JPH09293684A - 熱処理用治具 - Google Patents

熱処理用治具

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JPH09293684A
JPH09293684A JP10529996A JP10529996A JPH09293684A JP H09293684 A JPH09293684 A JP H09293684A JP 10529996 A JP10529996 A JP 10529996A JP 10529996 A JP10529996 A JP 10529996A JP H09293684 A JPH09293684 A JP H09293684A
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JP
Japan
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heat treatment
silicon wafer
support
treatment jig
movable support
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JP10529996A
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Kenji Matsuura
浦 健 志 松
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱時にシリコンウェーハに生じる接触応力
や摩擦力を低減し、シリコンウェーハ材料特性や信頼性
を維持しうる熱処理用治具を提供する。 【解決手段】 本発明の熱処理用治具は、軸に垂直な支
持部13A〜16Aを所定間隔で備えた複数の支柱13
〜16を、支持部が円板状の半導体ウェーハ2の周縁部
に係合するようにかつ各軸が鉛直方向に平行になるよう
に配設したものであって、各支持部に、半導体ウェーハ
の熱処理時の変形を吸収する可動支持体3を備えたこと
を特徴とする。また本発明の熱処理用治具は、軸に垂直
な支持部113A〜116Aを所定間隔で備えた複数の
支柱113〜116を、支持部が円板状の半導体ウェー
ハ2の周縁部に係合するようにかつ各軸が水平方向に平
行になるように配設したものであって、各支持部に、半
導体ウェーハの外縁に係合してウェーハ表面の熱処理時
の変化に追随する可動支持体30を備えたことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被処理体、特に円
板状のウェーハに対して熱処理を施す際に、被処理体を
支持する熱処理用治具に関する。
【0002】
【従来の技術】図6(a),(b)を参照して、縦型拡
散炉に用いられる従来の熱処理用治具を説明する。図6
(a)は従来の縦型拡散炉に用いられる熱処理用治具を
示す正面図であり、図6(b)はそのうち支柱部分の構
成を示す斜視図である。
【0003】図示するように、この熱処理用治具1は石
英やシリコン等から構成され、上下にそれぞれ対向して
配置された円形の天井板11及び底面板12の間に、例
えば鉛直方向に各軸が平行に配置された4本の支柱13
〜16が設けられている。各支柱13〜16の間には、
複数のシリコンウェーハ2を挿入し、シリコンウェーハ
2の周縁部を下から支えるように、切欠部13A〜16
A,13B〜16B,………が備えられている。そのた
め、各支柱13〜16はシリコンウェーハ2の外周に位
置している。支柱13及び支柱16はほぼシリコンウェ
ーハ2の直径に相当する所に位置し、支柱14及び支柱
15は支柱13及び支柱16の間のシリコンウェーハ2
の外周部に位置している。また、切欠部13A〜16
A,13B〜16B,………は、シリコンウェーハ2の
外縁部の一部を下から面支持できるように、切欠状にな
っており、その切欠方向はシリコンウェーハ2の外周の
接線方向である。
【0004】複数のシリコンウェーハ2が挿入された熱
処理用治具1は、そのまま縦型拡散炉(図示せず)に挿
入され、例えば数百〜千数百°Cまで加熱され、必要な
処理が行われる。
【0005】次に、図8(a),(b)を参照して、横
型拡散炉に用いられる従来の熱処理用治具を説明する。
図8(a)は従来の横型拡散炉に用いられる熱処理用治
具を示す平面図であり、図8(b)はそのうち支柱部分
の構成を示す斜視図である。
【0006】図示するように、この熱処理用治具100
は石英やシリコン等から構成され、左右にそれぞれ対向
して垂直に配置された円形の底面板111,112の間
に、水平方向に各軸が平行に配置された例えば4本の支
柱113〜116が設けられている。各支柱113〜1
16の間には、複数のシリコンウェーハ2を垂直に挿入
し、シリコンウェーハ2の下側の周縁部を支えるよう
に、切欠部113A〜116A,113B〜116B,
………が備えられている。そのため、各支柱113〜1
16はシリコンウェーハ2の下半分の外周に位置し、支
柱113及び支柱116はほぼシリコンウェーハ2の直
径に相当する所に位置し、支柱140及び支柱115は
支柱113及び支柱116の間のシリコンウェーハ2の
下側の外周部に位置している。また、切欠部113A〜
116A,113B〜116B,………は、シリコンウ
ェーハ2の外縁部の一部を支持できるように、切欠状に
なっており、その切欠方向はシリコンウェーハ2の外周
の接線方向である。
【0007】複数のシリコンウェーハ2が挿入された熱
処理用治具1は、そのまま横型拡散炉(図示せず)に挿
入され、例えば数百〜千数百°Cまで加熱され、必要な
処理が行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した縦型拡散炉に
用いられる従来の熱処理用治具では以下のような問題点
が生じる。
【0009】図7の切欠部13A付近の部分拡大図に示
すように、加熱前はシリコンウェーハ2と切欠部13A
の下面17Aとが一定の面積をもって接触していたのに
対して(図7(a)参照)、加熱に伴い降伏応力が小さ
くなるため、シリコンウェーハ2が自重により変形しや
すくなり、切欠部13Aの下面17Aとシリコンウェー
ハ2との接触面積が小さくなる場合(図7(b)参
照)、シリコンウェーハ2に加わる接触応力が大きくな
る。
【0010】すなわち、室温に比べて高温下では、単結
晶シリコンの弾性率と降伏応力とはそれぞれ低くなる。
弾性率が低くなるとウェーハは変形しやすくなり、降伏
応力が低くなると転位(スリップ)が生じやすくなる。
そのため、シリコンウェーハの熱処理では、低弾性率化
によって、自重でもウェーハが変形するようになる。こ
の変形によって、切欠部13Aとシリコンウェーハ2と
の接触面積が小さくなり、シリコンウェーハ2に作用す
る局部の接触圧力は大きくなる。更に、降伏応力も低く
なるため、転位(スリップ)が生じやすくなる。
【0011】更に、シリコンウェーハ2の変形により切
欠部13Aとシリコンウェーハ2との接触点30が移動
するため(図7(b)参照)、シリコンウェーハ2に摩
擦力が生じる。
【0012】また、この接触応力や摩擦力は、支柱13
〜16、天井板11、底面板12、及びシリコンウェー
ハ2の熱変形動作がそれぞれ異なる場合、すなわちシリ
コンウェーハの最終的な熱処理温度における熱膨脹差が
異なる場合や、あるいは最終的な熱処理温度における熱
膨脹差が異ならないとしても、昇温中(あるいは降温
中)のある時点の温度において熱膨脹差が異なる場合
に、更に増大する。
【0013】これら接触応力や摩擦力はシリコンウェー
ハ2にスリップやキズ、塵埃を生じさせ、これらのスリ
ップやキズはシリコンウェーハ2の材料特性や信頼性を
損う原因となる。
【0014】また、上述した横型拡散炉に用いられる従
来の熱処理用治具では以下のような問題点が生じる。
【0015】図9の切欠部114A付近の部分拡大図に
示すように、加熱に伴い降伏応力が小さくなるため、シ
リコンウェーハ2が自重により横方向に変形しやすくな
る。この変形によって、シリコンウェーハ2が切欠部1
14Aに対して斜めになり、シリコンウェーハ2と切欠
部114Aとの接触面積が小さくなり(図9参照)、シ
リコンウェーハ2に加わる接触応力が大きくなる。
【0016】また、シリコンウェーハ2の変形により切
欠部114Aとシリコンウェーハ2との接触点130が
移動するため、シリコンウェーハ2に摩擦力が生じる。
【0017】また、この接触応力や摩擦力は、支柱11
3〜116、底面板111,112、及びシリコンウェ
ーハ2の熱変形動作がそれぞれ異なる場合、すなわちシ
リコンウェーハの最終的な熱処理温度における熱膨脹差
が異なる場合や、あるいは最終的な熱処理温度における
熱膨脹差が異ならないとしても、昇温中(あるいは降温
中)のある時点の温度において熱膨脹差が異なる場合
に、更に増大する。
【0018】これら接触応力や摩擦力は、前述した従来
の縦型拡散炉に用いられる熱処理用治具と同様に、シリ
コンウェーハ2にスリップやキズ、塵埃を生じさせ、こ
れらのスリップやキズはシリコンウェーハ2の材料特性
や信頼性を損う原因となる。
【0019】そこで本発明の目的は、加熱時にシリコン
ウェーハに生じる接触応力や摩擦力を低減し、シリコン
ウェーハ材料特性や信頼性を維持しうる熱処理用治具を
提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の熱処理用治具
は、軸に垂直な支持部を所定間隔で備えた複数の支柱
を、支持部が円板状の半導体ウェーハの周縁部と係合す
るようにかつ各軸が鉛直方向に平行になるように配設し
たものであって、各支持部に、半導体ウェーハの熱処理
時の変形を吸収する可動支持体を備えたことを特徴とす
る。
【0021】このように半導体ウェーハを支持する可動
支持体が、半導体ウェーハの変形を吸収するように動く
ため、半導体ウェーハに生じる接触応力や摩擦力を低減
することができる。
【0022】本発明の熱処理用治具は、可動支持体が球
状あるいは略円筒状の形状を有することを特徴とする。
【0023】このように可動支持体が半導体ウェーハの
変形に合わせてその変形を吸収するように回転するた
め、半導体ウェーハに生じる接触応力や摩擦力を低減す
ることができる。
【0024】本発明の熱処理用治具は、支持部の半導体
ウェーハの支持面に、可動支持体を所定の範囲に制限す
る凹部が形成されていることを特徴とする。
【0025】このように、凹部を形成するため、可動支
持体を所定の範囲にとどめておくことが可能になる。
【0026】本発明の熱処理用治具は凹部の底面が前記
支持面と平行に形成されていることを特徴とする。
【0027】このように、溝を形成するため可動支持体
を所定の範囲にとどめておくことが可能になる。
【0028】本発明の熱処理用治具は溝の底面が下に凸
状に形成されていることを特徴とする。
【0029】このように、溝の底面が下に凸状を有する
ため、可動支持体の位置決めをすることが可能になる。
【0030】本発明の熱処理用治具は、軸に垂直な支持
部を所定間隔で備えた複数の支柱を、支持部が円板状の
半導体ウェーハの周縁部と係合するようにかつ各軸が水
平方向に平行になるように配設したものであって、各支
持部に、半導体ウェーハの外縁に係合してウェーハ表面
の熱処理時の変化に追随する可動支持体を備えたことを
特徴とする。
【0031】このように、半導体ウェーハを支持する可
動支持体が、半導体ウェーハの変形に合わせて、その変
形を吸収するように動くため、半導体ウェーハに生じる
接触応力や摩擦力を低減することができる。
【0032】本発明の熱処理用治具は、可動支持体が半
導体ウェーハの外縁の一部を囲み、半導体ウェーハの厚
さよりやや広い幅を有する支持口を備えたものであるこ
とを特徴とする。
【0033】このように、可動支持体が支持口を備えた
ため、半導体ウェーハが変形に伴い、その変形を吸収す
るように動くため、半導体ウェーハに生じる接触応力や
摩擦力をより低減することができる。
【0034】
【発明の実施の形態】本発明は、縦型熱拡散炉及び横型
熱拡散炉に使用される熱処理用治具についてのものであ
るが、まず縦型熱拡散炉に使用される熱処理用治具につ
いて説明する。
【0035】以下、本発明に係る熱処理用治具の実施の
1形態を図1を参照して説明する。
【0036】図1(a)は、この形態による熱処理用治
具の1つの切欠部13A付近を示した部分正面図であ
り、図1(b)は図1(a)の断面A−A′を矢印方向
から見た切欠部13Aの平面図である。
【0037】この形態による熱処理用治具の支柱の構成
は、従来の技術で説明したものと同様である。すなわ
ち、図6に示すように、熱処理用ボート1は、バッチ型
ボートであり、上下にそれぞれ対向して配置された円形
の天井板11及び底面板12の間に、例えば4本の支柱
13〜16が設けられている。
【0038】各支柱13〜16の間には、複数のシリコ
ンウェーハ2が挿入され、シリコンウェーハ2の周縁部
を下から間接的に支えるように、切欠部13A〜16
A,13B〜16B,………が備えられている。そのた
め、各支柱13〜16はシリコンウェーハ2の外周に位
置し、支柱13及び支柱16は、ほぼシリコンウェーハ
2の直径に相当する所に位置し、支柱14及び支柱15
は支柱13及び支柱16の間のシリコンウェーハ2の外
周部に位置している。
【0039】熱処理用治具1は、図1(a),(b)に
示すように切欠部13Aの下面17Aにシリコンウェー
ハ2を支持する例えば球状の可動支持体3が載置されて
いる。更に可動支持体3を所定の範囲にとどめるため、
底面が平らである凹部20が形成されている。このよう
な可動支持体3及び凹部20は各切欠部毎に設けられて
いる。
【0040】この形態では、シリコンウェーハ2が自重
により変形する時や加熱により変形する時でも、その変
形に伴い可動支持体3が凹部20の内部で自在に転がる
ことができるため、シリコンウェーハ2と可動支持体3
との接触部分に生じる摩擦を避けることができる。
【0041】更に可動支持体3は球状の形態を有してい
るため、シリコンウェーハ2と可動支持体3との接触部
分が移動しても、その接触部分の面積が変化しないた
め、接触応力は増大しない。
【0042】ここで、実際に直径20cm、厚さ0.7
25mmのシリコンウェーハを、この形態のように炭化
珪素からなる直径10mmの球状の可動支持体に載置し
て、1200度Cの水素雰囲気の縦型拡散炉に入れて1
時間の熱処理を施した。また、比較のため従来のような
切欠部の下面で直接シリコンウェーハを支持する熱処理
用治具を使用して、直径20cm、厚さ0.725mm
のシリコンウェーハを、1200度Cの水素雰囲気の縦
型拡散炉に入れて1時間の熱処理を施した。
【0043】両方の熱処理用治具を使用して加熱したシ
リコンウェーハに発生したスリップ率を比較した(図1
0の図表を参照)。従来の熱処理用治具を使用した場合
(スリップ発生率100)に比べ、この形態による熱処
理用治具を使用した場合(スリップ発生率10)の方
が、大幅にスリップの発生率を防止できた。
【0044】なお、この可動支持体は転がる形状のもの
であればよく、例えば略円筒状の形状であってもかまわ
ない。
【0045】次に、本発明に係る熱処理用治具の実施の
別の形態を図2を参照して説明する。
【0046】図2(a)は、熱処理用治具の1つの切欠
部13A付近を示した部分正面図であり、図2(b)は
図2(a)の断面B−B′を矢印方向から見た切欠部1
3Aの平面図である。
【0047】この形態は、可動支持体3を所定の範囲に
とどめるための凹部20aの底面を下に凸の形状となる
ように形成することにより、シリコンウェーハを搭載し
ていない時に、可動支持体3の位置出しができるように
している。このような可動支持体3及び凹部20aは各
切欠部毎に設けられている。
【0048】この熱処理用治具も、前述した実施の形態
と同様に、シリコンウェーハ2が自重により変形する時
や加熱により変形する時でも、その変形に伴い可動支持
体3が凹部20aの内部で自在に転がることができるた
め、シリコンウェーハ2と可動支持体3との接触部分に
生じる摩擦を避けることができる。
【0049】また可動支持体3は球状の形態を有してい
るため、シリコンウェーハ2と可動支持体3との接触部
分が移動しても、その接触部分の面積が変化しないた
め、接触応力は増大しない。
【0050】更に凹部20aが下に凸の形状を有してい
るため、シリコンウェーハ2の搭載前に可動支持体3を
常に安定位置に位置させることができる。
【0051】ここで、実際に略半球状の凹部にこの形態
のように炭化珪素からなる直径10mmの球状の可動支
持体を置き、直径20cm、厚さ0.725mmのシリ
コンウェーハをこの可動支持体に載置して、1200度
Cの水素雰囲気の縦型拡散炉に入れて1時間の熱処理を
施した。また、比較のため従来のような切欠部の下面で
直接シリコンウェーハを支持する熱処理用治具を使用し
て、直径20cm、厚さ0.725mmのシリコンウェ
ーハを、1200度Cの水素雰囲気の縦型拡散炉に入れ
て1時間の熱処理を施した。
【0052】両方の熱処理用治具を使用して加熱したシ
リコンウェーハに発生したスリップ率を比較した(図1
0の図表を参照)。従来の熱処理用治具を使用した場合
(スリップ発生率100)に比べ、この形態による熱処
理用治具を使用した場合(スリップ発生率20)の方
が、大幅にスリップの発生率を防止できた。
【0053】なお、図3(a),(b)に示すように、
凹部20bの溝幅を球状の可動支持体3の直径より小さ
くすることにより、可動支持体3が径方向に対しては自
由に動けるようにする一方で、径方向以外に対しては動
きを拘束するようにすることができる。
【0054】次に、本発明に係る熱処理用治具の実施の
形態を図4を参照して説明する。
【0055】図4(a)は、熱処理用治具の1つの切欠
部13A付近を示した部分正面図であり、図4(b)は
図4(a)の断面C−C′を矢印方向から見た切欠部1
3Aの平面図である。
【0056】図4(a),(b)に示すように切欠部1
3Aの下面17Aにはシリコンウェーハ2を面支持する
ガイド4が設けられ、ガイド4は支点40を中心にして
その上面の水平面となす角度がある範囲で変化できるよ
うに軸着されている。このようなガイド4は各切欠部毎
に設けられている。
【0057】この実施の形態では、シリコンウェーハ2
が変形する時でも、その変形を吸収するようにガイド4
が動くため、シリコンウェーハ2に生じる摩擦を避ける
ことができる。
【0058】またガイド4はシリコンウェーハ2を面で
支持するため、上述した形態に比較して、シリコンウェ
ーハ2に加わる応力集中を小さくすることができる。
【0059】ここで、実際に直径20cm、厚さ0.7
25mmのシリコンウェーハを、この形態のように炭化
珪素からなるガイドに載置して、1200度Cの水素雰
囲気の縦型拡散炉に入れて1時間の熱処理を施した。ま
た、比較のために従来のような切欠部の下面で直接シリ
コンウェーハを支持する熱処理用治具を使用して、直径
20cm、厚さ0.725mmのシリコンウェーハを、
1200度Cの水素雰囲気の縦型拡散炉に入れて1時間
の熱処理を施した。
【0060】両方の熱処理用治具を使用して加熱したシ
リコンウェーハに発生したスリップ率を比較した(図1
0の図表を参照)。従来の熱処理用治具を使用した場合
(スリップ発生率100)に比べ、この形態による熱処
理用治具を使用した場合(スリップ発生率40)の方
が、大幅にスリップの発生率を防止できた。
【0061】次に、横型熱拡散炉に使用される熱処理用
治具について説明する。
【0062】本発明に係る熱処理用治具の実施の形態を
図5を参照して説明する。
【0063】図5(a)は、熱処理用治具の1つの切欠
部113A付近を示した部分正面図であり、図5(b)
は図5(a)の断面D−D′を矢印方向から見た切欠部
114Aの正面図である。
【0064】この形態による熱処理用治具の支柱の構成
は、従来の技術で説明したものと同様である。すなわ
ち、図8に示すように、熱処理用ボート100は、バッ
チ型ボートであり、左右にそれぞれ対向して配置された
円形の底面板111,112の間に、例えば4本の支柱
113〜116が水平方向に設けられている。
【0065】各支柱113〜116の間には、複数のシ
リコンウェーハ2を垂直に挿入し、シリコンウェーハ2
の周縁部を支えるように、切欠部113A〜116A,
113B〜116B,………が備えられている。そのた
め、各支柱113〜116はシリコンウェーハ2の下半
分の外周に位置し、支柱113及び支柱116は、ほぼ
シリコンウェーハ2の直径に相当する所に位置し、支柱
114及び支柱115は支柱113及び支柱116の間
のシリコンウェーハ2の下側の外周部に位置している。
【0066】図5(a),(b)に示すように切欠部1
14Aにはシリコンウェーハ2を支持する可動支持体3
0が設けられている。可動支持体30は、シリコンウェ
ーハ2の変形を吸収するように、すなわち支点40を中
心にしてシリコンウェーハ2の表面となす角度がある範
囲で変化できるように支柱114に軸着されている。可
動支持体30のシリコンウェーハ2の支持部分には、シ
リコンウェーハ2の厚さよりやや幅が広い支持口41が
形成されている。このような支持口41を有する可動支
持体30は各切欠部毎に設けられている。
【0067】この実施の形態では、シリコンウェーハ2
が加熱により変形する時でも、シリコンウェーハ2の変
形に伴い、可動支持体30がその変形を吸収するように
動くため、シリコンウェーハ2に生じる摩擦を避けるこ
とができる。更に、シリコンウェーハ2が変形しても、
シリコンウェーハ2と支持部とが面接触を保ち、また接
触応力も増加しない。
【0068】ここで、実際に直径20cm、厚さ0.7
25mmのシリコンウェーハを、この形態のように炭化
珪素からなる直径10mmの球状の可動支持体に載置し
て、1200度Cの水素雰囲気の横型拡散炉に入れて1
時間の熱処理を施した。また、比較のために従来のよう
な切欠部の面で直接シリコンウェーハを支持する熱処理
用治具を使用して、直径20cm、厚さ0.725mm
のシリコンウェーハを、1200度Cの水素雰囲気の横
型拡散炉に入れて1時間の熱処理を施した。
【0069】両方の熱処理用治具を使用し、加熱したシ
リコンウェーハに発生したスリップ率を比較した(図1
0の図表を参照)。従来の熱処理用治具を使用した場合
(スリップ発生率100)に比べ、この形態による熱処
理用治具を使用した場合(スリップ発生率85)の方
が、スリップの発生率を減少できた。
【0070】なお、可動支持体はシリコンウェーハの平
面の変化を吸収できる態様ならどのようなものでもよ
い。
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、加熱時にシリコンウェ
ーハに生じる接触応力や摩擦力を低減し、シリコンウェ
ーハ材料特性や信頼性を維持しうる熱処理用治具を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱処理用治具による第1の実施の形態
を示す部分正面図及び断面A−A′を矢印方向から見た
平面図。
【図2】本発明の熱処理用治具による第2の実施の形態
を示す部分正面図及び断面B−B′を矢印方向から見た
平面図。
【図3】本発明の熱処理用治具による第2の実施の形態
を示す部分正面図及び断面A−A′を矢印方向から見た
平面図。
【図4】本発明の熱処理用治具による第3の実施の形態
を示す部分正面図及び断面C−C′を矢印方向から見た
平面図。
【図5】本発明の熱処理用治具による第4の実施の形態
を示す部分正面図及び断面D−D′を矢印方向から見た
正面図。
【図6】従来の縦型拡散炉に用いられる熱処理用治具を
示す正面図及び支柱部分の構成を示す斜視図。
【図7】図6の切欠部付近を示す部分拡大図。
【図8】従来の横型拡散炉に用いられる熱処理用治具を
示す平面図及び支柱部分の構成を示す斜視図。
【図9】図8の切欠部付近を示す部分拡大図。
【図10】従来の熱処理用治具及び本発明による熱処理
用治具を使用して熱処理した結果のスリップ発生率を示
す図表。
【符号の説明】
1,100 熱処理用治具 2 シリコンウェーハ 3,30 可動支持体 4 ガイド 20,20a 凹部 13〜16,113〜116 支柱 13A〜16A,113A〜116A 切欠部

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軸に垂直な支持部を所定間隔で備えた複数
    の支柱を、前記支持部が円板状の半導体ウェーハの周縁
    部と係合するようにかつ各軸が鉛直方向に平行になるよ
    うに配設した熱処理用治具において、 前記各支持部に、前記半導体ウェーハの熱処理時の変形
    を吸収する可動支持体を備えたことを特徴とする熱処理
    用治具。
  2. 【請求項2】前記可動支持体は球状あるいは略円筒状の
    形状を有することを特徴とする請求項1に記載の熱処理
    用治具。
  3. 【請求項3】前記支持部の半導体ウェーハの支持面に、
    前記可動支持体を所定の範囲に制限する凹部が形成され
    ていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    の熱処理用治具。
  4. 【請求項4】前記凹部の底面が前記支持面と平行に形成
    されていることを特徴とする請求項3に記載の熱処理用
    治具。
  5. 【請求項5】前記凹部の底面が下に凸状に形成されてい
    ることを特徴とする請求項3に記載の熱処理用治具。
  6. 【請求項6】軸に垂直な支持部を所定間隔で備えた複数
    の支柱を、前記支持部が円板状の半導体ウェーハの周縁
    部と係合するようにかつ各軸が水平方向に平行になるよ
    うに配設した熱処理用治具において、 前記各支持部に、前記半導体ウェーハの外縁に係合して
    ウェーハ表面の熱処理時の変化に追随する可動支持体を
    備えたことを特徴とする熱処理用治具。
  7. 【請求項7】前記可動支持体は前記半導体ウェーハの外
    縁の一部を囲み、前記半導体ウェーハの厚さよりやや広
    い幅を有する支持口を備えたものであることを特徴とす
    る請求項6に記載の熱処理用治具。
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