JP4746566B2 - 可塑性ポリオレフィン組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオレフィン及び非官能性可塑剤及びそれから生産される製品を含む放射線耐性を持つ可塑性ポリオレフィンに関する。
関連出願への言及
本出願は2004年2月12日に出願された米国特許出願USSN 60/544,108の利益を享受するものである。
ポリオレフィンは多くの日用品において用いられている。しかし、多くのポリオレフィンの一つの欠点、特にプロピレン ホモポリマー及びあるプロピレンコポリマーの欠点はその比較的高いガラス転移温度である。この特徴はこれらのポリオレフィンを、特に低温において脆くする。ポリオレフィンの適用範囲が広いのは、広い温度範囲に亙り有用な特性を持っているためである。そのため、高温又は低温での良好な効果の様な望ましい特徴を維持し、他方衝撃強さ及び、より低温での強固さを維持し、又はそれらを向上させることができるポリオレフィンがを求められている。特に、他の望ましい特性を損なうことなく強固さが向上し及び/又は高い使用温度で用いられるプロピレン ポリマーを提供することは有益である。
可塑剤又は他の物質をポリオレフィンに加えることは、衝撃力及び強固さの様な特性を向上させる一方法である。この様な目的を意図した特許を開示しているものに、米国特許番号4,960,820、4,132,698、3,201,364、及びWO 02/31044、WO 01/18109 Al、及びEP 0 300 689 A2がある。これらの開示においては官能基を持つ可塑剤とブレンドされたポリオレフィン及びエラストマーを対象としている。官能基を持つ可塑剤は、芳香族基及び高い(−20℃より高い)流動点(pour point)をもつ化合物である鉱油の様な物質である。これらの化合物を使用すると、通常ポリオレフィンの透明性が維持できず、又衝撃強度は改善されないことが多い。
WO 98/44041は、構造材のようなプラスチックベースのシート、特に床仕上材であって、ブレンド中に、塩素を含まないポリオレフィン又はポリオレフィンの混合物、及び可塑剤がオリゴマー化したポリアルファオレフィン タイプの物質であることを特徴とする可塑剤を含むプラスチックマトリックスを含むシートを開示する。
他の背景技術を示す参考文献には、EP 0 448 259 A, EP 1 028 145 A, 米国特許番号4,073,782, 及び3,415,925が含まれる。
求められているのはポリオレフィンが、より低い曲げ弾性率、より低いガラス転移温度、及び0℃近く又は以下でより高い衝撃強度を持つ一方で、ポリオレフィンのピーク溶融温度、ポリオレフィン結晶率、又はその透明度に実質的に影響せず、そして加工された製品の表面への可塑剤の移動が最小であるものである。本発明の可塑剤を使用したポリオレフィンはこれらの要求を満たすことができる。より具体的には、食品用コンテナー、医療機器、耐久性の必要な家事用品、及び玩具等に応用することができる可塑剤を用いたポリプロピレンが求められている。
同様に、可塑性ポリオレフィンは、その柔らかさが向上し、より柔軟性があり(特に、低い曲げ弾性率)、低いガラス転移温度、及び/又は衝撃強さが改善(特にガードナー(Gardner)衝撃強さの改善)する一方、ポリオレフィンの溶融温度、ポリオレフィン結晶率、又はその光学特性(特に、透明性及び色彩)は影響を受けず、そのポリオレフィンから作られた製品の表面への可塑剤の移動が最小であるものが望まれる。
パラフィンの様な単純な非反応性化合物を用いてポリオレフィンに可塑性を与えることが特に望まれるであろう。しかし、脂肪族の、又はパラフィン系の化合物はポリオレフィンの特性を損なうため推奨されなかった(例えば、CHEMICAL ADDITIVES FOR PLASTICS INDUSTRY 107-116 (Radian Corp.、Noyes Data Corporation, NJ 1987); WO 01/18109 Al)を参照)。
各種の応用分野で、伸展剤、柔軟剤等として用いられて来た鉱油は数千の異なる化合物よりなり、その多くは循環システムにとり望ましくないものである。中程度から高温下でこれらの化合物は揮発性し、酸化抑制剤を追加しても酸化することがある。
その粘度指数、含まれる飽和分及び硫黄分量により他と区別されるが、ある鉱油は、米国石油協会(American Petroleum Institute (API))により炭化水素 ベースストック(basestock) グループI, II 又はIIIとして分類されている。グループIのベースストックは溶媒精製鉱油である。これらは不飽和分及び硫黄分が最も多く、そして粘度指数が最も低い。これらは潤滑油としての機能において最低層を示すものである。グループIのベースストックは最も安価に生産でき、現在の全ベースストックの約75%を占める。これには「従来」のベースストックの大半を含む。グループII 及びIIIは高粘度指数及び高高粘度指数ベースストックである。これらは水素処理された鉱油である。グループIIIのオイルは不飽和分及び硫黄分がグループIのオイルより少なく、グループIIオイルよりより高い粘度指数を持つ。更なるベースストック、すなわちグループIV及び Vと呼ばれるベースストックも又ベースストック産業で用いられる。
Rudnick 及び Shubkin (Synthetic Lubricants and High-Peiforinance Functional Fluids, 第2版, Rudnick, Shubkin編 , Marcel Dekker, Inc. New York, 1999)は5つのベースストックグループの特徴を以下のように表している:
グループI−硫黄レベルが0.03重量%より大きく、飽和分レベルが60から80%、及び粘度指標が約90である鉱油を生産するために芳香族抽出溶媒、脱蝋溶媒を用い、硫黄含有量を減らすために水素化を行って精製された鉱油
グループII−通常の芳香族抽出溶媒、脱蝋溶媒、及びオレフィン及び芳香族化合物の幾つかの二重結合を取り除き、硫黄レベルを0.03%重量以下にするためより厳しい水素精製を行った中程度の水素化分解した鉱油、飽和分のレベルは95%から98%であり、VIでは約80から120である。
グループIII−あるオイルでは飽和レベルは実質的に100%であり、硫黄含有量は0.03重量%以下である(好ましくは、0.001から0.01%が良い)厳しく水素化処理された鉱油、VIは120を超える。
グループIV−6以上の炭素原子を持つ直線状オレフィンの触媒によるオリゴマー化により製造されたポリ(アルファ−オレフィン)炭化水素。工業分野ではグループIVベースストックは「ポリアルファオレフィン」と呼ばれ、一般的にC4及びより大きいアルファオレフィンをオリゴマー化することにより生産される合成ベースストック溶液の一種と考えられている。
グループ V−エステル、ポリエーテル、ポリアルキレン グリコール、及びグループI, II,III及びIVに含まれない他の全てのベースストックを含む。
他の興味ある参考文献には、米国特許番号5,869,555, 4,210,570, 4,110,185, 英
国特許番号1,329,915, 米国特許番号3,201,364, 4,774,277, 日本特許番号
01282280, フランス特許番号2094870, 日本特許番号69029554, Rubber
Technology Handbook, Werner Hoffman, Hanser Publishers, New York,
1989, pg294-305, Additives for Plastics, J. Stepek, H. Daoust, Springer
Verlag, New York, 1983, pg-6-69を含む。
米国特許番号4,536,537は、100°F/38°Cで粘度4.0 から 6.5 cStを持つLLDPE
(UC 7047), ポリプロピレン (5520) 及びSynfluid 2CS, 4CS, 又は6CSのブレンドを開示するが、Synfluid 4CS, 及び8CSは「機能しない」と報ぜられている(3欄、12行)。
他の特徴としては、又、殺菌量の放射線耐性のある柔軟なポリオレフィン(通常はポリプロピレン)を持つことが望まれる。通常のポリプロピレンは高温で蒸気により殺菌された場合、軟らかくなり、又変形し、あるいは黄色に変色し、及び/又は高エネルギー放射線、特にベータ及びガンマ線で処理された場合は脆くなる。電子線のようなベータ線、又はコバルト60等からのガンマ線は医療機器の殺菌にしばしば用いられる。この方法は、殺菌には特に便利である。殺菌されるものが纏めて、又は個々に清潔な梱包に封入され、封入後に放射線照射されるからである。そのような処理は、殺菌後に特別な取り扱い又は再梱包することなく、殺菌された器具及び機器を提供するからである。そして、殺菌状態及び患者の安全がより一層確保される。しかしながら、ポリプロピレンは、殺菌レベルの放射線に曝されると劣化する傾向があるため、そのような処理は、医療器具がポリプロピレン組成物を含む場合、又は医療機器がポリプロピレン容器に梱包されている場合は一般に不適当である。
この制約が無ければ、ポリプロピレンは、注射器の外筒、培養皿、組織培養瓶、静脈内カテーテル、及び管類、及び袋又は瓶、外科用探り針、縫合材料及びその他の製品を含む非常に多くの物を作るのに非常に有用である。
ポリプロピレンの潜在的な有用性について予てより認められている。この分野において、他の種々の方法により、この制約を克服することを試みる人が出てきている。例えば、米国特許番号4,110,185では、Williams, Dunn,及び Stannettは、ポリマーの自由容量を増加させ、放射線による脆弱化を防ぐために、ポリプロピレン調合において非結晶性動員試薬(mobilizing agent)を使用することについて記載する(又、米国特許番号4,274,932及び4,467,065を参照)。米国特許番号4,845,137には、Williams 及びTitusは、狭い分子量分布(Mw/Mn)のポリプロピレン、液状動員添加物(liquid mobilizing agent)、ヒンダードアミン化合物(hindered amine compound)、及び清澄剤(clarifying agent)を含み、殺菌放射線に対して安定的であるポリプロピレン組成について記載する。これらの添加物は通常放射線耐性を増大させると思われるが、動員添加物は油性、又は油脂性である傾向がある。これはプロセス上の困難及び製品の欠陥をもたらしうる。
高エネルギー放射線による影響に対しポリプロピレンを安定させることを試みている他の発明には、シンジオタクチック ポリプロピレンを用いるものがある。EP-A2-0 431 475は、成型品の生産に適した放射線耐性のあるポリプロピレン樹脂組成物を作ることについて記載する。その成型品は、実質的にシンジオタクチック ポリプロピレンを用いることにより、機械的特性が「放射線による殺菌の間殆んど劣化しない」ものである。この組成物は又、リンを含む酸化防止剤、アミンを含む酸化防止剤、及び核剤を含むこともある。
JP 04-214709は、放射線耐性を改善する少なくとも50%のシンジオタクチシティーを持つエチレン/プロピレン コポリマーについて記載していると思われる。この様なコポリマーは特定のキラルなメタロセンタイプ触媒作用により生産され、最良の放射線耐性を持つ様に、好ましくは、リン又はアミンを含む酸化防止剤と化合するのが良い。
米国特許番号5,340,848は、本質的にシンジオタクチック構造を持ち、任意的に酸化防止剤、及び/又は核剤を含むポリプロピレンを含む放射線耐性のポリプロピレン樹脂について記載する。
WO 92/14784は、熱シールに応用した30から40重量%エチレンベース コポリマーと、70から30重量%のポリプロピレンベース コポリマーとのブレンドをについて記載する。
これらの参照文献は、放射線耐性のあるポリプロピレンを提供する、簡単でコストの掛からないシステムが長期に亙り求められていることを示している。理想的には、そのようなポリプロピレン組成物は、透明であり、高い温度でも寸法的に安定している製品を提供するのが望ましい。その様な製品は、任意的に放射線以外の方法により、軟化したり、変形したり、あるいは光学的及び/又は強度特性の低下を起こすことなく殺菌することができるであろう。もし成型のために用いられるポリマーブレンドがオイル又は油脂により成型装置を汚す様なことが無いなら、ポリプロピレン製品のメーカーに更に便宜をもたらすであろう。もしその様なポリマー化合物の、成型された部品、フィルム、又は梱包の表面からオイル又は油脂を滲みだすことがなければ、その製品のメーカーのみならず、最終的に成型された製品のユーザーにとっても有益なものとなろう。そのような製品は特に、医療及び食品工業にとって魅力的なものとなる。
本発明は、ポリプロピレン及び非官能性可塑剤を含む殺菌された製品及び、その様な製品を殺菌するプロセスに関する。
本発明は、一以上のポリオレフィン及び一以上の非官能性可塑剤(non- functionalized plasticizer、NFP)を含む可塑性ポリオレフィンを含む殺菌された製品に関するものである。
本発明は、一以上のポリオレフィン及び一以上の非官能性可塑剤を含む可塑性ポリオレフィンを含む殺菌された製品に関するものであり、非官能性可塑剤は、100℃で5 cSt以上の動粘度、粘度指数120以上を持つC20 からC1500 のパラフィンを含み、その製品はそれを殺菌するのに十分な量の放射線を受けたものである。
定義
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、ポリマー又はオリゴマーがオレフィンを含むと言う場合は、ポリマー又はオリゴマー中に存在するオレフィンは、それぞれオレフィンの重合した形、又はオリゴマー化した形である。同様に、ポリマー(polymer)の用語は、ホモポリマー及びコポリマーをも含む。更にコポリマー(copolymer)は2以上のモノマーを含む何れのポリマーも含む。したがって、本明細書で用いられる、「ポリプロピレン」(polypropylene)は少なくとも50%のプロピレン単位、好ましくは、少なくとも70%プロピレン単位、より好ましくは少なくとも80%プロピレン単位、更に好ましくは少なくとも90%プロピレン単位、それより好ましくは少なくとも95%プロピレン単位、又は100%プロピレン単位よりなるポリマーを意味する。
本発明の目的との関係においては、オリゴマーは数平均分子量(Mn)が21,000g/モル未満、好ましくは20,000g/モル未満、好ましくは19,000g/モル未満、好ましくは18,000g/モル未満、好ましくは16,000g/モル未満、好ましくは15,000g/モル未満、好ましくは13,000g/モル未満、好ましくは10,000g/モル未満、好ましくは5,000g/モル未満、好ましくは3,000g/モル未満が良い。
本発明の目的との関係及び請求の範囲において、グループI, II 及びIIIのベースストック(basestock)は以下の特性を持つ鉱油と定義される:
Figure 0004746566
発明の詳細な説明
本発明は、一以上のポリオレフィン及び一以上の非官能性可塑剤(「NPF」)を含む可塑性ポリオレフィン組成物に関する。
ある実施の形態においては、通常、ポリオレフィンは、本発明の組成物中に40重量%から99.9重量%(ポリオレフィン及びNFPの重量に基づき)存在し、他の実施の形態においては50重量%から99重量%、又更に他の実施の形態においては60重量%から98重量%、又他の実施の形態においては70重量%から97重量%、又他の実施の形態においては80重量%から97重量%、又他の実施の形態においては90重量%から98重量%存在し、その望ましい範囲は、上に記した何れの上限重量%と何れの下限重量%のどの様な組合せであっても良い。
他の実施の形態においては、可塑性ポリオレフィンは、ポリプロピレン及びNFPの重量に基づき、ポリプロピレンを40から99.99重量%含み、代替的に50から99重量%、代替的に60から99重量%、代替的に70にから98重量%、代替的に80にから97重量%、代替的に90から96重量%含み、そしてNFPは60から0.01重量%存在し、代替的に50から1重量%、代替的に40から1重量%存在し、代替的に30から2重量%存在し、代替的20にから3重量%、代替的に10から4重量%で存在する。
他の実施の形態においては、可塑性ポリオレフィンは、ポリブテン及びNFPの重量に基づき、ポリブテンを50から99.99重量%含み、代替的に60から99重量%、代替的に70から98重量%、代替的に80から97重量%、代替的に90から96重量%含み、及びNFPは50から0.01重量%存在し、代替的に40から1重量%、代替的に30から2重量%、代替的に20から3重量%、代替的に10から4重量%存在する。
他の実施の形態においては、ポリオレフィンは、ポリプロピレン及び/又はポリブテンを含み、そしてNFPはポリプロピレン及びNFPの重量に基づき、0.01から50重量%存在し、より好ましくは0.05から45重量%、より好ましくは0.5から40重量%、より好ましくは1から35重量%、より好ましくは2から30重量%、より好ましくは3から25重量%、より好ましくは4から20重量%、より好ましくは5から15重量%存在するのが良い。他の実施の形態においては、NFPはポリプロピレン及び/又はポリブテン及びNFPの重量に基づき1から15重量%で存在し、好ましくは1から10重量%で存在するのが良い。
他の実施の形態においては、NFPは、ポリオレフィン及びNFPの重量に基づき3重量%より多く存在する。
本発明の目的との関係、及び請求の範囲においてある組成物中のNFPの量は以下に記す抽出法(Extraction method)により決定される。又CRYSTAF法は比較の目的で記載されている。
本発明の目的との関係、及び請求の範囲において、融解点(melting point)について言及されており及び融解温度に範囲がある場合、融解点は以下に記載するように示差走査熱量測定トレース(differential scanning calorimetry (DSC) trace)によるピーク溶融温度として定義される。
非官能性可塑剤
本発明のポリオレフィン組成物は非官能性可塑剤(non-functionalized plasticizer ("NFP"))を含む。本発明のNFPは、炭素及び水素を含む化合物であるが、水酸化物(hydroxide), アリ−ル(aryls)及び 置換アリ−ル(substituted aryl)、ハロゲン(halogen)、アルコキシ(alkoxy)、カルボン塩酸(carboxylate), エステル(ester), 不飽和炭素(carbon unsaturation), アクリレート(acrylate), 酸素(oxygen), 窒素(nitrogen)及びカルボキシル(carboxyl)から選択される官能基を感知される程度には含まない。「感知される程度」(appreciable extent)とは、これらの官能基及びこれらの官能基を含む化合物は、意識的にNFPに加えられておらず、もし、存在したとしても、ある実施の形態においてNFPの重量の5重量%未満、より好ましくは4重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.3重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満、より好ましくは0.001重量%未満であるのが良い。
ある好ましい実施の形態においては、NFPはポリアルファオレフィン(PAO)を含み、ポリアルファオレフィン(PAO)は5から14の炭素原子を含む直線状オレフィンのオリゴマーを含み、より好ましくは6から14の炭素原子を含み、より好ましくは8から12の炭素原子を含み、より好ましくは10の炭素原子を含み、5以上の動粘度(kinematic viscosity)(ASTM D445により測定)、より好ましくは10以上の動粘度を持つのが良く、及び好ましくは粘度指数(viscosity index ("VI"))120以上(ASTM D2270により測定)、より好ましくは130以上、より好ましくは140以上、及び/又は流動点(pour point)−5℃以下(ASTM D97により測定)、より好ましくは−10℃以下、より好ましくは−20℃以下であるのが良い。
他の実施の形態においては、本発明で有用なポリアルファオレフィン オリゴマーはC20からC1500のパラフィン、好ましくはC40からC1000のパラフィン、好ましくはC50からC750のパラフィン、好ましくはC50からC500のパラフィンを含むのが良い。PAOオリゴマーは、ある実施の形態においては、C5からC14アルファオレフィンの二量体、三量体、四量体、五量体等であり、他の実施の形態においてはC6からC12アルファオレフィンの、他の実施の形態においてはC8からC12アルファオレフィンの二量体、三量体、四量体、五量体等である。適当なオレフィンには、1−ペンテン、1へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−アンデセン及び1−ドデセンを含む。ある実施の形態においては、、オレフィンは1−デセンであり、NFPは1−デセンの二量体、三量体、四量体、五量体(及びより高次の)混合物である。好ましいPAOは例えば、米国特許番号5,171,908,及び5,783,531、及びSYNTHETIC LUBRICANTS AND HIGH-PERFORMANCE FUNCTIONAL FLUIDS 1-52 ページ (Leslie R. Rudnick & Ronald L. Shubkin, ed. Marcel Dekker, Inc. 1999)により詳細に記載されている。
ある実施の形態においては、本発明で有用なPAOは、通常数平均分子量(Mn)が100から21,000を持ち、他の実施の形態においては、200から10,000、さらに他の実施の形態においては、200から7000、更に他の実施の形態においては、200から2000、更に他の実施の形態においては、200から500を持つ。好ましいPAOは100℃において5から150cStの範囲の粘度を持ち、他の実施の形態においては、100℃において5から3000cStの範囲の粘度を持つ(ASTM D445)。本発明で有用なPAOは、ある実施の形態においては、通常0℃未満の流動点(pour point)を持ち、他の実施の形態においては−10℃未満であり、更に他の実施の形態においては−20℃未満であり、更に他の実施の形態においては−40℃未満である。望ましいPAOはSHF及びSuperSyn PAO's (ExxonMobil Chemical Company, Houston TX)の製品名で市場で入手可能であり、その幾つかを以下の表2に示す。
Figure 0004746566
他の有用なPAOは、Synfluid(商標)の製品名でChevronPhillips Chemical Co., Pasedena, Texasから, Durasyn(商標)の製品名でBP Amoco Chemicals、London Englandから, Nexbase(商標)の製品名でFortum Oil and Gas、Finlandから, Syntone(商標)の製品名でCrompton Corporation、Middlebury, CN, USAから, EMERYTM (商標)の製品名でCognis Corporation、Ohio, USAから販売されているものを含む。
他の実施の形態においては、PAOは100℃で動粘度10cSt以上、好ましくは30cSt以上、好ましくは50cSt以上、好ましくは80cSt以上、好ましくは110cSt以上、好ましくは150cSt以上、好ましくは200cSt以上、好ましくは500cSt以上、好ましくは750cSt以上、好ましくは1000cSt以上、好ましくは1500cSt以上、好ましくは2000cSt以上、好ましくは2500cSt以上あるのが良い。他の実施の形態においては、PAOは100℃において動粘度が10cStから3000cStの間、好ましくは10cStから1000cStの間、好ましくは10cStから40cStの間であるのが良い。
他の実施の形態においては、PAOは粘度指数が120以上、好ましくは130以上、好ましくは140以上、好ましくは150以上、好ましくは170以上、好ましくは190以上、好ましくは200以上、好ましくは250以上、好ましくは300以上あるのが良い。
特に好ましい実施の形態においては、ポリプロピレンがRB 501 F, Hifax CA12A, 又はADFLEX Q 100Fである場合は、PAOは100℃において動粘度が10cSt以上あるのが良く、これらのポリマーについてはWO 98/44041に記載がある。
本発明はまた、一以上のポリオレフィン及び一以上の非官能性可塑剤を含む可塑性ポリオレフィン組成物に関する。ここで非官能性可塑剤は、分子中に6から1500の炭素原子を含み、好ましくは8から1000の炭素原子、好ましくは10から500の炭素原子、好ましくは12から200の炭素原子、好ましくは14から150の炭素原子、好ましくは16から100の炭素原子を含むパラオレフィンの混合物を含む高純度の炭化水素流体組成物を含んでいるのが良い。炭化水素流体組成物はイソパラフィンとn−パラフィンの比率が約0.5:1から約9:1、好ましくは、約1:1から約4:1であるのが良い。混合物のイソパラフィンは、例えば、2−メチル、3−メチル、4−メチル、5−メチル以上等の、モノメチル種を、混合物中のイソパラフィンの全重量のベースで、50%より多く含んでおり、置換基の炭素数が1より大きい最小の枝分かれ構造を持つ。すなわち、エチル、プロピル、ブチル等である。好ましくは、混合物中のイソパラフィンは混合物中のイソパラフィンの全重量ベースで、70%を超えるモノメチル種を含んでいるのが良い。これらの炭化水素流体は、好ましくは25℃において1から100,000cStの範囲の動粘度(kinematic viscosities (KV)) を持ち、好ましくは10から2,000cSt、及び任意選択的に、低い流動点は通常−20℃未満、より好ましくは−30℃未満、より好ましくは約−20℃から約−70℃の範囲であるのが良い。これらの炭化水素流体は好ましくは40℃において1から30,000cStの範囲の動粘度、好ましくは10cStから2000cStであるのが良く、又任意選択的に低い流動点は通常−20℃未満、より好ましくは−30℃未満、より好ましくは約−20℃から約−70℃の範囲であるのが良い。
本発明は又、一以上のポリオレフィン、及び一以上の非官能性可塑剤を含む可塑性ポリオレフィン組成物に関する。ここで非官能性可塑剤は以下の組成を持つ直線又は枝分かれ状のパラフィン炭化水素組成物を含む:
1. 数平均分子量が500から21,000g/モル;
2. 4以上の炭素を持つ10%未満の側鎖、好ましくは8重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、好ましくは0.001重量%未満であるのが良い
3. 少なくとも1又は2の炭素側鎖が15重量%以上、好ましくは20重量%以上、好ましくは25重量%以上、好ましくは30重量%以上、好ましくは35重量%以上、好ましくは40重量%以上、好ましくは45重量%以上、好ましくは50重量%以上あるのが良い
4. 2.5重量%未満の環状パラフィン、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、好ましくは0.001重量%未満であるのが良い。更なる実施の形態においては、これらのNFPは100℃において2cSt以上の動粘度、及び/又は120以上のVI、好ましくは130以上のVI、好ましくは140以上のVI、好ましくは150以上のVI、好ましくは170以上のVI、好ましくは190以上のVI、好ましくは200以上のVI、好ましくは250以上のVI、好ましくは300以上のVIを持つのが良い。
他の実施の形態においては、NFPは約C8からC20の範囲の炭素数を持つパラフィンの混合物を含む高純度の炭化水素流体組成物を含み、イソパラフィンとn−パラフィンのモル比率は約0.5:1から約9:1、混合物のイソパラフィンは、混合物中のイソパラフィンの全重量のベースで、モノメチル種を50%より多く含んでおり、流動点は約−20Fから約−70Fであり、及び25℃における動粘度は約1cStから約10cStの範囲である。
他の実施の形態においては、パラフィンの混合物は約C10から約C16の範囲の炭素数を持つ。他の実施の形態においては、混合物は70%を越えるモノメチル種を含む。他の実施の形態においては、混合物は約320°Fから約650°Fの範囲で沸騰する。他の実施の形態においては、混合物は約350°Fから約550°Fの範囲で沸騰する。他の実施の形態においては、混合物は約C10から約C16の範囲の炭素数を持つパラフィンの混合物を含む。他の実施の形態においては、混合物の炭素数はC10からC16の範囲であり、混合物はモノメチル種が70%を超え、約350°Fから約550°Fの範囲で沸騰する。他の実施の形態においては、混合物はイソパラフィンとn−パラフィンのモル比率が約1:1から約4:1である。他の実施の形態においては、混合物はFischer-Tropschプロセスに由来するものである。このようなNFPは米国特許番号5,906,727に開示の方法により生産されることもある。
何れのNFPも又、本明細書に記載のパラメータの何れの数、又は何れの組合せによっても表されることもある。ある実施の形態においては、本発明のNFPの何れもがその流動点(ASTM D97)は、0℃未満、及び他の実施の形態においては−5℃未満、他の実施の形態においては−10℃未満、他の実施の形態においては−20℃未満、他の実施の形態においては−40℃未満、更に他の実施の形態においては−50℃未満、更に他の実施の形態においては−60℃未満であり、及び更に他の実施の形態においては−120℃を超え、及び更に他の実施の形態においては−200℃を超え、ここで望ましい範囲は、ここに記載の上限流動点と下限流動点のどの様な組合せであっても良い。ある実施の形態においては、動粘度が40℃で0.5cStから200cStの範囲においてNFPは、流動点が−30℃未満、他の実施の形態においては、−30℃から−90℃の間のパラフィン又は他の化合物である。
通常芳香族を部分的に、及び他の官能基を含む鉱油の殆んどは、同じ粘度の範囲では10℃から−20℃の流動点を持つ。
他の実施の形態においては、本明細書に記載のNFPは何れも120以上の粘度指数(VI)、より好ましくは125以上、より好ましくは、130以上の粘度指数を持つのが良い。他の実施の形態においては、NFPは90から400の間のVI、好ましくは120から350の間のVIを持つのが良い。
ある実施の形態においては、本明細書に記載の何れのNFPも、20℃で3.0未満の誘電定数を持ち、他の実施の形態においては2.8未満、他の実施の形態においては2.5未満、更に他の実施の形態においては2.3未満、更に他の実施の形態においては2.1未満の誘電定数を持つ。ポリエチレン及びポリプロピレンはそれぞれ少なくとも2.3の誘電定数(1 kHz, 23℃)を持つ(CRC HANDBOOK OF CHEMISTRY AND PHYSICS (David R. Lide編, 82版、CRC Press 2001)。
ある実施の形態においては、NFPは100℃において動粘度は0.1cSから3000cStの範囲であり、他の実施の形態においては、100℃で0.5cStから1000cSt、他の実施の形態においては、100℃で1cStから250cSt、他の実施の形態においては、100℃で1cStから200cSt、他の実施の形態においては、100℃で10cStから500cStであり、ここで望ましい範囲は、本明細書に記載の上限の何れの粘度と下限の何れの粘度の組合せの何れをも含むものである。
ある実施の形態においては、本明細書に記載のNFPは何れも0.920未満の比重(ASTM D 4052, 15.6/15. 6°C)を持ち、他の実施の形態においては0.910未満、他の実施の形態においては0.650から0.900、他の実施の形態においては0.700から0.860、他の実施の形態においては0.750から0.855、他の実施の形態においては0.790から0.850、他の実施の形態においては0.800から0.840であり、望ましい範囲には、本明細書に記載の何れかの比重の上限と何れかの比重の下限を組み合わせたものの何れをも含む。
他の実施の形態においては、本明細書に記載のNFPは、沸点は100℃から500℃であり、他の実施の形態においては、200℃から450℃、又更に他の実施の形態においては250℃から400℃であることもある。更にNFPは好ましくは、ある実施の形態においては20,000g/モル未満の重量平均分子量を持ち、他の実施の形態においては10,000g/モル未満、さらに他の実施の形態においては5,000g/モル未満、更に他の実施の形態においては4,000g/モル未満、更に他の実施の形態においては2,000g/モル未満、更に他の実施の形態においては500g/モル未満であり、及び更に他の実施の形態においては100g/モルより大きい。ここで望ましい分子量の範囲は本明細書に記載の何れの分子量の上限と何れの分子量の下限を組み合わせたものの何れであっても良い。
他の実施の形態においては、NFPはグループIIIの炭化水素ベースストックを含む。好ましくはNFPは90%以上の飽和レベルを持つ鉱油を含むのが良く、好ましくは92%以上、好ましくは94%以上、好ましくは96%以上、好ましくは98%以上、好ましくは99%以上であるのが良く、硫黄含有量は0.03%未満、好ましくは0.001%から0.01%の間、そしてVIは120より大きく、130以上、であるのが好ましい。
本発明の好ましいNFPは以下の特徴を持つ:NFPは、可塑性組成物を形成するためにポリオレフィンとブレンドされたときに、可塑性を持たないポリオレフィンDMTAトレースの場合と同様に、動的機械的熱分析(Dynamic Mechanical Thermal Analysis (DMTA))トレースにおいてピークの数に変化が無いことより分かるように、オレフィンと混和する。混和していない場合は、可塑性を持たないポリオレフィンでのDMTAトレースのピーク数を超えるピークの数の増加により示される。トレースは、以下記す様に温度に対するtan-deltaプロットである。
本発明の好ましい組成物は以下の特徴で表すことができる:ある実施の形態においては、組成物中に存在するNFPの4重量%当り毎に、組成物のガラス転移温度(Tg)は少なくとも2℃低下し、他の実施の形態においては、組成物中に存在するNFPの4重量%当り毎に少なくとも3℃低下し、更に他の実施の形態においては組成物中に存在するNFP4重量%当り毎に少なくとも4℃から10℃低下する。 一方、ポリオレフィンの溶融及び結晶化温度のピークは変わらない(1℃から2℃の範囲)。本発明の目的との関係、及び請求の範囲において、ガラス転移温度について言及する場合、以下に記載するとおりDMTAトレースにおけるピーク温度をいう。
本発明の好ましい組成物は以下の特徴を持つ:組成物のガラス転移温度(Tg)は、ある実施の形態において、組成物中に存在するNFPの1重量%当り毎に組成物のガラス転移温度(Tg)は少なくとも2℃低下し、好ましくは少なくとも3℃、好ましくは少なくとも4℃、好ましくは少なくとも5℃、好ましくは少なくとも6℃、好ましくは少なくとも7℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも9℃、好ましくは少なくとも10℃、好ましくは少なくとも11℃低下し、一方、好ましくは純粋なオレフィンの溶融及び/又は結晶化温度のピークは可塑性ポリオレフィンの1から5℃の範囲内、好ましくは1から4℃、好ましくは1から3℃、好ましくは、1から2℃の範囲内であるのが良い。
本発明の好ましい組成物は以下の特徴で表すことができる:可塑性組成物のガラス転移温度(Tg)は、純粋なポリオレフィンのそれよりも少なくとも2℃低く、好ましくは少なくとも4℃、好ましくは少なくとも6℃、好ましくは少なくとも8℃、好ましくは少なくとも10℃、好ましくは少なくとも15℃、好ましくは少なくとも20℃、好ましくは少なくとも25℃、好ましくは少なくとも30℃、好ましくは少なくとも35℃、好ましくは少なくとも40℃、好ましくは少なくとも45℃低いのが良い。
本発明の好ましい組成物は以下の特徴で表すことができる:ASTM D1203に基づき決定される様に、0.25mm厚さのシートを用いて乾燥炉で70℃の温度で311時間保存した場合に、可塑性組成物は重量で3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満減少するのが良い。
ポリオレフィン
本明細書に記載のNFPは、本発明の可塑性組成物を作るために少なくとも一つのポリオレフィンとブレンドされる。好ましいポリオレフィンはポリプロピレン ポリマー及びブテン ポリマーを含む。
本発明の一つの特徴として、ポリオレフィンはポリプロピレン ホモポリマー、ポリプロピレン コポリマー及びそれらのブレンドから選択される。ホモポリマーはアタクッチック ポリプロピレン、アイソクッチック ポリプロピレン、シンジオタクチック ポリプロピレン及びそれらのブレンドから選択される。コポリマーはランダムコポリマー、統計コポリマー(statistical copolymer)、ブロックコポリマー、及びそれらのブレンドであっても良い。特に、本明細書に記載の本発明のコポリマーブレンドは衝撃コポリマー(impact copolymer)、エラストマー(elastomer)、プラストマー(plastomer)を含み、これらの何れもがポリプロピレン及び/又はポリブテンとの物理的ブレンド(physical blend)、又はブレンドされたそのもの(in situ blend)であることもある。ポリプロピレン又はポリブテンの製法は決定的に重要なものではない。これらはスラリー、溶液、ガス相または他の適当なプロセスにより、及び、チーグラー・ナッタ タイプ触媒、メタロセンタイプ触媒、他の適当な触媒システム、又はそれらの組合せの様なポリオレフィンの重合に適した触媒システムを用いて作ることができるからである。ある好ましい実施の形態においては、プロピレンポリマー及び/又はブテンポリマーは、米国特許番号6,342,566, 6,384,142, WO 03/040201, WO 97/19991 及び 米国特許番号5741563に記載の触媒、活性剤及びプロセスによって作られる。同様に、衝撃コポリマーは、米国特許番号6342566, 及び6384142に記載のプロセスにより生産されることもある。そのような触媒はその技術分野でよく知られており、また例えば、ZIEGLER CATALYSTS (Gerhard Fink, Rolf Muelhaupt 及びHans H. Brintzinger編、 Springer- Verlag 1995); Resconi 他, Selectivity in Propene Polymerization with Metallocene Catalysts, 100 CHEM. REV. 1253-1345 (2000); 及びI, II METALLOCENE-BASED POLYOLEFINS (Wiley & Sons 2000)に記載されている。
本発明において有用なプロピレン ホモポリマー及びコポリマー通常以下の特性を持つ:
1. 以下の試験方法に記載の様に、GPC法により測定したMwが30,000から 2,000,000g/モル、好ましくは50,000から1,000,000、より好ましくは90,000から500,000であり;及び/又は
2. 以下の試験方法に記載の様に、GPC法により測定したMw/Mnが1から40、好ましくは1.6から20、より好ましくは1.8から10、より好ましくは1.8から3であり;及び/又は
3. 以下の試験方法に記載の様に、DSC法により測定したTm(第二の溶融、second melt)温度が30から200℃、好ましくは30から185℃、好ましくは50から175℃、より好ましくは60から170℃であり;及び/又は
4. 以下の試験方法に記載の様に、DSC法により測定した結晶化度(crystallinity)は、5から80%、好ましくは10から70%、より好ましくは20から60%であり;及び/又は
5. 以下の試験方法に記載の様に、DMTA法により測定したガラス転移温度(Tg)が−40℃から20℃、好ましくは−20℃から10℃、より好ましくは−10℃から−5℃であり;及び/又は
6. 以下の試験方法に記載の様に、DSC法により測定した融合熱(heat of fusion, Hf)が180 J/g以下、好ましくは20から150J/g、より好ましくは40から120J/gであり;及び/又は
7. 以下の試験方法に記載の方法により測定したピーク結晶化温度(Tc)が15から120℃、好ましくは20から115℃、より好ましくは25から110℃、好ましくは60から145℃であり;及び/又は
8. 以下の試験方法に記載の方法により測定した熱たわみ(heat deflection)温度が45から140℃、好ましくは60から135℃、より好ましくは75から125℃であり;及び/又は
9. ロックウエル硬度(R スケール)が25以上、好ましくは40以上、好ましくは60以上、好ましくは80以上、好ましくは100以上、好ましくは25 から125;及び/又は
10.以下の試験方法に記載の様に、DSC法により測定した%結晶度は少なくとも30%、好ましくは40%、代替的に少なくとも50%であり;及び/又は
11. 100から結晶度パーセントを差し引くことにより決定される%アモルフォス度は少なくとも50%、代替的に少なくとも60%、代替的に少なくとも70%、更に代替的に50から95%の間、又は70%以下、又は60%以下、好ましくは50%以下であり;及び/又は
12.以下に記載の方法により測定した枝分かれ指数(g’)は0.2から2.0、好ましくは0.5から1.5、好ましくは0.7から1.1である。
ポリオレフィンはプロピレン ホモポリマーであることもある。ある実施の形態においては、プロピレン ホモポリマーは分子量分布(Mw/Mn)が40まであり、他の実施の形態においては、好ましくは1.5から10、他の実施の形態においては、1.8から7、更に他の実施の形態においては、1.9から5、及び更に他の実施の形態においては、2.0から4である。他の実施の形態においては、プロピレン ホモポリマーは23℃で0.125ディスクで試験したガードナ衝撃強度(Gardner impact strength)は、ある実施の形態においては、20インチ−ポンド(in-lb)から1000インチ−ポンドであり、他の実施の形態において30から500インチ−ポンド、さらに他の実施の形態においては、40から400インチ−ポンドであることもある。さらに他の実施の形態においては、1%割線曲げ弾性率(1%secant flexural modulus)は100MPaから2300MPaであり、及び他の実施の形態においては、200MPaから2100MPa、更に他の実施の形態においては、300MPaから2000MPaであり、ここで望ましいポリオレフィンは、曲げ弾性率の何れの上限値を、曲げ弾性率の何れの下限値と組合わせた何れの組み合わせであっても良い。好ましいプロピレン ポリマーのメルトフローレート(MFR-ASTM D 1238, 230°C, 2.16kg)は、ある実施の形態においては0.1dg/分から2500dg/分であり、他の実施の形態においては0.3dg/分から500dg/分である。
本発明における有用なポリプロピレン ホモポリマー又はプロピレン コポリマーはあるレベルのアイソタクチシティーを持つこともある。したがって、ある実施の形態においては、アイソタクチィク ポリプロピレンを含むポリオレフィンは本発明における有用なポリマーであり、同様に高度なアイソタクチィクなポリプロピレンは他の実施の形態において有用である。
本明細書で用いる「アイソタクチック」(isotactic)は、以下の試験方法に記載の様に、13C-NMRによる分析により、少なくとも10%のアイソタクチック ペンタド(isotactic pentad)を含むものと定義される。本明細書で用いる「高度にアイソタクチック」(highly isotactic)とは、13C-NMRによる分析により、少なくとも60%のアイソタクチック ペンタドを含むものと定義される。望ましい実施の形態においては、少なくとも85%のアイソタクチィシティを持つポリプロピレン ホモポリマーはポリオレフィンであり、更に他の実施の形態においてはポリプロピレン ホモポリマー少なくとも90%のアイソタクチシティを持つ。
他の望ましい実施の形態においては、少なくとも85%のシンジオタクティシティを持つポリプロピレン ホモポリマーはポリオレフィンであり、他の実施の形態においては、少なくとも90%のシンジオタクティシティを持つ。ここで用いる「シンジオタクチック」(syndiotactic)とは、以下の試験方法に記載の様に、13C-NMRによる分析により、少なくとも10%のシンジオタクチック ペンタドを含むものと定義される。
ここで用いられる「高度にシンジオタクチック」(highly syndiotactic)とは、13C-NMRによる分析により、少なくとも60%のアイソタクチック ペンタドを含むものと定義される。
他の実施の形態においては、プロピレン ホモポリマーはアイソタクチック、高度にアイソタクチック、シンジオタクチック、高度にシンジオタクチック、又はアタクチックである。アタクチック ポリプロピレンは10%未満のアイソタクチック、又はシンジオタクチック ペンタドを含むものと定義される。好ましいアタクチック ポリプロピレンは通常20,000から1,000,000のMw(分子量)を持つ。
この発明で有用な好ましいプロピレン ポリマーにはExxonMobil Chemical Company、Houston、TexasによりACHIEVE 及び ESCORENEの商標名で販売されているポリマーを含む。
本発明の他の実施の形態においては、ポリオレフィンはプロピレンより誘導される単位のランダム、又はブロック、プロピレンコポリマーであり、及びエチレンから選択される単位、及びC4 からC20のアルファオレフィンより誘導される単位であり、他の実施の形態においては、通常はエチレン及びC4 からC20のアルファオレフィンより誘導される単位である。ある実施の形態においては、エチレン又はC4 からC20のアルファオレフィンより誘導される単位は、コポリマーの0.1重量%から50%重量%で存在し、他の実施の形態においては、0.5重量%から30%重量%で存在し、更に他の実施の形態においては、1重量%から15重量%で存在し、更に他の実施の形態においては、0.1重量%から5%重量%で存在し、ここで望ましいコポリマーは、本明細書に記載の何れの上限の重量%を何れかの下限の重量%と組み合わせたエチレン及びC4 からC10のアルファオレフィンより誘導される単位を含む。ある実施の形態においては、プロピレン コポリマーは8,000 g/モルを超える重量平均分子量を持ち、他の実施の形態においては10,000 g/モルを超え、更に他の実施の形態においては12,000 g/モルを超え、及び更に他の実施の形態においては20,000 g/モルを超え、及び他の実施の形態においては100,000 g/モル未満、更に他の実施の形態においては800,000 g/モル未満であり、ここで望ましいコポリマーは、本明細書に記載の何れの上限の分子量を、何れの下限の分子量との組合せたものの何れを含んだものであっても良い。
特に望ましいプロピレン コポリマーは、1.5から10の範囲の分子量を持ち、及び他の実施の形態においては1.6から7、更に他の実施の形態においては、1.7から5、他の実施の形態においては、1.8から4範囲の分子量を持つ。23℃で0.125インチ ディスクでの試験で、プロピレン コポリマーのガードナー衝撃強度は、ある実施の形態においては20インチーポンド(in-lb)から1000インチーポンドであり、他の実施の形態においては30インチーポンドから500インチーポンドであり、更に他の実施の形態においては40インチーポンドから400インチーポンドである。更に他の実施の形態においては、プロピレンコポリマーの1%割線曲げ弾性率は100MPa から2300MPa, 他の実施の形態においては200MPa から2100MPa、他の実施の形態においては300MPa から2000MPaであり、ここで望ましいポリオレフィンは何れの曲げ弾性率上限を、何れの曲げ弾性率下限とくみあわせたものの何れを示しても良い。プロピレン コポリマーのメルトフローレート(MFR)は、ある実施の形態においては0.1 dg/分 から2500 dg/分、他の実施の形態においては0.3dg/分 から500 dg/分の範囲である。
他の実施の形態においては、ポリオレフィンは、プロピレン及び、エチレン及びC4 からC20の直線状、枝分かれ、又は環状モノマーよりなるグループから選択される一以上の他のモノマーを含むプロピレン コポリマーであることもあり、及びある実施の形態においては、C4 からC12の直線状、又は枝分かれのアルファオレフィンであり、好ましくは、ブテン、ペンテン、へキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、4−メチルーペンテンー1、3−メチル−ペンテン−1、3,5,5‐トリメチル−ヘキセン−1等であるのが良い。モノマーは50重量%まで存在してもよく、好ましくは0から40重量%、より好ましくは0.5から30重量%、より好ましくは2から30重量%、より好ましくは5から20重量%であるのが良い。
好ましい実施の形態においては、本発明で有用なブテン ホモポリマー及びコポリマーは、通常以下の特性を持つ:
1. 以下の試験方法に記載の様に、GPC法により測定したMwが30,000から 2,000,000 g/モル、好ましくは50,000から1,000,000、より好ましくは90,000から500,000 g/モルであり;及び/又は
2. 以下の試験方法に記載の様に、GPC法により測定したMw/Mnが1から40、好ましくは1.6から20、より好ましくは1.8から10、より好ましくは1.8から3であり;及び/又は
3. 以下の試験方法に記載の様に、DSC法により測定したTm(第二の溶融、second melt)温度が30から150℃、好ましくは30から145℃、好ましくは50から135℃;及び/又は
4. 以下の試験方法に記載の様に、DSC法により測定した結晶化度(crystallinity)は、5から80%、好ましくは10から70%、より好ましくは20から60%であり;及び/又は
5. 以下の試験方法に記載の様に、DMTA法により測定したガラス転移温度(Tg)が−50℃から0℃、;及び/又は
6. 以下の試験方法に記載の様に、DSC法により測定した融合熱(heat of fusion, Hf)が180 J/g以下、好ましくは20から150 J/g、より好ましくは40から120J/gであり;及び/又は
7. 以下の試験方法に記載の方法により測定したピーク結晶化温度(Tc)が10から130℃、好ましくは20から115℃、より好ましくは25から110℃、好ましくは60から145℃であり;及び/又は
8. 100から結晶度%を差し引くことにより決定されるアモルフォス%は少なくとも50%、代替的に少なくとも60%、代替的に少なくとも70%、更に代替的に50から95%の間、又は70%以下、好ましくは60%以下、好ましくは50%以下であり;及び/又は
9. 以下に記載の方法により測定した枝分かれ指数(g’)は0.2から2.0、好ましくは0.5から1.5、好ましくは0.7から1.1である。
本発明において有用なプロピレン コポリマーのコモノマーとして有用な好ましい直線アルファオレフィンは、C3 から C8 のアルファオレフィンを含み、より好ましくは、1−ブテン、1−へキセン、及び1−オクテン、更に好ましくは1−ブテンを含むのが良い。本発明で有用なブテン コポリマーのコモノマーとして有用な好ましい直線状アルファオレフィンは、C3 から C8 のアルファオレフィンを含み、より好ましくはプロピレン、1−へキセン、及び1−オクテン、更により好ましくはプロピレンを含むのが良い。好ましい枝分かれアルファオレフィンは、4−メチルー1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、及び3,5,5−トリメチル−1−へキセン、5−エチルー1−ノネンを含む。好ましい芳香族基を含むモノマーは30までの炭素原子を含む。適当な芳香族基を含むモノマーは、少なくとも一つの芳香族構造、好ましくは1から3、より好ましくは、フェニル、イデニル(indenyl)、フルオレニル(fluorenyl)、又はナフチル(naphthyl)部分を含むのが良い。芳香族基を含むモノマーは、更に少なくとも一つの重合可能な二重結合を含むため、重合の後に芳香族構造はポリマー骨格から垂下するであろう。芳香族基を含むモノマーは更に、これに限定するものではないが、C1 から C10 のアルキル基を含む一以上のヒドロカルビル基で置換されるかも知れない。更に二つの隣接する置換基は一体になり環状構造を形成することもある。好ましい芳香族基を含むモノマーは、重合可能なオレフィン部分に付加される少なくとも一つの芳香族構造を含む。特に好ましい芳香族モノマーは、スチレン、アルファ−メチルスチレン、パラアルキルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、アリル ベンゼン、及びイデン、特に、スチレン、パラメチル スチレン、4−フェニルー1−ブテン、及びアリル ベンゼンを含む。
非芳香族環状基を含むモノマーも又好ましい。これらのモノマーは30までの炭素原子を含みうる。適当な非芳香族環状基を含むモノマーは、好ましくは環状構造に垂下し又は環状構造の部分である、少なくとも一つの重合可能なオレフィン基を持つのが良い。環状構造はまた更に、これに限定されるものではないがC1 から C10 のアルキル基の様な一以上のヒドロカルビル基で置換されていることもある。好ましい非芳香族環状基を含むモノマーは、ビニルシクロへキサン、ビニルシクロへキセン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロへキセン、シクロブテン、ビニルアダマンタン(vinyladamantane)等を含む。
本発明における有用な好ましいジオレフィン モノマーは、何れの炭化水素構造をも含み、好ましくは、少なくとも二つの不飽和結合を持つC4 から C30であり、そこで不飽和結合の少なくとも二つが、立体特異的な、あるいは非立体特異的触媒により容易にポリマーに組み入れられる。更にジオレフィン モノマーは、アルファ、オメガージエン モノマー(すなわち、ジビニル モノマー)から選択されるのが好ましい。より好ましくは、ジオレフィン モノマーは直線状ジビニル モノマー、最も好ましくは、4から30の炭素原子を持つモノマーが良い。好ましいジエンの例には以下を含む;
ブタジエン(butadiene), ペンタジエン(pentadiene), ヘキサジエン(hexadiene), ヘプタジエン(heptadiene), オクタジエン (octadiene), ノナジエン(nonadiene),デカジエン (decadiene),アンデカジエン (undecadiene), ドデカジエン(dodecadiene), トリデカジエン(tridecadiene), テトラデカジエン(tetradecadiene), ペンタデカジエン(pentadecadiene), ヘキサデカジエン (hexadecadiene), ヘプタデカジエン(heptadecadiene),オクタデカジエン (octadecadiene), ノナデカジエン(nonadecadiene), イコサジエン(icosadiene),ヘネイコサジエン (heneicosadiene),ドコサジエン (docosadiene), トリコサジエン(tricosadiene), テトラコサジエン(tetracosadiene), ペンタコサジエン(pentacosadiene), ヘキサコサジエン(hexacosadiene),ヘプタコサジエン (heptacosadiene),オクタコサジエン (octacosadiene), ノナコサジエン(nonacosadiene), 及びトリアコンタジエン (triacontadiene)を含み、特に好ましいジエンは、1,6-ヘプタジエン (1,6-heptadiene), 1,7-オクタジエン(1,7-octadiene), 1,8−ノナジエン(1,8-nonadiene), 1,9−デカジエン-(1,9-decadiene), 1,10-アンデカジエン(1,10-undecadiene), 1,11-ドデカジエン(1,11-dodecadiene), 1,12-トリデカジエン (1,12-tridecadiene), 1,13-テトラデカジエン(1,13-tetradecadiene), 及び低分子量のポリブタジエン(polybutadienes) (分子量1000g/モル未満)を含む。好ましい環状ジエンはシクロペンタジエン(cyclopentadiene), ビニルノルボルネン (vinylnorbornene), ノルボルナジエン(norbornadiene), エチリデンノルボルネン(ethylidene norbornene), ジビニルベンゼン(divinylbenzene), ジシクロペンタジエン (dicyclopentadiene) 又は、環の種々の位置で置換基を持ち、あるいは持たない、より高次の環を持つジオレフィンを含む。
好ましく実施の形態においては、本発明により生産されるポリマー中には一以上のジエンが、組成物の全重量%に対し10重量%まで存在し、好ましくは0.00001 から1.0重量%、好ましくは0.002から0.5重量%、好ましくは0.003から0.2重量%存在するのが良い。ある実施の形態においては、500ppm以下のジエンが重合に加えられ、好ましくは400ppm以下のジエン、又は好ましくは300ppm以下のジエンが加えられるのが良い。他の実施の形態においては、少なくとも50ppm以下のジエンが重合に加えられ、好ましくは100ppm以上のジエン、又は好ましくは150ppm以上のジエンが加えられるのが良い。
更に他の実施の形態においては、23℃で0.125インチ ディスクでの試験ではブテン コポリマーのガードナー衝撃強度は20インチーポンド(in-lb)から1000インチーポンドであり、他の実施の形態においては30から500インチーポンドであり、更に他の実施の形態においては、40から400インチーポンドである。更にブテン コポリマーは100MPaから2300MPaの1%割線曲げ弾性率を持つこともあり、他の実施の形態においては、200から2100MPa, 更に他の実施の形態においては300から2000MPaをもつこともあり、ここで望ましいポリオレフィンは、何れの曲げ弾性率上限を、何れの曲げ弾性率下限を組み合わせたものの何れの範囲を示すこともある。ある実施の形態においては、望ましいコポリマーのメルトフローレート(MFR)は、0.1 dg/分 から2500 dg/分であり、他の実施の形態においては0.1dg/分 から500 dg/分の範囲である。
他の実施の形態においては、プロピレンコポリマーはランダム コポリマーであり、これは又「RCP」として知られ、ポリプロピレン及び20モル%までのエチレン又はC4 から C20のオレフィン、好ましくは20モル%までのエチレンを含むのが良い。特に好ましい実施の形態においては、本発明に用いられるプロピレン ポリマーはプロピレン及びエチレンのランダム コポリマーであり、ここでエチレンは(コポリマーの重量に対して)15重量%まで、好ましくは1から10重量%、より好ましくは1.5から5重量%、より好ましくは2から4重量%であるのが良い。
他の特に好ましい実施の形態においては、本発明に用いられるプロピレン ポリマーはプロピレン及びエチレンのランダム コポリマーであり、ここでエチレンは(コポリマーの重量%に対して)15重量%、好ましくは1から10重量%、より好ましくは1.5から5重量%、より好ましくは2から4重量%で存在し、ポリマーのメルトフローレート(MFR)は0.1dg/分から2500dg/分、好ましくは0.2 dg/分から500 dg/分、好ましくは0.3 dg/分から200 dg/分、好ましくは1 dg/分から100 dg/分、好ましくは5 dg/分から50 dg/分であるのが良い。
他の実施の形態においては、ポリオレフィンは衝撃コポリマー(impact copolymer(ICP))又はブロックコポリマーであることもある。プロピレン衝撃コポリマーは、成形及び押出しによる自動車部品、家庭用品、旅行かばん、家具等の強度及び衝撃抵抗度が必要とされるところで種々に応用される。プロピレン ホモポリマーは、特に低温において余りに脆く、衝撃抵抗度が低いため、プロピレン ホモポリマー単独では、そのような用途には適していないことが多い。そこで、これらのものへの応用することを意図してプロピレン衝撃コポリマーが、特に開発される理由がある。
通常のプロピレン衝撃コポリマーは、少なくとも2つの相、例えば、ホモポリマー組成物及びコポリマー組成物を含む。衝撃コポリマーは又、PPが連続し、EPが拡散した層の外側に、及びPEが拡散した層の粒子の内側にあるPP/EP/PEを組合せた3相を持っていることもある。これらの組成物は通常、順次重合プロセスで生産される。そこでは、第一反応器で生産されたホモポリマーは第二反応器に移され、そこでコポリマーが生産され、ホモポリマー組成物のマトリクスに組み入れられる。コポリマー組成物はゴム状の特徴を持ち、望まれる衝撃抵抗度を与え、一方ホモポリマー組成物は全般の剛性を与える。
ICPの他の重要な特徴はそれが持つアモルフォス ポリプロピレンの量である。本発明のICPは低アモルフォス ポリプロピレンを持つものとして特徴付けられ、好ましくは重量で3%未満、より好ましくは重量で2%未満、より好ましくは重量で1%未満、そして最も好ましくは測定可能なアモルフォス ポリプロピレンが存在しないのが良い。アモルフォス ポリプロピレンのパーセント数値は、以下に述べる試験方法により決定される。
好ましい衝撃コポリマーは反応器ブレンド(反応器内のその物;in-situ blend)又は反応器後(ex-situ)のブレンドであることもある。ある実施の形態においては、適当な衝撃コポリマーは衝撃コポリマーの全重量に対して、組成物Aを重量で40%から95%、組成物Bを重量で5%から60% 含み、組成物Aはプロピレン ホモポリマー又はコポリマーを含み、そのコポリマーは重量割合で10%以下のエチレン、ブテン、へキセン、又はオクテン コポリマーを含み、組成物Bは プロピレン コポリマーを含み、そのコポリマーは重量割合で5%から70%のエチレン、ブテン、へキセン、及び/又はオクテン コポリマーを含み、及び重量割合で約95%から30%のプロピレンを含む。衝撃コポリマーのある実施の形態においては、組成物Bは、基本的にプロピレンと重量割合で約30%から約65%のエチレンより成る。他の実施の形態においては、組成物Bはエチレン−プロピレン コポリマー、エチレン−プロピレン−ジエン タ−ポリマー、エチレンーアクリレート コポリマー、エチレンービニル酢酸、スチレンーブタジエン コポリマー、エチレン−アクリル エステル コポリマー、ポリブタジエン、ポリイソピレン、天然ゴム、イソブチレン、炭化水素樹脂(炭化水素樹脂の特徴は分子量が5000未満、Tg が約50から100℃で、ASTM E-28で測定した軟化点(softening point)、リング及びボール(Ring and Ball)が約140℃未満)、ロジン(rosin)エステル、及びこれらの混合物を含む。他の実施の形態においては、組成物Bは分子量分布が3.5未満である。又他の実施の形態においては、組成物Bは重量平均分子量は少なくとも20,000である。有用な衝撃コポリマーは、例えば、米国特許番号6,342,566 及び6,384,142に開示されている。
他のプロピレン コポリマー、エチレンコポリマーまたはターポリマーは所望される特定の製品の望む特性によっては適当な場合もあるが、組成物Bは最も好ましくは、基本的にプロピレンとエチレンより成っているのが良い。例えば、プロピレン/ブテン、へキセン、又はオクテン コポリマー、及びエチレン/ブテン、へキセン、又はオクテンコポリマーを使用しても良く、又ポリプロピレン/エチレン/へキセンー1 ターポリマーを用いても良い。しかし、好ましい実施の形態においては、組成物Bは重量割合で少なくとも40%のポリプロピレン、より好ましくは約80重量%から約30重量%、さらにより好ましくは約70重量%から約35重量%のプロピレンを含むのが良い。組成物Bのコモノマーの含有量は、重量割合で好ましくは約20重量%から約70重量%のコモノマーを含み、より好ましくは約30重量%から約65重量%、更に好ましくは約35重量%から約60重量%のコモノマーを含むのが良い。最も好ましくは組成物Bは基本的にプロピレン、及び約20%から70%のエチレン、より好ましくは約30%から約65%のエチレン、最も好ましくは約35%から約60%のエチレンより成るのが良い。
他の組成物Bのコポリマーでは、コモノマーの含有量を所望される特定の特性によって調整する必要がある。例えば、エチレン/へキセン コポリマーについては、組成物Bは少なくとも17重量%のへキセン 及び少なくとも83重量%のエチレンを含むべきである。
組成物Bは、好ましくは狭い分子量分布Mw/Mn(MWD), すなわち、5.0より小さく、より好ましくは4.0より小さく、より好ましくは3.5より小さく、より好ましくは3.0より小さく、最も好ましくは2.5以下であるのが良い。これらの分子量分布は、バイスブレーキング(visbreaking)、又は過酸化物、又は他の反応器後の分子量調整処理がない場合には、達成されるべきである。好ましくは組成物Bは重量平均分子量(GPCにより決定されるMw)が少なくとも100,000、好ましくは少なくとも150,000、最も好ましくは少なくとも200,000あるのが良い。
組成物Bは好ましくは、固有粘度が1.00 dl/gより大きく、より好ましくは1.5 dl/gより大きく、最も好ましくは2.00dl/gより大きいのが良い。本明細書で、従来同様に用いられている「固有粘度」(intrinsic viscosity)、又は「IV」は、ポリマー組成が無限に希釈されている場合に、ある溶媒中で、ある温度での組成物Bの様なポリマーの溶液の粘度を言う。ASTM標準試験法 D 1601−78では、IV測定は標準的な毛細管粘度測定機器を使用して、ある与えられた温度での溶媒中の一連の濃度のポリマーの粘度が決定される。組成物Bについては、デカリン(decalin)が適切な溶媒であり、典型的な温度は135℃である。種々異なる濃度の溶液の粘度数値から、無限希釈の「数値」を補外法(extrapolation)により決定することができる
組成物Bは好ましくは、60%を超える組成物分布巾指数(composition distribution breadth index, CDBI)を持ち、より好ましくは65%を超える、更に好ましくは70%を超える、それより更に好ましくは75%を超える、更に好ましくは80%を超える、最も好ましくは85%を超えるのが良い。CDBIは、コポリマー全体の中のエチレン(他のコモノマー)の含有量に関して、ポリマー鎖中の組成の変化を規定する。CDBIは、米国特許番号5,382,630において、平均全分子コモノマー量(median total molar comonomer conent)の50%の範囲にあるコモノマー量を持つコポリマー分子の重量パーセントと定義されており、本文献は引用により本明細書に組み入れられる。コポリマーのCDBIは、コポリマーのサンプルの個々の部分を分離する周知の技術を用いて容易に決定することができる。そのような技術の一つがWild, 他, J. Poly. Sci. , Poly. Phys. 20巻, 441ページ (1982) 及び米国特許番号 5,008,204に記載の温度上昇溶出分画(Temperature Rising Elution Fraction (TREF))であり、これらは引用により本明細書に組み入れられる。
ICPの組成物Bは好ましくは、低い結晶化度、好ましくは結晶部分の10重量%未満、より好ましくは結晶部分の重量の5重量%未満であるのが良い。組成物Bに結晶部分がある場合、その組成はコモノマー全体の重量との関係において、組成物Bの残りの部分と同じ、又は少なくとも同様(15重量%の範囲内)であるのが良い。
これらのICPの好ましいメルトフローレート(MFR)は、その望む使用目的にもよるが、通常は約0.2dg/分から約200dg/分であり、より好ましくは、約5dg/分から約100dg/分であるのが良い。重要なことは、高いMFR,すなわち、50dg/分より高いものが得られることである。ICPは好ましくは、少なくとも145℃の溶融温度(Tm)、好ましくは少なくとも150℃、より好ましくは少なくとも152℃、最も好ましくは少なくとも155℃であるのが良い。
ICPは、重量割合で組成物Aを約40%から95約%、重量割合で組成物Bを約5%から約60%含み、好ましくは組成物Aを約50%から95約%、組成物Bを約5%から約50%、更に好ましくは組成物Aを約60%から約90%、組成物Bを約10%から約40%含むのが良い。最も好ましい実施の形態においては、ICPは基本的に組成物A及びBからなるのが良い。全ICPの全体のコモノマー(好ましくは、エチレン)含有量は、重量で約2%から約30%の範囲、好ましくは約5%から約25%、さらにより好ましくは約5%から約20%、さらにより好ましくは約5%から約15%であるのが良い。
他の実施の形態においては、好ましい衝撃コポリマーの組成は、屈折率(ASTM D542-00により測定)がお互いに20%の範囲内となる様に、好ましくは15%、より好ましくは10%、更に好ましくは5% の範囲に入るように組成物A及び組成物 Bを選択して生産するのが良い。
この選択により驚異的な透明性をもつ衝撃コポリマーを生産することができる。他の実施の形態においては、好ましい衝撃コポリマーの成分は、組成物AとNFPのブレンド、及び組成物BとNFPのブレンドを、各ブレンドの屈折率(ASTM D 542−00により測定される)が、お互いに20%以内、好ましくは15%以内、好ましくは10% 以内、さらにより好ましくは5%以内になる様に選択されることにより生産されるのが良い。
更に他の実施の形態においては、プロピレン 衝撃 コポリマーは−29℃で0.125インチ ディスクで試験をしたガードナ衝撃強度(Gardner impact strength)が、20インチ−ポンド(in-lb)から1000インチ−ポンドであり、他の実施の形態において30から500インチ−ポンド、さらに他の実施の形態においては、40から400インチ−ポンドである。さらに他の実施の形態においては、プロピレン 衝撃 コポリマーの1%割線曲げ弾性率(1%secant flexural modulus)は、100MPaから2300MPaであり、及び他の実施の形態においては、200MPaから2100MPa、更にある実施の形態においては、300MPaから2000MPaであり、ここで望ましいポリオレフィンは、曲げ弾性率の何れの上限値を、曲げ弾性率の何れの下限値と組合わせた何れの曲げ弾性率であっても良い。ある実施の形態においては望ましいホモポリマーのメルトフローレート(MFR)(ASTM D 1238, 230°C, 2. 16kg)は、0.1 dg/分から2500dg/分であり、他の実施の形態においては0.3 dg/分から500dg/分である。
他の適当なポリオレフィンは、ポリプロピレン ホモポリマー又はプロピレン コポリマーと、プラストマーのブレンドを含む。本発明において有用なプラストマーは、また0.85から0.915 g/cm3の密度(ASTM D4703 方法B 及びASTM D 1505)を持つポリオレフィン コポリマーとして表される。これらの最初のものは、15℃/分の冷却率で圧縮成形(compression molding)され、第二のものは密度決定のための勾配密度カラム(Gradient Density Column)法に用いられ、0.10及び0.30dg/分の間のメルトインデックス(MI)を持つ(ASTM D 1238 ; 190°C, 2.1 kg)。ある実施の形態においては、有用なプラストマーはエチレンから誘導された単位のコポリマーであり、少なくともC3 から C10アルファオレフィンより誘導された単位の一つであり、コポリマーは0.915 g/cm3未満の密度を持つ。ある実施の形態においては、プラストマー中に存在するコモノマー(C3 から C10アルファオレフィンより誘導された単位)の量は2重量%から35重量%であり、他の実施の形態においては5重量%から30重量%であり、更に他の実施の形態においては15重量%から25重量%であり、更に他の実施の形態においては20重量%から30重量%である。
ある実施の形態においては、本発明において有用なプラストマーのメルトインデクス(melt index) は0.10から20dg/分であり、他の実施の形態においては、0.2から10dg/分であり、更に他の実施の形態においては、0.3から8dg/分である。有用なプラストマーの平均分子量は、ある実施の形態においては10,000から800,000であり、他の実施の形態においては20,000から700,000である。有用なプラストマーの1%割線曲げ弾性率は、ある実施の形態においては、10MPaから150MPaであり、他の実施の形態においては20MPaから100MPaである。更に、本発明の組成中で有用なプラストマーは融解温度(Tm)が30から80℃であり(第一の融解ピーク)、及び50から125℃(第二の融解ピーク)、及び他の実施の形態においては、40から70℃であり(第一の融解ピーク)、及び50から100℃(第二の融解ピーク)である。
本発明において有用なプラストマーは、エチレンから誘導された単位、及びプロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテン等のより高度のアルファオレフィンより誘導された単位のメタロセンにより触媒されたコポリマーであり、ある実施の形態においては、その密度が0.860及び0.900g/cm3となる程度に、これらのコモノマーのうちの一以上を十分多く含んでいる。望ましいプラストマーの分子量分布(Mw/Mn)はある実施の形態においては、1.5から5、及び他の実施の形態においては、2.0から4である。商業的に入手可能なプラストマーの例としては、エチレン及び1−へキセンのコポリマーがあり、1−へキセンからの誘導単位がプラストマーの18から22重量%を占め、その密度が0.895g/cm3及びMIは3.5 dg/分であるEXACT 4150、(ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX); 及び エチレン及び1−オクテンのコポリマーであり、1−オクテンからの誘導単位はプラストマーの26から30重量%を占め、その密度は0.882 g/cm3及び MIは1.0 dg/分であるEXACT 8201,(ExxonMobil Chemical Company, Houston, TX)がある。
他の実施の形態においては、本発明で有用なポリマーは、ホモポリマー及びプロピレンのランダムコポリマーを含み、プロピレンは、示差走査熱量測定法(Differential Scanning Calorimetry (DSC))による融解熱(heat of fusion)が50J/g未満,メルトインデックス(melt index (MI))20dg/分未満、及び/又はMFRは20dg/分以下であり、そして立体規則性を持つプロピレン結晶化度(stereoregular propylene crystallinity)を持ち、好ましくは、アイソスタッチックな立体規則性を持つプロピレン結晶化度を持つものが良い。他の実施の形態においては、ポリマーは、プロピレン、エチレン及びC4 から C12アルファオレフィン及びそれらの組合せから選択される少なくとも一つのコモノマーのランダムコポリマーである。好ましくはポリプロピレンのランダムコポリマーは、ポリマーの全重量に対して、2重量%から25重量%の重合化したエチレン単位を含み;狭い範囲の組成分布であり;融解点(melting point (Tm)) が25°Cから120°C, 又は35°Cから 80°Cであり;融解熱はその上限が50J/g又は25J/g、その下限は1J/g 又は3J/gであり;分子量分布(Mw/Mn)は1.8から4.5であり;メルトインデックス(melt index (MI))は20dg/分未満、又は15dg/分未満である。コポリマーの分子間組成分布は溶媒内の熱分別(thermal fractionation)により決定される。典型的な溶媒はヘキサン(hexane)、及びへプタン(heptane)のような飽和炭化水素である。熱分別の手順を以下に記す。通常約75重量%、好ましくは85重量%のコポリマーを一又は二の隣接した部分溶液として分離し、残りのコポリマーは直近、又は直後の部分溶液とする。これらの部分の各々は、コポリマーのコモノマーの平均重量%の20%(相対的に)より大きい差、好ましくは、10%(相対的に)より大きい差を持たない組成物(エチレン又は他のアルファオレフィンの様な重量%コモノマー)を含む。コポリマーは、上記の分別試験の要件を満たす場合は、狭い組成分布を持つ。
本発明において特に好ましい有用なポリマーは、その立体規則的なプロピレン配列により中程度の結晶度を持つ弾性ポリマーである。このポリマーは、(A)倒置部位(regio-inversions)等によりその立体規則性が中断されているプロピレン ホモポリマー;(B)プロピレンの立体規則性が少なくとも一部でコモノマーにより中断されている;又は(C)上の(A)(B)の組合せであり得る。
ある実施の形態においては、ポリマーは更に、ブレンド組成物の硫化及び化学的修飾を助けるための非共役ジエンモノマーを含む。ポリマーに存在するジエンンの量は好ましくは、10重量%未満、より好ましくは5重量%未満であるのが良い。これらに限定されるものではないが、ジエンはエチレン プロピレンゴムの硫化に通常用いられるエチリデン ノルボルネン、ビニル ノルボルネン、及びジシクロペンタジエンを含むどの様な非共役ジエンであっても良い。
ある実施の形態においては、ポリマーはプロピレン及び、エチレン、C4 から C12アルファオレフィン及びその組合せから選択される少なくとも一つのコモノマーの、ランダムコポリマーである。この実施の形態における特徴として、コポリマーはエチレンから誘導される単位の量を、その下限が、重量割合で1%、2%、5%、6%、8%、又は10%から、その上限の、重量割合で20%、25%、又は28%の範囲の量を含む。この実施の形態においては、又コポリマー中に存在するプロピレンから誘導される単位の量を、その下限が、重量割合で72%、75%、又は80%から、その上限が重量割合で99%, 98%, 95%, 94%, 92%、又は90%の範囲の量を含む。これらの重量パーセントは、プロピレン及びエチレンから誘導された単位、すなわち、プロピレンから誘導された単位、及びエチレンから誘導された単位の重量%の合計を100% としたものに基づくものである。ポリマー中のエチレンの組成は以下の様にして測定することができる。薄い均一なフィルムを約150℃以上の温度でプレスして、Perkin Elmer PE 1760赤外線分光光度計に装着する。サンプルの600cm-1から4000 cm-1までの完全スペクトルが記録され、エチレンのモノマー重量パーセントが以下の式に基づき計算される:エチレン重量%=82.585−111.987X+30.045X2、ここでXは1155 cm-1 でのピークの高さと、722 cm-1 又は732 cm-1 でのピークの何れか高いものとの比である。ポリマー中の他のモノマーの濃度も又この方法を用いて測定することができる。
個々の分子量の範囲のコモノマーの含有量は、GPCにより収集されたサンプルと合わせてフーリエ変換赤外分光光度計(Fourier Transform Infrared Spectroscopy (FTIR))を用いて測定することができる。この方法の一つがWheeler 及び Willis, Applied Spectroscopy, 1993, 47巻, 1128-1130ページに記載されている。異なるが類似の方法は、同様に本目的に役立ち、その技術分野の当業者に良く知られている。
ポリマーのコモノマーの含有量及び連鎖分布(sequence distribution)は、C13核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance (13C NMR))により測定することができ、その様な方法は当業者によく知られている。
ある実施の形態においては、ポリマーは狭い組成分布を持つランダム プロピレン コポリマーである。他の実施の形態においては、ポリマーは狭い組成分布を持ち、及び溶融温度が25℃から110℃であるランダム プロピレン コポリマーである。プロピレン、コモノマー及び任意的選択的にジエンを含むポリマーは、コモノマー残基の数、及び分布がモノマーのランダム統計重合に一致するため、そのコポリマーはランダムと記述される。立体ブロック(stereoblock)構造においては、ブロックモノマー残基で他の残基に隣接しているものの数は、どの様な種類のものでも、同じような組成を持つランダムコポリマーの統計的な分布から予測されるものより大きい。ヒストリカルな(historical)、立体ブロック構造を持つエチレンープロピレン コポリマーは、ポリマー中のモノマー残基のランダム統計分布よりもこれらのブロック状構造に適合するエチレン残基分布を持つ。コポリマーの分子間の組成分布(すなわち、ランダム状態)は13C NMRにより決定されても良く、これは近接のプロピレン残基との関係でのコモノマー残基の位置を決める。コポリマーの分子間の組成分布は溶液中の熱分別により決定される。典型的な溶媒はヘキサン、又はヘプタン等の不飽和炭化水素である。通常、約75重量%、好ましくは、85重量%のコポリマーが一つ又は二つの溶融可能な部分として分離され、残りのコポリマーは直前、又は直後の部分として残される。各々これらの部分はコポリマーのコモノマーの平均重量%の20%(相対的に)を超えない差、好ましくは、10%(相対的に)を超えない差の組成(エチレン又は他のアルファオレフィンの様な重量%モノマー)を持つ。コポリマーは、もし上に記載の分別試験の要件を満たす場合は、狭い組成分布を持つ。所望するランダム状態及び狭い組成を持つコポリマーを生産するために、(1)それが、第一及び第二のモノマー配列の単一の統計的追加方式のみを認める単部位のメタロセン触媒が用いられ、(2)コポリマーは連続フロー攪拌タンク重合反応器中でよく混合され、それによりコポリマーの実質的にすべてのポリマー鎖のための単一重合環境を提供するものである場合には、有益である。
ポリマーの結晶化度は融解熱により表すことができることもある。本発明の実施の形態は、DSCにより決定される融解熱が下限の1.0J/g又は3.0 J/gから上限の50J/g又は10 J/gの範囲を持つポリマーを含む。
ポリマーの結晶化度は又、結晶化度のパーセントにより表すことができるかもしれない。最高レベルのポリプロピレンの熱エネルギーは207J/gと考えられる。すなわち、100%の結晶化度は207J/gに等しい。好ましくはポリマーはその結晶化度の上限が65%、40%、30%、25%、又は20%であり、その下限は1%、3%、5%、7%、又は8%の範囲にあるポリプロピレンの結晶化度を持つのが良い。
結晶化度のレベルはまた融解点に反映される。本明細書で用いる「融解点」(melting point)は、最高ピーク点であり、最高とは、上で検討した様に、DSCにより決定される主及び第二の溶融ピークの中での最高温度で起きるピークに対して反映されるポリマーの最大量を言う。ある実施の形態においてはポリマーは単一の融解点を持つ。通常プロピレン コポリマーのサンプルは主ピークに隣接する第二の溶融ピークを持ち、これらは共に単一の融解点として考えられる。これらの中の最高のピークが融解点と考えられる。本明細書での好ましいポリマーのDSCによる融解点の範囲は、上限の110℃、105℃、90℃、80℃、又は70℃から、下限の0℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、又は45℃である。
本発明で用いられるその様なポリマーは通常、その重量平均分子量(M)の範囲は上限が5,000,000g/モル、1,000,000g/モル、又は500,000g/モル、及び下限が10,000g/モル、20,000g/モル、80,000g/モルであり、分子量分布(Mw/Mn (MWD))、時には「多分散性指数」(polydispersity index" (PDI))と呼ばれるが、その範囲は下限の1.5, 1.8 又は2.0から、その上限の40, 20, 10, 5 又は4.5である。ある実施の形態においては、ポリマーはムーニ粘度、ML(1+4)が125℃で100以下、75以下、60又は30以下である。本明細書で用いるムーニ粘度は、特に断らない限り、ASTM D1646によるML(1+4)、125℃で測定することができる。
ある実施の形態においては、本発明で有用なポリマーは立体規則性指数(tacticity index) (m/r)が、下限の4又は6から上限の8、10又は12の範囲である。立体規則性指数は、本明細書において「m/r」で表されるが、核磁気共鳴 (13C nuclear magnetic resonance (NMR))により決定される。立体規則性指数m/rは、H. N. Cheng, Macromolecules, 17,1950 (1984) に規定の遣り方で計算される。記号「m」又は「r」は、連続するプロピレン基の組の立体化学(stereochemistry)を表し、「m」はメソを、「r」はラセミを表す。 m/r比が0から1.0未満は一般的にシンジオタクチックポリマーを表し、m/r比が1はアタクッチ材料を、 m/r比が1を超える場合はアイソタクチック材料を表す。アイソタクチック材料はその比が理論上は無限大となる可能性があり、多くの副産物のアタクッチポリマーはアイソタクチック含有量を多く含み、その結果その比が50を超える場合がある。
ある実施の形態においては、ポリマーはアイソタクチック立体規則性を持つプロピレン結晶度を持つ。本明細書に記載の「立体規則性の」は、ポリプロピレン中の、又は例えば、エチレンの様な他の如何なるモノマーを含まない衝撃コポリマーの様なポリプロピレン連続相ブレンド中のプロピレン残基の圧倒的な数、例えば、80%を超える数、が同じ1,2の挿入を持ち、垂下するメチル基の立体化学方向が同じ、すなわちメソあるいはラセミであることを言う。
本発明の実施の形態におけるプロピレン単位の立体規則性の記述に関する付則手順として三つ組みの立体規則性(triad tacticity)の使用がある。ポリマーの三つ組立体規則性は、m及びrの配列の二成分の組合せにより表される一連の3つの隣接するプロピレン単位の配列、つまり頭から尾までの結合からなる一つの鎖の相対的立体規則性を言う。本発明のコポリマーについて通常、コポリマー中の全てのプロピレンの三つ組に対する特定の立体規則性の単位の数の比率として表される。
プロピレン コポリマーの三つ組み立体規則性(mm 分数)はプロピレン コポリマーの13C-NMR スペクトル及び以下の式により決定することができる:
mm 分数値=PPP(mm)/(PPP(mm)+PPP(mr)+PPP(rr))
ここでPPP(mm)、PPP(mr)及びPPP(rr)は、頭から尾までの結合よりなる次の3つのプロピレン単位鎖中での第二単位のメチル基から誘導されるピーク領域を示す:
Figure 0004746566
プロピレンコポリマーの13C-NMR スペクトルは、米国特許番号5,504,172に記載されている方法で測定される。メチル炭素領域(100百万分の19−23(ppm))に関するスペクトルは,第一領域(21.2-21.9ppm)、第二領域(20.3-21.0ppm)、及び第三領域(19.5-20.3ppm)に分けることができる。スペクトル中での各ピークは、刊行物Polymer, 30巻 (1989), 1350ページに記載されているものを参考にした。第一領域では、PPP(mm)に表わされる3つのプロピレン単位鎖における第二単位のメチル基が共鳴する。第二領域では、PPP(mr)により表わされる3つのプロピレン単位鎖中の第二単位のメチル基が共鳴し、そして、その隣の単位がプロピレン単位、及びエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(PPE-メチル基)が共鳴する(20.7ppmの近辺)。第三の領域では、PPP(rr)により表わされる3つのプロピレン単位鎖の第二単位のメチル基が共鳴し、その隣の単位がエチレン単位であるプロピレン単位のメチル基(EPE-メチル基)が共鳴する(19.8ppmの近辺)。
三つ組立体規則性の算出については、米国特許番号5,504,172に示す技術に概観されている。第二領域、及び第三領域の全ピーク領域から、プロピレン挿入(2,1及び1、3の両方)のエラーのためにピーク領域を差し引くことで、頭から尾の結合より成る3つのプロピレン単位鎖(PPP(mr)及び PPP(rr))に基づくピーク領域を得ることができる。この様に、PPP(mm)、PPP(mr)及びPPP(rr)のピーク領域が判断され、頭から尾の結合より成るプロピレン単位鎖の三つ組立体規則性を決定することができる。
本発明に実施の形態の好ましいポリマーは、13C-NMRによる測定で、75%以上、80%以上、82%以上、85%以上、又は90%以上の3つのプロピレン単位の三つ組立体規則性を持つものである。
本発明の実施の形態においては、ポリマーは好ましくはメルトインデックス(MI)が、20dg/分以下、7dg/分以下、5dg/分以下、又は2dg/分以下であるのが良い。ポリマーのMIはASTM D1238 (190℃、2.16kg) により決定される。この方法では、試験中に押出されたサンプルの一部が集められ計量された。これは通常、実験手順の修飾1と呼ばれる。サンプルの分析は、実験の間中温度を安定させるためサンプルを1分予熱し、190℃の温度で行った。
ある実施の形態においては、本発明で用いるポリマーはWO 00/69963, WO 00/01766, WO 99/07788, WO 02/083753に"Second Polymer Component (SPC)”として詳細に記載され、又WO 00/01745に"Propylene Olefin Copolymer"として更に詳細に記載されている。これらは米国特許の慣例に従い、引用により本明細書に組み入れられる。
ポリオレフィン/NFPブレンドの生産
本発明の使用に適したポリオレフィンは、本発明のNFPとのブレンドに用いる場合はその物理的形状はどの様なものであっても良い。ある実施の形態においては、いずれかのプロセス工程が開始される前に重合反応器から分離されたポリマーの顆粒として規定される反応器顆粒は、本発明のNFPとブレンドするのに用いられる。反応器顆粒は、ある実施の形態においては、50μmから10mmの平均直径を持ち、他の実施の形態においては、10μmから5mmの平均直径を持つ。他の実施の形態においては、ポリオレフィンはペレットの形であり、例えば、反応器顆粒の融解押出しにより形成される1mm から10mmの平均直径を持つ。
本発明のある実施の形態においては、組成物として適当なポリオレフィンには、ポリプロピレンを他のポリオレフィンと物理的にブレンドしたものを含まない。特にポリプロピレンを低分子量(500 から10,000 g/モル)ポリエチレン、又はポリエチレン コポリマーとの物理的ブレンドは含まない。この意味するところは、例えば、WO 01/18109 Alの場合と同様に、低分子量ポリエチレン、又はポリエチレン コポリマーは,どの様な量でも意識的に本発明のポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン ホモポリマー、又はコポリマー)組成に加えることはないのである。
ポリオレフィン及びNFPは、どの様な適当な方法によってもブレンドすることができ、均一な、単一相の混合物を得るために通常ブレンドされる。例えば、これらはタンブラー、静的ミキサー、バッチミキサー、押出し機、又はこれらの組合せによりブレンドしても良い。混合ステップは、射出成形機、又は繊維製造ラインの押出し機の様に製品を作り出す工程の一部として行われることもある。
本発明の組成物のある実施の形態においては、ポリ(塩化ビニル)に通常用いられる様な、従来の可塑剤は基本的に存在しない。特にフタル酸エステル、アジピン酸塩、トリメリット酸(trimellitate)エステル、ポリエステル、及び例えば、米国特許番号3,318,835、4,409,345及び WO 02/31044 Al、及び PLASTICS ADDITIVES 499-504 (Geoffrey Pritchard編, Chapman & Hall 1998)に開示されている他の官能基を持つ可塑剤は「基本的に存在しない」。「基本的に存在しない」とは、これらの化合物は意識的に組成物に加えられることはなく、もし存在したとしても0.5重量%未満であることを意味する。
他の実施の形態において、ナフテン酸(naphthenic)、及び他の芳香族を含むオイルは、好ましくは本発明の組成物の0.5重量%未満であるのが良い。又芳香族の小部分及び炭素−炭素不飽和部分は、他の実施の形態においても、本発明において用いられる非官能性可塑剤においては基本的に存在しない。芳香族の小部分には、その分子がべンゼン、ナフテン (naphthalene),フェナントレン(phenanthrene)、アントラセン (anthracene)等に特徴的な環状構造を持つ化合物を含む。「基本的に存在しない」とは、これらの芳香族化合物又は小部分は、意識的に組成物に加えられることはなく、もし存在したとしてもその組成物の0.5重量%未満であることを意味する。
本発明の組成物の他の実施の形態においては、低分子量ポリエチレン等の様な、従来の可塑剤,エラストマー又は「相溶化剤」(compatibilizer)は基本的に存在しない。特に、重量平均分子量が500から10,000であるエチレン ホモポリマー及びコポリマーは基本的に存在しない。そのようなポリエチレン相溶化剤は例えば、WO 01/18109 Alに開示されている。「基本的に存在しない」とは、これらの化合物は意識的に組成物に加えられることはなく、もし存在したとしても、ポリオレフィン、エチレン ポリマー又はコポリマー、及びNFPの重量に基づき、その5重量%未満であり、より好ましくは4重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満であるのが良いことを意味する。
本発明のポリオレフィンの組成物は又他の添加物を含む。これらの添加物には、補助剤、オイル、可塑剤、ブロック、粘着防止剤(antiblock)、色彩用の主要群(color masterbatch)、 処理剤(processing aid)、中和剤(neutralizer)、潤滑剤(lubricant)、ワックス(waxes)、酸化防止剤、(antioxidant), 核剤(nucleating agent)、 酸捕集剤(acid scavenger)、安定剤(stabilizer)、界面活性剤(surfactant)、抗食剤(anticorrosion agent)、空洞化剤(cavitating agent)、発泡剤(blowing agent)、鎖切断酸化防止剤(chain-breaking antioxidant)等の様なUV吸収剤、抑制剤(quencher), 帯電防止剤(antistatic agent), スリップ剤(slip agent), 色素(pigment), 染料(dye), 充填剤(filler)、及び過酸化物(peroxide)の様な硬化剤(cure agent)を含む。添加剤は、その技術分野で周知の、0.001重量%から10重量%の様な通常の効果的な量であっても良い。ある実施の形態においては、好ましくは、その産業分野で通常用いられる染料及び他の着色剤は0.01重量%から10重量%であり、他の実施の形態においては、0.1重量%から6重量%であるのが良い。適当な核剤は、例えば、H. N. Beck, Heterogeneous Nucleating Agents for Polypropylene Crystallization, 11 J. APPLIED POLY. Scl. 673-685 (1967)及びHeterogeneous Nucleation Studies on Polypropylene, 21 J. POLY. SCI. : POLY. LETTERS 347-351 (1983)に開示されている。適当な核剤(nucleating agents)の例として、安息香酸(sodium benzoate), ナトリウム2、2‘−メチレンビス(4、6’ジ−タール−ブチルフェニル)リン酸(sodium 2,2'- methylenebis (4,6-di-tert-butylphenyl) phosphate), アルミニウム2、2−メチレンビス(4、6’ジータールーブチルフェニル)リン酸 (aluminum 2,2'-methylenebis (4,6-di-tert-butylphenyl) phosphate), ジベンジリデン ソルビトール(dibenzylidene sorbitol), ジ(ピートリリデン)ソルビトール(di (p-tolylidene) sorbitol, ジ(ピ−エチルベンジリデン)ソルビトール(di (p-ethylbenzylidene) sorbitol)、ビス(3、4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール(bis (3,4-dimethylbenzylidene) sorbitol)及びN’,N’-ジシクロヘキシルー2,6−ナフタレンジカルボオキシアミド(N', N'-dicyclohexyl-2,6- naphthalenedicarboxamide), 及び 不均衡ロジンエステル(disproportionated rosin ester)の塩がある。上記のリストは核剤に迅速に調剤できる適当なものを説明のため選択して記載したものである。
特に、有機亜リン酸塩及びヒンダードアミン(hindered amin)及びフェノール系酸化防止剤のような、酸化防止剤及び安定剤は、ある実施の形態においては、本発明のポリオレフィン組成物に0.001 重量%から2重量%存在し、他の実施の形態においては、0.01重量%から0.8重量%、更に他の実施の形態においては、0.02重量%から0.5重量%存在する。
適当な有機亜リン酸塩(oganic phosphate) の例としては、これに限るものではないが、トリ(2、4‐ジ-タール-ブチルフェニル)亜リン酸(tri (2-4-di-tert- butylphenyl) phosphite)(IRGAFOS 168)、及びジ(2、4‐ジ-タール-ブチルフェニル)ペンタエチリトール 亜リン酸(di (2-4-di-tert-butylphenyl) pentaerithritol diphosphite (ULTRANOX 626)がある。
ヒンダードアミン(hindered amin)の例としては、これに限るものではないが、ポリ[2-N, N’-ジ(2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ヘキサンジアミン-4-(1-アミノ-1, 1,3,3-テトラメチルブタン)シム-トリアジン](poly [2-N, N'-di (2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidinyl)-hexanediamine-4-(1-amino-1,1,3, 3-tetramethylbutane) sym-triazine])(CHIMASORB 944); ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバシン酸(bis (1,2,2,6,6-pentamethyl- 4-piperidyl) sebacate (TINUVIN 770)を含む。
フェノール系酸化防止剤の例としては、これに限るものではないが、ペンタエリチリチル テトラキス (3,5-ジ-タール-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)プロピオン酸(pentaerythrityl tetrakis (3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl) propionate (IRGANOX 1010);及び1,3,5-トリ(3,5-ジ-タール-ブチル-4-ヒドロオキシベンジル-イソシアヌール酸(1,3,5-Tri (3, 5-di-tert-butyl-4- hydroxybenzyl-isocyanurate (IRGANOX 3114))を含む。
好ましい酸化防止剤は、何れもCiba-Geigy.から入手可能なIrganox 1010, Irganox, 1076の様なフェノール系酸化防止剤を含む。
好ましいオイルは、ExxonMobil Chemical France, S. A.、Paris、Franceから入手可能な, Primol 352, 又は Primol 876の様なパラフィン系、又はナフテン系オイルを含む。より好ましいオイルには、脂肪族ナフテン系オイル、白オイル等を含む。
ある実施の形態においては、充填剤は0.1重量%から50重量%で存在し、他の実施の形態においては0.1重量%から25重量%、更に他の実施の形態においては、0.2重量%から10重量%存在することもある。望ましい充填剤は、これに限定されるものではないが、二酸化チタン(titanium dioxide), シリコンカーバイド (silicon carbide)、シリカ(silica) (及び沈殿させたものか否かを問わず、他のシリカの酸化物)、酸化アンチモン (antimony oxide), 炭酸鉛 (lead carbonate), 鉛白 (zinc white), リトポン(lithopone), ジルコン(zircon), コランダム(corundum), スピネル(spinel), リン灰石(apatite), バライト粉(Barytes powder), 硫酸バリウム(barium sulfate), マグネサイト (magnesiter), 黒鉛(carbon black), ドロマイト(dolomite), 炭酸カルシウム(calcium carbonate), タルク(talc)及び 水和性であるか否かを問わずAl, Cr 又は Fe及び CO3 及び/又はHP04を持つMg, Ca, 又は Znイオンの ヒドロタルサイト化合物 (hydrotalcite compound); 石英粉末(quartz powder), 炭化マグネシウム塩化水素(hydrochloric magnesium carbonate), ガラス繊維(glass fibers), 粘土(clays), アルミナ (alumina), 及び他の金属の酸化物及び炭化物(metal carbonates),金属の水酸化物(metal hydroxides), クロム(chrome), リン及び臭素系の難燃剤(brominated flame retardants), 三酸化アンチモン (antimony trioxide), シリカ(silica), シリコン(silicone), 及びそれらのブレンドを含む。
これらの充填剤は特に、その技術分野で知られる他の充填剤、多孔性充填剤及び担持体を含むこともあり、ある実施の形態においては、本発明のNFPはポリオレフィンに加えられる前に、充填剤と事前に接触させられ、又はそれらの充填剤に吸収させられることもある。
好ましい充填剤、空洞化剤(cavitating agent)及び/又は核剤(nucleating agent)には、二酸化チタン、炭化カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、二酸化シリコン、黒鉛、砂、ガラス玉、鉱物骨材(mineral aggregate)、タルク、粘度等を含む。
詳説すると、本発明のある実施の形態においては、NFP、又はNFPのある部分は、充填剤、望ましくは多孔性充填剤とブレンドされることもある。NFPと充填剤は,例えば、タンブラー又は他の湿ったブレンド機器でブレンドされることもある。本実施の形態においては、NFPと充填剤は、NFPと充填剤が均一な組成物を作り上げるのに適当な時間ブレンドされ、ある実施の形態においては、1分から5時間が望ましい。このNFP/充填剤のブレンドは、その後、ポリオレフィンに可塑性を与えるために、本発明で有用なポリオレフィンとブレンドされることもある。他の実施の形態においては、多孔性充填剤は、充填剤をポリオレフィンと接触させる以前に、NFP、又はその一部と接触させられることもある。他の実施の形態においては、多孔性充填剤、ポリオレフィン及びNFPは同時に(又は、同じブレンド装置において)接触させられることもある。いずれにしてもNFPは組成物の0.1重量%から60重量%で存在し、他の実施の形態においては0.2重量%から40重量%で存在し、更に他の実施の形態において0.3重量%から20重量%で存在することもある。
脂肪酸塩は又、本発明のポリオレフィン組成物に存在することもある。その様な塩はある実施の形態においては、組成物の0.001重量%から1重量%で存在し、更に他の実施の形態においては0.01重量%から0.8重量%で存在することもある。脂肪酸金属塩の例には、ラウリン酸(lauric acid)、ステアリン酸、(stearic acid)、コハク酸(succinic acid)、 乳酸ステアリル (stearyl lactic acid), 乳酸(lactic acid), フタル酸 (phthalic acid), 安息香酸(benzoic aid )、 ヒドロオキシステアリン酸 (hydroxystearic acid), リシノール酸 (ricinoleic acid), ナフテン酸 (naphthenic acid), オレイン酸(oleic acid), パルミチン酸(palmitic acid), 及びエルカ酸 (erucic acid)を含み、 好ましい金属にはLi, Na, Mg, Ca, Sr, Ba, Zn, Cd, Al, Sn, Pb 等を含む。好ましい脂肪酸は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛及びオレイン酸マグネシウムから選択される。
ある実施の形態においては、本発明により生産される可塑性ポリオレフィンは、これに限定されるものではないが、熱可塑性ポリマー、及び/又はエラストマーを含む一以上の他のポリマーとブレンドしても良い。
「熱可塑性ポリマー」(thermoplastic polymer)とは、熱により溶融し、そして冷却することができ、その場合その特性に明白な変化を起こすことのないポリマーをいう。熱可塑性ポリマーは通常、これに限定されるものではないが、ポリオレフィン(polyolefins)、ポリアミド(polyamides)、ポリエステル(polyesters)、ポリカーボネート(polycarbonates)、ポリスルフォン(polysulfones)、ポリアセタル(polyacetals)、ポリラクトン(polylactones)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(acrylonitrile-butadiene-styrene resins)、ポリフェニレン オキサイド(polyphenylene oxide)、ポリフェニレン サルファイド(polyphenylene sulfide)、スチレン アクリロニトリル 樹脂(styrene- acrylonitrile resins)、スチレン無水マレイン酸(styrene maleic anhydride)、ポリイミド(polyimides)、芳香ポリケトン(aromatic polyketones)、又は上記の2以上の混合物を含む。
好ましいポリオレフィンは、これに限定されるものではないが、一以上の直線状、枝分かれ、又は環状のC2からC40のオレフィンを含むポリマー、好ましくは一以上のC3からC40のオレフィン、好ましくは、C3からC20のアルファオレフィン、より好ましくはC3からC10のアルファオレフィンと共重合しているプロピレンを含むポリマーが良い。より好ましいポリオレフィンは、これらのエチレンに限定されるものではないが、C3からC40のオレフィン、好ましくはC3からC20のアルファオレフィン、より好ましくはプロピレン及び/又はブテンと共重合しているエチレンを含むポリマーを含むのが良い。ポリマーもこれらのポリマーに限定されるものではない。
エラストマーは、ASTM D1566に規定されるものを含む、全ての天然及び合成ゴムを含む。好ましいエラストマーの例には、これに限定されるものではないが、エチレンプロピレンゴム (ethylene propylene rubber)、エチレン プロピレン ジエン モノマーゴム (ethylene propylene diene monomer rubber)、スチレン ブロック コポリマーゴム (styrenic block copolymer rubbers)(SI, SIS, SB, SBS, SIBS等を含む、ここでS=スチレン、I=イソブチレン、及びB=ブタジエンである)、ブチル ゴム(butyl rubber)、ハロブチルゴム(halobutyl rubber)、イソブチレン及びパラ−アルキルスチレンのコポリマー(copolymers of isobutylene and para-alkylstyrene)、イソブチレン及びパラ−アルキルスチレンのハロゲン化したコポリマー(halogenated copolymers of isobutylene and para-alkylstyrene)、天然ゴム(natural rubber)、ポリイソプレン(polyisoprene)、アクリロニトリルーブタジエン コポリマー(copolymers of butadiene with acrylonitrile)、ポリクロロピレン(polychloroprene)、アルキル アクリレートゴム(alkyl acrylate rubber)、塩素化イソプレンゴム(chlorinated isoprene rubber)、アクリロ二トリル塩素化イソプレンゴム(acrylonitrile chlorinated isoprene rubber)、ポリブタジエン ゴム(polybutadiene rubber)(cis 及びtrans共に)を含む。
他の実施の形態においては、NFPを含むブレンドは更に以下の一以上と組み合わせても良い:すなわち、ポリブテン、酢酸エチレンビニル、低密度ポリエチレン(密度0.915から0.935 g/cm3未満)、直線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン(密度0.86から0.90 g/cm3未満)、極低密度ポリエチレン(密度0.90から0.915 g/cm3未満)、中密度ポリエチレン(密度0.935から0.945g/cm3未満)、高密度ポリエチレン(密度0.945から0.98 g/cm3未満)、酢酸エチレンビニル、 (ethylene vinyl acetate), エチレン メチル アクリレート(ethylene methyl acrylate), アクリル酸のポリマー (copolymers of acrylic acid), ポリメチルメタアクリレート (polymethylmethacrylate) 又は他の高圧自由ラジカルプロセス(high-pressure free radical process)により重合される全てのポリマー、,塩化ポリビニル(polyvinylchloride), ポリブテンー1(polybutene-1),アイソタクチック ポリブテン(isotactic polybutene), ABS樹脂 (ABS resins), エチレンプロピレンゴム(ethylene-propylene rubber (EPR))、 加硫EPR (vulcanized EPR)、 EPDM, ブロックコポリマー(block copolymer), スチレン ブロックコポリマー(styrenic block copolymers)、ポリアミド (polyamides) , ポリカーボネート(polycarbonates) , PET樹脂(PET resin), 交差結合ポリエチレン(crosslinked polyethylene) , エチレン及びビニルアルコールのポリマー(copolymers of ethylene and vinyl alcohol (EVOH)), 及びポリスチレン(polystyrene) , ポリ−1 エステル(poly-1 esters), ポリアセタール(polyacetal), フッ化ポリビニリジン(polyvinylidine fluoride) , ポリエチレングリコール(polyethylene glycols) 及び/又はポリイソブチレン(polyisobutylene)の様な芳香族モノマーのポリマー(polymers of aromatic monomer)である。
好ましいポリマーはExxon Chemical Company、Baytown, Texas からEXCEED 及び EXACTの商標名で入手可能なものを含む。
他の実施の形態においては、粘着付与剤(tackifier)は本発明の可塑性ポリオレフィンとブレンドしても良い。有用な粘着付与剤の例には、これに限定されるものではないが、以下を含む: 脂肪族炭化水素樹脂(aliphatic hydrocarbon resin)、芳香族変性脂肪族炭化水素樹脂、(aromatic modified aliphatic hydrocarbon resins), 水素化 ポリシクロペンタジエン 樹脂 (hydrogenated polycyclopentadiene resin), ポリシクロペンタジエン 樹脂 (polycyclopentadiene resin), ガム ロジン(gum rosin), ガム ロジン エステル (gum rosin ester), ウッド ロジン(wood rosin), ウッド ロジン エステル(wood rosin ester), トール オイル ロジン(tall oil rosin), トール オイル ロジン エステル (tall oil rosin ester), ポリテルペン (polyterpene), 芳香族変性ポリテルペン (aromatic modified polyterpene), フェノール性テルペン(terpene phenolic), 芳香族変性水素化 ポリシクロペンタジエン 樹脂 (aromatic modified hydrogenated polycyclopentadiene resin), 水素化脂肪族樹脂 (hydrogenated aliphatic resin), 水素化脂肪族芳香族樹脂 (hydrogenated aliphatic aromatic resin), 水素化テルペン (hydrogenated terpene) 及び変性テルペン(modified terpene) 及び 水素化ロジン エステル(hydrogenated rosin ester)である。
ある実施の形態においては、粘着付与剤は水素化されている。他の実施の形態においては、粘着付与剤は非分極である(非分極(non-polar)とは、粘着付与剤が極性群(polar groups)を持つモノマーを実質的に含まないことをいう。好ましくは極性群が存在しない、もし存在したとしても、好ましくは5重量%を超えて存在しない、好ましくは2重量%を超えて存在しない、更に好ましくは0.5重量%を超えて存在しないのが良い)。ある実施の形態においては、粘着付与剤は80℃から140℃までの間で、好ましくは100℃から130℃までの間の軟化点(softening point)(リング及びボール(Ring and Ball), ASTM E-28により測定)を持つのが良い。粘着付与剤は、もし存在する場合は、ブレンドの重量ベースで通常約1重量%から約50重量%まで存在し、より好ましくは10重量%から40重量%、更に好ましくは20重量%から40重量%で存在するのが良い。しかし、好ましくは粘着付与剤は存在しないのが良く、もし存在するとしても10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満であるのが良い。
詳説すると、本発明のポリオレフィン組成の構成材は可塑性ポリオレフィンを形成するいかなる適当な方法によりブレンドしても良く、この可塑性ポリオレフィンは更に有用な製品に加工されるのに適している。本発明のある特徴として、ポリオレフィンとNFPは押出し機又はバッチミキサー等の装置でブレンド、又は溶融ブレンドされる。ポリオレフィンは又、タンブラー、ダブルコーン ブレンダー、リボンブレンダー又は他の適当なブレンダーを用いてNFPとブレンドしても良い。更に他の実施の形態においては、ポリオレフィンとNFPは、例えば、タンブラーで、続いて押出し機により溶融ブレンドするという組合せによりブレンドされる。ポリプロピレンの押出し技術については、例えば、更に詳細にPLASTICS EXTRUSION TECHNOLOGY 26-37 (Friedhelm Hensen編、Hanser Publishers 1988) 及び POLYPROPYLENE HANDBOOK 304-348 (Edward P. Moore, Jr. 編, Hanser Publishers 1996)に記載されている。
更に詳説すると、本発明のポリオレフィン組成物の構成材は可塑性ポリオレフィンを形成するどの様な適当な方法によっても、両方の構成材を極めて大量に溶融する溶媒を用いて溶液中でブレンドすることができる。ブレンドはNFP及びポリオレフィンが溶液中に溶解できる温度、又は圧力であればどの様なものでも可能である。好ましい条件は、例えば、ポリオレフィンの融解点より更に20℃以上、好ましくは40℃以上の高温でのブレンドを含む。例えば、iPPは通常200℃以上、好ましくは220℃以上でNFPと溶融される溶液である。この様な溶液ブレンドは、ポリオレフィンが溶液プロセスで製造され、NFPが他のブレンド工程において乾燥したポリマーに加えられるよりは、直接に終了工程に加えられる点が特に有益である。又その様な溶液ブレンドは、ポリマー及びNFPの両方がモノマーで溶融可能である、バルク又は高圧プロセスで製造される場合には特に有益である。溶液プロセスの場合と同様に、NFPは他のブレンド工程において乾燥したポリマーに加えられ一緒にされるよりは、直接に終了工程に加えられる。
本発明の使用に適したポリオレフィンは、本発明のNFPとのブレンドに用いられる場合は如何なる物理的形状もとりうる。ある実施の形態においては、重合反応器から分離されるポリマーの顆粒と定義される反応器顆粒が、本発明のNFPのブレンドに使用される。反応器顆粒は平均直径が10μm から5mmであり、他の実施の形態においては、 50μmから10mmである。代替的に、ポリオレフィンは、反応器顆粒を溶融押出しして形成した、例えば、平均直径が1mm から6mmのペレットの形であることもある。
NFPをポリオレフィンとブレンドする一つの方法として、ポリオレフィンが反応器顆粒の形を持つ場合、構成材をタンブラー中で接触させることである。これは特にポリプロピレン ホモポリマー及びランダムコポリマーによる場合に有効である。これに続いて、もし望む場合は、押出し機により溶融ブレンドさせることもできる。構成材をブレンドする他の方法としては、ポリオレフィン ペレットを押出し機又はブラベンダー(Brabender)において直接NFPと溶融ブレンドすることである。
この様に、成形プロセスは原料の再溶融及び混合を含んでいるため、種々の製品の射出成形においては、ペレットによる単純な固体状態のブレンドは、生のポリマー顆粒、又はペレットと顆粒の、又は二つのペレット構成材のペレットの形での溶融した状態でのブレンドと同様に有用である。しかしながら、医療機器の圧縮成形のプロセスでは、溶融構成材の混合は殆んど起こらないためペレットの形の溶融ブレンドが、構成ペレット及び/又は顆粒の簡単な固体状態でのブレンドよりも好ましいであろう。当業者であれば、構成材成分の良好な混合の必要性と、プロセスでの必要コストを比較考慮し、ポリマーのブレンドのための適当な手順を決定できるであろう。
応用
本発明で生成された可塑性ポリオレフィンは、以下のような適当な方法により処理、加工することができる;カレンダー加工し、鋳造し、被覆し、混合し、押し出し、発泡させ、ラミネート加工し、ブロー形成、圧縮成形、射出成形、熱成形、トランスファー成形、鋳造成形、回転成形し、フィルム状のものの鋳造、繊維状のものの紡ぎ又は溶融による結合、又は例えば、PLASTICS PROCESSING (Radian Corporation, Noyes Data Corp. 1986)に記載の様な、他の形のプロセスにより処理・加工しても良い。より詳細には、ブレンドを作り出す物理的なプロセスに関して言えば、最終製品に転換される前に均一なブレンドが確実に作り出される様に十分に混合する必要がある。
本発明の組成物 (及び上に述べたそのブレンドは)、どの様な公知の熱可塑性プラスチック又はエラストマーに応用しても良い。その例には、成形部品、フィルム、テープ、シート、管類、ホース、シート部材、針金及び電線の被覆、粘着剤、靴底、バンパー、ガスケット、蛇腹(bellows)、フィルム、繊維、弾力繊維、不織布、スパンボンド不織布、シーリング材、手術用着及び医療機器を含む。
これらの機器はポリオレフィンを成形するどの様な有用な成形手段により作り、又は成形することが出来るであろう。これには、ラミネート、プルトルジョン(pultrusion)、突き出し(protrusion)、引張り縮減(draw reduction)、回転成形、スピン結合(spinbonding)、溶融紡績(melt spinning)、溶融吹き込み(melt blowing)、又はこれらの組合せによる形成方法のみならず、少なくとも圧縮成形、射出成形、ブロー成形、及びトランスファー成形、フィルムブロー、又は鋳造、押し出し、及び熱成形を含む。少なくとも熱成形又はフィルムに応用することは、放射線耐性材料の一軸、又は二軸配向から得られる利益を生かし、又はそれから派生する利益を生かすことが出来る。
接着剤
本発明のポリマー又はそのブレンドは、単独で、又は粘着付与剤と組み合わせて、放射線耐性を持つ接着剤として用いることができる。好ましい粘着付与剤は上で述べたとおりである。粘着付与剤は通常、ブレンドの重量に対して、約1重量%から約50重量%で存在し、より好ましくは約10重量%から約40重量%、更に好ましくは、約20重量%から約40重量%で存在するのが良い。上で述べた様に、他の添加物も加えても良い。
本発明の放射線耐性を持つ接着剤は、これに限定されるものではないが、以下のものを含むどの様な接着剤としても応用することができる。すなわち、使い捨て用、梱包、ラミネート、加圧接着剤(pressure sensitive adhesive)、テープラベル、木の接着、紙の接着、不織布、道路マーキング、ミラーコーティング等である。好ましい実施の形態においては、本発明の接着剤は使い捨てオムツ、及びナプキンの枠組み構造、使い捨て製品の弾性付属品、改造、梱包、ラベル、製本、木工技術、及びその他組み立て作業に応用することが出来る。特に好ましい応用例としては、ベビーオムツの脚部用ゴム、オムツ前部テープ、オムツ脚部のすそ折り返し、オムツの枠組み構造、オムツのコアーの安定材料、オムツの液体搬送層、オムツ外部カバーラミネーション、オムツ折り返し弾力部ラミネーション、女性用ナプキンのコアーの安定材料、女性用ナプキンの接着部帯、工業用フィルター接着剤、工業用フィルター材料のラミネーション、フィルターマスクラミネーション、手術用着ラミネーション、厚手の手術用着ラミネーション、及び消耗品の梱包を含む。
フィルム
上に述べた組成物及びそのブレンドは単層、又は多層のフィルム状に作られることもある。これらのフィルムはその技術分野で知られている従来技術の何れによって成形しても良く、これには押し出し、共押し出し、押し出しコーティング、ラミネーション、ブローイング、及び鋳造を含む。フィルムは、フラットフィルム又は管状プロセスによっても得ることができ、その後にフィルム面において一軸方向、又は相互に直交する二方向に配向(orientation)することもある。フィルムの一以上の層が横軸及び/又は縦軸方向に、同一又は異なる程度において配向されることもある。この配向は個々の層が一緒にされる前、又は後に起きることもある。例えば、ポリエチレン層は、配向されたポリプロピレン層上に押し出し被覆し、又はラミネートすることができ、又はポリエチレン及びポリプロピレンはその時に配向されたフィルムに共押し出しすることができる。同様に、配向されたポリプロピレンは、配向されたポリエチレンにラミネートすることができ、又は配向されたポリエチレンはポリプロピレンを被覆することができ、そして任意的にその組合せは更に配向されることもありうる。
通常フィルムは流れ方向(Machine Direction、(MD))に、15までの比率で配向され、好ましくは5から7で配向されるのが良く、そして横断方向(Transverse Direction,(TD))に15までの比率で配向され、好ましくは7から9で配向されるのが良い。しかし、他の実施の形態においては、フィルムはMD及びTDの両方向に同じ程度に配向される。
他の実施の形態においては、本発明の可塑性ポリオレフィン組成 (及び/又はそのブレンド)を含む層は、他の一以上の層と組み合わされることもある。他の一以上の層は通常、多重層フィルム構造に含まれるどの層であっても良い。他の一以上の層は、例えば、:
1. ポリオレフィン
好ましいポリオレフィンには、C2からC40 のオレフィンのホモポリマー、又はコポリマーを含み、好ましくはC2からC20 のオレフィン、好ましくは、アルファオレフィン及び他のオレフィン、又はアルファーオレフィンのコポリマーであるのが良い(本発明の目的との関係では、エチレンはアルファーオレフィンである)。好ましくは、ホモポリエチレン、ホモポリプロピレン、エチレン及び/又はブテンと共重合したプロピレン、一以上のプロピレン、ブテン又はヘキセン、及び任意選択的にジエンと共重合したエチレンが良い。好ましい例には、超低密度のポリエチレン、極低密度のポリエチレン、直線状の低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度のポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アイソタクチック ポリプロピレン、高度にアイソタクチック ポリプロピレン、シンジオタクチック ポリプロピレン、プロピレン及びエチレン、及び/又はブテン及び/又はヘキセンのランダム コポリマー、エチレン プロピレンゴム、エチレン プロピレン ジエン モノマーゴム、ネオプレンの様なエラストマー、例えば、熱可塑性エラストマー及びゴム強化プラスチックの様な熱可塑性ポリマー及びエラストマーのブレンドを含む。
2.極性ポリマー
好ましい極性ポリマーには、ホモポリマー、及びエステル、アミド、酢酸塩、無水物のコポリマー、酢酸塩、無水物、エステル、アルコール、及び/又はアクリルの様な一以上の極性モノマーを持つエチレン及び/又はプロピレン及び/又はブテンのようなC2 からC20のオレフィンのコポリマーを含む。好ましい例には、ポリエステル、ポリアミド、エチレンビニル酢酸コポリマー、及び塩化ポリビニルを含む。
3.好ましいカチオンポリマーには、ジェミナル(geminally)に2基置換したオレフィン、アルファーヘテロ原子 オレフィン及び/又はスチレンモノマーのコポリマーを含む。好ましいジェミナルに2基置換したオレフィンには、イソブチレン、イソペンテン、イソへプテン、イソへキサン、イソオクテン、イソデセン、及びイソドデセンを含む。好ましいアルファーヘテロ原子 オレフィンには、ビニル エーテル、及びビニル カルバゾールを含み、好ましいスチレンモノマーには、スチレン、アルキルスチレン、パラアルキルスチレン、アルファーメチルスチレン、クロロスチレン、及びブロモ−パラ−メチル スチレンを含む。好ましいカチオンポリマーの例にはブチルゴム、パラ−メチル スチレンと共重合したイソブチレン、ポリスチレン、及びポリ−アルファーメチルスチレンがある。
4.その他
他の好ましい層には、紙、木、厚紙、金属、金属箔(アルミフォイル及びスズフォイルの様な)、金属化した表面、ガラス(酸化ケイ素をフィルム表面に蒸着させたケイ素の酸化物(SiO.X)被覆を含む)、繊維、スパンボンド繊維、及び不織布(特にポリプロピレン スパンボンド繊維又は不織繊維)及びインキ、染料、色素等により被覆された基質であっても良い。
フィルムは使用用途により厚さが異なることもあるが、通常フィルムの厚さが1から250μmであるものが適している。梱包に用いられるフィルムの厚さは、通常10から60ミクロンである。シーリング層の厚さは通常0.2から50μmである。フィルムの内側及び外側の両方にシーリング層を設けても良く、又はシーリング層は内側又は外側のいずれか一方のみであっても良い。
ブロック、粘着防止剤、抗酸化物質、色素、充填材、加工助剤、紫外線安定剤、中和剤、潤滑剤、界面活性剤、及び/又は核剤は又、フィルムの一以上の層中に存在しても良い。好ましい添加剤には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)、タルク、染料、ワックス、カルシウム ステラート(calcium state)、黒鉛、低分子量樹脂及びガラス玉を含む。
他の実施の形態においては、一以上の層がコロナ処理、電子線照射、ガンマ線、又はマイクロ波照射により修飾を受けることもある。好ましい実施の形態においては、一または両方の表面層がコロナ処理により修飾される。
本発明に記載されるフィルムは又、ポリマー及び樹脂の重量に対し、5から60重量%の炭化水素樹脂を含むこともある。樹脂はシール層のポリマーと組み合わされることもあり、又はコアー層のポリマーと組み合わされることもある。樹脂は好ましくは約100℃以上の軟化点を持ち、更に好ましくは130℃から180℃の軟化点を持つのが良い。好ましい炭化水素樹脂は上に記したものを含む。炭化水素樹脂を含むフィルムは、同一又は異なる程度において一軸又は二軸方向に配向されることもある。
成形される製品
上に述べた可塑性ポリオレフィン組成物は又、本発明の放射線耐性のある成形製品を作るためどの様な成形プロセスを使用しても良く、これらに限定されるものではないが、以下のものを含む:射出成形 (injection molding)、ガス使用射出成形 (gas-assisted injection molding)、押し出しブロー成形(extrusion blow molding)、射出ブロー成形 (injection blow molding)、射出延伸ブロー成形 (injection stretch blow molding)、圧縮成形 (compression molding)、回転成形(rotational molding)、発泡成形 (foam molding)、熱成形(thermoforming)、シート押し出し(sheet extrusion)、及び異形押し出し(profile extrusion)である。成形プロセスはその技術分野の当業者に周知である。
本明細書に記載の組成物は、その技術分野で知られている適当な方法によって所望の最終製品に形作られる。熱成形(thermoforming)、真空成形(vacuum forming)、ブロー成形(blow molding)、回転成形(rotational molding)、スラッシュ成形(slush molding)、トランスファー成形(transfer molding)、ウエット 積み上げ又はコンタクト成形(wet lay-up 又は contact molding)、鋳型成形(cast molding)、冷間マッチドダイ成形(cold forming matched die molding)、射出成形、(injection molding)、噴霧技術(spray techniques)、異形共押し出し(profile co-extrusion)又はこれらの組合せが通常使用される方法である。
熱成形は,少なくとも一つの柔軟性のあるプラスチックシートを所望の形状に成形するプロセスである。ある熱成形の手順の実施の形態は、本明細書に記載されるが、これは本発明の組成物にのみ有用な熱成形方法であると限定して解してはならない。まず、本発明の組成を持つ押し出しフィルム(及び他の如何なる層、又は材料も)は、加熱する間にそれを保持するシャトル棚に置かれる。シャトル棚はフィルムが成形される前に予熱をする炉に入る。フィルムが加熱されると、シャトル棚は成形工具のあるところに戻る。フィルムはその後、それを保持させるために成形工具に真空で密着させ、そして成形工具が閉じられる。成形工具は、「雄」タイプ又は「雌」タイプの何れであっても良い。工具はフィルムを冷却するために閉じたままに置かれ、その後開かれる。成形されたラミネートは工具から取り除かれる。
シート材料が熱成形温度、通常は140℃から185℃又はそれ以上に達したら、熱成形が、真空、プラスの空気圧(positive air pressure)、プラグ使用の真空成形、又はこれらの組合せ及び変形の手段により達成される。特に大型の部品については材料分布を向上させるために予備伸張バブル ステップが用いられる。ある実施の形態においては、連動ラック(articulating rack)が、雄の成形工具にあるオリフィスによる真空を利用して、加熱されたラミネートを雄の成形工具に向けて持ち上げる。ラミネートが雄の成形工具にしっかりと固定されたら熱成形されたラミネートは、通常、ブロワーにより冷却される。プラグ使用成形は、通常小型の深絞り部品の製造に用いられる。プラグ材、デザイン及びタイミングが最適のプロセスを実現するために決定的な要因となりうる。絶縁発泡体からなるプラグは、プラスチックの冷却が早まるのを防ぐ。プラグの形状は普通モールドの空洞(mold cavity)に類似しているが、より小型で、部分の詳細がない。丸いプラグ底は、通常、材料の均一な分布及び均一な壁厚の成形を助ける。ポリプロピレンの様な半結晶性ポリマーでは、プラグスピードが速いことにより通常その部品の最良の材料分布を実現する。
成形されたラミネートはその後モールドで冷却される。モールドの温度が30℃から65℃になるように十分冷却するのが望ましい。ある実施の形態においては、取り出す前の部品の温度は90℃から100℃以下である。熱成形中の良好な動態を得る為にはメルトフローレートの極めて低いポリマーが望ましい。成形されたラミネートは、その後余分部分のラミネート材を取り除き仕上げされる。
ブローモールディングは他の適当な成形手段であり、それには射出ブローモールディング、多層ブローモールディング、押し出しブロー成形、及び延伸ブロー成形(stretch blow molding)を含み、例えば、ガスタンク、及び他の液体用コンテナーの様な実質的に閉じた、又は空洞を持つものの成形に特に適している。
ブローモールディングについては、例えば、CONCISE ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING 90-92 (Jacqueline I. Kroschwitz編, John Wiley & Sons 1990)に更に詳細が記載されている。
成形及び形状を作るプロセスの他の実施の形態においては、異形共押し出し(profile co-extrusion) を用いることができる。異形共押し出しプロセスの各パラメータについては、金型の温度(二重ゾーンのトップ及び底)の幅が150℃から235℃であり、フィードブロック温度が90℃から250℃、及び水冷却タンクの温度が10℃から40℃であることを除いては、上記のブローモールディングの場合と同じである。
射出成形(Injection molding)プロセスのある実施の形態は以下の通りである。成形されたラミネートが射出成形工具に置かれる。モールドは閉じられ、そして基材はモールドに射出される。ある実施の形態においては、基材は200℃から300℃の溶融温度、及び、他の実施の形態においては215℃から250℃の溶融温度を持ち、そして2から10秒の射出速度でモールドに射出される。射出後、材料は寸法的に、及び美観を適正なものとするため、梱包され又はあらかじめ決められた時間及び圧力で保たれる。標準的な時間は5から25秒,圧力は1,380kPaから10,400kPaである。基材を冷却するためにモールドは10℃から70℃の間で冷却される。この温度は所望する光沢及び外観によって異なる。標準的な冷却時間は、部品の厚さによるが、10から30秒である。最後にモールドは開かれて、成形された合成製品が取り出される。
同様に、モールドされる製品は、溶融したポリマーを望む形と厚さを持つモールド製品に成形し、そして凝固させるモールドに溶融したポリマーを射出して製作しても良い。シートは金型を用い実質的に平板な異形を冷やしたロールに押し出し、又は代替的にカレンダー加工(calender)により製造することができる。シートは更にかなり厚いこともあることもあるが、通常10ミルから100ミル(254μmから2540μm)の厚さを持つと考えられる。管類(tubing)とパイプは,医療用、飲料水用、土地の排水用等の用途に用いるため異形押し出しにより作ることもある。異形押し出しは金型より溶融ポリマーを押し出すプロセスを含む。押し出された管類又はパイプは、冷水又は冷却用空気によって凝固させて、連続的に押し出された製品にする。管類は通常外径が0.31cmから2.54cmの範囲で、254μcmから0.5cmの範囲の壁厚を持つ。
パイプは、通常外径が2.54 cmから254cmの範囲で、0.5cmから15cmの範囲の壁厚を持つ。本発明のある実施の形態における製品から作られるシートは、コンテナーを成形するために用いることができる。その様なコンテナーは、熱成形、固体相加圧成形、スタンピング、及び他の形状成形技術により成形しても良い。シートは又、床、壁又はその他の表面被覆材として成形されることも有る。
熱成形プロセスのある実施の形態においては、炉の温度は160℃から195℃の間であり、炉中にある時間は10から20秒、金型温度は、通常雄金型で10℃から71℃の間である。冷却され(室温)、成形加工されたラミネートの最終厚さは、ある実施の形態においては10μmから6000μmであり,他の実施の形態においては200μmから6000μmであり,更に他の実施の形態においては250μmから3000μmであり,又更に他の実施の形態においては、500μmから1550μmであり,好ましい範囲はこれら上限数値のいずれかと、下限数値のいずれかを組合せたものの何れでも良い。
ある実施の形態における射出成形プロセスでは、形状加工されたラミネートを含み、工具に射出成形される基材は、ある実施の形態においては、基材の溶融温度は230℃から255℃の間であり、他の実施の形態においては、235℃から250℃の間であり、充填時間は、ある実施の形態においては2から10秒であり、他の実施の形態においては2から8秒であり、工具の温度は,ある実施の形態においては25℃から65℃の間であり、他の実施の形態においては27℃から60℃の間である。望ましい実施の形態においては、層の間を接着させるために基材の温度はあらゆる結合層(tie-layer)材料又は裏打ち層(backing layer)を溶融させるのに十分なほどに高温である。
更に本発明の他の実施の形態においては、本発明の組成物はブローモールディング操作により基材に固定されることもある。ブローモールディングは、燃料タンク、及び他の液体用コンテナー、遊戯設備、アウトドアー備品、及び小さな閉じられた構築物の様な閉じられた製品を作る様な場合に特に適している。
このプロセスのある実施の形態においては、本発明の組成物は多層ヘッドにより押し出し、その後冷却されていないラミネートをモールドのパリソン(parison)に入れる工程が続く。内部に雄又は雌の型の何れかを備えたモールドは、その後閉じられて、部品を成形するために空気がモールドに吹き込まれる。
上記で概観した各ステップは、どの製品を望むかにより異なって来ることは当業者であれば理解するであろう。例えば、本発明の組成物により押し出されたシートは、冷却ステップを跳び越して、冷却されることなく直接熱成形、又はブロー成形しても良い。他のパラメターも又、望ましい特徴を持つ最終合成された完成品を作るために変えることもある。
不織布及び繊維
上に述べた可塑性ポリオレフィン組成物は、又放射線耐性の不織布及び繊維を作るために、これに限定されるものではないが、溶融吹き込み(melt blowing)、スパンボンディング法、フィルム開口法(film aperturing)及び短繊維梳綿法(staple fiber carding)を含み、どの様な不織布及び繊維を作るプロセスにも用いることができ、好ましくは、連続長繊維法、又はスパンボンディング法を用いるのが良い。スパンボンディングは一般的にスピナレット(spinneret)を通して繊維を押し出すことを含む。これらの繊維はその後に高速の空気流を用いて引き出し、そしてエンドレスベルト上に置かれる。音波ボンディング、及び圧着ボンディングのような他の技術を用いても良いが、網を加熱し繊維を互いに結合するために通常カレンダーロールが用いられる。
放射線耐性の応用
本明細書に記載の可塑性ポリオレフィン組成物の特性を拡大することにより、放射線耐性が必要とされる場合に種々の応用がある。例えば、料理機器、保存機器、玩具、医療機器、殺菌可能な医療機器、殺菌用コンテナー、不織繊維及び織物(これらから得られる、ドレープ、ガウン、フィルター、衛生関連製品、オムツ及びフィルムを含む)、配向膜(oriented film)、梱包用フィルム(packaging film)、農業用フィルム、シート、箱、コンテナー、梱包用材、電線及びケーブル外皮、パイプ、ジオメンブレン(geomembrane)、スポーツ器具、管類、パイプ、異形材、器具サンプル保持器、及びサンプル窓、アウトドアー備品(例えば、ガーデン用品)及び遊戯用具を含む。これらの製品を生産するための本発明の放射線耐性可塑性ポリオレフィンの加工は、射出成形、押し出し、熱成形、ブローイング、ブロー成形、トランスファー成形、スパンボンディング、溶融ブロー(melt blowing)、紡糸、配向膜の伸張、圧縮成形、トランスファー成形、フィルムブロー、フィルム鋳造、ラミネーション、プルトルジョン(pultrusion)、突き出し(protrusion)、引張り縮減(draw reduction)、回転成形、スピン結合(spinbonding)、溶融紡績(melt spinning)、又はこれらの組合せ、及び他の通常のプロセスにより完成させることができる。少なくとも熱成形又はフィルムへ応用することにより、放射線耐性材料の一軸又は二軸の配向から得られる利益を実現し、及びそれから派生する利益を得ることができる。
好ましい実施の形態においては、本発明の可塑性ポリオレフィン組成物は殺菌可能な製品を作るためのみならず、医療品及び食料品の梱包及び関連分野での応用において有用である。好ましい実施の形態においては、本発明の組成物から得られる放射線耐性の、及び/又は殺菌可能な製品には、保存機器、医療機器、殺菌可能な医療機器、殺菌用コンテナー、不織繊維及び織物(これらから得られる、ドレープ、ガウン、フィルター、衛生関連製品、オムツ及びフィルムを含む)、配向膜(oriented film)、梱包用フィルム(packaging film)、シート、コンテナー、梱包用材、電線及びケーブル外皮、パイプ、管類、医療用チューブ、器具サンプル保持器、及びサンプル窓、培養のためのローラーボトル、及び媒体ボトルのような実験器具を含む。
特に好ましい実施の形態においては、本発明の組成物から得られる放射線耐性の、及び/又は殺菌可能な製品には、血液又は溶液の保存、及び静脈内注射(intravenous,(IV))のためのバッグ、袋及びビンのような液体保存コンテナーの様な製品; 放射線により保存される食料品を包装し、又は収容するためのみならず、単位用量又は他の発泡(blister)又は気泡梱包を含むあらゆる医療機器又は薬剤のための梱包を含む。
特に好ましい実施の形態においては、本発明の組成物から生産される放射線耐性及び/又は殺菌可能な製品には、トレイを含む医療用機器、又は放射線照射される食料品の梱包材料、及び保存液、特に水、ミルク、又はジュース、及び管,パイプ等の移送手段のみならず、単品用及びバルク保存用コンテナーを含むコンテナーに加えて、点滴キット、カテーテル、呼吸器治療を含むあらゆる医療機器のための医療用チューブ、バルブのような製品を含む。
本発明の放射線耐性材料の有用な応用には、以下の食料品梱包材料を含む:フィルム及び自己支持型多層構造(self-supporting structure)であり、1)金属フォイル、2)セルロース材料、3)透明プラスチックフィルム、又はこれらの組合せを含む。これにはもちろんその他の有用な袋、ビン又はハイブリッド型コンテナーのみならず、簡単な梱包用フィルム、気泡又は発泡(bubble or blister)梱包用フィルム、及び「液体ボックス」(liquid box)として知られるコンテナーを製造するための有用な材料を含む。有用な食料用の梱包材料は押し出し、ブロー、ラミネーション、又はこれらの組合せにより成形されても良い。
本発明の放射線耐性材料から作られる好ましい医療用機器は、1)静脈(IV)使用、2)輸送、保存、調剤、又は薬物治療のためのこれらの組合せ、3)外科使用、4)医療試験、5)培養増殖、準備、検査、又はこれらの組合せ、6)実験室での他の作業、又は7)これらの組合せに適したものを含む。その様な医療機器は、1)IVカテーテル、探り針、動脈用「バルーン」の様な拡張機器、又はこれらの組合せ、2)IV液用コンテナー、又は処理機器、IVチューブ、IVバルブ、IV注入ポート、単位用量梱包、注射器、注射器外筒、又はこれらの組合せ、3)ピンセット、外科機器用ハンドル、又は保持器、外科用探り針、キューレット、クランプ又は結束装置、開創器、試料採取器、ガウン、ドレープ、マスク、フィルター、フィルター膜、キャップ、ブーティー(booties)、それらの組合せ、4)検鏡、探り針、開創器、ピンセット、擦過器(scraper),サンプラー、又はこれらの組合せ、5)培養皿、培養ビン、キュベット、塗布スライド(smear slide)、塗布又はサンプルコンテナー、又はこれらの組合せの様なものを含む。更に、本発明の放射線耐性材料を用いて得られる有用な医療用機器の特異な例には、使い捨て及び再使用可能な皮下注射器、特に外筒及びプランジャー部分を含む。これは、もちろん、針基及び針ケースを含む注射器の付属部分のみならず薬剤の包装及び移送のための事前に薬剤を詰めた皮下注射器を含む。これは、又バルブ、カニューレハブ(cannula hub)、コネクター、及びカニューレケースを含む非経口キットのための部品を含む。カテーテルのための部品も又含まれ、特にカニューレハブ、コネクター、及びカニューレケースが含まれる。有用な実験機器には又、真空血液採取用チューブ、及び、針用補助具/保持器を含む付属部品のみならず試験管、培養管及び遠心分離管、及び薬用小瓶、蓋及びシールの様な遮蔽部分を含み製造されることもある。幼児又は身体障害者用の看護機器、及び機器保持機のみならず、スポイト、目薬容器、ピペット及びメモリ付きフィードチューブ、シリンダー、及びビュレットの様な測定機器は又、本発明の実施により有用に作ることができる。
ある好ましい実施の形態においては、上に述べた製品はポリプロピレンと一以上のNFPのブレンドから生産することができる。好ましいプロピレンポリマーを含む好ましいポリマーは、不溶性のへプタンを約88から99%,好ましくは90から97%のレベルで含むポリマーを含む。
他の特に好ましい実施の形態においては、本発明で用いられるプロピレンポリマーはプロピレン及びエチレンのランダムコポリマーであり、そこでエチレンは15重量%(コポリマーの重量に基づく)まで、好ましくは1から10重量%、より好ましくは1.5から5重量%、更に好ましくは2から4重量%であるのが良く、ポリマーはメルトフローレート(MFR)が0.1 dg/分から2500 dg/分の範囲であり、好ましくは0.2 dg/分から500 dg/分の範囲、好ましくは0.3 dg/分から200 dg/分の範囲、好ましくは1 dg/分から100 dg/分の範囲、好ましくは5 dg/分から50 dg/分の範囲であるのが良い。
ある好ましい実施の形態においては、本発明の殺菌される製品には、10,000から400,000 の重量平均分子量を持ち分子量分布(Mw/Mn)が1から9、好ましくは40,000から 300,000の重量平均分子量を持ち分子量分布(Mw/Mn)が1から6、好ましくは50,000から 200,000の重量平均分子量を持ち分子量分布(Mw/Mn)が1から4であるのが良い。
本発明のブレンドから製造される製品は、組成がプロピレンのみによる以外は全く同一の構成とした場合に比べて、高エネルギー放射線による殺菌に曝された場合の変色及び脆化に対して抵抗力が向上していることを示す。
ある実施の形態においては、本発明の組成物は更に放射線耐性特性を増すために添加物とブレンドされる。好ましい添加物の例には、N, N-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)‐1,(N, N- bis (2,2, 6, 6-tetramethyl-4- piperidinyl)-1)、6-ヘキサンジアミン(6-hexanediamine)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)デカンジオエート、(bis (2,2, 6,6-t etramethyl- 4-piperidinyl) decanedioate)の様な2,2,4,4-テトラメチルピペリジン 誘導体(2,2, 4,4-tetramethylpiperidine derivatives)の様なヒンダードアミン系光安定剤(hindered amine light stabilizer (HALS) ) 及びコハク酸ジメチル(dimethyl succinate)の反応物プラス、チバガイギー社から各Chimassorb 944LD, Tinuvin 770、及びTinuvin 622LDの商標名で販売されている、4-ヒドロオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-エタノール)(4- hydroxy-2,2, 6, 6-tetramethyl-1-piperidine-ethanol)を含む。HALSは好ましくは、0.01からの0.5重量%組成で用いられるのが良く、好ましくは0.02からの0.25重量%、最も好ましくは0.03からの0.15重量%で用いられるのが良い。
ある実施の形態においては、更に放射線耐性特性を増すために本発明の組成物は更に添加物とブレンドされる。好ましい添加物の例には、チオジプロピオン酸 エステル(thiodipropionate ester)及び亞リン酸塩(phosphite)タイプの添加剤の様な二次酸化剤を含む。 好ましいチオジプロピオン酸の例には、ジステアリル チオジプロピオン酸(distearyl thiodipropionate (DSTDP))、及びジラウリルチオジプロピオン酸(dilaurylthiodipropionate (DLTDP))があり、これらはDeer Polymer Corporationから購入が可能である。好ましい亞リン酸塩(phosphite)の例には、それぞれCiba-Geigy Corporation からIrgafos 168の製品名で、 General Electric Specialty Chemicals からUltranox 626の製品名で得られる、トリ(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)亞リン酸塩(tris (2,4-di-t- butylphenyl) phosphite)、及び ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリチトール亞リン酸塩(bis (2, 4-di-t-butylphenyl) pentaerythritol diphosphite)がある。このクラスの添加物は任意選択的に、調剤の重量割合で、前記のブレンドに1重量%まで、好ましくは0.01から0.50重量%まで含めても良い。もし使用される場合は、好ましくは、これらは調剤の重量の0.02から0.25重量%、最も好ましくは0.03から0.15重量%の範囲で加えるのが良い。
ある実施の形態においては、更に放射線耐性特性を増すために本発明の組成物は更に添加物とブレンドされる。好ましい添加物の例には、有機核剤(organic nucleating agent)として知られる一般的なクラスの化合物から得られるブレンドに透明性を与える目的で含まれる添加物を含む。このクラスの化学組成物には、これに限定されるものではないが、ベンゾイン及び他の有機酸の塩、部分的にエステル化されたリン酸塩、及びジベンジリデン ソルビトール(dibenzylidene sorbitol)を含む種々のものがある。強力な透明効果を与えるジベンジリデン ソルビトールが好ましい。最も好ましいのは各々Millad 3940及び Millad 3988の商標名でMilliken Chemical Companyから得られるビス-4-メチルメチルベンジリデン ソルビトール(bis-4-methylbenzylidene sorbitol)及びビス-3,4-ジメチルベンジリデン ソルビトール(bis-3,4,- dimethylbenzylidene sorbitol)である。前記材料の組成に含まれる場合、これらの透明化核剤は組成物の重量割合で0.05から1.0重量%、好ましくは0.1から0.5重量%、最も好ましくは0.15から0.35重量%であるのが良い。
上記のすべてのケースにおいて、本明細書に記載された添加物は、ブレンドの主要なポリマー成分、又はブレンドそのものに加えられる追加成分の何れかの部分として本発明のブレンドに組み入れられる。
ある好ましい実施の形態においては、ポリオレフィンはポリプロピレンであり、NFPはPAOであり、そしてブレンドは製品に成形されその後放射線に曝されるものである。本発明のブレンドを含む製品で殺菌レベル量の放射線に曝される製品で、好ましいものとしては、フィルム、シート、繊維、織布、及び不織布、チューブ、パイプ、自動車部品、家具、スポーツ用具、食品保存コンテナー、透明及び半透明製品、玩具、管及びパイプ類、及び医療機器を含む。
本発明の可塑性ポリオレフィンは、ポリマー材料自身として、又は例えば、注射器、又は梱包用フィルムの様な製品としてポリマーを殺菌量の高エネルギー放射線に曝すことにより殺菌することができる。高エネルギー放射線は、電子ビームの様なベータ線、又はコバルト60の様なガンマー線、高エネルギー電子及びX線を含む種々のソースのいずれかより得ることができる。一般的に、殺菌のための放射線の量は0.5から5.0メガラド(MRad)までの水準であり、標準的には1.0から3.5メガラドまでである。10メガラドまでの様なこれより高い線量も使用できるが、通常は必要ないと考えられている。
ある好ましい実施の形態においては、殺菌された製品は、10メガラドまでのガンマ線、またはベータ線により処理をすることにより、同じ放射線の線量を受けたポリプロピレンだけからできている同じ製品に比べて、ガードナ衝撃強度が少なくとも20%大きいことで判る様に放射線耐性が増大しており、好ましくは少なくとも50%大きく、より好ましくは少なくとも100%大きく、より好ましくは少なくとも200%大きく、より好ましくは少なくとも300%大きいのが良い。
ある実施の形態においては、殺菌された製品は10メガラドまでのガンマ線、またはベータ線により処理をすることにより、同じ放射線の線量を受けたポリプロピレンだけからできている同じ製品に比べて、存在する非官能性可塑剤1%当り、少なくとも20%大きいガードナ衝撃強度を示すことで判る様に放射線耐性が増大しており、好ましくは存在する非官能性可塑剤1%当り少なくとも50%大きく、より好ましくは存在する非官能性可塑剤1%当り少なくとも100%大きく、より好ましくは存在する非官能性可塑剤1%当り少なくとも200%大きく、より好ましくは少なくとも300%大きいのが良い。
試験方法
液体の特性
動的粘性(Kinematic Viscosity (KV)) はASTM D445により測定される。 粘度指数(Viscosity index (VI))はASTM D2270により決定される。流動点(Pour Point)は ASTM D97により測定される。数平均分子量(number-average molecular weight (Mn))は"Modern Practice of Gas Chromatography", R. L. Grob 及び E. F. Barry, Wiley-Interscience, 3版 (July 1995)に記載のガスクロマトグラフィー(Gas Chromatography (GC))、又は"Modern Size Exclusion Liquid Chromatographs", W. W. Yan, J. J. Kirkland, 及び D. D. Bly, J. Wiley & Sons (1979)に記載のゲル 浸透 クロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography (GPC))により決定され、又はASTM D 2502により、又はLange's Handbook of Chemistry", 15版, McGrawHillに記載の凝固点降下により見積もられる。平均炭素数(average carbon number) (Cn)はMnから、Cn = Mn/14により計算される。
メルトフローレート
メルトフローレート(Melt Flow Rate (MFR))は断らない限り230°Cで, 2.16 kgの負荷により ASTM D1238により測定される。MFRの単位は“g/10分”でありはこれは “dg/min” に相当する。
機械的特性
室温(23+-2℃)における引張り特性(tensile properties)は、ヤング率(Young's modulus)(又、弾性率(modulus of elasticity)とも呼ばれる), 降伏応力(yield stress) (又 降伏点引っ張り強度(tensile strength at yield)とも呼ばれる), 降伏ひずみ(yield strain) (又、降伏点伸び(elongation at yield)とも呼ばれる), 破断応力(break stress) (又、破断点引っ張り強度(tensile strength at break) とも呼ばれる)、及び破断力(break strain) (又、破断点伸び(elongation at break)とも呼ばれる)を含めてASTM D638により測定された。射出成形の引っ張り強度用棒(bar)は、ASTM D638 Type I 又は Type IV形状(geometry)であり、2インチ/分の速度で試験された。
室温でのたわみ特性は、1%割線係数(secant modulus)を含み2インチ支持スパンを用いてASTM D790Aにより決定した。
ノッチつきアイゾット衝撃強度(Notched Izod impact strength)はASTM D256により室温で測定された。TMI Izod Impact 試験機を用いた。見本は射出成形されたASTM D790「モールド材(熱可塑性プラスチック及び熱硬化性)」(Molding Materials(Thermoplastics and Thermosets))棒を半分に切断したもの、又は射出成形されたASTM D638 Type I 張力棒(tensile bar)の中央を切り取ったもので作った。
室温でのガードナー衝撃強度(Gardner impact strengt)は、ASTM D5420に従い射出成形されたディスク(3.5 インチ直径 x 0.125インチ厚さ)で測定された。
熱偏向温度(heat deflection temperature (HDT))は、ASTM D648に従い、射出成形されたたわみ棒で、66 psi.負荷で測定された。
色彩
色彩は、圧縮成形されたディスクで、Hunter Color Quest XE colorimeter CQX2391 (Hunter Associates Laboratories, Inc.)を用いて測定された。試験は、機器メーカーにより開発された手順に従い、ASTM E 1164を参照して行った。測定は、D/65 発光体(illuminant)(光源(light source))を用い、10度の観察、及び閉鎖位置の端子(port)により測定した。他の色彩スケール及び測定機器もこのタイプの作業に代替使用が可能であり、同様な比較結果を得ることができると考えられる。今回用いたHunter“B”では目盛りは、0.0が純白と考えられる。マイナス値はより青色であり、プラス値はより黄色を示す。
純白からのずれが大きく成るほどHunter“B”目盛りの絶対値は大きくなる。普通、白色のポリマーは黄色がかったポリマーより望ましい。
放出試験(Emission Test)
樹脂中の溶液の耐久性((permanence of a fluid)は、TGA残留(TGA retention)
試験により評価された。サンプルの重量ロスがPerkin-Elmer TGA 7を用いて、窒素雰囲気中で測定された。10milの厚さで、5mg重量の見本が圧縮成形により作られ、そしてサンプル保持器(試験中を通し窒素により浄化される試験室にある)におかれた。試験室の温度はその後大気温から200℃まで、200℃/分の割合で傾斜加熱され、そして200℃が120分間保たれた。時間の経過により重量が変化するのが記録された。120分後樹脂中に残留する溶液のパーセントが% TGA残留率(=(全重量の%ロス)/(当初の溶液の重量割合))((total weight % loss)/ (initial weight fraction of fluid))により決定された。
動的機械的熱分析 (Dynamic Mechanical Thermal Analysis)
ガラス転移温度(glass transition temperature (Tg))は、動的機械的熱分析 (Dynamic Mechanical Thermal Analysis、DMTA)を用いて測定された。この試験はサンプルの微小ひずみ(small-strain)の機械的反応(緩和挙動;(relaxation behavior))に関する情報を、溶融前のガラス転移領域及び粘度―弾性領域(visco-elastic region)を含む温度範囲に亙り温度の関数として提供する。
サンプルは、標準的に3点曲げ構成(three point bending configuration) (TA Instruments DMA 2980)を用いて試験された。固体状の長方形の圧縮成形された棒が二つの固定支持上におかれ、可動クランプにより、サンプルの中央に、1Hz周波数及び20μmの振幅で周期変形が加えられた。サンプルは当初−130℃に冷却され、そして3℃/分の割合で60℃まで加熱された。あるケースにおいては、圧縮成形された棒は他の変形構成を用いて試験された。すなわち、二重片持ち梁曲げ(dual cantilever bending)及び引張伸び (tensile elongation) (Rheometrics RSAII)である。これらの構成による周期変形は、1Hzの周波数及び0.05%の負荷振幅が加えられるものであった。サンプルは−130℃に冷却され、そして2℃/分の割合で60℃まで加熱された。加熱率がわずかに異なっても、ガラス転移温度測定に本質的な影響を与えるものではない。
これらのDMTAの実験の結果により、保存係数(storage modulus)(E')及びロス係数(loss modulus (E"))が収集された。保存係数は弾性反応又は材料のエネルギー保存能力を測定するものであり、ロス係数は、粘性反応又は材料のエネルギー発散能力を測定するものである。TanδはE"/E'の比率であり、そして材料の減衰能力(damping ability)の測定数値を与えるものである。広範囲のガラス転移(β―リラクセーション)の開始はTanδピークに対する挿入接線(extrapolated tangent)として特定される。更に、又、ガラス状から粘性―弾性領域への転移が起きたことを十分に特徴づけるものであるかがピークの温度及びピーク領域の測定により確かめられる。
示差走査熱量測定
結晶化温度(Crystallization temperature) (Tc)及び溶融温度(melting temperature) (Tm)は示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry (DSC))を用いて測定された。
この分析はTA Instruments MDSC 2920 又は Perkin Elmer DSC7.を用いて行われた。標準的方法に従い、6から10 mgの成形されたポリマー又は可塑性ポリマーがアルミニウム皿に封入され、室温で機器に挿入された。溶融データ(最初の加熱)は、サンプルを少なくともその溶融温度より30℃高い温度まで毎分10℃の割合で加熱することにより得られた。これにより、モールド成形されたそのものの配向、又は応力のみならず、熱履歴により影響を受けることのあるモールドされたままの状態での溶融挙動についての情報を得ることができる。サンプルはその後、その熱履歴を消すためにこの温度で10分間置かれた。サンプルを、溶融温度から10℃/分の冷却度により結晶化温度より少なくとも50℃低い温度に冷却することにより結晶化データが得られた。サンプルはそして25℃で10分置かれ、最終的に追加の溶融データを得るために分当り10℃/分の割合で加熱された(第二の加熱)。これにより、参考の熱履歴後の溶融挙動、並びにモールドされたままの状態のものの将来起こりうる配向及びストレスの影響を受けていない情報が得られる。吸熱性溶融転移(最初及び第二の加熱)及び発熱結晶化転移が、転移の開始及びピーク温度について分析された。表に示された溶融温度は、特に断らない限り、第二の加熱によるピークの溶融温度である。複数のピークを示すポリマーではより高いピーク温度が示されている。
曲線の下の領域は、結晶化度(crystallinity)の程度を計算するために用いることのできる融解熱(heat of fusion (ΔHf) )を決定するために用いられた。207 J/gの数値は100%結晶相ポリプロピレンの平衡融解熱として用いられた(B. Wunderlich, "Thermal Analysis", Academic Press,418ページ, 1990から得た)。%結晶化度は次の式を用いて算出した;(曲線の下部の領域(J/g)/207 (J/g)) x100。
ポリマーのサイズ排除クロマトグラフィー
分子量分布は、サイズ排除クロマトグラフィー(Size-Exclusion Chromatography) (SEC)を用いて特徴を表した。分子量(重量平均分子量(weight-average molecular weight、Mw)及び数平均分子量 (number-average molecular weight Mn))は、示差屈折率検出器(differential refractive index detector (DRI))、オンライン光散乱検出器(online light scattering detector)及び 粘度計(viscometer)を備えた高温サイズ排除クロマトグラフ(High Temperature Size Exclusion Chromatograph)(Waters Corporation製又は Polymer Laboratories製の何れか)を用い決定された。
検出計の目盛りの設定を含めて、実験の詳細で以下に述べられていないものは、T. Sun, P. Brant, R. R. Chance, 及び W. W. Graessley, Macromolecules, Volume 34, Number 19,6812-6820, (2001)に記載されている。
Polymer Laboratories の3つのPLgel 10mm Mixed-Bカラムが使用された。名目上のフローレートは0.5cm3/分、名目上の射出容量は300μLであった。種々のトランスファーライン、カラム及び示差屈折計(differential refractometer)(DRI検出器)は135℃に保たれた炉に納められた。
SECの実験のための溶媒は、4リットルのAldrich試薬、グレード1,2,4 トリクロロベンゼン(1,2, 4 trichlorobenzene (TCB))中に抗酸化剤として、6グラムのブチル化ヒドロオキシ トルエン(butylated hydroxy toluene)を溶解させ作った。TCB混合物は、その後0.7μmガラス前置フィルター、及び続いて0.1μmテフロンフィルターを通してろ過された。TCBはその後、SECに入る前に、オンライン脱気剤(degasser)により脱ガスされた。
ポリマー溶液は乾燥ポリマーをガラスコンテナーに入れ、所望の量のTCBを加え、その後混合物を約2時間絶えずかき混ぜながら160℃まで加熱して準備した。数量はすべて重量により計測された。質量/容量単位のポリマー濃度を表すために用いたTCB密度は室温で1.463 g/mlで、135℃で1.324 g/mlである。射出濃度は1.0から2.0mg/mlの範囲であり、低濃度のものが高分子サンプルの生産に用いられた。
各サンプルが投与される前に、DRI検出器及び射出器が洗浄された。機器中のフローレートはその後0.5ml/分の割合で増大され、そして最初のサンプルを射出する前にDRIを8−9時間掛けて安定化させた。LSレーザーはサンプル投与1−1.5時間前に電源が入れられた。
クロマトグラムの各点の濃度、c、は基準値を差し引いたDRI信号、IDRI、から次の式を用いて算出する:
c=KDRIIDRI/(dn/dc)
ここでKDRIはDRIを測定する(calibrate)ことにより決定される定数であり、(dn/dc)は、以下のLS分析に記載されているものと同じものである。このSEC法の記述おいてはパラメータの単位は全て、濃度はg/cm3, 分量はg/モル、固有粘度はdL/gで表される。
使用された光散乱検出器はWyatt Technology High Temperature mini-DAWNである。クロマトグラムの各点でのポリマーの分子量、Mは静的光散乱(static light scattering)Zimmモデルを用いるLS出力を分析して決定される(M. B. Huglin, LIGHT SCATTERING FROM POLYMER SOLUTIONS, Academic Press, 1971):
Ko c/ΔR(θ)=1/MP(θ) + 2Ac
ここでΔR(θ)は散乱角度θに於ける測定された過剰レーリー(Rayleigh)散乱強度であり、cはDRI分析により決定されるポリマー濃度であり、A2は第二ビリアル係数(second virial coefficient)であり、P(θ)は単分散ランダムコイル(monodisperse random coil)の形状因子(form factor)(上記の参照文献に記載されている)であり、そしてKoはシステムの光学定数(optical constant)である:
Ko=2n2(dn/dc)24NA
ここでNAはアボガドロ数、及び(dn/dc)はシステムの屈折率の増加である。TCBの屈折率nは、135℃のTCBでn=1.500及びλ=690nmである。更にプロピレンポリマーに対し、A2=0.0006 であり、ブテンポリマーでは0.0015であり、そしてプロピレンポリマーでは(dn/dc)=0.104であり、ブテンポリマーでは0.098である。
Viscotek Corporationの高温粘度計が使用され、この粘度計は2つの圧力トランスジューサを備えたWheatstoneブリッジ構成に4つの毛細管を配置したものである。トランスジューサの一つは検出計全体の全圧力減を測定し、他のトランスヂューサは、ブリッジの両サイドの間に位置して圧力差を測定する。粘度計を通過する溶液の比粘度ηsは、その通過量から計算する。クロマトグラムの各点での固有粘度[η]は以下の式により算出される:
ηs=c[η]+0.3(c[η])2
ここでcはDRIの測定値から決定される。
枝分かれ指数(branching index) (g')は、SEC-DRI-LS-VIS法の測定値を用いて以下の様に計算される。サンプルの平均固有粘度、[η]avgは以下の式により算出する:
[η]avg=Σcj[η]i/Σcj
ここで、合計値は積分限界の間のクロマトグラフ部分、i, (chromotographic slices, i,)の全体に対するものである。
枝分かれ指数g’は次の通りに定義される:
g’=[η]avg/kMα v
ここでプロピレンポリマーに対し、k=0.0002288及びα=0.705であり、ブテンポリマーに対してk=0.00018及びα=0.7である。MvはLS分析により決定される分子量に基づく粘度平均分子量である。
13C-NMR 分光法
アイソスタチック及びシンジオタクチック ジアッド(diads) ( [m]及び [r] ), トライアッド(triads)( [mm] 及び[rr] ), 及びペンタッド(pentads) ( [mmmm] 及び [rrrr] )の濃度を含むポリマーの微細構造は13C-NMR 分光法により決定された。サンプルはd2- 1,1, 2,2テトラクロロエタン(d2- 1,1, 2,2-tetrachloro- ethane)に溶解された。スペクトルが75又は100MHzのNMR 分光計を用いて125℃で記録された。ポリマーの共振ピークはmmmm = 21. 8 ppmを基準とする。NMRによるポリマーの特性の決定のための計算式はF. A. Boveyの"Polymer Conformation and Configuration"Academic Press, New York 1969 及びJ. Randallの"Polymer Sequence Determination, 13C-NMR Method", Academic Press, New York, 1977に従った。その長さが二つのメチレン配列のパーセント、% (CH2) 2, は以下のように計算された: 14から18ppmの間のメチル炭素の全体(これは長さが、二つのメチレン配列の数のものと濃度において同等である)を、45から49ppmの間の長さが一つのメチレン配列の全体と14から18ppmの間のメチル炭素の全体の合計で割り、100倍する。これは二つ以上の配列に含まれるメチレン基の量に対する最小計算数値である。何故なら二つより大きいメチレン配列は除外されているからである。この課題については、H. N. Cheng及び J. A. Ewen, Makromol. Chem. 1989,190, 1931をベースとした。
処理方法
ブレンド
本発明の組成物は、適当な方法であればどの様な方法によってブレンドしても良い。ポリマー中に可塑剤を十分分散させることのできるものであれば、例えば、静的ミキサー、バッチミキサー、押出し機、又はこれらの組合せであっても良い。混合ステップは、まず、例えば、タンブラ ブレンダーを用いて乾燥ブレンドしても良い。又「マスターバッチ」方法、すなわち、最終可塑剤の濃縮が、純ポリマーを事前により高濃度で準備された適当な量の可塑性ポリマーと組合せることにより実現する方法をとっても良い。拡散は、射出成形機又はブローフィルムラインでの押出し機の様な製品の製造に用いられる処理方法の一部として行っても良い。
可塑性ブレンドのサンプルを作るために二つの一般的方法を用いた。第一の方法は、押出し機による方法(Extruder Method)と呼ぶ方法で、所望の可塑剤及び添加物の濃度で組成物の均一な混合を達成するために、タンブル ブレンダー(tumble blender)中で、ポリマー顆粒又はペレットを、適量の可塑剤及び添加物の一活包装物と「乾燥ブレンド」することを含んでいる。その後ブレンドを、ポリマーの溶融温度より高い適当な押出し温度で押出し機(単軸又は二軸)を用いて混合し且つペレットにした。
第二の方法は、ブラベンダー法(Brabender Method)と呼ぶ方法で、所望の可塑剤の濃度で均一な溶融を達成するために加熱したC. W. Brabender Instruments Plasticorder中で、ポリマーぺレットを可塑剤と混合することを含む。ブラベンダー装置は予備ミキサー(Prep-Mixer)ヘッド (約200 cm3 容量)及びローラブレードを備えていた。運転温度はポリマーの溶融点より高い温度であり、通常180から200℃の範囲であった。ポリマーはまずブラベンダー装置で60RPMで溶融された。その後、攪拌しながら、液が溶融ポリマー中に溜まるのを防ぎながらゆっくりと添加された。ブレンドはその後、窒素により洗浄しつつ60 RPMで5分間攪拌された。ブラベンダー装置が開かれ、そして溶融物は混合ヘッド及びブレードからできるだけ素早く取り除かれ、そして自然に凝固させた。このブレンドはその後射出成形され、ブラベンダー装置から取った材料の小片は、裁断機を用いて更に小片に切断され、Wiley Millを用いて更に小片に粉砕された。
射出成形(Injection Molding)
ASTM D4101に従い、Van Dorn (70 トン)又は Nissei (20 トン)射出成形機を用いて、ASTMファミリーの引張り棒(tensile bar), 曲げ棒(flexure bar)及び衝撃ディスク(impact disk)が成形された。Nisseiの装置を使用したときは、以下のASTM D401からのずれがあった:ASTM D638 Type IV引張り棒(tensile bar), 及びASTM D790 曲げ棒(flexure bars)がモールド温度40℃及び射出時間30秒でモールドされた。
圧縮モールド
典型的な圧縮モールド手順は以下の通りである。モールドされる材料がプラテンが190から200℃で少なくとも5分加熱されたプレスの二つのマイラー(Mylar)シートの間に置かれた。サンプルの圧力及び重量が、フィルムサンプルの厚さが4ミリに近くなる様に調整された。
放射線及び劣化
モールドされた見本は、STERIS Isomedix Services (Morton Grove, IL)により60Co(コバルトー60アイソトープ)による時間当たり約1 MRadのガンマー放射線処理をされた。サンプルを60℃の炉に2−3日置くことにより加速老化処理がなされる。
ブレンド中のNFP容量の決定方法
方法1: 抽出(extraction)
ブレンド中のNFP量を決定する一つの方法はSoxhlet抽出である。この方法は少なくともNFPの大半が還流n-ヘプタンにより抽出される。還流n-ヘプタンに溶融する低分子量及び/又はアモルフォス材料を含んでいることもあるため、このベースポリマーの分析も必要である。ブレンド中の可塑剤のレベルは、以下に記載する様に、重量%による抽出可能なレベルを、ベースポリマーの抽出可能なレベルによって修正することにより決定される
Soxhlet抽出機器は、広口オーバーフローチューブ(widened overflow tube)を備えた400ml Soxhlet抽出機(吸上げを防ぎ、定常的にフローを抽出するため)、主Soxhlet室の内側に取り付けられた金属製スクリーン箱、スクリーン箱の内側に置かれたSoxhlet抽出筒(Whatman、一層、セルローズ)、冷却水及び排水溝を備えたコンデンサー、及び適当なサイズの攪拌棒及び加熱覆いを備えた一つ首の1000ml丸底フラスコよりなる。
手順は以下の通りである。
Soxhlet筒を95℃の炉の中で60分までの時間乾燥する。炉から取り除いた直後に乾燥筒を計量し、この重量をgに、A(事前の筒重量)として記録する。サンプルの15−20gを量り取り(ペレット又は粉砕されたペレットの形)筒に入れ、gにポリマー重量をBとして記録する。ポリマーを含む筒をSoxhlet機器に入れる。約300mlのHPLCグレードn-ヘプタンを攪拌棒で丸底フラスコに注ぎフラスコを加熱覆いに固定する。丸底フラスコ、Soxhlet、及びコンデンサーを連結する。コンデンサーの中央を通してSoxhletの主室に、溶媒レベルがオーバーフローチューブの最上部のすぐ下になるまで更にn-ヘプタンを注ぐ。冷却水をコンデンサーに注ぐ。加熱覆いのスイッチを入れ、そして丸底フラスコで沸騰する様に設定を調整し、順調に還流する様保つ。還流を16時間行う。加熱を止めるが冷却システムは稼動を続ける。システムが室温まで下がるに任せる。設備機器を分解する。筒を取除き少量の新しいn-ヘプタンで清浄する。実験フードの中で空気乾燥させ、その後95℃で炉により90分間乾燥させる。炉から取除いた直後のポリマーを含む筒を計量し、gに、事後のポリマー/筒重量Cとして記録する。
抽出量はgのサンプルの重量減W=(A+B-C), を計算することにより決定する。抽出可能なレベル、E,の重量%はE=100(W/B)により計算する。ブレンド中の可塑剤含有量は、重量%でP=E(ブレンド)―E(ベースポリマー)により計算する。
方法2: 結晶分析分別(Crystallization Analysis Fractionation (CRYSTAF))
ブレンド中のNFPの量を決定する他の方法には結晶分析分別(Crystallization Analysis Fractionation (CRYSTAF))技術を用いて分別する方法がある。この技術は高温で溶媒中にサンプルを溶解し、溶液をゆっくりと冷却させてサンプルを溶解度に基づいて分別を起こさせるものである。ブレンドを含む半結晶サンプルの溶解度は主に結晶化度(crystallizability)に依存する。より結晶化したサンプルの部分が、結晶化度の低いサンプルの部分よりもより高温で溶液から沈殿する。温度の関数としての溶液中のサンプルの相対量が、累積溶解分布を得るために赤外線(IR)検出器を用いて測定される。溶解部分(soluble fraction (SF))は、最低温でのIR信号をサンプル全てが高温で溶解した場合のIR信号により除したものとして定義され、これは結晶化していないサンプルの重量割合に対応する。
可塑性ポリオレフィンの場合、可塑剤は殆どアモルフォスであり、そのため溶解部分(SF)に寄与する。したがって、SFはより多く可塑性を含むブレンドにおいてはより大きいものとなる。この関係はブレンドの組成が分っている(ポリマー及び可塑剤のタイプ)が、濃度が分らない可塑剤の含有量を決めるのに利用される。SFを可塑剤の含有量の関数とする較正曲線(calibration curve)は、同じポリマーと可塑性材料を用いて一連の既知の濃度の物理的なブレンドを作り、そしてこれらのブレンドを、濃度の分らないブレンドを用いるのと同じ条件下で実験してこれらブレンドを分析することにより作りだされる。この一連の較正結果(series of calibrant)は、未知のサンプルの濃度以上、又は以下の濃度の可塑剤を含んでいると考えれられるが、未知のサンプルに較正曲線を間違いなく適用するために、可塑剤の50重量%以上であってはならない。通常、較正点(calibration point)の直線近似(linear fit)はSFを可塑剤含有量の関数として良好に表すものであると見られる(R2>0.9);他の2又はそれ以下の適合するパラメータを持つ関数形式も、もし近似値が良いものなら(R2を増加させる)用いても良い。
60mL 容量の5個の攪拌ステンレス製容器を持つ、市販のCRYSTAF200機器(Polymer Char S. A. , Valencia, Spain) がこの試験に用いられた。約30 mgのサンプルが2g/4Lのブチルヒドロオキシトルエン(butylated hydroxytoluene) で安定化された30 mLの1,2-ジクロロベンゼンに160℃で60分かけて溶融された。溶液はその後100℃で45分間安定した状態に置かれた。結晶化が0.2℃/分の結晶速度で100℃から30℃で実行された。150℃に維持されたセル(cell)を通して流れる加熱フローを用いる二波長赤外線検出器が、結晶化サイクルの間を通じ定時間隔で溶液中のポリマーの濃度を測定した。測定波長は3.5μm及び基準波長は3.6μmであった。
実施例
本発明は、これらに限定されるものではないが、以下の例及び表を参照することにより、より一層理解されるであろう。本実施例で用いられるポリプロピレン樹脂及び溶液は表1及び2の通りである。
Figure 0004746566
Figure 0004746566
Figure 0004746566
表3及び4の例
ランダム コポリマー プロピレン(RCP)及び10%溶液のブレンドが単軸混合押出し機(押出し機による方法、Extruder Method)で溶融混合することにより作られた。標準ASTM試験見本が70トン射出成形機を用いて作られた。モールドされた見本の幾つかは7.5 Mradのガンマ線照射を受け、その後に試験開始前に炉中で60℃で3週間ねかせ老化(age)させた。その他の見本は試験前に、炉の中でねかせた手順のみを経たものである。
予想された様に、放射線に曝したポリプロピレンは脆くなっており、これはガードナー衝撃データにおいて最も劇的に現れている。溶液を追加することにより衝撃強さが実質的に維持され、又は放射線照射及びねかせた後でさえ改善されている。RCPがメタロセン触媒(mRCP)を用いて合成される場合には、樹脂のみの場合は放射線により強く黄色に変色するが、放射線照射後の色彩は又、溶液による調整により改善される。RCPをチーグラーナッタ触媒(znRCP)を用いて合成した場合は,色彩は放射線によって大きく変わるものではないが、樹脂はmRCPより脆くなる(降伏点引っ張り強度及び伸びの落ち込みで明らかな様に)が、この効果は溶液の追加により相殺される。この様に、両タイプのRCPを溶液により調整することで、調整をしていない樹脂に比べて放射線放射線処理をした後の色彩と強靭性のバランスが改善する。
Figure 0004746566
Figure 0004746566
表5の実施例
チーグラーナッタ ホモポリマー ポリプロピレン及び5%の溶液が単軸混合押出し機(押出し機による方法、Extruder Method)で溶融混合することにより作られた。標準のASTM試験見本が70トン射出成形機を用いて作られた。モールドされた見本の幾つかは7.5 Mradのガンマ線を受け、その後に試験開始前に炉中で60℃で2週間ねかせ老化させた。その他の見本は試験前に、炉の中でねかせる手順のみを経たものであった。
ポリプロピレン樹脂に溶液を添加することにより調整した結果、その曲げ弾性率の低下によって分る様に、より柔らかい材料となるが、熱偏向温度(heat deflection temperature (HDT))が僅か(<溶液の1重量%当り1℃)に減少する。放射線は実質的にこれらの特性に影響を与えない。何故なら、これらの特性は全体の結晶化度の程度及びこれらの結晶の溶融点によるものだからである。しかし、放射線により衝撃特性が劇的に劣化するため、溶液により調整することは、樹脂のみの場合に比べ放射線処理後の衝撃強度をより高いレベルに維持する方法を提供する。色彩は樹脂中にこれらの溶液を添加しても影響を受けない。
Figure 0004746566
表6及び7の例
10重量%の異なる調整剤を含むポリプロピレンのブレンドが、ブラベンダー法(Brabender method)を用いて溶融混合により作られた。ASTM引張り及び曲げ試験用見本が20トン射出成形機により射出成形され、ノッチ付きIzod見本が屈曲用棒を半分に切断し作られた。カラーディスクが25トン圧力下220℃で圧縮成形により作られた。モールド成形された見本の幾つかは6MRadのガンマ線を受け、炉でねかす(aging)ことなくテストされた。他の見本は放射線処理されることなく又、炉の中でねかせることなくテストされた。
再び、溶液を添加することによりポリプロピレンが柔らかくなり、且つ強靭となることが判明した。更に、溶液添加により調整されているか、いないかに関らず、放射線処理によっては樹脂の硬さは影響を受けないことが判明した。しかし、放射線処理を受けている混ざりもののない樹脂に比べ、溶液の存在する場合は、実際に放射線処理をされた後の衝撃強さが改善される。また、溶液の存在は放射線処理を受けている混ざりもののない樹脂に比べて、放射線処理をされた後の色彩特性が極めて向上する。これに対して、同じ量のプラストマー調整剤では放射線照射後の強靭性が常に向上するという結果を得ることはできず(例えば、mPPの場合は可也劣る結果となる)、黄色に変色することを防ぐこともできない。TGA保持データが示す様に、これらは高い放出率(emission rate)を持つため、PB 及びPIBは好ましい溶液ではない。又PAOは基本的にその粘度は同等であるが(100℃でKVにより測定)鉱物油に比べてPAOは放出率が低いため、鉱物油より好ましく、又放射線により黄色に変色することに対して高い抵抗力を持つからである。
Figure 0004746566
Figure 0004746566
表8の例
液体ポリイソブチレンを追加することによるポリプロピレンの放射線耐性の向上が測定された。5及び10重量%の二つの異なるPIB液を加えたmPPブレンドがブラベンダー法を用いて溶融混合により作られた。混ぜ物のないmPPサンプル及び4つのブレンドが圧縮モールドによりフィルム見本に成形され、3つの放射線レベル(2.5, 5 及び10 MRad)でガンマ線処理された。放射線のPP樹脂への影響はRheometrics Scientific ARES 流量計を用いて、190℃で小振幅振動せん断流体理論(small- amplitude oscillatory shear rheology)に基づき評価された。各サンプルについて、動的せん断粘性が、周波数の関数として190℃で100から0.1ラジアン/秒(rad/秒)の範囲に亙り測定された。放射線処理後の粘度の減少は、樹脂の機械特性に不利な効果をもたらす分子量の減少を示している。
放射線処理をした場合の、混ぜ物のない、且つ調整されたmPPの動的粘度に対する影響については、表8において最高及び最低周波数での「相対粘度」として表される。相対粘度は特定の周波数で放射線処理をした後の動的粘度を、同じ周波数で放射線処理をする前の動的粘度で除したものと定義される。0.1rad/秒での動的粘度は低せん断粘度(low-shear viscosity)に対応し、これは大きく分子量に依存することが知られているいわゆるゼロせん断粘度、η0、に略近い。100rad/秒での動的粘度は、ポリマー製造により関連する高せん断粘度に対応し、これは材料の分子量及びせん断薄さ(shear-thinning)特性に依存する。
放射線処理をすることにより、すべてのサンプルにおいてあらゆる周波数で粘度が大幅に減少する結果となる。しかし、混ぜ物のないPP樹脂に比べてブレンドしたPPの相対粘度が大きいことから分るように、PIBを加えることによりPP樹脂の放射線耐性が明らかに向上する。すべての場合において、PIBを加えることにより、放射線処理によりもたらされる粘度のロスが減り、これはPP分子量の減少が抑制されることと対応している。
Figure 0004746566
本発明は特定の実施の形態について記載、及び説明されているが、当業者であれば本発明は、本明細書に説明されていない多くの異なる形で実施されることを理解するであろう。このため、本発明の範囲を決定するにあたっては、請求の範囲の記載のみを参照すべきである。更に、本発明のある特徴は、一組の上限数値、及び一組の下限数値により記載されている。これらの限定による如何なる組合せにより作られる範囲も、特に断らない限り本発明の範囲に属していることを理解すべきである。
すべての優先権書類は、その様な組み入れが認められるすべての法制下において参照により本明細書に組み入れられるものとする。更に,本明細書に引用された書類は、試験手順を含め、その様な組み入れが認められるすべての法制下において参照により本明細書に組み入れられるものとする。

Claims (10)

  1. 一以上のポリオレフィンを40から99.9重量%(ポリオレフィン及び非官能性可塑剤の重量に対し)及び一以上の非官能性可塑剤を含む可塑性ポリオレフィン組成を含む殺菌された製品であり、前記非官能性可塑剤はC6からC1500のパラフィンを含み、前記パラフィンは
    1) 100℃で5cSt以上の運動粘度、
    2) 0.700から0.860の比重
    3) 120以上の粘度指数、及び
    4) −20℃未満の流動点(pour point)を持ち、
    前記製品はその製品を殺菌するに十分な量の放射線の照射を受け、及び可塑性ポリオレフィン組成には実質的にエラストマーが存在しない、前記殺菌された製品。
  2. 前記非官能性可塑剤が100℃において10cSt以上の運動粘度を持つ請求項1に記載の殺菌された製品。
  3. 前記非官能性可塑剤がC5から C14オレフィンのオリゴマーを含む請求項1又は2に記載の殺菌された製品。
  4. 前記非官能性可塑剤が−30℃未満の流動点(pour point)を持つ請求項1乃至3のいずれか1項に記載の殺菌された製品。
  5. 前記非官能性可塑剤がC8から C12オレフィンのオリゴマーを含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の殺菌された製品。
  6. 前記非官能性可塑剤が二つ以上の異なるオレフィンのオリゴマーを含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載の殺菌された製品。
  7. 前記製品が、注射器、又は注射器の構成物である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の殺菌された製品。
  8. 前記製品が、0.5から10MRadの量の放射線を受けた、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の殺菌された製品。
  9. 前記ポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の殺菌された製品。
  10. 500から10,000の重量平均分子量を持つエチレンホモポリマー及びコポリマーが実質的に存在しない、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の殺菌された製品。
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