JP2005305872A - 新規なマイクロカプセルとその製造方法、及び記録材料と感熱記録材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 カプラーあるいは顕色剤との接触により高い発色性示し、かつ生保存性に優れたマイクロカプセルを提供すること、高感度で、高い発色性と優れた生保存性(長いシェルフライフ)を有する感熱記録材料を提供すること、さらに、高感度で、色再現性及び生保存性に優れた多色感熱記録材料を提供すること。
【解決手段】 ポリウレタン及び/又はウレア壁を有するマイクロカプセルであって、該カプセル壁の化学構造中に、トリアジン環を含むことを特徴とするマイクロカプセル。
【選択図】 なし

Description

本発明はマイクロカプセルとその製造方法、及び前記マイクロカプセルを含有する記録材料と感熱記録材料に関する。
ファクシミリやプリンター等の記録媒体として普及している感熱記録材料は、主として支持体上に電子供与性染料前駆体の固体分散物を塗布乾燥させた材料を使用している。電子供与性染料前駆体を使用した記録方式は、材料も入手し易くかつ高い発色濃度や発色速度を示すとの利点を有するが、記録後の保存条件や加熱あるいは溶剤等の付着により発色し易く、記録画像の保存性や信頼性に問題があり、多くの改良が検討されてきた。
記録画像の保存性を改善するための一つの方法として、電子供与性染料前駆体をマイクロカプセル中に内包し、記録層中で顕色剤と該染料前駆体とを隔離することにより、画像の保存性を高める方式が提案されている。この方式によって高い発色性と画像安定性を得ることができる。
上記以外の感熱記録材料としては、ジアゾニウム塩化合物を利用した、いわゆるジアゾ型の感熱記録材料も研究されている。このジアゾニウム塩化合物は、フェノール誘導体や活性メチレン基を有する化合物など(カプラー)と反応して染料を形成するものであるが、同時に感光性も有し、光照射によりその活性を失うものである。これらの性質を利用して最近では感熱記録材料にも応用され、ジアゾニウム塩化合物とカプラーを熱で反応させて画像を形成し、その後、光照射して定着させることができる光定着型感熱記録材料が提案されている(例えば、以下の非特許文献1参照。)。
しかし、ジアゾニウム塩化合物を用いた記録材料は、化学的活性が高いため、低温であってもジアゾニウム塩化合物とカプラーが徐々に反応し、貯蔵寿命(シェルフライフ)が短いとの欠点があった。これに対する一つの解決手段として、ジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセルで包含し、カプラーや水、塩基性化合物から隔離する方法が提案されている(例えば、以下の非特許文献2参照。)。
また、感熱記録材料の応用分野の一つとして、多色感熱記録材料が注目されてきている。感熱記録による多色画像の再現は、電子写真記録方式やインクジェット方式に比べて難しいと言われてきたが、この点に関してはすでに、支持体上に電子供与性染料前駆体と顕色剤を主成分とする感熱発色層又はジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と加熱時に反応して発色するカプラーを含有する感熱発色層を2層以上積層することによって多色感熱記録材料を得られることが見い出されている。多色感熱記録材料においては、優れた色再現性を得るためにはマイクロカプセルの熱発色特性を高度に制御することが必須である。
従来、電子供与性染料前駆体やジアゾニウム塩化合物をマイクロカプセル中に包含させるには、一般に有機溶媒中にこれらの化合物を溶解させ(油相)、これを水溶性高分子の水溶液中(水相)に加えて乳化分散させる。このとき、壁材となるモノマーあるいはプレポリマーを有機溶媒相側か水相側の何れかに添加しておくことにより有機溶媒相と水相の界面に高分子壁を形成させマイクロカプセル化することができる(例えば、以下の非特許文献3及び4参照。)。形成されるマイクロカプセル壁としては、ゼラチン、アルギン酸塩、セルロース類、ポリウレア、ポリウレタン、メラミン樹脂、ナイロンなど様々なものが使用可能である。また、ポリウレアやウレタン樹脂は、そのガラス転移温度が室温乃至200℃程度にあるためカプセル壁が熱応答性を示し、感熱記録材料を設計するのに好適である。
マイクロカプセルの製法としては、ポリウレタンあるいはポリウレア壁を有するマイクロカプセルの場合、まず有機溶媒中にジアゾニウム塩や電子供与性染料前駆体を溶解し、これに多価イソシアネート化合物を添加し、この有機相溶液を水溶性高分子水溶液中で乳化させる。その後、水相に重合反応促進の触媒を添加するかまたは乳化液の温度を上げて多価イソシアネート化合物を水等の活性水素を有する化合物と重合させてカプセル壁を形成させる方法が従来から知られている。
上記ポリウレアあるいはポリウレタン壁の形成材料である多価イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシナネートとトリメチロールプロパンの付加体、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加体が主として使用されている(例えば、以下の特許文献1及び2参照。)。
しかしながら、上記のような多価イソシアネート化合物を用いたポリウレアあるいはポリウレタンのカプセル壁であっても、前述したジアゾニウム塩化合物を用いた際の短いシェルフライフについてはまだ充分に改善されていない。即ち、シェルフライフが充分に長くない感熱記録材料は、製造後使用するまでの間に、例えば高温高湿の条件下に曝された場合に、「かぶり」と呼ばれる地肌の発色が現われ、印字画像の視認性を低下させる。この様な問題を解決する為には例えばマイクロカプセルの壁厚を厚くする等の手段がある。しかしながらこの様な手法を用いると熱印字時の発色感度の低下を引き起こす。従って、高い発色性を維持しながらシェルフライフを更に向上させることは非常に困難であった。
このような問題を解決するために一分子内に3個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物と一分子内に2個以上のイソシアネート基を有する二官能イソシアネートを反応させてマイクロカプセルを形成する方法が知られている(例えば、以下の特許文献3参照。)。しかしながら、この場合に用いられる多官能イソシアネート及び二官能イソシアネートはアルキレン基やアリーレン基を介してイソシアネート基が結合しているものであり、高感度化には有効であるものの、かぶり防止の点で効果は不十分である。
さらに、前記多色感熱記録材料においては、シアン、マゼンタ及びイエローの感熱記録層が設けられており、これらは異なった加熱温度の付与により印字されることから、通常の感熱記録材料の感熱記録層に比べて更に優れた熱応答性が求められる。上記従来のポリウレアあるいはポリウレタンのカプセル壁は、この要求を充分に満たすとは言えない。
特開昭62−212190号公報 特開平4−26189号公報 特開平7−88356号公報 佐藤弘次ら著「画像電子学会誌」、第11巻、第4号、290−296頁、1982年 宇佐美智正ら著「電子写真学会誌」、第26巻、第2号、115〜125頁、1987年 近藤朝士著「マイクロカプセル」、日刊工業新聞社、1970年 近藤保ら著「マイクロカプセル」、三共出版、1977年
本発明者は、カプセル化に使用するイソシアネートに関して、感熱記録材料において高い発色性を維持しながらシェルフライフをさらに向上させる観点より鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。本発明は、感熱記録材料及び多色感熱記録材料に好適に使用することができる、カプラーあるいは顕色剤との接触により高い発色性示し、かつ生保存性に優れたマイクロカプセルを提供することを目的とする。また本発明は、高感度で、高い発色性と優れた生保存性(長いシェルフライフ)を有する感熱記録材料を提供することを目的とする。さらに本発明は、高感度で、色再現性及び生保存性に優れた多色感熱記録材料を提供することを目的とする。
前記課題は、以下のマイクロカプセル及びその製造方法、並びに記録材料及び感熱記録材料を提供することにより解決される。
(1)ポリウレタン及び/又はウレア壁を有するマイクロカプセルであって、該カプセル壁のポリウレタン及び/又はウレアが化学構造中にトリアジン環を含むことを特徴とするマイクロカプセル。
(2)前記ポリウレタン及び/又はウレア壁が多官能イソシアネート組成物を用いて製造され、多官能イソシアネート組成物に含まれるイソシアネート化合物の少なくとも1種が、分子内に活性水素を有するトリアジン誘導体と多官能イソシアネート化合物との反応生成物であることを特徴とする前記(1)に記載のマイクロカプセル。
(3)活性水素を有するトリアジン誘導体が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする前記(2)に記載のマイクロカプセル。
Figure 2005305872
前記一般式(1)中、R1、R2及びR3は、以下の式(A)、式(B)又は式(C)で示される基であり、R1、R2及びR3の少なくとも1つは活性水素を有する基を表し、R1、R2及びR3は互いに異なってもまた同じでもよい。
Figure 2005305872
式(A)、式(B)及び式(C)中、a、b、c及びdは1、2又は3の整数を示し、L1は(a+1)価の連結基を、L2は(b+1)価の連結基を、L3は(c+1)価の連結基を、L4は(d+1)価の連結基をそれぞれ示す。また、X1、X2、X3及びX4は水素原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基又はウレア基を表し、X1、X2、X3及びX4は互いに異なってもまた同じでもよい。
(4)前記マイクロカプセルがジアゾニウム塩化合物または電子供与性染料前駆体を内包することを特徴とする前記(1)ないし(3)のいずれか1に記載のマイクロカプセル。
(5)多官能イソシアネート組成物を用いたポリウレタン及び/又はウレア壁を有するマイクロカプセルの製造方法であって、多官能イソシアネート組成物に含まれるイソシアネート化合物の少なくとも1種が、分子内に活性水素を有するトリアジン誘導体と多官能イソシアネート化合物との反応生成物であることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載のマイクロカプセルの製造方法。
(6)記録層を有する記録材料であって、記録層が前記(1)ないし(3)のいずれか1に記載のマイクロカプセルを含むことを特徴とする記録材料。
(7)支持体上に、ジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、又は電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤を含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、マイクロカプセルが、前記(4)に記載のマイクロカプセルであることを特徴とする感熱記録材料。
(8)支持体上に、シアン、マゼンタ及びイエローの感熱記録層が設けられ、各感熱記録層がジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、又は電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤を含んでいる多色感熱記録材料であって、マイクロカプセルの少なくとも1種が前記(4)に記載のマイクロカプセルであることを特徴とする多色感熱記録材料。
本発明のマイクロカプセルは、熱に対する感度が高く、カプラーあるいは顕色剤との接触により高い発色性を示し、また芯材料としてジアゾニウム塩化合物を用いた場合は優れた生保存性(長いシェルフライフ)を示すなど、優れた特性を有する。従って、上記マイクロカプセルを感熱記録材料の感熱記録層に使用した場合、感度及び発色性が高く、そしてジアゾニウム塩化合物を用いた場合は生保存性に優れた記録材料を得ることができる。さらに、上記マイクロカプセルを感熱記録層に用いると、高感度で、色再現性及び生保存性に優れた多色感熱記録材料を得ることができる。
本発明のマイクロカプセルは、ポリウレタン及び/又はウレア壁を有するマイクロカプセルにおいて、カプセル壁のポリウレタン及び/又はウレアが化学構造中に、トリアジン環を含むことを特徴とする。前記「ポリウレタン及び/又はウレア壁」とは、ポリウレタン壁、ポリウレア壁、又はポリウレタンとポリウレアの混合壁をいう。また、トリアジン環とは、1,3,5−トリアジン環を指す。
ポリウレタン及び/又はウレア壁を有するマイクロカプセルは、例えば、多官能イソシアネート組成物(イソシアネート化合物を含む組成物であり、該イソシアネート化合物のうち、少なくとも1種類は多官能イソシアネート化合物である組成物)と分子内に活性水素を有する化合物との反応により形成される。
多官能イソシアネート組成物と分子内に活性水素を有する化合物を用いて形成するポリウレタン及び/又はウレア壁からなるマイクロカプセル壁の、ポリウレタン及び/又はウレアの化学構造中にトリアジン環を含ませるためには、多官能イソシアネート組成物又は分子内に活性水素を有する化合物の、少なくともいずれか一方にトリアジン環を有する化合物を用いればよい。
トリアジン環を有する化合物は、トリアジン環を有するイソシアネート化合物として、多官能イソシアネート組成物中に含ませることが好ましく、トリアジン環を有するイソシアネート化合物を含む多官能イソシアネート組成物として、分子内に少なくとも1個のイソシアネート基を有するトリアジン誘導体と必要に応じて多官能イソシアネート化合物を含む多官能イソシアネート組成物を用いることが好ましい。そして、前記の分子内に少なくとも1個のイソシアネート基を有するトリアジン誘導体は、このような化合物を与える前駆体を用い、イソシアネート化反応させることにより得られる。
イソシアネート化反応には、アミノ基をホスゲン又はホスゲン等価体を用いてイソシアネート化する方法、ハロゲン基をイソシアン酸塩を用いてイソシアネート化する方法、活性水素を有する化合物と多官能イソシアネート化合物をイソシアネート基が残存する比率で反応させる方法などが知られている。
このような方法により、ポリウレタン及び/又はウレア壁を有するマイクロカプセル壁の、ポリウレタン及び/又はウレアが化学構造中にトリアジン環を含むマイクロカプセルが形成される。
また、前記のトリアジン環をもつイソシアネート化合物として、分子内に活性水素を有するトリアジン誘導体と多官能イソシアネート化合物との反応生成物がより好ましく、多官能イソシアネート組成物として前記反応生成物、又はこれと必要に応じて更に他のイソシアネート化合物を含む多官能イソシアネート組成物を用いることが、より好ましい。
前記活性水素とは、−OH、−NH−、−NH2、−COOH等における水素原子を指し、分子内に活性水素を有するトリアジン誘導体は、前記のごとき活性水素をもつ基を分子内に有する化合物である。このような化合物の例として、以下の一般式(2)及び一般式(3)で示されるものが挙げられる。
Figure 2005305872
ここで、A、B、C、D、E、F及びGは一価の置換基を表し、Hは二価の置換基を表す。AないしHで示される基の少なくとも1つは活性水素を有する基を表す。
前記一般式(2)で示されるトリアジン化合物のうちでも、以下の一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2005305872
前記一般式(1)中、R1、R2及びR3は、以下の式(A)、式(B)又は式(C)で示される基であり、R1、R2及びR3はの少なくとも1つは活性水素を有する基を表し、R1、R2及びR3は互いに異なってもまた同じでもよい。
Figure 2005305872
式(A)、式(B)及び式(C)中、a、b、c及びdは1、2又は3の整数を示し、L1は(a+1)価の連結基を、L2は(b+1)価の連結基を、L3は(c+1)価の連結基を、L4は(d+1)価の連結基をそれぞれ示す。また、X1、X2、X3及びX4は水素原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基又はウレア基を表し、X1、X2、X3及びX4は互いに異なってもまた同じでもよい。
1、L2、L3及びLで表される連結基のうち、2価の連結基としてはアルキレン基、アリーレン基が好ましい。また3価の連結基としてはアルカントリイル基、アレーントリイル基が好ましい。更に4価の連結基としては、アルカンテトライル基、アレーンテトライル基が好ましい。
アルキレン基は、分岐を有していてもよく、また置換基を有していてもよく、炭素原子数1〜30が好ましく、特に炭素原子数1〜20が好ましい。前記置換基としてはハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基、カルバメート基が好ましく、中でも特にカルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基が好ましい。また、アルキレン鎖中に二価の官能基を互いに隣り合わないようにして有してもよく、このような二価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−が好ましく、特に−O−が好ましい。またアルキレン鎖中又は/及びアルキレン鎖の片末端又は両末端にアリーレン基またはアルケニレン基を有していてもよく、特にアリーレン基が好ましい。このようなアルキレン基の例を下記に挙げる。
Figure 2005305872
上で挙げたアルキレン基において、lは1〜30の整数を、mは0〜30の整数を、nは0〜30の整数を、pは1〜30の整数を示し、また、R4及びR5は水素原子、アルキル基、アリール基又はアルケニル基を、R6はアルキル基、アリール基又はアルケニル基を、R7はアルキル基をそれぞれ示す。また、以下に示す具体的な基において、l、m、p、R4、R5及びR6も同じ定義である。
アルカントリイル基は、分岐を有していてもよく、また置換基を有していてもよく、炭素原子数1〜30が好ましく、特に炭素原子数1〜20が好ましい。前記置換基としてはハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基、カルバメート基が好ましく、中でも特にカルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基が好ましい。また、アルキレン鎖中に二価の官能基を互いに隣り合わないようにして有してもよく、このような二価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−が好ましく、特に−O−が好ましい。またアルカントリイル鎖中又は/及びアルカントリイル鎖の片末端又は両末端にアリーレン基、アレーントリイル基、またはアルケニレン基を有していてもよく、特にアリーレン基、アレーントリイル基が好ましい。このようなアルカントリイル基の例を下記に挙げる。
Figure 2005305872
上で挙げたアルカントリイル基において、qは1〜30の整数を示す。また、以下に示す具体的な基におけるqも同義である。
アルカンテトライル基は、分岐を有していてもよく、また置換基を有していてもよく、炭素原子数1〜30が好ましく、特に炭素原子数1〜20が好ましい。前記置換基としてはハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基、カルバメート基が好ましく、中でも特にカルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基が好ましい。また、アルキレン鎖中に二価の官能基を互いに隣り合わないようにして有してもよく、このような二価の官能基としては、−O−、−S−、−COO−、−O−CO−が好ましく、特に−O−が好ましい。またアルカンテトライル鎖中又は/及びアルカンテトライル鎖の片末端又は両末端にアリーレン基、アレーントリイル基、アレーンテトライル基またはアルケニレン基を有していてもよく、特にアリーレン基、アレーントリイル基、アレーンテトライル基が好ましい。このようなアルカンテトライル基の例を下記に挙げる。
Figure 2005305872
アリーレン基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数6〜30が好ましく、特に炭素原子数6〜20が好ましい。前記置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基、カルバメート基が好ましく、中でも特にアルコキシ基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基が好ましい。このようなアリーレン基の例を下記に挙げる。
Figure 2005305872
アレーントリイル基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数6〜30が好ましく、特に炭素原子数6〜20が好ましい。前記置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基、カルバメート基が好ましく、中でも特にアルコキシ基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基が好ましい。このようなアレーントリイル基の例を下記に挙げる。
Figure 2005305872
アレーンテトライル基は、置換基を有していてもよく、炭素原子数6〜30が好ましく、特に炭素原子数6〜20が好ましい。前記置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基、カルバメート基が好ましく、中でも特にアルコキシ基、カルバモイル基、N−置換カルバモイル基、N,N−ジ置換カルバモイル基、アシルアミノ基が好ましい。このようなアレーンテトライル基の例を下記に挙げる。
Figure 2005305872
前記式(A)、式(B)及び式(C)において、a、b、c及びdは1又は2が好ましく、特に1が好ましい。
また、X1、X2、X3及びX4は、水素原子、水酸基、アミノ基又はウレア基が好ましく、特に水素原子、水酸基又はアミノ基が好ましい。a、b、c及びdが2又は3の場合は、X1、X2、X3及びX4で表される2個又は3個の基はそれぞれ、同一であっても異なっていてもよいが、同一であるものが好ましい。
このような一般式(1)で表される化合物のうち、下記一般式(4)〜(8)に挙げるものが好ましく、特に一般式(4)、(5)、(7)が好ましい。一般式(4)〜(8)において、式(A)ないし式(C)におけるものと同じ記号は、式(A)ないし式(C)における定義と同じである。
Figure 2005305872
以下に、前記一般式(1)で示されるトリアジン化合物の具体的化合物例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2005305872
Figure 2005305872
Figure 2005305872
Figure 2005305872
Figure 2005305872
このようなトリアジン誘導体は、例えば、Synthetic Communications 26(18),3491(1996),J.Am.Chem.Soc.73,2981(1951),J.Am.Chem.Soc.73,2984(1951),J.Am.Chem.Soc.70,3726(1948),J.Am.Chem.Soc.71,1128(1949),J.Am.Chem.Soc.71,3248(1949),Bull.Chem.Soc.Jpn.45,3133(1972)の記載を参考に合成することができる。
次に、前記一般式(1)で表されるトリアジン誘導体と反応させる多官能イソシアネート化合物について説明する。多官能イソシアネート化合物は、分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である。
上記多官能イソシアネート化合物類としては、芳香族多官能イソシアネート化合物及び脂肪族多官能イソシアネート化合物が挙げられ、芳香族二価イソシアネート化合物としては、例えば、分子中に2個のイソシアネート基を有する化合物として、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルヘキサフルオロプロパン− 4,4’−ジイソシアネート等が挙げられ、脂肪族二価イソシアネート化合物としては、例えば、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4−クロロ−m−キシリレンジイソシアネート、2−メチル−m−キシリレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン及び1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、又は、キシレンジイソシアネートの水添化物等が挙げられる。更にこれらの2官能イソシアネート化合物とエチレングリコール類やビスフェノール類等の2官能アルコール及びフェノール類との付加反応物も利用できる。
更に、3個以上のイソシアネート基を有する多官能イソシーネート化合物も利用できる。この様な多官能イソシーネートの例としては、上記2官能イソシアネート化合物を主原料としこれらから誘導される3量体(ビューレット又はイソシアヌレート)、トリメチロールプロパン等のポリオールと2官能イソシアネート化合物を付加させた多官能付加体(アダクト)、ベンゼンイソシアネートのホルマリン縮合物、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート等の重合性基を有するイソシアネート化合物の重合体、リジントリイソシアネート等も用いることができる。
上述した多官能イソシアネート化合物の内、芳香族多官能イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート又はこれらの3量体(ビューレット又はイソシヌレート)が好ましく、脂肪族多官能イソシアネート化合物としては、キシリレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート及びキシレンジイソシアネートの水添物、又はこれらの3量体(ビューレット又はイソシヌレート)が好ましく、更に、前記芳香族多官能イソシアネート化合物及び脂肪族多官能イソシアネート化合物とトリメチロールプロパンとの多官能付加体(アダクト)も好ましい。これらの化合物については、岩田敬治編「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社発行、1987)に詳しく記載されている。
上記の中でも、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンとp−キシリレンジイソシアネート又はm−キシリレンジイソシアネートとの付加物が好ましく、特に、脂肪族多官能イソシアネート化合物が好ましく、中でもp−キシリレンジイソシアネート及びm−キシリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンとp−キシリレンジイソシアネート又はm−キシリレンジイソシアネートとの付加物が好ましい。
分子内に活性水素を有するトリアジン誘導体と多官能イソシアネート化合物との反応生成物を得る際に、多官能イソシアネート化合物中のイソシアネート基と、分子内に活性水素を有するトリアジン誘導体中の活性水素(−OH、−NH−、−NH2、−COOH等に由来する)とのモル比は、1.5/1〜10/1であることが好ましく、特に2/1〜5/1が好ましい。
上記の反応モル比率が1.5/1以上であれば、カプセル化反応を行なう場合に十分な量のイソシアネート基を確保でき、カプセル化反応を容易に行わせることができる。また、上記反応モル比率が10/1以下であれば、本発明のマイクロカプセルを感熱記録材料に用いた場合に感度を向上させることができる。
本発明における分子内に活性水素を有するトリアジン誘導体と多官能イソシアネート化合物との反応生成物は、前記のごとき一般式(1)ないし(3)で示されるトリアジン誘導体と、多官能イソシアネート化合物とを、活性水素を持たない有機溶剤中で、加熱(約50〜100℃)しながら攪拌することにより、あるいはオクチル酸第1錫やジブチル錫ジアセテート等の触媒を添加しながら比較的低温(約40〜70℃)で反応させることにより、容易に得ることができる。
上記活性水素を持たない有機溶媒の具体例としては、例えば、酢酸エチル、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、アセトン、アセトニトリル、トルエン、等が挙げられる。
尚、前記反応生成物を製造する際、トリアジン誘導体及び/又は多官能イソシアネート化合物を2種以上用いてもよい。
(マイクロカプセルの製造方法)
本発明のマイクロカプセルは、多官能イソシアネート組成物と分子内に活性水素を有する化合物を用いて形成され、多官能イソシアネート組成物と分子内に活性水素を有する化合物の少なくとも1つがトリアジン環を有しているものを用いる。
中でも、トリアジン環を有するイソシアネート化合物を含有する多官能イソシアネート組成物を用いることが好ましい。トリアジン環をもつイソシアネート化合物を含有する多官能イソシアネート組成物には、前述のようなようなものが挙げられる。
前記多官能イソシアネート組成物は、トリアジン環を有するイソシアネート化合物の他に、他のイソシアネート化合物を適宜併用することができる。その具体例としては、上述した多官能イソシアネート化合物の中から適宜に選択することができる。本発明のマイクロカプセルの製造において、前記反応生成物と他の多官能イソシアネート化合物との質量比は、100/0〜5/95が好ましく、特に50/50〜5/95が好ましい。
本発明のマイクロカプセルの製造は、前記の多官能イソシアネート組成物と、分子内に2個以上の活性水素を有する化合物との反応で行なわれるのが望ましい。上記分子内に2個以上の活性水素を有する化合物の具体例としては、例えば、水の他、エチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール系化合物、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等の多価アミン系化合物等、又はこれらの混合物等が挙げられる。これらの中ども特に水を用いて重合させるのが好ましい。この結果としてポリウレタン及び/又はポリウレア壁を有するマイクロカプセルが製造される。
上記の重合は、好ましくは10〜70℃、より好ましくは20〜50℃の温度範囲で、好ましくは30分〜10時間、より好ましくは1時間〜5時間かけて反応させることで容易に行われる。
マイクロカプセルの製造に必要な他の成分、即ち、カプセルに封入する物質、疎水性溶媒、水相媒体等は、当該技術の現状に対応するものが使用可能である。カプセルに封入することの可能な物質の例としては、例えば、香料油、植物保護剤、反応性接着剤、ジアゾ化合物、電子供与性染料前駆体、及び医薬等が挙げられる。
本発明のマイクロカプセルを記録材料、例えば、感圧記録材料、感熱記録材料に適用する場合には、ジアゾ化合物又は電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルとして製造するのが好ましい。該ジアゾ化合物又は電子供与性染料前駆体を用いる場合には、それらを高沸点有機溶媒、必要ならば更に低高沸点有機溶媒を加えた溶媒に溶解させて、マイクロカプセルに内包させる形態が好ましい。
(記録材料)
本発明の記録材料としては感熱記録材料、感圧記録材料等が挙げられ、感熱記録層及び感圧記録層には本発明のマイクロカプセルが含まれる。中でも感熱記録層を含む感熱記録材料であることが好ましく、更に、支持体上に、ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、及び/又は電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤を含有する感熱記録層を設けた感熱記録材料が好ましい。
更に、本発明の多色感熱記録材料は、支持体上に、シアンに発色する感熱記録層と、マゼンタに発色する感熱記録層と、イエローに発色する感熱記録層と、を備え、上記感熱記録層の各々が、ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセル及びカプラー、又は電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセル及び顕色剤を含有する多色感熱記録材料であって、該マイクロカプセルの少なくとも1種が、本発明のマイクロカプセルであることがより好ましい態様である。
本発明においては、上記支持体として透明支持体を用いた場合、該支持体の感熱記録層の設けられた面と反対の面に所望によりブラックの感熱記録層が設けられてもよい。
本発明のマイクロカプセル中に内包される電子供与性染料前駆体としては、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物等が挙げられるが、特にトリアリールメタン系化合物及びキサンテン系化合物が、発色濃度が高く有用である。
これらの具体例としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1’−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
上記電子供与性染料前駆体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
電子供与性染料前駆体と組み合わせて用いられる電子受容性化合物(顕色剤(マイクロカプセルには内包されない))としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。これらの中でも特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。
例えば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸及びその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸及びその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸及びその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール及びp−クミルフェノールを挙げることができる。
上記電子受容性化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の感熱記録層には、その反応を促進するための増感剤を添加することが好ましい。増感剤としては、分子内に芳香族性の基と極性基を適度に有している低融点有機化合物が好ましい。その具体例としては、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、p−トルエンスルホンアミド、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルホンアミド、4−n−ペンチルオキシフェニルスルホンアミド等が挙げられる。
上記増感剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明のマイクロカプセルに内包されるジアゾ化合物は、公知のものを使用することができる。該ジアゾ化合物は、下記一般式で表わされる化合物をいう。
Ar−N2 +-
上式中、Arはアリール基を表わし、X-は酸アニオンを表す。
上記ジアゾ化合物は、フェノール化合物あるいは活性メチレンを有する化合物と反応し、いわゆる染料を形成可能であり、さらに光(一般的には紫外線)照射により分解し、脱窒素してその反応活性を失うものである。
該ジアゾ化合物の具体例としては、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−オクトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−クロルベンゼンチオジアゾニウム、2,5−ジヘプチルオキシ−4−クロルベンゼンチオジアゾニウム、3−(2−オクチルオキシエトキシ)−4−モロホリノベンゼンジアゾニウム、4−N,N−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−(N−ヘキシル−N−(1−メチル−2−(p−メトキシフェノキシ)エチル)アミノ)−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム及び4−N−ヘキシル−N−トリルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウムの塩等を挙げることができる。
ジアゾ化合物内の酸アニオンには、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、1,5−ナフタレンスルホネート塩、パーフルオロアルキルカルボネート塩、パーフルオロアルキルスルフォネート塩、塩化亜鉛塩、及び塩化錫塩などを用いることができる。好ましくは、ヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、及び1,5−ナフタレンスルホネート塩が、水溶性が低く、有機溶剤に可溶であるので好適である。
上記ジアゾ化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ジアゾ化合物を内包するマイクロカプセルを用いた感熱記録層においては、アリールスルフォンアミド化合物などの公知の熱増感剤が添加されていてもよい。具体的には、トルエンスルホンアミドやエチルベンゼンスルホンアミドなどが
挙げられる。該熱増感剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ジアゾ化合物と反応して色素を形成するカプラーは、乳化分散及び/又は固体分散することにより微粒子化して使用される。
該カプラーの具体例としてはレゾルシン、フルルグルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、2,5−ジ−n−ヘプチルオキシアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン、1−(2−ドデシルオキシフェニル)−2−メチルカーボネイトシクロヘキサン−3,5−ジオン、1−(2−ドデシルオキシフェニル)シクロヘキサン−3,5−ジオン、N−フェニル−N−ドデシルバルビツール酸、N−フェニル−N−(2,5−ジオクチルオキシフェニル)バルビツール酸及びN−フェニル−N−(3−ステアリルオキシ)ブチルバルビツール酸を挙げることができる。
上記カプラーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。該カプラーを2種以上併用し、目的の発色色相を得ることもできる。
更に、色素形成反応を促進させるために、乳化分散及び/又は固体分散して微粒子化した塩基化合物を添加するのが一般的である。該塩基化合物としては無機あるいは有機の塩基化合物のほか、加熱時に分解等によりアルカリ物質を放出するような化合物も含まれる。代表的なものとしては、有機アンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素およびチオ尿素さらにそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物があげられる。
これらの具体例としてはトリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、及び2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾールを挙げることができる。
上記塩基化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ジアゾ化合物又は電子供与性染料前駆体を内包する本発明のマイクロカプセルの具体的な製造工程は、例えば、以下の様にして行われる。
マイクロカプセルの芯を形成するための疎水性溶媒としては、沸点100〜300℃の有機溶媒が好ましい。具体的には、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルエタン、アルキルジフェニルメタン、ジフェニルエタンアルキル付加物、アルキルビフェニル、塩素化パラフィン、トリクレジルフォスフェートなどの燐酸系誘導体、マレイン酸−ジ−2−エチルヘキシル等のマレイン酸エステル類、及びアジピン酸エステル類などを挙げることができる。これらは2種以上混合して用いてもよい。ジアゾニウム塩化合物や電子供与性染料前駆体のこれらの疎水性溶媒に対する溶解度が充分でない場合は、更に低沸点溶剤を併用することができる。併用する低沸点有機溶媒としては、沸点40〜100℃の有機溶媒が好ましく、具体的には酢酸エチル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、テトラヒドロフラン及びアセトンなどを挙げることができる。また、これらを2種以上混合して用いてもよい。低沸点(沸点約100℃以下のもの)の溶媒のみをカプセル芯に用いた場合には、溶媒は蒸散し、カプセル壁とジアゾニウム塩化合物や電子供与性染料前駆体のみが存在するいわゆるコアレスカプセルが形成され易い。
ジアゾ化合物の種類によっては、マイクロカプセル化反応中の水相側へ移動する場合があり、これを抑制するために、あらかじめ酸アニオンを水溶性高分子溶液中に適宜添加しても良い。この酸アニオンとしては、PF6 -、B(−Ph)4 -[Phはフェニル基]、ZnCl2 -、Cn2n+1COO-(nは1〜9の整数)及びCp2p+1SO3 -(pは1〜9の整数)を挙げることができる。
また、保存安定性や発色感度調整等のために種々の添加剤を併用することも可能である。
本発明においてマイクロカプセル化の際、マイクロカプセル壁を形成するためのイソシアネート化合物の重合に用いる活性水素を有する化合物としては、一般に水が使用されるが、ポリオールを芯となる有機溶媒中あるいは分散媒となる水溶性高分子溶液中に添加しておき、上記活性水素を有する化合物(マイクロカプセル壁の原料の一つ)として用いることができる。具体的にはプロピレングリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパンなどが挙げられる。またポリオールの代わりに、あるいは併用してジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のアミン化合物を使用しても良い。これらの化合物も先の「ポリウレタン樹脂ハンドブック」に記載されている。
マイクロカプセルの油相を水相中に分散するための水溶性高分子としては、ポリビニルアルコールおよびその変成物、ポリアクリル酸アミドおよびその誘導体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン/アクリル酸共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、アラビヤゴム及びアルギン酸ナトリウムを挙げることができる。これらの水溶性高分子は、イソシアネート化合物と反応しないか、又は極めて反応し難いものが好ましく、たとえばゼラチンのように分子鎖中に反応性のアミノ基を有するものは予め反応性をなくしておくことが必要である。
本発明では、界面活性剤を油相あるいは水相の何れに添加して使用しても良いが、有機溶媒に対する溶解度が低いために水相に添加する方が容易である。添加量は油相の質量に対し0.1〜5質量%、特に0.5〜2質量%が好ましい。一般に乳化分散に用いる界面活性剤は、比較的長鎖の疎水基を有する界面活性剤が優れているとされており「界面活性剤便覧」(西一郎ら、産業図書発行(1980))、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸などのアルカリ金属塩を用いることができる。
本発明では、界面活性剤(乳化助剤)として、下記一般式(A)に示す芳香族スルホン酸塩のホルマリン縮合物や芳香族カルボン酸塩のホルマリン縮合物などの化合物を使用することもできる。
Figure 2005305872
一般式(A)において、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、XはSO3 -またはCOO- を表し、Mはナトリウム原子またはカリウム原子を表し、そしてqは1〜20の整数を表わす。一般式(A)に示す化合物については特開平6−297856号に記載されている。
また、下記一般式(B)に示すアルキルグルコシド系化合物も同様に使用することができる。
Figure 2005305872
一般式(B)において、Rは炭素原子数4〜18のアルキル基を、qは0〜2の整数を表わす。
本発明においては、いずれの界面活性剤も、単独で使用してもよいし、二種以上適宜併用してもよい。
前記ジアゾ化合物(又は電子供与性染料前駆体)、高沸点溶媒等からなる溶液と多官能イソシアネート組成物との混合液(油相)を、界面活性剤及び水溶性高分子からなる水溶液(水相)に添加する。その際、水溶液をホモジナイサー等の高シェア攪拌装置で攪拌させながら、添加することにより乳化分散させる。この乳化後、イソシアネート化合物の重合反応触媒を添加するか、乳化物の温度を上昇させてカプセル壁形成反応を行なう。
調製されたジアゾ化合物を内包したマイクロカプセル液には、更にカップリング反応失活剤を適宜添加することができる。この反応失活剤の例としては、ハイドロキノン、重亜硫酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、次亜リン酸、塩化第1スズ及びホルマリンを挙げることができる。これらの化合物については、特開昭60−214992号公報に記載されている。
また通常、カプセル化の過程で、水相中にジアゾ化合物が溶出することが多いが、これを除去する方法として、濾過処理、イオン交換処理、電気泳動処理、クロマト処理、ゲル濾過処理、逆浸透処理、限外濾過処理、透析処理、活性炭処理などの方法を利用することができる。この中でもイオン交換処理、逆浸透処理、限外濾過処理及び透析処理が好ましく、特に、陽イオン交換体による処理、陽イオン交換体と陰イオン交換体の併用による処理が好ましい。これらの方法については、特開昭61−219688号公報に記載されている。
本発明においては、感熱記録層中に電子受容性化合物、熱増感剤、カプラー及び塩基化合物などを添加することができる。これらは、適宜混合して、別々に乳化分散、あるいは固体分散、微粒化して添加、あるいは適宜混合してから、乳化分散あるいは固体分散、微粒化して添加することができる。乳化分散する方法は、有機溶媒中にこれらの化合物を溶解し、水溶性高分子水溶液をホモジナイザー等で攪拌中に添加する。微粒子化を促進するにあたり、前述の疎水性有機溶媒、界面活性剤、水溶性高分子を使用することが好ましい。
カプラーおよび塩基化合物、電子受容性化合物、熱増感剤などを固体分散するには、これらの粉末を水溶性高分子水溶液中に投入しボールミル等の公知の分散手段を用いて微粒子化し、使用することができる。微粒子化に際しては、熱感度、保存性、記録層の透明性、製造適性などの感熱記録材料及びその製造方法に必要な特性を満足しうる粒子直径を得るように行なうことが好ましい。
上述のマイクロカプセル液と、熱増感剤、電子受容性化合物、カプラー及び塩基化合物等の調製液とは、適当な割合で混合され支持体上に塗布される。一般には、ジアゾ化合物1モルに対して、カプラー1〜10モル、好ましくは2〜6モルが適当である。上記塩基化合物の最適添加量は塩基性の強度により異なるがジアゾ化合物の0.5〜5モルが一般的である。
電子受容性化合物(顕色剤)は、電子供与性染料前駆体1モルに対して0.5〜30モルの範囲内で一般に添加するが、好ましくは1〜20モルの範囲で適宜添加する。更に好ましく3〜15モルの範囲内で添加する。熱増感剤は、電子供与性染料前駆体に対して一般に0.1〜20モルの範囲内で添加するが、好ましくは0.5〜10モルの範囲で適宜添加する。
これらの塗布液を塗布する支持体としては、感熱記録材料の支持体として公知の材料を使用することができる。例えば、紙、紙上にクレー等を塗布した塗工紙、ポリエチレン、ポリエステル等を紙上にラミネートしたラミネート紙、合成紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のプラスチックフィルムを挙げることができる。また透明支持体としては、上記のポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、さらにポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のプラスチックフィルムを挙げることができる。
本発明には、光堅牢性などを更に改善するために感熱記録層の上に保護層を設けてもよい。また、多色感熱記録材料においては、色再現性を更に良くするために感熱記録層の間に中間層を設けてもよい。これらに用いられる層の素材としては、水溶性高分子化合物もしくは疎水性高分子化合物のエマルジョン(ラテックス)が好ましい。
本発明の多色感熱記録材料及びその記録方法について述べる。まず初めに、低エネルギーの熱記録でジアゾ化合物を含有する最外層の感熱記録層(第1感熱記録層、通常イエロー発色層)を発色させた後、該感熱記録層に含有されるジアゾ化合物の吸収波長域の光を放出する光源を用いて全面光照射して、最上層の感熱記録層中に残存するジアゾ化合物を光分解させる。
次いで、前回より高エネルギーで、第1層に含有されるジアゾ化合物の吸収波長域の光とは異なった光吸収波長域を有するジアゾ化合物を含有する第2層目の感熱記録層(第2感熱記録層、通常マゼンタ発色層)を発色させた後、該ジアゾ化合物の吸収波長域の光を放出する光源を用いて再度全面光照射し、これによって第2層目の感熱記録層中に残存するジアゾ化合物を光分解させる。最後に、更に高エネルギーで、最内層(第3感熱記録層、通常シアン発色層)の電子供与性染料前駆体を含有する層(第3層)を発色させて画像記録を完了する。
上記の場合には、最外層及び第2層を透明な感熱層とすることが、各発色が鮮やかになるので好ましい。また本発明においては、支持体として透明な支持体を用い、上記3層のうち何れか一層を透明な支持体の裏面に塗布することにより、多色画像を得ることもできる。この場合には、画像を見る側と反対側の最上層の感熱層は透明である必要はない。
上記ジアゾ化合物の光分解に使用する光源としては、通常紫外線ランプを使用する。紫外線ランプは管内に水銀蒸気を充填した蛍光管であり、管の内壁に塗布する蛍光体の種類により種々の発光波長を有する蛍光管を得ることができる。
多色感熱記録材料においては、上記第3感熱記録層を適当なジアゾ化合物とカプラー化合物との組合せで作製することも可能である。
以下に実施例を示すが本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は全て質量部を示す。
〔合成例1〕
具体的化合物例1−1の化合物3.0部を酢酸エチル30部に混合し、窒素気流下30分還流した後に酢酸エチルを留去した。50℃に戻し、多価イソシアネート化合物(キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N、75重量%酢酸エチル溶液、三井武田ケミカル(株)製、)16.4部、乾燥酢酸エチル15部を添加して、外温60℃で5時間撹拌を行なった。酢酸エチルを追加してトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(1)の溶液(45質量%)を得た。
〔合成例2〕
具体的化合物例1−2の化合物4.5部を酢酸エチル50部に混合し、窒素気流下30分還流した後に酢酸エチルを留去した。50℃に戻し、多価イソシアネート化合物(キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N、75重量%酢酸エチル溶液、三井武田ケミカル(株)製、)19.7部、乾燥酢酸エチル20部アセトニトリル10部を添加して、外温60℃で5時間撹拌を行なった。酢酸エチルを追加してトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(2)の溶液(40質量%)を得た。
〔合成例3〕
具体的化合物例1−3化合物2.5部を酢酸エチル30部に混合し、窒素気流下30分還流した後に酢酸エチルを留去した。50℃に戻し、多価イソシアネート化合物(キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N、75重量%酢酸エチル溶液、三井武田ケミカル(株)製、)11.0部、乾燥酢酸エチル10部を添加して、外温60℃で5時間撹拌を行なった。酢酸エチルを追加してトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(3)の溶液(50質量%)を得た。
〔合成例4〕
具体的化合物例1−4の化合物2.5部を酢酸エチル30部に混合し、窒素気流下30分還流した後に酢酸エチルを留去した。50℃に戻し、多価イソシアネート化合物(キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N、75重量%酢酸エチル溶液、三井武田ケミカル(株)製、)11.0部、乾燥酢酸エチル10部を添加して、外温60℃で5時間撹拌を行なった。酢酸エチルを追加してトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(4)の溶液(50質量%)を得た。
〔合成例5〕
具体的化合物例1−18の化合物3.7部をフラスコに入れ100℃で2時間真空乾燥した。50℃に戻し、キシリレンジイソシアナート6.2部、乾燥酢酸エチル5部、アセトニトリル5部、触媒量のスタノクト(吉富製薬(株)製)を添加して、外温60℃で5時間撹拌を行なった。酢酸エチルを追加してトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(5)の溶液(50質量%)を得た。
〔合成例6〕
具体的化合物例1−22の化合物6.9部を酢酸エチル50部に混合し、窒素気流下30分還流した後に酢酸エチルを留去した。50℃に戻し、キシリレンジイソシアナート12.4部、乾燥酢酸エチル20部、触媒量のスタノクト(吉富製薬(株)製)を添加して、外温60℃で5時間撹拌を行なった。酢酸エチルを追加してトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(6)の溶液(50質量%)を得た。
〔合成例7〕
具体的化合物例3−2の化合物7.3部を酢酸エチル50部に混合し、窒素気流下30分還流した後に酢酸エチルを留去した。50℃に戻し、キシリレンジイソシアナート12.4部、乾燥酢酸エチル20部、触媒量のスタノクト(吉富製薬(株)製)を添加して、外温60℃で5時間撹拌を行なった。酢酸エチルを追加してトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(7)の溶液(50質量%)を得た。
[実施例1]
(マイクロカプセルの調製)
ジアゾニウム塩化合物として420nmに分解の最大吸収波長をもつ下記の化合物(A−1)3.5部及び化合物(A−2)0.9部を酢酸エチル16.4部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるイソプロピルビフェニル7.3部、フタル酸ジフェニル2.5部を添加し、加熱して均一に混合した。
Figure 2005305872
上記混合物に、カプセル壁材として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(タケネートD110N、75重量%酢酸エチル溶液、三井武田ケミカル(株)製)3.0部に対して、合成例1に記載のトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(1)の溶液5.0部を添加し、均一に攪拌した。別途、ScraphAG−8(日本精化(株)製)0.36部が添加された8重量%フタル化ゼラチン水溶液77部を用意し、前記ジアゾニウム塩化合物の混合液(溶液)を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃にて攪拌しながら3時間カプセル化反応を行なった。この後35℃に液温を下げ、イオン交換樹樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ社製)4.1部、アンバーライトIRC50(オルガノ社製)8.2部を加え、更に1時間撹拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して取り除き、カプセル液の固形分濃度が20.0%になるように濃度調節しジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液を得た。得られたマイクロカプセルの粒径は粒径測定(LA-700,堀場製作所(株)製で実施)の結果、メジアン径で0.7μmであった。
[実施例2]
(マイクロカプセルの調製)
実施例1に記載のカプセル液の調製におけるカプセル壁材として合成例1に記載のトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(1)の溶液5.0部の代わりに合成例2に記載の反応生成物(2)の溶液5.6部を用いる他は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.71μmであった。
[実施例3]
(マイクロカプセルの調製)
実施例1に記載のカプセル液の調製におけるカプセル壁材として合成例1に記載のトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(1)の溶液5.0部の代わりに合成例3に記載の反応生成物(3)の溶液4.5部を用いる他は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.69μmであった。
[実施例4]
(マイクロカプセルの調製)
実施例1に記載のカプセル液の調製におけるカプセル壁材として合成例1に記載のトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(1)の溶液5.0部の代わりに合成例4に記載の反応生成物(4)の溶液4.5部を用いる他は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.72μmであった。
[実施例5]
(マイクロカプセルの調製)
実施例1に記載のカプセル液の調製におけるカプセル壁材として合成例1に記載のトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(1)の溶液5.0部の代わりに合成例5に記載の反応生成物(5)の溶液4.5部を用いる他は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.7μmであった。
[実施例6]
(マイクロカプセルの調製)
実施例1に記載のカプセル液の調製におけるカプセル壁材として合成例1に記載のトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(1)の溶液5.0部の代わりに合成例6に記載の反応生成物(6)の溶液4.5部を用いる他は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.73μmであった。
[実施例7]
(マイクロカプセルの調製)
実施例1に記載のカプセル液の調製におけるカプセル壁材として合成例1に記載のトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(1)の溶液5.0部の代わりに合成例7に記載の反応生成物(7)の溶液4.5部を用いる他は、実施例1と同様にしてマイクロカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.74μmであった。
[実施例8]
(I)感熱記録層(A)の塗布液の調製
実施例1に記載のジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液及び下記のカプラー乳化分散液を、ジアゾニウム塩化合物/カプラー化合物の質量比が1/3.2になる様に混合して、目的とする感熱記録層(A)用塗布液を得た。
(カプラー乳化分散液の調製)
カプラー化合物として、2,5−ジ−n−ヘプチルオキシアセトアニリド2.4部、トリフェニルグアニジン2.5部、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニルスルホンアミド3.3部、4−n−ペンチルオキシフェニルスルホンアミド1.7部、及び4,4′−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール5.0部を、酢酸エチル8.0部に溶解し、「パイオニンA41C」(竹本油脂(株)製)1.0部を添加した後、加熱し均一に混合した。この混合物を、別途、調製したゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)10%水溶液75.0部に加えて、ホモジナイザーを用いて温度40℃で乳化分散した。この乳化分散液から残存する酢酸エチルを蒸発させ、固形分濃度が26.5%になる様に濃度を調節した。
更に、上記カプラー乳化分散液100部に対して、SBRラテックス(住化エイビーエスラテックス(株)製の商品名「SN−307」、48%分散液)を濃度26.5%に調整したもの9部を添加し均一に撹拌して、カプラー乳化分散液を得た。
(保護層(D)用塗布液の調製)
濃度5.0%のイタコン酸変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製の「KL−318」)水溶液61部に、濃度20.5%のステアリン酸亜鉛分散液(中京油脂(株)製の「ハイドリンF115」)2.0部を添加し、下記化合物(D−1)の2%水溶液8.4部、フッ素系離型剤(ダイキン社製の「ME−313」)8.0部、小麦粉澱粉(籠島澱粉(株)製の「KF−4」)0.5部を添加し均一に撹拌した。これを「母液」と呼ぶ。
1225O−(C24O)10−H 化合物(D−1)
別途、イオン交換した濃度20%のカオグロス(白石工業(株)製)水溶液12.5部、「ポイズ532A」(花王(株)製)0.06部、「ハイドリンZ−7」(中京油脂(株)製)1.87部、濃度10%のポリビニルアルコール(クラレ(株)製の「PVA105」)水溶液1.25部、及び濃度2%のドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.39部を混合し、ダイノミルを用いて微分散を行なった。この分散液を「顔料液」と呼ぶ。
前記「母液」80部に、上記「顔料液」4.4部を加え、30分以上撹拌した。その後、「Wetmaster500」(東邦化学社製)2.8部を添加し、更に30分以上撹拌して、目的とする保護層(D)用塗布液を得た。
(感熱記録材料の作製)
上質紙にポリエチレンがラミネートされた印画紙用支持体の表面に、ワイヤーバーを用いて前記感熱記録層(A)用塗布液及び上記保護層(D)用塗布液をこの順に塗布し乾燥して、本発明の感熱記録材料(1)を得た。上記塗布において、各層の固形分としての塗布量は、各々1m2当たり4.5gと1gであった。
(熱記録及び評価試験)
京セラ(株)製のサーマルヘッド「KST型」を用い、下記の様にして上記感熱記録材料(1)の熱記録特性を評価した。
(1)単位面積当りの記録エネルギーが34mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を設定し、上記感熱記録材料に印画して、イエローの画像を記録した。
(2)該記録材料を発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプで10秒間照射し、未印画部の画像を定着させた。イエロー画像の発色濃度は、マクベス濃度計「RD918型」を用いて発色部の光学反射濃度を測定し、その結果を下記の表1に発色濃度として示した。
(3)シェルフライフ(生保存性)の評価は、別の感熱記録材料を温度40℃で相対湿度90%に保った恒温恒湿槽内に24時間放置した後、全面を定着し、地肌の光学反射濃度(イエロー)を測定した。
以下の表1に、印字部分の発色濃度及び生保存性の評価を示す。
[実施例9]
実施例8に記載の塗液の調製における実施例1に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液の代わりに、実施例2に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液を用いる他は実施例8と同様にして感熱記録材料を作製した。
[実施例10]
実施例8に記載の塗液の調製における実施例1に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液の代わりに実施例3に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液を用いる他は実施例8と同様にして感熱記録材料を作製した。
[実施例11]
実施例8に記載の塗液の調製における実施例1に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液の代わりに、実施例4に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液を用いる他は実施例9と同様にして感熱記録材料を作製した。
[実施例12]
実施例8に記載の塗液の調製における実施例1に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液の代わりに、実施例5に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液を用いる他は実施例8と同様にして感熱記録材料を作製した。
[実施例13]
実施例8に記載の塗液の調製における実施例1に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液の代わりに、実施例6に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液を用いる他は実施例8と同様にして感熱記録材料を作製した。
[実施例14]
実施例8に記載の塗液の調製における実施例1に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液の代わりに、実施例7に記載のジアゾニウム塩化合物内包マイクロカプセル液を用いる他は実施例8と同様にして感熱記録材料を作製した。
[比較例1]
実施例1に記載のカプセル液の調製においてカプセル壁材として、合成例1に記載のトリアジン誘導体と多官能イソシアネートとの反応生成物(1)の溶液5.0部の代わりに、特開平7−88356号公報に記載の方法に従って合成したキシリレンジイソシアナート/ビスフェノールA付加物の30重量%酢酸エチル溶液7.5部を用いた他は、実施例1と同様にしてカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.8μmであった。このカプセル液を実施例8と同様にして感熱記録材料を得た。
上記で得られた感熱記録材料(実施例9〜14及び比較例1)についても実施例8の熱記録と同様に発色濃度及び非発色部分の濃度を測定した。その結果を表−1に示す。
Figure 2005305872
実施例15
[多色感熱記録材料]
<感熱記録層(B)用塗布液の調製>
(ジアゾニウム塩内包カプセル液の調製)
ジアゾニウム塩化合物として365nmに分解の最大吸収波長を持つ下記化合物(B−1)2.8部、硫酸ジブチル2.8部、及び2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・ガイギー(株)製の「イルガキュア651」)0.56部を、酢酸エチル10.0部に溶解した。更に高沸点溶媒であるイソプロピルビフェニル5.9部及びリン酸トリクレジル2.5部を添加し、加熱して均一に混合した。
Figure 2005305872
上記混合液に、カプセル壁材として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製の「タケネートD110N」、75%酢酸エチル溶液)7.6部を添加し、均一に攪拌した。
別途、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2.0部を加えた6%ゼラチン(ニッピゼラチン工業(株)製の商品名「MGP−9066」)水溶液64部を用意し、上記ジアゾニウム塩化合物の混合液を添加して、ホモジナイザーを用いて乳化分散した。
得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、攪拌しながら温度40℃で30分反応させた後、温度60℃に昇温して3時間かけてカプセル化反応を行なった。この後35℃に液温を下げ、イオン交換樹樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ社製)4.1部及び「アンバーライトIRC50」(オルガノ社製)8.2部を加え、更に1時間撹拌した。その後イオン交換樹脂を濾過して、ジアゾニウム塩内包カプセル液を得た。このマイクロカプセルの平均粒径は0.64μmであった。
(カプラー乳化分散液の調製)
カプラー化合物として、下記化合物(B−2)3.0部、トリフェニルグアニジン8.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン8.0部、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール8.0部、下記化合物(B−3)2.0部、及び1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン2.0部を、酢酸エチル10.5部に溶解し、更に高沸点溶媒であるりん酸トリクレジル0.48部とマレイン酸ジエチル0.24部、及び「パイオニンA41C」(竹本油脂(株)製)1.27部を添加した後、加熱し均一に混合した。この混合物を、8%ゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液93部に加えて、ホモジナイザーを用いて乳化分散した。この乳化分散液から残存する酢酸エチルを蒸発させて、カプラー乳化分散液を得た。
Figure 2005305872
(感熱記録層(B)用塗布液の調製)
前記ジアゾニウム塩内包マイクロカプセル液及び上記カプラー乳化分散液を、ジアゾニウム塩化合物/カプラー化合物の質量比が1/3.2になる様に混合して、目的とする感熱記録層(B)用塗布液を得た。
<感熱記録層(C)用塗布液の調製>
(電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液の調製)
電子供与性染料前駆体として、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1′−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド0.39部、紫外線吸収剤として285nmに最大吸収波長を持つ2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン0.19部、及び酸化防止剤として2、5−tert−オクチルハイドロキノン0.29部を、酢酸エチル0.93部に溶解し、更に高沸点溶媒であるフェネチルクメン0.54部を添加し、加熱して均一に混合した。この溶液に、カプセル壁材として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(三井武田ケミカル(株)製「タケネートD110N」)1.0部を添加し、均一に撹拌した。
別途、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.07部が添加された6%ゼラチン(ニッピゼラチン工業(株)製の「MGP−9066」)水溶液36.4部を用意し、上記の電子供与性染料前駆体溶液を添加し、ホモジナイザーを用いて乳化分散した。この様にして得られた乳化分散液を「一次乳化分散液」と呼ぶ。
別途、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1′−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド6.0部、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン3.0部、及び2、5−tert−オクチルハイドロキノン4.4部を、酢酸エチル14.4部に溶解し、更に高沸点溶媒であるフェネチルクメン8.4部を添加し均一に撹拌した溶液に、上記で用いた「タケネートD110N」(三井武田ケミカル(株)製)7.8部及びメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製の「ミリオネートMR200」)5.9部を添加し、均一に撹拌した。この様にして得られた溶液と、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液1.2部を上記の「一次乳化分散液」に添加しホモジナイザーを用いて乳化分散した。この様にして得られた液を「二次乳化分散液」と呼ぶ。この「二次乳化分散液」に、水60.0部及びジエチレントリアミン0.4部を加えて均一化した後、攪拌しながら温度65℃に昇温し、3.5時間かけてカプセル化反応を行い、目的の電子供与性染料前駆体内包マイクロカプセル液を得た。このマイクロカプセルの平均粒子径は1.9μmであった。
(電子受容性化合物乳化分散液の調製)
電子受容性化合物としてビスフェノールP30部を、ゼラチン(ニッピゼラチン工業(株)製の「MGP−9066」)2.0%水溶液82.5部に添加し、更に濃度2%の2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム水溶液7.5部を加え、得られた混合物をボールミルを用いて24時間分散して分散液を作製した。この分散液に15%ゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液36.0部を加え、均一に撹拌して電子受容性化合物乳化分散液を得た。この分散液中の電子受容性化合物の平均粒径は0.5μmであった。
(感熱記録層(C)用塗布液の調製)
次いで、前記の電子供与性染料前駆体内包カプセル液、上記電子受容性化合物乳化分散液、15%ゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液、及びスチルベン系蛍光増白剤(住友化学(株)製の「Whitex−BB」)を、電子供与性染料前駆体/電子受容性化合物の質量比が1/14、電子供与性染料前駆体/「#750ゼラチン」の質量比が1.1/1、且つ電子供与性染料前駆体/蛍光増白剤の質量比が5.3/1となる様に混合し、目的とする感熱記録層(C)用塗布液を調製した。
(中間層(E)用塗布液の調製)
14%のゼラチン(新田ゼラチン(株)製の「#750ゼラチン」)水溶液に4%ホウ酸水溶液8.2部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウムの2%水溶液1.2部、及び下記化合物(E−1)2%水溶液7.5部を添加し均一に撹拌して、目的の中間層(E)用塗布液を調製した。
(CH3CH2SO2CH2CONHCH22− 化合物(E−1)
(多色感熱記録材料の作製)
上質紙にポリエチレンがラミネートされた印画紙用支持体の表面に、ワイヤーバーを用いて、前記の感熱記録層(C)用塗布液、中間層(E)用塗布液、感熱記録層(B)用塗布液、中間層(E)用塗布液、実施例8に記載の感熱記録層(A)用塗布液、及び保護層(D)用塗布液を、この順に塗布し乾燥して、目的とする多色感熱記録材料を作製した。上記塗布において、固形分としての塗布量は、1m2当り各々9g、3g、8g、3g、4.5g、1gであった。
(熱記録)
京セラ(株)製のサーマルヘッド「KST型」を用いて、下記の様にして上記多色感熱記録材料の熱記録を行った。
(1)単位面積当りの記録エネルギーが35mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を調整し、上記多色感熱記録材料に印画して、イエローの画像を記録した。(2)その記録材料を発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプで10秒間照射し、(3)再度、単位面積当りの記録エネルギーが80mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を調製して印画し、マゼンタの画像を記録した。更に(4)発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプで15秒間照射して、(5)再度、単位面積当りの記録エネルギーが140mJ/mm2となる様にサーマルヘッドに対する印加電力とパルス幅を調整して印画して、シアンの画像を記録した。
この結果、イエロー、マゼンタ、シアンの各発色画像の他に、イエローとマゼンタの記録が重複した印画部分は赤色に、マゼンタとシアンが重複した印画部分は青色に、イエローとシアンが重複した印画部分は緑色に、そしてイエロー、マゼンタ、シアンの印画が重複した画像部分は黒色に発色した。尚、未印画部分は灰白色であった。
(評価試験)
(1)前記の熱記録を行ったイエロー、マゼンタ、シアンの各発色部の光学反射濃度を「マクベスRD918型」濃度計で測定した。
(2)シェルフライフ(生保存性)の評価は、別の多色感熱記録材料を温度40℃で相対湿度90%に保った恒温恒湿槽内に24時間放置した後、定着し、地肌の光学反射濃度(イエロー)を測定した。
以下の表2に、印字部分の発色濃度及び生保存性の評価を示す。
Figure 2005305872

Claims (8)

  1. ポリウレタン及び/又はウレア壁を有するマイクロカプセルであって、該カプセル壁のポリウレタン及び/又はウレアが化学構造中にトリアジン環を含むことを特徴とするマイクロカプセル。
  2. 前記ポリウレタン及び/又はウレア壁が多官能イソシアネート組成物を用いて製造され、多官能イソシアネート組成物に含まれるイソシアネート化合物の少なくとも1種が、分子内に活性水素を有するトリアジン誘導体と多官能イソシアネート化合物との反応生成物であることを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
  3. 活性水素を有するトリアジン誘導体が、下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項2記載のマイクロカプセル。
    Figure 2005305872
    前記一般式(1)中、R1、R2及びR3は、以下の式(A)、式(B)又は式(C)で示される基であり、R1、R2及びR3の少なくとも1つは活性水素を有する基を表し、R1、R2及びR3は互いに異なってもまた同じでもよい。
    Figure 2005305872
    式(A)、式(B)及び式(C)中、a、b、c及びdは1、2又は3の整数を示し、L1は(a+1)価の連結基を、L2は(b+1)価の連結基を、L3は(c+1)価の連結基を、L4は(d+1)価の連結基をそれぞれ示す。また、X1、X2、X3及びX4は水素原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基又はウレア基を表し、X1、X2、X3及びX4は互いに異なってもまた同じでもよい。
  4. 前記マイクロカプセルがジアゾニウム塩化合物または電子供与性染料前駆体を内包することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
  5. 多官能イソシアネート組成物を用いたポリウレタン及び/又はウレア壁を有するマイクロカプセルの製造方法であって、多官能イソシアネート組成物に含まれるイソシアネート化合物の少なくとも1種が、分子内に活性水素を有するトリアジン誘導体と多官能イソシアネート化合物との反応生成物であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のマイクロカプセルの製造方法。
  6. 記録層を有する記録材料であって、記録層が請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のマイクロカプセルを含むことを特徴とする記録材料。
  7. 支持体上に、ジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、又は電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤を含む感熱記録層を設けた感熱記録材料であって、マイクロカプセルが、請求項4に記載のマイクロカプセルであることを特徴とする感熱記録材料。
  8. 支持体上に、シアン、マゼンタ及びイエローの感熱記録層が設けられ、各感熱記録層がジアゾニウム塩化合物を内包するマイクロカプセルとカプラー、又は電子供与性染料前駆体を内包するマイクロカプセルと顕色剤を含んでいる多色感熱記録材料であって、マイクロカプセルの少なくとも1種が請求項4に記載のマイクロカプセルであることを特徴とする多色感熱記録材料。
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