JPH09295867A - カーボン摺動材 - Google Patents
カーボン摺動材Info
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- JPH09295867A JPH09295867A JP8107751A JP10775196A JPH09295867A JP H09295867 A JPH09295867 A JP H09295867A JP 8107751 A JP8107751 A JP 8107751A JP 10775196 A JP10775196 A JP 10775196A JP H09295867 A JPH09295867 A JP H09295867A
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Abstract
した場合であっても、良好な潤滑性が得られるようにす
る。 【解決手段】 天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、メソフ
ェース等の骨材と、コールタールピッチ、合成樹脂等の
結合材とを主成分とする原材料に球状カーボンを配合
し、これらを混合、混練り、成形の工程を経て所定の温
度で焼成し、マトリックス中に球状カーボンを独立した
状態で存在させる。球状カーボンによって摺動面に複数
の凸部が形成されるとともに、相手側部材との摺動負荷
によって摺動面から一部の球状カーボンが脱落し、その
部分に凹部が形成され、これらの凹部、凸部によって摺
動面の表面粗さが大きく形成され、摺動面に密封対象流
体が浸入し易くなり、摺動面を流体潤滑条件とすること
ができる。
Description
に、粘性流体や潤滑性の少ない流体中等であっても良好
な潤滑性が得られるカーボン摺動材に関するものであ
る。
黒鉛化質成分を含むために自己潤滑性が有り、耐摩耗
性、耐薬品性にも優れるため、摺動材として広く使用さ
れている。
材であっても、粘性流体や潤滑性の少ない流体中等で使
用した場合には、摺動面にカーボンブリスターが発生す
る虞がある。
1〜2μmの隆起や亀裂等が発生する現象であって、摺
動面の平坦度が失われるためにシール性に影響を与え、
摺動材としての寿命を低下させる原因となる。
性流体による粘性抵抗説、トルクの変動による疲労的破
壊現象説等が提唱されているが、何れの説を採るにして
も原因が多岐に渡っているため、明確な発生原因は未だ
特定されていない。
として、カーボン材の強度を高めたり、耐熱性に限界が
ある樹脂含浸を止めて緻密質の無含浸のものを使用した
り、シリコンカーバイドのような比較的摺動面が粗いセ
ラミックスを相手側摺動材に使用してシール液の液膜構
成を容易にして低トルク化を図ったり、摺動面に潤滑溝
を形成して摺動中に摺動面に流体を取り込み易くして低
トルク化を図ったりすること等の方法が採られている。
はなく、カーボン材の強度には限界があるために使用で
きる範囲が狭い範囲内に制限されたり、相手側摺動材を
セラミックスで形成しても使用が進むにつれて初期の表
面粗さを維持することが困難となったり、潤滑溝の加工
に多大な経費がかかるために全体としてコスト高となっ
たりする等の新たな問題が生じることになる。
問題点を解決したものであって、粘性流体や潤滑性の少
ない流体中で使用した場合であっても、カーボンブリス
ターが発生する虞がほとんどなく、良好な潤滑状態が得
られるとともに、そのような良好な潤滑状態を長期的に
維持することができるカーボン摺動材を提供することを
目的とするものである。
るためにこの発明は、天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、
メソフェース等の骨材と、コールタールピッチ、合成樹
脂等の結合材とを主成分とする原料に硬質の球状カーボ
ンを配合し、これらを混合、混練り、成形の工程を経て
所定の温度で焼成することにより、マトリックス中に前
記球状カーボンを独立した状態で存在させた手段を採用
したものである。また、前記球状カーボンの粒度は1〜
50μmであり、配合比は全体の2〜30wt%である
手段を採用したものである。さらに、前記球状カーボン
は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、ポリ
エステル樹脂、ナフタレン樹脂等の合成樹脂を素材とし
て球状に形成したものを所定の温度で焼成してなる手段
を採用したものである。
より、マトリックス中に硬質の球状カーボンが独立した
状態で存在するとともに、この球状カーボンによって摺
動面に凸部が形成されることになる。そして、相手側部
材と摺動接触すると、摺動負荷によって一部の球状カー
ボンが摺動面から脱落し、その部分に凹部が形成され
る。したがって、摺動面には球状カーボンによって複数
の凹部、凸部が形成され、これらの凹部、凸部によって
摺動面の表面粗さが粗く形成される。
動材の実施の形態について説明する。この実施の形態に
よるカーボン摺動材は、粘性流体や潤滑性の少ない流体
中等で使用されるものであって、そのような使用条件下
であっても良好な潤滑性が得られるようにするため、マ
トリックス中に硬質の球状カーボンを独立した状態で存
在させたものである。
ス、メソフェース等の骨材と、コールタールピッチ、合
成樹脂等の結合材を主成分とする原材料に硬質の球状カ
ーボンを配合し、これらを混合、混練り、成形の工程を
経て所定の温度(1000〜3000℃)で焼成するこ
とにより、マトリックス中に球状カーボンを独立した状
態で存在させたものである。
た状態で存在させるため、十分に不融化してあることが
条件となる。したがって、300〜2000℃の温度で
焼成してあることが好ましい。
30wt%の範囲にあれば良く、好ましくは5〜15w
t%の範囲にあれば良い。また、球状カーボンの大きさ
は、1〜50μmの範囲であれば良く、好ましくは5〜
30μmの範囲にあれば良い。これ以上粒度が大きかっ
たり配合量が多いと、強度的に問題が生じたり、表面粗
さが大きくなり過ぎて摺動材としての密封性に影響を与
えるからである。また、これ以上粒度が小さかったり配
合量が少ないと、球状カーボンの添加の効果が薄れるか
らである。
は、球状であることから表面積が小さく、結合材と充分
な結合力がないため、マトリックス中に独立した状態で
存在することになる。
ではないが、不融化した状態で強度があり、成形時に破
壊しないことが必要である。また、添加時に溶融や結合
材等と反応しないことも必要である。このような条件を
満足するのは、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン
樹脂、ポリエステル樹脂、ナフタレン樹脂等の合成樹脂
より作られた硬質のものが好ましい。このような合成樹
脂を原料とすることによって黒鉛化しにくい難黒鉛化質
となり、コークスや黒鉛に比較して強度や硬度が高く、
耐摩耗性に富んだ性質を有することになる。
よるのが一般的であるが、これに制限されるものではな
く、球状化できれば何れの方法であってもよいものであ
る。なお、球状化する過程で内部が中空になることは特
に問題とならない。
実施の形態によるカーボン摺動材にあっては、耐摩耗性
に富む硬質の球状カーボンによって摺動面上に複数の凸
部を形成することができるとともに、粘性流体や潤滑性
の少ない流体中等で使用した場合に相手側部材と摺動接
触すると、そのときの摺動負荷によって摺動面から一部
の球状カーボンから脱落し、その部分に凹部を形成する
ことができる。したがって、摺動面上に球状カーボンに
よって複数の凹部、凸部を形成することができるので、
摺動面の表面粗さを大きくすることができる。この結
果、摺動面に密封対象流体が浸入し易くなるので、摺動
面を流体潤滑条件とすることができ、粘性流体や潤滑性
の少ない流体中等であっても、摺動面の温度上昇、トル
クの上昇を低く抑えることができ、カーボンブリスター
の発生を抑制することができることになる。
ン摺動材を実施例に基づいて具体的に説明する。
m)30wt%、コークス粉(平均粒度5μm)15及
び20wt%、球状のフェノール樹脂を600℃で焼成
して作った球状カーボン(平均粒度約10μm)5及び
10wt%、コールタールピッチ40wt%及びフェノ
ール樹脂5wt%を原材料として均一に混合した後、加
圧ニーダーを用いて160℃−60分間の混練りを行
い、冷却後、自由ミルを用いて100メッシュ以下に微
粉砕を行い、成形粉を得た。成型圧力1.3ton/c
m2 、150℃−5分の条件で金型プレス成形を行い、
φ50×φ100×50mmの成形体を得た。これを1
000℃まで熱処理して炭素黒鉛化質カーボン素材を得
た。その特性を表1に示す。そして、このカーボン素材
から摺動面がφ58.6×φ66.1mm(大きさφ5
6×φ81×27)の試験片を作り、評価用の試験片と
した。このままでは気密性に問題があるため、フラン樹
脂含浸を行い、熱処理を施した。そして、この試験片を
メカニカルシール試験機を用い、以下の条件で評価試験
を実施した。 (試験条件) シール流体;タービン油#150、温度;40℃、シー
ル圧力;15Kg/cm2 、回転数;3000rpm、
時間;100時間、相手摺動材料;SiC(シリコンカ
ーバイト)
m)30wt%、コークス粉(平均粒度5μm)25w
t%、コールタールピッチ40wt%及びフェノール樹
脂5wt%の配合比率の原材料について、実施例1と同
様の方法で、混合、混練り、粉砕、成形の工程を経て所
定の温度で焼成し、所定の大きさのカーボン素材を得
た。その特性を表1に示す。このカーボン素材から摺動
面がφ58.6×φ66.1mm(大きさφ56×φ8
1×27)の試験片を作り、評価用の試験品とした。こ
のままでは気密性に問題があるため、フラン樹脂含浸を
行い、熱処理を施した。そして、この試験片を実施例1
と同様の方法でメカニカルシール試験機を用い、同様の
試験条件で評価試験を実施した。
(株)製)と球状のナフタレン樹脂を1000℃で焼成
して作った球状カーボン(平均粒度約10μm)5、1
5及び10wt%をそれぞれ配合した原材料を均一に混
合した後、CIP(静水圧プレス)を用いて1.5to
n/cm2 −5分の条件で約φ100×50mmの成形
体を得た。これを2000℃まで熱処理して、黒鉛化質
カーボン素材を得た。特性を表1に示す。このカーボン
素材から、摺動面がφ58.6×φ66.1mm(大き
さφ56×φ81×27)の試験片を作り、評価用の試
験片とした。この試験片は、気孔率が低く、気孔径も小
さいため、含浸は必要としなかった。そして、実施例1
と同様の方法でメカニカルシール試験機を用い、以下の
試験条件で評価試験を実施した。 (試験条件) シール流体;タービン油#150、温度;40℃、シー
ル圧力;15Kg/cm2 、回転数;3000rpm、
時間;100時間、相手摺動材料;超硬合金
(株)製)のみから、実施例2と同様の方法で黒鉛化質
カーボン素材を得た。特性を表1に示す。このカーボン
素材から、摺動面がφ58.6×φ66.1mm(大き
さφ56×φ81×27)の試験片を作り、評価用の試
験片とした。この試験片は、気孔率が低く、気孔径も小
さいため、含浸は必要としなかった。そして、実施例1
と同様の方法でメカニカルシール試験機を用い、実施例
2と同様の試験条件で評価試験を実施した。
m)70、65及び60wt%と球状のフェノール樹脂
を1000℃で焼成して作った球状カーボン(平均粒度
約10μm)5、10及び15wt%とフェノール樹脂
25wt%を均一に混合した後、加圧ニーダーを用いて
150℃−15分間の混練りを行い、冷却後、自由ミル
を用いて約1mm以下に粉砕を行い、成形粉を得た。成
型圧力0.6ton/cm2 、150℃−5分の条件で
金型プレス成形を行い、φ20×φ40×17mmの成
形体を得た。これを1000℃まで熱処理して、炭素黒
鉛化質カーボン素材を得た。特性を表2に示す。そし
て、このカーボン素材から摺動面形状23×φ29mm
(大きさ23×35×10mm)の試験片を加工し、評
価用試験片とした。Ring−on−Ring式摩擦摩
耗試験機を用い、以下の試験条件で、カーボンブリスタ
ーの発生傾向を初めとする材料の摺動特性の評価試験を
実施した。 (試験条件) 流体;タービン油#150、温度;40℃から自然昇
温、圧力;10Kg/cm2 、回転数;3000rp
m、時間;24時間、相手摺動材料;超硬合金
m)75wt%とフェノール樹脂25wt%を均一に混
合した後、実施例3と同様の方法で炭素質カーボン素材
を得た。特性を表2に示す。このカーボン素材から摺動
面形状23×φ29mm(大きさ23×35×10m
m)の試験片を加工し、評価用の試験片とした。実施例
3と同様の方法でRing−on−Ring式摩擦摩耗
試験機を用い、実施例3と同様の試験条件で、カーボン
ブリスターの発生傾向を初めとする材料の摺動特性の評
価試験を実施した。
ボン摺動材は、球状カーボンを配合していないカーボン
摺動材に比べて摺動面温度が低く、試験後の摺動面の表
面粗さが大きい(図1参照)。また、球状カーボンを配
合したカーボン摺動材は、カーボンブリスターの発生も
なく、漏れ量も少なく、球状カーボン配合の顕著な効果
が現われている。球状カーボンを配合しないカーボン摺
動材は、摺動面温度は最初は高いが、試験途中から急激
に温度が低下し、漏れ量も急激に増大する。これは、摺
動面にカーボンブリスターが発生し、密封性が失われた
からと考えられる。 <Ring−on−Ring式摩擦摩耗試験>球状カー
ボンを配合したカーボン摺動材は、球状カーボンを配合
していないカーボン摺動材に比べて摩擦係数、摺動面温
度が低く、表面粗さが大きい。また、摩耗量も少なく、
クラックを伴うカーボンブリスターの発生もなく、球状
カーボン配合の顕著な効果が現われている。これに対し
て、球状カーボンを配合していないカーボン摺動材は、
摩擦係数、摺動面温度が高く、表面粗さが小さく、カー
ボンブリスターの発生もある。試験後の摺動面の拡大図
を図2に示す。配合した球状カーボンが強い光沢を持
ち、この部分が凸部を形成して強く摺動していたことが
分かる。一方、図2上の黒い部分は球状カーボンが脱落
した部分であり、この部分に凹部を形成していることが
分かる。
より、以下のような効果を奏することになる。すなわ
ち、硬質の球状カーボンによって摺動面上に複数の凸部
を形成することができるとともに、粘性流体や潤滑性の
少ない流体中等で使用した場合に、相手側部材との摺動
負荷によって、摺動面から一部の球状カーボンが脱落
し、その部分に凹部を形成することができる。したがっ
て、摺動面上に球状カーボンによって複数の凹部、凸部
を形成することができるので、摺動面の表面粗さを大き
くすることができ、粘性流体や潤滑性の少ない流体中等
で使用しても、摺動面にそれらの流体が浸入し易くなる
ので、摺動面を流体潤滑条件とすることができ、摺動面
の温度上昇、トルクの上昇を低く抑えることができ、カ
ーボンブリスターの発生を抑えることができ、良好な潤
滑性を長期的に維持することができることになる等の優
れた効果を有するものである。
粗さ及び従来のカーボン摺動材の摺動面の表面粗さを示
した説明図である。
図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、メソフ
ェース等の骨材と、コールタールピッチ、合成樹脂等の
結合材とを主成分とする原料に硬質の球状カーボンを配
合し、これらを混合、混練り、成形の工程を経て所定の
温度で焼成することにより、マトリックス中に前記球状
カーボンを独立した状態で存在させたことを特徴とする
カーボン摺動材。 - 【請求項2】 前記球状カーボンの粒度は1〜50μm
であり、配合比は全体の2〜30wt%である請求項1
記載のカーボン摺動材。 - 【請求項3】 前記球状カーボンは、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、フラン樹脂、ポリエステル樹脂、ナフタ
レン樹脂等の合成樹脂を素材として球状に形成したもの
を所定の温度で焼成してなる請求項1および2記載のカ
ーボン摺動材。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP10775196A JP3607778B2 (ja) | 1996-04-26 | 1996-04-26 | カーボン摺動材 |
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---|---|---|---|
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---|---|---|---|
JP10775196A Expired - Lifetime JP3607778B2 (ja) | 1996-04-26 | 1996-04-26 | カーボン摺動材 |
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- 1996-04-26 JP JP10775196A patent/JP3607778B2/ja not_active Expired - Lifetime
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