JPH09281336A - 光学フィルム及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム及び液晶表示装置

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JPH09281336A
JPH09281336A JP8115353A JP11535396A JPH09281336A JP H09281336 A JPH09281336 A JP H09281336A JP 8115353 A JP8115353 A JP 8115353A JP 11535396 A JP11535396 A JP 11535396A JP H09281336 A JPH09281336 A JP H09281336A
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JP
Japan
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film
optical film
adhesive layer
optical
liquid crystal
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Application number
JP8115353A
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English (en)
Inventor
Masayuki Satake
正之 佐竹
Katsuhide Kojima
勝秀 小島
Shinichi Oizumi
新一 大泉
Yoshikazu Tanaka
良和 田中
Kazuhiko Miyauchi
和彦 宮内
Hisashi Yamaoka
尚志 山岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着ミス時等に液晶セルを損傷させずに容易
に剥離できて液晶セルを再利用でき、しかも加熱加湿雰
囲気においても発泡や剥がれや光学特性の低下を生じず
に大サイズにても耐湿熱性と光学機能維持性の両性能を
満足すると共に、液晶セルの反り問題も生じずに安定し
た接着特性を示す光学フィルムの開発。 【解決手段】 50℃、90%R.H.での飽和吸水率が
0.60重量%以下で、かつ剥離側被着体に対する90
度剥離接着力が600g/20mm以下である粘着剤層
(3)を、光学フィルム素材(2)の片面又は両面に有
する光学フィルム。 【効果】 高品質で耐久性に優れる液晶表示装置が得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、接着ミス時等に液晶セル
を損傷させずに容易に剥離でき、かつ液晶セルに貼着し
て加熱加湿雰囲気においても発泡や剥がれ、光学特性の
低下やセルの反りを生じにくくて液晶表示装置等に好適
な粘着剤層付設型の光学フィルムに関する。
【0002】
【発明の背景】液晶表示装置(LCD)に用いる光学フ
ィルム素材、例えば偏光フィルムや位相差フィルムやそ
れらを積層した楕円偏光フィルム等は、LCDのキーデ
バイスであり品質のバラツキ防止やLCD組立の効率化
などを目的に、アクリル系粘着剤等からなる粘着剤層を
予め付設した光学フィルムの状態で液晶セルに貼着する
方法が採られている。
【0003】その光学フィルムにおいて、情報化社会の
進展によるLCDのマルチメディア用情報端末機器等と
しての用途拡大や高性能化や大型化などに伴い、例えば
LCDに実装して加熱加湿処理した場合に処理の前後で
発泡や剥がれを生じない特性(耐湿熱性)や、高温雰囲
気に置いても光の透過率や位相差(リタデーション値:
複屈折の屈折率差とフィルム厚の積)等の光学性能が低
下しない特性(光学機能維持性)等の実用特性や光学特
性の一層の高度化や、より過酷な条件に耐える高耐久化
などが求められている。
【0004】しかしながら前記要求の達成は、これまで
に準じた対策方法ではその実現が困難な問題点があっ
た。すなわち加熱加湿下での光学フィルムの発泡・剥が
れ問題は、光学フィルムの変形に起因するため光学フィ
ルム素材の難変形化や粘着剤層の高凝集力化がこれまで
の対処方法であるが、前者では光学特性を維持しつつ難
変形化をはかることが困難で耐湿熱性向上の目途は立っ
ておらず、LCDの大型化による光学フィルムの大面積
化に伴う変形量の増大がその実現をより困難としている
実情である。また後者では、粘着剤層の高凝集力化で光
学フィルムの周囲と中央部とで加熱加湿処理により光透
過率や位相差等の光学特性にムラが生じて光学機能維持
性が低下し、液晶セルに反りを生じさる問題を誘発し
て、光学フィルムの大型化がその問題をより顕著とす
る。
【0005】また前記の粘着剤層の高凝集力化は、加湿
下での光学フィルム端部の剥離を発生させやすくし、そ
の防止のために粘着剤層の接着力を向上させると、異物
混入や損傷や接着ミス等で光学フィルムの交換を要する
場合に剥離作業に多時間、多労力を要し、液晶セルに粘
着剤が残存してそれが異物となるなどの問題を生じやす
く、LCDの薄型化や軽量化に伴うガラス板やプラスチ
ックフィルム等からなるセル基材の薄型化がセルの損傷
のない剥離をより困難としてセルを再利用できない問題
も発生する。
【0006】
【発明の技術的課題】本発明は、接着ミス時等に液晶セ
ルを損傷させずに容易に剥離できて液晶セルを再利用で
き、しかも加熱加湿雰囲気においても発泡や剥がれや光
学特性の低下を生じずに大サイズにても耐湿熱性と光学
機能維持性の両性能を満足すると共に、液晶セルの反り
問題も生じずに安定した接着特性を示す光学フィルムの
開発を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、50℃、90
%R.H.での飽和吸水率が0.60重量%以下で、かつ剥
離側被着体に対する90度剥離接着力が600g/20mm
以下である粘着剤層を、光学フィルム素材の片面又は両
面に有することを特徴とする光学フィルムを提供するも
のである。
【0008】
【発明の効果】本発明によれば、適度な接着力を有して
接着ミス時等に薄型や大型の液晶セルの場合にもそれを
損傷させずに容易に剥離できて液晶セルを再利用でき、
しかも加熱加湿雰囲気においても発泡や剥がれや液晶セ
ルの反りを生じず、かつ光透過率や位相差等の光学特性
が低下しにくくて耐湿熱性と光学機能維持性の両方に優
れて安定した接着特性を示す光学フィルムを得ることが
でき、高品質で耐久性に優れる液晶表示装置を得ること
ができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の光学フィルムは、50
℃、90%R.H.での飽和吸水率が0.60重量%以下
で、かつ剥離側被着体に対する90度剥離接着力が60
0g/20mm以下である粘着剤層を、光学フィルム素材の
片面又は両面に有するものである。その例を図1、図2
に示した。2が光学フィルム素材、3が粘着剤層であ
る。また図2において、21は偏光フィルム、22は位
相差フィルムであり、これらが粘着剤層3を介し積層さ
れて光学フィルム素材2としての楕円偏光フィルムを形
成している。なお1は保護フィルム、4はセパレータで
ある。
【0010】光学フィルム素材としては、例えば偏光フ
ィルムや位相差フィルム、あるいは偏光フィルムと位相
差フィルムを積層した楕円偏光フィルム、さらには反射
型偏光フィルムやそれを用いた前記楕円偏光フィルムな
どの液晶表示装置等の形成に用いられるものが使用さ
れ、その種類について特に限定はない。なお前記の楕円
偏光フィルムの如き積層タイプの光学フィルム素材の場
合、その積層に用いる接着手段としては、本発明におけ
る粘着剤層が耐湿熱性や光学機能維持性等の点より好ま
しい。
【0011】前記した偏光フィルムの具体例としては、
ポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポ
リビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル
共重合体系部分ケン化フィルムの如き親水性高分子フィ
ルムにヨウ素及び/又は二色性染料を吸着させて延伸し
たもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化
ビニルの脱塩酸処理物の如きポリエン配向フィルムなど
があげられる。偏光フィルムの厚さは通例5〜80μm
であるが、これに限定されない。
【0012】なお反射型の偏光フィルムは、視認側(表
示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶
表示装置などを形成するためのものであり、バックライ
ト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を
はかりやすいなどの利点を有する。
【0013】反射型偏光フィルムの形成は、必要に応じ
透明樹脂層等を介して偏光フィルムの片面に金属等から
なる反射層を付設する方式などの適宜な方式で行うこと
ができる。前記の必要に応じて設けられる透明樹脂層
は、図例の如き保護フィルム1に兼ねさせることもで
き、従って上記の偏光フィルムとしては、その片側又は
両側に透明保護層を有するものであってもよい。
【0014】反射型偏光フィルムの具体例としては、必
要に応じマット処理した保護フィルム等の透明樹脂層の
片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着
膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。
また前記の透明樹脂層に微粒子を含有させて表面微細凹
凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するも
のなどもあげられる。なお反射層は、その反射面が透明
樹脂層や偏光フィルム等で被覆された状態の使用形態
が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率
の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などよ
り好ましい。
【0015】前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光
を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄え
を防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。
また微粒子含有の透明樹脂層は、入射光及びその反射光
がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制し
うる利点なども有している。透明樹脂層の表面微細凹凸
構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例え
ば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタ
リング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式
で金属を透明樹脂層の表面に直接付設する方法などによ
り行うことができる。
【0016】なお保護フィルムや透明保護層の形成に
は、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性等に優
れるプラスチックなどが好ましく用いられる。その例と
しては、ポリエステル系樹脂やアセテート系樹脂、ポリ
エーテルサルホン系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポ
リアミド系樹脂やポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系
樹脂やアクリル系樹脂、あるいはアクリル系やウレタン
系、アクリルウレタン系やエポキシ系やシリコーン系等
の熱硬化型、ないし紫外線硬化型の樹脂などがあげられ
る。
【0017】透明保護層は、プラスチックの塗布方式や
フィルムとしたものの積層方式などの適宜な方式で形成
してよく、厚さは適宜に決定してよい。一般には5mm以
下、就中1mm以下、特に1〜500μmの厚さとされ
る。なお表面微細凹凸構造の透明樹脂層の形成に含有さ
せる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜5μm
のシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や
酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等か
らなる、導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未
架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明樹脂
層中で透明性を示すものが用いられる。微粒子の使用量
は、透明樹脂100重量部あたり2〜25重量部、就中
5〜20重量部が一般的である。
【0018】上記した光学フィルム素材である位相差フ
ィルムの具体例としては、ポリカーボネートやポリビニ
ルアルコール、ポリスチレンやポリメチルメタクリレー
ト、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリア
リレートやポリアミドの如き適宜なプラスチックからな
るフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムなどが
あげられる。位相差フィルムは、2種以上の位相差フィ
ルムを積層して位相差等の光学特性を制御したものとし
て形成することもできる。
【0019】また上記した光学フィルム素材である楕円
偏光フィルム又は反射型楕円偏光フィルムは、偏光フィ
ルム又は反射型偏光フィルムと位相差フィルムを適宜な
組合せで積層したものである。かかる楕円偏光フィルム
等は、(反射型)偏光フィルムと位相差フィルムの組合
せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次
別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如
く予め楕円偏光フィルム等としたものは、品質の安定性
や積層作業性等に優れて液晶表示装置の製造効率を向上
させうる利点がある。
【0020】なお偏光フィルムや位相差フィルム、保護
フィルムや透明保護層等の光学フィルムを形成する各層
は、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノ
ール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノア
クリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線
吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能をもたせ
ることもできる。
【0021】光学フィルム素材の片面又は両面に設ける
粘着剤層は、50℃、90%R.H.における飽和吸水率が
0.60重量%以下、好ましくは0.40重量%以下で
あり、かつ剥離側被着体に対する90度剥離接着力が6
00g/20mm以下、好ましくは50〜500g/20mm、
特に100〜400g/20mmであるのものとして形成さ
れる。
【0022】前記により、耐湿熱性と光学機能維持性の
両方に優れ、薄型や大型等の液晶セルに適用した場合に
もセルの反りを抑制できると共に、接着ミス時等におけ
る手作業による剥離処理も容易に効率よく行うことがで
きる光学フィルムとすることができる。当該飽和吸水率
が0.6重量%を超えると、発泡や剥がれを防止する耐
湿熱性を付与するために凝集力の高い粘着剤層とする必
要が生じ、上記したように耐湿熱性以外の特性を両立さ
せることが困難となる。
【0023】すなわち前記において、加熱加湿処理によ
る発泡や剥がれの防止は、粘着剤層における飽和吸水率
の低い設定による。かかる設計思想は、当該発泡問題が
粘着剤層中の水分が高温で粘着剤の凝集力に勝って気化
膨張し、その気泡が光学フィルムの変形で視認される程
度にまで拡大すること、また光学フィルムの剥がれ、特
に端部の剥がれ(浮き)は、吸湿によるセル・粘着剤層
界面の接着力の低下によることを究明したことに基づ
く。
【0024】従って当該発泡の防止の点では、従来の設
計思想による粘着剤層の凝集力を高める対処が有効であ
ることがわかる。しかしその場合には、上記したように
凝集力の向上で光学フィルム素材に熱膨張差等による大
きな応力が発生するなどして光学特性の低下を招き、ま
た光学フィルム素材の収縮に伴って液晶セルの反りが発
生し、さらに被着体に対する濡れ性が低下して前記の如
く加湿条件下に光学フィルム、特に端部が剥がれやすく
なり耐湿熱性と光学機能維持性を両立させることができ
ない。
【0025】また前記において、組成を変更したり薬剤
を添加して接着力を向上させる従来の設計思想では、吸
湿性が高く加湿時の接着力低下が大きい粘着剤層とな
り、その場合に吸湿による接着力の低下を見越して吸湿
剥離を生じない接着力に設定したときには、接着ミス時
等の剥離が困難な高い接着力となり、剥離時に液晶セル
を破損しやすくてセルの再利用を実現しにくい。
【0026】前記に対し本発明では、低い飽和吸水率と
することで発泡原因の混入が抑制され、それにより発泡
を防止しつつ、粘着剤層の凝集力を低く設定して接着力
の向上に有利な組成とすることが可能となり、かつ吸湿
による接着力の低下が抑制されて耐湿熱性と光学機能維
持性の両立が可能となる。また接着ミス時等における光
学フィルムの剥離の点よりは、フィルム端部での剥離が
生じない範囲で可及的に低い接着力が好ましいが、前記
の粘着剤層吸水率の低減による接着力の低下抑制効果
で、通常時の接着力を低く設定できて剥離に有利とな
る。
【0027】上記において発泡や剥がれ、光学特性の低
下や液晶セルの反り等の不良は、加熱加湿処理による光
学フィルムの変化量の増加で拡大し、従って光学フィル
ムの種類やサイズに依存するが、対角線長さが11イン
チ(17cm×23.5cm等)サイズ以下では0.60重
量%以下の飽和吸水率とすることで当該不良の発生を防
止することができる。なお、さらに大きいサイズではよ
り低い凝集力であることが望ましく、かかる点より飽和
吸水率は0.40重量%以下であることが好ましい。
【0028】一方、剥離接着力は速度や角度の剥離条件
で異なり、剥離作業を考慮した接着力の設定が作業効率
や液晶セルの損傷防止などの点より好ましいが、本発明
ではガラス板やプラスチックフィルム等からなる剥離側
被着体に対する90度剥離接着力(剥離速度100mm/
分、25℃)に基づき600g/20mm以下の接着力とし
たので、手作業による剥離処理の繰返し性(疲労性)や
スムーズな作業性、作業効率や低労働負担性、セル損傷
の防止性などに優れている。
【0029】本発明において粘着剤層は、当該飽和吸水
率が低いほど好ましく、凝集力が低くなるほど飽和吸水
率の低いものが好ましい。その粘着剤層の形成には、光
学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘
着特性を示す、例えばアクリル系共重合体やシリコーン
系ポリマー、ポリエステルやポリウレタン、ポリエーテ
ルや合成ゴムなどのポリマーを用いることができ、就中
アクリル系共重合体が透明性や耐候性や耐熱性などに優
れて好ましく用いうる。
【0030】前記のアクリル系共重合体としては、適度
な濡れ性と柔軟性を発現する主成分をなす単量体とし
て、ガラス転移温度が−10℃以下のアクリル酸エステ
ルやメタクリル酸エステルの1種又は2種以上を用いた
ものなどがあげられる。
【0031】前記のエステルとしては、低吸水性などの
点より、例えばn−ブチル基やイソブチル基、イソアミ
ル基やヘキシル基、ヘプチル基やシクロヘキシル基、2
−エチルヘキシル基やイソオクチル基、イソノニル基や
ラウリル基、ドデシル基やイソミリスチル基、オクタデ
シル基の如き炭素数が4以上、就中4〜24のアルキル
基等からなる有機基を有するアクリル酸エステルやメタ
クリル酸エステルが好ましく用いうる。
【0032】前記の低吸水性は、エステル基のメチレン
炭素数が増すほどカルボニル基の親水性の影響が抑制さ
れて、メチレン炭素の疎水性の影響が増すためと考えら
れ、メチル基やエチル基やプロピル基等の炭層数が3以
下の有機基からなるエステル基を有するものでは、それ
らの単独使用で当該飽和吸水率が0.6重量%以下の粘
着剤層が得られにくい。従って炭層数が3以下の有機基
からなるエステル基を有するものは、炭層数が4以上の
有機基からなるエステル基を有するものとの併用が望ま
しい。
【0033】また当該飽和吸水率が0.4重量%以下の
粘着剤層の形成には、炭層数が8以上の有機基を有する
アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの使用が好
ましい。その場合、炭層数が7以下の有機基からなるエ
ステル基を有するものは、併用系として用いうる。
【0034】また前記のアクリル系共重合体は、粘着剤
としての凝集性や接着性を改質するための、あるいは架
橋反応性を付与するための単量体を共重合成分として含
有していてもよい。その共重合用単量体については特に
限定はなく、前記した主成分をなす単量体と共重合可能
なものであればよい。一般に、かかる共重合成分、特に
水酸基やカルボキシル基やエポキシ基等の官能基を有す
るものは飽和吸水率を上昇させる傾向にあることから最
小限の使用が好ましい場合が多いが、本発明においては
上記した所定の飽和吸水率を満足する範囲で適宜な量の
種々の単量体を共重合させることができる。
【0035】特に分子間架橋剤と反応可能な官能基を有
して分子間架橋に関与する単量体は、共重合させる場合
が多い。その共重合用単量体の例としては、アクリル酸
やメタクリル酸、カルボキシエチルアクリレートやカル
ボキシペンチルアクリレート、イタコン酸やマレイン
酸、クロトン酸の如きカルボキシル基含有単量体、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルや(メタ)アクリ
ル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−
ヒドロキシブチルや(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシ
ヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル
や(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メ
タ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒド
ロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートの
如きヒドロキシル基含有単量体、無水マレイン酸や無水
イタコン酸の如き酸無水物単量体、(メタ)アクリル酸
グリシジルの如きエポキシ基含有単量体、トリメトキシ
シリルプロピルアクリレートの如きアルコキシ基含有単
量体などがあげられる。かかる官能基を有する単量体
は、上記主成分モノマーの種類にもよるが通常、2重量
%以下程度の共重合で、得られる共重合体の当該飽和吸
水率を前記の範囲とすることができる。
【0036】前記の5−カルボキシペンチルアクリレー
トや(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メ
タ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルや(メタ)アク
リル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸1
2−ヒドロキシラウリルの如く、比較的長いメチレン鎖
の末端に官能基を有する単量体などは、共重合体中での
官能基の運動の自由度が大きいためか架橋反応性に富
み、0.5重量%程度の少量の共重合で充分な架橋効果
を発揮し、得られる共重合体の飽和吸水率を殆ど上昇さ
せないために好ましく用いうる。
【0037】凝集性や接着性等の改質を目的としたその
他の共重合用単量体としては、2−アクリルアミド−2
−メチルプロパンスルホン酸の如きスルホン酸基含有単
量体、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート
の如き燐酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミドやN
−アクリロイルモルホリン、N−置換(メタ)アクリル
アミドの如きアミド系単量体、N−シクロヘキシルマレ
イミドやN−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマ
レイミドやN−フェニルマレイミドの如きマレイミド系
単量体、N−メチルイタコンイミドやN−エチルイタコ
ンイミド、N−ブチルイタコンイミドやN−オクチルイ
タコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド
やN−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイ
タコンイミドの如きイタコンイミド系単量体、N−(メ
タ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−
(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスク
シンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオ
クタメチレンスクシンイミドの如きスクシンイミド系単
量体などがあげられる。
【0038】さらに、酢酸ビニルやN−ビニルピロリド
ン、N−ビニルカルボン酸アミド類やスチレンの如きビ
ニル系単量体、ジビニルベンゼンの如きジビニル系単量
体、1,4−ブチルジアクリレートや1,6−ヘキシル
ジアクリレートの如きジアクリレート系単量体、テトラ
ヒドロフルフリル(メタ)アクリレートやポリエチレン
グリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリ
コール(メタ)アクリレートやフッ化(メタ)アクリレ
ート、シリコーン(メタ)アクリレートの如きアクリル
酸エステル系単量体、上記した主成分をなす単量体とは
異なる低級のエステル基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステルなども共重合用単量体としてあげられる。
【0039】上記した共重合用単量体において、マレイ
ミド系単量体やイタコンイミド系単量体は、得られるア
クリル系共重合体の飽和吸水率を殆ど上昇させない特性
を示し、接着性の改良剤として好ましく用いうる。
【0040】一方、多官能アクリレート系単量体など
も、例えば電子線等の放射線の照射により架橋剤無添加
による後架橋操作等で架橋処理する場合などの如く、必
要に応じて共重合用単量体として用いうる。かかる単量
体の例としては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ートや(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レートやネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートやト
リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレートやジペンタ
エリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ
アクリレートやポリエステルアクリレート、ウレタンア
クリレートなどがあげられる。
【0041】アクリル系共重合体の調製は、例えば1種
又は2種以上の各単量体の混合物に、溶液重合方式や乳
化重合方式、塊状重合方式や懸濁重合方式等の適宜な方
式を適用して行うことができる。塊状重合方式の場合に
は、紫外線照射による重合方式が好ましく適用しうる。
【0042】本発明において好ましく用いうるアクリル
系共重合体は、耐湿熱性等の点より重量平均分子量が4
0万以上のものであり、就中80万〜400万、特に1
00万〜300万のものである。またかかる範囲の重量
平均分子量を有するものからなる粘着剤層とすること
で、光学フィルムを所定サイズ等に切断したり、打ち抜
いたりする際などに粘着剤層のはみ出しや打ち抜き刃の
汚染などを防止することができ、切断加工性や保存性等
の実用性に優れる光学フィルムを得ることができる。
【0043】前記アクリル系共重合体の調製に際して
は、必要に応じて重合開始剤を用いうる。その使用量
は、適宜に決定しうるが一般には、単量体全量の0.0
01〜5重量%とされる。重合開始剤としては、その重
合方式に応じて熱重合開始剤や光重合開始剤などの適宜
なものを用いうる。
【0044】ちなみに熱重合開始剤の例としては、過酸
化ベンゾイルやt-ブチルパーベンゾエイト、クメンヒ
ドロパーオキシドやジイソプロピルパーオキシジカーボ
ネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートや
ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、
t-ブチルパーオキシネオデカノエートやt-ブチルパー
オキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノ
イル)パーオキシドやジプロピオニルパーオキシド、ジ
アセチルパーオキシドの如き有機過酸化物があげられ
る。
【0045】また2,2'−アゾビスイソブチロニトリル
や2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,
1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)
や2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メト
キシバレロニトリル)やジメチル2,2'−アゾビス(2
−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シ
アノバレリック酸)や2,2'−アゾビス(2−ヒドロキ
シメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−
(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]の如きアゾ
系化合物なども熱重合開始剤としてあげられる。
【0046】一方、光重合開始剤の例としては、4−
(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ
−2−プロピル)ケトンやα−ヒドロキシ−α,α’−
ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノンや
2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1
−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンや2−メチ
ル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モル
ホリノプロパン−1の如きアセトフェノン系開始剤、ベ
ンゾインエチルエーテルやベンゾインイソプロピルエー
テルの如きベンゾインエーテル系開始剤があげられる。
【0047】またベンジルジメチルケタールの如きケタ
ール系開始剤、ベンゾフェノンやベンゾイル安息香酸、
3,3'−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如き
ベンゾフェノン系開始剤、チオキサンソンや2−クロロ
チオキサンソン、2−メチルチオキサンソンや2,4−
ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン
や2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチル
チオキサンソンや2,4−ジイソプロピルチオキサンソ
ンの如きチオキサンソン系開始剤、その他、カンファー
キノンやハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシドや
アシルホスフォナートなども光重合開始剤としてあげら
れる。
【0048】その他の重合開始剤としては、過硫酸カリ
ウムや過硫酸アンモニウムや過酸化水素等、あるいはそ
れらと還元剤を併用したレドックス系開始剤などがあげ
られる。
【0049】本発明において粘着剤層は、上記したよう
に架橋処理することもできる。その場合、分子間架橋剤
による架橋処理は、粘着剤の液に分子間架橋剤を配合す
る方式などにより行うことができる。分子間架橋剤とし
ては、分子間架橋に関与する粘着剤ポリマーにおける官
能基の種類などに応じて適宜なものを用いることがで
き、特に限定はない。従って公知物のいずれも用いう
る。
【0050】ちなみに分子間架橋剤の例としては、トリ
レンジイソシアネートやトリメチロールプロパントリレ
ンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネ
ートの如き多官能イソシアネート系架橋剤、ポリエチレ
ングリコールジグリシジルエーテルやジグリシジルエー
テル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル
の如きエポキシ系架橋剤、その他、メラミン樹脂系架橋
剤や金属塩系架橋剤、金属キレート系架橋剤やアミノ樹
脂系架橋剤などがあげられる。
【0051】分子間架橋剤の配合量は、粘着剤ポリマー
における官能基の含有量などに応じて、上記した所定の
飽和吸水率を満足する範囲で適宜に決定することができ
る。一般には、粘着剤ポリマー100重量部あたり、
0.01〜20重量部、就中0.1〜15重量部、特に
0.2〜10重量部の分子間架橋剤が用いられる。
【0052】粘着剤層には、上記した所定の飽和吸水率
を満足する範囲において必要に応じ、例えば天然物や合
成物の樹脂類、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やそ
の他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤や酸化
防止剤などの粘着剤層に添加されることのある適宜な添
加剤を配合することもできる。また微粒子を含有させて
光拡散性を示す粘着剤層とすることもできる。粘着剤層
の凝集力は、ポリマーの組成や分子量、架橋方式や架橋
度、任意成分の添加などの従来に準じた方法で行うこと
ができる。
【0053】光学フィルム素材の片面又は両面への粘着
剤層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例として
は、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独
物又は混合物からなる溶媒に粘着剤を溶解又は分散させ
て10〜40重量%程度の粘着剤液を調製し、それを流
延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で光学フィルム素
材上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレー
タ上に粘着剤層を形成してそれを光学フィルム素材上に
移着する方式などがあげられる。
【0054】粘着剤層は、異なる組成又は種類等のもの
の重畳層として光学フィルム素材の片面又は両面に設け
ることもできる。また両面に設ける場合に、光学フィル
ム素材の表裏において異なる組成又は種類等の粘着剤層
とすることもできる。粘着剤層の厚さは、使用目的等に
応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmとされ
る。粘着剤層が表面に露出する場合には、実用に供する
までの間その表面をセパレータ等で保護しておくことが
好ましい。
【0055】なお本発明の光学フィルムの形成に際し
て、保護フィルム等の各種のフィルム素材の積層には、
上記した光学フィルム素材に付設する粘着剤層に準じた
ものを使用することが、耐湿熱性や光学機能維持性等の
点より好ましい。
【0056】本発明の光学フィルムは、液晶表示装置の
形成などの適宜な用途に用いうる。液晶表示装置の形成
は、本発明による光学フィルムをその粘着剤層を介して
液晶セルの片側又は両側に貼着することにより行うこと
ができる。その貼着に際しては、偏光フィルムや位相差
フィルム等が所定の配置位置となるように行われ、その
配置位置は従来に準じることができる。
【0057】ちなみに図3、図4に液晶表示装置におけ
る光学フィルムの配置例を示した。5が液晶セルであ
り、その他の符号は上記に準じる。なお図3に例示の装
置は、偏光フィルム21に反射層23を設けてなる反射
型のものであり、このように反射層は液晶セルの片側の
外側に配置される。
【0058】また図4に例示の装置は、位相差フィルム
22を用いたものである。位相差フィルムは、着色防止
や視角範囲の拡大等を目的に液晶セルの位相差を補償す
るためなどに用いられる。その場合、偏光フィルムと積
層してなる楕円偏光フィルムとして用いることもでき
る。
【0059】本発明の光学フィルムは、柔軟性を有して
湾曲面や大面積面等への適用が容易であり、任意な液晶
セル、例えば薄膜トランジスタ型に代表されるアクティ
ブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック型やス
ーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリク
ス駆動型のものなどの適宜なタイプの液晶セルに適用し
て種々の液晶表示装置を形成することができる。
【0060】
【実施例】
実施例1 冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌装置を備えた反応
容器に、アクリル酸イソオクチル99.8部(重量部、
以下同じ)、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート0.
2部、及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.3
を酢酸エチル120部と共に加えて窒素ガス気流下、6
0℃で4時間反応させた後、その反応液に酢酸エチルを
加えて、固形分濃度30重量%のアクリル系共重合体溶
液を得、それに固形分100部あたり0.1部のγ−グ
リシドキシプロピルメトキシシランと0.01部のトリ
メチロールプロパントリレンジイソシアネートを配合し
てアクリル系粘着剤を得た。なお得られたアクリル系共
重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションク
ロマトグラフィーによるポリスチレン換算(以下同じ)
で194万であった。
【0061】次に前記のアクリル系粘着剤をポリエステ
ルフィルムからなるセパレータに塗工し150℃で5分
間加熱処理して厚さ1mmの粘着剤層を得た。また同様の
操作で厚さ23μmの粘着剤層を設けた後、それを偏光
フィルム(日東電工社製、NPF−G1225DUNA
GS1)の片面に貼着して光学フィルムを得た。
【0062】実施例2 モノマーとして、アクリル酸ブチル99.6部と4−ヒ
ドロキシブチルアクリレート0.3部を用いて重量平均
分子量が170万のアクリル系共重合体を得、その容液
にトリメチロールプロパントリレンジイソシアネートを
0.3部加えたほかは実施例1に準じてアクリル系粘着
剤を調製して光学フィルムを得た。
【0063】実施例3 モノマーとして、アクリル酸イソノニル59.8部とア
クリル酸ブチル39.8部とアクリル酸2−ヒドロキシ
エチル0.4部を用いて重量平均分子量が150万のア
クリル系共重合体を得、その容液にトリメチロールプロ
パントリレンジイソシアネートを0.4部加えたほかは
実施例1に準じてアクリル系粘着剤を調製して光学フィ
ルムを得た。
【0064】比較例1 モノマーとして、アクリル酸ブチル95部とアクリル酸
5部を用いて重量平均分子量が145万のアクリル系共
重合体を得、その容液にトリメチロールプロパントリレ
ンジイソシアネートを0.8部加えたほかは実施例1に
準じてアクリル系粘着剤を調製して光学フィルムを得
た。
【0065】比較例2 モノマーとして、アクリル酸ブチル94.9部とアクリ
ル酸5部とアクリル酸2−ヒドロキシエチル0.1部を
用いて重量平均分子量が155万のアクリル系共重合体
を得、その容液にトリメチロールプロパントリレンジイ
ソシアネートを1.2部加えたほかは実施例1に準じて
アクリル系粘着剤を調製して光学フィルムを得た。
【0066】比較例3 モノマーとして、アクリル酸イソノニル99.8部とア
クリル酸2−ヒドロキシエチル0.2部を用いて重量平
均分子量が185万のアクリル系共重合体を得、その容
液にトリメチロールプロパントリレンジイソシアネート
を0.02部加えたほかは実施例1に準じてアクリル系
粘着剤を調製して光学フィルムを得た。
【0067】評価試験 飽和吸水率 実施例、比較例で得た厚さ1mmの粘着剤層(5mm×5m
m)を、50℃、90%R.H.の雰囲気中に放置し、0.
001mgオーダの測定が可能な電子天秤を用いて重量変
化を測定しつつ吸水率を求め、その吸水率が飽和したと
きの値を飽和吸水率とした。
【0068】剥離接着力 実施例、比較例に準じて厚さ50μmの粘着剤層を厚さ
25μmのポリエステルフィルム上に形成して幅20mm
に切断し、それをガラス板に2kgのゴムローラを一往
復させる方式で圧着し、50℃、5気圧のオートクレー
ブ中に30分間放置して接着状態を熟成した後、90度
剥離接着力(剥離速度100mm/分、25℃)を調べ
た。
【0069】剥離性 実施例、比較例で得たA:50mm×100mm(小サイ
ズ、以下同じ)及びB:194mm×250mm(大サイ
ズ、以下同じ)の光学フィルムをその粘着剤層を介して
厚さ1.1mmのガラス板に貼着した後、光学フィルムを
剥離してその際の作業性を次の基準で判定した。 良好:剥離作業に特に問題がなかった場合 不良:剥離作業に少し強めの抵抗感が認めらた場合 不適:剥離作業に著しい抵抗感か、ガラス板に糊残りが
認められた場合
【0070】耐熱性 実施例、比較例で得たA,B各サイズの光学フィルムを
その粘着剤層を介して厚さ1.1mmのガラス板(光学フ
ィルムより縦横各20mmずつ大サイズのもの、以下同
じ)に貼着し、50℃、5気圧のオートクレーブ中に3
0分間放置して接着状態を熟成した後、90℃の雰囲気
中で1000時間加熱して発泡、剥がれ、反りの有無を
目視観察し、次の基準で判定した。
【0071】(1)発泡 良好:直径が20μm以上の気泡が認められない場合 不良:直径が20〜50μmの気泡が認められた場合 不適:直径が50μm以上の視認性に影響する気泡が認
めらた場合 (2)剥がれ 良好:剥がれが認められない場合 不良:視認性に影響しない剥がれが認めらた場合 不適:視認性に影響する剥がれが認めらた場合 (3)反り 良好:ガラス板の反りが0.5mm未満の場合 不良:ガラス板の反りが0.5〜1mm未満の場合 不適:ガラス板の反りが1mm以上の場合
【0072】耐湿性 実施例、比較例で得たA,B各サイズの光学フィルムを
その粘着剤層を介して厚さ1.1mmのガラス板に貼着
し、50℃、5気圧のオートクレーブ中に30分間放置
して接着状態を熟成した後、60℃、95%R.H.の雰囲
気中で1000時間加熱して発泡、剥がれ、反りの有無
を目視観察し、耐熱性に準じた基準で判定した。
【0073】光学特性維持性 実施例、比較例で得たA,B各サイズの光学フィルムを
その粘着剤層を介して厚さ1.1mmのガラス板の両面に
表裏で吸収軸が直交するように貼着し、50℃、5気圧
のオートクレーブ中に30分間放置して接着状態を熟成
した後、90℃の雰囲気中で1000時間加熱し、バッ
クライト上で視認性に影響する偏光度の低下の有無を調
べ、次の基準で判定した。 優良:全体に視認性に影響する偏光度の低下が認められ
ない場合 良好:端部に視認性に影響する偏光度の低下が僅かに認
めらた場合 不適:全体に視認性に影響する偏光度の低下が認めらた
場合
【0074】前記の結果を表1、表2、表3に示した。
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
【表3】
【0077】表1、表2、表3より、光学フィルムをそ
の粘着剤層を介して液晶セルに貼着後、セルを損傷させ
ずに容易に剥離でき、しかも液晶セルに対し安定した接
着力を示して加熱加湿処理しても発泡や剥がれ、光学特
性の低下やセルの反りを生じないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学フィルム例の断面図
【図2】他の光学フィルム例の断面図
【図3】液晶表示装置例の断面図
【図4】他の液晶表示装置例の断面図
【符号の説明】
2:光学フィルム素材 21:偏光フィルム 22:位相差フィルム 23:反射層 3:粘着剤層 5:液晶セル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 良和 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 宮内 和彦 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 山岡 尚志 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 50℃、90%R.H.での飽和吸水率が
    0.60重量%以下で、かつ剥離側被着体に対する90
    度剥離接着力が600g/20mm以下である粘着剤層を、
    光学フィルム素材の片面又は両面に有することを特徴と
    する光学フィルム。
  2. 【請求項2】 請求項1において、光学フィルム素材が
    偏光フィルム、反射型偏光フィルム又は位相差フィルム
    である光学フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、光学フィルム
    素材が請求項1に記載の粘着剤層を介して、偏光フィル
    ムと位相差フィルムを積層した楕円偏光フィルム、又は
    反射型偏光フィルムと位相差フィルムを積層した反射型
    楕円偏光フィルムである光学フィルム。
  4. 【請求項4】 液晶セルの片側又は両側に請求項1〜3
    に記載の光学フィルムの少なくとも1枚が貼着されてな
    ることを特徴とする液晶表示装置。
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