JPH09279712A - 吸音パネルの取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸音材の防水性・耐侯性を高めると共に、吸
音パネルの取付時の施工性・取付安定性の向上を図る。 【解決手段】 底部６の幅方向両側から弾性を有する立
上がり側部７を立設して、この立上がり側部７の縁部内
側に嵌合爪部８を形成した複数の方立部材２を幅方向に
所定間隔をおいて配設する。一方、パネル板３の幅方向
両側から弾性を有する立上がり側部１０を立設して、こ
の立上がり側部１０の縁部内側に嵌合爪部１１を形成し
た吸音パネル５を隣接する方立部材２間に配設する。そ
して、この吸音パネル５の両側の嵌合爪部１１を上記隣
接する方立部材２の隣接側の嵌合爪部８に嵌合着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は壁面等の吸音処理に
採用して好適な吸音パネルの取付構造に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】壁面に吸音処理を必要とする施設として
は、例えば多数の騒音源をもつゴミ焼却場がある。なか
でも熱交換設備の中の蒸気復水器室は多数の送風機やポ
ンプ配管のある吹抜空間であり、その上部周壁からの回
折音が騒音となることから、壁面に吸音処理を施すこと
が必要となる。

【０００３】吸音処理の具体策としては壁面に吸音材を
付設する方法が一般的であるが、上記蒸気復水器室のよ
うな吹抜空間の壁に吸音材を貼るについては、材料の防
水性・耐候性が不可欠であり、さらに施工場所が高い位
置のため、取付時の施工性の良さが要求されると共に、
風圧力による剥落についての配慮が必要とされる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は叙上の如き実
状に対処し、吸音材をパネル板の内部に収納して吸音パ
ネルを形成する一方、この吸音パネルの取付部周辺に嵌
合式構造を採用することにより、吸音材の防水性・耐候
性を高めるとともに取付時の施工性・取付安定性の向上
を図ることを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】すなわち、上記目的に適
合する本発明の吸音パネルの取付構造は、壁面等の構造
材に固定される方立部材と、中空パネル板の内部に吸音
材を収納した吸音パネルとを有し、底部の幅方向両側か
ら弾性を有する立上がり側部を立設して、この立上がり
側部の縁部内側に嵌合爪部を形成した複数の方立部材を
幅方向に所定間隔をおいて配設すると共に、パネル板の
幅方向両側から弾性を有する立上がり側部を立設して、
この立上がり側部の縁部内側に嵌合爪部を形成した上記
吸音パネルを隣接する方立部材間に配設し、この吸音パ
ネルの両側の嵌合爪部を上記隣接する方立部材の隣接側
の嵌合爪部に嵌合着したことを特徴とする。

【０００６】また、上記本発明の吸音パネルの取付構造
において、上記中空パネル板を耐蝕性金属板により形成
すると共に、上記吸音材を防水性と耐候性を有するフィ
ルムにより包装せしめて上記中空パネル板に収納するこ
とも、吸音材の防水性・耐候性をさらに高める上で好適
である。

【０００７】さらに、上記本発明の吸音パネルの取付構
造において、上記方立部材と吸音パネルの各嵌合爪部を
夫々、立上がり側部の端縁部から内側に下降傾斜する斜
面部と、この斜面部の端縁部から立上がり側部側に略水
平に延出された水平部とにより形成することも好適であ
る。

【０００８】一方、音を遮断する遮音板を併用する場合
は、吸音パネルの後方に遮音板を並設して、隣接する方
立部材間に配設すると共に、この遮音板の幅方向両側
に、方立部材の嵌合爪部に拡開して外嵌する、この嵌合
爪部とほぼ同形の弾性を有する外嵌爪部を形成し、この
遮音板の外嵌爪部を方立部材の嵌合爪部に外嵌して、上
記吸音パネルの嵌合爪部を方立部材の嵌合爪部に嵌合着
することが好適である。

【０００９】

【作用】上記本発明の吸音パネルの取付構造において
は、吸音パネルの嵌合爪部を方立部材の嵌合爪部に単に
押し込むことにより、吸音パネルの構造材への取付けを
完了することが可能である。さらに上記吸音パネルの嵌
合取付は、構造材の下部や上部あるいは高さ方向の中央
箇所などから、吸音パネルを嵌合後に上下に摺動させな
がら行えることから、施工順序に限定されることなく、
また、地面や建物の屋根または壁面等の何れの箇所から
でも施工することができ、この点からも施工効率を向上
させることが可能である。

【００１０】そして、本発明では遮音板を併用する場合
でも、前記の如く遮音板に外嵌爪部を形成して方立部材
の嵌合爪部に外嵌することにより、遮音板の取付けも吸
音パネルと同じく簡便に行えると共に、吸音パネル自体
の取付けも遮音板がない場合と何ら変わることなく同じ
手順で効率よく行うことが可能である。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下さらに添付図面を参照して、
本発明の実施の形態を説明する。

【００１２】図１は本発明の実施形態に係る吸音パネル
の取付構造を示す断面平面図、図２は同、斜視図、図３
は同実施形態の方立部材を示す断面図、図４は同実施形
態の吸音パネルを示す部分断面図である。

【００１３】上記実施形態の吸音パネルの取付構造は、
図１に示すように、胴縁１を介して壁面等の構造材に固
定される金属製の方立部材２と、図４にも示すように中
空パネル板３の内部に吸音材４を収納した吸音パネル５
とからなる。上記中空パネル板３の前面には多数の貫通
小孔１４（図２参照）が全体にわたって穿設されてい
る。なお、中空パネル板３の後面は、一部削除すること
も可能である。そして、図３に示す如く、方立部材２の
底部６の幅方向両側から弾性を有する立上がり側部７を
直角に立設して、この立上がり側部７の縁部内側に嵌合
爪部８を縁部に沿い連続して形成している。そして、か
かる構成の方立部材２を複数、図１に示すように幅方向
に、上記吸音パネル５の幅より若干短い一定間隔をおい
て前記胴縁１にボルト９によって固定している。

【００１４】一方、前記吸音パネル５においては、図
１、図４に示すように、パネル板３の幅方向両側から後
述する金属板により弾性を有する立上がり側部１０をパ
ネル後方に直角に立設して、この立上がり側部１０の縁
部内側に嵌合爪部１１を縁部に沿い連続して形成してい
る。そして、かかる構成の吸音パネル両側の嵌合爪部１
１を、図１に示す如く隣接する方立部材２の隣接側の嵌
合爪部８に嵌合着させている。

【００１５】上記方立部材２と吸音パネル５の各嵌合爪
部８、１１は、夫々図３、図４に示すように、立上がり
側部７、１０の端縁部から内側に下降傾斜する斜面部１
２と、この斜面部１２の端縁部から立上がり側部７、１
０側に水平に延出された水平部１３とによって形成され
ており、上記斜面部１２が案内面となることから、吸音
パネル５を前記所定位置で方立部材２に押し付けるだけ
で嵌合がなされて吸音パネル２の取付を行うことができ
る。

【００１６】また、上記吸音パネル５は、図４に示すよ
うに、前面のみをパンチングメタルとした中空パネル板
３を、耐蝕メッキを施した薄い鋼板やアルミ、ステンレ
ス板等の耐蝕性金属板により形成すると共に、前記吸音
材４をこの例ではグラスウールボードとして、この吸音
材４を厚み数十μｍのポリエチレンフィルムや特に耐候
性の強いフッソ樹脂フィルムの袋（図示せず）に封入し
ている。これにより、吸音材４の防水性や耐侯性を一層
高めることが可能である。

【００１７】しかして、上記本発明実施形態の吸音パネ
ルの取付構造においては、吸音パネル５の嵌合爪部１１
を方立部材２の嵌合爪部８の位置に合わせて吸音パネル
５を押し付けることにより、上記両嵌合爪部８、１１が
案内し合って自動的に嵌合することから、上記パネル５
の押し付けのみによって吸音パネル５の構造材への取付
けを完了することが可能である。

【００１８】そしてさらに上記吸音パネル５の嵌合取付
は、構造材の下部や上部あるいは高さ方向の中央箇所な
どから、吸音パネル５を嵌合後に上あるいは下に摺動さ
せながら行えることから、施工順序に限定されることな
く、また地面や建物の屋根または壁面等の何れの箇所か
らでも施工することができ、この点からも施工効率を向
上させることが可能である。

【００１９】次に、吸音パネルの後方に、音を遮蔽して
外部への漏洩を防止する遮音板を並設する本発明の実施
の形態を説明する。

【００２０】図５は上記実施形態を示す部分断面図、図
６は同実施形態の遮音板の取付け状態を示す部分斜視
図、図７は図６のＸ部を示す断面図である。なお、図に
おいて、方立部材２と吸音パネル５の取付構造は先に説
明した例と同様であるため、同一符合を付すことにより
説明を省略する。

【００２１】すなわち、この実施形態の取付構造は、図
５に示す如く吸音パネル５の後方に遮音板１５を並設し
て、隣接する方立部材２間に配設すると共に、この遮音
板１５の幅方向両側に、図６にも示す如く方立部材２の
嵌合爪部８に拡開することによって外嵌される外嵌爪部
１６を形成している。この外嵌爪部１６は、上記嵌合爪
部８とほぼ同じ形状の弾性材からなり、嵌合爪部８の斜
面部１２に重合される外嵌斜面部１２′と、水平部１３
の一部に重合される外嵌水平部１３′とを備えている。
この外嵌水平部１３′の端縁と遮音板１５の側壁１７と
の間には間隙１８が形成されており、この間隙１８から
上記嵌合爪部８が外嵌爪部１６を開くように弾性変形さ
せながら押し入れられる。

【００２２】そして、図５，図６に示すように、上記遮
音板１５の外嵌爪部１６を上記方立部材２の嵌合爪部８
に外嵌した状態で、図５に示す如く吸音パネル５の嵌合
爪部１１を方立部材２の嵌合爪部８に嵌合着している。

【００２３】なお、上記遮音板１５はこの例では、浅い
側壁１７を４方に有する長方形の鉄板からなり、遮音板
１５同士の合わせ部は、図６，図７に示すように、側壁
１７同士を断面Ｕ字状のクリップ部材１９で継なぐこと
により音漏れ防止が図られている。

【００２４】このように、上記本発明の実施形態におい
ては、遮音板１５を併用する場合でも、上述の如く遮音
板１５に外嵌爪部１６を形成して方立部材２の嵌合爪部
８に外嵌することにより、遮音板１５の取付けも吸音パ
ネル５と同じく簡便に行えると共に、吸音パネル５自体
の取付けも遮音板１５がない場合と何ら変わることなく
同じ手順で効率よく行うことが可能である。

【００２５】以上、本発明の実施形態を説明したが、例
えば図５のような状態で、騒音源が逆側（図示下側）に
あるような場合は、遮音板１５と吸音パネルのパネル板
３の後面とを有孔板状とする一方、パネル板３の前面を
無孔として遮音板状とすることにより、この逆方向から
の騒音に対処することが可能である。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の吸音パネ
ルの取付構造は、底部の幅方向両側から弾性を有する立
上がり側部を立設して、この立上がり側部の縁部内側に
嵌合爪部を形成した複数の方立部材を幅方向に所定間隔
をおいて配設すると共に、パネル板の幅方向両側から弾
性を有する立上がり側部を立設して、この立上がり側部
の縁部内側に嵌合爪部を形成した吸音パネルを隣接する
方立部材間に配設し、この吸音パネルの両側の嵌合爪部
を上記隣接する方立部材の隣接側の嵌合爪部に嵌合着し
たものであり、吸音パネルの嵌合爪部を方立部材の嵌合
爪部に単に押し込むことにより、吸音パネルの構造材へ
の取付けを完了することが可能で、しかも上記吸音パネ
ルの嵌合取付は、構造材の下部や上部あるいは高さ方向
の中央箇所などから、吸音パネルを嵌合後に上下に摺動
させながら行えることから、施工順序に限定されること
なく、また地面や建物の屋根または壁面等の何れかの箇
所からでも施工することができるとの顕著な効果を奏す
るものである。

【００２７】また、吸音材を中空パネル板内に収納する
ことにより吸音材の防水性・耐侯性を高めると共に、さ
らに上記パネル板を耐蝕性金属で形成し且つ上記吸音材
をフィルムで包装することにより、上記吸音材の防水性
および耐侯性を一層高めることが可能である。さらに、
上記方立部材と吸音パネルの各嵌合爪部を夫々、立上が
り側部の端縁部から内側に下降傾斜する斜面部と、この
斜面部の端縁部から立上がり側部に略水平に延出された
水平部とによって形成することにより、吸音パネルの嵌
合固定をより一層簡略化することが可能となる。

【００２８】そして、吸音パネルとともに遮音板を併用
する場合でも、遮音板に外嵌爪部を形成して方立部材の
嵌合爪部に外嵌することにより、遮音板の取付けも上記
吸音パネルの取付け同様に極めて簡便に行えると共に、
吸音パネル自体の取付けも遮音板がない場合と何ら変わ
ることなく同じ手順で効率よく行うことが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態に係る吸音パネルの取付構造
を示す断面平面図である。

【図２】同、斜視図である。

【図３】同実施形態の方立部材を示す断面図である。

【図４】同実施形態の吸音パネルを示す部分断面図であ
る。

【図５】吸音パネルの後方に遮音板を並設した実施の形
態を示す部分断面図である。

【図６】同実施形態の遮音板の取付け状態を示す部分斜
視図である。

【図７】図６のＸ部を示す断面図である

【符号の説明】

１ 胴縁 ２ 方立部材 ３ 中空パネル板 ４ 吸音材 ５ 吸音パネル ６ 底部 ７ 立上がり側部 ８ 嵌合爪部 ９ ボルト １０ 立上がり側部 １１ 嵌合爪部 １２ 斜面部 １２′外嵌斜面部 １３ 水平部 １３′外嵌水平部 １４ 貫通小孔 １５ 遮音板 １６ 外嵌爪部 １７ 側壁 １８ 間隙 １９ クリップ部材

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 壁面等の構造材に固定される方立部材
   と、中空パネル板の内部に吸音材を収納した吸音パネル
   とを有し、底部の幅方向両側から弾性を有する立上がり
   側部を立設して、この立上がり側部の縁部内側に嵌合爪
   部を形成した複数の方立部材を幅方向に所定間隔をおい
   て配設すると共に、パネル板の幅方向両側から弾性を有
   する立上がり側部を立設して、この立上がり側部の縁部
   内側に嵌合爪部を形成した上記吸音パネルを隣接する方
   立部材間に配設し、この吸音パネルの両側の嵌合爪部を
   上記隣接する方立部材の隣接側の嵌合爪部に嵌合着した
   ことを特徴とする吸音パネルの取付構造。
2. 【請求項２】 上記中空パネル板を耐蝕性金属板により
   形成すると共に、上記吸音材を防水性と耐候性を有する
   フィルムにより包装せしめて上記中空パネル板に収納し
   た請求項１記載の吸音パネルの取付構造。
3. 【請求項３】 上記方立部材と吸音パネルの各嵌合爪部
   が夫々、立上がり側部の端縁部から内側に下降傾斜する
   斜面部と、この斜面部の端縁部から立上がり側部側に略
   水平に延出された水平部とにより形成された請求項１ま
   たは２記載の吸音パネルの取付構造。
4. 【請求項４】 吸音パネルの後方に遮音板を並設して、
   隣接する方立部材間に配設すると共に、この遮音板の幅
   方向両側に、方立部材の嵌合爪部に拡開して外嵌する、
   この嵌合爪部とほぼ同形の弾性を有する外嵌爪部を形成
   し、この遮音板の外嵌爪部を方立部材の嵌合爪部に外嵌
   して、上記吸音パネルの嵌合爪部を方立部材の嵌合爪部
   に嵌合着した請求項３記載の吸音パネルの取付構造。