JPH09290146A - マイクロカプセル、その製造方法及びそれを用いた感熱記録材料及び多色感熱記録材料 - Google Patents

マイクロカプセル、その製造方法及びそれを用いた感熱記録材料及び多色感熱記録材料

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JPH09290146A
JPH09290146A JP8132680A JP13268096A JPH09290146A JP H09290146 A JPH09290146 A JP H09290146A JP 8132680 A JP8132680 A JP 8132680A JP 13268096 A JP13268096 A JP 13268096A JP H09290146 A JPH09290146 A JP H09290146A
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aqueous solution
microcapsule
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capsule
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JP8132680A
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Kimio Ichikawa
紀美雄 市川
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ジアゾニウム塩や染料などの水溶性化合物を
含む水溶液、特に感熱記録材料および多色感熱記録材料
に好適に使用することができるジアゾニウム塩を含む水
溶液を、ポリウレア又はポリウレタンポリウレアのカプ
セル壁で内包したマイクロカプセルを提供する。 【解決手段】 ジアゾニウム塩などの水溶性化合物を含
む水溶液を内包したマイクロカプセルであり、且つマイ
クロカプセルのカプセル壁がポリウレア又はポリウレタ
ンウレアであることを特徴とするマイクロカプセル、そ
の製造方法及びそれを用いた感熱記録材料及び多色感熱
記録材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジアゾニウム塩や
染料等の水溶性化合物を含む水溶液を内包したマイクロ
カプセルに関し、特に感熱記録材料に利用することがで
きる熱応答性マイクロカプセル、及びその製造方法、そ
してこのマイクロカプセルを用いた感熱記録材料及び多
色感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ファクシミリやプリンター等の記録媒体
として普及している感熱記録材料は、主として支持体上
に電子供与性染料前駆体の固体分散物を塗布乾燥させた
材料を使用している。記録画像の保存性を確保するた
め、この材料は電子供与性染料前駆体をマイクロカプセ
ル中に内包し、記録層中で顕色剤と該染料前駆体とを隔
離した状態になるようにされている。
【0003】上記以外の感熱記録材料としては、ジアゾ
ニウム塩を利用した、いわゆるジアゾ型の感熱記録材料
も研究されている。このジアゾニウム塩は、フェノール
誘導体や活性メチレン基を有する化合物など(カプラ
ー)と反応して染料を形成するものであるが(通常、塩
基性化合物が反応促進剤として用いられる)、同時に感
光性も有し、光照射によりその活性を失うものである。
これらの性質を利用して最近では感熱記録材料にも応用
され、ジアゾニウム塩とカプラーを熱で反応させて画像
を形成し、その後、光照射して定着させることができる
光定着型感熱記録材料が提案されている(佐藤弘次ら
「画像電子学会誌」、第11巻、第4号(1982)、
290−296頁、など)。しかし、ジアゾニウム塩を
用いた記録材料は、化学的活性が高いため、低温であっ
ても保存中にジアゾニウム塩とカプラーとが徐々に反応
し、貯蔵寿命(シェルフライフ)が短いとの欠点があっ
た。これに対する一つの解決手段として、ジアゾニウム
塩をマイクロカプセルに封入し、カプラーや水、塩基性
化合物から隔離する方法が提案されている(宇佐美智正
ら「電子写真学会誌」、第26巻、第2(1987)、
115〜125頁)。
【0004】また、感熱記録材料の応用分野の一つとし
て、多色感熱記録材料が注目されてきている。感熱記録
による多色画像の再現は、電子写真記録方式やインクジ
ェット方式に比べて難しいと言われてきたが、この点に
関してはすでに、支持体上にマイクロカプセル内に封入
された電子供与性染料前駆体と顕色剤とを主成分とする
感熱発色層又はマイクロカプセル内に封入されたジアゾ
ニウム塩と該ジアゾニウム塩と加熱時に反応して発色す
るカプラーを含有する感熱発色層を2層以上積層するこ
とによって多色感熱記録材料を得られることが見い出さ
れている。このような多色感熱記録材料においては、単
色の感熱記録材料に比べて、優れた色再現性を得るため
にマイクロカプセルの熱発色特性を高度に制御すること
が要求される。
【0005】従来、電子供与性染料前駆体やジアゾニウ
ム塩化合物をマイクロカプセル中に封入させるには、一
般に有機溶媒中にこれらの化合物を溶解させ(油相)、
これを水溶性高分子の水溶液中(水相)に加えて乳化分
散させている。このとき、壁材となるモノマーあるいは
プレポリマーを有機溶媒相側か水相側の何れかに添加し
ておくことにより、有機溶媒相と水相との界面に高分子
壁を形成させ、マイクロカプセル化することができる。
これらの方法については「マイクロカプセル」(近藤朝
士、日刊工業新聞社(1970))及び「マイクロカプ
セル」(近藤保ら、三共出版(1977))に詳しく記
載されている。形成されるマイクロカプセル壁として
は、ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース類、ポリウレ
ア、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリアミド(ナイロ
ン)など様々なものが使用可能である。中でも、ポリウ
レアやポリウレタンポリウレアは、そのガラス転移温度
が室温乃至200℃程度にあるためカプセル壁が熱応答
性を示し、感熱記録材料を設計するのに好適である。
【0006】マイクロカプセルの製法としては、ポリウ
レアあるいはポリウレタンポリウレア壁を有するマイク
ロカプセルを得る場合、まず有機溶媒中にジアゾニウム
塩や電子供与性染料前駆体を溶解し、これに多価イソシ
アネート化合物を添加し、この有機相溶液を水溶性高分
子水溶液中で乳化させる。その後、水相に重合反応促進
の触媒を添加するかまたは乳化液の温度を上げて多価イ
ソシアネート化合物を水等の活性水素を有する化合物と
重合させてカプセル壁を形成させる方法が従来から知ら
れている(特開昭62−212190号公報及び特開平
4−26189号公報)。
【0007】上記のような多価イソシアネート化合物を
用いたポリウレアあるいはポリウレタンのカプセル壁
は、有機溶剤に可溶で、水に不溶ないしはほとんど溶け
ないジアゾニウム塩や電子供与性染料前駆体を含む油滴
の周囲に形成されている。即ち、ジアゾニウム塩や電子
供与性染料前駆体及び多価イソシアネート化合物を含む
有機相溶液を、水溶性高分子水溶液中で乳化させて、そ
の有機相と水相との界面にポリウレアあるいはポリウレ
タンウレアのカプセル壁を形成している。しかしなが
ら、上記カプセル形成に使用されるジアゾニウム塩は、
水に溶けない特殊なタイプであり、本来の水溶性のジア
ゾニウム塩を用いて、上記方法でポリウレアあるいはポ
リウレタンのカプセル壁を形成することができない。即
ち、例えば、上記水通常の水溶性のジアゾニウム塩を含
む水滴を多価イソシアネート化合物を含む有機相溶液を
分散させた場合、重合反応が界面のみならず有機相溶液
全体にも進むため、カプセルの形成は不可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】例えば水溶性のジアゾ
ニウム塩を、熱応答性に優れたポリウレアあるいはポリ
ウレタンウレア壁でマイクロカプセルとすることができ
れば、広範な種類のジアゾニウム塩を使用して熱応答性
に優れ且つ種々な特性を有するマイクロカプセルを製造
することが可能となる。このため本発明者は、水溶性の
ジアゾニウム塩(さらには水溶性染料等)を、ポリウレ
アあるいはポリウレタンウレア壁でマイクロカプセル化
するため種々検討を重ねてた結果、本発明に到達したも
のである。
【0009】本発明は、ジアゾニウム塩や染料などの水
溶性化合物を含む水溶液、特に感熱記録材料および多色
感熱記録材料に好適に使用することができるジアゾニウ
ム塩を含む水溶液を、ポリウレア又はポリウレタンポリ
ウレアのカプセル壁で内包したマイクロカプセルを提供
することを目的とする。また、本発明は、静電トナー記
録のための記録材料、繊維着色材等の色材、塗料、イン
キ、化粧品、医薬製剤に利用することができる、染料を
含む水溶液をポリウレア又はポリウレタンポリウレアの
カプセル壁で内包したマイクロカプセルを提供すること
を目的とする。さらに、本発明は、上記マイクロカプセ
ルの製造方法を提供することを目的とする。本発明は、
また、感熱記録材料および多色感熱記録材料に好適に使
用することができる水溶性ジアゾニウム塩を内包するマ
イクロカプセルを用いた熱応答性マイクロカプセルを提
供することを目的とする。また本発明は、水溶性ジアゾ
ニウム塩を内包するマイクロカプセルを用いた感熱記録
材料を提供することを目的とする。さらに本発明は、水
溶性ジアゾニウム塩を内包するマイクロカプセルを用い
た多色感熱記録材料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、水溶性化合物
を含む水溶液を内包したマイクロカプセルであり、且つ
マイクロカプセルのカプセル壁がポリウレア又はポリウ
レタンウレアであることを特徴とするマイクロカプセル
にある。
【0011】本発明のマイクロカプセルの好ましい態様
は下記のとおりである。 1)水溶性化合物を含む水溶液が、複数の核の形態でカ
プセルに内包されている(即ち、該水溶液が核としてカ
プセル壁により封入されたカプセルで、その核が複数個
あるカプセル)。 2)熱応答性マイクロカプセルである。 3)水溶性化合物が、ジアゾニウム塩、酸性染料又は塩
基性染料である。
【0012】上記マイクロカプセルは、下記の製造方法
により有利に得ることができる。下記の(1)〜(3)
の工程; (1)水溶性化合物を含む水溶液を、分子中に少なくと
も2個のイソシアネート基を有する多官能イソシアネー
ト化合物を含む有機溶媒溶液に、該多官能イソシアネー
ト化合物が反応性を示さない温度にて分散させて水/油
型乳化液を調製し、(2)該油/水型乳化液を、多官能
イソシアネート化合物が反応性を示さない温度にて、保
護コロイドを含む水溶液中に分散させて水/油/水型乳
化液を調製し、そして(3)水/油/水型乳化液を加熱
して、水溶性化合物を含む水溶液の水滴の周囲の多官能
イソシアネート化合物を含む有機溶媒溶液の多官能イソ
シアネート化合物を水と反応させて、該水滴の周囲にポ
リウレア又はポリウレタンウレアのカプセル壁を形成さ
せることからなるマイクロカプセルの製造方法。
【0013】本発明は、支持体、及びその上に設けられ
た感熱記録層からなる感熱記録材料であって、該感熱記
録層が、水溶性ジアゾニウム塩を含む水溶液を内包した
マイクロカプセルと、カプラーを含み、そして該マイク
ロカプセルが、ポリウレア又はポリウレタンウレアのカ
プセル壁を有していることを特徴とする感熱記録材料に
もある。
【0014】更に、本発明は、透明支持体、及びその上
に設けられたシアン、マゼンタ及びイエローの各感熱記
録層を有する多色感熱記録材料であって、各感熱記録層
が、水溶性ジアゾニウム塩を含む水溶液を内包したマイ
クロカプセルと、カプラーを含み、そして該マイクロカ
プセルが、ポリウレア又はポリウレタンウレアのカプセ
ル壁を有していることを特徴とする多色感熱記録材料に
もある。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のマイクロカプセル(好ま
しくは熱応答性マイクロカプセル)は、水溶性化合物
(例、ジアゾニウム塩または酸性、塩基性染料)をポリ
ウレアあるいはポリウレタンポリウレア壁で内包したマ
イクロカプセルである。また本発明の感熱記録材料は、
支持体上に上記マイクロカプセルを含む感熱記録層が設
けられた基本構成を有する。更に、本発明の多色感熱記
録材料は、透明支持体上にシアン、マゼンタ及びイエロ
ーの上記マイクロカプセルを含む感熱記録層が設けられ
た基本構成を有する(所望により透明支持体の裏面にブ
ラックの感熱記録層が設けられても良い)。
【0016】本発明のマイクロカプセルは、水溶性化合
物(例、ジアゾニウム塩)を内包するマイクロカプセル
で、カプセル壁は分子中に少なくとも2個のイソシアネ
ート基を有する多官能イソシアネート化合物と、水など
の活性水素を有する化合物との重合により得られるポリ
マー(ポリウレタンまたはポリウレタン/ポリウレア)
である。
【0017】本発明マイクロカプセルに内包される水溶
性のジアゾニウム塩は、公知のものを使用することがで
きる。ジアゾニウム塩とは下記一般式: ArN2- [式中Arはアリール基を表わし、そしてX- は酸アニ
オンを表す。]で表わされる化合物をいう。
【0018】上記ジアゾニウム塩は、フェノール化合物
あるいは活性メチレンを有する化合物と反応し、いわゆ
る染料を形成し、さらに光(一般的には紫外線)照射に
より分解し、脱窒素してその活性を失うものである。本
発明で好ましく使用することができる水溶性ジアゾニウ
ム塩の例としては下記のものを挙げることができる。 p−N,N−ジメチルアミノベンゼンジアゾニウム塩
化亜鉛塩(構造式を下記に示す):
【0019】
【化1】
【0020】4−モルフォリノ−2,5−ジブトキシ
ベンゼンジアゾニウム塩化亜鉛塩(構造式を下記に示
す):
【0021】
【化2】
【0022】4−ピロリジノ−3−メチルベンゼンジ
アゾニウム塩化亜鉛塩(構造式を下記に示す):
【0023】
【化3】
【0024】多くのジアゾニウム塩は水溶性を示すが、
特に上記のように塩化亜鉛塩とすることにより、より多
くのジアゾニウム塩が水溶性を示すようになり、本発明
で使用することができる。
【0025】ジアゾニウム塩の酸アニオンとしては、塩
化亜鉛以外にはヘキサフルオロフォスフェート、テトラ
フルオロボレート、1,5−ナフタレンスルホネート、
パーフルオロアルキルカルボネート、パーフルオロアル
キルスルフォネート及び塩化錫などの酸アニオンを用い
ることができる。本発明においては、異なる2種以上の
ジアゾニウム塩を任意の比率で混合して用いることがで
きる。
【0026】ジアゾニウム塩を内包するマイクロカプセ
ルを用いた感熱記録層においては、アリールスルフォン
アミド化合物などの公知の熱増感剤が添加されていても
良い。具体的には、トルエンスルホンアミドやエチルベ
ンゼンスルホンアミドなどが挙げられる。また本発明に
おいては、異なる2種以上の熱増感剤を混合して用いる
こともできる。
【0027】ジアゾニウム塩と反応して色素を形成する
カプラーは、乳化分散及び/又は固体分散することによ
り微粒子化して使用される。カプラーの具体例としては
レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナ
フタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ
−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−
ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタ
レン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタ
レン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−
ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒ
ドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロ
キシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルア
ミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルア
ミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾ
イルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセト
アセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラ
ゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル
−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロ
ロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1
−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ア
ニリノ−5−ピラゾロン、1−フェニル−3−フェニル
アセトアミド−5−ピラゾロン、1−(2−ドデシルオ
キシフェニル)−2−メチルカーボネイトシクロヘキサ
ン−3,5−ジオン、1−(2−ドデシルオキシフェニ
ル)シクロヘキサン−3,5−ジオン、N−フェニル−
N−ドデシルバルビツール酸、及びN−フェニル−N−
(3−ステアリルオキシ)ブチルバルビツール酸を挙げ
ることができる。これらのカプラーは2種以上併用し目
的の発色色相を得ることもできる。
【0028】さらに、色素形成反応を促進させるため
に、乳化分散及び/又は固体分散して微粒子化した塩基
化合物を添加するのが一般的である。塩基物質としては
無機あるいは有機の塩基化合物のほか、加熱時に分解等
によりアルカリ物質を放出するような化合物も含まれ
る。代表的なものとしては、有機アンモニウム塩、有機
アミン、アミド、尿素およびチオ尿素さらにそれらの誘
導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペ
ラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール
類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、
ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジ
ン類等の含窒素化合物があげられる。これらの具体例と
してはトリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミ
ン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、
アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿
素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4
−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイ
ミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5
−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル
−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル
−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニ
ジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,
3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリク
ロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,
4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢
酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、及び2−ベンゾイ
ルヒドラジノベンゾチアゾールを挙げることができる。
これらは、2種以上併用することもできる。
【0029】本発明で使用することができるカプセル壁
を形成用の多官能イソシアネート化合物としては、分子
中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する多官能
イソシアネート化合物であればどのようなものでも使用
することができる。すなわち、公知の多官能イソシアネ
ート(2官能イソシアネート、そのポリヒドロキシル化
合物と反応した付加物)あるいは下記の化合物を使用す
ることができる。
【0030】2官能イソシアネートとして、m−フェニ
レンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリ
レンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシ
アネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネ
ート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネ
ート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’
−ジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシア
ネート、キシリレン−1,3−ジイソシアネート、4−
クロロキシリレン−1,3−ジイソシアネート、2−メ
チルキシリレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’
−ジフェニルプロパンジイソシアネート、4,4’−ジ
フェニルヘキサフルオロプロパンジイソシアネート、ト
リメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブ
チレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン
−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,
3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジ
イソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−
ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチ
ル)シクロヘキサン、1,3−ビス(イソシアネートメ
チル)シクロヘキサン、エチル−2,6−ジイソシアナ
トヘキサノエート(リジンジイソシアネート)および2
−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサ
ノエート(リジントリイソシアネート)。これらの中
で、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、キシリレン−1,4−ジイソシ
アネート及びキシリレン−1,3−ジイソシアネートが
好ましく、特にキシリレン−1,4−ジイソシアネート
及びキシリレン−1,3−ジイソシアネートが好まし
い。
【0031】2官能イソシアネートと付加物を形成する
ポリヒドロキシル化合物としては、多価フェノール化合
物、脂肪族多価アルコール化合物を上げることができ
る。上記脂肪族多価アルコール化合物の例としては;エ
チレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2
−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジ
オール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、ピナコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−
ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,
2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサン
ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−
シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール、ポリラクチドジオール、ポリカプロラク
トンジオール、ポリバレロラクトンジオール、ポリトリ
メチンカルボネートジオール、ポリグリコリドジオー
ル、1,3,5−シクロヘキサントリオール、トリメチ
ロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール
及びジペンタエリスリトール、1,4−ベンゼンジメタ
ノール、3,3,3’,3’−テトラメチル−1,1’
−スピロビスインダン−5,5’,6,6’−テトロー
ル、多糖類(例、カードラン、プルラン)等を挙げるこ
とができる。さらに、上記ポリラクチドジオール、ポリ
カプロラクトンジオール、ポリバレロラクトンジオー
ル、ポリトリメチンカルボネートジオール及びポリグリ
コリドジオールのそれぞれのモノマーの少なくとも二種
からなる共重合体を挙げることができる。これらの中
で、トリメチロールプロパン、1,3,5−シクロヘキ
サントリオールが好ましく、特にトリメチロールプロパ
ンが好ましい。
【0032】上記以外の分子中に2個以上のイソシアネ
ート基を有する多官能イソシアネート化合物としては、
キシレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートお
よびその水添物、およびイソホロンジイソシアネートな
どのジイソシアネーなどの公知の化合物が挙げることが
できる。更にこれらの化合物を主原料としこれらの3量
体(ビューレットあるいはイソシアヌレート)の他トリ
メチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体
(付加物)として多官能としたもの、ベンゼンイソシア
ネートのホルマリン縮合物なども挙げることができる。
特に、キシレンジイソシアネートおよびその水添物、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネ
ートおよびその水添物を主原料としこれらの3量体(ビ
ューレットあるいはイソシヌレート)の他トリメチロー
ルプロパンとのアダクト体として多官能としたもの好ま
しい。これらの化合物については「ポリウレタン樹脂ハ
ンドブック」(岩田敬治編、日刊工業新聞社発行(19
87))に記載されている。
【0033】本発明において、分子中に2個以上のイソ
シアネート基を有する多官能イソシアネート化合物とし
て、特願平5−233536号明細書、特願平6−47
14号明細書に記載の化合物も使用することができる。
【0034】本発明の(熱応答性)マイクロカプセル
は、例えば下記のようにして作製することができる。マ
イクロカプセルの芯(核)を形成する水溶性化合物を含
む水溶液は、水溶性のジアゾニウム塩を水に溶解して作
製される(勿論、塩基性染料、酸性染料等の水溶性化合
物を用いても良い)。水以外の溶媒として、水と相溶性
のあるアルコール、エーテル等を30重量%以下の量で
使用しても良い。水溶性化合物の量は、1〜60重量%
が一般的で、5〜40重量%が好ましい。この水溶液は
マイクロカプセルの内水相を形成する。所望により、水
溶液中には、多官能イソシアネート化合物と反応する多
価アルコール、多価アミン(後述する)を含んでいても
良い。
【0035】上記水溶液は、前記多官能イソシアネート
化合物を含む有機溶媒溶液に、乳化される。この場合、
多官能イソシアネート化合物が反応性を示さない温度
(一般に5℃以下)、すなわち水やアミンと反応するこ
とのない温度にて乳化される(水/油型(W/O)乳化
物の作製)。乳化は、公知の分散法、例えば断続振とう
法、プロペラ型かくはん機あるいはタービン型かくはん
機等のミキサーによる方法、コロイドミル法、ホモジナ
イサー等の高シェア攪拌装置を用いる方法、超音波によ
る方法等を利用することができる。これらの中で、ホモ
ジナイザーが好ましい。乳化時の攪拌の回転数は、20
00〜20000が好ましい。多官能イソシアネート化
合物を溶解するために使用される溶媒としては、沸点が
120℃以下(好ましくは100℃以下)のものが一般
的で、例えば、塩素化炭化水素(例、ジクロロメタン、
クロロホロム、クロロエタン、ジクロロエタン、トリク
ロロエタン、四塩化炭素)、脂肪酸エステル(例、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、エーテル類(例、
エチルエーテル、イソプロピルエーテル)、及び芳香族
炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)を挙げ
ることができる。これらは2種以上で適宜混合して使用
しても良い。多官能イソシアネート化合物の量は、1〜
60重量%が一般的で、5〜40重量%が好ましい。更
に、多官能イソシアネート化合物と反応する多価アルコ
ール、多価アミン(後述する)、また多官能イソシアネ
ート化合物と反応しないポリマーを含んでいても良い。
水溶性化合物の水溶液と上記有機溶媒溶液との比は、
0.5:100〜30:100(重量比)が一般的で、
1:100〜20:100(重量比)が好ましい。また
形成される水滴の直径は、0.1〜5μmが一般的で、
0.1〜2μmが好ましい。
【0036】上記水/油型乳化物は、更に保護コロイド
を含む水溶液(外水相を形成する)中に乳化され、水/
油/水型(W/O/W)乳化物が形成される。この場合
も、多官能イソシアネート化合物が反応性を示さない温
度(一般に5℃以下)にて乳化される。乳化は、上記の
分散法を利用することができる。特にホモジナイサー等
の高シェア攪拌装置を用いる方法が好ましい。乳化時の
攪拌の回転数は、2000〜30000rpm、特に3
000〜10000rpmが好ましい。上記保護コロイ
ドとしては、例えばポリビニルアルコールおよびその変
成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレ
ン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共
重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、イソブチ
レン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリド
ン、エチレン/アクリル酸共重合体、酢酸ビニル/アク
リル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチル
セルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビ
ヤゴム及びアルギン酸ナトリウムを挙げることができ
る。これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物と
の反応しないか、極めて反応し難いものが好ましく、た
とえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を
有するものは予め反応性をなくしておくことが必要であ
る。保護コロイドとしては、ポリビニルアルコールおよ
びその変性物、ポリビニルピロリドン及びゼラチンが好
ましい。さらに所望により、更に界面活性剤を含んでも
良く、例えばアニオン系界面活性剤(例、ドデシルベン
ゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ス
テアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム)、非
イオン系界面活性剤(例、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル[ツイーン80、ツイーン60、以上
アトラスパウダー社製]、ポリオキシエチレンヒマシ油
誘導体[HCO−60、HCO−50、以上日光ケミカ
ルズ(株)製]を挙げることができる。界面活性剤とし
ては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びポリ
オキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
また、油相には油溶性界面活性剤を添加することができ
るので、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(例、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレー
ト)やソルビタン脂肪酸エステル(例、ソルビタンモノ
オレート、ソルビタンモノステアレート)等を単独又は
二種以上の界面活性剤を添加することができる。水溶液
中の保護コロイドの量は、0.01〜20重量%が一般
的であり、0.1〜10重量%が好ましい。W/O乳化
物と上記保護コロイドを含む水溶液との比は、1:10
0〜100:100(重量比)が一般的で、10:10
0〜50:100(重量比)が好ましい。
【0037】得られたW/O/W乳化物に、適宜更に水
を加えた後、冷却の中止あるいは加熱により温度を上昇
させ(一般に10〜60℃)て、多官能イソシアネート
化合物と水(所望により多価アミン、多価アルコール)
とを重合(反応)させ、ポリウレアまたはポリウレタン
ウレアのカプセル壁を形成する。重合はイソシアネート
化合物の重合反応触媒を添加して行なっても良い。反応
時間は、上記反応温度によりことなるが、一般に0.5
〜10時間であり、1〜8時間が好ましい。形成された
カプセル壁は、必要により溶剤が除去される。カプセル
壁中の溶剤は、重合中に除去される場合もあるが、残存
している場合は、除去する必要がある。溶剤の除去は、
一般にプロペラ型攪拌機、あるいはマグネットスターラ
ー等で攪拌しながら常圧又は徐々に減圧しながら行な
う。あるいはロータリーエバポレーターを用いて真空度
を調節しながら行なう。このようにして得られたマイク
ロカプセルは、遠心分離あるいはろ過することにより分
取し、更に必要により蒸留水で洗浄することが好まし
い。
【0038】前記W/O/W乳化物の油滴は、W/O乳
化物中の水滴を複数取り込まれた構造となり、一般にこ
の水滴を複数、核として有しているため、得られるマイ
クロカプセルも複数の水滴を核として有する複核カプセ
ルを形成する。従って、得られるマイクロカプセルの直
径は比較的大きく、1〜100μmが一般的で、2〜5
0μmが好ましい。即ち、本発明のマイクロカプセル
は、一般に水溶性化合物の核を、ポリウレアまたはポリ
ウレタンポリウレアのカプセル壁によりカプセル内部及
び外部を隔離した形態で、複数有するものである。
【0039】本発明においてマイクロカプセル化の際、
前述したようにマイクロカプセル壁を形成するための多
価イソシアネート化合物と反応する活性水素を有する化
合物としては、水溶性化合物を含む水溶液中の水が使用
されるが、多価アルコールを芯となる水溶液中あるいは
分散媒となる有機溶媒溶液中に添加しておき、上記活性
水素を有する化合物(マイクロカプセル壁の原料の一
つ)として用いることができる。具体的にはプロピレン
グリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパンな
どが挙げられる。またポリオールの代わりに、あるいは
併用してジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタ
ミン等のアミン化合物を使用しても良い。これらの化合
物も先の「ポリウレタン樹脂ハンドブック」に記載され
ている。
【0040】また前記水/油型(W/O)乳化物の作製
においても、前記界面活性剤を油相あるいは水相の何れ
に添加して使用しても良いが、有機溶媒に対する溶解度
が低いために水相に添加する方が容易である。界面活性
剤(乳化助剤)として、上記の他、芳香族スルホン酸塩
のホルマリン縮合物や芳香族カルボン酸塩のホルマリン
縮合物などの化合物、アルキルグルコシド系化合物の化
合物も同様に使用することができる。また水/油型(W
/O)乳化物の作製の際、油相には油溶性界面活性剤を
添加することができるので、ポリオキシエチレンソルビ
タン脂肪酸エステル(例、ポリオキシエチレンソルビタ
ンモノステアレート)やソルビタン脂肪酸エステル
(例、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステア
レート)等を単独又は二種以上の界面活性剤を添加する
ことができる。界面活性剤の添加量は、水相に添加する
時も、油相に添加する時も、油相の重量に対し0.1〜
30重量%、特に1〜20重量%が好ましい。
【0041】上記W/O/W乳化物において、重合は、
一般に内水相と油相との界面及び外水相と油相との界面
で起こり、徐々にカプセル壁を形成すると考えられる。
この油相中に、カプラー、オイル等を含有させてもよ
い。油相中にカプラーを含有させた場合は、カプセルの
芯部分にジアゾニウム塩を内包し、内水相と油相の界面
に生じた膜と、外水相と油相の界面に生じた膜との間
に、カプラーを内包した、いわゆる二重カプセルを形成
させることが可能である。
【0042】また、前記マイクロカプセルの作成におい
て、カプセルの芯を形成する水溶性化合物として、ジア
ゾニウム塩の代わりに他の水溶性化合物を用いることが
できる。他の水溶性化合物として、酸性染料及び塩基性
染料を挙げることができる。酸性染料の例としては下記
の化合物を挙げることができる。
【0043】
【化4】
【0044】塩基性染料の例としては下記の化合物を挙
げることができる。
【0045】
【化5】
【0046】前記調製されたジアゾニウム塩を内包した
マイクロカプセル液には、さらにカップリング反応失活
剤を適宜添加することができる。この反応失活剤として
の例としては、ハイドロキノン、重亜硫酸ナトリウム、
亜硝酸カリウム、次亜リン酸、塩化第1スズ及びホルマ
リンを挙げることができる。これらの化合物について
は、特開昭60−214992号公報に記載されてい
る。また通常、カプセル化の過程で、水相中にジアゾニ
ウム塩が溶出することが多いが、これを除去する方法と
して、濾過処理、イオン交換処理、電気泳動処理、クロ
マト処理、ゲル濾過処理、逆浸透処理、限外濾過処理、
透析処理、活性炭処理などの方法を利用することができ
る。この中でもイオン交換処理、逆浸透処理、限外濾過
処理及び透析処理が好ましく、特に、陽イオン交換体に
よる処理、陽イオン交換体と陰イオン交換体の併用によ
る処理が好ましい。これらの方法については、特開昭6
1−219688号公報に記載されている。
【0047】本発明においては、感熱発色層中にカプラ
ー及び塩基性化合物などを添加することができる。これ
らは、適宜混合して、別々に乳化分散、あるいは固体分
散、微粒化して添加、あるいは適宜混合してから、乳化
分散あるいは固体分散、微粒化して添加することができ
る。乳化分散する方法は、有機溶媒中にこれらの化合物
を溶解し、水溶性高分子水溶液をホモジナイザー等で攪
拌中に添加する。微粒子化を促進するにあたり、前述の
疎水性有機溶媒、界面活性剤、水溶性高分子を使用する
ことが好ましい。
【0048】カプラーおよび塩基性物質などを固体分散
するには、これらの粉末を水溶性高分子水溶液中に投入
しボールミル等の公知の分散手段を用いて微粒子化し、
使用することができる。微粒子化に際しては、熱感度、
保存性、記録層の透明性、製造適性などの多色感熱記録
材料及びその製造方法に必要な特性を満足しうる粒子直
径を得るように行なうことが好ましい。
【0049】上記マイクロカプセル液と、上記カプラー
及び塩基性化合物等の調製液とは、適当な割合で混合さ
れ支持体上に塗布される。これにより、感熱記録材料を
得ることができる。一般には、ジアゾニウム塩1モルに
対して、カプラー1〜10モル、2〜6モルが適当であ
る。塩基性化合物の最適添加量は塩基性の強度により異
なるがジアゾニウム塩の0.5〜5モルが一般的であ
る。
【0050】これらの塗布液を塗布する支持体として
は、感熱記録材料の支持体として公知の材料を使用する
ことができる。例えば、紙、紙上にクレー等を塗布した
塗工紙、ポリエチレン、ポリエステル等を紙上にラミネ
ートしたラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のプラ
スチックフィルムを挙げることができる。また透明支持
体としては、上記のポリエチレンテレフタレート、トリ
アセチルセルロース、さらにポリスチレン、ポリプロピ
レン、ポリエチレン等のプラスチックフィルムを挙げる
ことができる。
【0051】本発明には、光堅牢性などを更に改善する
ために感熱発色層の上に保護層を設けてもよい。また、
多色感熱材料においては、色再現性を更に良くするため
に感熱記録層の間に中間層を設けてもよい。これらに用
いられる層の素材としては、水溶性高分子化合物もしく
は疎水性高分子化合物のエマルジョン(ラテックス)が
好ましい。
【0052】多色感熱記録材料及びその記録方法につい
て述べる。支持体上に、第3感熱記録層、第2感熱記録
層及び第1感熱記録層が順に形成された多色感熱記録材
料を、最外層から順に発色させ、画像を形成する。まず
初めに低エネルギーの熱記録でジアゾニウム塩を含有す
る最外層の感熱層(第1感熱記録層、通常イエロー発色
層)を発色させた後、該感熱層に含有されるジアゾニウ
ム塩の吸収波長域の光を放出する光源を用いて全面光照
射して、最上層の感熱層中に残存するジアゾニウム塩を
光分解させる。
【0053】次いで、前回より高エネルギーで、第1層
に含有されるジアゾニウム塩の吸収波長域の光とは異な
った光吸収波長域を有するジアゾニウム塩を含有する第
2層目の感熱層(第2感熱記録層、通常マゼンタ発色
層)を発色させた後、該ジアゾニウム塩の吸収波長域の
光を放出する光源を用いて再度全面光照射し、これによ
って第2層目の加熱層中に残存するジアゾニウム塩を光
分解させる。最後に、更に高エネルギーで、最内層(第
3感熱記録層、通常シアン発色層)の電子供与性染料前
駆体を含有する層(第3層)を発色させて画像記録を完
了する。
【0054】上記の場合には、最外層及び第2層を透明
な感熱層とすることが、各発色が鮮やかになるので好ま
しい。また本発明においては、支持体として透明な支持
体を用い、上記3層のうち何れか一層を透明な支持体の
裏面に塗布することにより、多色画像を得ることもでき
る。この場合には、画像を見る側と反対側の最上層の感
熱層は透明である必要はない。
【0055】上記ジアゾニウム塩の光分解に使用する光
源としては、通常紫外線ランプを使用する。紫外線ラン
プは管内に水銀蒸気を充填した蛍光管であり、管の内壁
に塗布する蛍光体の種類により種々の発光波長を有する
蛍光管を得ることができる。多色感熱記録材料において
は、上記第3感熱記録層を適当なジアゾニウム塩とカプ
ラー化合物との組合せで作成することも可能である。
【0056】以下に実施例を示すが本発明はこれに限定
されるものではない。なお、実施例中の「部」は全て重
量部を示す。
【0057】
【実施例】
【0058】[実施例1]p−N,N−ジメチルベンゼ
ンジアゾニウム塩0.1部を純水0.4部に溶解してカ
プセルの内水相となる水溶液を得た。多価イソシアネー
トとしてキシリレンジイソシアネート/トリメチロール
プロパン付加物(タケネートD110N、75重量%酢
酸エチル溶液、武田薬品(株)製)5.3部をメチレン
クロライド8部に溶解して油相となる有機溶媒溶液を得
た。この有機溶媒溶液をローター式ホモジナイザー(ポ
リトロン;チネマチカ(株)製)で攪拌しながら、有機
溶媒溶液中に、前記水溶液を滴下し、乳化した。得られ
た乳化液を光子相関型粒径分布測定器(サブミクロンア
ナライザーN4 、コールター社(製))にて粒径測定し
たところ、乳化物の平均粒径は0.3μmであった。
【0059】得られた乳化液(W/O)を、5℃に保っ
たポリビニルアルコール(ポバールPVA217E、
(株)クラレ製)の0.25重量%水溶液(外水相)5
0部中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)
を3000rpmで作動させ、5分間で乳化した。得ら
れた乳化液(W/O/W)に30部の純水を加え、20
℃で4時間攪拌を行なってカプセル壁を形成させ、カプ
セル分散液を得た。得られたカプセルの平均粒径は、3
9μmであった。カプセル分散液を更に、遠心分離機を
用いて10000rpm、20℃で遠心分離した。得ら
れた透明な上澄み液について、UV測定により上澄み液
中のp−N,N−ジメチルベンゼンジアゾニウム塩の濃
度を測定し、カプセル内へのジアゾニウム塩の取り込み
率を得た。30%であった。得られたカプセルを液体窒
素中で冷却し、スライスしてその断面を走査型電子顕微
鏡で観察したところ、複核のカプセルであることが確認
された。
【0060】[実施例2]実施例1において、外水相を
形成するポリビニルアルコールの0.25重量%水溶液
の代わりにポリビニルアルコールの2重量%水溶液を用
いた以外は実施例1と同様にしてカプセル分散液を得
た。得られたカプセルの平均粒径は、17μmであっ
た。また取り込み率は、42%であった。
【0061】[実施例3]実施例1において、乳化液
(W/O/W)を形成するために用いたホモジナイザー
(日本精機(株)製)の回転数を3000rpmから6
000rpmに変えた以外は実施例1と同様にしてカプ
セル分散液を得た。得られたカプセルの平均粒径は、
9.6μmであった。また取り込み率は、36%であっ
た。
【0062】[実施例4]実施例3において、外水相を
形成するポリビニルアルコールの0.25重量%水溶液
の代わりに、ポリビニルアルコール1部及びドデシルベ
ンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部を純水35部に溶
解した水溶液を用いた以外は実施例3と同様にしてカプ
セル分散液を得た。得られたカプセルの平均粒径は、
0.35μmであった。また取り込み率は、43%であ
った。
【0063】[実施例5]実施例3において、油相とな
る有機溶媒溶液として、キシリレンジイソシアネート/
トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110
N、75重量%酢酸エチル溶液、武田薬品(株)製)
5.3部及びソルビタンモノオレート(スパン80、関
東化学(株)製)0.7部をメチレンクロライド8部に
溶解して得られる有機溶媒溶液を用いた以外は実施例3
と同様にしてカプセル分散液を得た。得られたカプセル
の平均粒径は、1.96μmであった。また取り込み率
は、34%であった。
【0064】[実施例6]実施例1において、内水相と
なる水溶液として、p−N,N−ジメチルベンゼンジア
ゾニウム塩の水溶液の代わりに、前記酸性染料(A−
2)0.005部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム0.05部とを純水に溶解して得た水溶液0.5部
を用いた以外は実施例1と同様にしてカプセル分散液を
得た。得られたカプセルの平均粒径は、9.8μmであ
った。また取り込み率は10%であった。
【0065】[実施例7]実施例2において、内水相と
なる水溶液作成に用いたp−N,N−ジメチルベンゼン
ジアゾニウム塩の代わりに前記塩基性染料(B−3)を
同量用いた以外は実施例2と同様にしてカプセル分散液
を得た。得られたカプセルの平均粒径は、11.8μm
であった。また取り込み率は、81%であった。
【0066】[比較例1]実施例1において得られた乳
化液(W/O)を、加温してイソシアネートと内水相の
水と反応させようとしたが、油相全体が硬化して、カプ
セル分散液を得ることができなかった。
【0067】
【発明の効果】本発明のマイクロカプセルは、ジアゾニ
ウム塩や染料などの水溶性化合物を含む水溶液をポリウ
レア又はポリウレタンウレアのカプセル壁で内包したマ
イクロカプセルであり、これにより従来不可能であった
上記水溶性化合物のポリウレタンウレアカプセル壁によ
るマイクロカプセルを得ることができる。また、従来、
熱応答性に優れたポリウレタンウレア壁のマイクロカプ
セルではジアゾニウム塩としては水溶性のものが使用で
きなかったが、本発明により水溶性のジアゾニウム塩を
ポリウレアあるいはポリウレタンウレア壁でマイクロカ
プセルとすることができるので、広範な種類のジアゾニ
ウム塩を使用して熱応答性に優れ且つ種々な特性を有す
るマイクロカプセルを製造することが可能である。また
このようなマイクロカプセルはジアゾニウム塩が水溶性
であるため、ジアゾニウム塩が親油性のカプセル壁内に
侵入することがないため、感熱記録材料として用いた場
合、かぶりが低減される。従って、本発明の水溶性ジア
ゾニウム塩を内包するマイクロカプセルを用いることに
より熱応答性に優れ、かぶりが発生し難い感熱記録材料
および多色感熱記録材料を得ることができる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性化合物を含む水溶液を内包したマ
    イクロカプセルであり、且つマイクロカプセルのカプセ
    ル壁がポリウレア又はポリウレタンウレアであることを
    特徴とするマイクロカプセル。
  2. 【請求項2】 該水溶性化合物を含む水溶液が、複数の
    核の形態でカプセルに内包されている請求項1のマイク
    ロカプセル。
  3. 【請求項3】 該水溶性化合物が、ジアゾニウム塩、酸
    性染料又は塩基性染料である請求項1のマイクロカプセ
    ル。
  4. 【請求項4】 熱応答性マイクロカプセルである請求項
    1のマイクロカプセル。
  5. 【請求項5】 下記の(1)〜(3)の工程; (1)水溶性化合物を含む水溶液を、分子中に少なくと
    も2個のイソシアネート基を有する多官能イソシアネー
    ト化合物を含む有機溶媒溶液に、該多官能イソシアネー
    ト化合物が反応性を示さない温度にて分散させて水/油
    型乳化液を調製し、 (2)該油/水型乳化液を、多官能イソシアネート化合
    物が反応性を示さない温度にて、保護コロイドを含む水
    溶液中に分散させて水/油/水型乳化液を調製し、そし
    て(3)水/油/水型乳化液を加熱して、水溶性化合物
    を含む水溶液の水滴の周囲の多官能イソシアネート化合
    物を含む有機溶媒溶液の多官能イソシアネート化合物を
    水と反応させて、該水滴の周囲にポリウレア又はポリウ
    レタンウレアのカプセル壁を形成させることからなるマ
    イクロカプセルの製造方法。
  6. 【請求項6】 支持体、及びその上に設けられた感熱記
    録層からなる感熱記録材料であって、該感熱記録層が、
    水溶性ジアゾニウム塩を含む水溶液を内包したマイクロ
    カプセルと、カプラーを含み、そして該マイクロカプセ
    ルが、ポリウレア又はポリウレタンウレアのカプセル壁
    を有していることを特徴とする感熱記録材料。
  7. 【請求項7】 透明支持体、及びその上に設けられたシ
    アン、マゼンタ及びイエローの各感熱記録層を有する多
    色感熱記録材料であって、各感熱記録層が、水溶性ジア
    ゾニウム塩を含む水溶液を内包したマイクロカプセル
    と、カプラーを含み、そして該マイクロカプセルが、ポ
    リウレア又はポリウレタンウレアのカプセル壁を有して
    いることを特徴とする多色感熱記録材料。
JP8132680A 1996-04-30 1996-04-30 マイクロカプセル、その製造方法及びそれを用いた感熱記録材料及び多色感熱記録材料 Withdrawn JPH09290146A (ja)

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