JPH09290154A - 水素化脱硫触媒 - Google Patents

水素化脱硫触媒

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JPH09290154A
JPH09290154A JP8107218A JP10721896A JPH09290154A JP H09290154 A JPH09290154 A JP H09290154A JP 8107218 A JP8107218 A JP 8107218A JP 10721896 A JP10721896 A JP 10721896A JP H09290154 A JPH09290154 A JP H09290154A
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JP
Japan
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pore diameter
porous body
catalyst
pores
noble metal
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Application number
JP8107218A
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English (en)
Inventor
Shinji Inagaki
伸二 稲垣
Yoshiaki Fukushima
喜章 福嶋
Masatoshi Sugioka
正敏 杉岡
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Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】脱硫性能に優れ、処理後の脱硫油の品質が高
い、水素存在下で原料油中の硫黄化合物を分解除去する
水素化脱硫触媒。 【解決手段】多数の細孔を有し、細孔径分布曲線におけ
る最大ピークを示す細孔直径が1.4〜10nmの範囲
内にあり、かつ該細孔径分布曲線における最大のピーク
を示す細孔直径の±40%の細孔径範囲に全細孔容積の
60%以上が含まれる多孔体と、該多孔体の細孔中に配
置され水素存在下で原料油中の硫黄化合物を分解除去す
る貴金属と、よりなることを特徴とする水素化脱硫触
媒。該多孔体は、細孔径分布曲線における最大のピーク
を示す該細孔直径が1.4〜10nmの範囲にあり、か
つX線回折パターンにおいて、d=1nm以上に相当す
る回折角度に1本以上のピークを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原料油中に含まれる
硫黄化合物の除去触媒に関するもので、詳しくは水素の
存在下で原料油中の硫黄化合物を分解し、硫黄を除去す
る水素化脱硫触媒に係るものである。
【0002】
【従来の技術】化石燃料の燃焼により排出される硫黄化
合物、窒素酸化物、炭酸ガス等は地球環境を悪化させる
ため、発生の抑制や浄化の方策が取られている。例え
ば、希薄燃焼式のガソリンエンジンは燃費効率が高く、
走行距離あたりの炭酸ガスの排出量の抑制に効果があ
る。窒素酸化物の浄化には窒素酸化物を一旦吸蔵し、組
成変動を利用して還元・浄化する吸蔵還元型の触媒が使
用されている。この吸蔵還元型触媒をディーゼルエンジ
ンに適用することも検討されている。一方、硫黄酸化物
は、燃料油中に含まれる硫黄化合物の燃焼によって発生
する。そこで燃料油中に含まれる硫黄化合物を予め水素
および触媒の存在下で分解除去する方法が取られてい
る。この方法は現在石油業界では精製の過程で広く使わ
れている手法であり、この方法により軽油中の硫黄含有
率は現在0.4%程度になっている。このプロセスでも
っとも重要なのが触媒の性能であり、触媒の性能の向上
により原料油中の硫黄化合物の含有率を更に下げること
が可能となる。現在、工業的にはMoとCoあるいはN
iを担持したアルミナ触媒が使用されている。
【0003】最近、この触媒に代わる新規な水素化脱硫
触媒が幾つか提案されている。たとえば、Rhをゼオラ
イト13XとZSM−5に担持した触媒(Journal of C
atalysis, vol.86, 108-120,(1984))、PdをY型ゼオ
ライトに担持した触媒(米国特許第3,996,128
号)、SiO2 /Al2 3 比が50以上である貴金属
含有ゼオライト(特開昭63−159494号公報)、
あるいは、SiO2 /Al2 3 比が9〜40であるY
型ゼオライトに貴金属を担持した触媒(特開平6−13
4313号公報)などの開示がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】昨今の環境問題の深刻
化に伴い、硫黄酸化物の排出量を現行以上に低減する動
きがある。また、ディーゼルエンジンでは有害成分の排
出量を低減する目的で排ガス循環が行われているが、排
ガス中の硫黄酸化物がエンジンに悪影響を与えることが
危惧される。さらに吸蔵還元型の触媒をディーゼルエン
ジンに採用した場合、排ガス中の硫黄酸化物が触媒と結
合して窒素酸化物の吸蔵能や触媒活性を低下させること
が予測される。これらのことから、軽油中の硫黄酸化物
の含有率をガソリン並(0.02%)に低減することが
強く求められている。
【0005】しかし、最近開発された上記の新規脱硫触
媒は脱硫性能が不十分であり、プロセスの変更なしに触
媒の変更だけで硫黄化合物の低減は不可能である。ま
た、処理圧力を上げる等プロセスの変更による方法で
は、処理コストが増大したり、軽油の品質が低下するな
どの問題がある。そこで現行プロセスのまま品質を落と
さず硫黄化合物の含有率の低減可能な高性能な脱硫触媒
が求められている。
【0006】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもの
で、脱硫性能に優れ、分解後の処理油の品質が高い、水
素存在下で原料油中の硫黄化合物を分解除去する水素化
脱硫触媒を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の水素化脱
硫触媒は、多数の細孔を有し、細孔径分布曲線における
最大ピークを示す細孔直径が1.4〜10nmの範囲内
にあり、かつ該細孔径分布曲線における最大のピークを
示す細孔直径の±40%の細孔径範囲に全細孔容積の6
0%以上が含まれる多孔体と、該多孔体の細孔中に配置
され水素存在下で原料油中の硫黄化合物を分解除去する
貴金属と、よりなることを特徴とする。
【0008】本発明の第2の水素化脱硫触媒は、X線回
折パターンにおいて、d=1nm以上に相当する回折角
度に1本以上のピークを有する多孔体と、該多孔体の細
孔中に配置され水素存在下で原料油中の硫黄化合物を分
解除去する貴金属と、よりなること特徴とする。該貴金
属は、白金、パラジウム、ロジウムの少なくとも1種で
あることが好ましい。
【0009】本発明の水素化脱硫触媒は、触媒貴金属が
多孔体の細孔径分布が特定の細孔中に配置されている。
このため原料油中に含まれる硫黄化合物が多孔体中で脱
硫化反応を受けると共に炭化水素の変質を抑制する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で利用する多孔体として
は、たとえば、層状シリケートに界面活性剤を作用させ
て合成したメソ多孔体が利用できる(T.Yanagisawa et
al,.Bull.Chem.Soc.,Jpn.,63, 988-992 (1990))。この
メソ多孔体は、周期的に湾曲したシリケートシートが凸
部で上下結合した構造をしており、そのシート間隙には
均一に揃った細孔が無数に存在する。その細孔直径は1
〜10nmの範囲にある一定の径を中心にして狭い範囲
に分布している。このメソ多孔体のX線回折パターン
は、2nm以上のd値を持つ位置に、最大の強度を持つ
回折ピークを含め、d=1nm以上のd値をもつ少なく
とも1本以上のピークが観察された。また、その中のあ
るものは、六方構造を示す2−4本の回折ピークが見ら
れ、その電子顕微鏡写真には、蜂の巣状に配列した細孔
が観察される(S.Inagaki et al.,J.Chem.Soc.,Chem.Co
mmun.,No8,680-682 (1993))。
【0011】また、他の多孔体としては、界面活性剤の
ミセル構造を鋳型として合成したメソポーラスモレキュ
ラシーブ(M41S)がある(C.T.Kresge et al.,Natu
re,359,710-712(1992))。このM41Sは、直径1〜1
0nmの細孔が規則的に配列した構造をしており、その
細孔径はやはり狭い範囲に分布している。さらに、M4
1SのX線回折パターンは、2nm以上のd値を持つ位
置に、最大の強度を持つ回折ピークを含め、d=1nm
以上のd値をもつ少なくとも1本以上のピークが観察さ
れる。
【0012】先の層状シリケートから合成したメソ多孔
体と同様に、蜂の巣状の断面を呈した六方構造の多孔体
(MCM−41)もあるが、この多孔体(MCM−4
1)は上記の材料とは細孔壁内の構造が異なる。従来か
らあるシリカ多孔体、たとえば、シリカゲルのX線回折
パターンには、明瞭な回折パターンは観察されない。X
線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構
造が材料中にあることを意味する。このことから、シリ
カゲルには少なくともd=0.15−12nm(0.7
<2Θ<60°に相当)の周期構造がない、つまり細孔
構造が均一でないことを示している。それに対し、本発
明の多孔体は、2nm以上のd値に最大のピークを含む
1つ以上のピークが存在し、周期構造を有しているもの
が利用できる。
【0013】具体的には、これらのピークは直径が1−
10nmの細孔が2nm以上の間隔で規則的に配列した
構造を反映したものである。その結果、従来のシリカゲ
ルの構造が不規則であるため構造中にある細孔の径も不
均一であるのに対し、本発明の多孔体は、構造の規則性
を反映して細孔は均一であることになる。本発明の多孔
体の使用形態としては、粉末状でも、顆粒状に成形した
ものでもあるいはハニカム等の担体にコートしたもので
もよい。顆粒状にする方法としては、圧粉する方法、液
体と混合して成形乾燥させる方法などがあるが、特に限
定しない。顆粒状や担体にコートする場合には適当なバ
インダーを添加してもよい。
【0014】これら酸化物の多孔体の組成は、シリカで
もよいが、シリカにアルミニウム(Al)、チタニウム
(Ti)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Z
r)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ニッケ
ル(Ni)、ガリウム(Ga)、ベリリウム(Be)、
イットリウム(Y)、ランタン(La)、錫(Sn)、
鉛(Pb)、バナジウム(Ba)、硼素(B)等が混ざ
ったものでもよい。
【0015】次に、層状シリケートからメソ多孔体を合
成する方法について述べる。層状シリケートとしては、
たとえばカネマイト(NaHSi2 5 ・3H2 O)が
好ましい。また他の層状シリケートとしては、ジケイ酸
ナトリウム結晶(α、β、γ、δ−Na2 Si
2 5 )、マカタイト(Na2 Si4 9 ・5H
2 O)、アイアライト(Na2 Si8 17・xH
2 O)、マガディアイト(Na2 Si1429・xH
2 O)、ケニヤイト(Na2 Si2041・xH2 O)等
が代表的である。
【0016】また、その他の層状シリケートとして、た
とえば、セピオライトのような粘土鉱物を酸の水溶液で
処理して、二酸化珪素以外の元素を除去した層状シリケ
ートを使用することもできる。メソ多孔体の合成に使用
する界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニ
ウム、ジメチルジアルキルアンモニウム、アルキルアン
モニウム、ベンジルアンモニウムの塩化物、臭化物、沃
化物あるいは水酸化物などが挙げられる。
【0017】合成法は、まず層状シリケートを、界面活
性剤を溶解させた溶媒に分散させる。溶媒としては、水
が好ましいが、水−アルコール混合溶媒やその他の溶媒
でもよい。界面活性剤水溶液の濃度は、0.05〜1モ
ルが好ましい。層状シリケートの分散量は、0.1Mの
界面活性剤水溶液を1000mlに対し、たとえば、カ
ネマイト5〜200gの割合が好ましい。加熱の間は、
分散溶液を攪拌する方が好ましい。分散溶液のpHは、
始めの1〜5時間は10以上で、残りの時間は10以下
が好ましい。カネマイトはアルカリ性であるので、分散
溶液はなにもしなくてもpHは10以上になる。pHが
10以上にならない場合は、水酸化ナトリウムを添加し
てpHを10以上にする。その後、塩酸等の酸を添加し
て、溶液のpHを10以下まで下げる。好ましくは、p
H=8.5まで下げる。このpH制御により、結晶性お
よび耐熱性の特に高いメソ多孔体を得ることができる。
分散液を加熱した後、固形生成物を濾過して回収する。
この固形生成物を脱イオン水等で繰り返し洗浄すること
により、耐熱性の高いメソ多孔体を得ることができる。
この固形生成物を乾燥した後、550℃以上の温度で焼
成、あるいは塩酸/エタノール混合溶液で処理すること
により、結晶中に取り込まれた界面活性剤が除去され、
メソ多孔体が生成する。焼成するときは、空気、酸素、
窒素等の雰囲気で、1時間以上加熱するのが好ましい。
また、塩酸/エタノール混合溶液は、酸/有機溶媒の組
み合わせであれば、他の酸と有機溶媒でもよい。
【0018】上記のメソ多孔体にSi以外の元素を添加
する方法としては、原料の層状シリケート中に予めSi
以外の元素を組み込む方法と、上記のメソ多孔体の合成
過程で添加する方法がある。層状シリケート中に元素を
組み込む方法としては、水ガラス等の珪酸溶液にSi以
外の元素の塩を溶解させ、乾燥後、焼成して層状シリケ
ートを生成させる方法がある。添加した元素の多くは、
層状シリケートのSiO4 骨格の中に組み込まれている
ため、最終的に生成するメソ多孔体のSiO4骨格の中
にも添加元素は組み込まれている。そのため、固体酸性
など触媒的に活性な特性が発現されている。
【0019】メソ多孔体合成過程で添加する方法として
は、たとえば、層状シリケートを界面活性剤の溶液中で
加熱して生成した界面活性剤を含んだメソ多孔体前駆体
に、Si以外の元素の塩の水溶液を含浸した後、焼成す
る方法がある。この方法では、添加元素が比較的メソ多
孔体の表面に付着するため、添加元素の特性が効果的に
発現される。
【0020】上記の層状シリケートからメソ多孔体を合
成する方法においては、層状シリケートの代わりに水ガ
ラス、粉末珪酸ソーダ、Siアルコキシド、シリカ等を
用いてもよい。 多孔体の細孔径分布の測定法 細孔径分布曲線は、細孔容積(V)を細孔直径(D)で
微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプ
ロットした曲線(図5、6に示した)をいう。細孔径分
布曲線は、たとえば、以下に示す気体吸着法により作成
される。この方法において最もよく用いられる気体は窒
素である。
【0021】まず、吸着剤に液体窒素温度(−196
℃)で窒素ガスを導入し、その吸着量を定容積法あるい
は重量法で求める。導入する窒素ガスの圧力を徐々に増
加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロット
することにより吸着等温線(図3、4に示す)を作成す
る。この吸着等温線から、たとえば、Cranston-Inklay
法、Pollimore-Heal法の計算法を用いて、上記細孔径分
布を求める。
【0022】この細孔径分布曲線における最大のピーク
を示す細孔直径の±40%の直径範囲に全細孔容積の6
0%以上が含まれるというのは、次のように説明でき
る。たとえば、図5の細孔径分布曲線における最大のピ
ーク(FSM/16)が2.8nmとすると、細孔直径
が1.68〜3.92nmの範囲にある細孔の容積の総
計が、全細孔容積の60%以上を占めているということ
である。具体的には、細孔径分布曲線の細孔直径が1.
68−3.92nmの範囲の積分値が、曲線の全積分値
の60%以上を占めていることである(図5のFSM/
16はピークの面積がこの範囲にあることを示してい
る)。
【0023】触媒の調整法 本発明の触媒は、貴金属を含有するが、貴金属とはP
t、Pd、Rh、Ir、Ru、Osであり、特にPt、
Pd、Rhが好ましい。また、貴金属は単独でもよい
し、2種類以上含有してもよい。貴金属の含有量は0.
1〜20重量%であればよく、0.5〜10重量%が好
ましい。0.1重量%未満では、水素化脱硫活性が低
く、20重量%を超えても、貴金属を増加させるに見合
う効果が得られない。
【0024】貴金属を多孔体に含有させる方法について
は特に制限はなく、通常の含浸担持法、イオン交換法を
用いればよい。貴金属の原料については、特に制限はな
く、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、アンミン醋塩等を挙げる
ことができる。また、触媒を調整後、必要に応じて、空
気中で焼成処理を実施してもよい。焼成処理条件につい
ては、特に制限はなく、通常、400〜800℃で1〜
10時間程度行えばよい。
【0025】本発明において、触媒を水素化脱硫反応に
供する際には、反応の前に、予め触媒を還元する。この
還元処理において、用いる還元剤や還元条件について、
特に制限はなく、含有する貴金属が金属状態になればよ
い。還元剤としては、水素、一酸化炭素等を用いればよ
く、水素が好ましい。また、必要に応じて、H2 S等に
よる硫化処理を行ってもよい。これらの還元処理や硫化
処理の条件については、特に制限はなく、通常、200
℃〜600℃で1〜10時間程度行えばよい。
【0026】本発明の触媒を用いて水素化脱硫反応を実
施する場合、その反応条件ついては、対象とする原料油
の種類や希望する生成油の性状などにより大きく異な
り、一概に規定することは困難であり、一般に用いられ
る反応条件を採用すればよい。たとえば、反応温度は2
50〜450℃であり、反応圧力(水素圧力)は30〜
120kg/cm2 、液空間速度は0.15〜5hr-1
である。
【0027】
【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。 メソ多孔体の製造1(FSM/8、10、12、14、
16) 日本化学工業(株)製の粉末珪酸ソーダ(SiO2 /N
2 O=2.00)を700℃で6時間、空気中で焼成
し、ジケイ酸ソーダ(δ−Na2 Si2 5 )に結晶化
させた。この結晶50gを500ccの水に分散させ、
3時間攪拌した。その後、濾過により固形分を回収して
カネマイト結晶を得た。このカネマイトは乾燥せず、乾
燥重量で50g相当のカネマイトを0.1モルのヘキサ
デシルトリメチルアンモニウムクロライド(C1633
(CH3 3 Cl)水溶液1000mlに分散させ、7
0℃で3時間攪拌しながら加熱した。加熱初期の分散液
のpHは12.3であった。その後70℃で加熱・攪拌
しながら、2規定の塩酸を添加して、分散液のpHを
8.5に下げた。それから更に70℃で3時間加熱して
から室温まで放冷した。固形生成物を一旦濾過し、10
00mlの脱イオン水に分散させ攪拌した。この濾過・
分散攪拌を5回繰り返してから60℃で24時間乾燥し
た。この試料を、窒素ガス中450℃で3時間加熱した
後、空気中550℃で6時間焼成することによりメソ多
孔体を得た。
【0028】上記と同じ操作で、ヘキサデシルトリメチ
ルアンモニウムクロライドの代わりにアルキル(Cn
2n+1)鎖長の長さ(n)が異なる4種類のアルキルトリ
メチルアンモニウム(Cn 2n+1N(CH3 3 )クロ
ライド(n=14)あるいはブロマイド(n=8,1
0,12)を用いて、計5種類のメソ多孔体を製造し
た。それぞれ用いたアルキルトリメチルアンモニウムの
アルキル鎖長の長さの数字(n)を付け、FSM/8、
FSM/10、FSM/12、FSM/14、FSM/
16と記号を付けた。
【0029】メソ多孔体の製造2(FSM/M05、1
0、20) 上記1のメソ多孔体の製造方法において、0.1モルの
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライドに加
え、メシチレン(C6 3 (CH3 3 )を添加して、
他は同じ条件でメソ多孔体の製造を行った。メシチレン
の添加量は0.05、0.1、0.2モルの3条件で製
造を行った。
【0030】それぞれ、FSM/M05、FSM/M1
0、FSM/M20と記号を付けた。 メソ多孔体の製造3(FSM/16P、FSM/16
D) 無定形の珪酸ソーダ(日本化学工業:粉末珪酸ソーダ、
Si02 /Na2 O=2.00)50g、あるいは粉末
珪酸ソーダを700℃で6時間空気中で焼成して得たδ
−Na2 Si2 5 50gを、0.1Mのヘキサデシル
トリメチルアンモニウムクロライド水溶液1000ml
に分散させ、70℃で3時間攪拌しながら加熱した。そ
の後、2規定の塩酸水溶液を滴下することにより分散液
のpHを8.5に調製した。それからさらに70℃で3
時間加熱してから、室温まで冷却した。固形生成物を濾
過し、1000mlの脱イオン水に分散させてから約5
分間攪拌して再び濾過をおこなった。この分散と濾過の
操作を5回繰り返した。生成物を乾燥した後、550℃
で焼成して、2種類の粉末を得た。これらの試料は、F
SM/16PとFSM/16Dと記号を付けた。
【0031】メソ多孔体のX線回折 合成したメソ多孔体の粉末X線回折パターンを測定し
た。X線回折は理学RAD−B装置を用い、CuKαを
線源として2度(2Θ)/分でスキャンした。スリット
幅は、1度−0.3mm−1度である。結果を図1、2
に示す。図1、2のX線回折パターンに見られるよう
に、回折角度(2Θ)が10°以下に数本のピークが観
察された。ピークの回折角度をd値に変換した値を表1
に示した。FSM/12、FSM/14、FSM/1
6、FSM/M05、FSM/16P、FSM/16D
に付いては、d=1nm以上のd値を持つピークが3〜
4本観察された。これらのピークは六方構造に指数付け
られた。一方、FSM/8、FSM/10、FSM/M
10については、d=1nm以上のd値を持つピークが
1〜2本の回折ピークが観察された。また、FSM/M
20については、d=1nm以上のd値を持つピークが
みられなかった。これらのX線回折パターンの結果か
ら、これらメソ多孔体は規則的な周期構造を持っている
ことがわかる。
【0032】
【表1】 メソ多孔体の細孔径分布曲線 メソ多孔体の細孔径分布曲線を窒素吸着等温線から求め
た。窒素吸着等温線は以下のように測定した。装置は、
ガラス製の真空ラインに圧力センサー(MKS,Baratr
on 127AA, レンジ1000mmHg)およびコントロールバルブ
(MSK,248A)2個が接続されたものを用い、窒
素ガスの真空ラインへの導入およびサンプル管への導入
が自動で行えるようになっている。メソ多孔体サンプル
約40mgをガラス製のサンプル管に入れ、真空ライン
に接続した。サンプルを室温で約2時間真空脱気した。
到達真空度は10-4mmHgであった。サンプル管を液
体窒素に浸漬し、真空ライン部に所定圧の窒素ガスを導
入する。圧力が安定した後、サンプル管のコントロール
バルブを開き圧力が一定にねった後平衡圧を記録する。
平衡圧が0〜760mmHgの範囲で16〜18点同じ
操作を繰り返した。平衡までの時間は、圧力により変化
するが、20分から60分の範囲であった。この平衡圧
と圧力変化からもとめた吸着量をプロットすることによ
り、上記の各メソ多孔体の窒素吸着等温線を作成した。
結果を図3、4に示した。
【0033】この窒素吸着等温線から、Cranston-Inkla
y 法により、細孔径分布曲線を求めた。結果を図5,6
に示した。細孔径分布曲線における最大のピークを示す
細孔直径(中心細孔直径と呼ぶ)、全細孔容積、および
中心細孔直径の±40%の細孔径範囲に含まれる細孔容
積の全細孔容積に対する割合を表2に示した。これらの
メソ多孔体は、中心細孔直径が1〜10nmの範囲にあ
り、かつ細孔径分布曲線における最大のピークを示す細
孔直径の±40%の細孔径範囲に全細孔容積の60%以
上が含まれる。
【0034】一方、比較サンプルであるシリカゲル(市
販A型)、ゼオライト(ZSM−5)の窒素吸着等温線
と細孔分布曲線を図7、8に示した。中心細孔直径およ
び全細孔容積および±40%細孔率を表2に示した。シ
リカゲルは、中心細孔直径が1.4〜10nmの範囲に
あるが、±40%細孔率が60%未満であり、細孔径分
布がブロードであった。また、ゼオライトは、±40%
細孔率が60%以上であるが、中心細孔直径が0.5n
mであり小さ過ぎた。
【0035】
【表2】 触媒調製 塩化白金の水溶液にメソ多孔体(FSM/16)を浸漬
し、乾燥した後に焼成することにより、白金を含有した
メソ多孔体触媒を調製した。塩化白金とメソ多孔体の混
合比は、焼成後に白金の含有量がメソ多孔体に対して5
重量%になるように調整した。乾燥は110℃で16時
間で、焼成は空気中500℃で4時間の条件でおこなっ
た。この触媒のX線回折パターンは、白金を担持する前
のメソ多孔体(FSM/16)のパターンとほぼ同じで
あった。
【0036】触媒活性試験1 上記触媒の水素化脱硫活性を評価するため、モデル反応
としてチオフェン(C 4 4 S)の水素化脱硫試験を行
った。反応は、通常の常圧固定油化流通反応装置を用
い、内径10mmのパイレックス製の反応管に触媒10
0mgを充填しておこなった。
【0037】まず、触媒の前処理として以下の操作をお
こなった。ヘリウムを流通させながら触媒を500℃ま
で昇温し、500℃で1時間放置した後温度を450℃
にした。450℃のまま流通ガスを水素に切り換え1時
間放置することにより、触媒の水素還元をおこなった。
次に脱硫反応の操作を説明する。触媒の温度を350℃
に加熱する。一定温度に維持した液体状のチオフェンに
水素ガスをバブリングして、水素ガスにチオフェンを同
伴させて、触媒に供給した。チオフェンの供給量は2.
64mmol/hrであり、チオフェンを含む水素ガス
の供給量は30ml/分であった。
【0038】反応生成物の分析はガスクロマトグラフを
用いておこなった。カラム充填剤としてSD−550を
使用した。反応開始から300分後迄のチオフェンの転
化率を測定した。その結果を図9に示す。Pt/FSM
によるチオフェン転化率(図9の□印のグラフ)は、反
応開始直後は約100%であり、反応時間とともに下が
るものの、300分後においても約85%の転化率を示
した。前処理として硫化水素処理をおこなう(図9の■
印のグラフ)と少しチオフェンの転化率は下がった。
【0039】(比較例)比較触媒として、現在工業的に
使用されているCoMo/アルミナ触媒を用いて、上記
と同じ前処理および反応条件で測定した結果を同じ図9
(◇印のグラフ)に示した。この場合、前処理として触
媒の硫化処理はおこなった。CoMo/アルミナのチオ
フェン転化率は、反応開始直後は約70%であり、反応
時間とともに下がり、300分後においては約58%の
転化率となった。
【0040】図9においてPt/FSMとCoMo/ア
ルミナとを比較すると、Pt/FSM触媒が従来の脱硫
触媒であるCoMo/アルミナ触媒より高い水素化脱硫
触媒活性を示すことがわかる。 触媒活性試験2 触媒活性試験1と同じ触媒を用い、更に同じ前処理およ
び反応条件で、反応温度だけ220℃〜400℃まで変
化させた場合の、反応開始300分後のチオフェンの転
化率および生成物の組成の変化を調べた。その結果を図
10と図11に示した。
【0041】Pt/FSMのチオフェン転化率は、図1
0に示すように反応温度の上昇とともに増加し、350
℃以上で約85%以上のチオフェン転化率を示した。チ
オフェンの分解生成物としては、図11に示すようにブ
タン(C4)とブテン(C4’)が主で、反応温度が低
いところで少量のプロパンが生成した。反応温度の上昇
とともにブタンの生成量が増加した。
【0042】この結果から、Pt/FSM触媒は脱硫の
際に炭化水素の分解を起こしにくく、原料油の組成を損
なわない優位性があることを示している。
【0043】
【発明の効果】本発明の水素化脱硫触媒は、細孔の形状
を特定した多孔体に触媒金属を配置させたことにより、
原料油の脱硫性能に優れ、反応時間の経過によって硫黄
化合物の転化率の低下が少なく、かつ原料油中の炭化水
素を変化さずに脱硫処理できる。したがって、工業的見
地から極めて有意義な触媒である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のメソ多孔体のX線回折パターン図で
ある。
【図2】本実施例のメソ多孔体のX線回折パターン図で
ある。
【図3】本実施例のメソ多孔体の窒素吸着等温曲線のグ
ラフである。
【図4】本実施例のメソ多孔体の窒素吸着等温曲線のグ
ラフである。
【図5】本実施例のメソ多孔体の細孔径の分布曲線のグ
ラフである。
【図6】本実施例のメソ多孔体の細孔径の分布曲線のグ
ラフである。
【図7】比較例のシリカゲル、ゼオライトの窒素吸着等
温曲線のグラフである。
【図8】比較例のシリカゲル、ゼオライトの細孔径の分
布曲線のグラフである。
【図9】本実施例の触媒および比較例の触媒の脱硫化反
応によるチオフェンの転化率を示すグラフである。
【図10】本実施例の触媒の脱硫化反応の温度変化によ
るチオフェンの転化率の変化を示すグラフである。
【図11】本実施例の触媒の脱硫化反応の温度変化によ
るチオフェンの転化による生成物の組成変化を示すグラ
フである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数の細孔を有し、細孔径分布曲線におけ
    る最大ピークを示す細孔直径が1.4〜10nmの範囲
    内にあり、かつ該細孔径分布曲線における最大のピーク
    を示す細孔直径の±40%の細孔径範囲に全細孔容積の
    60%以上が含まれる多孔体と、該多孔体の細孔中に配
    置され水素存在下で原料油中の硫黄化合物を分解除去す
    る貴金属と、よりなることを特徴とする水素化脱硫触
    媒。
  2. 【請求項2】X線回折パターンにおいて、d=1nm以
    上に相当する回折角度に1本以上のピークを有する多孔
    体と、該多孔体の細孔中に配置され水素存在下で原料油
    中の硫黄化合物を分解除去する貴金属と、よりなること
    特徴とする水素化脱硫触媒。
  3. 【請求項3】該貴金属は、白金、パラジウム、ロジウム
    の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1およ
    び請求項2に記載の水素化脱硫触媒。
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