JP3683708B2 - 感熱記録材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感熱記録材料に関し、さらに詳しくは、製造時の操作性に優れ、生保存性に優れると同時に、発色感度の高い感熱記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録は、その記録装置が簡便で信頼性が高くメンテナンスが不要であることから近来発展している。その感熱記録材料としては従来から電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物(顕色剤)との反応を利用したものなどが広く知られている。これらの発色成分は、必ずしも安定とは言えず、十分な発色濃度、発色感度を得ようとすると当然のことながら、保存中に発色反応がわずかずつ進行し、白くなければならない地肌部が着色して地肌汚れの原因となる問題があった。そのため、両者の保存中の反応を抑制すべく、これらの発色成分をマイクロカプセル化することが検討されており、発色成分の内、反応性の高い電子供与性染料前駆体のみをマイクロカプセル化するのが一般的である。
【0003】
しかし、感熱記録材料を現実に作製するためには、解決しなければならない種々の問題があった。
たとえば、感熱記録材料は、顕色剤を水に難溶または不溶の有機溶媒に溶解させた後、水溶液中に乳化させた乳化分散物を、マイクロカプセル化した電子供与性染料前駆体と混合した塗布液を調整し、これを支持体に塗設することによって作製されるが、電子供与性染料前駆体との組合せで顕色剤として用いられる電子受容性化合物は、水酸基等の反応性の官能基を有しており、これら反応性の官能基とバインダーとの相互作用で、顕色剤の乳化分散物が、高粘度化したり、ベタ付きを生じて、製造時にハンドリングしにくいという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、発明者等は、顕色剤とバインダーとの相互作用を抑制する方法の一つとして、顕色剤のマイクロカプセル化について検討を行っている。発色成分の両方をマイクロカプセル化することは、すでに公知であるが、両方をマイクロカプセル化した場合、電子供与性無色染料と電子受容性化合物(顕色剤)との反応性が低下し、十分な発色濃度、発色感度が得られないという問題がある。
従って、本発明の目的は、製造時の操作性に優れ、生保存性に優れると同時に、発色感度の高い感熱記録材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的は、顕色剤を薄壁のマイクロカプセルに内包することにより達成された。
即ち、本発明の感熱記録材料は、支持体上に複数の感熱記録層を設けた多色感熱記録材料であって、前記複数の感熱記録層の少なくとも1層が、マイクロカプセルに含有された電子供与性染料前駆体と、顕色剤と、ゼラチン又はゼラチン誘導体を主成分とするバインダーとを含有し、前記顕色剤が、芯物質の全重量に対して3〜15重量%のモノマーを使用して形成されたマイクロカプセルに、水に難溶または不溶の有機溶媒と共に内包されてなることを特徴とする。
前記感熱記録層が、ゼラチンまたはゼラチン誘導体を主成分とするバインダーを含む場合に、製造時の操作性の改善効果が顕著であり、前記顕色剤が、モノフェノール性化合物であることが、製造時の操作性改善の点で好ましい。
【0006】
また、本発明は多色の感熱記録材料にも応用することができる。
即ち、本発明の多色感熱記録材料は、支持体上に複数の感熱記録層を設けた多色感熱記録材料において、該感熱記録層の少なくとも1層が、少なくともマイクロカプセルに含有された電子供与性染料前駆体と、顕色剤と、バインダーとを含有する感熱記録層であって、前記顕色剤が、水に難溶または不溶の有機溶媒とともに薄壁マイクロカプセルに含有されてなることを特徴とする。
特に、支持体上に、マイクロカプセルに含有された電子供与性染料前駆体と顕色剤とバインダーとを含有する感熱記録層Aと、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層Bと、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層Cとを、順次積層した構造からなる多色感熱記録材料であって、前記感熱記録層Aが前記バインダーとしてゼラチン又はゼラチン誘導体を含み、前記顕色剤が芯物質の全重量に対して3〜15重量%のモノマーを使用して形成されたマイクロカプセルに水に難溶または不溶の有機溶媒と共に内包されてなる多色感熱記録材料が好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】
[電子供与性染料前駆体と顕色剤]
本発明の感熱記録材料においては、発色成分として、電子供与性染料前駆体と顕色剤との反応を利用したものが挙げられる。
【0008】
電子供与性染料前駆体としては、トリアリールメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、チアジン系化合物、キサンテン系化合物、スピロピラン系化合物などがあげられ、とりわけトリアリールメタン系化合物、キサンテン系化合物が発色濃度が高く有用である。これらの一部を例示すれば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(即ちクリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン(p−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(p−クロロアニリノ)ラクタム、2−ベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−シクロヘキシルメチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−イソアミルエチルアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−オクチルアミノ−6−ジエチルアミノフルオラン、2−エトキシエチルアミノ−3−クロロ−2−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロロ−6−ジエチルアミノフルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0009】
また、この電子供与性染料前駆体の顕色剤(以下、「電子受容性化合物」という場合がある。)としては、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、ヒドロキシ安息香酸エステル等が挙げられる。特に、ビスフェノール類、ヒドロキシ安息香酸エステル類が好ましい。これらの一部を例示すれば、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(即ち、ビスフェノールP)、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロロフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸およびその多価金属塩、3,5−ジ(tert−ブチル)サリチル酸およびその多価金属塩、3−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸およびその多価金属塩、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、p−ヒドロキシ安息香酸−2−エチルヘキシル、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノールなどが挙げられる。この中でも、バインダーとの相互作用が小さい点で、モノフェノールが好ましく、他の顕色剤と併用する場合でも、全顕色剤に対し、モノフェノールを10〜60重量%含有することが好ましく、30〜50重量%含有することがより好ましい。
【0010】
[マイクロカプセル化]
本発明の感熱記録材料においては、電子供与性染料前駆体及び顕色剤の双方が、熱応答性マイクロカプセルに内包されている。特に、顕色剤は薄壁マイクロカプセルに内包されている。
【0011】
本発明において、電子供与性染料前駆体及び顕色剤を内包する熱応答性マイクロカプセルは、芯物質を乳化した後、その油滴の周囲に高分子物質の壁を形成させて作られる。高分子物質を形成するリアクタントは油滴の内部及び/又は油滴の外部に添加される。
本発明で使用する熱応答性マイクロカプセルは、低沸点の非水溶媒に電子供与性染料前駆体及び顕色剤をカプセル壁形成用モノマーと共に溶解した後、重合反応させながら溶媒を留去させることにより得られるような、実質的に溶媒を含まないマイクロカプセルであることが好ましい。
【0012】
高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。カプセル壁材としての高分子物質は2種以上併用することもできる。好ましい高分子物質はポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートであり、更に好ましくはポリウレタン及びポリウレアである。ポリウレタン及びポリウレアの場合は、トリレンジイソシアネートのトリメタノールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、キシリレンジイソシアネートのトリメタノールプロパンアダクト体、キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、水添キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を使用することが好ましい。
これら高分子物質の物性としては、熱記録時の温度で融解しない、150℃以上の融点を持つ高分子物質が好ましい。
【0013】
例えば、ポリウレアをカプセル壁材として用いる場合には、ジイソシアナート、トリイソシアナート、テトライソシアナート、ポリイソシアナートプレポリマー等のポリイソシアナートと、ジアミン、トリアミン、テトラアミン等のポリアミン、アミノ基を2個以上含むプレポリマー、ピペラジン若しくはその誘導体又はポリオール等とを、水系溶媒中で界面重合法によって反応させることにより容易にマイクロカプセル壁を形成させることができる。
また、例えばポリウレアとポリアミドからなる複合壁若しくはポリウレタンとポリアミドからなる複合壁は、例えばポリイソシアナートと酸クロライド若しくはポリアミンとポリオールを用い、反応液となる乳化媒体のpHを調整した後加温することにより調製することができる。これらのポリウレアとポリアミドとからなる複合壁の製造方法の詳細については、特開昭58−66948号公報に記載されている。
【0014】
更に、加熱時にマイクロカプセル壁を膨潤させるために固体増感剤を添加することもできる。固体増感剤はマイクロカプセル壁として用いるポリマーの可塑剤と言われるものの中から、融点が50℃以上、好ましくは120℃以下で常温では固体であるものを選択して用いることができる。例えば、壁材がポリウレア、ポリウレタンから成る場合には、ヒドロキシ化合物、カルバミン酸エステル化合物、芳香族アルコキシ化合物、有機スルホンアミド化合物、脂肪族アミド化合物、アリールアミド化合物等が好適に用いられる。
【0015】
前記水溶性高分子の具体例としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、エチレン/マレイン酸共重合体が挙げられる。
【0016】
マイクロカプセルは、マイクロカプセル化すべき成分を0.2重量%以上含有した乳化液から作ることができる。
マイクロカプセル壁を形成するポリマーは、相当するモノマーを上記記載方法によって重合して得ることができるが、モノマーの使用量は、得られるマイクロカプセルの平均粒径が0.2〜12μmになるように決定される。
多色感熱記録材料として複数の感熱記録層を積層して用いる場合、上部の層は透明性が良好であることが好ましく、この観点からは、平均粒径が0.2〜2μmの範囲であることが好ましい。
【0017】
特に、顕色剤に使用する薄壁マイクロカプセルは、モノマーの使用量を、芯物質の全重量に対して、3〜15重量%、好ましくは5〜10重量%とすることにより、得ることができる。
【0018】
このようにして製造したマイクロカプセル中に電子供与性染料前駆体及び顕色剤を内包させることによって、常温における電子供与性染料前駆体及び顕色剤との接触が、従来以上に防止される。また、顕色剤に使用するマイクロカプセルを薄壁のマイクロカプセルとすることで、熱記録時における電子供与性染料前駆体と顕色剤との反応性を低下させることがなく、十分な発色感度を得ることができる。
【0019】
[バインダー]
本発明の感熱記録材料においては、感熱記録層に、発色素材等の各種の素材を支持体上又は、既に塗布された感熱記録層や中間層の上に固着させるためのバインダーを用いる。
上記バインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、カゼイン、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の各種エマルジョン等をあげることができる。本発明は、前記バインダーが、ゼラチンまたはゼラチン誘導体を主成分とするバインダーである場合に、製造時の操作性の改善効果が顕著である。
バインダーの使用量は固形分に換算して0.5〜5g/m2 とすることが好ましい。
【0020】
[多色感熱記録材料]
本発明において複数の感熱記録層を積層してもよく、各感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料を得ることもできる。その層構成は、感熱記録層の少なくとも1層が、少なくともマイクロカプセルに含有された電子供与性染料前駆体と、顕色剤と、バインダーとを含有する感熱記録層であって、前記顕色剤が、水に難溶または不溶の有機溶媒とともに薄壁マイクロカプセルに含有されてなるものであれば、特に限定されるものではないが、特に感光波長の異なる2種のジアゾニウム塩化合物とそれぞれのジアゾニウム塩化合物と熱時反応して異なった色相に発色するカプラーを組み合わせた感熱記録層2層と、電子供与性無色染料と電子受容性化合物とを組み合わせた感熱記録層とを積層した多色感熱記録材料が好ましい。すなわち、支持体上に電子供与性無色染料と電子受容性化合物を含む感熱記録層A、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する感熱記録層B、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラーを含有する感熱記録層Cとするものである。この例において、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選んでおけば、フルカラーの画像記録が可能となる。
特に、光定着性の迅速さ、安定性の観点からは、上記フルカラーの記録可能な多色感熱記録材料の場合、最上層に、ジアゾ化合物を熱応答性マイクロカプセルに内包させ、カプラー又は塩基性物質をアルカリ可溶性ポリマーのマイクロカプセルに内包させてなる感熱記録層を配置することが好ましい。
【0021】
この多色感熱記録材料の記録方法は、フルカラー構成の場合、まず、最上感熱記録層として配置された感熱記録層Cを加熱し、該層に含まれるジアゾニウム塩化合物とカプラーを発色させる。次に400±20nmの光を照射して感熱記録層C中に含まれている未反応のジアゾニウム塩化合物を分解させたのち、感熱記録層Bが発色するに十分な熱を加え、該層に含まれているジアゾニウム塩化合物とカプラーとを発色させる。このとき感熱記録層Cも同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。さらに360±20nmの光を照射して感熱記録層Bに含まれているジアゾニウム塩化合物を分解し、最後に感熱記録層Aが発色する十分な熱を加えて発色させる。このとき感熱記録層C、Bも同時に強く加熱されるが、すでにジアゾニウム塩化合物は分解しており発色能力が失われているので発色しない。
【0022】
[ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分]
本発明に用いられるジアゾニウム塩化合物(以下、ジアゾニウム塩、またはジアゾ化合物という場合がある。)と該ジアゾニウム塩化合物と加熱時反応して呈色するカップリング成分(以下、カプラーという場合がある。)を含有する感熱記録層に用いられる化合物は、ジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物と反応して色素を形成しうるカプラーおよびジアゾニウム塩化合物とカプラーとの反応を促進する発色助剤である塩基性物質等が挙げられる。本発明におけるジアゾ化合物とは下記式で表される構造を有するものが代表的であり、これらはAr部分の置換基の位置や種類によってその最大吸収波長を抑制することができるものである。
Ar−N2 + -
ここで、Arはアリール基を、X- は酸アニオンを表す。
【0023】
(ジアゾニウム塩)
本発明におけるジアゾニウム塩化合物の具体的例としては、4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、3−クロロ−4−ジオクチルアミノ−2−オクチルオキシオベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−オクトキシ−4−モルホリノベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−トリルチオベンゼンジアゾニウム、3−(2−オクチルオキシエトキシ)−4−モロホリノベンゼンジアゾニウムなどの酸アニオン塩および下記のジアゾニウム塩化合物D−1〜5があげられる。特にヘキサフルオロフォスフェート塩、テトラフルオロボレート塩、1,5−ナフタレンスルホネート塩が好ましい。
【0024】
【化1】
Figure 0003683708
【0025】
上記ジアゾニウム塩を形成する酸の具体例としては、例えば、Cn 2n+1COOH(nは1〜9の整数)、Cm 2m+1SO3 H(mは1〜9の整数)、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、及び、塩化亜鉛、塩化すず等の金属ハライドを挙げることができる。
これらのジアゾニウム塩化合物のうち本発明において特に好ましい化合物としては300〜400nmの波長の光により光分解する4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジオクチルアミノベンゼンジアゾニウム、4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、4−ジヘキシルアミノ−2−ヘキシルオキシベンゼンジアゾニウム、4−N−エチル−N−ヘキサデシルアミノ−2−エトキシベンゾジアゾニウム、2,5−ジブトキシ−4−(N−(2−エチルヘキサノイル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウム、2,5−ジエトキシ−4−(N−(2−(2,4−ジ−tert−アミルフェノキシ)ブチリル)ピペラジノ)ベンゼンジアゾニウムや上記具体例D−3〜5に示す化合物が挙げられる。ここでいうジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長はそれぞれの化合物を0.1g/m2 から1.0g/m2 塗膜にしたものを分光光度計(島津製作所社製、MPS−2000)により測定したものである。
【0026】
本発明に用いられるジアゾ化合物は熱応答性マイクロカプセルに内包して使用することが好ましい。
【0027】
(カプラー)
本発明に用いられる上記ジアゾニウム塩と熱時反応して呈色するカプラーとしては、レゾルシン、フルルグルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルファニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸エタノールアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸−N−ドデシルオキシプルピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸テトラデシルアミド、アセトアニリド、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、2−クロロ−5−オクチルアセトアセトアニリド、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’−オクチルフェニル)−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、1−(2’,4’,6’−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−フェニル−3−フェニルアセトアミド−5−ピラゾロン更には以下に示すC−1〜6の化合物等があげられる。これらのカプラーは2種以上併用し目的の発色色相を得ることもできる。
【0028】
【化2】
Figure 0003683708
【0029】
これらのカップリング成分を2種以上併用することによって任意の色調の画像を得ることもできる。
【0030】
[発色助剤]
本発明においては、熱現像時に系を塩基性にしてカップリング反応を促進するという目的で、発色助剤として作用する塩基性物質を加える。このような塩基性物質としては、水難溶性ないしは水不溶性の塩基性物質や、加熱によりアルカリ性物質を発生する物質が用いられる。
塩基性物質の具体例としては無機及び有機のアンモニウム塩、有機アミン、アミド、尿素およびチオ尿素さらにそれらの誘導体、チアゾール類、ピロール類、ピリミジン類、ピペラジン類、グアニジン類、インドール類、イミダゾール類、イミダゾリン類、トリアゾール類、モルホリン類、ピペリジン類、アミジン類、フォルムアジン類、ピリジン類等の含窒素化合物があげられる。これらの具体例としてはトリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、オクタデシルベンジルアミン、ステアリルアミン、アリル尿素、チオ尿素、メチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、2−ベンジルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾリン、2,4,5−トリフリル−2−イミダゾリン、1,2−ジフェニル−4,4−ジメチル−2−イミダゾリン、2−フェニル−2−イミダゾリン、1,2,3−トリフェニルグアニジン、1,2−ジシクロヘキシルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、グアニジントリクロロ酢酸塩、N,N’−ジベンジルピペラジン、4,4’−ジチオモルホリン、モルホリニウムトリクロロ酢酸塩、2−アミノベンゾチアゾール、2−ベンゾイルヒドラジノベンゾチアゾールなどがある。これらの塩基性物質は2種以上併用して用いることができる。
本発明においては、特に熱感度を高める観点から、記録層中に、脂肪酸アミド、N置換脂肪族アミド、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、アシド化合物、スルホンアミド化合物、ケトン化合物、尿素化合物、エステル類等の化合物を加えることができる。
これらの化合物は、カップリング成分や塩基性物質の融点を低下させたり、マイクロカプセル壁の熱透過性を向上させるものであり、その結果熱増感剤として機能するものであり、熱融解性物質も含まれる。ここで熱融解性物質とは、常温で固体であって、加熱により融解する、融点50℃〜150℃の物質であり、ジアゾ化合物、カップリング成分、或いは塩基性物質を溶かす物質である。
本発明においては,電子供与性染料前駆体またはジアゾ化合物1重量部に対してカップリング成分は0.1〜10重量部,発色助剤は0.1〜20重量部の割合で使用することが好ましい。なお、電子供与性染料前駆体またはジアゾ化合物の塗布量は0.05〜5.0g/m2 程度であることが望ましい。
電子供与性染料前駆体またはジアゾ化合物を発色成分として含有する感熱記録層において、前記2種のマイクロカプセル中に内包されない成分、例えば、熱増感剤その他の発色助剤、安定剤等は、サンドミル等により水溶性高分子と共に固体分散して用いれば良い。好ましい水溶性高分子としては、マイクロカプセルを調製する時に用いられる水溶性高分子が挙げられる(例えば、特開昭59−190886号参照)。この場合、水溶性高分子溶液に対する固体分散成分はそれぞれ10〜40重量%になるように投入される。分散された粒子サイズは10μm以下、透明性の観点からは2μm以下になることがさらに好ましい。
なお、実質的に透明な記録層とする場合には、上記成分を水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解した後、界面活性剤及び水溶性高分子を保護コロイドとして含有する水相と混合し、乳化分散した分散物の形で使用することが好ましい。
【0031】
[保存安定化剤−アスコルビン酸誘導体]
また、本発明においては、地肌の保存性向上の観点から、電子供与性染料前駆体と顕色剤、またはジアゾニウム塩化合物とカプラーを含有する感熱記録層に下記一般式(I)で表されるアスコルビン酸誘導体を含有することが好ましい。
【0032】
【化3】
Figure 0003683708
【0033】
式中、Rは、水素原子、アルキル基またはアルキルカルボニル基を表し、Mは、水素原子またはアルカリ金属原子を表す。
アルキル基の炭素数としては1〜20が好ましく、特に1〜10が好ましい。
アルキルカルボニル基の炭素数としては2〜20が好ましい。これらアルキル基、アルキルカルボニル基は更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、−OH、低級アルコキシ基、−CO−R’(R’は−OH、低級アルコキシ基、またはアミノ基)、または−OCO−R”(R”は低級アルコシキ基またはアミノ基)が好ましく、この中でも特に−OH、低級アルコキシ基が好ましい。
本発明の一般式で表されるアスコルビン酸誘導体の具体例としては,下記の具体例(1)〜(3)の化合物などを挙げることができるが、これらの中でも特に具体例(1)の化合物が好ましい。
【0034】
【化4】
Figure 0003683708
【0035】
上記アスコルビン酸誘導体の使用量は、0.001〜0.1g/m2 であることが好ましい。0.001g/m2 未満では地肌の保存性向上に効果がなく、0.1g/m2 を越えると熱感度が低下し好ましくない。
【0036】
[発色性向上剤]
本発明の感熱記録材料においては、前記各構成成分に加えて、加熱記録時の発色濃度を高くする、もしくは最低発色温度を低くする目的で、本発明の目的を損なわない限りにおいて他の添加剤を加えることができる。この添加剤としては、電子供与性染料前駆体、顕色剤、カプラー、塩基性物質、もしくはジアゾ化合物等の融解点を下げたり、カプセル壁の軟化点を低下せしめる作用により、電子供与性染料前駆体、顕色剤、ジアゾ化合物、塩基性物質、カプラーが反応し易い状況を作るためのものである。
発色性向上のための添加剤としては、フェノール化合物、アルコール性化合物、アミド化合物、スルホンアミド化合物等があり、具体例としては、p−tert−オクチルフェノール、p−ベンジルオキシフェノール、p−オキシ安息香酸フェニル、カルバニル酸ベンジル、カルバニル酸フェネチル、ハイドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、キシリレンジオール、N−ヒドロキシエチル−メタンスルホン酸アミド、N−フェニル−メタンスルホン酸アミド、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、α−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフチルベンジルエーテル、β−ナフトエ酸フェニルエステル、α−ヒドロキシ−β−ナフトエ酸フェニルエステル、β−ナフトール−(p−クロロベンジル)エーテル、1,4−ブタンジオールフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−メチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−p−エチルフェニルエーテル、1,4−ブタンジオール−m−メチルフェニルエーテル、1−フェノキシ−2−(p−トリルオキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−エチルフェノキシ)エタン、1−フェノキシ−2−(p−クロロフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル等があげられる。これらは芯物質中に含有させてもよいし、乳化分散物としてマイクロカプセル分散液に添加してもよい。
【0037】
[乳化分散物]
本発明において、上記の電子供与性無色染料、電子受容性化合物、ジアゾニウム塩化合物、該ジアゾニウム塩化合物と熱時反応して呈色するカプラー、塩基性物質、およびアスコルビン酸誘導体や発色性向上剤の如き添加剤の使用形態については特に限定されない。(1)固体分散して使用する方法、(2)乳化分散して使用する方法、(3)ポリマー分散して使用する方法、(4)ラテックス分散して使用する方法等が挙げられる。また、先に述べたように特定成分については、マイクロカプセルに内包させて使用する。
【0038】
本発明の感熱記録材料においては、実質的に透明な感熱発色層を設けて多色画像の画像品質を向上させる観点から、マイクロカプセルに内包されなかった発色剤を固体分散させるのではなく、水に難溶性又は不溶性の有機溶剤に溶解せしめた後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして有する水相と混合し、乳化分散物とすることが好ましい。乳化分散を容易にする観点から、界面活性剤を用いることが好ましい。
この場合に使用される有機溶剤は、例えば、特開平2−141279号公報に記載された高沸点オイルの中から適宜選択することができる。
これらの中でもエステル類を使用することが、乳化分散物の乳化安定性の観点から好ましく、中でも、リン酸トリクレジルを単独又は混合して使用した場合には顕色剤の乳化分散安定性が特に良好であり好ましい。
上記のオイル同士、又は他のオイルとの併用も可能である。
上記の有機溶剤に、更に低沸点の溶解助剤として補助溶剤を加えることもできる。このような補助溶剤として、例えば酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル及びメチレンクロライド等を特に好ましいものとして挙げることができる。場合により、高沸点オイルを含まず、低沸点補助溶剤のみを用いることもできる。
【0039】
これらの成分を含有する油相と混合する水相に、保護コロイドとして含有せしめる水溶性高分子は、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。好ましい水溶性高分子としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、セルロース誘導体等を挙げることができる。
また、水相に含有せしめる界面活性剤は、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈澱や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。好ましい界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができる。
【0040】
本発明の感熱記録材料に使用する乳化分散物は、上記成分を含有した油相と保護コロイド及び界面活性剤を含有する水相を、高速攪拌、超音波分散等、通常の微粒子乳化に用いられる手段等を使用して混合分散せしめることにより、容易に得ることができる。
また、油相の水相に対する比(油相重量/水相重量)は、0.02〜0.6が好ましく、特に0.1〜0.4であることが好ましい。0.02以下では水相が多すぎて希薄となり十分な発色性が得られず、0.6以上では逆に液の粘度が高くなり、取り扱いの不便さや塗液安定性の低下をもたらす。
【0041】
[酸安定剤]
本発明の感熱記録材料においては、以上の素材の他に酸安定剤としてクエン酸、酒石酸、シュウ酸、ホウ酸、リン酸、ピロリン酸等を使用することができる。
【0042】
[保護層]
本発明の感熱記録材料には、感熱記録層の上部に保護層を設けることが好ましい。保護層を感熱記録層の最上層に設けた場合には、感熱記録層表面の機械的強度を向上させることができる。
保護層中には熱記録時のサーマルヘッドのマッチング性の向上、保護層の耐水性の向上等の目的で、顔料、金属石鹸、ワックス、架橋剤等が添加される。
これらの顔料、金属石鹸、ワックス、架橋剤等の詳細については、例えば、特開平2−141279号公報に記載されている。
また、感熱記録層上に均一に保護層を形成させるために、保護層形成用塗布液には界面活性剤が添加される。界面活性剤にはスルホコハク酸系のアルカリ金属塩、フッ素含有界面活性剤等があり、具体的には、ジ−(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸、ジ−(n−ヘキシル)スルホコハク酸等のナトリウム塩又はアンモニウム塩等がある。
また、保護層中には、製造される感熱記録材料の帯電を防止するための界面活性剤、高分子電解質等を添加しても良い。保護層の固形分塗布量は通常0.2〜5g/m2 、好ましくは1g〜3g/m2 となるように製造されることが好ましい。
【0043】
[中間層]
本発明の感熱記録材料には、各層の熱分画を更に良好なものとするために発色層の間に中間層を設けることが好ましい。用いられる中間層の素材としては、水溶性高分子若しくは疎水性高分子のエマルジョン又はラテックス等が好ましい。
水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スチレン−無水マレイン酸共重合体及びそのエステル、ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルピロリドン、エチレン−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酸化デンプン、リン酸化デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、硫酸化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
疎水性高分子のエマルジョン又はラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
【0044】
[光透過率調整層]
本発明の感熱記録材料においては、光透過率調整層を設けることができる。光透過率調整層は、紫外線吸収剤の前駆体として機能する成分を含有しており、定着に必要な領域の波長の光照射前は紫外線吸収剤として機能しないので、光透過率が高く、光定着型感熱記録層を定着する際、定着に必要な領域の波長を十分に透過させ、また、可視光線の透過率も高く、感熱記録層の定着に支障は生じない。
この紫外線吸収剤の前駆体は、光定着型感熱記録層の光照射による定着に必要な領域の波長の光照射が終了した後、光または熱などで反応することにより紫外線吸収剤として機能するようになり、紫外線領域の定着に必要な領域の波長の光は紫外線吸収剤によりその大部分が吸収され、透過率が低くなり、感熱記録材料の耐光性が向上するが、可視光線の吸収効果がないから、可視光線の透過率は実質的に変わらない。
光透過率調整層は光定着型感熱記録材料中に少なくとも1層設けることができ、最も望ましくは光定着型感熱記録層と保護層との間に形成するのがよいが、光透過率調整層を保護層と兼用するようにしてもよい。
【0045】
光透過率調整層の特性は、光定着型感熱記録層の特性に応じて任意に選定することができる。特に光透過率調整層が適用されるのに有効な感熱記録材料では、支持体上に、最大吸収波長360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層とを順次設け、この層上に光透過率調整層を設けることが望ましい。このような感熱記録材料の場合、光透過率調整層の光定着する波長領域における光透過率が360nmで65%以上であり、前記定着後の光透過率が360nmで20%以下であることが望ましい。この場合、光照射とは、キセノンランプ強制試験器で420nmの波長において、13kJ/m2 の光照射を行うことをいう。具体的には、Weather Ometer Ci65(Atlas Electric Co.製)0.9W/m2 で4.0時間の光照射をいう。
また、支持体上に、最大吸収波長400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、を順次設けた感熱記録材料であってもよい。
【0046】
さらに本発明は、最大吸収波長が340nm未満のジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層と、最大吸収波長が420nmを超えるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを含有する光定着型感熱記録層との場合にも適用される。
また、感熱記録層において、各感熱記録層の色相を変えることにより、多色の感熱記録材料が得られる。すなわち、各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、イエロー、マゼンタ、シアンとなるように選べばフルカラーの画像記録が可能となる。この場合、支持体面に直接、積層(感熱記録層の最下層)される感熱記録層の発色機構は、電子供与性染料と、電子受容性染料との組み合わせに限らず、例えば、ジアゾニウム塩と該ジアゾニウム塩と反応呈色するカプラーとからジアゾ発色系、塩基性化合物と接触して発色する塩基発色系、キレート発色系、求核剤と反応して脱離反応を起こし発色する発色系等のいずれでもよく、この感熱記録層上に最大吸収波長が異なるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応し呈色するカプラーとを各々含有する光定着型感熱記録層を2層設け、この層上に光透過率調整層、保護層を順次設けるのが望ましい。
光透過率調整層に用いられる化合物としては、例えば、特開平9−1928号公報に記載されているものを挙げることができる。
【0047】
[酸化防止剤]
本発明においては耐光性を更に向上させるために以下に示す公知の酸化防止剤を用いることができる。例えばヨーロッパ公開特許第310551号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、ヨーロッパ公開特許第310552号公報、特開平3−121449号公報、ヨーロッパ公開特許第459416号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開昭63−163351号公報、アメリカ特許第4814262号、特開昭54−48535号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、アメリカ特許第4980275号、特開昭63−113536号公報、特開昭62−262047号公報、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、ヨーロッパ公開特許第309402号公報、ヨーロッパ公開特許第309401号公報等に記載のものが挙げられる。具体的には次のようなものがあげられる。
【0048】
【化5】
Figure 0003683708
【0049】
【化6】
Figure 0003683708
【0050】
【化7】
Figure 0003683708
【0051】
更にすでに感熱記録材料、感圧記録材料として公知の各種添加剤を用いることも有効である。これらの酸化防止剤の一部を示すならば、特開昭60−125470号公報、特開昭60−125471号公報、特開昭60−125472号公報、特開昭60−287485号公報、特開昭60−287486号公報、特開昭60−287487号公報、特開昭62−146680号公報、特開昭60−287488号公報、特開昭62−282885号公報、特開昭63−89877号公報、特開昭63−88380号公報、特開昭63−088381号公報、特開平01−239282号公報、特開平04−291685号公報、特開平04−291684号公報、特開平05−188687号公報、特開平05−188686号公報、特開平05−110490号公報、特開平05−1108437号公報、特開平05−170361号公報、特開昭63−203372号公報、特開昭63−224989号公報、特開昭63−267594号公報、特開昭63−182484号公報、特開昭60−107384号公報、特開昭60−107383号公報、特開昭61−160287号公報、特開昭61−185483号公報、特開昭61−211079号公報、特開昭63−251282号公報、特開昭63−051174号公報、特公昭48−043294号公報、特公昭48−033212号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0052】
具体例には6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサンカルボン酸ニッケル、2,2−ビス−4−ヒドロキシフェニルプロパン、1,1−ビス−4−ヒドロキシフェニル−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドールや以下に示す化合物が挙げられる。
【0053】
【化8】
Figure 0003683708
【0054】
【化9】
Figure 0003683708
【0055】
【化10】
Figure 0003683708
【0056】
【化11】
Figure 0003683708
【0057】
これら酸化防止剤は、感熱記録層または中間層、光透過率調整層、保護層に添加することができる。これらの酸化防止剤などを組み合せて使用する場合、例えば具体例(Q−7)、(Q−45)、(Q−46)または化合物(Q−10)と化合物(Q−13)の組合せが挙げられる。
【0058】
[支持体]
本発明における支持体としては、プラスチックフィルム、紙、プラスチック樹脂ラミネート紙、合成紙、等を用いることができる。
【0059】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。なお、以下「部」とあるのは全て「重量部」を示す。
【0060】
〔実施例1〕
1.〔感熱記録層A液の調液〕
(電子供与性染料前駆体カプセル液の調製)
電子供与性染料前駆体として3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリドを0.39部、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン0.19部、2、5−tert−オクチルハイドロキノン0.29部、b−2の化合物0.27部を酢酸エチル0.93部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるフェネチルクメンを0.54部添加し、加熱した均一に混合した。カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(75重量%酢酸エチル溶液:タケネートD110N:武田薬品社製)1.0部をこの溶液に更に添加し、均一に攪拌した。
【0061】
別途、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.07部を添加した6重量%ゼラチン(MGP−9066:ニッピゼラチン工業社製)水溶液36.4部を用意し、先の電子供与性染料前駆体溶液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。このようにして得られた乳化分散液を一次乳化分散液と呼ぶことにする。別途3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリドを6.0部、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン3.0部、2,5−tert−オクチルハイドロキノン4.4部を、酢酸エチル14.4部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるフェネチルクメンを8.4部添加し均一に攪拌した溶液に、先に用いたタケネートD110Nを7.8部、メチレンジイソシアネート(ミリオネートMR200:日本ポリウレタン社製)5.9部を添加し均一に攪拌した。このようにして得られた溶液と、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液1.2部を先に示した一次乳化分散液に添加しホモジナイザーにて乳化分散した。このようにして得られる液を二次乳化分散液と呼ぶことにする。この二次乳化分散液に水60.0部、ジエチレントリアミン0.4部を加え均一化した後、攪拌しながら65℃に昇温し、3.5時間カプセル化反応を行わせ目的のカプセル液を得た。カプセルの平均粒子径は1.9μmであった。
【0062】
(顕色剤カプセル液(1)の調製)
顕色剤として、下記化合物(a)5部、化合物(b)5部、化合物(c)4部、および(d)8部を酢酸エチル25部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるイソプロピルビフェニル5部を添加し、加熱して均一に混合溶解した。カプセル壁材として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(75重量%酢酸エチル溶液:タケネートD110N:武田薬品社製)5部をこの溶液に更に添加し、均一に攪拌した。
【0063】
【化12】
Figure 0003683708
【0064】
別途、10重量%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2部を添加した8重量%ゼラチン(MGP−9066:ニッピゼラチン工業社製)水溶液40部を用意し、先の顕色剤溶液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。このようにして得られた乳化分散液に、水20部、ジエチレントリアミン0.4部を加え均一化した後、攪拌しながら65℃に昇温し、3時間カプセル化反応を行わせ目的の顕色剤カプセル液(1)を得た。顕色剤カプセル液(1)の粘度は、25cpであり、顕色剤カプセル液(1)をテストプレートに塗布して40℃の温水に浸漬したところ、10分以内に塗布膜を除去することができた。また、カプセルの平均粒子径は0.3μmであった。
【0065】
(塗布液Aの調製)
次に上記の電子供与性染料前駆体カプセル液、顕色剤カプセル液(1)、15重量%ゼラチン(#750ゼラチン:新田ゼラチン社製)水溶液、スチルベン系蛍光増白剤(Whitex−BB:住友化学社製)をそれぞれ、電子供与性染料前駆体/顕色剤の比率が1/14、電子供与性染料前駆体/#750ゼラチン=1.1/1、電子供与性染料前駆体/蛍光増白剤=5.3/1となるように混合し、目的の塗布液Aを調製した。
【0066】
2.〔感熱記録層液Bの調液〕
(ジアゾニウム塩化合物カプセル液の調製)
ジアゾニウム塩化合物として365nmに分解の最大吸収波長をもつa−1に示す化合物2.8部、硫酸ジブチル2.8部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(イルガキュア651:商品名、チバ・ガイギー社製)0.56部を 酢酸エチル19.0部に溶解した。さらに高沸点溶媒であるイソプロピルビフェニルを5.9部およびリン酸トリクレジル2.5部を先の液に添加し、加熱して均一に混合した。カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(75%酢酸エチル溶液 タケネートD110N:商品名、武田薬品工業社製)7.6部をこの溶液に更に添加し、均一に攪拌した。別途、10%重量ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2.0部を加えた6重量%ゼラチン(MGP−9066:商品名、ニッピゼラチン工業社製)水溶液64部を用意し、先のジアゾニウム塩化合物溶液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。(以下、適宜「商品名」の記載を省略し、供給社名のみを表示する。)得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、攪拌しながら40℃に昇温し、3時間カプセル化反応を行わせた。この後35℃に液温を下げ、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ社製)6.5部、アンバーライトIRC50(オルガノ社製)13部を加え更に一時間攪拌する。この後イオン交換樹脂をろ過して目的のカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.64μmであった。
【0067】
【化13】
Figure 0003683708
【0068】
(カプラー乳化分散液の調製)
カプラーとして以下に示す化合物b−1を3.0部とトリフェニルグアニジン4.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサンを4.0部、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールを8.0部、2−エチルヘキシル−4−ヒドロキシベンゾエートを8.0部、酸化防止剤としてb−2を2.0部、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンを2.0部を酢酸エチル10.5部に溶解し、更に高沸点溶媒であるリン酸トリクレジル0.48部、マレイン酸ジエチル0.24部、パイオニンA41C(竹本油脂社製)を1.27部を添加した後加熱し均一に混合した。別途8重量%ゼラチン(#750ゼラチン:新田ゼラチン社製)水溶液93部中に加えてホモジナイザーにて乳化分散した。この乳化液より残存する酢酸エチルを蒸発させ目的とする乳化分散液を得た。
【0069】
【化14】
Figure 0003683708
【0070】
(塗布液Bの調製)
上記のジアゾニウム塩化合物カプセル液、カプラー乳化分散液さらにスチレン−ブタジエンゴム(SBR:SN307、住友ノーガタック社製)をそれぞれ、ジアゾニウム塩化合物/カプラーの比率が1/2となるように、またジアゾニウム塩化合物/スチレン−ブタジエンゴムの比率が1/6.4となるように混合し、さらに具体例(1)で表されるL−アスコルビン酸(武田薬品工業社製:ビタミンC)をL−アスコルビン酸/ジアゾニウム塩化合物の比率が1/40となるように混合し、目的の塗布液Bを調製した。
【0071】
3.〔中間層1液の調液〕
14重量%ゼラチン(#750ゼラチン:新田ゼラチン社製)水溶液に4重量%ほう酸水溶液8.2部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウムの2重量%水溶液1.2部、d−1に示す化合物の2重量%水溶液7.5部を添加し、均一に攪拌し目的の中間層1液用の塗布液を調製した。
【0072】
【化15】
Figure 0003683708
【0073】
4.〔感熱記録層Cの調液〕
(ジアゾニウム塩化合物カプセル液の調製)
ジアゾニウム塩化合物として420nmに分解の最大吸収波長をもつe−1の化合物3.5部、e−2の化合物0.9部を酢酸エチル16.4部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるイソプロピルビフェニル9.8部を添加し、加熱して均一に混合した。カプセル壁剤として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(75重量%酢酸エチル溶液:タケネートD110N:武田薬品社製)4.5部、キシリレンジイソシアナート/ビスフェノールA付加物の30重量%酢酸エチル溶液4.2部をこの溶液にさらに添加し、均一に攪拌した。別途、ScraphAG−8(日本精化社製)0.36部を添加した6重量%ゼラチン水溶液77部を用意し、先のジアゾニウム塩化合物溶液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え均一化した後、40℃にて攪拌しながら、3時間カプセル化反応を行わせた。この後35℃に液温を下げ、イオン交換樹脂アンバーライトIRA68(オルガノ社製)6.5部、アンバーライトIRC50(オルガノ社製)13部を加え更に一時間攪拌する。この後イオン交換樹脂をろ過したのち、カプセル液10部に対して0.4部の1重量%のハイドロキノン水溶液を添加して攪拌する。このようにして目的のカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.5μmであった。
【0074】
(カプラー内包カプセル分散液Cの調製)
カプラーとして以下に示す化合物f−1を2.4部とトリフェニルグアニジン2.5部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサンを2.5部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールを3.6部、2−エチルヘキシル−4−ヒドロキシベンゾエートを3.2部、f−2を0.8部及び酢酸0.85部をリン酸トリクレジル24部に十分に溶解した。次にアルカリ可溶性樹脂であるスチレン−アクリル酸コポリマー(Tg:102℃、重量平均分子量:8000)のアンモニウム水溶液5%50部に上記カプラー液を混合し、ホモミキサー(三井電機精器社製)で12000〜10000rpmで3分間攪拌し乳化液を得た。得られた乳化液を60℃に加温し、その温度に保持しながら30分間弱攪拌して分散液のpHが7になった時を終点とし、平均粒径が5μmのカプラー内包マイクロカプセル分散液を得た。
【0075】
【化16】
Figure 0003683708
【0076】
(塗布液Cの調製)
上記のジアゾ化合物カプセル液、カプラーカプセル分散液、スチレン−ブタジエンゴム(商品名SBR:SN307、住友ノーガタック社製)をジアゾニウム塩化合物、カプラーの比率が1/3.2となるように、またスチレン−ブタジエンゴムの重量が塗布液のゼラチン重量と等しくなるように混合し、目的の塗布液Cを調製した。
【0077】
5.〔中間層2塗布液の調整)
13%ゼラチン水溶液57部に(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウムの2重量%水溶液0.4部、g−1に示す化合物の2重量%水溶液8.3部、PVP−k15(GAF五協産業社製)2.4部を添加し、均一に攪拌して目的とする中間層2用の塗布液を調整した。
【0078】
【化17】
Figure 0003683708
【0079】
6.〔光透過率調整層の塗液の調液〕
下記化学式に示す化合物5.3部を酢酸エチル6.6部およびA−1に示すフタル酸エステル系溶剤2.9部と混合した。カプセル壁材としてキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(75%酢酸エチル溶液 タケネートD110N:商品名、武田薬品社製)2.0部をこの溶液に更に添加し、均一になるように攪拌した。別途10%重量ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液3.2部を添加した10重量%ポリビニルアルコール(PVA217E:商品名、クラレ社製)水溶液60部を用意し先の溶液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。得られた乳化液を攪拌しながら50℃に昇温し、3時間カプセル化反応を行わせ目的のカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.2μmであった。このカプセル液13部にイオン交換水50部を加え均一に攪拌して目的の光透過率調整層用の塗布液を調製した。
【0080】
【化18】
Figure 0003683708
【0081】
7.〔保護層の調液〕
5.0重量%イタコン酸変性ポリビニルアルコール(KL−318:商品名、クラレ社製)水溶液61部に、20.5重量%ステアリン酸亜鉛分散液(ハイドリンF115:商品名、中京油脂社製)を2.0重量部添加し、c−1で示す化合物の2重量%水溶液8.4部、フッ素系離型剤であるME−313(商品名、ダイキン社製)を8.0部、小麦粉澱粉であるKF−4(籠島澱粉社製)0.5部を添加し均一に攪拌した。これを母液と呼ぶことにする。別途、イオン交換した20重量%カオグロス(白石工業社製)水溶液12.5部、ポイズ532A(花王社製)0.06部、ハイドリンZ−7(中京油脂社製)1.87部、10重量%ポリビニルアルコール(PVA105:クラレ社製)1.25部、2重量%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.39部を混合しダイノミルにて微分散を行なった。この液を顔料液と呼ぶことにする。上記母液80部に、顔料液4.4部加え30分以上攪拌する。その後、Wetmaster500(東邦化学社製)2.8部添加し更に30分以上攪拌して目的とする保護層用の塗布液を得た。
【0082】
【化19】
Figure 0003683708
【0083】
8.〔塗布〕
上質紙にポリエチレンをラミネートした印画紙用支持体上に、メイヤーバーで感熱記録層A、中間層1、感熱記録層B、中間層2、感熱記録層C、光透過率調整層、保護層の順に順次塗布、乾燥を行い目的の多色感熱記録材料を得た。固形分としての塗布量は1m2 あたり各々7.12g、3.28g、8.33g、3.13g、8.06g、2.50g、1.23gであった。
【0084】
〔実施例2〕
〔感熱記録層液Aの調液〕
(顕色剤カプセル液(2)の調製)
顕色剤化合物(d)の代わりに、下記化合物(e)を用いた他は、実施例1と同様にして、目的の顕色剤カプセル液(2)を得た。カプセルの平均粒子径は0.3μmであった。顕色剤カプセル液(2)の粘度は、27cpであり、顕色剤カプセル液(2)をテストプレートに塗布して40℃の温水に浸漬したところ、10分以内に塗布膜を除去することができた。また、カプセルの平均粒子径は0.3μmであった。
【0085】
【化20】
Figure 0003683708
【0086】
顕色剤カプセル液(1)の代わりに、上記顕色剤カプセル液(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、目的の多色感熱記録材料を得た。得られた多色感熱記録材料を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
【0087】
〔比較例1〕
〔感熱記録層液Aの調液〕
(顕色剤乳化分散液の調製)
顕色剤として、前記化合物(a)5部、化合物(b)5部、化合物(c)4部、および(d)8部を酢酸エチル25部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるイソプロピルビフェニル5部を添加し、加熱して均一に混合溶解した。別途、10重量%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液2部を添加した8重量%ゼラチン(MGP−9066:ニッピゼラチン工業社製)水溶液40部を用意し、先の顕色剤溶液を添加し、ホモジナイザーにて乳化分散した。得られた顕色剤乳化分散液の粘度は、60cpであり、顕色剤乳化分散液をテストプレートに塗布して40℃の温水に浸漬したところ、30分以上経っても、テストプレートに塗布膜が残存し完全には除去することができなかった。また、カプセルの平均粒子径は0.3μmであった。
【0088】
顕色剤カプセル液(1)の代わりに、上記顕色剤乳化分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして、目的の多色感熱記録材料を得た。得られた多色感熱記録材料を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
【0089】
〔比較例2〕
〔感熱記録層液Aの調液〕
(顕色剤カプセル液(3)の調製)
壁材であるキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(75重量%酢酸エチル溶液:タケネートD110N:武田薬品社製)の添加量を,10部とした他は、実施例1と同様にして、目的の顕色剤カプセル液(3)を得た。顕色剤カプセル液(3)の粘度は、22cpであり、顕色剤カプセル液(3)をテストプレートに塗布して40℃の温水に浸漬したところ、10分以内に塗布膜を除去することができた。また、カプセルの平均粒子径は0.35μmであった。
顕色剤カプセル液(1)の代わりに、上記顕色剤カプセル液(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、目的の多色感熱記録材料を得た。得られた多色感熱記録材料を、実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
【0090】
〔熱記録(標準)〕
上記のようにして得られた各多色感熱記録材料について、京セラ製サーマルヘッドKST型を用い、(1)単位面積あたりの記録エネルギーが35mJ/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印加電力、パルス幅を決め、該感熱記録材料を印字して、イエローの画像を記録した。(2)その記録材料を発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプ下に10秒照射し、(3)再度単位面積あたりの記録エネルギーが66mJ/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印加電力、パルス幅を決め、印字して、マゼンタの画像を記録した。さらに(4)発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプ下に15秒照射し、(5)再度単位面積あたりの記録エネルギーが90mJ/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印加電力、パルス幅を決め、印字してシアンの画像を記録した。この結果、イエロー、マゼンタ、シアンの各発色画像の他に、イエローとマゼンタの記録が重複した記録部分は赤色に、マゼンタとシアンが重複した部分は青色に、イエローとシアンが重複した部分は緑色に、及びイエロー、マゼンタ、シアンの記録が重複した画像部分は黒色に発色した。未記録部は灰白色であった。
【0091】
この熱記録によるA、B、C各感熱記録層の発色濃度をマクベス反射濃度計にて測定した結果を下記表1に示す。
また、この熱記録を行った感熱記録材料を60℃30%RHにて1日保存した後に地肌濃度を測定して、地肌カブリとした。地肌濃度の測定もマクベス反射濃度計にて測定した。
これらの測定結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
Figure 0003683708
【0093】
以上の実施例・比較例から、本発明の顕色剤を薄壁マイクロカプセルに内包してなる感熱記録材料には、顕色剤カプセル液が低粘度で、除去し易く、感熱記録層液の調液の際の操作性に優れているという製造上のメリットがあることが分かる。また、本発明の顕色剤を薄壁マイクロカプセルに内包してなる感熱記録材料は、長期間保存後においても地肌汚れ等を生じないばかりか、発色感度にも優れていることが分かる。
一方、顕色剤をマイクロカプセル化していない記録層を有する場合は、操作性に問題があり、また、保存性が低下し、60℃、30%RHにて1日経過後には地肌カブリを起こしやすいことが分かる(比較例1)。また、顕色剤をマイクロカプセル化しても、そのカプセル壁厚が、通常の厚さであると、良好な発色感度が得られないことが分かる(比較例2)。
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、製造時の操作性に優れ、生保存性に優れると同時に、発色感度の高い感熱記録材料が提供される。

Claims (4)

  1. 支持体上に複数の感熱記録層を設けた多色感熱記録材料であって、
    前記複数の感熱記録層の少なくとも1層が、マイクロカプセルに含有された電子供与性染料前駆体と、顕色剤と、ゼラチン又はゼラチン誘導体を主成分とするバインダーとを含有し、
    前記顕色剤が、芯物質の全重量に対して3〜15重量%のモノマーを使用して形成されたマイクロカプセルに、水に難溶または不溶の有機溶媒と共に内包されてなることを特徴とする多色感熱記録材料。
  2. 前記顕色剤を内包するマイクロカプセルが、芯物質の全重量に対して5〜10重量%のモノマーを使用して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の多色感熱記録材料。
  3. 前記顕色剤を内包するマイクロカプセルの平均粒径が、0.2〜2μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の多色感熱記録材料。
  4. 支持体上に、マイクロカプセルに含有された電子供与性染料前駆体と顕色剤とバインダーとを含有する感熱記録層Aと、最大吸収波長が360±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層Bと、最大吸収波長が400±20nmであるジアゾニウム塩化合物と該ジアゾニウム塩化合物と反応して呈色するカプラーとを含有する感熱記録層Cとを、支持体側から順次積層した構造からなる多色感熱記録材料であって、
    前記感熱記録層Aが前記バインダーとしてゼラチン又はゼラチン誘導体を含み、前記顕色剤が芯物質の全重量に対して3〜15重量%のモノマーを使用して形成されたマイクロカプセルに水に難溶または不溶の有機溶媒と共に内包されてなることを特徴とする多色感熱記録材料。
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