JPH09279137A - 陰極線管用蛍光体 - Google Patents

陰極線管用蛍光体

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JPH09279137A
JPH09279137A JP8806196A JP8806196A JPH09279137A JP H09279137 A JPH09279137 A JP H09279137A JP 8806196 A JP8806196 A JP 8806196A JP 8806196 A JP8806196 A JP 8806196A JP H09279137 A JPH09279137 A JP H09279137A
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JP
Japan
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phosphor
silica
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zns
vtes
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Withdrawn
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JP8806196A
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English (en)
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Yasumasa Oya
恭正 大屋
Yasuhiro Shirakawa
康博 白川
Satoshi Sugano
智 菅野
Hiroji Shigenobu
広二 重信
Tomohito Inoue
智仁 井上
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Toshiba Corp
Toshiba Development and Engineering Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 付着力特性を改善すると共に、陰極線管の製
造工程上の不都合を解消した陰極線管用蛍光体を提供す
る。 【解決手段】 蛍光体表面に鎖状シリカおよび粒状シリ
カの双方を付着してなる陰極線管用蛍光体、および蛍光
体表面にシリカおよびビニルトリエトキシシランの双方
を付着してなる陰極線管用蛍光体である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は陰極線管用蛍光体に
係り、特に蛍光面塗布特性を改善した陰極線管用蛍光体
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の情報化社会の進展の中で、カラー
陰極線管はいわゆるハイビジョンテレビや各種コンピュ
ータ端末ディスプレイ等として高機能化が進んでいる。
家庭用カラーテレビジョンにおいても、マルチメディア
の情報端末等として、大型化、高コントラスト化、高精
細化が望まれるところである。このようなことから、カ
ラー陰極線管等の出力画面である蛍光面の特性改良が求
められている。
【0003】従来より、カラー陰極線管の蛍光面形成に
は、スラリー塗布・光印刷法が用いられている。すなわ
ち、蛍光体粉末を重クロム酸塩とポリビニルアルコール
からなる感光性樹脂溶液等に分散させた蛍光体スラリー
を、ガラスパネル面に回転塗布する。その後、所定のマ
スクパターンを通した紫外線で露光することにより不溶
部分を形成し、可溶部分は純水等により現像処理する。
赤色、青色、緑色の各色に発光する蛍光体を、それぞれ
ドット状あるいはストライプ状に所定パターンで配置す
ることによって、カラー陰極線管の蛍光面が形成され
る。
【0004】蛍光面の特性としては、形成されるドット
あるいはストライプの形状が真円あるいは直線に近いこ
と、混色の発生がなく色純度が高いこと、発光が均一で
緻密なこと等が必要とされる。従って、用いる蛍光体に
は、スラリー中での分散性がよく、ガラスパネルへの付
着力が強く、他色の蛍光体への混色がないこと等の特性
が要求される。このため、従来から蛍光体表面に二酸化
珪素を珪酸亜鉛や燐酸亜鉛で接着させる等によって、蛍
光体の表面改質が行われてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、蛍光面
の高精細化、大型化、高色純度化等に対する要求は益々
強くなる一方であり、用いる蛍光体に対してもさらなる
特性向上が求められている。すなわち、従来の表面処理
を施した蛍光体では、大画面で高精細というハイビジョ
ンテレビやマルチメディア端末の蛍光面を形成する際
に、蛍光面の発光均一性や無欠点特性等に関して十分満
足な結果は得られていない。また、蛍光面製造時におけ
る工程時間の短縮や作業性の向上、あるいは製造歩留り
向上を図る上でも、蛍光体のさらなる特性改良が急務と
されている。
【0006】ここで、蛍光面塗布特性の改善において、
重要な特性の一つとして付着力特性が挙げられ、これは
蛍光体の表面状態に大きく左右され、蛍光体粒子の分散
性や蛍光体表面の帯電特性に大きく依存することが知ら
れている。この付着力特性は紫外線露光量に対する現像
後の蛍光体残存量で表すことができる。すなわち、所定
量の紫外線を照射した後、現像を行って所定範囲にドッ
トあるいはストライプを形成し、所定範囲内のドットあ
るいはストライプの残留面積の大きい蛍光体が付着力特
性に優れるということができる。
【0007】付着力特性を改善するために、例えば蛍光
体表面に二酸化珪素や珪酸亜鉛を接着させる際に、水酸
化亜鉛や酸化亜鉛を同時に接着させて表面改質する方法
が採られている。これらの表面処理剤は、従来の実用範
囲においては被覆量が多ければ多いほど露光感度が高く
なることが知られている。従って、付着力特性にのみ着
目した場合は、表面処理剤の被覆量を増加すればよいこ
とになる。
【0008】しかし、このような付着力特性の向上を図
った蛍光体スラリーでは、熱的感度も高くなる場合が多
く、このためブラウン管製造工程中におけるガラスパネ
ル温度の上昇等によって、ドット径あるいはストライプ
幅が規格以上に大きくなったり、紫外線照射されていな
い蛍光体が現像後もガラスパネル上や他色の蛍光体上に
残留することがあるという問題を招いている。これら
は、いずれも蛍光面の特性を著しく劣化させることにな
り、また蛍光面の製造において歩留りの低下をもたらす
ことになる。このような状況にあっては、カラー陰極線
管のさらなる大型化、高精細化等に対する要求を満足す
る蛍光体特性を有するとは言い難いのが現状である。
【0009】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、付着力特性を改善すると共に、陰極
線管の製造工程上の不都合を解消した陰極線管用蛍光体
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
目的を達成するために種々の表面処理法を検討した結
果、蛍光体の表面処理工程において粒状シリカと鎖状シ
リカとを共に付着させること、あるいはシリカとビニル
トリエトキシシランとを共に付着させることによって、
蛍光面塗布特性が大幅に改善されることを見出した。
【0011】本発明はこのような知見に基いてなされた
もので、第1の発明による陰極線管用蛍光体は、請求項
1に記載したように、蛍光体表面に粒状シリカと鎖状シ
リカとが共に付着していることを特徴としている。
【0012】また、第2の発明による陰極線管用蛍光体
は、請求項5に記載したように、蛍光体表面にシリカと
ビニルトリエトキシシランとが共に付着していることを
特徴としている。
【0013】蛍光体の表面に粒状シリカおよび鎖状シリ
カの双方、あるいはシリカおよびビニルトリエトキシシ
ランの双方を付着してなる本発明の陰極線管用蛍光体
は、蛍光面塗布特性における付着力特性が著しく向上す
るため、蛍光面作製工程の種々の塗布条件に余裕度をも
たらす。従って、蛍光面の塗布特性を改善することが可
能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0015】まず、第1の発明による陰極線管用蛍光体
の実施形態について述べる。第1の発明による陰極線管
用蛍光体は、蛍光体表面に粒状シリカおよび鎖状シリカ
を共に付着させたものである。
【0016】ここで、鎖状シリカは周知の通り安定な水
性ゾル状態を形成し、蛍光体に対して優れた接着性を示
すと共に、化学的に安定であることから、ブラウン管等
の塗布工程で用いられる各種薬品に対して十分その機能
を発揮するものである。用いる鎖状シリカは、その 1次
粒子として幅 5〜20 mμm 、長さ40〜 300 mμm の形状
を有することが好ましい。このような形状を有する鎖状
シリカは蛍光体表面への接着性が特に良好であり、蛍光
体スラリー中で蛍光体からの鎖状シリカの剥離を十分に
防止することができる。
【0017】なお、表面処理工程では、鎖状シリカを水
性ゾル状態で用いることが好ましいが、必ずしもこれに
限定されるものではなく、場合によっては分散媒を有機
溶剤とした鎖状シリカでもよく、また結晶水を含む状態
の水性ゾルでもよい。
【0018】上記したような鎖状シリカの付着量は、蛍
光体に対して 1×10-4〜 5×10-1重量% の範囲とするこ
とが好ましく、さらに好ましくは 1×10-3〜 2×10-1
量%の範囲である。この付着量の限定理由についは後に
詳述する。
【0019】一方、粒状シリカとしては通常のコロイダ
ルシリカ等を使用することができ、蛍光体の分散性向上
等に寄与する形状、例えば5〜100 mμm 程度の粒径
を有するものであればよく、特に球状シリカを用いるこ
とが好ましい。粒状シリカの付着量は粒径により若干の
差があるものの、通常蛍光体に対して 1×10-2〜 5×10
-1重量% 程度とすることが好ましい。粒状シリカの粒径
が小さい場合には、付着量が少なくても十分な効果をあ
げることができる等、粒状シリカの粒径等に応じて付着
量を設定することが好ましい。
【0020】鎖状シリカおよび粒状シリカを付着させる
母体となる蛍光体は特に限定されるものではなく、一般
的に陰極線管用の蛍光体として用いられているものであ
れば種々の蛍光体を適用することができる。実用的な観
点からは、ZnS:Ag,Cl蛍光体、コバルトアルミ
ネート顔料付きZnS:Ag,Cl蛍光体、ZnS:A
g,Al蛍光体、コバルトアルミネート顔料付きZn
S:Ag,Al蛍光体、ZnS:Cu,Al蛍光体、Z
nS:Cu,Au,Al蛍光体、Y2 2 S:Eu蛍光
体、べんがら顔料付きY2 2 S:Eu蛍光体等の蛍光
体を用いることが好ましい。これらの蛍光体はカラー陰
極線管用蛍光体として広く使用されていると共に有用で
あり、従って塗布特性の改善が急務となっている蛍光体
である。
【0021】鎖状シリカおよび粒状シリカを上記したよ
うな蛍光体表面に付着させる方法としては、安定した付
着状態が得られることから、通常用いられている珪酸亜
鉛法を適用することが好ましい。すなわち、予め蛍光体
と鎖状シリカおよび粒状シリカとを分散させた水溶液
に、水ガラスと硫酸亜鉛を添加して珪酸亜鉛を生成する
ことによって、鎖状シリカおよび粒状シリカを蛍光体表
面に付着させることができる。その付着力は非常に強固
であり、機械的な摩擦や振動によって容易に剥離するこ
とはない。また、蛍光体表面に鎖状シリカおよび粒状シ
リカを付着させる際に、これらを順に付着させることに
よって、鎖状シリカと粒状シリカとの間の固着による粒
状シリカの付着不良等を防止することができる。
【0022】なお、蛍光体の表面に鎖状シリカおよび粒
状シリカが付着した状態は、電子顕微鏡により容易に観
察することができる。
【0023】上記した表面処理法により蛍光体表面に粒
状シリカと共に付着させた鎖状シリカの効果は、以下に
示す通りである。鎖状シリカの付着効果を次のように評
価した。
【0024】鎖状シリカを接着させた蛍光体を、重クロ
ム酸塩とポリビニルアルコールからなる感光性樹脂溶液
に分散させて蛍光体スラリーを調合する。この蛍光体ス
ラリーをガラスパネルに回転塗布し、所望の膜厚とした
後に乾燥する。得られた塗布パネルにドットマスクを通
して紫外線を照射して露光した後、温純水により現像を
行い、ドット型の蛍光面を作製する。露光に際しては、
ドットマスク前面にステップ領域毎に透過率の減少する
円形のNDフィルタを設置し、紫外線照射量による付着
力の変化を観測した。すなわち、ある露光量に対して所
定透過率のステップ領域に残留している蛍光体の面積を
測定し、従来例と比較した。従って、残留率が高いほど
蛍光体の付着力特性が優れることになる。また、付着力
特性の目安としては、蛍光体の欠落が始まる露光量で判
断することもできる。
【0025】鎖状シリカを接着させた蛍光体は、従来の
表面処理を施した蛍光体に対して同一露光量でのガラス
パネルに対する残留量が多く、また蛍光体が欠落を開始
する際の露光量が少ないことが判明した。これらのこと
から、蛍光体表面に鎖状シリカを接着した陰極線管用蛍
光体によれば、陰極線管の製造工程上の不都合を解消し
た上で、蛍光面塗布特性の改善に重要な付着力特性を向
上させることができ、蛍光面の高精細化、大型化、高色
純度化等が要求されているカラー陰極線管等に十分に対
応することが可能となる。
【0026】蛍光体への鎖状シリカの付着量は蛍光面へ
の塗膜特性、特にガラスパネル面上の残渣特性および蛍
光体上の混色特性等から規定される。残渣特性および混
色特性はいずれも蛍光体の不要な残留によるものであ
り、不要発光による色純度の低下や発光色の不均一をも
たらし、蛍光面品位の劣化要因となる。図1は、同一露
光量下において、ZnS:Ag,Cl蛍光体への鎖状シ
リカの付着量とガラスパネル上での残留蛍光体粒子数
(残渣量)との関係を示す(横軸は対数目盛り)図であ
る。残渣量は、光学顕微鏡にてガラスパネル上のドット
間を観察し、そこに残留する蛍光体粒子数を測定値とし
た。また、サンプリングは異なる 3ヶ所で実施し、その
平均値を残渣量とした。図1から明らかなように、蛍光
体への鎖状シリカの付着量は、蛍光体に対して 1×10-4
重量% 以上とすることが好ましく、さらに好ましくは 1
×10-3重量% 以上である。このような付着量の場合に、
実用的な鎖状シリカの効果が得られることが理解され
る。
【0027】ただし、蛍光体表面への鎖状シリカの接着
は、ガラスパネルに対する付着力特性としては望ましい
ものの、むやみに接着量(付着量)を多くするとその他
の塗膜特性に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、蛍
光体への鎖状シリカの付着量は、蛍光体に対して 5×10
-1重量% 以下とすることが好ましく、さらに好ましくは
2×10-1以下である。
【0028】次に、第2の発明による陰極線管用蛍光体
の実施形態について述べる。第2の発明による陰極線管
用蛍光体は、蛍光体表面にシリカ(二酸化珪素)をビニ
ルトリエトキシシラン(以下、VTESと記す)と共に
付着させたものである。
【0029】VTESは、水溶液系の表面処理剤として
使用可能なものであって、蛍光体に対して優れた接着性
を示すものである。VTESの付着量は、蛍光体に対し
て 1×10-5〜 5×10-1重量% の範囲とすることが好まし
く、さらに好ましくは 1×10-4〜 2×10-1重量% の範囲
である。この付着量の限定理由については後に詳述す
る。
【0030】一方、VTESと共に付着させるシリカは
特に限定されるものではなく、蛍光体の分散性向上等に
寄与する形状、例えば5〜100 mμm 程度の粒径を有
する粒状シリカ等が用いられる。シリカの付着量は粒径
等により若干の差があるものの、通常蛍光体に対して 1
×10-2〜 5×10-1重量% 程度とすることが好ましい。上
述したシリカおよびVTESを付着させる母体となる蛍
光体は、前述した第1の発明における蛍光体と同様であ
る。
【0031】シリカをVTESと共に蛍光体表面に付着
させる方法としては、通常用いられているディップ−キ
ュア法を適用することが好ましい。すなわち、あらかじ
めシリカおよびVTESを分散させた水溶液に蛍光体を
浸し、濾過、乾燥することによって、蛍光体表面にシリ
カをVTESと共に強固に付着させることができる。そ
の付着力は非常に強固であり、機械的な摩擦や振動によ
って容易に剥離することはない。
【0032】上記した表面処理法により蛍光体表面にシ
リカと共に付着させたVTESの効果は以下に示す通り
である。VTESの付着効果を前述した第1の発明の場
合と同様にして評価した。
【0033】VTESを接着させた蛍光体は、従来の表
面処理を施した蛍光体に対して、同一露光量でのガラス
パネルに対する残留量が多く、また蛍光体が欠落を開始
する際の露光量が少ないことが判明した。これらのこと
から、蛍光体表面にVTESを接着した陰極線管用蛍光
体によれば、陰極線管の製造工程上の不都合を解消した
上で、蛍光面塗布特性の改善に重要な付着力特性を向上
させることができ、蛍光面の高精細化、大型化、高色純
度化等が要求されているカラー陰極線管等に十分に対応
することが可能となる。
【0034】蛍光体へのVTESの付着量は蛍光面への
塗膜特性、特にガラスパネル面上の残渣特性および蛍光
体上の混色特性等から規定される。残渣特性および混色
特性はいずれも蛍光体の不要な残留によるものであり、
不要発光による色純度の低下や発光色の不均一をもたら
し、蛍光面品位の劣化要因となる。図2は、同一露光量
下において、ZnS:Ag,Cl蛍光体へのVTESの
付着量とガラスパネル上での残留蛍光体粒子数(残渣
量)との関係を示す(横軸は対数目盛り)図である。残
渣量は光学顕微鏡にてガラスパネル上のドット間を観察
し、そこに残留する蛍光体粒子数を測定値とした。ま
た、サンプリングは異なる 3ヶ所で実施し、その平均値
を残渣量とした。図2から明らかなように、蛍光体への
VTESの付着量は、蛍光体に対して 1×10-5重量% 以
上とすることが好ましく、さらに好ましくは 1×10-4
量% 以上である。このような付着量の場合に、実用的な
VTESの効果が得られることが理解される。
【0035】ただし、蛍光体表面へのVTESの接着
は、ガラスパネルに対する付着力特性としては望ましい
ものの、むやみに接着量(付着量)を多くするとその他
の塗膜特性に悪影響を及ぼすおそれがある。従って、蛍
光体へのVTESの付着量は、蛍光体に対して 5×10-1
重量% 以下とすることが好ましく、さらに好ましくは 2
×10-1重量% 以下である。
【0036】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0037】まず、第1の発明の実施例について述べ
る。
【0038】実施例1 脱イオン水5L中にZnS:Ag,Cl蛍光体 1kgを分散
させた後、コロイダルシリカ(球状シリカ)の 10%溶液
1ccを添加して撹拌しておく。この分散液に、水ガラス
の 40%溶液を10ccおよび鎖状シリカの3%水溶液を10cc添
加して15分間撹拌した。その後、硫酸亜鉛の 10%溶液 1
00ccを加えてさらに15分間撹拌した。撹拌後、脱イオン
水で十分に洗浄したのち濾過を行い、 120℃で 6時間乾
燥した。その後、 300メッシュで篩別することにより、
球状シリカおよび鎖状シリカで被覆されたZnS:A
g,Cl蛍光体を得た。
【0039】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は球状シリカおよび鎖状シリカにより被覆されてい
ることが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆された
鎖状シリカの量は、ZnS:Ag,Cl蛍光体1gに対し
て0.00024gであった。
【0040】また、従来例として、鎖状シリカを添加し
ない以外は実施例1と全く同じ条件で、ZnS:Αg,
Cl蛍光体を作製した。
【0041】こうして得られた各蛍光体を、通常の重ク
ロム酸アンモニウムとポリビニルアルコールからなる感
光性樹脂溶液に分散させ、蛍光体スラリーを調合した
後、この蛍光体スラリーをガラスパネルに塗布し、紫外
線露光法により蛍光面を作製した。そして、露光量に対
する残留ドット領域の面積を測定することで、ガラスパ
ネルに対する蛍光体の付着力の評価を行った。
【0042】なお、ガラスパネルに対する蛍光体の付着
力の評価は、具体的にはガラスパネル中央の直径 8cmの
円形部だけが露光されるように窓を設け、その露光窓に
ステップ領域毎に透過率の減少するNDフィルターを設
置し、ドットマスクを通して紫外線を露光した後、脱イ
オン水にて現像を行い、所定透過率ステップ領域で残留
している蛍光体の面積を測定することにより行われた。
この結果を、表1に示す。
【0043】
【表1】 表中の紫外線露光量は、露光中の照射紫外線をガラスパ
ネル側面から測定した紫外線積算量 14mJ/cm2 を100%と
し、その相対値として表した。また、蛍光体残留率は、
紫外線露光された全ての領域(面積)の蛍光体が残留し
た場合を100%とし、その相対値として表した。
【0044】表1から明らかなように、従来例では露光
量 80%で既に一部の欠落が始まり、露光量 60%において
は残留率 72%であった。これに対して実施例1において
は、露光量 80%で残留率100%であり、露光量 60%におい
ても残留率 92%を示した。従って、鎖状シリカを付着さ
せたZnS:Αg,Cl蛍光体は、従来例のZnS:Α
g,Cl蛍光体と比べてガラスパネルへの付着力が強
く、露光感度特性に優れていることがわかる。
【0045】実施例2 脱イオン水5L中にZnS:Ag,Al蛍光体 1kgを分散
させた後、球状シリカの 10%溶液 5ccを添加して撹拌し
ておく。この分散液に、水ガラスの 40%溶液10ccおよび
鎖状シリカの5%溶液10ccを添加して15分間撹拌した。そ
の後、硫酸亜鉛の 10%溶液 100ccを加えて、さらに15分
間撹拌した。撹拌後、脱イオン水で十分に洗浄したのち
濾過を行い、 120℃で 6時間乾燥した。その後、 300メ
ッシュで篩別することにより、球状シリカおよび鎖状シ
リカで被覆されたZnS:Ag,Al蛍光体を得た。
【0046】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は球状シリカおよび鎖状シリカにより被覆されてい
ることが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆された
鎖状シリカの量は、ZnS:Ag,Al蛍光体1gに対し
て0.00031gであった。
【0047】また、従来例として、鎖状シリカを添加し
ない以外は実施例2と全く同じ条件で、ZnS:Αg,
Al蛍光体を作製した。
【0048】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例1と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例1と同様にして行った。そ
の結果を表2に示す。
【0049】
【表2】 表2から明らかなように、従来例では露光量 80%で既に
一部の欠落が始まり、露光量 60%においては残留率 63%
であった。これに対して実施例2においては、露光量 8
0%で残留率100%であり、露光量 60%においても残留率 9
1%を示した。従って、鎖状シリカを付着させたZnS:
Αg,Al蛍光体は、従来例のZnS:Αg,Al蛍光
体と比べてガラスパネルへの付着力が強く、露光感度特
性に優れていることがわかる。
【0050】実施例3 脱イオン水5L中に、予めコバルトアルミネート顔料付け
処理を施したZnS:Αg,Al蛍光体 1kgを分散させ
た後、球状シリカの 10%溶液 5ccを添加して撹拌してお
く。この分散液に、水ガラスの 40%溶液10ccおよび鎖状
シリカの5%溶液10ccを添加して15分間撹拌した。その
後、硫酸亜鉛の 10%溶液 100ccを加えて、さらに15分間
撹拌した。撹拌後、脱イオン水で十分に洗浄したのち濾
過を行い、120℃で 6時間乾燥した。その後、 300メッ
シュで篩別することにより、球状シリカおよび鎖状シリ
カで被覆された顔料付きZnS:Ag,Al蛍光体を得
た。得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および電子線マ
イクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の表面は球
状シリカおよび鎖状シリカにより被覆されていることが
確認された。なお、蛍光体の表面に被覆された鎖状シリ
カの量は、顔料付きZnS:Ag,Al蛍光体1gに対し
て0.00033gであった。
【0051】また、従来例として、鎖状シリカを添加し
ない以外は実施例3と全く同じ条件で、顔料付きZn
S:Αg,Al蛍光体を作製した。
【0052】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例1と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例1と同様に行った。その結
果を表3に示す。
【0053】
【表3】 表3から明らかなように、従来例では露光量 80%で既に
一部の欠落が始まり、露光量 60%においては残留率 52%
であった。これに対して実施例3においては、露光量 8
0%で残留率100%であり、露光量 60%においても残留率 7
9%を示した。従って、鎖状シリカを付着させた顔料付き
ZnS:Αg,Al蛍光体は、従来例の顔料付きZn
S:Αg,Al蛍光体と比べてガラスパネルへの付着力
が強く、露光感度特性に優れていることがわかる。
【0054】実施例4 脱イオン水5L中に、ZnS:Cu,Al蛍光体 1kgを分
散させた後、球状シリカの 10%溶液 5ccを添加して撹拌
しておく。この分散液に、水ガラスの 40%溶液10ccおよ
び鎖状シリカの 10%溶液10ccを添加して15分間撹拌し
た。その後、硫酸亜鉛の 10%溶液 100ccを加えて、さら
に15分間撹拌した。撹拌後、脱イオン水で十分に洗浄し
たのち濾過を行い、 120℃で 6時間乾燥した。その後、
300メッシュで篩別することにより、球状シリカおよび
鎖状シリカで被覆されたZnS:Cu,Al蛍光体を得
た。
【0055】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は球状シリカおよび鎖状シリカにより被覆されてい
ることが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆された
鎖状シリカの量は、ZnS:Cu,Al蛍光体1gに対し
て 0.0007gであった。
【0056】また、従来例として、鎖状シリカを添加し
ない以外は実施例4と全く同じ条件で、ZnS:Cu,
Al蛍光体を作製した。
【0057】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例1と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例1と同様に行った。その結
果を表4に示す。
【0058】
【表4】 表4から明らかなように、従来例では露光量 80%で既に
一部の欠落が始まり、露光量 60%においては残留率 56%
であった。これに対して実施例4においては、露光量 8
0%で残留率100%であり、露光量 60%においても残留率 8
2%を示した。従って、鎖状シリカを付着させたZnS:
Cu,Al蛍光体は、従来例のZnS:Cu,Al蛍光
体と比べてガラスパネルへの付着力が強く、露光感度特
性に優れていることがわかる。
【0059】実施例5 脱イオン水5L中に、ZnS:Cu,Au,Al蛍光体 1
kgを分散させた後、球状シリカの 10%溶液10ccを添加し
て撹拌しておく。この分散液に、水ガラスの 40%溶液10
ccおよび鎖状シリカの 10%溶液10ccを添加して、15分間
撹拌した。その後、硫酸亜鉛の 10%溶液 100ccを加え
て、さらに15分間撹拌した。撹拌後、脱イオン水で十分
に洗浄したのち濾過を行い、 120℃で 6時間乾燥した。
その後、 300メッシュで篩別することにより、球状シリ
カおよび鎖状シリカで被覆されたZnS:Cu,Au,
Al蛍光体を得た。
【0060】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は球状シリカおよび鎖状シリカにより被覆されてい
ることが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆された
鎖状シリカの量は、ZnS:Cu,Au,Al蛍光体1g
に対して0.00085gであった。
【0061】また、従来例として、鎖状シリカを添加し
ない以外は実施例5と全く同じ条件で、ZnS:Cu,
Au,Al蛍光体を作製した。
【0062】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例1と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例1と同様に行った。その結
果を表5に示す。
【0063】
【表5】 表5から明らかなように、従来例では露光量 80%におい
て残留率 74%、露光量60%においては残留率 46%であっ
た。これに対して実施例5においては、露光量80%で残
留率 91%、露光量 60%においても残留率 70%を示した。
従って、鎖状シリカを付着させたZnS:Cu,Au,
Al蛍光体は、従来例のZnS:Cu,Au,Al蛍光
体と比べてガラスパネルへの付着力が強く、露光感度特
性に優れていることがわかる。
【0064】実施例6 脱イオン水5L中に、Y2 2 S:Eu蛍光体 1kgを分散
させた後、球状シリカの 10%溶液10ccを添加して撹拌し
ておく。この分散液に、水ガラスの 40%溶液10ccおよび
鎖状シリカの1%溶液 6ccを添加して15分間撹拌した。そ
の後、硫酸亜鉛の 10%溶液 100ccを加えて、さらに15分
間撹拌した。撹拌後、脱イオン水で十分に洗浄したのち
濾過を行い、 120℃で 6時間乾燥した。その後、 300メ
ッシュで篩別することにより、球状シリカおよび鎖状シ
リカで被覆されたY2 2 S:Eu蛍光体が得られた。
【0065】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は球状シリカおよび鎖状シリカにより被覆されてい
ることが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆された
鎖状シリカの量は、Y2 2S:Eu蛍光体1gに対して
0.000045gであった。
【0066】また、従来例として、鎖状シリカを添加し
ない以外は実施例6と全く同じ条件で、Y2 2 S:E
u蛍光体を作製した。
【0067】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例1と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例1と同様に行った。その結
果を表6に示す。
【0068】
【表6】 表6から明らかなように、実施例6および従来例共に露
光量 80%までは残留率100%であったが、従来例では露光
量 60%において残留率 74%、露光量 40%においては残留
率 47%であった。これに対して実施例6においては、露
光量 60%で残留率 92%、露光量 40%においても残留率 6
9%を示した。従って、鎖状シリカを付着させたY2 2
S:Eu蛍光体は、従来例のY2 2 S:Eu蛍光体と
比べてガラスパネルへの付着力が強く、露光感度特性に
優れていることがわかる。
【0069】実施例7 脱イオン水5L中に、予めべんがら顔料付け処理を施した
2 2 S:Eu蛍光体 1kgを分散させた後、球状シリ
カの 10%溶液10ccを添加して撹拌しておく。この分散液
に、水ガラスの 40%溶液10ccおよび鎖状シリカの5%溶液
6ccを添加して15分間撹拌した。その後、硫酸亜鉛の 1
0%溶液 100ccを加えて、さらに15分間撹拌した。撹拌
後、脱イオン水で十分に洗浄したのち濾過を行い、 120
℃で 6時間乾燥した。その後、 300メッシュで篩別する
ことにより、球状シリカおよび鎖状シリカで被覆された
顔料付きY2 2 S:Eu蛍光体が得られた。
【0070】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は球状シリカおよび鎖状シリカにより被覆されてい
ることが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆された
鎖状シリカの量は、顔料付きY2 2 S:Eu蛍光体1g
に対して0.00021gであった。
【0071】また、従来例として、鎖状シリカを添加し
ない以外は実施例7と全く同じ条件で、顔料付きY2
2 S:Eu蛍光体を作製した。
【0072】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例1と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例1と同様に行った。その結
果を表7に示す。
【0073】
【表7】 表7から明らかなように、従来例では露光量 80%で既に
一部の欠落が始まり、露光量 60%においては残留率 58%
であった。これに対して実施例7においては、露光量 8
0%で残留率100%であり、露光量 60%においても残留率 9
2%を示した。従って、鎖状シリカを付着させた顔料付き
2 2 S:Eu蛍光体は、従来例の顔料付きY2 2
S:Eu蛍光体と比べてガラスパネルへの付着力が強
く、露光感度特性に優れていることがわかる。
【0074】次に、第2の発明の実施例について説明す
る。
【0075】実施例8 脱イオン水5L中にZnS:Ag,Cl蛍光体 1kgを分散
させた後、二酸化珪素の 10%溶液 1ccを添加して撹拌し
ておく。この分散液に、VTESの5%酢酸水溶液を 150
cc添加して、15分間撹拌した。次いで、濾過して 120℃
で 6時間乾燥した。その後、 300メッシュで篩別するこ
とにより、二酸化珪素およびVTESで被覆されたZn
S:Ag,Cl蛍光体を得た。
【0076】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は、二酸化珪素およびVTESにより被覆されてい
ることが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆された
VTESの量は、ZnS:Ag,Cl蛍光体1gに対して
0.00014gであった。
【0077】また、従来例として、VTESを添加しな
い以外は、実施例8と全く同じ条件で、ZnS:Αg,
Cl蛍光体を作製した。
【0078】こうして得られた各蛍光体を、通常の重ク
ロム酸アンモニウムとポリビニルアルコールからなる感
光性樹脂溶液に分散させ、蛍光体スラリーを調合した
後、この蛍光体スラリーをガラスパネルに塗布し、紫外
線露光法により蛍光面を作製した。そして、露光量に対
する残留ドット領域の面積を測定することで、ガラスパ
ネルに対する蛍光体の付着力の評価を行った。
【0079】なお、ガラスパネルに対する蛍光体の付着
力の評価は、具体的にはガラスパネル中央の直径 8cmの
円形部だけが露光されるように窓を設け、その露光窓に
ステップ領域毎に透過率の減少するNDフィルターを設
置し、ドットマスクを通して紫外線を露光した後、脱イ
オン水にて現像を行い、所定透過率ステップ領域で残留
している蛍光体の面積を測定することにより行った。こ
の結果を表8に示す。
【表8】 なお、表中の紫外線露光量は、露光中の照射紫外線をガ
ラスパネル側面から測定した紫外線積算量 16mJ/cm2
100%とし、その相対値として表した。また、蛍光体残留
率は、紫外線露光された全ての領域(面積)の蛍光体が
残留した場合を100%とし、その相対値として表した。
【0080】表8から明らかなように、従来例では露光
量 80%で既に一部の欠落が始まり、露光量 60%において
は残留率 77%であった。これに対して実施例8において
は、露光量 80%で残留率100%であり、露光量 60%におい
ても残留率 98%を示した。従って、VTESを付着させ
たZnS:Αg,Cl蛍光体は、従来例のZnS:Α
g,Cl蛍光体と比べてガラスパネルへの付着力が強
く、露光感度特性に優れていることがわかる。
【0081】実施例9 脱イオン水5L中にZnS:Ag,Al蛍光体 1kgを分散
させた後、二酸化珪素の 10%溶液 5ccを添加して撹拌し
ておく。この分散液に、VTESの5%酢酸水溶液 100cc
を添加して15分間撹拌した。次に、濾過して 120℃で 6
時間乾燥した。その後、 300メッシュで篩別することに
より、二酸化珪素およびVTESで被覆されたZnS:
Ag,Al蛍光体を得た。
【0082】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は、二酸化珪素およびVTESにより被覆されてい
ることが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆された
VTESの量は、ZnS:Ag,Al蛍光体1gに対して
0.0001gであった。
【0083】また、従来例として、VTESを添加しな
い以外は、実施例9と全く同じ条件で、ZnS:Αg,
Al蛍光体を作製した。
【0084】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例8と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例8と同様にして行った。そ
の結果を表9に示す。
【0085】
【表9】 表9から明らかなように、従来例では露光量 80%で既に
一部の欠落が始まり、露光量 60%においては残留率 68%
であった。これに対して実施例9においては、露光量 8
0%で残留率100%であり、露光量 60%においても残留率 9
7%を示した。従って、VTESを付着させたZnS:Α
g,Al蛍光体は、従来例のZnS:Αg,Al蛍光体
と比べてガラスパネルへの付着力が強く、露光感度特性
に優れていることがわかる。
【0086】実施例10 脱イオン水5L中に、予めコバルトアルミネート顔料付け
処理を施したZnS:Αg,Al蛍光体 1kgを分散させ
た後、二酸化珪素の 10%溶液 5ccを添加して撹拌してお
く。この分散液に、VTESの 10%酢酸水溶液 500ccを
添加して15分間撹拌した。次いで、濾過して 120℃で 6
時間乾燥した。その後、 300メッシュで篩別することに
より、二酸化珪素およびVTESで被覆された顔料付き
ZnS:Ag,Al蛍光体を得た。
【0087】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は二酸化珪素およびVTESにより被覆されている
ことが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆されたV
TESの量は、顔料付きZnS:Ag,Al蛍光体1gに
対して 0.0009gであった。
【0088】また、従来例として、VTESを添加しな
い以外は実施例10と全く同じ条件で、顔料付きZn
S:Αg,Al蛍光体を作製した。
【0089】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例8と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例8と同様に行った。その結
果を表10に示す。
【0090】
【表10】 表10から明らかなように、従来例では露光量 80%です
でに一部の欠落が始まり、露光量 60%においては残留率
56%であった。これに対して、実施例10においては、
露光量 80%で残留率100%であり、露光量 60%においても
残留率 88%を示した。従って、VTESを付着させた顔
料付きZnS:Αg,Al蛍光体は、従来例の顔料付き
ZnS:Αg,Al蛍光体と比べてガラスパネルへの付
着力が強く、露光感度特性に優れていることがわかる。
【0091】実施例11 脱イオン水5L中に、ZnS:Cu,Al蛍光体 1kgを分
散させた後、二酸化珪素の 10%溶液 5ccを添加して撹拌
しておく。この分散液に、VTESの 10%酢酸水溶液 9
00ccを添加して15分間撹拌した。次いで、濾過して 1
20℃で 6時間乾燥した。その後、 300メッシュで篩別す
ることにより、二酸化珪素およびVTESで被覆された
ZnS:Cu,Al蛍光体を得た。
【0092】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は、二酸化珪素およびVTESにより被覆されてい
ることが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆された
VTESの量は、ZnS:Cu,Al蛍光体1gに対して
0.0015gであった。
【0093】また、従来例として、VTESを添加しな
い以外は実施例11と全く同じ条件で、ZnS:Cu,
Al蛍光体を作製した。
【0094】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例8と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例8と同様に行った。その結
果を表11に示す。
【0095】
【表11】 表11から明らかなように、従来例では露光量 80%です
でに一部の欠落が始まり、露光量 60%においては残留率
60%であった。これに対して実施例11においては、露
光量 80%で残留率100%であり、露光量 60%においても残
留率 87%を示した。従って、VTESを付着させたZn
S:Cu,Al蛍光体は、従来例のZnS:Cu,Al
蛍光体と比べてガラスパネルへの付着力が強く、露光感
度特性に優れていることがわかる。
【0096】実施例12 脱イオン水5L中に、ZnS:Cu,Au,Al蛍光体 1
kgを分散させた後、二酸化珪素の 10%溶液10ccを添加し
て撹拌しておく。この分散液に、VTESの 20%酢酸水
溶液 500ccを添加して15分間撹拌した。次いで、濾過し
て 120℃で 6時間乾燥した。その後、 300メッシュで篩
別することにより、二酸化珪素およびVTESで被覆さ
れたZnS:Cu,Au,Al蛍光体が得られた。
【0097】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は、二酸化珪素およびVTESにより被覆されてい
ることが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆された
VTESの量は、ZnS:Cu,Au,Al蛍光体1gに
対して 0.0018gであった。
【0098】また、従来例として、VTESを添加しな
い以外は実施例12と全く同じ条件で、ZnS:Cu,
Au,Al蛍光体を作製した。
【0099】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例8と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例8と同様に行った。その結
果を表12に示す。
【0100】
【表12】 表12から明らかなように、従来例では露光量 80%にお
いて残留率 79%、露光量 60%においては残留率 49%であ
った。これに対して、実施例12においては、露光量 8
0%で残留率 96%、露光量 60%においても残留率 75%を示
した。従って、VTESを付着させたZnS:Cu,A
u,Al蛍光体は、従来例のZnS:Cu,Au,Al
蛍光体と比べてガラスパネルへの付着力が強く、露光感
度特性に優れていることがわかる。
【0101】実施例13 脱イオン水5L中に、Y2 2 S:Eu蛍光体 1kgを分散
させた後、二酸化珪素の 10%溶液10ccを添加して撹拌し
ておく。この分散液に、VTESの5%酢酸水溶液 250c
cを添加して15分間撹拌した。次いで、濾過して 120℃
で 6時間乾燥した。その後、 300メッシュで篩別するこ
とにより、二酸化珪素およびVTESで被覆されたY2
2 S:Eu蛍光体を得た。
【0102】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は二酸化珪素およびVTESにより被覆されている
ことが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆されたV
TESの量は、Y2 2 S:Eu蛍光体1gに対して0.00
024gであった。
【0103】また、従来例として、VTESを添加しな
い以外は実施例13と全く同じ条件で、Y2 2 S:E
u蛍光体を作製した。
【0104】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例8と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例8と同様に行った。その結
果を表13に示す。
【0105】
【表13】 表13から明らかなように、実施例13および従来例共
に露光量 80%までは残留率100%であったが、従来例では
露光量 60%において残留率 79%、露光量 40%においては
残留率 50%であった。これに対して実施例13において
は、露光量 60%で残留率 95%、露光量 40%においても残
留率 71%を示した。従って、VTESを付着させたY2
2 S:Eu蛍光体は、従来例のY2 2 S:Eu蛍光
体と比べてガラスパネルへの付着力が強く、露光感度特
性に優れていることがわかる。
【0106】実施例14 脱イオン水5L中に、予めべんがら顔料付け処理を施した
2 2 S:Eu蛍光体 1kgを分散させた後、二酸化珪
素の 10%溶液10ccを添加して撹拌しておく。この分散液
に、VTESの 15%酢酸水溶液 450ccを添加して15分間
撹拌した。次いで、濾過して 120℃で 6時間乾燥した。
その後、 300メッシュで篩別することにより、二酸化珪
素およびVTESで被覆された顔料付きY2 2 S:E
u蛍光体を得た。
【0107】得られた蛍光体の表面を電子顕微鏡および
電子線マイクロプローブ法で観察したところ、蛍光体の
表面は二酸化珪素およびVTESにより被覆されている
ことが確認された。なお、蛍光体の表面に被覆されたV
TESの量は、顔料付きY22 S:Eu蛍光体1gに対
して0.00124gであった。
【0108】また、従来例として、VTESを添加しな
い以外は実施例14と全く同じ条件で、顔料付きY2
2 S:Eu蛍光体を作製した。
【0109】こうして得られた各蛍光体を用いて、実施
例8と同様に蛍光面を作製し、ガラスパネルに対する蛍
光体の付着力の評価を実施例8と同様に行った。その結
果を表14に示す。
【0110】
【表14】 表14から明らかなように、従来例では露光量 80%です
でに一部の欠落が始まり、露光量 60%においては残留率
62%であった。これに対して実施例14においては、露
光量 80%で残留率100%であり、露光量 60%においても残
留率 99%を示した。従って、VTESを付着させた顔料
付きY2 2 S:Eu蛍光体は、従来例の顔料付きY2
2 S:Eu蛍光体と比べてガラスパネルへの付着力が
強く、露光感度特性に優れていることがわかる。
【0111】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の陰極線管
用蛍光体によれば、優れた付着力特性が得られることか
ら、陰極線管の蛍光面製造工程の諸条件に余裕度が生じ
る。これによって、陰極線管の製造工程上の不都合が解
消できると共に、蛍光面の品位向上を図ることが可能と
なる。したがって、高品位テレビや高精細ディスプレイ
等、特に大型化、高精細化が要求される各種デバイスに
対して実用上効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 同一露光量下においてZnS:Ag,Cl蛍
光体への鎖状シリカの付着量とガラスパネル上での残留
蛍光体粒子数(残渣量)との関係を示した図である。
【図2】 同一露光量下においてZnS:Ag,Cl蛍
光体へのVTESの付着量とガラスパネル上での残留蛍
光体粒子数(残渣量)との関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菅野 智 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝堀川町工場内 (72)発明者 重信 広二 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝堀川町工場内 (72)発明者 井上 智仁 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝堀川町工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蛍光体表面に粒状シリカと鎖状シリカと
    が共に付着していることを特徴とする陰極線管用蛍光
    体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の陰極線管用蛍光体におい
    て、 前記鎖状シリカの付着量は、前記蛍光体に対して 1×10
    -4〜 5×10-1重量% の範囲であることを特徴とする陰極
    線管用蛍光体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の陰極線管用蛍光体におい
    て、 前記鎖状シリカの付着量は、前記蛍光体に対して 1×10
    -3〜 2×10-1重量% の範囲であることを特徴とする陰極
    線管用蛍光体。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の陰極線管用蛍光体におい
    て、 前記鎖状シリカは、 1次粒子として幅 5〜20 mμm 、長
    さ40〜 300 mμm の形状を有することを特徴とする陰極
    線管用蛍光体。
  5. 【請求項5】 蛍光体表面にシリカとビニルトリエトキ
    シシランとが共に付着していることを特徴とする陰極線
    管用蛍光体。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の陰極線管用蛍光体におい
    て、 前記ビニルトリエトキシシランの付着量は、前記蛍光体
    に対して 1×10-5〜 5×10-1重量% の範囲であることを
    特徴とする陰極線管用蛍光体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010060437A1 (de) * 2007-11-22 2010-06-03 Merck Patent Gmbh Oberflächenmodifizierte konversionsleuchtstoffe

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