JPH09291375A - 鉄基材に被膜を備えた物品 - Google Patents

鉄基材に被膜を備えた物品

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JPH09291375A
JPH09291375A JP10694396A JP10694396A JPH09291375A JP H09291375 A JPH09291375 A JP H09291375A JP 10694396 A JP10694396 A JP 10694396A JP 10694396 A JP10694396 A JP 10694396A JP H09291375 A JPH09291375 A JP H09291375A
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iron
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JP10694396A
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English (en)
Inventor
Yasushi Umeda
泰 梅田
Makoto Yanagawa
誠 柳川
Shiho Terada
志帆 寺田
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NOGE DENKI KOGYO KK
Noge Electric Industries Co Ltd
Original Assignee
NOGE DENKI KOGYO KK
Noge Electric Industries Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】基材として、鉄や鉄合金を用いた場合であって
も、高い耐食性の得られる被膜の構成を提供する。 【解決手段】基材11と、基材11上の少なくとも一部
に形成された被膜12〜19とを有する物品。基材11
は、鉄を含む材料からなる。被膜は、複数層からなり、
複数層のうちの基材11と接する層12は、鉄よりもイ
オン化傾向の大きい元素を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄基材上にめっき
被膜を備えた物品に関し、特に、鉄基材に被膜を備えた
リードフレームに関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子用のリードフレームにおいて
は、従来より半田付け時やワイヤボンディング時の接合
性、ならびに、リードフレーム自体の耐食性を向上させ
るために、基材に様々な被膜加工を施す技術が開発され
ている。例えば、特公昭63−49382号公報には、
Ni下地メッキ層とPd層とを積層することにより、半
田付け時やワイヤボンディング時の接合性を保持しつ
つ、耐食性を向上させる構成が開示されている。また、
特開平4−115558号公報には、Pd層の上に、A
gやAuめっき被膜を薄く形成することによりPd層の
酸化を防ぎ、半田濡れ性を向上させる構成が開示されて
いる。さらに、特開平7−169901号公報には、N
i層の上に保護合成層を形成する構成が開示されてい
る。保護合成層として、Pd層、Pd/Ni層、Au層
等の多層膜が示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来のリードフレームの構成において、リードフレーム
の基材として鉄や鉄合金を用いた場合には、十分な耐食
性が得られないことがわかった。具体的には、上述の従
来の技術で開示されているリードフレームの構成の基材
として鉄や鉄合金材を用いた試料に対して、耐環境テス
トしてよく知られるJIS規格の塩水噴霧試験を行う
と、表面に鉄さびが著しく発生してしまうのである。こ
のような鉄さびが発生すると、半田付け時の接合性が著
しく低下するとともに、リードの強度を下げてしまうた
め、製品の寿命に大きく影響を与える。
【0004】本発明は、リードフレームの基材として、
鉄や鉄合金を用いた場合であっても、高い耐食性の得ら
れるリードフレームの構成を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のよれば、下記のような物品が提供される。
【0006】すなわち、基材と、前記基材上の少なくと
も一部に形成された被膜とを有する物品であって、前記
基材は、鉄を含む材料からなり、前記被膜は複数層から
なり、該複数層のうちの前記基材と接する層は、鉄より
もイオン化傾向の大きい元素を含む層とする。
【0007】上述の元素としては、例えばZnを用いる
ことができる。
【0008】本発明では、鉄よりもイオン化傾向の大き
い元素を含む層を基材に接するように配置することによ
り、鉄合金の腐食が、被膜の最外表面に達することがな
いようにするものである。さびの発生は、基材や被膜に
含まれる金属の中でイオン化傾向が一番昇な元素が、被
膜中のピンホール部分等において反応してイオンとな
り、このイオンが表面に移動して酸化されるために生じ
る。基材に鉄や鉄合金を使用した場合、従来の被膜中の
金属元素よりもイオン化傾向の大きい鉄元素のさびが生
じやすい。本発明では、鉄よりもイオン化傾向の大きい
元素を含む膜を、基材に接するように配置する。このた
め、この元素が鉄よりも先にイオン化し、鉄さびの発生
を押さえることが可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態について図
面を用いて説明する。
【0010】まず、一実施の形態のリードフレームにつ
いて、図1(a)を用いて説明する。
【0011】図1(a)のように、本実施の形態では、
基材11として鉄合金を用い、基材11の表面に、基材
11に接するようにZn−Sn合金層12を配置してい
る。Zn−Sn合金層12は、基材11に含まれるFe
よりもイオン化傾向の昇な元素Znを含んでいるため、
Zn−Sn合金層12を基材11に接するように配置す
ることにより、ZnがFeよりも先にイオン化する。こ
れにより、鉄さびの発生を押さえることができる。
【0012】このZn−Sn合金層12の上には、リー
ドフレームの半田付け時およびボンディング時の接合性
を向上させるために、Cu層13からPd−Au拡散層
19までの各層が形成されている。
【0013】Zn−Sn合金層12の上に配置されるC
u層13は、Cu層13の上に形成されるNi層14の
密着性を向上させるための下地膜である。Ni層14
は、半田付け時に半田と溶融し、良好な接合を形成す
る。
【0014】Ni層14の上には、Ni層14の酸化を
防ぐためにPd層18が配置される。Ni層14とPd
層18との間には、両者の密着性を向上させるために、
層15〜層17が形成される。すなわち、Ni層14の
上側には、Ni層14と接するようにNi−Au拡散層
15が形成され、また、Pd層18の下側には、Pd層
18と接するようにPd−Au拡散層17が形成され
る。Ni−Au拡散層15とPd−Au拡散層17との
間には、これら2層を形成するためのAu層16が配置
される。Pd層18は、耐食性に優れているとともに、
半田には溶融し難く、ボンディングワイヤとの接合にも
優れているため、Ni層14の酸化を防ぎ、半田付け時
やボンディング時に良好な接合性を提供することができ
る。
【0015】また、Pd層18の最表面には、Pd−A
u拡散層19を配置する。Pd−Au拡散層19は、P
d層18の表面に酸化膜が形成されてボンディング性や
半田濡れ性が低下するのを防止するために配置される。
【0016】このように、本実施の形態の図1(a)の
構成のリードフレームでは、被膜の最下層にZn−Sn
合金膜を配置しているため、被膜にピンホール1が存在
し、ピンホール1を介して各層が大気にさらされる場合
であっても、被膜に含まれる金属元素の中でイオン化傾
向が最も昇な元素であるZnが、基材11中のFeより
も先にイオン化する。よって、基材11中のFeがイオ
ン化して酸化し鉄さびとなるのを抑制することができ
る。実装後のアウターリードの強度は、腐食が生じない
ため弱くならない。
【0017】実際に、図1(a)の形態の被膜を備えた
リードフレーム試料を作成し、その耐食性、半田濡れ
性、および、ボンディング特性について調べた。その結
果を、図3,図4を用いて説明する。
【0018】試料は、基材11を、鉄とニッケルとの合
金(Ni42%残部Fe)で形成し、被膜の各層は、め
っきにより形成した。Ni層14、Pd層18、Pd−
Au拡散層19の厚さは、それぞれ、0.5〜3μm、
0.02〜0.5μm、0.01μmとした。また、N
i−Au拡散層15、Au層16、Pd−Au拡散層1
7の厚さは、それぞれ、0.003μm、0.005μ
m、0.004μmとした。また、Zn−Sn層12と
Cu層13の厚さは、図3,図4のように変化させて、
複数の試料を作成した。比較試料として、Zn−Sn層
12を備えていないものも作成した。
【0019】まず、本実施の形態のリードフレームの耐
食性を調べるために、各試料をそれぞれ3つずつ用意
し、これらの試料を用いて塩水噴霧試験(JIS Z2
371)を行った。試験は、温度35±1℃、塩水濃度
5±1%、24時間の条件で行った。評価は、試料表面
の3cm2あたりの腐食点の数を計数することによってお
こなった。その結果を図3に示す。
【0020】図3から明らかなように、Zn−Sn合金
層12が配置されていない試料(図3においてZn−S
n層の厚さが0μmのもの)と、Zn−Sn合金層12
が配置されている試料とを比較すると、Zn−Sn合金
層12が配置されている試料の方が耐食性が優れてい
る。これにより、本実施の形態のようにZn−Sn合金
層12を配置する構成により、鉄さびを抑制することが
できることが確認できた。また、Zn−Sn合金層12
の厚さが厚い方がより耐食性に優れていることもわかっ
た。
【0021】また、図3から、Cu層13が配置されて
いない試料よりも、配置されている試料の方が耐食性に
優れ、しかも、Cu層13の厚さが厚いほどより耐食性
に優れていることがわかる。これは、Cu層13を配置
することにより、Ni層14の密着性を向上させること
ができるためであると考えられる。
【0022】また、本実施の形態のリードフレームの半
田濡れ性を評価するための試験を行った。この試験は、
上述の試料を300℃で1分間加熱後、230℃の共晶
半田に1秒間浸漬する試験である。試験後、試料表面の
95%が半田で濡れている場合に合格と評価した。ただ
し、半田にはフラックスとして田村化研製のNA−20
0を使用した。評価結果を図4に示す。図4から明らか
なように、すべての試料が合格であり、本実施の形態の
リードフレームにおけるZn−Sn合金層12が、半田
濡れ性に影響を与えないことが確認できた。
【0023】さらに、本実施の形態のリードフレームの
ボンディング時の接合強度を評価するために、上述の試
料を用いて実際にボンディングを行い、接合強度を調べ
る実験を行った。その結果、いずれの試料を接合強度は
良好であった。これにより、本実施の形態のリードフレ
ームにおけるZn−Sn合金層12が、ボンディングの
接合強度に影響を与えないことが確認できた。
【0024】以上のように、本実施の形態の図1(a)
の構成のリードフレームは、鉄さびを抑えることがで
き、しかも、半田濡れ性およびボンディング接合性も高
いことがわかる。
【0025】なお、本実施の形態のリードフレームの外
形は、図8のような形状とすることができる。すなわ
ち、アイランド部81と、インナーリード部82と、ア
ウターリード部83と、タイバー部84とを備えた形状
である。アウターリード部83は、ICチップ化された
時にモールドの外側に露出される部分である。また、イ
ンナーリード部82は、モールドの内側に位置し、アイ
ランド部81に搭載される半導体素子とのワイヤボンデ
ィングが施される部分である。
【0026】本実施の形態では、アウターリード部83
には、図1(a)の層12〜層19の被膜のすべてを形
成する。また、インナーリード部82のうちボンディン
グが施される領域IIにも、層12〜19の被膜のすべて
を形成するが、インナーリード部82のうちのボンディ
ングが施されない領域IIIには層12〜層14の3層の
みを形成することが望ましい。また、アイランド部81
(図8の領域IV)も、層12〜層14の3層のみを形成
することが望ましい。このように、図8の領域IIIおよ
びIVにおいて、Ni層14を露出するのは、半導体素子
とアイランド部81との接着に用いられる樹脂や、モー
ルドに用いられる樹脂との密着を良好にするためであ
る。
【0027】ここで、本実施の形態の図1(a)のリー
ドフレームの各層の膜厚は、上述の試料の膜厚に限定さ
れるものではなく、自由に設計することができる。たと
えば、Zn−Sn合金層12を1.0〜3.0μm、C
u層13を3〜7μm、Ni層14を0.5〜2.0μ
m、Pd層18を0.05〜1.0μm、Pd−Au拡
散層19を0.005〜0.015μmにすることがで
きる。
【0028】また、図1(a)の実施の形態では、Zn
−Sn合金層12を用いているが、Zn−Sn合金層1
2の代わりにZn層を配置する構成にすることや、図1
(b)のように、Zn−Sn合金層12と基材11との
間にZn層20を配置する構成にすることができる。Z
n層は、Zn−Sn合金層12よりも硬度は低いが、層
に含まれるZnの割合がZn−Sn合金層12よりも大
きいため、Znイオンをより多く放出することができ、
鉄さびを押さえるのに好適である。
【0029】さらに、本実施の形態では、鉄よりもイオ
ン化傾向の昇な元素としてZnを用い、Znを含む層1
2、20を基材11上に配置しているが、本発明はZn
に限定されるものではない。例えば、MgやAl等の鉄
よりもイオン化傾向の大きい元素を含む膜をZn−Sn
合金層12の代わりに用いることも可能である。このと
きには、リードフレームの半田付けやボンディングに用
いる接合条件に応じて、接合に悪影響を与えない膜を実
験により選択して用いる。
【0030】また、本発明において、鉄よりもイオン化
傾向の大きい元素を含む層(図1(a)ではZn−Sn
合金層12)の上に形成される層の構成は、図1(a)
の構成に限定されるものではない。これらの層は、リー
ドフレームの半田付け時およびボンディング時に必要と
される接合性を提供することができる層の構成であれば
いかなる構成であってよい。たとえば、図1(a)で
は、Ni層14とPd層18との密着性を向上させるた
めに、層15〜層17を配置しているが、これらの3層
を取り去った構成にすることが可能である。また、たと
えば、図2(a)のように、図1(a)の構成において
Au層16がない構成や、図2(b)のように層15〜
層17の代わりに、NiとPdとAuとが相互に拡散し
たNi−Pd−Au拡散層22を備えた構成にすること
ができる。さらに、図2(c)のように、図1(a)の
Au層16の代わりにNi−Pd−Au拡散層22を備
えた構成にすることもできる。図2(a)、(b)、
(c)の構成の場合にも、Ni層14とPd層18との
密着性を向上させることができる。
【0031】また、図1(a)では被膜の最表層をPd
にAuが拡散したPd−Au拡散層19としているが、
必ずしも拡散層にする必要はなく、単にAu層を配置し
た構成にすることも可能である。
【0032】ここで、図1(a)の構成のリードフレー
ムの被膜を製造する工程について説明する。本実施の形
態では、被膜の各層を電気めっきにより形成している。
【0033】まず、図5(a)のように、複数のリード
フレーム基材11が連なった短冊状の基材50を複数本
めっき治具51にセットする。これを、図5(b)のよ
うに、めっき浴52中の2つのアノード53の間に配置
する。めっき治具51を介して短冊状の基材50を電源
の負極に接続し、電解洗浄やめっきを行う。このとき、
めっき浴52内に、噴流形成装置54により噴流を形成
する。また、めっき浴52の加温が必要な工程では、不
図示のヒータにより加熱する。めっき浴52としては、
表1および表2に示した各工程のそれぞれの組成のめっ
き浴を用意しておき、これらのめっき浴で表1および表
2に示した条件で順に、 1、アルカリ電解洗浄工程、 2、塩酸浸漬工程、 3、Zn−Snめっき工程 4、銅めっき工程 5、ニッケルめっき工程 6、金ストライク工程 7、パラジウムめっき工程 8、金ストライク工程 を行うことにより、図1(a)に示した層構成の被膜を
基材11上に形成することができる。
【0034】工程1、2は、基材11表面の洗浄工程で
ある。工程3は、Zn−Sn合金層12を形成する工程
である。工程4はCu層13を、工程5はNi層14
を、工程6はAu層16を、工程7はPd層18を形成
する工程である。工程8は、Pd−Au拡散層19の形
成のためのAu層を、Pd層18の上に形成する工程で
ある。
【0035】これらのめっき工程が終了した後、被膜の
乾燥工程として、熱風乾燥を施す。このとき本実施の形
態では、熱風温度を110℃〜150℃にすることによ
り、乾燥と同時にめっき被膜に熱処理を加え、Au層1
6のAuをNi層14およびPd層18に拡散させて、
Ni−Au拡散層15およびPd−Au拡散層17を形
成する。同時に、工程8で形成したAu層をPd層18
に拡散させてPd−Au拡散層19を形成する。
【0036】なお、熱風乾燥後にさらに、100℃〜4
50℃程度の熱処理を所定の時間施すことにより、Au
を十分に拡散させて拡散Ni−Au拡散層15、Pd−
Au拡散層17およびPd−Au拡散層19を形成する
ことも可能である。熱処理時間は、例えば、400℃の
場合には2分程度、450℃の場合には1分程度にする
ことができる。熱処理温度を150℃以上にする場合に
は、被膜や基材の酸化を防ぐために還元雰囲気中で行う
ことが望ましい。熱風乾燥後に熱処理を行う場合には、
熱風乾燥の温度を通常の温度に下げることが可能であ
る。また、上述の高温の熱風乾燥と熱処理の両方を行う
ことも可能である。熱風乾燥および熱処理の温度と時間
は、拡散層の厚さが所望の厚さ得られる温度と時間を実
験的に定めて、それを用いる。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】ただし、上述の工程において、図8のよう
に層15〜層19は、アウターリード部83、および、
インナリード部82のボンディングを施す領域IIのみに
形成するため、工程6の前に、図8の領域IIIおよびIV
にマスクを形成する。
【0040】また、図1(b)のように、Zn−Sn層
12と基材11との間に、Zn層20を形成する場合に
は、上述の工程2と工程3との間に表1の工程3’を加
える。 また、図2(a)のようにAu層16を備えな
い構成の被膜を形成する場合には、工程6のめっき時間
を短くしてめっきされるAuの量を少なくしたり、めっ
き浴温度を高くしてAuの拡散を促進させることによ
り、めっきされたすべてのAuを拡散させるようにする
ことで形成できる。また、図2(b)、(c)のように
Pd層18とNi層14との間にNi−Pd−Au拡散
層を形成する場合には、工程8の後に熱処理する工程を
加えることにより、PdとNiとAuとを相互に拡散さ
せることにより形成できる。
【0041】上述のめっき工程では、図5(b)に示し
たような装置のほか、リードフレーム基材11を連続さ
せたフープ材63を用いる図6のようなめっき装置を用
いることができる。図6のようなフープ材63を用いる
場合には、フープ材63をローラー61により送り出
し、めっき浴62を通過させる。フープ材63への給電
は、ローラー61により行う構成とする。このとき、め
っき浴62は、図7のように処理槽71と管理槽72と
に分けることができる。図7のようにすることで、管理
槽72からポンプ73でポンプアップしためっき浴を噴
流として処理槽71に供給でき、処理槽71からオーバ
ーフローしためっき浴を管理槽72へ循環させるように
構成できる。
【0042】つぎに、図1(a)および図8の本実施の
形態のリードフレームに半導体素子を取り付け、半導体
チップを製造する工程について簡単に説明する。まず、
図8のアイランド部81に接着剤を用いて半導体素子を
固定する。半導体素子の電極パッドと、リードフレーム
のインナーリード部とをボンディングワイヤによりボン
ディングし接合する。半導体素子とインナーリード部8
2を樹脂により埋め込みモールドを形成する。そして、
タイバー部84を切り取り、アウターリード部83を用
途に合わせて足曲げ成形する。これにより半導体チップ
が完成する。半導体チップをプリント基板等に実装する
際には、アウターリード部の先端をプリント基板のホー
ルにさしこみ半田漕に浸漬し半田付けする。
【0043】このような半導体チップの製造工程におい
て、本実施の形態のリードフレームは、インナーリード
部82の領域IIおよびアウターリード部83に図1
(a)のような被膜を備えているため、半田付け時およ
びボンディング時の接合特性が良好である。このため、
作業性が高く、不良品が生じにくい。また、全体にZn
−Sn合金層12が配置されているため、外気に接して
も鉄さびの発生が抑制でき、リードの腐食による導通不
良等が生じにくい。このように、本実施の形態のリード
フレームを用いることにより、鉄基材のリードフレーム
であっても鉄さびの生じにくい半導体リードフレームを
製造することができる。
【0044】上述の実施の形態のリードフレームでは、
基材上の被膜をめっきにより形成したが、めっき以外の
方法、たとえばスパッタリングや蒸着等の気相成長法に
より各層を形成することももちろん可能である。
【0045】また、上述の実施の形態では、Ni−Au
拡散層15やPd−Au拡散層17やPd−Au拡散層
19などを、めっき途中やめっき後の熱処理によりAu
を拡散させることにより形成しているが、これらの拡散
層の代わりに、Ni−Au合金層やPd−Au合金層を
めっきや熱処理により最初から形成することもできる。
これら合金層を形成した場合にも、従来よりも被膜の密
着性を向上させることができる。
【0046】上述の実施の形態では、リードフレームに
ついて説明してきたが、本発明はリードフレームに限定
されるものではなく、鉄基材上に被膜を備える他の物品
に適用することも可能である。
【0047】
【発明の効果】上述のように、本発明では、鉄や鉄合金
基材上に被膜を備えた物品であって、高い耐食性が得ら
れる構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a),(b)本発明の一実施の形態のリード
フレームの構造を示す断面図。
【図2】(a),(b),(c)本発明の一実施の形態
のリードフレームの構造を示す断面図。
【図3】図1(a)の形態のリードフレーム試料に塩水
噴霧試験を行った結果を説明するための説明図。
【図4】図1(a)の形態のリードフレーム試料の半田
濡れ性試験を行った結果を説明するための説明図。
【図5】本発明の一実施の形態のリードフレームを製造
するための(a)めっき用治具と(b)めっき装置の全
体の構成を説明するための説明図。
【図6】本発明の一実施の形態のリードフレームを製造
するためのめっき装置の構成を示す説明図。
【図7】図6のめっき装置をさらに説明するための説明
図。
【図8】本実施の形態のリードフレームの形状を示す説
明図。
【符号の説明】
1・・・ピンホール、11・・・基材、12・・・Zn
−Sn合金層、13・・・Cu層、14・・・Ni層、
15・・・Ni−Au拡散層、16・・・Au層、17
・・・Pd−Au拡散層、18・・・Pd層、19・・
・Pd−Au拡散層、20・・・Zn層、22・・・N
i−Pd−Au拡散層、51・・・めっき用治具、52
・・・めっき浴、53・・・アノード。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材と、前記基材上の少なくとも一部に形
    成された被膜とを有し、 前記基材は、鉄を含む材料からなり、 前記被膜は複数層からなり、該複数層のうちの前記基材
    と接する層は、鉄よりもイオン化傾向の大きい元素を含
    むことを特徴とする物品。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記元素は、Znであ
    ることを特徴とする物品。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記被膜は、Niを含
    む層と、該Niを含む層の上側に配置されたPdを含む
    層とを有し、 前記Niを含む層と前記Pdを含む層との間には、前記
    Niを含む層に接する位置に、NiおよびAuを含む層
    が配置され、前記Pdを含む層に接する位置に、Pdお
    よびAuを含む層が配置されていることを特徴とする物
    品。
  4. 【請求項4】請求項3において、前記NiおよびAuを
    含む層と、前記PdおよびAuを含む層との間には、A
    uを含む層が配置されていることを特徴とする物品。
  5. 【請求項5】請求項3において、前記NiおよびAuを
    含む層は、前記Niを含む層にAuを拡散させることに
    より形成された層であることを特徴とする物品。
  6. 【請求項6】請求項3において、前記PdおよびAuを
    含む層は、前記Pdを含む層にAuを拡散させることに
    より形成された層であることを特徴とする物品。
  7. 【請求項7】請求項1において、前記被膜は、Niを含
    む層と、該Niを含む層の上側に配置されたPdを含む
    層とを有し、 前記Niを含む層と前記Pdを含む層との間には、N
    i、Au、および、Pdを含む層が配置されていること
    を特徴とする物品。
  8. 【請求項8】請求項4または7において、前記Niを含
    む層と、前記基材と接する層との間には、前記Niを含
    む層と接する位置に、Cuを含む層が配置されているこ
    とを特徴とする物品。
  9. 【請求項9】請求項2において、前記基材と接する層の
    上には、ZnとSnとを含む層が配置されていることを
    特徴とする物品。
  10. 【請求項10】基材と、前記基材上の少なくとも一部に
    形成された被膜とを有し、 前記基材は、鉄を含む材料からなり、 前記被膜は複数層からなり、該複数層のうちの前記基材
    と接する層は、鉄よりもイオン化傾向の大きい元素を含
    むことを特徴とするリードフレーム。
  11. 【請求項11】基材上に、複数層からなる被膜を備えた
    物品の製造方法であって、 前記基材として、Feを含む材料からなるものを用い、 前記基材上に、Znを含む層をめっきにより形成する工
    程を有することを特徴とする物品の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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