JPH09287643A - 差動装置 - Google Patents

差動装置

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JPH09287643A
JPH09287643A JP12405796A JP12405796A JPH09287643A JP H09287643 A JPH09287643 A JP H09287643A JP 12405796 A JP12405796 A JP 12405796A JP 12405796 A JP12405796 A JP 12405796A JP H09287643 A JPH09287643 A JP H09287643A
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JP
Japan
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pinion
casing
side gear
torque
gear
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JP12405796A
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English (en)
Inventor
Mitsuru Oba
充 大葉
Akihiko Ikeda
暁彦 池田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H48/00Differential gearings
    • F16H48/20Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices
    • F16H48/28Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices using self-locking gears or self-braking gears
    • F16H48/285Arrangements for suppressing or influencing the differential action, e.g. locking devices using self-locking gears or self-braking gears with self-braking intermeshing gears having parallel axes and having worms or helical teeth

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Retarders (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トルクの入力方向に応じて差動制限力を異な
らせることができ、またコンパクトな差動装置を提供す
る。 【解決手段】 外径の大きいサイドギヤ1より軸長の長
いピニオン3が該外径の大きいサイドギヤ1に噛合する
とともに、このピニオン3の一方の端部が外径の小さい
サイドギヤ2の外周側に延出し、その小径のサイドギヤ
2に噛合した他のピニオン4が該小径のサイドギヤ2の
外周側で前記ピニオン3に噛合し、さらにこれらのピニ
オン3,4がケーシング5によって回転自在に支持され
ている差動装置であって、トルクの伝達時にサイドギヤ
2に向けた半径方向力が作用する一方のピニオン4の外
周側に位置する前記ケーシング5の一部に、前記半径方
向力が作用した場合に、該ピニオン4との間の摩擦力を
低減もしくは解消する処理が施されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば車両にお
ける前後の車輪や左右の車輪の差動を行うための差動装
置に関し、特に差動制限機能を備えた差動装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】この種の差動装置は、基本的には、入出
力ための一対のギヤを自転および公転するピニオンで連
結して構成されている。その一例がサンギヤとリンクギ
ヤとの間に配置したピニオンをキャリヤで保持した遊星
歯車機構であり、また他の例が傘歯車からなる一対のサ
イドギヤの間に傘歯車であるピニオンを挟み込んだディ
ファレンシャルギヤであり、さらに他の例が特表平6−
502713号に記載されている差動装置である。
【0003】この公報に記載された差動装置について簡
単に説明すると、図9において、ケーシング100内に
は軸線Xを中心として回転可能な軸101,102が直
列状に配置され、軸100にはサイドギヤ103が設け
られ、軸102にはサイドギヤ104が設けられてい
る。また、ケーシング100内には、サイドギヤ103
に噛み合うピニオン105と、サイドギヤ104と噛み
合うピニオン106とが設けられ、ピニオン105,1
06の支軸105A,106Aは、ケーシング100に
より回転可能に保持されている。
【0004】ピニオン105,106は、いずれも中間
に所定長さの無歯領域105c,106cを隔てて軸方
向にサイドギヤ103,104の歯幅よりも若干広い第
1の領域105a,106aと、幅の狭い第2の領域1
05b,106bとで構成されている。そして、ピニオ
ン105の第1の領域105aが、サイドギヤ103お
よびピニオン106の第2の領域106bに噛み合わさ
れ、ピニオン106の第1の領域106aが、サイドギ
ヤ104およびピニオン105の第2の領域105bに
噛み合わされている。ピニオン105,106に無歯領
域105c,106cが設けられているのは、この部分
にそのピニオン105,106とは噛み合わない反対側
のサイドギヤ103,104との歯面の干渉を避けるた
めである。
【0005】上記のサイドギヤ103,104とピニオ
ン105,106とはヘリカルギヤであって、ヘリカル
ギヤは、噛み合い時に軸方向の推力が発生するので、こ
れによって支軸105A,106Aとケーシング100
との摺動部分、あるいはケーシング100とピニオン1
05,106との摺動部分で摩擦力が発生し、この摩擦
力によって軸101と軸102との差動制限が行われ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで上述したピニ
オンの自転で二つの出力軸もしくは出力部材の間での差
動回転を行わせる差動装置では、これらの出力軸もしく
は出力部材に作用する負荷に応じてトルクの分配率が変
化することがある。その極端な例が、車両における一方
の車輪の脱輪などによる空転状態であり、このような状
態が生じると、負荷のかかっている他方の車輪にはトル
クが分配されず、一方の車輪の空転状態が継続してしま
う。そのため上述した差動装置では、必要に応じて差動
制限を行い、トルクの分配率を駆動状態に基づいて変更
することが望まれる。
【0007】そこで上記の公報に記載されている差動装
置は、各歯車がヘリカルギヤであってトルクの伝達に伴
ってスラスト力が発生し、ピニオンとケーシングとの間
の摩擦力などによって差動制限を行うように構成してい
る。したがってこの差動制限力は、摩擦面での摩擦係数
によってほぼ決まり、摩擦面に特別な滑り部材を配置す
るなどの加工を行わない限り、伝達トルクが同一であれ
ば、差動制限力が同じになる。しかしながら例えば四輪
駆動車の前後輪の差動を行う場合には、加速時と減速時
とでの駆動力の分配率(分配状態)を異ならせることが
好ましい場合があるが、上記従来の装置では、トルクが
入力される方向に関わらず、トルクの大きさによって差
動制限力が決まってしまうために、四輪駆動車での駆動
状態に応じたトルク分配率を自動的に設定することがで
きなかった。
【0008】また上述した公報に記載されている差動装
置では、各ギヤの噛み合い位置を軸線方向にずらして配
置せざるを得ないので、全体としての軸長が長くなり、
コンパクト化が困難であるうえに、許容トルクが制限さ
れるなどの問題があった。
【0009】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、トルクの入力方向によって差動制限力
を自動的に異ならせることができ、またコンパクトな差
動装置を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1に記載された発明は、外
径の異なる一対のサイドギヤが同一軸線上に並んで配置
され、外径の大きいサイドギヤより軸長の長いピニオン
が該外径の大きいサイドギヤに噛合するとともに、この
ピニオンの一方の端部が外径の小さいサイドギヤの外周
側に延出し、その小径のサイドギヤに噛合した他のピニ
オンが該小径のサイドギヤの外周側で前記ピニオンに噛
合し、さらにこれらのピニオンが前記各サイドギヤの中
心軸線を中心に回転するケーシングの内面に摺接してケ
ーシングによって回転自在に支持されている差動装置に
おいて、トルクの伝達時にサイドギヤに向けた半径方向
力が作用する一方のピニオンの外周側に位置する前記ケ
ーシングの一部に、前記半径方向力が作用した場合に、
該ピニオンとの間の摩擦力を低減もしくは解消する処理
が施されていることを特徴とするものである。
【0011】したがって請求項1の発明では、サイドギ
ヤに差動回転が生じていなければ、装置の全体が一体と
なって回転するが、差動回転が生じると、ピニオンかケ
ーシングの内部で自転する。また同時に、ピニオンは、
トルクの伝達方向に応じてケーシングの内面に押し付け
られる。そして、前記一方のピニオンがサイドギヤに向
けた半径方向力を受けた場合、このピニオンは、ケーシ
ングの一部に摩擦力低減のための施された処理部に対峙
することになる。この摩擦力低減の処理は、例えばケー
シングの一部を除去してピニオンとの接触を回避する処
理であり、したがってこのような場合には、前記一方の
ピニオンが自転してもケーシングとの接触がないために
摩擦力が生じない。またこれとは反対方向の半径方向力
を前記一方のピニオンが受けた場合には、ケーシングの
内面に接触するから、大きい摩擦トルクを生じる。した
がって入力トルクの方向によって差動制限力を異ならせ
ることができる。
【0012】また請求項2の発明は、一対のサイドギヤ
が同一軸線上に並んで配列され、一方のサイドギヤに噛
合したピニオンと他方のサイドギヤに噛合した他のピニ
オンとが互いに噛合するとともに、前記サイドギヤの中
心軸線を中心に回転自在に設けられたケーシングの内部
に前記各ピニオンが自転自在に収容された差動装置にお
いて、いずれか一方のピニオンが該ピニオンの外径より
小径でかつ軸端部に突設された軸部によって前記ケーシ
ングに回転自在に支持され、かつ他方のピニオンがその
外周面を前記ケーシングの内面に摺接させた状態でケー
シングによって回転自在に支持されていることを特徴と
するものである。
【0013】したがって請求項2に記載した発明では、
ケーシングを入力要素としてこれを回転駆動すると、ピ
ニオンを介して各サイドギヤにトルクが伝達される。そ
の場合、各サイドギヤに差動回転が生じていなければ、
差動装置の全体が一体となって回転するので、各サイド
ギヤおよびピニオンの間の相対回転は生じない。これに
対して各サイドギヤに差動回転が生じると、ピニオンが
ケーシングの内部で自転する。その場合、一方のピニオ
ンがその外径より小径の軸部でケーシングに支持されて
いるので、このピニオンとケーシングとの間で生じる摩
擦トルクは、軸部の径が小さいことにより、他方のピニ
オンがその外周面でケーシングに滑り接触することによ
って生じる摩擦トルクより小さくなる。したがって該一
方のピニオンをケーシングの内面に押し付ける方向の半
径方向力がトルクの伝達に伴って生じた場合には、他方
のピニオンがケーシングに接触しないか、もしくは接触
してもその押し付け力が小さくなり、その結果、差動制
限力が小さくなる。これに対して他方のピニオンをケー
シングの内面に押圧する方向の半径方向力が、トルクの
伝達に伴って生じた場合には、摩擦力の生じる位置の半
径が大きいことにより摩擦トルクが大きくなり、その差
動制限力が大きくなる。すなわち入力トルクの方向によ
って、差動制限力が相違することになる。
【0014】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を具体例に基づい
て説明する。まず請求項1に記載した発明について図1
ないし図3に基づいて説明すると、これらの図に示す例
は、四輪駆動車のセンターディファレンシャルとして使
用した例を示しており、図1ないし図3に示すように、
円筒状の軸1A,2Aが同一の中心軸線Y上に互いに接
近しかつ直線的に並んで配置されている。その一方の軸
1Aの端部の外周には、ヘリカルギヤであるサイドギヤ
1がスプライン嵌合されている。また他方の軸2Aの端
部の外周には、このサイドギヤ1より小径のヘリカルギ
ヤであるサイドギヤ2が一体に形成されている。
【0015】外径の大きい一方のサイドギヤ1には、両
方のサイドギヤ1,2の軸長を加えた長さとほぼ等しい
軸長のピニオン3が噛合しており、このピニオン3は図
1に示すように、他方のサイドギヤ2側に延びている。
また小径のサイドギヤ2の外周側には、このサイドギヤ
2とほぼ等しい軸長のピニオン4が配置され、このピニ
オン4が、前記軸長の長いピニオン3とサイドギヤ2と
に噛合している。なお、軸長の短い他方のピニオン4
は、サイドギヤ2とピニオン3とに同一の歯で噛合する
ことになるので、強度保持のために軸長の長いピニオン
3よりも大径に形成されている。
【0016】上記の各ピニオン3,4を保持するための
手段としてケーシング5が設けられている。このケーシ
ング5は、各ピニオン3,4を自転自在に収容して前記
中心軸線Yを中心に回転するよう構成されている。すな
わちケーシング5は、ピニオン3,4を収容している円
筒状の本体部分5Aと、その本体部分5Aの開口端を閉
じるように取り付けられた端板部5Bとから構成されて
いる。その本体部分5Aの内側には、図2に示すよう
に、各ピニオン3,4を回転自在に収容する収容部51
a,51bが形成されている。
【0017】これらの収容部51a,51bは、それぞ
れに対応するピニオン3,4の外径より僅か大きい内径
でかつ中心軸線Yと平行な方向に向けた円筒状の中空部
分であり、またそれぞれの軸長は、その内部に収容する
ピニオン3,4の軸長に合わせた寸法に設定されてい
る。すなわち小径のピニオン3を収容している収容部5
1aは、前記サイドギヤ1,2の軸長を足した長さより
若干長い円筒部として形成され、また他方の収容部51
bは、前記他方のサイドギヤ2の軸長より若干長い円筒
部として形成されている。
【0018】さらにこれらの収容部51a,51bは、
それぞれの内部に収容されるピニオン3,4が互いに噛
合し得るよう互いに一部をオーバーラップさせた状態で
形成され、それぞれ連通した状態となっている。また一
方のピニオン3を収容している収容部51aは、断面が
半円形以上となる形状に形成されているのに対して、他
方の収容部51bは、断面が半円形以下の円弧形状とな
るよう構成されている。すなわち大径のピニオン4の外
周部のうち前記中心軸線Yを中心とした半径方向での中
心側の部分が除去されて、ピニオン4がサイドギヤ2側
に荷重を受けた場合に、収容部51bの内周面に接触し
ないように構成されている。収容部51bのこのような
形状が請求項1の発明における摩擦力低減のための処理
に相当する。
【0019】なお、ケーシング5の内部で各ギヤ1,
2,3,4の軸線方向に位置を決めるために必要箇所に
ブッシュBが介在されている。
【0020】図3に上述した差動装置のスケルトン図を
示してあり、この図3から知られるように、上記の差動
装置は、機構上、ダブルピニオン型の遊星歯車機構と同
じになる。したがってケーシング5にトルクを入力して
これを回転させれば、その内部に収容されているピニオ
ン3,4を介して各サイドギヤ1,2にトルクが伝達さ
れる。その場合の各サイドギヤ1,2に対するトルクの
分配率は、サイドギヤ1,2のピッチ円半径の比率に応
じたものとなる。したがって各軸1A,2Aを前輪側出
力軸および後輪側出力軸とすれば、図示しない変速機か
ら出力されたトルクが所定の分配率で前輪と後輪とに分
配され、車両はいわゆる常時四輪駆動車(フルタイム4
WD車)として走行する。
【0021】そして前後輪に差動回転がない場合、すな
わち各サイドギヤ1,2に差動回転が生じていない場合
には、差動装置の全体が一体となって回転するので、ピ
ニオン3,4とケーシング5との間に相対回転は生じな
い。したがってケーシング5における各収容部51a,
51bの内周面が各ピニオン3,4に接触し、これらの
ピニオン3,4を公転させていても摩擦力が発生しな
い。
【0022】これに対して前後輪のいずれかのスリップ
などによって各サイドギヤ1,2の間に差動回転が生じ
ると、その回転差を許容するようピニオン3,4が自転
する。前述したようにピニオン3,4はケーシング5に
押されて公転していて収容部51a,51bの内面から
荷重を受けているから、自転することによってケーシン
グ5との間に摩擦力が発生する。
【0023】図4の(A),(B)は、摩擦力の発生状
況を説明するための図であり、車両がパワーオン状態で
あって加速されている場合には、図4の(A)での矢印
F方向にトルクが入力される。そして各ギヤ1,2,
3,4の噛み合い歯面では、細い矢印で示す方向に荷重
が作用し、トルクの伝達が行われる。したがって大径の
ピニオン4には、トルクの伝達に伴う荷重の合力として
太い矢印fで示す半径方向力が作用する。その結果、こ
の合力fによってピニオン4が収容部51bの内面に押
し付けられ、その状態でピニオン4が自転することによ
り、摩擦力が生じる。また小径のピニオン3がその収容
部51aの内面に摺接することにより、このピニオン3
の外周でも摩擦力が発生する。
【0024】これらの摩擦力は、ピニオン3,4の自転
を制限する方向に作用するから、結局、この摩擦力に起
因するトルクが差動制限トルクとなり、例えば前述した
前後輪のスリップの場合には、スリップの生じていない
車輪に対してトルクを伝達してそのスリップによるトル
クのいわゆる抜けを防止するよう作用する。換言すれ
ば、トルク分配率を差動回転のない状態でのトルク分配
率に近づける差動制限作用が生じる。
【0025】これに対して減速時には、図4の(B)に
矢印Dで示す方向にトルクが作用する。すなわち車両は
慣性力で走行する状態になるために、サイドギヤ1,2
からのトルクによってピニオン3,4およびケーシング
5が公転させられる。この状態での各ギヤ1,2,3,
4の噛み合い歯面での荷重の方向は、図4の(B)に細
い矢印で示す方向になり、したがって大径のピニオン4
に対しては、これをサイドギヤ2側に押圧する合力dが
作用する。このピニオン4を収容している収容部51b
は、断面が半円以下の円弧状であるから、噛み合い反力
の合力dすなわちトルク伝達に伴う荷重がこのように生
じると、ピニオン4が収容部51bの内面から離隔する
ことになり、したがってたとえピニオン4が自転しても
両者の間の摩擦力が生じず、もしくは摩擦力が低減され
る。なお、小径のピニオン3はその収容部51aの内面
に接触するから、両者の間で摩擦力が生じる。
【0026】上記のようにピニオン3,4とケーシング
5との間の摩擦力が差動制限力として作用するが、その
差動制限トルクは、摩擦力の作用する半径に応じて大き
くなるので、上記の例では、大径のピニオン4によって
生じる摩擦力が差動制限トルクに大きく影響する。そし
てそのピニオン4で生じる摩擦力は、加速状態で大き
く、かつ減速状態でゼロもしくは低減されるから、差動
装置全体としての差動制限トルクが、加速時と減速時と
で大きく相違することになる。したがって例えばアンチ
ロックブレーキシステムを備えた車両では、アンチロッ
クブレーキシステムが動作する場合には、前後輪の干渉
を防ぐために、差動制限を解除することが望まれ、これ
に対して加速時には四輪全体で駆動力を発生することが
望ましので、上記の差動装置は、このような車両に好適
であり、駆動性能や制動性能を向上させることができ
る。
【0027】つぎに請求項2に記載した発明を具体的に
説明する。図5に示す例は、図1に示す差動装置に請求
項2の発明を適用したものであり、したがって既に説明
した構造については図に同一の符号を付してその説明を
省略する。
【0028】図5に示す差動装置では、小径で長尺のピ
ニオン3の軸端部に、その外径より小径の軸部31が中
心軸線に沿って突出させられている。この軸部31は、
ピニオン3をケーシング5に対して回転自在に保持する
ためのものであり、その外周に軸受部材7を介して本体
部分5Aおよび端板部5Bに回転自在に嵌合させられて
いる。なお、この軸受部材7は、転がり軸受や滑り軸受
などの適宜のものを使用することができ、またこの発明
では、軸受部材を用いずに軸部31を直接ケーシング5
に回転自在に嵌合させてもよい。また、サイドギヤ1,
2同士の間には両者の間の摩擦力を低減するためにニー
ドルベアリングなどのスラスト軸受6が配置されてい
る。
【0029】図5に示す差動装置であっても、前述した
図1に示す差動装置と同様にトルクを各サイドギヤ1,
2に分配する。また差動制限は、ピニオン3,4が自転
することによる摩擦力によって行われる。そして加速時
と減速時とでピニオン3,4に作用する荷重は、図6の
(A),(B)に示すように、前述した差動装置と同様
になるが、小径のピニオン3が自転することによる摩擦
は、その軸端部に形成してある軸部31において生じる
ので、その径が小さいことにより摩擦トルクが小さくな
る。特に、軸受部材7として転がり軸受などの体摩擦材
を使用すれば、このピニオン3の自転で生じる摩擦トル
クはきわめて小さくなる。
【0030】そして大径のピニオン4が自転することに
よる摩擦トルクは、前述したように加速時と減速時とで
大きく相違する。換言すれば、図5に示す構成では、差
動制限トルクは、大径のピニオン4での摩擦力によって
ほぼ決定されるので、加速時と減速時とでの差動制限ト
ルクを大きく相違させることができる。
【0031】ここで従来の差動装置での差動制限に伴う
トルク分配率とこの発明にかかる差動装置での差動制限
に伴うトルク分配率とを図に示して説明すると、図7は
従来の差動装置でのトルク分配率を示している。加速時
に差動制限力が発生すると、基準トルク(分配率50:
50)に対してトルク分配率が70:30(線I)もし
くは30:70(線II)に設定される。また減速時も同
様な差動制限作用が生じるので、トルク分配率は、3
0:70(線III )もしくは70:30(線IV)に設定
される。これに対してこの発明の差動装置では、図8に
示すように、加速時と減速時とで差動制限トルクが相違
するから、減速時のトルク分配率は、機構上定まる分配
率すなわち差動制限のない分配率に近くなる(線IIIa
もしくは線IVa)。
【0032】なお、この発明は上述した具体的な例に限
定されるものではないのであって、ピニオンは一対以上
の必要数設けることができる。また各ギヤはヘリカルギ
ヤである必要はなく、平歯車であってもよい。さらに一
方のピニオンが半径方向で中心側に向けた荷重を受けた
場合の摩擦力低減のための処理は、ケーシングの一部を
上述したように除去してピニオンと接触しないようにす
る処理以外に、ピニオンを収容している箇所の内面に低
摩擦面を形成し、あるいは接触面積を減じる処理などで
あってもよい。
【0033】
【発明の効果】以上のように請求項1に記載された発明
によれば、トルクの伝達に伴って一方のピニオンに作用
する荷重が、そのピニオンをサイドギヤ側に押圧する場
合には、これとは反対方向の半径方向力が生じた場合よ
りも摩擦力が小さくなるので、トルクの入力の方向に応
じて差動制限トルクを大小に異ならせることができる。
またピニオン同士を一方のサイドギヤの外周側で互いに
噛合させる構成であるから、サイドギヤの軸長を足した
寸法以上に軸線方向に突出する部分がなく、したがって
全体としての構成をコンパクトなものにすることができ
る。
【0034】また請求項2の発明では、一方のピニオン
をその外径より小径の軸部で回転自在に支持し、その軸
部で生じる摩擦力を差動制限力とするよう構成してある
から、このピニオンで生じる摩擦力が小さくなり、しか
も他方のピニオンで生じる摩擦力はトルクの入力方向に
応じて大小に変化し、そのためピニオンの自転に伴う摩
擦力をトルクの入力方向で異ならせて差動制限力を相違
させることができる。
【0035】そして各請求項の発明は、差動制限トルク
として作用する摩擦力をピニオンの自転によって生じさ
せるよう構成してあるので、差動制限のための特別な部
材や機構を必要とせず、この点でもコンパクト化を図る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1の発明にかかる差動装置の一例を示す
断面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】図1に示す差動装置のスケルトン図である。
【図4】加速時と減速時とのトルク伝達状態を示す概念
図である。
【図5】請求項2の発明にかかる差動装置の一例を示す
断面図である。
【図6】その加速時と減速時とのトルク伝達状態を示す
概念図である。
【図7】従来の差動装置のトルク配分特性を示すグラフ
である。
【図8】この発明の差動装置のトルク配分特性を示すグ
ラフである。
【図9】従来の差動装置の斜視図である。
【図10】図9に示す差動装置に用いられているギヤの
噛み合い関係を示す配置図である。
【符号の説明】
1,2 サイドギヤ 3,4 ピニオン 5 ケーシング 31 軸部 51a,51b 収容部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外径の異なる一対のサイドギヤが同一軸
    線上に並んで配置され、外径の大きいサイドギヤより軸
    長の長いピニオンが該外径の大きいサイドギヤに噛合す
    るとともに、このピニオンの一方の端部が外径の小さい
    サイドギヤの外周側に延出し、その小径のサイドギヤに
    噛合した他のピニオンが該小径のサイドギヤの外周側で
    前記ピニオンに噛合し、さらにこれらのピニオンが、前
    記各サイドギヤの中心軸線を中心に回転するケーシング
    の内面に摺接してケーシングによって回転自在に支持さ
    れている差動装置において、 トルクの伝達時にサイドギヤに向けた半径方向力が作用
    する一方のピニオンの外周側に位置する前記ケーシング
    の一部に、前記半径方向力が作用した場合に、該ピニオ
    ンとの間の摩擦力を低減もしくは解消する処理が施され
    ていることを特徴とする差動装置。
  2. 【請求項2】 一対のサイドギヤが同一軸線上に並んで
    配列され、一方のサイドギヤに噛合したピニオンと他方
    のサイドギヤに噛合した他のピニオンとが互いに噛合す
    るとともに、前記サイドギヤの中心軸線を中心に回転自
    在に設けられたケーシングの内部に前記各ピニオンが自
    転自在に収容された差動装置において、 いずれか一方のピニオンが該ピニオンの外径より小径で
    かつ軸端部に突設された軸部によって前記ケーシングに
    回転自在に支持され、かつ他方のピニオンがその外周面
    を前記ケーシングの内面に摺接させた状態でケーシング
    によって回転自在に支持されていることを特徴とする差
    動装置。
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