JPH09291346A - 錆発生環境下における耐摩耗性に優れた高靱性材料 - Google Patents
錆発生環境下における耐摩耗性に優れた高靱性材料Info
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- JPH09291346A JPH09291346A JP10216696A JP10216696A JPH09291346A JP H09291346 A JPH09291346 A JP H09291346A JP 10216696 A JP10216696 A JP 10216696A JP 10216696 A JP10216696 A JP 10216696A JP H09291346 A JPH09291346 A JP H09291346A
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Abstract
波焼入れ性の良好な高靱性材料を提供すること。 【解決手段】 重量%で、C:2.0〜3.0%、S
i:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:15.
0〜30.0%、Mo+1/2W:2.0%以下、かつ
V:3.0〜8.0%、Nb:3.0%以下の1種また
は2種をV+1/Nbで3.0〜8.0%を含有し、錆
摩耗の式、M=1000/{−7.63+7.53×C
(%)+0.45×Cr(%)−1.60×Mo(%)
+2.20×W(%)+1.34×V(%)−0.50
×Nb(%)}について34≦M≦46を満足し、残部
Feおよび不可避的不純物からなる合金粉末を各種成形
法により製造したことを特徴とする錆発生環境下におけ
る耐摩耗性に優れた高靱性材料。
Description
成形、製造し、所定の焼き入れ、焼き戻しを行うことに
より、特に錆発生環境下における耐摩耗性に優れ、かつ
高周波焼き入れ性の良好な高靱性材料に関するものであ
る。
ロールや木材廃材の破砕整形用ダイスなどは、水・水蒸
気等の弱腐食環境下で錆の発生し易い状況で使用され、
かつ摺動による摩耗や高面圧による剥離等が問題となる
が、これら特性は、相反する傾向にある。これらの一般
的用途には、冷間ダイス鋼のSKD11系の工具鋼が使
用され、耐錆性の必要な用途には、SUS420J2、
SUS440C等のマルテンサイト系のステンレス鋼が
使用されてきた。また、これら材料の特性を改善すべく
提案されている材料として、特開昭63−169358
号公報、特開平1−75653号公報、特開平3−27
7747号公報、特開平4−2744号公報及び特開平
5−86435号公報がある。
工具部品材料としての提案であり、耐食性は、各種強酸
における強腐食環境においての評価であり、弱腐食環境
下の耐発錆性とは、似て異な特性であり、その結果は、
大きく異なってくる。最近の使用環境の厳格化に伴い、
従来の材料では、特に耐発錆性と共に、耐摩耗性および
靱性のバランスが不十分なため、各種工具の短寿命化の
みならず工具表面の発錆および摩耗による製品不良の発
生が問題となっていた。
従来材は、発錆と摩耗の交互作用を考慮し設計された材
料でないこともあり、特に、耐発錆性と耐摩耗性等に一
長一短があり、十分な特性を満足していない。例えば、
冷間ダイス鋼は、耐発錆性が不十分であり、マルテンサ
イト系ステンレス鋼は、耐摩耗性が劣る等の短所があ
り、また従来の提案材料は、強酸等の耐食用途として開
発された材料であり、発錆環境下では、異なった結果と
なり、十分な目的を達成出来ない。
は、数十μmの巨大共晶炭化物が存在しているため、靱
性不足による割れ・欠け・切損による破損事故や発錆・
摩耗の交互作用から起こる偏摩耗による表面肌の劣化に
より発錆し易い等のほか、高周波焼き入れ性が悪いとい
う欠点があった。発錆と摩耗の交互作用による摩耗量を
評価する方法は従来存在しなかったが、本発明はこの点
に着目し、新しく実験的に評価する方法を見出し、特に
錆発生環境下における耐摩耗性に優れ、更には高周波焼
き入れ性の良好な高靱性材料を提供することにある。
べた発錆と摩耗の交互作用を実験的に評価するため実施
例に示すような実験を数多く行い、錆発生環境下におけ
る摩耗量として以下の錆摩耗の式を見出した。すなわ
ち、M=1000/{−7.63+7.58×C(%)
+0.45×Cr(%)−1.60×Mo(%)+2.
20×W(%)+1.34×V(%)−0.50×Nb
(%)}について34≦M≦50を満足し、同時に化学
成分として重量%で、C:2.0〜3.0%、Si:
2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:15.0〜
30.0%、Mo+1/2W:2.0%以下、かつV:
3.0〜8.0%、Nb:3.0%以下の1種または2
種をV+1/2Nbで3.0〜8.0%を含有するこ
と、更に第二はNi:0.2〜2.0%、Co:0.2
〜8.0%の1種または2種を含み、残部Feおよび不
可避的不純物からなる合金粉末を各種成形法により製造
した材料で、60HRC以上の硬さに焼き入れ、焼き戻
しを行うことによって、前記目的を達成することに成功
したものである。
発生の繰り返しにより増長される錆発生環境下での摩耗
量を評価したものは従来に無く、新しく実験的に錆摩耗
として評価し、小さく押さえるための最適特性値を見出
すこと、およびこれの改善のために添加される元素によ
り劣化する靱性をいかにバランスさせるかにある。その
ためには、炭化物の組成、析出状態、析出量、およびマ
トリックス中の固溶成分等について配慮した最適成分設
計を行うと共に、その製造方法についても決めなければ
ならない。
る。Cは、Cr、Mo、W、V、Nb等と結合して炭化
物を形成し、残はマトリックスを固溶強化し、本発明を
構成する重要な元素である。2.0%未満では、炭化物
量、固溶C量が少ないため耐摩耗性が不足し、3.0%
を越えると炭化物量が多くなり、靱性が劣化するので
2.0〜3.0%とする。Siは、脱酸剤として添加さ
れ、マトリックスの強化にも寄与するが、2.0%を越
えると靱性が劣化するので2.0%以下とする。Mn
は、Siと同様、脱酸剤として使用されると共に焼入性
向上にも寄与するが、2.0%を越えると変態温度を下
げ焼なまし硬さが低下しにくく、焼入れ後の残留オース
テナイトが増加し焼入れ硬さを下げるので、2.0%以
下とする。
性を向上させると共に、特に耐発錆性の向上に大きく寄
与し、かつ、炭化物を形成して耐摩耗性を付与する重要
な成分である。15%未満では、目的とする耐発錆性を
得るには不十分であり、30.0%を越えるとマトリッ
クス中のCが不足し、焼入れ硬さが低下するため耐摩耗
性を下げ、またネット状炭化物が多くなり、靱性も劣化
させるので15.0〜30.0%とする。MoとWは、
Crと同様、炭化物を生成し、かつマトリックス中にも
固溶して耐摩耗性および耐発錆性の向上に寄与する成分
であるが、V、Nb添加によるCr炭化物の粒状化効果
による靱性向上を阻害し、かつ高価な元素であることか
ら、所要特性を満足させるために必要な上限をMo+1
/2Wで2.0%とする。
成し、高温焼戻し時の二次硬化硬さを上げるため、耐摩
耗性向上に大きく寄与する重要な成分である。また高温
焼入れ時の結晶粒の粗大化を防止し、Cr炭化物を粒状
化させるため、靱性向上に寄与する。VおよびNbの上
記効果を出すには、V+1/2Nbで3.0%以上必要
であり、それらの添加量が8.0%を越えると炭化物量
が多くなり過ぎ、靱性、機械加工性および熱間加工性を
劣化させる。よってその範囲は、V+1/2Nbで3.
0〜8.0%とする。
クスに固溶して耐発錆性を向上させる。また、変態点温
度を下げ、より短時間で固溶し易くなるため、高周波焼
入れ性をより改善する効果がある。Ni:0.2%未
満、Co:0.2%未満では、この効果がほとんどな
く、Ni:2.0%、Co:8.0%を越えると焼きな
まし硬さが下がりにくく、かつ、焼入れ時に残留オース
テナイトが多量に生成して硬さが低くなる。よって、N
iは、0.2〜2.0%、Coは、0.2〜8.0%と
する。
耐摩耗性に優れた材料、即ち錆発生−摩耗−新界面創出
−錆発生の繰り返しにより増長される摩耗量を小さく押
さえるためには、上記成分範囲で、かつこれらの成分バ
ランスが、錆摩耗の式、M=1000/{−7.63+
7.58×C(%)+0.45×Cr(%)−1.60
×Mo(%)+2.20×W(%)+1.34×V
(%)−0.50×Nb(%)}について34≦M≦5
0の式を満足することにより達成されること、およびN
i、Coの適量添加により、更に高周波焼き入れ性が改
善されることを見出したことにある。
述べる。上記発明成分は、高C、高Cr、高V(Nb)
により構成されているため、溶製法により製造した場
合、巨大共晶炭化物が生成し、靱性が大幅に劣化すると
共に使用中の工具表面の粗度を劣化させ発錆を促進し、
かつ冷間加工性、熱間加工性が悪化し製造困難となる。
よってこの巨大共晶炭化物の析出しないガスまたは水ア
トマイズによる粉末冶金法により材料を製造する。この
合金粉末を既存の各種成形法(HIP法、熱間押し出し
法、焼結法等)により固化成形し、所定の形状に粗加工
後、所定の焼き入れ−焼き戻しを行いHRC60以上の
硬さとする。焼き戻し温度は、低温戻しが望ましいが、
曲がり等の対策として高温戻しの必要がある場合は、2
回以上の処理を行う。
マイズにより合金粉末を製造し、同粉末を直径150m
mの軟鋼製カプセル内に充填し、脱気後密封してHIP
(熱間静水圧プレス)処理を行った後、直径35mmに
鍛伸することにより作成した。また溶製法による供試材
は、ランニング鋼塊からのφ35圧延材または高周波誘
導炉による100kg鋼塊を直径35mmに鍛伸するこ
とにより作成し、それぞれの試験に供した。
耗性)評価試験 供試材を直径30mmに加工しロール試験片を作成し、
表1に示す条件にて焼き入れ−焼き戻し処理を行い、仕
上げ加工後、表2に示す試験条件により、水道水を滴下
することで錆発生環境を作り出すと共に、相手ロールと
接触、従動回転させることで摺動摩耗を起こしこれらに
より試験片の重量減を測定し錆摩耗を評価した。試験結
果を表1に示す。錆摩耗量Mは、錆摩耗の式、M=10
00/{−7.63+7.58×C(%)+0.45×
Cr(%)−1.60×Mo(%)+2.20×W
(%)+1.34×V(%)−0.50×Nb(%)}
と強い相関があり、M値が50以下において、50mg
以下の摩耗量に低位安定することが分かる。
撃試験用TPを切り出し、表1の熱処理条件により、焼
き入れ−焼き戻し処理を行った後試験に供した。その試
験結果を表1に示す。錆・摩耗の式、M=50以下の成
分系において、溶製材の靱性は特に低いことから、粉末
冶金法による材料が適していることが分かる。また、錆
・摩耗の式が34を下回る成分系の材料は、シャルピー
衝撃値が10J/cm未満の低い靱性値となる。
件において、焼き入れ時の加熱時間を通常の20分から
5分に短縮した時の熱処理硬さの測定結果を表1に示
す。NiまたはCoの無添加材料の硬さは、いずれも6
0HRC未満であるのに対し、NiまたはCoの添加材
料は、60HRC以上の高硬度を示しており、含有量が
増加するにつれ通常熱処理の硬さに近ずいている。即
ち、短時間加熱で高硬さが得られることから、高周波焼
き入れ性に優れていることが分かる。
は、錆と摩耗の交互作用により増長される摩耗量を抑制
する指標となる錆摩耗の式とその有効範囲を見出すこと
により、錆発生環境下における耐摩耗性に優れ、かつ高
靱性、更には高周波焼き入れ性も良好であることから、
広範囲の用途にその効果を発揮可能であることから、そ
の工業的価値は極めて大きい。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量%で、 C :2.0〜3.0% Si:2.0%以下 Mn:2.0%以下 Cr:15.0〜30.0% Mo+1/2W:2.0%以下かつ、 V:3.0〜8.0% Nb:3.0%以下の1種または2種をV+1/2Nb
で3.0〜10.0%を含有し、錆摩耗の式、M=10
00/{−7.63+7.58×C(%)+0.45×
Cr(%)−1.60×Mo(%)+2.20×W
(%)+1.34×V(%)−0.50×Nb(%)}
について34≦M≦50を満足し、残部Feおよび不可
避的不純物からなる合金粉末を各種成形法により製造し
たことを特徴とする錆発生環境下における耐摩耗性に優
れた高靱性材料。 - 【請求項2】 重量%で、 C :2.0〜3.0% Si:2.0%以下 Mn:2.0%以下 Cr:15.0〜30.0% Mo+1/2W:2.0%以下かつ、 V:3.0〜8.0% Nb:3.0%以下の1種または2種をV+1/2Nb
で3.0〜10.0%、更に、 Ni:0.2〜2.0% Co:0.2〜8.0%の1種または2種を含み、錆摩
耗の式、M=1000/{−7.63+7.58×C
(%)+0.45×Cr(%)−1.60×Mo(%)
+2.20×W(%)+1.34×V(%)−0.50
×Nb(%)}について34≦M≦50を満足し、残部
Feおよび不可避的不純物からなる合金粉末を各種成形
法により製造したことを特徴とする錆発生環境下におけ
る耐摩耗性に優れ、かつ高周波焼き入れ性の良好な高靱
性材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10216696A JP3761004B2 (ja) | 1996-04-24 | 1996-04-24 | 錆発生環境下における耐摩耗性に優れた高靱性材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10216696A JP3761004B2 (ja) | 1996-04-24 | 1996-04-24 | 錆発生環境下における耐摩耗性に優れた高靱性材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09291346A true JPH09291346A (ja) | 1997-11-11 |
JP3761004B2 JP3761004B2 (ja) | 2006-03-29 |
Family
ID=14320132
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP10216696A Expired - Lifetime JP3761004B2 (ja) | 1996-04-24 | 1996-04-24 | 錆発生環境下における耐摩耗性に優れた高靱性材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3761004B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1563108A1 (en) * | 2002-08-26 | 2005-08-17 | Hanyang Hak Won Co., Ltd. | Fe-based hardfacing alloy |
-
1996
- 1996-04-24 JP JP10216696A patent/JP3761004B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1563108A1 (en) * | 2002-08-26 | 2005-08-17 | Hanyang Hak Won Co., Ltd. | Fe-based hardfacing alloy |
EP1563108A4 (en) * | 2002-08-26 | 2005-09-21 | Hanyang Hak Won Co Ltd | FE-BASED ALLOY TREATED BY REINFORCEMENT SURFACING |
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---|---|
JP3761004B2 (ja) | 2006-03-29 |
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