JPH09283263A - Ptc素子の製造方法 - Google Patents

Ptc素子の製造方法

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JPH09283263A
JPH09283263A JP9657296A JP9657296A JPH09283263A JP H09283263 A JPH09283263 A JP H09283263A JP 9657296 A JP9657296 A JP 9657296A JP 9657296 A JP9657296 A JP 9657296A JP H09283263 A JPH09283263 A JP H09283263A
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JP
Japan
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ptc element
ptc
temperature
voltage
resin
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JP9657296A
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English (en)
Inventor
Shoichi Sugaya
昭一 菅谷
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Daito Tsushinki KK
Original Assignee
Daito Tsushinki KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大掛かりな装置を用いることなく短時間で簡
便にできるPTC素子の製造方法を提供する。 【解決手段】 PTC素子1に直流電源9から電圧を印
加し、PTC素子1がある一定の温度になるまではPT
C素子1の抵抗値はほとんど変化しないため、PTC素
子1の発熱量は電圧の増大にほぼ比例して上昇する。P
TC素子1の温度がPTC特性が発現する温度領域に達
すると、印加する電圧を上昇させてもPTC素子1の抵
抗値の上昇により電流は減少する。PTC素子1の発熱
量はほぼ一定になりPTC素子1は温度をほぼ一定に保
ち、PTC素子1の発熱した表面にコーティング材料を
融着してコーティングさせる。PTC素子1を粉体エポ
キシ樹脂12中にまぶすことで、PTC素子1の表面に粉
体樹脂をコーティングする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PTC(Positive
Temperature Coefficient)素子をコーティングするP
TC素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、特定の温度範囲で急峻に抵抗値
の上昇するPTC素子は広く知られており、過電流保護
素子、温度補償用抵抗体、温度センサあるいはヒータな
どに応用されている。
【0003】また、このPTC素子は、チタン酸バリウ
ム半導体などを用いたセラミック系と、高分子物質に導
電性粒子を分散させたポリマー系とに大別され、電気部
品として用いる場合、このPTC素子の周囲に絶縁性を
持たせたり、使用における信頼性を向上させるなどの目
的で、絶縁性の樹脂でコーティングを施すことが一般に
行なわれている。
【0004】また、このコーティングの方法やコーティ
ング材料の選定については、たとえば特公平1−510
41号公報に記載の方法が知られている。
【0005】この特公平1−51041号公報に記載の
方法は、溶剤に分散させたコーティング材料となるたと
えばエポキシ樹脂のペーストにPTC素子をディップ
し、このディップの後に加熱し、コーティングするもの
である。
【0006】ところが、このディップによる方法では、
ペーストの粘度管理などが煩雑である。また、ディップ
は通常何回か繰り返して行なわなければならないが、繰
り返して行なう間に溶剤を乾燥させる工程を入れる必要
があるので、工程に要する時間が長くなりがちである。
また、溶剤を使う方法は、環境の点から考えると必ずし
も好ましくない。
【0007】そして、このディップ方式の問題を解消す
る方法としては、流動性を有する粉体樹脂中に加熱した
PTC素子を入れ、たとえば空気を送り込みながら振動
を与えて、PTC素子の残留熱で粉体樹脂を溶融させ、
PTC素子の周りに粉体樹脂をまぶす流動浸漬法が知ら
れている。
【0008】また、この方法でのPTC素子を加熱する
方法としては、熱風による方法、赤外線を照射する方法
などが知られているが、これらの場合、装置が大掛かり
なものになる。
【0009】さらに、PTC素子が非常に小さく、その
熱容量が非常に小さい場合には、加熱してから粉体樹脂
に浸漬するまでの間にPTC素子の温度が下がってしま
い、粉体を適切にコーティングできなくなることがあ
る。この場合、予熱温度を高くすることで、PTC素子
を粉体樹脂中に入れた時にも十分な温度を保つこともで
きるが、PTC素子が熱劣化し、性能が低下するおそれ
がある。
【0010】また、これらの加熱方法では、特にPTC
素子が大きい場合にPTC素子の表面温度を均一にする
ことが難しく、従ってコーティング層の厚さが不均一に
なりがちである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、特公平
1−51041号公報に記載のディップによる方法で
は、ペーストの粘度管理などが煩雑であるとともに、工
程に要する時間が長くなる。
【0012】また、流動浸漬法では、装置が大掛かりな
ものになる問題を有している。
【0013】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、大掛かりな装置を用いることなく短時間で簡便にで
きるPTC素子の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のPTC素
子の製造方法は、PTC素子に電圧を印加してこのPT
C素子を発熱させ、この発熱により前記PTC素子の表
面にコーティング材料をコーティングさせるもので、P
TC素子がある一定の温度になるまでは発熱量は上昇
し、PTC素子の温度がPTC特性が発現する温度領域
に達すると、印加する電圧を上昇させても、PTC素子
の抵抗値の上昇により電流は減少し、PTC素子の発熱
量はほぼ一定になり、PTC素子の温度もほぼ一定に保
たれ、PTC素子の発熱した表面によってコーティング
材料をコーティングさせる。
【0015】請求項2記載のPTC素子の製造方法は、
請求項1記載のPTC素子の製造方法において、印加す
る電圧は、電圧が変化するとPTC素子の抵抗値が大き
く変化することによって前記PTC素子の電力が一定と
なり、前記PTC素子の温度が一定となる電圧の範囲に
あるもので、印加する電圧が増加すると、PTC素子の
温度が上昇し、PTC素子の温度がPTC特性が発現す
る温度領域に達すると、電圧を上昇させてもPTC素子
の抵抗値が大きく上昇することにより、電流は減少し、
PTC素子の発熱量はほぼ一定になり、PTC素子の温
度もほぼ一定に保たれ、PTC素子の温度がほぼ一定に
保たれて、コーティング材料を安定してコーティングす
る。
【0016】請求項3記載のPTC素子の製造方法は、
請求項1記載のPTC素子の製造方法において、コーテ
ィング材料は、発熱したPTC素子の素子温度以下で融
解する粉体樹脂を有し、前記コーティング材料を前記P
TC素子の表面に融着させてコーティング層を形成させ
るもので、PTC素子が発熱した状態で粉体樹脂が融解
し、PTC素子の表面をコーティングする。
【0017】請求項4記載のPTC素子の製造方法は、
請求項1ないし3いずれか記載のPTC素子の製造方法
において、結晶性高分子物質および導電性粒子を含むポ
リマー系PTC組成体であるもので、通常使用されてい
るPTC素子を使用できる。
【0018】請求項5記載のPTC素子の製造方法は、
請求項1または3記載のPTC素子の製造方法におい
て、コーティング材料は、粉体エポキシ樹脂であるもの
で、PTC素子の発熱温度以下で融解する。
【0019】請求項6記載のPTC素子の製造方法は、
請求項1および3ないし5いずれか記載のPTC素子の
製造方法において、コーティング材料は、粉体ポリエチ
レン樹脂であるもので、PTC素子の発熱温度以下で融
解する。
【0020】請求項7記載のPTC素子の製造方法は、
請求項1ないし6いずれか記載のPTC素子の製造方法
において、コーティングされたPTC素子に後加熱をす
るもので、たとえば熱硬化性樹脂のコーティング材料を
使用すれば後加熱により熱硬化性樹脂が硬化し、熱可塑
性樹脂のコーティング材料を使用すれば後加熱により熱
可塑性樹脂が可塑化して滑らかになる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明のPTC素子の製造
方法を図面を参照して説明する。
【0022】まず、コーティング装置を図1を参照して
説明する。
【0023】PTC素子1は、PTC組成体2の表裏面
にそれぞれ電極3,3が取り付けられて形成されてい
る。そして、それぞれの電極3,3には端子4,4が接
続されており、これら端子4,4のPTC素子1とは反
対側には絶縁性を有するスペーサ5が配設され、このス
ペーサ5により端子4,4間の短絡を防止し、端子4,
4間の絶縁を確実にしている。
【0024】そして、端子4,4はクリップ6の挟持お
よび電力供給用の互いに絶縁された2つの導体7,7に
より電気的に接続されるとともに、挟持して保持され、
これら導体7,7は導線8,8を介して直流電源9につ
ながれている。
【0025】また、上方が開口した容器11内にはコーテ
ィング材料としての粉体樹脂である粉体エポキシ樹脂12
が収容され、図示しないバイブレータで振動を与えられ
るとともに、図示しない送風手段で空気が送り込まれる
ことで粉体エポキシ樹脂12を流動状態にしている。
【0026】次に、上記実施の形態の動作について説明
する。
【0027】まず、PTC素子1に直流電源9から電圧
を印加することでPTC素子1を発熱させる。この状態
で、PTC素子1を中にまぶすことで、PTC素子1の
表面に粉体樹脂をコーティングができる。
【0028】すなわち、PTC素子1に電圧を印加する
場合、PTC素子1がある一定の温度になるまではPT
C素子1の抵抗値はほとんど変化しないため、PTC素
子1の発熱量は電圧の増大にほぼ比例して上昇する。そ
して、PTC素子1の温度がPTC特性が発現する温度
領域に達すると、印加する電圧を上昇させても、PTC
素子1の抵抗値の上昇により電流は減少し、PTC素子
1の発熱量はほぼ一定になり、PTC素子1の温度もほ
ぼ一定に保たれ、PTC素子1の発熱した表面によって
コーティング材料を融着してコーティングさせる。
【0029】なお、このコーティングの際には、粉体エ
ポキシ樹脂12はバイブレータで振動させたり、空気を吸
い込むなどして流動状態にしておくことが好ましい。
【0030】また、直流電源9により印加する電圧は、
PTC素子1のPTC特性の発現により、温度が一定と
なる電圧範囲とすることが好ましいが、それ以下の電圧
範囲も可能である。なお、上記実施の形態では、直流電
源9により直流電圧を印加しているが、交流電源により
交流を印加してもよい。
【0031】一方、スルーホール部品を製造する工程の
場合は、コーティング工程でPTC素子にループ状の端
子を取り付けた状態で行なうことが多いが、上述のよう
に、両端子間に電圧を印加できない。そこで、このルー
プ状の端子に対して垂直方向に高周波を加えることで誘
導電流を流し、PTC素子を発熱させることも可能であ
る。
【0032】さらに、コーティング材料としてエポキシ
などの熱硬化性樹脂を選択した場合は、後加熱を行なう
ことによりコーティング樹脂を硬化できる。一方、熱可
塑性樹脂の場合は、後加熱を行なうことにより滑らかな
コーティング層を得ることができる。なお、この後加熱
は、恒温槽に放置する方法、あるいは、電圧を加えたP
TC素子自体の発熱を利用する方法でも良い。そして、
これらの恒温槽に放置する加熱および自己発熱を利用す
る方法は互いに組み合わせて使用することもできる。
【0033】また、コーティング材料である粉体樹脂
は、PTC素子1の発熱温度以下で融解するものである
ならば、たとえばエポキシあるいはフェノールなどの熱
硬化性樹脂や、ポリオレフィンあるいはアクリル樹脂な
どの熱可塑性樹脂など任意のものを使用できる。
【0034】さらに、ポリマー系のPTC素子1を用い
て説明したが、セラミック系のPTC素子にもこの方法
を用いることができる。
【0035】
【実施例】次に、上記実施の形態を用いた第1の実施例
について説明する。
【0036】まず、PTC素子1のPTC組成体2は、
導電性粒子としてのカーボンブラック(商品名:サーマ
ックスN−990ウルトラピュア、Cancard Limited 社
製)と結晶性高分子としての高密度ポリエチレン(商品
名:Hi−Zex3000B、三井石油化学工業株式会
社製、融点は132℃)とを加熱したロールミル上で混
練して、ポリマー系PTC組成体とする。なお、カーボ
ンブラックとポリエチレンとの配合重量比は200:1
00である。また、混練の際に、有機過酸化物(商品名
パーヘキシン25B−40、日本油脂株式会社製 2,5-
Dimethyl-2,5-di(t-buthylperoxy)hexyne-3 )を重量比
で1.25添加している。さらに、カーボンブラックは
加熱混練の前に、1000℃の窒素雰囲気下に約20時
間放置する処理を行なっている。そして、このポリマー
系のPTC組成体2を冷却した後、小さい角板状に粉砕
して成形材料とした。
【0037】さらに、この成形材料の表裏面に金属箔の
電極3を配置し、コンプレッション成形により、表裏面
に電極のついたPTC成形体を形成した。この成形体の
サイズは13mm×13mm×1mmである。成形体に、10
Mradのγ線を照射することで架橋し、網状構造を与え
た。
【0038】この成形体を2mm×1.7mmの長円の断面
をもつポンチで打抜き、PTC素子1を作成した。この
PTC素子1の両電極3,3に、コバール材料を使用し
た端子4,4をパラレルギャップ方式のスポット溶接で
取り付けた後、抵抗値を安定化させるために150℃の
恒温槽中に10分間放置する熱処理を行なった。そし
て、熱処理の後、室温に放置した時のPTC素子1の抵
抗値は約5Ωである。このPTC素子1に徐々に電圧を
印加すると、素子の発熱量が徐々に増加して素子の温度
が上昇し、0.7V辺りから急峻なPTC特性が発現
し、PTC素子1の抵抗値上昇によりPTC素子1を通
過する電流を低下させるようになるので、それ以上に電
圧を上昇させても発熱量はほぼ一定となる。この時のP
TC素子1の内部温度は高蜜度ポリエチレンの融点に対
応した130℃程度になるが、PTC素子1の表面の温
度は100〜120℃に保たれる。
【0039】このPTC素子1の端子4にPTC特性を
発現させるべく3Vの電圧を印加することによってPT
C素子1を発熱させる。なお、直流電源9から3Vの電
圧を印加し続けることによってPTC素子1のPTC特
性によりPTC素子1の表面温度は一定になる。この状
態でPTC素子1を粉体樹脂の粉体エポキシ樹脂12(製
品名:スミライトレジンECP−275DA、住友ベー
クライト株式会社製)に約2秒まぶした後、外に取り出
す。なお、この粉体エポキシ樹脂12は、図1に示すよう
に、容器11をバイブレータで振動を与えるとともに、空
気を下部から吸い込むことで流動状態にさせた。
【0040】そして、取り出したPTC素子1の周りに
は、熱により融着した粉体エポキシ樹脂12がPTC素子
1の表面温度が均一なため一様に付着した状態になって
いた。さらに、電圧を加えたまま、取り出した状態で約
5間秒放置すると、粉体エポキシ樹脂12が相互に融着
し、PTC素子1を覆う均一なコーティングが形成され
た。
【0041】さらに、このPTC素子1を電圧印加した
状態のまま、粉体エポキシ樹脂12にまぶし、取り出す工
程をさらに2回繰返すことでコーティングに厚みを加え
た。
【0042】なお、これら3回のコーティングに要した
時間は、合計でも30秒以下と極めて短い時間であっ
た。
【0043】このコーティングを施したPTC素子1に
ついて150℃の恒温槽中に30分放置することで、コ
ーティングした粉体エポキシ樹脂12を硬化させた。粉体
エポキシ樹脂12の硬化後のPTC素子1の抵抗値は5.
4Ωであった。
【0044】このPTC素子1に32Vの電圧を110
時間印加し続ける信頼性試験を行なったところ、電圧の
印加を止めて30分後の抵抗値は5.4Ωと変化は認め
られなかった。
【0045】次に、第2の実施例について説明する。
【0046】第1の実施例と同様にして作成したPTC
素子1の両電極3,3に、同様にして端子4,4を取り
付け、直流電源9よりこれら端子4,4に3Vの電圧を
印加してPTC素子1を発熱させ、コーティング材料で
ある粉体樹脂の低密度粉体ポリエチレン樹脂(製品名:
フローセンG801、住友精化製。融点は106℃)に
約10秒間まぶし、外に取り出した。この時、粉体ポリ
エチレン樹脂は流動状態にはしなかった。
【0047】そして、取り出したPTC素子1の周りに
は熱により融着した低密度粉体ポリエチレン樹脂が一様
に付着した状態になっていた。さらに、電圧を印加した
まま、取り出した状態で約20秒間放置すると、粉体ポ
リエチレン樹脂が相互に融着して、一体のコーティング
を形成したが、滑らかなコーティング層を形成するまで
は至らなかった。
【0048】このものを150℃の恒温槽に2分間放置
後に取り出すと、コーティング表面がレベリングされ、
滑らかで一様なコーティング層を得ることができた。
【0049】なお、低密度粉体ポリエチレン樹脂のコー
ティングは、従来は350℃〜400℃でPTC素子1
を3分間加熱してから低密度粉体ポリエチレン樹脂にま
ぶす方法で行なわれているが、PTC素子1自体には材
料として高密度ポリエチレンを使用しており、300℃
程度の熱を加えると分解するので、従来の方法では、コ
ーティングの工程において、PTC素子1の性能を劣化
させてしまうが、この実施例のように行なえば性能を劣
化させることはない。
【0050】さらに、第3の実施例について説明する。
【0051】この第3の実施例は、カーボンブラックと
高密度ポリエチレンの重量配合比は200:150とし
た以外は、第1の実施例と同様にして、ポリマー系のP
TC組成体2を形成した。このPTC組成体2を冷却
後、小さい角板状に粉砕して成形材料とした。
【0052】この成形材料の表裏面に金属箔からなる電
極3,3を配置しながら、コンプレッション成形するこ
とにより、表裏面に電極3,3がついたPTC成形体を
形成する。このPTC成形体のサイズは13mm×13mm
×約0.5mmであり、γ線を照射することで架橋し、成
形体に網状構造を与えた。
【0053】この成形品を4mm径の円形の断面をもつポ
ンチで打抜き、PTC素子1を作成した。このPTC素
子1の両電極3,3を、ハンダメッキした導体線に挟み
込み、ハンダディップすることで、その導線にて形成さ
れる端子4,4を取り付けた。この際のハンダの温度は
260℃であり、ディップする時間は1秒程度である。
【0054】そして、このハンダディップ後に室温で3
0分放置したPTC素子1の抵抗値は3Ωであった。
【0055】このPTC素子1に徐々に電圧を印加する
と、1Vあたりから急峻なPTC特性が発現し、PTC
素子1の抵抗値上昇により電流を低下させ、発熱量が一
定になる。この時のPTC素子1の内部温度は高密度ポ
リエチレンの融点に対応した130℃程度になるが、第
1の実施例と同様に、PTC素子1の表面の温度は11
0〜120℃に保たれる。
【0056】そして、このPTC素子1について第1の
実施例と同様にして、粉体エポキシ樹脂をコーティング
した。粉体エポキシ樹脂の硬化は120℃に保った恒温
槽中に1.5時間放置することで行ない、粉体エポキシ
樹脂の硬化後のPTC素子1に抵抗値を安定させるため
に32Vの電圧を10分間印加する電圧エージングを行
なった。この電圧エージング後のPTC素子1の抵抗値
は、2.0Ωであった。
【0057】このPTC素子1に32Vの電圧を225
時間印加し続ける信頼性試験を行なったところ、電圧の
印加を止めて30分後の抵抗値は2.3Ωとほとんど変
化は認められなかった。
【0058】上記第1ないし第3の実施例によれば、P
TC素子1のコーティング方法を用いることにより、3
0秒以下という極めて短い時間で、十分な厚みをもつコ
ーティング層をPTC素子1の周りに形成できる。
【0059】また、コーティングの工程で、PTC素子
1の加熱に必要なものは直流電源9のみであり、従来の
ような大掛かりな装置を必要とせず、従来の方法に比べ
て、大幅な省電力化が可能になる。
【0060】さらに、従来の方法では、PTC素子1の
サイズが極めて小さい場合には、粉体樹脂を入れた容器
11に加熱位置から移動する間に温度が低下したり、粉体
樹脂にまぶした時に温度が低下したりしてうまくコーテ
ィングが形成されない場合があるが、第1ないし第3の
実施例では、PTC素子1の温度は一定に保たれた状態
なので、このような問題はない。
【0061】また、従来の方法では加熱装置から粉体樹
脂中に入れる間にPTC素子1の温度が低下し、粉体樹
脂に入れた時にもさらに温度が低下してしまうため、高
い温度での前加熱の必要があり、耐熱性があまりない素
子には適用できなかったが、第1ないし第3の実施例で
は、粉体樹脂に入れた時も、PTC素子1自身が自己発
熱しているので、PTC素子1を劣化させるような高温
の前加熱の必要がなくなる。
【0062】さらに、従来の方法では、コーティングし
た粉体エポキシ樹脂を融着させるために、再び加熱位置
に戻して、再加熱の必要があったが、第1ないし第3の
実施例では、PTC素子1を粉体エポキシ樹脂から取り
出し、数秒の放置を行なうことで、PTC素子1の発熱
により、粉体エポキシ樹脂の融着が行なわれ、大幅に工
程に要する時間を節約できる。
【0063】また、従来の方法では、粉体を融着させる
ために高温の予備加熱が必要となり、その結果、PTC
素子1の性能が劣化してしまう場合でも、PTC素子1
の劣化を抑えることができる。
【0064】なお、上記の実施例では、PTC素子の形
状はスルーホールタイプのものとしたが、端子の形状を
変えることで、スルーホールタイプ以外の形のPTC素
子にも適用できるので、上述の素子形状のみに限定され
るものではない。
【0065】
【発明の効果】請求項1記載のPTC素子の製造方法に
よれば、PTC素子の温度がPTC特性が発現する温度
領域に達すると、印加する電圧を上昇させてもPTC素
子の抵抗値の上昇により電流は減少し、PTC素子の発
熱量はほぼ一定になり、PTC素子の温度もほぼ一定に
保たれ、PTC素子の発熱により、大がかりな装置を用
いることなく、極めて短い時間で簡便にコーティング材
料をコーティングできる。
【0066】請求項2記載のPTC素子の製造方法によ
れば、請求項1記載のPTC素子の製造方法に加え、印
加する電圧が増加すると、PTC素子の温度が上昇し、
PTC素子の温度がPTC特性が発現する温度領域に達
すると、電圧を上昇させてもPTC素子の抵抗値が大き
く上昇することにより、電流は減少し、PTC素子の発
熱量はほぼ一定になり、PTC素子の温度もほぼ一定に
保たれ、PTC素子の温度がほぼ一定に保たれて、コー
ティング材料を安定して一様にコーティングできる。
【0067】請求項3記載のPTC素子の製造方法によ
れば、請求項1記載のPTC素子の製造方法に加え、P
TC素子が発熱した状態で粉体樹脂が融解するので、P
TC素子の表面をコーティングできる。
【0068】請求項4記載のPTC素子の製造方法によ
れば、請求項1ないし3いずれか記載のPTC素子の製
造方法に加え、結晶性高分子物質および導電性粒子を含
むポリマー系PTC組成体であるもので、通常使用され
ているPTC素子を使用できる。
【0069】請求項5記載のPTC素子の製造方法によ
れば、請求項1または3記載のPTC素子の製造方法に
加え、コーティング材料は、粉体エポキシ樹脂であるも
ので、PTC素子の発熱温度以下で融解し、コーティン
グ材料がPTC素子の表面に融着し、確実にコーティン
グできる。
【0070】請求項6記載のPTC素子の製造方法によ
れば、請求項1および3ないし5いずれか記載のPTC
素子の製造方法に加え、コーティング材料は、粉体ポリ
エチレン樹脂であるもので、PTC素子の発熱温度以下
で融解し、コーティング材料がPTC素子の表面に融着
し、確実にコーティングできる。
【0071】請求項7記載のPTC素子の製造方法によ
れば、請求項1ないし6いずれか記載のPTC素子の製
造方法に加え、たとえば熱硬化性樹脂のコーティング材
料を使用すれば後加熱により熱硬化性樹脂を硬化でき、
熱可塑性樹脂のコーティング材料を使用すれば後加熱に
より熱可塑性樹脂が可塑化して滑らかにできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPTC素子の製造方法の一実施の形態
に用いるコーティング装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 PTC素子 12 コーティング材料としての粉体樹脂である粉体エ
ポキシ樹脂

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 PTC素子に電圧を印加してこのPTC
    素子を発熱させ、 この発熱により前記PTC素子の表面にコーティング材
    料をコーティングさせることを特徴とするPTC素子の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 印加する電圧は、電圧が変化するとPT
    C素子の抵抗値が大きく変化することによって前記PT
    C素子の電力が一定となり、前記PTC素子の温度が一
    定となる電圧の範囲にあることを特徴とする請求項1記
    載のPTC素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 コーティング材料は、発熱したPTC素
    子の素子温度以下で融解する粉体樹脂を有し、前記コー
    ティング材料を前記PTC素子の表面に融着させてコー
    ティング層を形成させることを特徴とする請求項1記載
    のPTC素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 PTC素子は、結晶性高分子物質および
    導電性粒子を含むポリマー系PTC組成体であることを
    特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のPTC素子
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 コーティング材料は、粉体エポキシ樹脂
    であることを特徴とする請求項1または3記載のPTC
    素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 コーティング材料は、粉体ポリエチレン
    樹脂であることを特徴とする請求項1および3ないし5
    いずれか記載のPTC素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 コーティングされたPTC素子に後加熱
    をすることを特徴とした請求項1ないし6いずれか記載
    のPTC素子の製造方法。
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