その通過量から計算する。クロマトグラムの各点での固有粘度[η]は以下の式により算出される:
式6
ここでciはDRI解析から決定されたポイントiの濃度である。
枝分かれ指数 (g')は、SEC-DRI-LS-VIS法の測定値を用いて以下の様に計算される。サンプルの平均固有粘度、[η]avgは以下の式により算出する:
式7
ここで、合計値は積分限界の間のクロマトグラフ部分、iの全体に対するものである。枝分かれ指数g’は次の通りに定義される:
式8
ここでMark−Houwinkパラメータk及びαは、ポリエチレンホモポリマーの場合、k=0.00058、及びポリエチレンポリマーについてはα=0.695である。エチレンコポリマーについて、kはコモノマー含量が高くなるにつれて減少する。MvLS解析により決定された分子量を基にした粘度―平均分子量である。
検出器の補正、並びにMark−Houwinkパラメータ及び第二ビリアル係数に依存する組成物の計算方法を含む上に記載されていない実験及び解析方法は、T. Sun, P. Brant, R. R. Chance, and W. W. Graessley (Macromolecules, 2001 volume 34(19), pages 6812-6820)に記載されている。
ポリマー及びポリマーブレンドの動的機械熱解析(DMAT)
動的機械熱解析(DMAT)は、融解前の粘弾性領域に含まれる温度範囲において、温度の関数である、固形状態のサンプルの少歪機械反応(緩和挙動)を測定するために用いた。
試験は、3点曲げ構成 (TA Instruments DMA 2980)を用いて試験された。固体状の長方形の圧縮成形された棒が二つの固定支持上におかれ、可動クランプにより、サンプルの中央に、1Hz周波数及び20μmの振幅で周期変形が加えられた。サンプルは当初−120℃に冷却され、そして3℃/分の割合で70℃まで加熱された。通常、単独物質又はブレンドに対して1つのバーが試験される。
これらのDMTAの実験の結果により、保存係数 (E')及びロス係数( (E"))が収集された。保存係数は弾性反応又は材料のエネルギー保存能力を測定するものであり、ロス係数は、粘性反応又は材料のエネルギー発散能力を測定するものである。TanδはE"/E'の比率であり、そして材料の減衰能力(damping ability)の測定数値を与えるものである。エネルギー損失メカニズム(すなわち、緩和モード)は、Tanδにおけるピークとして示され、温度に応じてEに関係する。報告された値E’の誤差範囲は、圧縮成形工程により生じた変動に依存して±10%の範囲である。
ポリエチレン物質において得に注目すべき性質は低温、特に−100乃至20℃の範囲における緩和性質である。この領域における任意のエネルギー損失メカニズムは、本特許の目的のために、低温緩和モード(LTRM)と定義される。純粋なポリエチレンについて、LTRMは「β−緩和」モードと定義され、通常、広い温度範囲である。我々は単に、LTRMを物理的性質に起因するものではなく、開始温度(Tanδピークに対する推定されるタンジェント)、Tanδピーク温度、及びTanδピークの下の面積を用いて特徴付ける。可塑化されている物質の低温堅牢性が改善されたかどうかは、1)新たなLTRMの出現、2)Tanδピークの下の面積がより大きくなる既存のLTRMの上昇、及び/又は3)既存のLTRMが低い温度にシフトすることにより証明される。−30℃におけるE’に値は、低温における堅牢性の測定値を提供し、一方、25℃におけるE’に値は、室温における堅牢性の測定値を提供する(曲げ弾性率に似ている)。
ポリマー及びポリマーブレンドの機械的性質
室温(23+-2℃)における引張り特性は、ヤング率 (又、弾性率とも呼ばれる), 降伏応力 (又 降伏点引っ張り強度とも呼ばれる), 降伏ひずみ (又、降伏点伸びとも呼ばれる), 破断応力 (又、破断点引っ張り強度とも呼ばれる)、及び破断力 (又、破断点伸び(とも呼ばれる)を含めてASTM D638により測定された。降伏歪をもたらすエネルギーは、歪みが0のところから降伏歪みまでの区間における応力歪み曲線の下の領域(面積)と定義される。破断をもたらすエネルギーは、歪みが0のところから破断歪みまでの区間における応力歪み曲線の下の領域(面積)と定義される。
射出成型された張力試験片のバーはASTM D638タイプIV形状のどちらかのものであり、2インチ/分の速度でテストされる。より硬い物質(ヤング率>約10kpsi、HDPE等)の圧縮成型された張力試験片のバーはASTM D638タイプIV形状のものであり、2インチ/分の速度でテストされた。より軟らかい物質(ヤング率<約10kpsi、EVA及びプラストマー等)の圧縮成型された張力試験片のバーはASTM D412タイプC形状のものであり、20インチ/分の速度でテストされた。最後のケースにおいて、圧縮成型された試験片だけに関して、降伏応力と降伏歪みは、ASTM D638で定義されるように、10%オフセットした値として決定された。試験片の大部分が約2000%の歪みの前に破断していた場合にだけ、破断の特性は報告された。2000%の歪みはテストに使用される載荷フレームに対して可能な最大の歪みである。
1%セカントと2%セカント曲げ弾性率を含む、室温における曲げ特性はASTM D790Aに従って決定された。試験片形状はASTM D790の「成形材(熱可塑性と熱硬化性樹脂)」の部分に規定されており、支持スパンは2インチ(5.08cm)であった。
ノッチ付きアイゾット耐衝撃性はASTM D256に従い、指定の温度で決定された。TMIアイゾットインパクトテスターが使用された。試験片は、射出成形されたASTM D638タイプIの引張試験片バーの中央部分から個別に切り取ることで製作され、又は射出成形されたASTM D790「成形材(熱可塑性と熱硬化性樹脂)」引張試験片バーを半々に切ることによって組の試験片が作られた。ノッチは、ほとんどのケースの場合、試験片(ASTM D256の次の手順A)のノッチ側に衝撃が生じるように向けられた。0.122インチの厚みは耐衝撃性の計算のためにすべての試験片に割り当てられた。別に指定されない場合、すべての破断が完全であった。
室温における衝撃引張強さは、圧縮成形試験片においてASTM D1822に従って測定した。
環境応力亀裂抵抗(ESCR)はベントストリップ試験片を用いて、ASTM D1693に従って測定した。F50値(50%の破損率になる時間)を10%Igepal溶液中で測定した。
加熱撓み温度(HDT)はASTMD648に従って、射出成形された撓みバーを用いて、66psi(455kPa)において測定された。
フィルム性質
曲げ作用と引張性質(1%セカント曲げ弾性率、ピーク加重、破断時の引張強度、及び破断時の伸び率を含む)はASTM D882によって決定される。エレメンドフ引裂強さはASTM D1922によって決定される。規格化された平均フィルム厚はmilである(0.001 in、0.00245cm)。ブロー成形フィルムの落槍衝撃耐性は、少なくとも2週間老化させた試験片を用いてASTM D1709に従って測定した。試験片の厚さはASTM D1709には従っておらず、F50重量(すなわち、50%の破損率になる落下重量(グラム))を平均フィルム厚(mil、1mil=0.001inch=0.00254cm=25.4μm)で規格化した。ブローフィルムの耐穿刺性は室温で少なくとも2週間老化させた試験片を用いて、艶消し仕上げされた半球形先端のステンレススチールプローブを用いて、これを発射し、0.25mil(6.4μm)HDPE「スリップシート」をプローブと試験片の間に置いた以外は、ASTM D5748の手順に従い測定した。ヘイズはASTM D1003に従って測定した。グロスはASTM D2457に従って45°において測定した。
ブレンド中の改質剤(可塑剤)の含量の測定方法
ブレンド中の改質剤含量(重量%ベース)は以下で述べるCRYSTAF技術を用いて測定される。改質されたポリエチレンのCRYSTAF可溶化分画が30%より多い場合には以下で説明するNMR方法を用いる。両方法は溶液方法である。両方法は、改質剤濃度の関数である所定のパラメータの検量線(又は検量線のセット)に基づくモデルを構築する工程を含む。検量線用のブレンドは所定量の改質剤を含む、測定を意図するポリマー及び改質剤のブレンドを用いて調製する。基準物質のセットは少なくとも5点をとり、ポリマー単独及び、測定を意図するブレンド中の改質剤の最大濃度以上及び50重量パーセント未満の濃度の少なくとも1つの改質剤濃度を含む。測定される前記ブレンドは標準物質を同じ条件下で測定され、前記モデルに当てはめることにより改質剤濃度を計算する。
結晶分析分別(CRYSTAF)
ブレンド中の改質剤の量を測定する第一の方法は結晶分析分別(CRYSTAF)のテクニックを使用する分別である。このテクニックは高い温度で溶剤のサンプルを溶かして、次に溶解度に基づくサンプルの分別を引き起こすためにゆっくり溶液を冷やすのを伴う。配合物類を含む半結晶サンプルでは、溶解度は主として結晶度に依存する:サンプルの、より結晶である部分はサンプルの、より結晶でない部分より高い温度で溶液から沈殿する。温度に関する関数としての溶液における相対的な量のサンプルは、累積溶解度分布を得る探知器である赤外線(IR)検出器を使用することで測定される。可溶分画(SF)は、すべてのサンプルが高温で溶解し、結晶化していないサンプルの重量分画に対応するIRシグナルで割った最低温度におけるIRシグナルであると定義される。
修飾されたエチレンポリマーにおいて、改質剤は、大部分又は完全にアモルファスであり、それゆえ、SFの過半数又はSF全体は改質剤である。したがって、ブレンドがより多くの改質剤を含むと、SFは、より高くなる。この関係は、組成が明らかである(ポリマー及び改質剤タイプ)が、濃度が知られていない場合の測定に利用される。改質剤含量の関数であるSFの傾向を説明する検量線は同じポリマー及び改質剤を用いた既知の濃度のブレンドのシリーズを直接CRYSTAF反応管の中で作成し、これらのブレンドを未知の濃度のブレンドと同じ条件下で測定することにより得られる。5つの標準物質のうちの最小の濃度のものは、未修飾ポリマーと、未知サンプルの濃度の以上の少なくとも1つの改質剤濃度及び1つのこれ以下の改質剤濃度を含むことで、濃度の知られていないサンプルに検量線を適用する。通常、改質剤含量の関数となるSFがきちんと測定されていれば、検量ポイントの直線性が高くなる(即ち、R2>0.9)。必要に応じて、二次適合を用いて、前記傾向を改善する(即ち、R2>0.9)。二次適合が不十分である場合、所望の範囲内において測定ポイントを増やして更なる標準物質を測定し、所望の範囲内で、確実な検量線が得られるように、適合範囲を限定する(即ち、R2>0.9)。この標準曲線を測定されるブレンドのSF測定値にあてはめ、それらの典型的な液体含量を計算する。
典型的なCRYSTAF方法を以下で説明する。60mlのボリュームの5つの撹拌用ステンレス反応管を有する市販のCRYSTAF 200装置(Polymer Char S.A.、バレンシア、スペイン)をこのテストを実行するのに使用した。約30mgのサンプルを60分間、160℃で、2g/4Lのブチレートヒドロキシトルエンで安定化された1,2−ジクロロベンゼン30mlで溶解した。そして、溶液は45分100℃で平衡化した。結晶化工程は0.2℃/分の速度で100乃至30℃まで反応管の温度を下げることにより行った。セルを通る加熱された流れが150℃で維持されている二元波長赤外線検出器は結晶サイクルの間一定の間隔で溶液におけるポリマー濃度を測定するのに使用した。計測波長は3.5μmであった、そして、参照波長は3.6μmであった。
未修飾ポリエチレンの可溶化分画が上で説明したように、1,2−ジクロロベンゼンにおいて解析された場合のように、30%より大きい場合、フェニルエーテルは溶媒として用いられる。この場合、温度はCRYSTAFプロトコルに従って調節する。溶解温度は、160℃であり、平衡化温度は180℃であり、スキャン温度は160℃乃至80℃であり、検出器は180℃に維持されている。これ以外は前記方法と同一である。未修飾ポリエチレンの融解分画が、30%より多くない場合は、NMR方法を用いる。
核磁気共鳴法(NMR)
ブレンド中の改質剤の量を測定する第二の方法は高温溶液相13C−核磁気共鳴法(HTS−NMR)である。前記組成物はキャリブレーションブレンド(即ち、既知の量(重量%)の改質剤を含むように調製されたポリマー及び改質剤のブレンド)のほかに、ポリマー単独及び改質剤単独の参考スペクトルを用いて測定した。前記スペクトラを解析して、改質剤の含量が高くなるにつれて、同じように強度が上昇又は減少している1つ以上の診断用の共鳴及び共鳴のクラスターを決定する。対応するピークを統合し、前記ピークの合計に対する分画の寄与率を改質剤含量(重量%)に応じて算出し、検量線のセットを作成する。改質剤含量を計算する手段を提供するために、これらの検量線を用いてケモメトリクスモデルを作成する。診断用共鳴の数を選択し、前記モデルを用いて改質剤含量を予測する。キャリブレーション範囲の精度は1重量%以下である。ケモメトリクスの説明及びケモメトリクスモデルの作成方法については、Chemometric Techniques for Quantitative Analysis by Richard Kramer (Marcel Dekker, 1998)を参照のこと。
典型的なHTS−CNMR法を以下に説明する。サンプルを、データ収集を促進するための緩和剤として、クロミウムアセチルアセトン[Cr(acac)3]を用いて、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2中で調製する。ストック溶媒中のCr(acac)3濃度は約15mg/mlである。サンプル濃度は10乃至15重量%の間である。15,000トランシエントの自由誘導減衰は10mmブロードバンドプローブを用いたVarian UnityPlus 500上に、120℃の温度で蓄積された。スペクトラは90°の炭素励起パルス、及び逆ゲートWALTZ−16プロトン分離を用いて収集された。約1秒の収集時間、及び3.5秒のリサイクル遅れを用いて量的統合を得た。
溶媒の選択及びサンプルの濃度を調節して、異なる可溶性を調節して、ブレンドの特定の組成物に基づくスペクトルの阻害を最小限にすることができる。CNMR技術の一般的な説明は、High-Resolution Methods and Applications in Organic Chemistry and Biochemistry, 3rd edition, Eberhard Breitmaier and Wolfgang Voelter (VCH, 1990)を参照のこと。
本発明は以下の実施例及び表を参照することでより良く理解することができるが、これらの実施例により本発明を限定することを意図するものではない。これらの実施例で用いたエチレンポリマー及び改質剤を表3乃至5に記載する。
サンプル調製方法
サンプルは好ましいポリエチレン組成物をブレンドし、その後に各試験のための成形製品に加工することにより調製した。
ブレンド
成形ブレンドの実施例を製造するために2つの方法を用いた。第一の方法は、タンブル分ブレンダーの中で好適な量の改質剤及び添加剤のセット(例えば、抗酸化剤を含む)を用いてポリマー顆粒及びペレットを「乾燥ブレンド」して、所望の改質剤及び添加剤濃度で成分を均一に混合する工程を含む押出成形方法である。この方法は、ポリマーの融点以上の温度の好適な押出成形温度において、押出成形器を用いてブレンドを混合しペレット化する。前記温度は、ポリマーの種類に依存して、通常150℃乃至220℃の範囲である。
第二の方法は、加熱されたC.W.Brabender Instruments Plasticorderを用いてポリマーブレンドを混合して、所望の改質剤濃度を有する均一な溶融物を製造する工程を含むブラベンダー法である。前記ブラベンダーは、プレミキサーヘッド(約200cm3容量)及びローラーブレードを備えている。操作温度はポリマーの融点以上の温度であるが、通常、155℃乃至190℃の範囲内である。ポリマーはブラベンダー内で60RPMで1分間、第一溶融される。改質剤はその後ゆっくり添加し、溶融ポリマーのプールを提供する。前記ブレンドはその後窒素パージ下で60RPMで5分間混合される。ブラベンダーを開け、溶融物を混合ヘッドから除去し、ブレードでできるだけ早く切断し、固化する。これらのブレンドは、後に射出成形され、ブラベンダーからの物質をギロチンで小片へと切断し、Wiley Millを用いて更なる小片に粉砕される。
射出成形
ASTM D4101に従い、Van Dorn (70 トン)又は Nissei (20 トン)射出成形機を用いて、ASTMファミリーの引張り棒(tensile bar)、曲げ棒(flexure bar)及び衝撃ディスク(impact disk)が成形された。バレル温度は200−210℃;ノズル温度は210−220℃;成形温度は40℃;射出時間は30秒;冷却時間は20秒及びブースト時間は1秒。
圧縮成形
以下で典型的な圧縮成形の手順を述べる。成形する物質を、0.125インチ(0.32cm)厚のポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)でコートされたアルミニウム箔の2つのシートの間に置き、160℃でCarver pressを行った。前記物質を圧力を掛けずに5分間融解し、その後、10メートルトンで5分間圧縮される。その後、圧縮物を除去し、直ちに、水冷冷却プレートの間に置き、さらに5分間10メートルトンで圧縮する。箔―サンプル−箔組立部は少なくとも40時間室温(約23℃)でアニールする。その後ドライアイス中で急冷し、箔を取り除く際の物質の変形をさけるために、箔からサンプルをはがしておく。延伸及び曲げ試験サンプルを抽出し、室温で暖める。
ブローフィルム工程
1.0mil(25.4μm)の厚さを有するフィルムをGloucester blowingフィルムラインで調製する。この方法は、188Ibs/時間(85.3kg/時間)でチューブストックモードにおいて、バレルからダイにかけて155℃乃至200℃の範囲の温度にされている、2.5in(6.4cm)の直径の押出成形器を用いて行う。スクリューのRPMは固定されている。ダイの隙間は60mil(1.5mm)、フィルムの幅は、23.5inches(59.7cm)及びインフレートチューブは2.5inches(6.4cm)である。
表6乃至8の実施例(成形製品)
本発明の改質剤の添加は、成形したポリエチレンレジンの機械的性質を改善し、特に柔軟性及び屈曲性を高める。このことは、ヤング率、降伏強度、及び曲げ弾性率に反映されている。破断点における応力が低いと破断点の歪みが高い傾向も見られた。伸びが高いと、成形製品のコンプライアンスを促進して、転換工程又は最終製品のいずれかにおいて変形を生じる。
驚くべきことに、前記レジンは、融点を低めずに柔軟性を獲得した。このことは、ヘキセン等のアルファオレフィンモノマー又はビニル酢酸等の極性モノマー等のコモノマーを含むエチレンを共重合して、ポリマー中に短鎖分岐を導入して、低密度レジンを合成するという従来の柔軟性を高める方法とは対照的である。短鎖分岐が増えると、融点の他に、レジンの結晶化度が低くなる。その結果、低融点を犠牲にして低密度レジンの柔軟性が高められる。熱撓み温度は前記レジンにおいて低くなる。この二律背反性は従来の柔軟性を有するポリエチレンレジンの使用可能性を制限していた。
しかしながら、融解開始温度及びピーク融点において変化が見られたように、ポリエチレンの融解挙動は本発明の改質剤の添加によっても変えることはできない。さらに各ブレンド中のポリマーの重量分画で規格化したブレンド対レジン単独の融解熱の値(ΔHf)から明らかなように、ポリマーの結晶化度の程度は僅かにしか減少しない(約10%以下まで)。これらの挙動は、結晶化挙動によっても証明される。改質剤を用いてポリエチレンの柔軟性/可塑性を高めることは、コモノマー含量を高めることによりレジン密度を低める場合と同様の効果が見られるようであるが、融点及び熱撓み温度も低くなるという不利益が無い。このことは、高温において成形製品の寸法を保つ必要のある成形製品にとって重要なことである。更に、柔軟性の程度は、PEレジンプラントから最終製品部位の間の工程の任意の段階で、1つ以上の改質剤を単一のレジンに添加することで調節することができ、このことは、大容量の異なる密度を有する別個のレジンを取り扱う必要性のある方法とは対照的である。
追加的な改質剤もメルトインデックス(MI)により明らかなように、改善された融解流動性を改善する。改善された融解流動性は更に、λ及びηの流動性パラメーターがほぼ一定であることにより示される、剪断減粘性に有意な影響を及ぼさずに、ゼロ剪断粘度η0の減少により証明される。この観点から、改質剤は、加工性を改善するために、一般にポリエチレンレジン添加されているフッ化ポリマー等の、幾つかの又は全ての「加工助剤」にとって変わることもできる。
このメルトフローの改良は、ポリマーの分子量の低下を伴わない。係る低下は、高いMIレジンは加工スピードを高め、及び/又は必要とされるプロセスエネルギーを低めることを特徴とする、融解流動性の改善により、加工性の改善をはかる従来のアプローチに一般的である。本発明はレジンの分子量分布を幅広くすること、二峰性組成分布のレジンを用いること、及びレジンに長鎖分岐を導入すること等の、従来の低融解粘度を実現方法からかけ離れている。これら全てのアプローチは同様のメリットを有するが、融解加工性及び固形状態での性質全体のバランスは不十分である。
本発明はポリマーの基礎を成す、分子量、多分散性、及び/又は構造を変えずに、融解流動性を改善する方法を提供する。流動性の改善は、引落し、低押出トルク、薄壁射出、及びサイクルタイムの速さの観点から、加工工程(例えば、紡糸、フィルムキャスト、押出成形、及び射出成形)に有利である。更に、分子量の保持時間を改質剤の添加により推移されることも、改質剤を添加していない同様のMIを有する物質に対して、融解強度を改善することとなる。このことはフィルムブロー、フィルムキャスト、及び紡糸等の加工工程とって重要である。
可塑化により機械性質が改善されていることもDMTAのデータにより明らかである。通常、改質剤/改質剤の添加は、ポリエチレンレジンの低温(−30℃)における貯蔵弾性率を低める。所定の温度における低い貯蔵弾性率(又は可塑性弾性率)は、特定の温度における最終製品の使用時に柔軟性を有することを示している。相対的に低い分子量(<500g/モル)及び相対的に高い融点(>−10℃)を有する改質剤及びは、有効でなく、逆効果となり、穏やかに低温における貯蔵弾性率を高める。室温(25℃)における貯蔵弾性率のデータは、曲げ弾性率により示される改善された柔軟性と似ている。可塑化も少なくとも以下の3つ方式で、ポリエチレンの低温における緩和性質を改善する。即ち1)表6e及び図1に示すHDPEのケースのような、新たなLTRMの導入;2)表7eに示すEVAのケースのような、既存のLTRMの低温へのシフト;3)表8e及び図2に示されるように既存のLTRMの大きさの拡大である。
融解性質に悪影響を及ぼさずに、前記のような有利なLTRM挙動を示すポリマーは大変好ましく、及び高温における使用可能性を維持しつつ、低温におけるエネルギー損失性能を改善することにより、特に20℃以下でも、より重要なことには凍結温度以下において、より良い衝撃耐性を含む堅牢性を改善することができる。本発明の修飾されたポリエチレンは、例えば、−10℃におけるHDPEのノッチ付きアイゾット衝撃耐性により示されるように、このような改善された堅牢性を有している。LTRMを導入する又は既存のLTRMを増幅させる従来の方法は、直鎖低密度ポリエチレン又はプラストマーの場合のように、コモノマーの取り込みを含む。しかしながら、このような方法は、ポリマーの融点及び結晶化温度を低める。本発明は(従来法に対して)同様の利益を提供するが、エチレンポリマーの融点及び結晶化度は有意に変更されていない。従って、この改質方法によりポリエチレンの有用性を発揮できる温度幅が広がる。
表9−10の実施例(ブローフィルム)
非可塑化及び可塑化バーションの1つの異なる低密度ポリエチレンから、フィルムブロー方法を用いてフィルムを加工した。該方法において、改質剤は5重量%のPAO(SHF−1、SpedtraSyn 10としても知られている)として含まれている。可塑化バージョンは、改善された光学的性質を示し、フィルムの柔軟性についての機械的性質(例えば、低い曲げ弾性率)が大幅に改善されていた。落槍及び破壊性質は実質的に変化していなかった。エルメンドルフ引裂き試験により測定される引裂き性質は横方向(ID)にはほとんど変化しなかったのだが、縦方向(MD)には改善されていた。この結果は、TD値対MD値の比が低くなり、より均一な物質であることを示している。(実施例6−8と同様に)MIにおいて示されるように、可塑化によりポリマーの分子量、分子量分布、構造を変化させずに、加工性を改善することができた。より均一になった引裂き性質を含むこのような改善された性質を示す、ポリエチレンレジンは多くのフィルム製品、例えば、食品パッケージ、文具カバー、テープ、医療品パッケージ及び電子部品パッケージにおいて利益を提供する。
表の11−13実施例(修飾HDPEからの成形製品)
本発明は、ポリエチレンの高温性能を損なわずに、柔軟性を有する高密度ポリエチレンを提供する。このことは、異なる分子量の2重量%PAO等の非常に低い量の改質剤を用いても照明することができる。このような改質は曲げ弾性率を低め、引張り伸び強度を低め、及び通常破断点を高める。このことは、改質後の室温における応力亀裂耐性(ESCR)が有意に向上していることからわかるように、レジン全体の堅牢性を改善する。幾つかのケースにおいて、ESCRは2倍に高められていた。所与の改質剤濃度において、ESCRはPAOの分子量が高くなるに従って高められていた。改善された堅牢性はより高い衝撃引張り強さによっても証明される。しかしながら、本発明の効果はPAO分子量及び/又はレジン密度が高くなにつれ、減少し、最も高いPAO分子量及び最も高いレジン密度においては、効果が無くなるか又は逆効果となる。また、MIにおいて示されるように、可塑化によりポリマーの分子量、分子量分布、構造を変化させずに、加工性を改善することができた。物理的性質の改善は、全て、融点の性質について顕著な変化を生ずることなく行うことができた。更に、等温結晶化速度が低くなり、レジンの透明度が改善された。
本発明は特定の実施形態についての言及によって説明され、例証されているが、当業者は、発明が本明細書に例証されない多くの異なった変化に適していることを理解するだろう。これらの理由で、そして、参照は本発明の範囲を決定する目的のためには請求項に基づいてのみ行われるべきである。また、本発明の特徴は1組の数字の上限と1組の数字の下限で説明されている。別段の限定がない限り、これらの限界の如何なる組み合も本発明を形成する範囲を有することが理解されるべきである。
すべての優先権の基礎となる文章は、本明細書への組み込みが認められるすべての国において参照により完全に本明細書に組み込まれる。さらに、実験を含む本明細書に引用されるすべての文献は本明細書への組み込みが認められるすべての国において完全に本明細書に組み込まれる。
図1はポリアルファオレフィンで修飾された高密度ポリエチレン、具体的には、HDPE−1単独、及び10%の(エクソンモービルSpectraSyn Ultra150として販売されている)SuperSyn 2150で修飾したHDPE−1のDMATの結果のプロットである。
図2はポリアルファオレフィンで修飾されたプラストマー、具体的には、プラストマー単独、及び10%の(エクソンモービルSpectraSyn 40として販売されている)SHF−403で修飾したプラストマーのDMATの結果のプロットである。