JPH09286102A - インクジェットヘッドおよびその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッドおよびその製造方法

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JPH09286102A
JPH09286102A JP10282196A JP10282196A JPH09286102A JP H09286102 A JPH09286102 A JP H09286102A JP 10282196 A JP10282196 A JP 10282196A JP 10282196 A JP10282196 A JP 10282196A JP H09286102 A JPH09286102 A JP H09286102A
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新吾 阿部
Tetsuya Inui
哲也 乾
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速印字が可能で高寿命なインクジェットヘ
ッドを提供する。 【解決手段】 インクジェットヘッド1は、ダイヤフラ
ム2、ノズルプレート10、ノズル11、インク供給口
12により構成される。ダイヤフラム2は、圧電性部材
6と弾性部材4を有し、その圧電性部材6の変位により
変形して、インク16をノズル11から吐出させる。弾
性部材4のヤング率Y1は150GPa≦Y1≦250G
Paであり、圧電性部材6のヤング率Y2は30GPa
≦Y2≦170GPaである。ダイヤフラム2の半径を
r(m),弾性部材4の厚さをt1(m),圧電性部材
の厚さをt2(m)としたときに、t1=D・πr2(2
0≦D≦200)であり、かつ、0.2≦t1/t2
2.0である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力室に満たされ
たインクに圧力を加えて、外部へインクを吐出させるイ
ンクジェットヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より記録液を吐出、飛翔させて記録
を行うインクジェット記録方法が知られているが、この
方法は低騒音で比較的高速印字が可能であること、装置
の小型化やカラー記録が容易であること等数々の利点を
有している。このようなインクジェト記録方法で用いら
れるインクジェットヘッドの形式としては、従来より幾
つかの方式が用いられている。
【0003】例えば、図10及び図11に示すようにキ
ャビティ内部にヒータを設け、このヒータを急速に加熱
することによりインクを沸騰させて泡を形成し、この泡
の発生による圧力変化でインクをノズルから吐出させる
いわゆるバブルジェット方式がある。
【0004】しかしながら、このバブルジェット方式で
は、インクを沸騰させて泡を形成するにはヒータを瞬間
的に1000℃の高温にする必要があり、このためヒー
タの劣化が避けられずヘッドの寿命が短い、という問題
点がある。
【0005】上記問題を解決するための方式として、図
12に示すような、圧電素子の変位により圧力室に圧力
を発生させ、これによりノズルからインクを粒状にして
吐出させる方式が知られている(特開平4−35514
7号公報)。また、図13に示すように、互いに逆の特
性を有する圧電材料を2層構造にして変形させ圧力室に
圧力を発生させ、これによりノズルからインクを粒状に
して吐出させる方式が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術には以下のような問題点がある。
【0007】図12に示すような方式では、バルク体の
圧電素子を用いているため機械加工と組み立て作業が必
要で高集積化が困難であり高速印字に適さない、という
問題点がある。
【0008】また、図13に示すような方式では、圧力
発生器が脆性材料である圧電材料だけの構造であるの
で、疲労破壊しやすくヘッドの寿命が短い、という問題
点がある。
【0009】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであって、集積度が高く高速印字が可能で、か
つ、寿命の長いインクジェットヘッド及びその製造方法
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載のインク
ジェットヘッドは、インクの充填された圧力室と、圧力
室内に配置され圧電性部材の変位により変形するダイヤ
フラムと、圧力室内からインクを吐出させる吐出口を有
し、ダイヤフラムの変形により、吐出口からインクを吐
出させるインクジェットヘッドにおいて、ダイヤフラム
は、圧電性部材と弾性部材が積層されて形成されてお
り、弾性部材のヤング率Y1が150GPa≦Y1≦25
0GPa、圧電性部材のヤング率Y2が30GPa≦Y2
≦170GPaであり、ダイヤフラムの半径をr
(m),弾性部材の厚さをt1(m),圧電性部材の厚
さをt2(m)としたときに、t1=D・πr2(20≦
D≦200)であり、かつ、0.2≦t1/t2≦2.0
であるものである。
【0011】請求項2に記載のインクジェットヘッド
は、インクの充填された圧力室と、圧力室内に配置され
圧電性部材の変位により変形するダイヤフラムと、圧力
室内からインクを吐出させる吐出口を有し、ダイヤフラ
ムの変形により、吐出口からインクを吐出させるインク
ジェットヘッドにおいて、ダイヤフラムが、電圧の印加
により厚さ方向に伸び長手方向に縮むよう設定された第
1の圧電性部材と、延性弾性部材と、電圧の印加により
厚さ方向に縮み長手方向に伸びるよう設定された第2の
圧電性部材と、が積層されたものである。
【0012】請求項3に記載のインクジェットヘッド
は、請求項1また請求項2に記載のインクジェットヘッ
ドの製造方法であって、圧電性部材を水熱法により積層
形成するものである。
【0013】請求項4に記載のインクジェットヘッドの
製造方法は、請求項1に記載のインクジェットヘッドの
製造方法であって、基板の表面上に、弾性部材を形成す
る工程と、弾性部材の上に所定のパターンを持つチタン
薄膜を成膜する工程と、水熱法によりチタン薄膜の上に
のみ圧電性部材を成膜する工程と、圧電性部材の上に第
1の絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜の上に所定のパタ
ーンを持つの電極層を形成する工程と、電極層上に第2
の絶縁膜を形成する工程と、基板の裏面をダイヤフラム
に対応する形状にエッチングする工程と、基板に、吐出
口を有し、圧力室を構成するノズルプレートを接合する
工程と、を有するものである。
【0014】請求項5に記載のインクジェットヘッドの
製造方法は、請求項2に記載のインクジェットヘッドの
製造方法であって、延性弾性部材からなる基板の表裏両
面上に所定のパターンを持つチタン薄膜を成膜する工程
と、水熱法により両面のチタン薄膜の上にのみ圧電性部
材を成膜する工程と、両面の圧電性部材の上に第1の絶
縁膜を形成する工程と、両面の第1の絶縁膜の上に所定
のパターンを持つ電極層を形成する工程と、両面の電極
層上に第2の絶縁膜を形成する工程と、基板に、吐出口
を有し、圧力室を構成するノズルプレートを接合する工
程と、を有するものである。
【0015】以下、本発明の作用を説明する。
【0016】請求項1に記載のインクジェットヘッドで
は、ダイヤフラムの半径と圧電性部材の厚さ及び弾性部
材の厚さが適当に設定されているため、インクの吐出速
度が速い。また、薄膜構造とすることにより、小型化を
図る事ができ、高集積化を実現できる。
【0017】請求項2に記載のインクジェットヘッドで
は、互いに逆の特性を有する2層の圧電性部材を有して
いるため、更にインク吐出速度を高速にすることができ
る。また、延性弾性部材を有しているため、疲労破壊に
強く、インクジェットヘッドの高寿命化を実現できる。
【0018】請求項3に記載の製造方法では、圧電性部
材を水熱法により成膜するため、製造工程を低温化する
ことができ、素子に与えるダメージを軽減できるととも
に、圧電素子のパターニンングと分極処理を省略できる
ため、工程数の削減とコストダウンを実現できる。
【0019】請求項4に記載の製造方法によれば、請求
項1に記載のインクジェットヘッドをほぼ半導体プロセ
スのみで製造できるため、集積度の高いインクジェット
ヘッドを高精度に製造することが可能となる。
【0020】請求項5に記載の製造方法によれば、請求
項2に記載のインクジェットヘッドをほぼ半導体プロセ
スのみで製造できるため、集積度の高いインクジェット
ヘッドを高精度に製造することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
インクジェットヘッドおよびその製造方法を実施例によ
り詳細に説明する。
【0022】(第1の実施の形態)図1および図2は、
本発明の第1の実施の形態のインクジェットヘッドの構
成を示す主要断面図であり、図1は待機状態にある場合
のインクジェットヘッドの状態を示し、図2は記録状態
にあるインクジェットヘッドの状態を示している。ま
た、図3は図1の平面図である。
【0023】本実施の形態のインクジェットヘッド1
は、圧力発生部材であるダイヤフラム2、基板3、ダイ
ヤフラム2を構成する弾性部材4,チタン薄膜5,圧電
性部材6,第1の絶縁膜7,上部電極膜8,第2の絶縁
膜9、及び、ノズルプレート10、ノズル11、インク
供給口12、圧電素子駆動電極13a,13b、圧電素
子駆動電源14より構成される。
【0024】ダイヤフラム2は、周囲を基板3により固
定されている。さらに、基板3には、インクを供給する
ためのインク供給口12が形成されている。圧力室15
は、ダイヤフラム2とノズルプレート10で形成されて
おり、その圧力室15はインク16で満たされている。
【0025】圧電性部材6の表裏両面には第1の絶縁膜
7を介して上部電極8、下部電極を兼ねるチタン薄膜5
が形成されており、上部電極8の一端は圧電素子駆動電
極13aと接続され、チタン薄膜5と導通がある弾性部
材4の一端は圧電素子駆動電極13bと接続されてい
る。電極13aには電源14により電圧が印加可能であ
る。電極13bは接地状態とされている。
【0026】これらのインクジェットヘッド1は図3に
示すように、平面上に複数配置されている。
【0027】なお、図1において、t1は弾性部材4の
厚さを、t2は圧電性部材6の厚さを、rはダイヤフラ
ム2の半径をそれぞれ示している。
【0028】次に、図1および図2を用いて本発明のイ
ンクジェットヘッドの動作について説明する。まず、図
1のごとくインクの供給口12を通じてインク16が供
給され、圧力室15はインク16に浸された状態とな
る。また、圧電性部材6は予め矢印方向に分極されてい
る。
【0029】この後、図2に示すように電極13aに電
源14により電圧を印加する。圧電性部材6の分極方向
と電界方向が同じなので、圧電性部材6は厚さ方向に伸
び、長手方向(半径方向)に縮もうとする。このときダ
イヤフラム2は主に弾性部材4と圧電性部材6の2層構
造なので、ダイヤフラム2は図2における点線で示すよ
うにノズルプレート10の方向へ変形をする。このた
め、圧力室15のインク16の圧力が上昇し、インク1
6がノズル11を通じて外部へ押し出され、インクジェ
ットヘッド1の外部にインク滴が形成され吐出する。こ
のインク滴の吐出によりプリント面への印字が行われ
る。
【0030】次に、電極13a,13bの電圧印加を断
つと、ダイヤフラム2は図1の待機状態に戻る。
【0031】図4及び図5は、このインクジェットヘッ
ドのインク滴の吐出速度を、吐出速度計算プログラムで
計算した結果を示す図である。ここで、弾性部材4はニ
ッケル(ヤング率:210GPa)とし、圧電性部材6
はPZT(ヤング率:50GPa)とした。図4はダイ
ヤフラム2の半径rが250μm、圧電性部材6の厚さ
2が10〜40μmの場合の弾性部材4の厚さt1と圧
電性部材6の厚さt2の比t1/t2に対する吐出速度の
変化を示したものである。同様に図5はr=200μ
m、t2=10〜30μmの場合である。尚、ここでは
電界強度(圧電性部材の単位厚さ当たりの電圧)を3V
/μmで行ったが、電界強度はこれに限定されるもので
はない。また、吐出速度と電界強度はほぼ比例の関係に
ある。
【0032】図4,図5に示したように、ダイヤフラム
2の半径r(m)と弾性部材4の厚さt1(m)の関係
が、t1=D・πr2(20≦D≦200)であり、圧電
性部材6の厚さt2(m)と弾性部材4の厚さt1(m)
の関係が、0.2≦t1/t2≦2.0の場合に、吐出速
度は1m/s以上であり、良好な吐出特性が得られた。
【0033】特に、ダイヤフラム2の半径がr=250
μmの場合、弾性部材4の厚さt1が15μm(D=8
0),圧電性部材6の厚さt2=30μm(t1/t2
0.5)の構造において、8.5m/sの吐出速度が得
られた。
【0034】また、ダイヤフラム2の半径がr=200
μmの場合、弾性部材4の厚さt1が10μm(D=8
0),圧電性部材6の厚さt2=20μm(t1/t2
0.5)の構造において、5.3m/sの吐出速度が得
られた。この吐出速度は、r=250μmの場合より小
さいが、その場合より集積度が向上する。
【0035】尚、上記結果は、弾性部材4のヤング率Y
1が150GPa≦Y1≦250GPa、圧電性部材6の
ヤング率Y2が30GPa≦Y2≦170GPa範囲内で
あれば、略々同様の傾向を示した。
【0036】圧電性部材6は、圧電定数の大きな材料で
あればどんな材料で構成しても構わないが、特にPZT
(チタン酸ジルコン酸鉛)の場合は、圧電定数が大きく
良好なインクの吐出特性を示す。圧電性部材6の成膜方
法としては、例えば、基板3にチタン薄膜5を成膜し、
これをTi4+,Pb2+,Zr4+イオンの入った水酸化カ
リウム溶液中に浸漬し、温度150℃の飽和蒸気圧に設
定したオートクレーブの中に放置すると、チタン薄膜5
の表面にPZTが析出し成長する、いわゆる水熱法によ
り成膜することができる。このときPZTは、予め圧電
性部材の形状にパターニングしたチタン薄膜5の上のみ
に成長するので、PZTの成膜後のパターニングは不要
である。また、結晶方向は厚さ方向に揃い、さらに基板
方向に分極されるので、結晶化のための熱処理および分
極処理は不要である。このため、素子へのダメージを軽
減できるとともに、むだを省けてコスト低減に貢献でき
る。
【0037】また、圧電性部材6はスパッター法、ゾル
ゲル法、CVD法等の簡便な方法で成膜することもでき
る。
【0038】弾性部材4はチタン薄膜5と導通が取れ、
かつ、弾性率が高いニッケル等の金属材料で構成する。
弾性部材4の成膜方法としては、例えば、スルファミン
酸ニッケル浴によるニッケルの電界メッキを用いること
ができる。
【0039】ノズルプレート10は、厚さ0.2mmあ
るいはそれ以下のガラス、プラスチックシート、あるい
はニッケル等の金属材料により構成されている。ノズル
プレート10にはノズルプレート10を貫通し、かつ、
一定方向に配列された複数個のノズル11が円錐状また
は漏斗状に形成されている。あるいはノズルプレート1
0には圧力室15あるいはインクの供給口12を形成し
ている。
【0040】次に、このインクジェットヘッドの製造方
法の一例について、図8を用いて、工程順に説明する。
【0041】まず、図8(a)に示すように、厚さ20
0μmのポリイミド基板100の表面に、厚さ0.01
μmのタンタル及び厚さ0.1μmのニッケルをスパッ
ター法で成膜し(図示しない)、これを電極にして電解
メッキ法により所定の厚さ(例えば15μm)のニッケ
ルメッキ110を行う。電解メッキには、例えば、スル
ファミン酸ニッケル浴によるニッケルメッキを用いるこ
とができる。タンタルは、ポリイミド基板100とニッ
ケルの密着力を上げるために成膜する。
【0042】次に、図8(b)に示すように、表面に厚
さ1μmのチタン120をスパッタ法で成膜し、この上
にフォトレジストを塗布し(図示しない)、形成すべき
圧電性部材の形状に対応したパターニングをイオンミリ
ング等の方法で行う。この状態のシリコン基板100
を、Ti4+,Pb2+,Zr4+イオンの入った水酸化カリ
ウム溶液中に浸漬し、温度150℃の飽和蒸気圧に設定
したオートクレーブの中に放置する。このいわゆる水熱
法により、チタン120の表面にPZT130が析出し
所定の厚さ(例えば30μm)に成長する。PZT13
0は、予め圧電素子の形状にパターニングしたチタン1
20の上のみに成長するので、PZT130の成膜後の
パターニングは不要である。またPZTの厚さは浸漬時
間で制御することができる。
【0043】次に、図8(c)に示すように、表面に例
えば厚さ0.5μmの二酸化シリコン140をスパッタ
法で成膜し、この上にフォトレジストを塗布し(図示し
ない)、形成すべき圧電素子駆動電極13b(図1参
照)の形状に対応したパターニングをRIE(反応性イ
オンエッチング)等の方法で行う。
【0044】次に、図8(d)に示すように、表面に例
えば厚さ0.2μmのニッケル150をスパッタ法で成
膜し、この上にフォトレジストを塗布し(図示しな
い)、形成すべき上部電極膜8(図1参照)の形状に対
応したパターニングをイオンミリング等の方法で行う。
次に、表面に例えば厚さ0.5μmの二酸化シリコン1
60をスパッタ法で成膜し、この上にフォトレジストを
塗布し(図示しない)、形成すべき圧電素子駆動電極1
3a(図1参照)の形状に対応したパターニングをRI
E(反応性イオンエッチング)等の方法で行う。
【0045】次に、図8(e)に示すように、この状態
のポリイミド基板100の裏面をダイヤフラム1(図1
参照)の形状に対応したメタルマスクあるいはフォトレ
ジストでマスクし、エキシマレーザーでエッチングす
る。エッチングは、ニッケルとポリイミドのエッチング
の選択性によりニッケルでストップする。これで圧力発
生器が完成する。
【0046】最後に、図8(f)に示すように、ノズ
ル、圧力室及びインク供給口を形成したノズルプレート
170を接合してインクジェットヘッドが完成する。
【0047】このようなインクジェットヘッドの製造方
法では、ほぼ薄膜形成法のみでインクジェットヘッドを
製造できるため、機械加工や組み立て作業が必要なく、
集積度の高いインクジェットヘッドを高精度に製造する
ことが可能となる。
【0048】(第2の実施の形態)図6および図7は、
本発明の第2の実施の形態のインクジェットヘッドの構
成を示す主要断面図である。図6は、待機状態にある場
合のインクジェットヘッドの状態を示し、図7は、記録
状態にあるインクジェットヘッドの状態を示している。
ここで、図1,図2と同一部分には同一符号を付してい
る。
【0049】本実施の形態のインクジェットヘッド1
は、圧力発生部材であるダイヤフラム2、及び、ノズル
プレート10,ノズル11,インク供給口12,圧電素
子駆動電極13a,13b,圧電素子駆動電源14によ
り構成される。
【0050】ダイヤフラム2は、延性弾性部材18を中
心に対称の構造になっており、その両面にチタン薄膜
5,圧電性部材6,下部圧電性部材17,第1の絶縁膜
7,上部電極膜8,第2の絶縁膜9が形成された構成と
なっている。圧電性部材6,下部圧電性部材17は予め
矢印方向に分極されている。このダイヤフラム2の構造
以外は第1の実施の形態と同じである。
【0051】ただし、両方の圧電素子駆動電極13aは
いずれも電源14により電圧が印加可能である。電極1
3bは接地状態とされている。
【0052】次に、図6および図7を用いて本発明のイ
ンクジェットヘッドの動作について説明する。図7に示
すように電極13aに電源14により電圧を印加する
と、圧電性部材6の分極方向と電界方向が同じなので、
圧電性部材6は厚さ方向に伸び、長手方向(半径方向)
に縮もうとする。また、下部圧電性部材17の分極方向
と電界方向は異なるので、下部圧電性部材17は厚さ方
向に縮み、長手方向(半径方向)に伸びようとする。し
たがって、ダイヤフラム2は図5における点線で示すよ
うに、ノズルプレート10の方向へ変形をする。このた
め、圧力室のインク16の圧力が上昇し、インク16が
ノズル11を通じて外部へ押し出され、インクジェット
ヘッド1の外部にインク滴が形成され吐出する。このイ
ンク滴の吐出によりプリント面への印字が行われる。
【0053】次に、電極13a,13bの電圧印可を断
つと、ダイヤフラム2は図6の待機状態に戻る。
【0054】第1の実施の形態と比較すると、下部圧電
性部材17も伸縮に寄与するため、同じ電界強度の場
合、第2の実施の形態のほうが吐出速度が速くなり、同
じ吐出速度の場合、高集積化が可能である。
【0055】圧電性部材6,下部圧電性部材17は、水
熱法で成膜することができる。このとき、延性弾性部材
18の両面に、チタン薄膜5を成膜しているので、チタ
ン薄膜5の両面に一括して、圧電性部材6及び下部圧電
性部材17を成膜することができる。圧電性部材6及び
下部圧電性部材17は、いずれも延性弾性部材18の方
向に分極しているので、下部圧電性部材17のみ成膜後
に分極方向を反転する処理が必要である。
【0056】延性弾性部材18は、チタン薄膜5と導通
が取れ、かつ、弾性率が高いニッケル等の金属材料で構
成する。
【0057】また、ダイヤフラム2は、脆性材料である
PZTだけでなくニッケル等の延性材料を挟んだ積層構
造になっているので、疲労破壊に強くヘッドの寿命が長
くなる。
【0058】次に、このインクジェットヘッドの製造方
法の一例について、図9を用いて工程順に説明する。こ
こで、図8と同一部分については同一符号を付してい
る。
【0059】まず、図9(a)に示すように、厚さ20
μmのニッケル基板200の表裏両面に、厚さ1μmの
チタン120をスパッタ法で成膜し、この上にフォトレ
ジストを塗布し(図示しない)、形成すべき圧電性部材
の形状に対応したパターニングをイオンミリング等の方
法で行う。
【0060】次に、図9(b)に示すように、この状態
のニッケル基板200を、前記の水熱処理をし、両面の
チタン120の表面に所定の厚さ(例えば30μm)の
PZTを成膜する。PZT130は、予め圧電素子の形
状にパターニングしたチタン120の上のみに成長する
ので、PZT130の成膜後のパターニングは不要であ
る。
【0061】次に、図9(c)に示すように、両面の表
面に例えば厚さ0.5μmの二酸化シリコン140をス
パッタ法で成膜し、この上にフォトレジストを塗布し
(図示しない)、形成すべき圧電素子駆動電極13b
(図6参照)の形状に対応したパターニングをRIE
(反応性イオンエッチング)等の方法で行う。
【0062】次に図9(d)に示すように、両面の表面
に例えば厚さ0.2μmのニッケル150をスパッタ法
で成膜し、この上にフォトレジストを塗布し(図示しな
い)、形成すべき上部電極膜8(図6参照)の形状に対
応したパターニングをイオンミリング等の方法で行う。
【0063】次に、図9(e)に示すように、両面の表
面に例えば厚さ0.5μmの二酸化シリコン160をス
パッタ法で成膜し、この上にフォトレジストを塗布し
(図示しない)、形成すべき圧電素子駆動電極13a
(図6参照)の形状に対応したパターニングをRIE
(反応性イオンエッチング)等の方法で行う。これで圧
力発生器が完成する。
【0064】最後に、図9(f)に示すように、ノズ
ル、圧力室及びインク供給口を形成したノズルプレート
170を接合してインクジェットヘッドが完成する。
【0065】このような製造方法によれば、機械加工や
精密な組み立て作業が必要なく、ほぼ薄膜形成法のみで
インクジェットヘッドの製造が行えるため、高集積度の
インクジェットヘッドを高精度に製造することが可能と
なる。
【0066】
【発明の効果】本発明のインクジェットヘッドは、薄膜
型の圧電性部材と弾性部材とを用いているため、厚み寸
法や外形寸法において大幅な小型化が可能となる。これ
により、インクジェットヘッドの高密度化が可能とな
り、繊細かつ高速の印字が可能となる。しかも、従来の
バブルジェットに比べて長寿命となる。
【0067】特に、ダイヤフラムの半径、弾性部材、圧
電性部材の寸法を最適化することにより、さらに高密度
化が可能となり、繊細かつ高速の印字が可能となる。
【0068】また、薄膜型の圧電性部材、延性弾性部
材、薄膜型の圧電性部材の3層構造とすることにより、
インクの吐出速度を大きくし、さらに高密度化が可能と
なり、繊細かつ高速の印字が可能となる。また、圧電性
部材だけでなくニッケル等の延性材料を挟んだ積層構造
になっているので、疲労破壊に強くヘッドの寿命が長く
なる。
【0069】また、本発明の製造方法では、半導体プロ
セスにより製造するので、従来のような煩雑な機械加工
と組み立て作業を省略できるようになり、低コスト化が
可能となる。しかも、圧電性部材を水熱法により成膜し
ているので、圧電性部材の成膜温度が低く、素子へのダ
メージを軽減できるとともに、圧電素子のパターニング
と分極処理を省略できるようになる等、むだを省けてコ
スト低減に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のインクジェットヘッドの待
機中の状態を示す主要断面図である。
【図2】第1の実施の形態のインクジェットヘッドの記
録時の状態を示す主要断面図である。
【図3】第1の実施の形態のインクジェットヘッドの平
面図である。
【図4】第1の実施の形態のインクジェットヘッドのイ
ンク滴の吐出速度の計算結果(r=250μm)を示す
図である。
【図5】第1の実施の形態のインクジェットヘッドのイ
ンク滴の吐出速度の計算結果(r=200μm)を示す
図である。
【図6】第2の実施の形態のインクジェットヘッドの待
機中の状態を示す主要断面図である。
【図7】第2の実施の形態2のインクジェットヘッドの
記録時の状態を示す主要断面図である。
【図8】図1のインクジェットヘッドの製造方法の一例
を説明する工程図である。
【図9】図2のインクジェットヘッドの製造方法の一例
を説明する工程図である。
【図10】従来のインクジェットヘッドの構造を表す図
である。
【図11】従来のインクジェットヘッドの記録原理を説
明する図である。
【図12】従来の他のインクジェットヘッドの構造を表
す図である。
【図13】従来の更に他のインクジェットヘッドの構造
を表す図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 ダイヤフラム 3 基板 4 弾性部材 5 チタン薄膜 6 圧電性部材 7 第1の絶縁膜 8 上部電極膜 9 第2の絶縁膜 10 ノズルプレート 11 ノズル11 12 インク供給口 13a,13b 圧電素子駆動電極 14 圧電素子駆動電源 15 圧力室 16 インク 17 下部圧電性部材 18 延性弾性部材
フロントページの続き (72)発明者 阿部 新吾 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 乾 哲也 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクの充填された圧力室と、該圧力室
    内に配置され圧電性部材の変位により変形するダイヤフ
    ラムと、前記圧力室内からインクを吐出させる吐出口を
    有し、前記ダイヤフラムの変形により、前記吐出口から
    インクを吐出させるインクジェットヘッドにおいて、 前記ダイヤフラムは、前記圧電性部材と弾性部材が積層
    されて形成されており、 前記弾性部材のヤング率Y1が150GPa≦Y1≦25
    0GPa、前記圧電性部材のヤング率Y2が30GPa
    ≦Y2≦170GPaであり、 前記ダイヤフラムの半径をr(m),前記弾性部材の厚
    さをt1(m),前記圧電性部材の厚さをt2(m)とし
    たときに、t1=D・πr2(20≦D≦200)であ
    り、かつ、0.2≦t1/t2≦2.0であることを特徴
    とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 インクの充填された圧力室と、該圧力室
    内に配置され圧電性部材の変位により変形するダイヤフ
    ラムと、前記圧力室内からインクを吐出させる吐出口を
    有し、前記ダイヤフラムの変形により、前記吐出口から
    インクを吐出させるインクジェットヘッドにおいて、 前記ダイヤフラムは、 電圧の印加により厚さ方向に伸び長手方向に縮むよう設
    定された第1の圧電性部材と、延性弾性部材と、電圧の
    印加により厚さ方向に縮み長手方向に伸びるよう設定さ
    れた第2の圧電性部材と、が積層されたものであること
    を特徴とするインクジェットヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1また請求項2に記載のインクジ
    ェットヘッドの製造方法であって、 前記圧電性部材を水熱法により積層形成することを特徴
    とするインクジェットヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    の製造方法であって、 基板の表面上に、前記弾性部材を形成する工程と、 前記弾性部材の上に所定のパターンを持つチタン薄膜を
    成膜する工程と、 水熱法により前記チタン薄膜の上にのみ前記圧電性部材
    を成膜する工程と、 前記圧電性部材の上に第1の絶縁膜を形成する工程と、 前記絶縁膜の上に所定のパターンを持つの電極層を形成
    する工程と、 前記電極層上に第2の絶縁膜を形成する工程と、 前記基板の裏面を前記ダイヤフラムに対応する形状にエ
    ッチングする工程と、 前記基板に、前記吐出口を有し前記圧力室を構成するノ
    ズルプレートを接合する工程と、を有することを特徴と
    するインクジェットヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載のインクジェットヘッド
    の製造方法であって、 延性弾性部材からなる基板の表裏両面上に所定のパター
    ンを持つチタン薄膜を成膜する工程と、 水熱法により前記両面のチタン薄膜の上にのみ圧電性部
    材を成膜する工程と、 前記両面の圧電性部材の上に第1の絶縁膜を形成する工
    程と、 前記両面の第1の絶縁膜の上に所定のパターンを持つ電
    極層を形成する工程と、 前記両面の電極層上に第2の絶縁膜を形成する工程と、 前記基板に、前記吐出口を有し前記圧力室を構成するノ
    ズルプレートを接合する工程と、を有することを特徴と
    するインクジェットヘッドの製造方法。
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