JPH09291334A - 高熱膨張高耐熱性鉄合金 - Google Patents

高熱膨張高耐熱性鉄合金

Info

Publication number
JPH09291334A
JPH09291334A JP10577796A JP10577796A JPH09291334A JP H09291334 A JPH09291334 A JP H09291334A JP 10577796 A JP10577796 A JP 10577796A JP 10577796 A JP10577796 A JP 10577796A JP H09291334 A JPH09291334 A JP H09291334A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alloy
thermal expansion
resistance
heat resistance
high thermal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10577796A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Shamoto
裕幸 社本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP10577796A priority Critical patent/JPH09291334A/ja
Publication of JPH09291334A publication Critical patent/JPH09291334A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は耐熱性、耐摩耗性および耐酸化性等
に優れた高熱膨張特性を有する鉄合金に関し、特に車両
のシリンダライナやピストンピン等におけるような、A
l合金と鉄合金が使用される場合に、両者の熱膨張率の
差を低減し、接触部のクリアランスの不均一による異音
・騒音の発生を極力防止する高熱膨張高耐熱性鉄合金を
提供する。 【解決手段】 Fe−Mn−Alの3元系Fe合金であ
って、化学成分の該MnおよびAlが図1の点A、B、
C、D、E、FおよびGで囲まれた範囲の組成であって
高熱膨張特性を有することを特徴とし、さらに900℃
での耐酸化性を有し、または、耐摩耗性および耐酸化性
を有し、または、高ヤング率であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐熱性、耐摩耗性お
よび耐酸化性等に優れた高熱膨張特性を有する鉄合金に
関し、特に車両のシリンダライナやピストンピン等にお
けるような、アルミニウム合金と鉄合金が使用される場
合に、両者の熱膨張率の差を低減し、接触部のクリアラ
ンスの不均一による異音・騒音の発生を極力防止する高
熱膨張高耐熱性鉄合金に関する。
【0002】
【従来の技術】車両のエンジン等では、シリンダブロッ
クのシリンダ部分はシリンダーライナーをはめ込み使用
している。また、ピストンではコンロッドへの動力伝達
を受け持つピストンピンに高剛性材料が使用されてい
る。このシリンダライナやピストンピンは耐熱性、耐摩
耗性、耐酸化性等が要求されるため鋳鉄等の鉄合金が用
いられる場合がある。このとき、相手材としては軽量化
の観点からアルミニウム合金が用いられている場合が多
い。ところで、この鉄合金とアルミニウム合金は熱膨張
係数が大きく異なるため、高温で使用する場合には両者
の接触部のクリアランスが不均一となり、異音・騒音の
原因となる。すなわち、従来のシリンダライナやピスト
ンピン用としての高耐熱性の鉄基材料としては、SCH
系の耐熱鋼鋳鋼材やFCDA系の球状黒鉛系オーステナ
イト鋳鉄品等が知られている。これら従来の鉄基材料に
おける熱膨張係数は、鋼系材料で12.7×10-6/ ℃、鉄系
材料でも13.5×10-6/ ℃であり、アルミニウム合金(JI
S AC8A,AC8B,AC1A) の熱膨張係数は22.3〜25.0×10-6/
℃である。
【0003】特開平3−134132号公報には高熱膨
張材として3〜13%Mnと脱ガス剤としてAlの微量
添加が行なわれているが、耐酸化性についての記述がな
い。この合金では、アルミニウムと同程度の高熱膨張係
数を有する鋳鉄材が開示されているが、耐酸化性等が十
分とは言えず更なる改良が望まれる。本来、従来のFe
−Mn合金は鋳造後の焼き入れによって、オーステナイ
ト組織となり、強靱性にとみ熱膨張係数が大きかった。
また、冷間加工を受けると表面層のみ加工硬化して耐摩
耗性を発揮するので、前記Mn成分を前記部材用として
適用が期待される。また、一般のアルミニウム鋳鉄の耐
熱性については含有するAlによって、表面に生ずる強
固なAl2 3 の形成によることが知られている。そこ
で前記MnとAlによって、オーステナイト状態を維持
して、特に機械的特性およびその昇温時の熱膨張特性の
改善が可能と考えられる。前記のごとく、車両のシリン
ダライナやピストンピン用材料として、アルミニウムと
同程度の高熱膨張係数を有する鋳鉄材が公知技術に開示
されているが、耐酸化性等が十分とは言えず更なる改良
が望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、車両
のシリンダライナやピストンピン用材料として、アルミ
ニウムと同程度の高熱膨張係数を有する鉄合金の成分系
を検討し、その他の材料特性として耐熱性、耐摩耗性お
よび耐酸化性を具えた高熱膨張高耐熱性鉄合金を提供す
ることである。さらに、本発明の他の目的は、ピストン
ピン用材料として剛性の改善を検討し、特にヤング率の
高い高熱膨張高耐熱性鉄合金を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、Fe−M
n−Alの3元系Fe合金であって、化学成分の前記M
nおよびAlが図1の点A、B、C、D、E、Fおよび
Gで囲まれた範囲の組成を有し、残部がFeおよび不可
避不純物からなることを特徴とする高熱膨張高耐熱性鉄
合金によって達成される。 また、上記の目的は、Fe
−Mn−Alの3元系Fe合金であって、化学成分の前
記MnおよびAlが図2の点A、I、H、E、Fおよび
Gで囲まれた範囲の組成を有し、残部がFeおよび不可
避不純物からなることを特徴とする高熱膨張高耐熱性鉄
合金によっても達成される。
【0006】さらに、上記の目的は、Fe−Mn−Al
の3元系Fe合金であって、化学成分の前記Mnおよび
Alが図3の点J、K、L、H、E、FおよびGで囲ま
れた範囲の組成を有し、残部がFeおよび不可避不純物
からなることを特徴とする高熱膨張高耐熱性鉄合金によ
っても達成される。また、上記の目的は、Fe−Mn−
Alの3元系Fe合金であって、化学成分の前記Mnお
よびAlが図4の点M、N、C、D、E、FおよびGで
囲まれた範囲の組成を有し、残部がFeおよび不可避不
純物からなることを特徴とする高熱膨張高耐熱性鉄合金
によっても達成される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の第1発明は、より具体的
には下記(1)〜(7)式の各不等式を満足する範囲で
ある。 24Mn−5Al−1103≦0(但し:点A(52,29),B(47,5)間) (1) 5Mn−10Al−185 ≦0(但し:B(47,5), C(37,0)間) (2) Al >0(但し:C(37,0), D(13,0)間) (3) 17Mn−2Al−221 ≧0(但し:D(13,0), E(15,17) 間) (4) 4Mn+15Al−315 ≦0(但し:E(15,17),F(0,21)間) (5) Mn >0(但し:F(0,21), G(0,28)間) (6) Mn−52Al+ 1456≧0(但し:G(0,28), A(52,29) 間) (7) ここで、Mn、Alは重量%を示す。
【0008】この組成のFe−Mn−Al合金は、比較
的優れた耐熱性、耐摩耗性、耐酸化性を具えると共に、
アルミニウム合金に近い高膨張係数を有する。このた
め、シリンダライナやピストンピンに好適である。ま
た、本発明の第2発明は、上記第1発明の中で、特に耐
酸化性が良好な合金である。さらに、本発明の第3発明
は、上記第1発明の中で、特に耐酸化性と耐摩耗性が良
好な合金である。また、本発明の第4発明は、上記第1
発明の中で、特にヤング率が良好な合金である。以下、
本発明の実施例に基づいて成分の限定理由について説明
する。
【0009】
【実施例】
実施例1 本実施例は第1発明の熱膨張係数に関するもので、本発
明例の結果を比較例と共に表1に示す。本発明例におい
て、熱膨張係数は19.9〜25.0×10-6/ ℃で、比較例は1
6.8〜18.0×10-6/ ℃である。この本発明例の平均熱膨
張係数の値は、一般的な鉄鋼材料(S55)の12.7
×10-6/℃や鋳鉄(FCD50)の13.5×10-6
/℃よりも大きく、アルミニウム鋳物(ピストン用合金
(JIS AC8A,AC8B,AC1A))の平均熱膨張係数の22.3〜25.0
×10-6/ ℃により近いことがわかる。
【0010】
【表1】
【0011】すなわち、本発明例合金においては、ピス
トン用アルミニウム合金鋳物の熱膨張係数を中央値とし
て、これに対してその差はかなり狭い範囲にあって、そ
の差は従来の鉄合金および比較例より小さくなってい
る。このため、熱膨張係数の差による異音・騒音の防止
が可能となり、両者が混在する材料部材、例えばシリン
ダライナやピストンピンにおいて優れた特性を有する。
【0012】実施例2 本実施例は第2発明の900℃での耐酸化性に関するも
ので、本発明例の結果を比較例と共に表2に示す。本発
明例において、900℃での酸化減量は2.14〜6.90mg/c
m2で、比較例は69.1〜794mg/cm2 である。本発明例で
は、前記実施例1の範囲の中で、さらに高温での耐酸化
性に優れ、エンジンの燃焼温度900℃にて100時間
酸化した後において十分な耐酸化性を示す。
【0013】
【表2】
【0014】すなわち、第2発明範囲の合金において
は、シリンダライナ用として、高温での耐酸化特性に優
れエンジンの燃焼温度域で、従来の鉄合金および比較例
を凌駕していることがわかる。
【0015】実施例3 本実施例は第3発明の耐酸化性および耐摩耗性に関する
もので、本発明例として硬さ測定結果を比較例と共に表
3に示す。本発明例において、かたさは、230〜315Hv(2
0kg) 、比較例は113 〜805Hv(20kg) である。本発明例
の範囲では、前記実施例1の範囲の中で、さらに硬さが
低く、加工性が良好である。表3に示されるようにこの
範囲では硬さが低いため、加工が可能である。また、こ
のレンジ以上の硬さでは硬くなりすぎ、加工が困難とな
る。またこれ以下では軟かすぎて耐摩耗性が劣る。
【0016】
【表3】
【0017】すなわち、第3発明範囲の合金において
は、シリンダライナ用として、高温での耐酸化特性およ
び耐摩耗性に優れていることがわかる。上記実施例1〜
3から、本発明合金をシリンダライナに用いることによ
り、ピストンとシリンダ間に発生する騒音を低減するこ
とができる。一方、アルミニウムのシリンダライナでも
騒音低減効果はあるが、アルミニウムは耐摩耗性が低い
ため、表面処理が必要となる。また、本発明合金は硬さ
がHv(20kg)で200〜300であり、一般鋳鉄の硬さ
(200以下)よりも高く、耐摩耗性が良い。一般に硬
さが300を越えると加工性が悪くなるといえる。
【0018】実施例4 本実施例は第4発明のヤング率に関するもので、本発明
例の結果を比較例と共に表4に示す。本発明例におい
て、ヤング率は129 〜156GPaで、比較例は91,94GPaであ
る。本発明例では、ヤング率が高く、構造用材料として
充分な剛性を持っている。Mn,Al量が多いとヤング
率が低下し、充分な剛性が得られない。
【0019】
【表4】
【0020】すなわち、第4発明範囲の合金において
は、ピストンピンとして用いることにより、ピストンと
ピストンピン間の騒音を低減することができる。ヤング
率が下がると剛性確保のため、外径を大きくし中実なピ
ンとなり、重量が増加し好ましくない。特に、ピンとし
ては従来MMC,セラミックス,TiAl材料より熱膨
張とヤング率が優れているため、本発明合金は、アルミ
ニウムコンロッドとの使用が可能となる。
【0021】
【発明の効果】本発明の合金は、アルミニウム合金に近
い熱膨張係数を有し、かつ耐熱性、耐摩耗性および耐酸
化性に優れ、特にエンジンの使用温度である900℃で
の耐酸化性に優れた特性を有するので、車両等のシリン
ダライナやピストンピン用に適し、アルミニウムと混在
使用される部位の異音・騒音の防止を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1発明の範囲を、Mn量とAl
量の関係によって示す図である。
【図2】本発明に係る第2発明の範囲を、Mn量とAl
量の関係によって示す図である。
【図3】本発明に係る第3発明の範囲を、Mn量とAl
量の関係によって示す図である。
【図4】本発明に係る第4発明の範囲を、Mn量とAl
量の関係によって示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe−Mn−Alの3元系Fe合金であ
    って、化学成分の該MnおよびAlが図1の点A、B、
    C、D、E、FおよびGで囲まれた範囲の組成を有し、
    残部がFeおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る高熱膨張高耐熱性鉄合金。
  2. 【請求項2】 Fe−Mn−Alの3元系Fe合金であ
    って、化学成分の該MnおよびAlが図2の点A、I、
    H、E、FおよびGで囲まれた範囲の組成を有し、残部
    がFeおよび不可避不純物からなることを特徴とする高
    熱膨張高耐熱性鉄合金。
  3. 【請求項3】 Fe−Mn−Alの3元系Fe合金であ
    って、化学成分の該MnおよびAlが図3の点J、K、
    L、H、E、FおよびGで囲まれた範囲の組成を有し、
    残部がFeおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る高熱膨張高耐熱性鉄合金。
  4. 【請求項4】 Fe−Mn−Alの3元系Fe合金であ
    って、化学成分の該MnおよびAlが図4の点M、N、
    C、D、E、FおよびGで囲まれた範囲の組成を有し、
    残部がFeおよび不可避不純物からなることを特徴とす
    る高熱膨張高耐熱性鉄合金。
JP10577796A 1996-04-25 1996-04-25 高熱膨張高耐熱性鉄合金 Pending JPH09291334A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10577796A JPH09291334A (ja) 1996-04-25 1996-04-25 高熱膨張高耐熱性鉄合金

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10577796A JPH09291334A (ja) 1996-04-25 1996-04-25 高熱膨張高耐熱性鉄合金

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09291334A true JPH09291334A (ja) 1997-11-11

Family

ID=14416594

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10577796A Pending JPH09291334A (ja) 1996-04-25 1996-04-25 高熱膨張高耐熱性鉄合金

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09291334A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103451506A (zh) * 2013-08-23 2013-12-18 苏州长盛机电有限公司 一种镁铁合金的制备方法
CN107620004A (zh) * 2017-08-30 2018-01-23 昆明理工大学 一种Fe‑Mn‑Al系列合金的粉末冶金制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103451506A (zh) * 2013-08-23 2013-12-18 苏州长盛机电有限公司 一种镁铁合金的制备方法
CN107620004A (zh) * 2017-08-30 2018-01-23 昆明理工大学 一种Fe‑Mn‑Al系列合金的粉末冶金制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5650714B2 (ja) 窒化可能な鋼製ピストンリングと鋼製シリンダーライナ及びその製造用鋳造方法
JP5669392B2 (ja) ピストンリングおよびシリンダライナの製造のための高珪素成分を含む鋼材
US6939414B2 (en) Nodular graphite iron alloy
JP5695635B2 (ja) 窒化可能なピストンリング
JP2636816B2 (ja) 合金工具鋼
JP3458971B2 (ja) 高温強度および被削性の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品
JPH09291334A (ja) 高熱膨張高耐熱性鉄合金
US5106578A (en) Cast-to-near-net-shape steel body of heat-resistant cast steel
JP2923578B2 (ja) 耐摩耗性アルミニウム合金
JP3450727B2 (ja) 内燃機関用ピストンリング
JPH06240404A (ja) 強靱高炭素セメンタイト系合金鋳鉄
JP3605874B2 (ja) 耐熱鋳鋼
JPH08100243A (ja) 高耐熱性鉄基合金
JP2970387B2 (ja) 耐摩耗性鋼及び内燃機関のピストンリング材料又はライナー材料
JPH07228950A (ja) 高温強度および被削性の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品
JPH07228948A (ja) 鋳造性および被削性の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品
JPH06228712A (ja) 高温強度および被削性の優れたオーステナイト系耐熱鋳鋼およびそれからなる排気系部品
JP2976777B2 (ja) オーステナイト系耐熱鋳鋼
JP2007197797A (ja) 低熱伝導性アルミニウム合金材料及び当該材料からなる鋳造品の製造方法
JPH11140603A (ja) 圧縮機部品用耐摩耗性焼結合金材
JP3718728B2 (ja) ピストンリング用異形線
JPH0264208A (ja) ロッカアーム
JP2004315845A (ja) 球状黒鉛鋳鉄
KR20230079895A (ko) 고강도 후육 구상 흑연 주철
JP2000212683A (ja) 冷間鍛造後の寸法精度に優れた軟窒化用鋼