JP2002106720A - 熱水用メカニカルシール - Google Patents

熱水用メカニカルシール

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JP2002106720A
JP2002106720A JP2000296315A JP2000296315A JP2002106720A JP 2002106720 A JP2002106720 A JP 2002106720A JP 2000296315 A JP2000296315 A JP 2000296315A JP 2000296315 A JP2000296315 A JP 2000296315A JP 2002106720 A JP2002106720 A JP 2002106720A
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JP
Japan
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hot water
mechanical seal
rotating ring
carbon
mesoface
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Application number
JP2000296315A
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English (en)
Inventor
Yuji Yamauchi
内 祐 二 山
Hiroshi Takanami
波 浩 高
Yuji Oka
裕士 岡
Hirofumi Otsuka
塚 裕 文 大
Kiyotaka Fujihira
平 清 隆 藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tanken Seal Seiko Co Ltd
Original Assignee
Tanken Seal Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却装置を用いることなく、100℃以上の
高温環境下で使用できるメカニカルシールを提供する。 【解決手段】 回転環1を自己焼結性を有するバルクメ
ソフェース粉砕品とメソカーボンマイクロビーズの中の
1を主原料とした炭素材料で形成し、非回転環2を自己
焼結性を有するバルクメソフェース粉砕品とメソカーボ
ンマイクロビーズの中の1を主原料とした炭素材料で形
成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、熱水用メカニカ
ルシールに関する。
【0002】
【従来の技術】熱水による洗浄プロセスや保温、加熱プ
レスシステムにおいては熱水を循環するポンプが組込ま
れており、該ポンプには回転軸とこれを支持するハウジ
ング間に移送流体である熱水の漏洩を防止するためにメ
カニカルシールが装着されている。該メカニカルシール
を構成するシールリング(非回転環と回転環)には、耐
食性、耐焼付性、良熱伝導性、低摩擦係数等の特性が要
求される。これらの特性に優れている摺動材として、一
般にはカーボンと硬質材料との組合せがあり、カーボン
とタングステンカーバイド(WC)、またはカーボンと
炭化珪素(SiC)などの異種材料の組み合わせによりシー
ルリングを構成している。熱水用のメカニカルシールに
おいては、摺動発熱をいくら小さくおさえても、大気圧
下100℃以上で沸騰する水の物理現象によって、摺動面
間では流体が沸騰・気化し、ドライ摺動になる。このド
ライ摺動を防止するため100℃を超える熱水を取り扱う
場合には、クーラーを用いてメカニカルシール部を冷却
する方法が取られている。しかしながらクーラーの設置
は、コスト高、設置スペースが必要、冷却水の管理・設
備の管理が必要である、多額の冷却水を消費する、等の
問題があるため、ノンクーラー化の要望が高まってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記したよう
にノンクーラーで被シール流体が100℃を超える熱水の
場合、メカニカルシール摺動面での沸騰・気化現象によ
って、流体潤滑膜が形成されにくく、ほぼドライに近い
環境となる。このような環境下で従来のカーボンとタン
グステンカーバイド、またはカーボンと炭化珪素摺動材
の組合せで運転した場合、ドライ摺動により摺動面にカ
ジリやメカ鳴き、ついには異常摩耗、サーマルクラッ
ク、ブリスター(水ぶくれ状の隆起)等が発生するた
め、長寿命が望めず半年程度の寿命しか期待できないの
が現状である。またメカ鳴きに至っては、作業環境の悪
化を及ぼし、作業に耐えなくなるような事態もしばしば
発生している。また、硬質摺動材ではサーマルクラック
が起こりやすい問題もある。これは耐熱衝撃温度が低い
ことに起因している。耐熱衝撃温度はタングステンカー
バイドで550℃、炭化珪素が370℃である。カーボンの耐
熱衝撃温度は800℃以上でありサーマルクラックは発生
し難いが、従来の一般的なカーボンでは機械的強度と熱
伝導率が低いためにブリスターが発生しやすい。また強
度、硬度も低いので異常摩耗が起こりやすい。一方、半
導体業界や電子機器業界で洗浄用として使用される熱水
は、洗浄性と効率アップのために、熱水の使用温度が年
々上がってきており、最近では冷却装置なしで150℃の
要求も出始めている。本発明は上記した従来の問題点を
解決するためになされたもので、100℃以上の熱水仕様
でドライに近い摺動環境にあっても、サーマルクラッ
ク、ブリスター、メカ鳴き等を発生することなく漏洩を
防止可能で長寿命なメカニカルシールを提供することを
目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らはシールリングとしてカーボンとカーボ
ンを使用することに着目し、従来のカーボン材料の問題
点の研究を行うと共に新たなカーボン材料に関して試験
研究を行った。従来、シールリングに用いられる炭素材
料の多くは焙焼コークス、カーボンブラック、黒鉛をピ
ッチなどの結合材を用いて混練粉砕後成形・焼成により
製造されているが、強度的に不十分であり、摺動用炭素
材としても早期の摩耗、ブリスター現象などが発生し、
極めて不満足であった。その理由として炭化中にピッチ
などの結合材が分解揮発し、組織に多くの欠陥を残すた
めと考えられる。このため、欠陥の少ない高密度の炭素
材を製造する努力がなされたが、せいぜい密度1.85
程度であり、黒鉛の理論密度2.26から見ると著しく
低い。本発明者らは新たな材料としてメソカーボンマイ
クロビーズ或いはバルクメソフェース粉砕品を使用する
ことに着目した。重質油を300〜550℃に加熱保持
すると異方性を示す結晶、即ち球晶が発生し、加熱を続
けるとこの球晶は成長、合体していく。この成長、合体
した異方性を示す物質はメソフェースと呼ばれる。また
ある程度成長した球晶を分離した物質はメソカーボンマ
イクロビーズと呼ばれ、さらに、合体し巨大化した所で
分離した物質がバルクメソフェースと呼ばれている。こ
のメソカーボンマイクロビーズまたはバルクメソフェー
ス粉砕品はピッチなどの結合材を加えずに成形焼成する
ことにより高密度炭素材料が得られることが知られてい
る。本発明は、このメソカーボンマイクロビーズまたは
バルクメソフェース粉砕品を原料にし、成形焼成(黒鉛
化)することで得られた炭素材を摺動用リングの形状に
機械加工を施し、介在する開気孔を例えば樹脂などを含
浸硬化または含浸後樹脂を炭化処理することで封孔処理
して得られたシールリングを使用することにより耐摩耗
性の優れた、ブリスターの発生しないメカニカルシール
を実現したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面に
基づいて説明する。図1は、ポンプの軸Jとハウジング
Hの間に本発明のメカニカルシールが装着されている状
態を示している。軸J上にはOリング40を介して段差
スリーブ4が装着され、該段差スリーブ4上にOリング
11を介して回転環1が装着されている。回転環1は軸
Jと共に回転し、且つ軸線方向に移動可能になってい
る。ハウジングH側にはOリング20を介して非回転環
2が固定され、回転環1と端面において摺動接触し、シ
ール面Sを形成するように構成されている。回転環1は
スプリング3により非回転環2方向に押圧されている。
スプリング3の一端側は折り曲げ部30となっており、
回転環1に形成された切欠10にはめ込まれている。ス
プリング3の他端側の折り曲げ部31はインペラ50に
形成された切欠51にはめ込まれている。
【0006】以上の構成において、回転環1と非回転環
2はバルクメソフェース粉砕品を主原料とした炭素材料
で形成されている。バルクメソフェース粉砕品に代えて
メソカーボンマイクロビーズを主原料としても良い。該
メソカーボンマイクロビーズまたはバルクメソフェース
粉砕品は、キノリン不溶分が80wt%以上に調製したも
のを用いる。更に好ましくはキノリン不溶分が88wt%
以上とするのが良い。キノリン不溶分が80wt%以下の
場合、後の焼成で膨れ割れを起こし、好ましくないから
である。また、メソカーボンマイクロビーズまたはバル
クメソフェース粉砕品の揮発分は5〜25wt%に調製し
たものを用いる。好ましくは、8〜13wt%が良い。揮
発分が25wt%以上の場合、キノリン不溶分80%以下
と同様に後の焼成で膨れ割れを起こし、好ましくない。
また、5%以下ではショア硬さが100以下のシールリ
ングしか得られず、異常摩耗を起こし好ましくない。メ
ソカーボンマイクロビーズまたはバルクメソフェース粉
砕品の粒径は、30μm以下のものを用いる必要があ
る。30μm以上では後記実施例に示す通り、得られた
シールリングが早期に摩耗を起こし、好ましくない。
【0007】以上のように調製されたメソカーボンマイ
クロビーズまたはバルクメソフェース粉砕品を用いて、
金型あるいは静水圧加圧成形法によって所定の形状に成
形する。成形圧力は40〜300MPaの圧力が必要に
なる。このとき成形圧力と製品のショア硬さとは連動す
る。即ち高いショア硬さを得るためには高い成形圧で成
形する方が好ましい。また成形体はその後の焼成時の収
縮量を見込んだ機械加工して所定形状の摺動用リングに
加工することもできる。焼成の条件は、特に限定されな
いが、通常不活性雰囲気中で昇温速度1〜100℃/時
間で1000から3000℃まで昇温し、0.5〜10
時間程度保持して行えば良い。焼成体の硬さと潤滑性と
のバランスを考慮すると焼成温度は1800〜2400
℃が好ましい。焼成体は所定の形状に機械加工を行う。
焼成体は2〜18vol%の開気孔を持ち、そのためその
ままメカニカルシールに使用する場合、通気漏れを起こ
す。そこで、表層部に樹脂を含浸する。含浸樹脂の指定
は特にないが、例えば、熱硬化性樹脂のフェノール樹
脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂など樹脂硬化後の残留量
が多く、炭化率の高いものが良い。含浸処理は、特に限
定されないが、例えば、真空含浸装置を真空中で脱気し
てから含浸を行い、更に高圧含浸装置を用いて1〜15
MPaの圧力で含浸する。次いで、機械加工された含浸
済み焼成体を電気炉にて樹脂の硬化処理を行う。このと
き、硬化温度は通常の樹脂の硬化温度で行えば良い。
【0008】以上の様に成分調整され、機械加工された
含浸済み焼成体を硬化処理した回転環1と非回転環2
は、通気漏れもなく、後記実施例に示す通り優れた摺動
性能を示す。なお機械加工された含浸済み焼成体に更に
炭化処理を行っても良い。炭化処理は樹脂の通常の炭化
処理と同じ非酸化性雰囲気で行う。炭化処理の温度は通
常の熱硬化性樹脂の炭化が完了する800〜1300℃
で行う。この様に機械加工された含浸済み焼成体を炭化
処理することにより、表層部の気孔は炭素で埋められ、
摺動面の潤滑性は前述の含浸済み焼成体を硬化処理した
製品より更に向上する。
【0009】上記構成のメカニカルシールによれば、回
転環1と非回転環2が、主成分としてバルクメソフェー
ス系炭素材料、またはメソカーボンマイクロビーズ系炭
素材料で形成されているので、自己潤滑性、耐摩耗性、
高強度、高耐熱性、高耐熱衝撃性といった特性を兼ね備
えることができる。このため100℃以上の高温で生じや
すい異常摩耗やブリスターが生じにくくなる。また、こ
れらの炭素材料は耐熱衝撃性も高いので、摺動面がドラ
イに近い状態になってもサーマルクラックを発生するこ
とがなくなる。熱伝導率も高いので熱変形も少なく摺動
面が全面当たりとなりやすい等の効果がある。更に回転
環1と非回転環2は高強度であるため、金属製バックメ
タル等で保護する必要がなく、単体で回転トルクを受け
ることが可能である。そのためメカニカルシールを小型
化することができる。
【0010】次に実施例を示す。下記する特殊カーボン
1と2のシールリングと従来カーボン1乃至3のシール
リングとを比較した結果を示す。 <特殊カーボン1>キノリン不溶分96wt%、揮発分1
2wt%、平均粒子径18μのバルクメソフェースを成形
用金型に充填して、100MPaで成形し、この成形体
を昇温速度10℃/時間で1000℃まで焼成し、更に
昇温速度300℃/時間で2000℃まで昇温し、2時
間保持し、焼成を完了した。得られた焼成体の比重は
1.93、ショア硬さは108であることを確認した。
この焼成体を図1に示す回転環1と非回転環2の形状に
機械加工した。機械加工した焼成体を真空含浸装置に入
れ、焼結体内部を十分に真空脱気を行い、フェノール樹
脂を注入し、高圧含浸装置で加圧含浸を完了した。次い
で、硬化処理を行い、炭素製シールリングを得た。 <特殊カーボン2>キノリン不溶分97%、揮発分1
1.5%、平均粒径21μmのバルクメソフェースを成
形用金型に充填して、120MPaで成形し、この成形
体を昇温速度10℃/時間で1000℃まで焼成し、更
に昇温速度300℃/時間で2000℃まで昇温し、2
時間保持し、焼成を完了した。得られた焼成体の比重は
1.94、ショア硬さ107であることを確認した。こ
の焼成体を図1に示す回転環1と非回転環2の形状に加
工した。機械加工した焼成体を真空含浸装置に入れ、焼
成体内部を十分に真空脱気を行い、フェノール樹脂を注
入し、高圧含浸装置で加圧含浸を完了した。ついで、含
浸済み品を昇温速度5℃/時間で1000℃まで昇温
し、含浸樹脂を完全炭化し、炭素製シールリングを得
た。 <従来カーボン1>平均粒径15μmの焙焼コークスに
結合材としてピッチを30重量部加え、加熱混練を行
い、得られた混練物をハンマーミルで平均18μmに調
製した。調製した粉を成形用金型に充填して、100M
Paで成形し、この成形体を昇温速度10℃/時間で1
000℃まで焼成し、更に昇温速度300℃/時間で1
500℃まで昇温し、2時間保持し、焼成を完了した。
得られた焼成体の比重は1.70、ショア硬さは85で
あることを確認した。この焼成体を、図1に示す固定
環、回転環の形状に機械加工した。機械加工した焼成体
を真空含浸装置に入れ、焼結体内部を十分に真空脱気を
行い、フェノール樹脂を注入し、高圧含浸装置で加圧含
浸を完了した。次いで、硬化処理を行い、シールリング
を得た。 <従来カーボン2>焙焼コークス、カーボンブラックに
結合材としてピッチを用いて製造された市販の炭素材を
購入し、図1に示す固定環、回転環の形状に機械加工し
た。購入した炭素材の比重は1.75、ショア硬さは1
00であった。次に機械加工した炭素材を真空含浸装置
に入れ、焼結体内部を十分に真空脱気を行い、フェノー
ル樹脂を注入し、高圧含浸装置で加圧含浸を完了した。
次いで、硬化処理を行いシールリングを得た。 <従来カーボン3>従来カーボン1と同様に、平均平均
粒径13μmの焙焼コークスに結合材としてピッチを3
0重量部加え、加熱混練を行い、得られた混練物をハン
マーミルで平均16μmに調製した。調製した粉を成形
用金型に充填して、100MPaで成形し、この成形体
を昇温速度10℃/時間で1000℃まで焼成し、更に
昇温速度300℃/時間で1500℃まで昇温し、2時
間保持し、焼成を完了した。得られた焼成体の比重は
1.70、ショア硬さは90であることを確認した。こ
の焼成体を、図1に示す固定環、回転環の形状に機械加
工した。機械加工した焼成体を真空含浸装置に入れ、焼
結体内部を十分に真空脱気を行い、フェノール樹脂を注
入し、高圧含浸装置で加圧含浸を完了した。次いで、つ
いで、含浸済み品を昇温速度5℃/時間で1000℃ま
で昇温し、含浸樹脂を完全炭化し、炭素製シールリング
を得た。
【0011】表1に機械的特性を比較して示す。本発明
の特殊カーボン1、2は、従来カーボン1乃至3に比べ
て機械的強度が優れていることがわかる。特に、熱伝導
率、曲げ強度、耐熱衝撃性が高い。
【0012】上記特殊カーボン1及び2と従来カーボン
1乃至3のシールリングを図1に示すメカニカルシール
に組み上げ、下記方法で耐ブリスター性の試験を行った
結果を表2に示す。シールリングの組み合わせは表2に
示すとおりである。ここでも本発明の特殊カーボン1及
び2の組み合わせが耐ブリスター性に優れていることが
わかる。 <耐ブリスター性評価テストの方法>ブリスター発生原
因のひとつに起動時の過大トルクがある。従ってカーボ
ン摺動材の耐ブリスター性評価テストは、発停(起動−
停止)を繰り返し、起動時に摺動面に過大トルクを生じ
させる方法を採っている。評価は発停回数何回でブリス
ターが生じるかで行う。起動トルクが高ければ高いほど
短時間でブリスターを発生させることが出来る。できる
だけ大きなトルクを発生させるためには油の粘度を高く
する。油の粘度を上げるには冷却して油の粘度を下げ
る。また、摺動面の直角度の狂いも摺動面への局部的応
力過大の原因となり、ブリスターを発生させる要因とな
る。これらの理由から耐ブリスター評価テストはの下記
の条件で行った。 メカニカルシール:軸径φ60アンバランス型 温度 :-2〜0℃(起動時の流体温度、運転中はなりゆき) 圧力 :0.5Mpa 回転数 :3000rpm 直角度 :0.14mmの狂い 相手摺動材 :炭化珪素(SiC:シリコンカーバイド) 流体 :高粘度オイル (流体は循環せず“封じ込み状態”で運転する) 運転条件 :運転14分×停止2時間46分(この停
止期間中に冷凍機を用いて流体を冷却し、流体温度を-2
〜0℃に下げる。これにより油の粘度は約7000 cP(セ
ンチポアズ)となる。) 今回用いた油の粘度: 温 度(℃) 0 50 100 粘 度(cP) 7000 200 4
【0013】次に表3に示すように特殊カーボン1、2
をそれぞれ組み合わせて、軸径φ60mmのアンバランス型
メカニカルシールを作成し、それぞれ実施例1乃至3と
して摩耗試験を行った。比較例1として炭化珪素(Si
C)の回転環と従来カーボン1の非回転環を用いたメカ
ニカルシールを用い、比較例2としてSiCと特殊カー
ボン2をそれぞれ回転環と非回転環としたメカニカルシ
ールを用いて試験を行った。運転条件は熱水130℃、流
量13リットル/min、圧力0.3MPa、回転数3600rpm、運転
時間50ハウジングHである。その比較結果を表3に示
す。表3から本発明の特殊カーボン1と2を組み合わせ
た実施例1乃至3が摩耗量、メカ鳴き、面状態、ハンチ
ングの全ての点で優れていることがわかる。SiCと従
来カーボン1を組み合わせた比較例1はメカ鳴きが強烈
で、近くにいると気分が悪くなるほどであった。また、
摺動面の摩耗が3.1mm/yearと多く、摩耗代1mmを考
えると3カ月の使用にやっと耐える程度である。また、
摺動面はカーボン、炭化珪素とも強い面荒れを生じてい
て、シール性が保てず漏れが生じた。運転中に少量漏
洩、メカ鳴きも発生した。それに比べて、本発明のメカ
ニカルシールは、摩耗が少なく、面荒れもほとんどない
状態であり、またメカ鳴きや微量漏洩もなく、一年以上
の長寿命を確保することが可能であることがわかる。更
に、SiCと特殊カーボン2を組み合わせた比較例2を
検討すれば、このメカニカルシールは摩耗量は比較例1
よりも改善されているが、メカ鳴きが大きく、また面荒
れも大きい。
【0014】次にカーボン原料の平均粒径と摩耗量との
関係を表4および図2に示す。これは平均粒径がそれぞ
れ18、29、48μmになるように粉砕したバルクメソフェ
ースから特殊カーボン1に示す方法でシールリングを試
作し、図1のメカニカルシール構成で摩耗試験を実施し
た結果を示したものである。試験条件は前述した熱水13
0℃と同条件である。平均粒径が30μmを越えると年間
摩耗量が1mmを越え、前述と同様1年未満の寿命とな
る。平均粒径50μmでは、その摩耗量は年間3.5mmにも
達し、短時間しかもたないことがわかる。このように、
バルクメソフェースの平均粒径と摩耗量には密接な関係
があり、摩耗寿命を延ばすにはバルクメソフェースの平
均粒径が30μm以下にすることが必要であることを見出
した。これは、平均粒径が大きくなるにつれ、粒子同士
の結合点が減少し、摺動時の剪断応力により粒子が脱落
しやすくなり、さらに、その粒子が摺動面に介在するこ
とで、さらに摩耗を促進させるからである。
【0015】本発明の実施例3のメカニカルシールをさ
らに150℃で運転した時の条件と結果を表5に示す。150
℃では熱水の蒸気圧が上がるため、メカニカルシールの
ボックス圧力は0.8MPaとした。他の条件は上記と同じで
ある。この場合でも摩耗量は2.0〜2.5μm/50H(MAX
0.44mm/year)で、面荒れ、メカ鳴き、微量漏洩等は生
じなかった。このように150℃の熱水でも十分に使用可
能である。
【0016】本発明の実施例1のメカニカルシールの温
度と摩耗量の関係を図3に示す。比較のために前記比較
例1と従来カーボン1と従来カーボン1でメカニカルシ
ールを構成した比較例3と対比して示す。試験圧力はそ
れぞれの温度においてスタッフィングボックス内で流体
が気化しない圧力を用いている。従来カーボン1を用い
た比較例3や、SiCと従来カーボン1の組合せである比
較例1は、100℃以上の熱水になると温度上昇にとも
なって摩耗量が急激に増大する。しかしながら本発明の
カーボン同士の組合せである実施例1は、温度の影響が
少なく、摺動面が多少ドライ気味になっても、充分に長
寿命が望めることがわかる。
【0017】
【発明の効果】以上記載したように本発明のメカニカル
シールをバランス型メカニカルシールとして実現すれ
ば、130℃以上の熱水に使用可能なメカニカルシールを
得ることができる。このメカニカルシールは、摩耗が少
なく、ブリスターやサーマルクラックの発生がないの
で、長期連続運転に有効であり、安全性、メンテナンス
性、省スペース性などの点からその実用的効果は極めて
大である。当然の事ながら冷却装置・配管および多量の
冷却水が不要となるため設備費用・ランニング費用が大
幅に節約でき経済的な効果が大である。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
【表5】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す半断面図。
【図2】平均粒子と摩耗量の関係を示すグラフ。
【図3】熱水の温度と摩耗量との関係を示すグラフ。
【符号の説明】 1:回転環、2:非回転環、3:スプリング、4:段差
スリーブ、10:切欠、11:Oリング、20:Oリン
グ、30:折り曲げ部、31:折り曲げ部、50:イン
ペラ、51:切欠。
フロントページの続き (72)発明者 岡 裕士 東京都大田区矢口3丁目14番15号 株式会 社タンケンシールセーコウ内 (72)発明者 大 塚 裕 文 東京都大田区矢口3丁目14番15号 株式会 社タンケンシールセーコウ内 (72)発明者 藤 平 清 隆 東京都大田区矢口3丁目14番15号 株式会 社タンケンシールセーコウ内 Fターム(参考) 3J041 AA01 BA04 BA09 BC02 DA01 4G032 AA08 BA03 GA01 GA19 GA20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱水を取り扱う機器の回転軸に装着され
    回転軸と共に回転する回転環と機器本体側に非回転に装
    着され該回転環と摺動接触する非回転環とを備える熱水
    用メカニカルシールにおいて、前記回転環が自己焼結性
    を有するバルクメソフェース粉砕品とメソカーボンマイ
    クロビーズの中の1を主原料とした炭素材料で形成さ
    れ、前記非回転環が自己焼結性を有するバルクメソフェ
    ース粉砕品とメソカーボンマイクロビーズの中の1を主
    原料とした炭素材料で形成された、ことを特徴とする熱
    水用メカニカルシール。
  2. 【請求項2】 前記バルクメソフェース粉砕品またはメ
    ソカーボンマイクロビーズの平均粒径が30μm以下で
    ある、請求項1の熱水用メカニカルシール。
  3. 【請求項3】 前記回転環及び非回転環の中の少なくと
    も1が、メソカーボンマイクロビーズとバルクメソフェ
    ース粉砕品の中の1種類を80vol%以上含有し、且つ
    ショア硬さが100以上である、請求項目1又は2の熱
    水用メカニカルシール。
  4. 【請求項4】 前記メソカーボンマイクロビーズまたは
    バルクメソフェース粉砕品の揮発成分が5〜25wt%で
    ある、請求項目1又は2又は3の熱水用メカニカルシー
    ル。
  5. 【請求項5】 前記メソカーボンマイクロビーズまたは
    バルクメソフェース粉砕品のキノリン不溶分が80%以
    上である、請求項目1又は2又は3又は4の熱水用メカ
    ニカルシール。
  6. 【請求項6】 前記熱水が100℃以上である、請求項
    目1又は2又は3又は4又は5の熱水用メカニカルシー
    ル。
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