JPH06318504A - Ptc素子 - Google Patents

Ptc素子

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JPH06318504A
JPH06318504A JP10813893A JP10813893A JPH06318504A JP H06318504 A JPH06318504 A JP H06318504A JP 10813893 A JP10813893 A JP 10813893A JP 10813893 A JP10813893 A JP 10813893A JP H06318504 A JPH06318504 A JP H06318504A
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JP
Japan
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ptc
conductive
electrode
conductive layer
ptc element
Prior art date
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Application number
JP10813893A
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English (en)
Inventor
Shoichi Sugaya
昭一 菅谷
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Daito Tsushinki KK
Original Assignee
Daito Tsushinki KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 抵抗値の変化が小さく、信頼性が高いPTC
素子を提供する。 【構成】 結晶性高分子物質に導電性粒子を分散させて
なるPTC組成物の成形体1の表面に酸化処理を行う。
金属箔3上に導電性フィラーとバインダーとを混合した
導電性ペーストを塗布する。金属箔3上に導電層2を設
ける。成形体1の酸化処理面に導電層2を配置する。成
形体1に導電層2と金属箔3とからなる電極4を熱圧着
する。 【効果】 成形体1と電極4との接合力が大になる。繰
り返しPTCを発現した後においても抵抗値の変化が小
さく、信頼性が高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、PTC(Positive Tem
perature Coefficient)素子に係り、PTC組成物から
なる成形体の表面に電極を形成したPTC素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】特定の温度領域において電気抵抗が急激
に増大する正の温度特性を示すポリマー系PTC素子
は、良く知られており、過電流保護やヒータ等として利
用されている。そして、このPTC素子は、一般に、結
晶性高分子物質に導電性粒子を分散させてなるPTC組
成物の成形体の表面に、金属、有機導電性高分子物質等
からなる電極を取付けた構造が採られている。
【0003】例えば、特開昭60−196901号公報
には、PTC組成物の成形体の表面に、この成形体の表
面に接する面を粗面化した金属箔を取付けたPTC素子
が開示されている。
【0004】また、特開昭60−258902号公報に
は、PTC組成物の成形体の表面をオゾンを用いて酸化
した後、金属箔を取付ける方法が開示されている。
【0005】さらに、特開昭60−226101号公報
には、PTC組成物の成形体の表面をプラズマ処理した
後、金属箔を貼着する方法が記載されている。
【0006】また、特開昭61−10204号公報に
は、PTC組成物の成形体と金属箔との間に両者の中間
の固有抵抗を持つ介在層を介在させたPTC素子が記載
されている。
【0007】さらに、特開昭59−213102号公報
には、PTC組成物の成形体に導電性ペーストを塗布し
て硬化して電極とするPTC素子が開示されている。
【0008】上記PTC素子は、PTC組成物中の導電
性粒子を通して電流が流れ、発熱を生じ、ベースとなる
高分子物質が融解してその体積が膨脹し、導電性粒子間
の距離を拡げ、高抵抗化し、PTCが発現し、その後に
元の抵抗値に復帰するという特徴を有するので、この特
徴を利用してPTC素子を過電流保護のために利用する
ことが可能になる。すなわち、PTC素子を過電流保護
のために回路に用いる場合、過電流によるジュール発熱
によりPTC素子が高抵抗化し、電流を制限して過電流
保護の役割を果たした後においても、回路の異常を取去
ってやれば、PTC素子の抵抗は元の抵抗値に復帰する
ので、PTC素子を繰り返し過電流保護のために利用す
ることが可能になるのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭60−196901号、特開昭60−258902
号、特開昭60−226101号、特開昭61−102
04号および特開昭59−213102号の各公報記載
のいずれのPTC素子においても、PTCの発現が高分
子物質の融解による体積膨脹に基づくため、繰り返しP
TCを発現した場合、PTC組成物の成形体と膨脹率の
異なる電極との接合がルーズとなり、電極が成形体の熱
膨張に追随できずに剥離するなどして、元の抵抗値に復
帰しなくなり、信頼性に乏しくなるという問題点を有し
ている。
【0010】本発明の目的は、上記問題点に鑑み、繰り
返しPTCを発現した後においても抵抗値の変化が小さ
く信頼性が高いPTC素子を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のPTC素
子は、結晶性高分子物質に導電性粒子を分散させてなる
PTC組成物の成形体の表面に酸化処理を行った後、こ
の酸化処理面に導電性ペーストからなる導電層を配置さ
せて、前記成形体に前記導電層と金属箔とからなる電極
を熱圧着してなるものである。
【0012】請求項2記載のPTC素子は、請求項1記
載のPTC素子において、酸化処理は、火災処理または
紫外線照射であるものである。
【0013】請求項3記載のPTC素子は、請求項1記
載のPTC素子において、導電性ペーストは、金属粒子
および/または炭素質物質からなる導電性フィラーと、
熱硬化性樹脂からなるバインダーとからなるものであ
る。
【0014】
【作用】請求項1記載のPTC素子では、PTC組成物
の成形体の表面に導電性ペーストからなる導電層を配置
させて、成形体に導電層と金属箔とからなる電極を熱圧
着することにより、成形体と導電層との接合面におい
て、PTC組成物が導電性ペーストに拡散されて互いに
分子レベルで混合されるので、この接合面での接合力が
大になり、成形体と電極との接合力が大となる。また、
成形体の表面に酸化処理を行うことにより、PTC組成
物の表面に酸素含有基が導入され、この酸素含有基が導
入された表面部分が、熱圧着の際に、熱可塑性接着剤と
して機能するので、接合面での接合力がより大になる。
【0015】さらに、上記化学的接合力の増大に加え
て、構造的接合力も大になる。すなわち、成形体と金属
箔との間に介在する導電層が緩衝材として働くので、P
TC発現時における成形体の熱膨脹の際に、接合面に生
じるストレスが緩和され、成形体と電極との接合力がさ
らに大になる。
【0016】請求項2記載のPTC素子では、火災処理
または紫外線照射を行うことにより、PTC組成物の成
形体の表面に確実に酸素含有基が導入される。
【0017】請求項3記載のPTC素子では、金属粒子
および/または炭素質物質からなる導電性フィラーと、
熱硬化性樹脂からなるバインダーとから導電性ペースト
を形成することにより、優れた特性を有する導電層が得
られる。また、PTC組成物の結晶性高分子物質は本来
極性が小であるが、表面に酸化処理を行うことにより、
結晶性高分子物質の表面部分に酸素含有基が導入され、
その結晶性が低下しかつ極性が大きくなるので、接合面
において、導電層の極性が大の熱硬化性樹脂との拡散混
合が促進され、接合力が大になる。
【0018】
【実施例】本発明のPTC素子の一実施例を図面に基づ
いて説明する。
【0019】本発明のPTC素子は、図1に示すよう
に、結晶性高分子物質に導電性粒子を分散させてなるP
TC組成物の成形体1の表面に酸化処理を行った後、こ
の酸化処理面に導電性ペーストからなる導電層2を配置
させて、成形体1に導電層2と金属箔3とからなる電極
4を熱圧着してなるものである。
【0020】前記成形体1を構成するPTC組成物に用
いる結晶性高分子物質としては、一般に結晶性ポリマー
として知られている結晶化度が10%以上のものが使用
でき、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/
プロピレンコポリマー、トランスポリブタジエン等のポ
リオレフィンや、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビ
ニリデンフルオライド等の含フッ素ポリマーや、エチレ
ン−アクリル酸コポリマー、各種ポリエステル、各種ポ
リアミド、ポリエチレングリコールなどが挙げられ、こ
れらの結晶性高分子物質は単一でまたは混合して用いる
ことができる。
【0021】これらの結晶性高分子物質の中で、大きな
PTC特性を得るためには、結晶化度の高い高分子物質
を用いることが望ましく、例えば、ポリエチレン類、特
に高密度ポリエチレンを主体にしたポリマーが選択され
る。一方、それほど大きなPTC特性を必要としない場
合は、結晶化度のより低い高分子物質を選択してもよ
い。
【0022】また、前記PTC組成物に用いる導電性粒
子としては、炭素質粒子や各種の金属粒子を用いること
ができ、例えば、ファーネスブラック、サーマルブラッ
ク、アセチレンブラック等のカーボンブラック類やグラ
ファイト、カーボンファイバー、カーボンビーズなどが
挙げられ、これらの導電性粒子は単一でまたは混合して
用いることができる。前記金属粒子としては、純金属、
合金、または金属粒子に異種金属をコーティングしたも
のなどが挙げられる。さらに、前記炭素質粒子に金属を
コーティングしたものも導電性粒子として使用できる。
【0023】これらの導電性粒子の中で、優れたPTC
特性を得るためには、カーボンブラックを選択すること
が望ましく、低抵抗のサーマルブラックを用いた場合は
特に優れたPTC特性が得られる。
【0024】そして、前記結晶性高分子物質に前記導電
性粒子を分散させてPTC組成物を得るが、分散の際に
は、ロールミル上で両者を加熱混練する方法や、バンバ
リーミキサー中で混合する方法などを採ることができ
る。
【0025】次に、このPTC組成物は射出成形、押出
し成形、コンプレッション成形、カレンダー成形等の方
法で成形され、PTC組成物の成形体1が得られる。
【0026】次いで、この成形体1の両表面に酸化処理
が施される。この処理の方法としては、火災処理、紫外
線照射、プラズマ処理、コロナ放電処理及びクロム酸処
理等の化学的処理が挙げられる。
【0027】一方、本発明における電極4は、金属箔3
とこの金属箔3の一面に設けた導電ペーストからなる導
電層2とからなる。
【0028】前記金属箔3としては、銅箔、ニッケル箔
等の一般に製造されている種類の中から選択できる。ま
た、金属箔3の表面は、平滑であっても粗面化されてい
てもよいが、導電層2を設ける面は粗面化されている方
が好ましい。
【0029】この導電層2を構成する導電性ペースト
は、導電性粒子とバインダーとからなる。導電性粒子と
しては前述したPTC組成物の導電性粒子として挙げた
ものの中から選択できるが、金属、特に銀が好ましい。
一方、バインダーとしては、熱硬化性樹脂、耐熱性を有
する熱可塑性樹脂等が挙げられるが、熱硬化性樹脂が好
ましい。熱硬化性樹脂は、耐熱性が大きく、かつ、硬化
前の常温で流動状態であるため金属箔3上への塗布操作
が容易にできるからである。なお、この導電層2には、
必要に応じて、前記導電性粒子とバインダー以外の他の
物質を添加することができる。
【0030】そして、前記バインダーに導電性粒子を種
々の方法で分散させて、導電性ペーストを得、次いで、
この導電性ペーストをスクリーン印刷、ドクターブレー
ド等の方法で、金属箔3上に塗布した後、バインダーと
して熱硬化性樹脂を用いた場合は、適宜な条件下での熱
硬化が行なわれ、金属箔3上に導電層2が形成され、電
極4が得られる。
【0031】次に、前記両表面に酸化処理を行った成形
体1に前記電極4を熱圧着して接合するが、好ましくは
コンプレッション成形で接合する。すなわち、成形体1
の酸化処理した両表面に導電層2の一面がそれぞれ接す
るように、両電極4間に成形体1を挟み、金型中で温度
と圧力を加えてコンプレッション成形する。この際、成
形温度はPTC組成物中の結晶性高分子物質の融点以上
に設定する必要がある。
【0032】上記工程によりPTC素子が得られるが、
必要に応じて、所望のサイズに打抜くこともできる。ま
た、PTCの発現後の抵抗値を安定させるため、γ線、
電子線等の放射線で架橋し、熱エージングをすることが
望ましい。そして、PTC素子の信頼性を高めるために
は、架橋によるPTC素子のゲル分率を50%以上と
し、かつ、熱エージング温度を結晶性高分子物質の融点
以上でかつ分解温度以下に設定することが好ましい。
【0033】
【実施例】以下、本発明を具体的実施例に従って詳細に
説明する。
【0034】実施例1 結晶性高分子物質としての高密度ポリエチレン(商品
名:Hi−Zex3000B、三井石油化学工業株式会
社製)と、導電性粒子としての窒素雰囲気中で1000
℃、約20時間の加熱処理を行ったサーマルブラック
(商品名:サーマックスN−990ウルトラピュア、カ
ンカーブ社製)とを、重量比100:195で、160
℃に保持したロールミル上で加熱混練する。なお、この
加熱混練に際して、有機過酸化物である2,5-dimethyl-
2,5-(t-buthylperoxy)hexyne-3 (商品名:パーヘキシ
ン25B−40、日本油脂株式会社製)を結晶性ポリマ
ー100gに対して1.25gの割合で添加する。次に、冷
却した後、ペレット状に粉砕してPTC組成物を得る。
【0035】次に、このPTC組成物0.17gを金型中に
投入してコンプレッション成形を行い、図1に示す13
mm×13mm×1mm強のサイズの成形体としての予備成形
体1を得る。成形温度を約135℃とし、加熱時の圧力
を約460kgf /cm2 とし、この条件下で一定時間保持
した後、冷却し、温度が50℃程度になった時点で取出
す。
【0036】次に、前記予備成形体1の両面をガスバー
ナーの炎に、短時間(例えば0.5 秒以下)、3回晒すこ
とで火災処理を行い、表面に酸素含有基を導入する。
【0037】一方、金属箔3として、片面が粗面化され
た電解ニッケル箔(厚さ25μm 、福田金属箔粉工業株
式会社製)を用いる。また、導電性ペーストとして、導
電性粒子としての燐片状銀粉とバインダーとしてのエポ
キシ樹脂とを重量比85:15で混合したものをブチル
セロソルブアセテートでスクリーン印刷に適した粘度に
希釈したペースト(AG4、アサヒ化学研究所製)に、
さらに硬化剤(ACT−B、アサヒ化学研究所製、グア
ニジン系硬化剤とイミダゾール系硬化剤の混合物)を3
重量%の割合で添加混合して得たものを用いる。そし
て、前記導電性ペーストを前記ニッケル箔の粗面化され
た面にスクリーン印刷し、140℃に保った恒温槽中に
15分間放置することにより硬化させて、ニッケル箔上
に導電層2を設け、電極4を作製する。
【0038】次に、前記一対の電極4間に前記火災処理
した予備成形体1を挟みながら、金型中でコンプレッシ
ョン成形を行う。この際、予備成形体1に電極4の導電
層2の面が直接接触するように配置する。なお、成形圧
力は予備成形時と同様であるが、成形温度は約190℃
とする。この条件で一定時間保持した後、冷却して温度
が50℃程度になった時点で成形品を取出す。得られた
成形品のサイズは、13mm×13mm×1mm程度である。
【0039】さらに、上記成形品にγ線を10Mrad照射
して架橋を行なった後、長径L1:2mm、短径L2:1.7mm
の長円状にポンチで打抜き、次いで、図2に示すよう
に、各電極4に、端子5(商品名:コバールリボン、日
本アビオニクス株式会社製、幅0.5mm 、金メッキ品)
を、パラレルギャップ電極によるスポットウェルディン
グにて取付けた後、温度150℃の恒温槽に10分間放
置して熱エージング処理を行い、さらに、DC32Vの
電圧を15分間印加して電圧エージングを行い、PTC
素子4個を作製する。
【0040】次に、このPTC素子4個について電圧印
加試験を行い、平均値を求めた結果を表1に示す。この
電圧印加試験は、最初にPTC素子の初期の抵抗値を測
定し、次にDC32Vの電圧を15分間通電オン、15
分通電オフを1回として500回繰り返した後の抵抗値
を測定するものである。なお、初期の抵抗値の測定は、
試験の直前に行うようにする。
【0041】実施例2 実施例1の導電性ペーストにさらにファーネスブラック
を3重量%添加して混合したものを用いて導電層2を形
成した以外は、実施例1と同様にPTC素子3個を作製
し、実施例1と同様に電圧印加試験を行う。結果を表1
に示す。
【0042】比較例1 PTC組成物として実施例1と同様のものを用い、電極
4として導電性ペーストを印刷しない前記ニッケル箔を
用いて、実施例1と同様にPTC素子3個を作製する。
但し、PTC組成物の予備成形並びに火災処理を行わ
ず、ニッケル箔の粗面化された面をペレット化されたP
TC組成物に接触させ、一対のニッケル箔間にPTC組
成物を挟むようにして金型に投入し、成形を一度に行っ
ている。ニッケル箔の粗面にPTC素子3個について実
施例1と同様の電圧印加試験を行う。結果を表1に示
す。
【0043】実施例3 PTC組成物の結晶性高分子物質と導電性粒子の重量比
を100:200とし、電極4の導電ペーストの硬化条
件を120℃、20分とした以外は、実施例1と同様に
PTC素子5個を作製する。このPTC素子5個につい
て、200回電圧印加を行う以外は実施例1と同様に電
圧印加試験を行う。結果を表1に示す。
【0044】比較例2 PTC組成物の予備成形体1について火災処理を行わな
い以外は、実施例3と同様にPTC素子4個を作製し、
実施例3と同様に電圧印加試験を行う。結果を表1に示
す。
【0045】実施例4 結晶性高分子物質としての高密度ポリエチレン(商品
名:Hi−Zex3000B、三井石油化学工業株式会
社製)、導電性粒子としてのファーネスブラック(商品
名:旭#60H、旭カーボン株式会社製)とを、重量比
100:60で、160℃に保持したロールミル上で加
熱混練する。なお、この加熱混練に際して、有機過酸化
物である2,5-dimethyl-2,5-(t-buthylperoxy)hexyne-3
(商品名:パーヘキシン25B−40、日本油脂株式会
社製)を結晶性高分子物質100gに対して2gの割合
で添加している。そして、冷却した後、ペレット状に粉
砕して、PTC組成物を得る。
【0046】上記PTC組成物以外については実施例1
と同様にして、PTC素子を3個作製する。このPTC
素子3個について、1000回電圧印加を行う以外は実
施例1と同様に電圧印加試験を行う。結果を表1に示
す。
【0047】比較例3 PTC組成物として実施例4と同様のものを用い、電極
4として導電性ペーストを印刷しない前記ニッケル箔を
用いて、実施例4と同様にPTC素子2個を作製する。
但し、PTC組成物の予備成形並びに火災処理を行わ
ず、ニッケル箔の粗面化された面をPTC組成物に接触
させ、一対のニッケル箔間にPTC組成物を挟むように
して金型に投入し、成形を一度に行っている。このPT
C素子2個について実施例4と同様に電圧印加試験を行
う。結果を表1に示す。
【0048】実施例5 電極4の導電性ペーストとして、導電性粒子としてのカ
ーボンファイバーとバインダーとしての一液性エポキシ
樹脂を混合したものをブチルセロソルブアセテートでス
クリーン印刷に適した粘度に希釈したものを用いる。こ
の導電性ペーストを、実施例1と同様に前記ニッケル箔
にスクリーン印刷し、120℃に保った恒温槽に1時間
放置することにより硬化させて、ニッケル箔上に導電層
2を設け、電極4とする。
【0049】上記電極4以外については実施例1と同様
にしてPTC素子2個を作製する。このPTC素子2個
について、200回電圧印加を行う以外は実施例1と同
様に電圧印加試験を行う。結果を表1に示す。
【0050】実施例6 PTC組成物の結晶性高分子物質と導電性粒子の重量比
を100:200とし、電極4の導電ペーストの硬化条
件を120℃、20分とした以外は、実施例1と同様に
予備成形体1を作製する。この予備成形体1の表面に短
波長の紫外線を120秒照射し、酸化処理を行う。
【0051】また、実施例1の導電性ペーストにさらに
電解銀粉を10重量%添加して混合したものを用いて導
電層2を形成した以外は、実施例1と同様に電極4を作
製する。
【0052】前記予備成形体1と電極4を用いて、実施
例1と同様にPTC素子2個を作製する。このPTC素
子2個について実施例1と同様に電圧印加試験を行う。
結果を表1に示す。
【0053】比較例4 PTC組成物として実施例6と同様のものを用い、電極
4として導電性ペーストを印刷しない前記ニッケル箔を
用いて、実施例6と同様にPTC素子2個を作製する。
但し、PTC組成物の予備成形並びに紫外線照射処理を
行わず、ニッケル箔の粗面化された面をPTC組成物に
接触させ、一対のニッケル箔間にPTC組成物を挟むよ
うにして金型に投入し、成形を一度に行っている。この
PTC素子2個について実施例6と同様の電圧印加試験
を行う。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】 上記表1より、酸化処理を行わない比較例2のPTC素
子並びにニッケル箔のみからなる電極4を用いるととも
に酸化処理を行わない比較例1、3および4のPTC素
子の抵抗値の変化率は、+41.2%〜+247 %と相当大き
くなっているのに対して、実施例1ないし実施例6のP
TC素子の抵抗値の変化率は−5.1 %〜+18.8%と小さ
く、各実施例のPTC素子の信頼性が顕著に高いことが
分かる。
【0055】このように本発明のPTC素子の信頼性が
顕著に高くなるのは、以下のメカニズムによるものと考
えられる。
【0056】従来、主として使用されている金属箔の表
面を粗面化した構造を有するPTC素子では、接合は、
金属箔の粗面部分にPTC組成物の成形体が食い込むこ
とによるアンカー効果にのみ依存しているので、繰り返
しPTCを発現した場合、PTC組成物の成形体と膨脹
率の異なる電極との接合がルーズになり、抵抗値が上昇
する。
【0057】これに対して、本発明のPTC素子では、
コンプレッション成形時に、PTC組成物の予備成形体
1と導電ペーストからなる導電層2との接合面におい
て、PTC組成物が、導電性ペーストに拡散されて互い
に分子レベルで混合されるので、接合力が大になる。
【0058】しかし、導電性ペーストのバインダーとし
て熱硬化性樹脂を用いた場合、この熱硬化性樹脂は極性
が高いのに対して、PTC組成物の結晶性高分子物質は
結晶性が高くかつ極性の少ないものが多いこともあっ
て、前記拡散が必ずしも効果的に行われるとは言い難く
なる。
【0059】そこで、PTC組成物の予備成形体1の表
面に酸化処理することにより、コンプレッション成形時
に導電性ペーストの熱硬化性樹脂と混合されると期待さ
れる結晶性高分子物質の表面部分に酸素含有基が導入さ
れ、結晶性が低下し、かつ、極性が大きくなる。このた
め、拡散が促進され、接合力がより大になる。
【0060】また、酸化処理され、酸素含有基が導入さ
れた予備成形体1の表面部分の結晶性高分子物質は、そ
れ自体熱可塑性接着剤として機能するので、接合力がさ
らに大になる。このため、導電ペーストの硬化が充分に
進行していて、前記接合面での拡散があまり期待できな
いような場合においても、十分な接合力が得られるので
ある。
【0061】なお、上記メカニズムは、D. Briggs らに
よる研究により裏付けられる。この研究では、低密度ポ
リエチレンの表面が、火災処理等の酸化処理により、ど
のような変化を示すかについて、ESCA(Electoron
Spectroscopey for ChemicalAnalysis )スペクトルに
よる解析を行なっている(D. Briggs, D.M. Brewis,M.
B. Konieczko:j. Mat.Sci., 14, 1334(1979))。
【0062】この報告によると、酸化層の深さは40〜
90オングストロームで、そこには、水酸基、カルボニ
ル基、カルボキシル基などが生成していることが立証さ
れている。
【0063】したがって、本発明における酸化処理によ
って、予備成形体1のポリエチレン等の結晶性高分子物
質の表面部分には、水酸基、カルボニル基、カルボキシ
ル基等の酸素含有基が導入され、これら酸素含有基が導
電性ペーストとの接合力を増大させているものと推察さ
れる。これに加えて、酸化処理によって、PTC組成物
のカーボンブラック等の導電性粒子の表面部分に生じる
化学的変化も接合力の増大に寄与しているものと推察さ
れる。なぜなら、カーボンブラック等の導電性粒子の酸
素に対する反応性は、ポリエチレン等の結晶性高分子物
質に対するよりも高いので、より速やかに、表面部分に
酸素含有基が導入され、この酸素含有基が導電性ペース
トとの接合力を増大させているからである。
【0064】さらに、上記化学的接合力の増大に加え
て、構造的接合力も大になる。すなわち、成形体1と金
属箔3との間に介在する導電層2が緩衝材として働くの
で、PTC発現時における成形体1の熱膨脹の際に、接
合面に生じるストレスが緩和され、成形体1と電極4と
の接合力がさらに大になる。
【0065】このように、成形体1と電極4との化学的
接合力および構造的接合力がともに大になるので、PT
C素子は、繰り返しPTCを発現した後においても抵抗
値の変化が小さく、信頼性が高くなる。
【0066】なお、上記実施例では、導電層2と金属箔
3とからなる電極4について説明したが、電極4の構造
はこれに限られるものではなく、必要に応じて、導電層
2、金属箔3以外の層を加えることができる。
【0067】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、PTC組
成物の成形体の表面に導電ペーストからなる導電層を配
置させて、成形体に導電層と金属箔とからなる電極を熱
圧着することにより、成形体と電極との化学的接合力お
よび構造的接合力がともに大になるので、PTC素子を
繰り返し使用し、繰り返しPTCを発現した後において
も、抵抗値の変化が小さく、信頼性が高くなる。
【0068】請求項2記載の発明によれば、火災処理ま
たは紫外線照射を行うことにより、PTC組成物の成形
体の表面に確実に酸素含有基を導入できる。
【0069】請求項3記載の発明によれば、優れた特性
を有する導電層が得られ、また、成形体の表面に酸化処
理を行うことにより、結晶性高分子物質の表面部分に酸
素含有基が導入され、極性が大きくなるので、接合面に
おいて、導電層の極性が大の熱硬化性樹脂との拡散混合
が促進され、接合力が大になり、PTC素子の信頼性が
より高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すPTC素子の断面図で
ある。
【図2】実施例1〜6のPTC素子を示す斜視図であ
る。
【符号の説明】
1 PTC組成物の成形体 2 導電層 3 金属箔 4 電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性高分子物質に導電性粒子を分散さ
    せてなるPTC組成物の成形体の表面に酸化処理を行っ
    た後、この酸化処理面に導電性ペーストからなる導電層
    を配置させて、前記成形体に前記導電層と金属箔とから
    なる電極を熱圧着してなることを特徴とするPTC素
    子。
  2. 【請求項2】 酸化処理は、火災処理または紫外線照射
    であることを特徴とする請求項1記載のPTC素子。
  3. 【請求項3】 導電性ペーストは、金属粒子および/ま
    たは炭素質物質からなる導電性フィラーと、熱硬化性樹
    脂からなるバインダーとからなることを特徴とする請求
    項1記載のPTC素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010079845A (ko) * 1999-07-16 2001-08-22 하네타 유이치 정온도 계수 소자 및 그 제조 방법
CN102543330A (zh) * 2011-12-31 2012-07-04 上海长园维安电子线路保护有限公司 过电流保护元件

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KR20010079845A (ko) * 1999-07-16 2001-08-22 하네타 유이치 정온도 계수 소자 및 그 제조 방법
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